JPH08189425A - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料処理装置

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JPH08189425A
JPH08189425A JP87695A JP87695A JPH08189425A JP H08189425 A JPH08189425 A JP H08189425A JP 87695 A JP87695 A JP 87695A JP 87695 A JP87695 A JP 87695A JP H08189425 A JPH08189425 A JP H08189425A
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JP
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pressure
canister
passage
fuel
valve
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JP87695A
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Eiji Mori
森  英二
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 給油時において燃料タンクに発生する蒸発燃
料を外部に漏出することなく補集可能な蒸発燃料処理装
置において、給油性を向上させる。 【構成】 燃料タンク1の上部に、給油時において燃料
タンク1内圧が所定値に上昇したことを検知して開弁す
る差圧弁5を配設する。同差圧弁5とキャニスタ2をブ
リーザ通路によって接続する。給油時において、燃料タ
ンク1内のベーパはブリーザ通路32、7a、7bを通
じてキャニスタ2に導かれ、キャニスタ2内部の活性炭
吸着材19によって、その燃料成分が補集される。以上
の構成を備える内燃機関の蒸発燃料処理装置において、
エンジン停止時に前記差圧7a、7bの内圧を検知して
閉弁状態となり、キャニスタ2内の負圧が差圧弁5側の
ブリーザ通路7aに伝播することを抑止する負圧調整弁
6を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関の燃料タン
ク内に発生した蒸発燃料が大気中に漏出することを防止
する処理装置に係り、詳しくは自動車等の燃料タンク内
に発生した蒸発燃料が給油時において大気中に漏出する
ことを防止する機構を備えた蒸発燃料処置装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の燃料タンク内において発生す
る蒸発燃料(以下、ベーパという)が大気中に漏出する
ことを防止するために、従来より蒸発燃料処理装置が用
いられている。さらに、近年では車両走行中のみなら
ず、燃料タンクへ給油する際においても、蒸発燃料の漏
出防止が強く要望されている。蒸発燃料の漏出が大気汚
染の一因として問題視されるようになってきたからであ
る。
【0003】以上の事情から、特開昭61−53451
号公報に開示される技術が提案されている。同従来技術
(以下、第1従来技術という)における蒸発燃料処理装
置では、燃料タンク内部とキャニスタ内部とを連通する
蒸発燃料通路が設けられ、同通路の途中に制御弁が配設
されている。同制御弁は、給油口の給油キャップの取外
しと連動して蒸発燃料通路の面積を変化させるように作
動する。すなわち、前記制御弁は通常運転時に前記蒸発
燃料通路の面積を縮小し、給油時にこれを拡大するよう
に作動する。また、給油時に給油口に挿入される給油ノ
ズルは、給油口近傍に配設されたシール部材によってそ
の周囲がシールされるようになっている。
【0004】かかる構成によれば、給油時において燃料
タンク内に大量の蒸発燃料が発生しても、上記制御弁に
よって蒸発燃料通路の通路面積が拡大されているため、
燃料タンクの蒸発燃料はその内部に停滞することなく、
前記蒸発燃料通路を通じて速やかにキャニスタ側へと導
入される。したがって、燃料タンクの内圧が増加して燃
料を注入することが困難となるおそれがない。すなわ
ち、第1従来技術では、給油時においてベーパの漏出を
防止するとともに、良好な給油性が得られている。
【0005】しかし、第1従来技術においては電磁弁等
の制御弁や、あるいは給油キャップの取外しを検知する
センサ部等が必要となる。したがって、蒸発燃料処置装
置の構成が複雑になり、また、その製造コストが増加し
ていた。
【0006】これに対して、米国特許第4,714,1
72号の明細書及び図面に記載される技術が提案されて
いる。同従来技術(以下、第2従来技術という)におけ
る蒸発燃料処理装置では、図5に示すように、燃料タン
ク41とキャニスタ42との間に両者を連通するブリー
ザ通路43a、43bが設けられている。さらに、同ブ
リーザ通路43a、43bの間にはダイヤフラム式の差
圧弁44が配設されている。同差圧弁44には、ダイヤ
フラムバルブ44aが備えられ、同ダイヤフラムバルブ
44aによってブリーザ通路43bの開口端部43cは
閉塞されている。
【0007】差圧弁44内部は前記ダイヤフラムバルブ
44aによって2つの圧力室に区画され、一方が第1圧
力室44b、他方が第2圧力室44cとされている。同
第1圧力室44bにはスプリング44dが配設され、同
スプリング44dの付勢力により、ダイヤフラムバルブ
44aはブリーザ通路43bの先端開口部43c側に押
圧されている。
【0008】また、第1圧力室44bは圧力通路45に
よって燃料注入管46の内部と連通されている。同燃料
注入管46の内周壁面にはシール部46aが設けられて
いる。そして、同シール部46aと給油口46bとの間
における燃料注入管46に、前記圧力通路45の開口部
45aが設けられている。また、前記差圧弁44の第2
圧力室44c内部は前記ブリーザ通路43aにより燃料
タンク41内部と連通されている。
【0009】以上の構成を備えた第2従来技術における
蒸発燃料処理装置は以下のように作用する。給油時以外
では、上記第1圧力室44bの内圧及びスプリング44
dの付勢力によりダイヤフラムバルブ44aは、その下
方にあるブリーザ通路43bの開口端部43cに対して
押圧されている。すなわち、差圧弁44は閉弁状態に保
持されている。したがって、前記ブリーザ通路43aか
ら差圧弁44及びブリーザ通路43bを介してキャニス
タ42に至る通路は閉鎖されている。
【0010】給油時においては、まず、燃料注入管46
の給油キャップ46cが取り外される。つぎに、前記燃
料注入管46内部に給油ノズル48が挿入され、同給油
ノズル48の周囲が前記シール部46aによりシールさ
れる。したがって、同シール部46aより給油口46b
側にある燃料注入管46内部は大気圧に開放される。そ
して、第1圧力室44bは燃料注入管46内部と連通さ
れているため、その内圧は大気圧に等しくなる。
【0011】これに対して、燃料タンク41内では注入
される燃料によって燃料液面が上昇するとともに、燃料
タンク41の内圧が増加する。したがって、燃料タンク
41内部と連通されている前記第2圧力室44c内部は
第1圧力室44b内部に対して高圧となり、両圧力室4
4b、44cの内圧には圧力差が生じる。
【0012】そして、第2圧力室44cの高圧となった
ベーパは、第1圧力室44bの内圧及びスプリング44
dによる付勢力に抗してダイヤフラムバルブ44aを上
方に付勢し差圧弁44を開弁する。その結果、燃料タン
ク41内のベーパはブリーザ通路43a、43bを通じ
てキャニスタ42に導かれ、その内部に収容されている
吸着材49により燃料成分が補集される。すなわち、給
油時においてベーパが外部に漏出することはない。
【0013】一方、キャニスタ42内に補集されたベー
パは以下のようにしてエンジン吸気系に供給される。す
なわち、エンジンが始動されるとエンジン吸気系には燃
焼用空気の流動が生じる。かかる際、パージ通路50の
エンジン吸気系側(図示しない)にある開口部近傍には
負圧が発生し、パージ通路50に設けたパージ量制御弁
51の開放制御に伴い、この負圧はキャニスタ42内部
に作用する。その結果、パージ通路50内にはキャニス
タ42からエンジン吸気系(図示しない)に向かうベー
パの流れが形成される。そして、前記吸着材49に補集
されている燃料は新たにキャニスタ42内に導入された
外気によって離脱、吸収された後、エンジン吸気系に導
入され、さらに図示しないシリンダ内で吸気燃料ととも
に燃焼される。
【0014】以上のように第2従来技術における蒸発燃
料処理装置では、給油時に燃料タンク41内に発生する
ベーパが外部に漏出することなく処理される。また、同
技術では第1従来技術における電磁弁等の制御弁を、ブ
リーザ通路43a、43bの内圧変化により開閉駆動す
る差圧弁44に置き換えた構成となっている。そのた
め、同装置の簡略化及び低コストが図られている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前記パージ量制御弁5
1は、図示しないECU(Electronic Control Unit )
の制御信号によって開閉駆動されるものであり、エンジ
ン吸気系側(図示しない)に供給されるベーパ量を制御
している。また、エンジン停止後は同パージ量制御弁5
1によってパージ通路50は閉鎖されるようになってい
る。これは、エンジン停止中にキャニスタ42のベーパ
がパージ通路50を通じてエンジン吸気系(図示しな
い)に導出され、さらにこれが大気中に漏出してしまう
こと防止するためである。
【0016】ところで、前述したようにエンジンの運転
中、キャニスタ42内部は負圧となっている。ここで、
エンジンを停止させるとともに前記パージ量制御弁51
を閉弁すると、図3(縦軸は大気圧とキャニスタ42内
圧との差ΔPを示す)の点線によって示すようにキャニ
スタ42内圧は負圧(図中ΔP1 )に保持されることに
なる。かかる状態で燃料タンク41に給油する場合、以
下に示す問題が生じる。
【0017】すなわち、差圧弁44は、給油時に燃料タ
ンク41の内圧が所定値以上に増加すると開弁するよう
になっている。また、前記所定値はスプリング44dの
弾性力によってその値が調節されている。
【0018】また、前記第2圧力室44cに接続された
ブリーザ通路43b内はキャニスタ42内と連通されて
いるため、その内圧は給油時において負圧となってい
る。したがって、ダイヤフラムバルブ44aは第1圧力
室44bの内圧(大気圧)及びスプリング44dの弾性
力に加え、同第2圧力室44cの負圧による付勢力(以
下、負圧力FP という)によって前記ブリーザ通路43
bの開口部43c側に押圧される。その結果、給油時に
燃料タンク41の内圧が所定値以上に増加しても前記負
圧力FP によって差圧弁44が開弁しないおそれがあっ
た。給油時に同差圧弁44が開弁しない場合には、ベー
パが燃料タンク41内に停滞するとともに、その内圧が
上昇し給油が困難になるという問題が生じることにな
る。 そこで、この発明は上記従来技術の問題点が解決
された内燃機関の蒸発燃料処置装置を提供することを目
的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、燃料タンクからの蒸発燃
料をベーパ通路を通してキャニスタ内の吸着材によって
吸着させ、内燃機関運転時にキャニスタ内の吸着燃料を
パージ通路を通して内燃機関の吸気通路へパージする内
燃機関の蒸発燃料処理装置において、燃料タンク内とキ
ャニスタ内とを連通し、給油時に燃料タンク内の蒸発燃
料をキャニスタに導入するブリーザ通路と、前記ブリー
ザ通路の途中に配設され、給油時に燃料タンク内圧が所
定値以上に上昇したことを検知して開弁する第1の感圧
弁と、前記第1の感圧弁とキャニスタとの間における前
記ブリーザ通路に配置され、給油開始時にキャニスタ内
の負圧が前記第1の感圧弁に伝播することを抑止する第
2の感圧弁とを備えたことをその要旨とする。
【0020】請求項2に記載の発明は、燃料タンクから
の蒸発燃料をベーパ通路を通してキャニスタ内の吸着材
によって吸着させ、内燃機関運転時にキャニスタ内の吸
着燃料をパージ通路を通して内燃機関の吸気通路へパー
ジする内燃機関の蒸発燃料処理装置において、燃料タン
ク内とキャニスタ内とを連通し、給油時に燃料タンク内
の蒸発燃料をキャニスタに導入するブリーザ通路と、前
記ブリーザ通路の途中に配設され、給油時に燃料タンク
内圧が所定値以上に上昇したことを検知して開弁する第
1の感圧弁と、前記パージ通路に配設され、内燃機関停
止後から所定時間が経過するまで同パージ通路を連通状
態に維持し、その後同パージ通路を閉鎖状態とする通路
開閉手段とを備えたことをその要旨とする。
【0021】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、給油開始時に
おいて第2の感圧弁は閉弁状態となっている。そのた
め、給油開始時にキャニスタ内が負圧となっていても、
その負圧は第1の感圧弁に伝播されない。すなわち、前
記負圧によって第1の感圧弁が閉弁状態となることがな
い。したがって、第1の感圧弁は燃料タンクの内圧が所
定値にまで増加すると開弁する。
【0022】請求項2に記載の発明によれば、通路開閉
手段によってパージ通路は内燃機関の停止後から所定時
間が経過するまで、燃料タンク内部と内燃機関吸気系と
を連通する状態に維持される。そして、内燃機関の停止
した直後はキャニスタ内は負圧になっているため、吸気
系側の燃焼用空気がパージ通路を通してキャニスタ内に
導入される。かかる燃焼用空気の流動はキャニスタ2内
の内圧が大気圧と等しくなった時点で終了する。その
後、前記通路開閉手段によりパージ通路は閉鎖される。
以上の過程の後、キャニスタ及びブリーザ通路の内圧は
大気圧と等しくなる。したがって、給油時に燃料タンク
内の内圧が所定値以上に増加すると第1の感圧弁が開弁
する。
【0023】
【実施例】以下、この発明を自動車の蒸発燃料処理装置
に具体化した第1実施例について図1〜図3に従って説
明する。
【0024】なお、給油時において燃料タンク内に発生
する蒸発燃料を大気中に漏出することなくキャニスタに
よって捕集する処理を、以下の明細書中においてORV
R処理(ORVR;Onboard Refueling Vapor Recover
y)という。
【0025】図1は第1実施例における蒸発燃料処理装
置が車載された場合のシステム全体を表す概略説明図で
ある。同図に示す如く、燃料タンク1にはその内部で発
生するベーパをキャニスタ2に導入するベーパ通路3の
一端が開口して接続されている。同ベーパ通路3の他端
はキャニスタ2上部に設けられたタンク内圧制御弁4を
介して、キャニスタ2と接続されている。同タンク内圧
制御弁4は燃料タンク1の内圧が所定値以上になると開
弁するようなっている。
【0026】また、燃料タンク1には給油時に開弁する
差圧弁5が設けられている。同差圧弁5は、その途中に
負圧調整弁6を介して、ブリーザ通路7によってキャニ
スタ2と接続されている。したがって、同差圧弁5及び
負圧調整弁6が開弁すると、燃料タンク1のベーパは同
ブリーザ通路7を通じてキャニスタ2内に導入される。
なお、前記差圧弁5は本発明における第1の感圧弁を、
前記負圧調整弁6は第2の感圧弁を構成している。
【0027】また、ORVR処理時においてブリーザ通
路7を通過するベーパ量は、ベーパ通路3を通過するベ
ーパ量と比較して極めて大量である。そのため、ブリー
ザ通路7の通路断面積はベーパ通路3の通路断面積と比
較して10倍程度大きくなっている。
【0028】キャニスタ2の内部は上下方向に延びる仕
切板15によって、2つの室に区画されている。そし
て、両室の一方はタンク内圧制御弁4の下方に位置する
主室16とされ、他方は内容積が前記主室16より小さ
い副室17とされている。
【0029】また、主室16及び副室17上部には空気
層18が形成され、同空気層18の下方には活性炭吸着
材19が充填された吸着材層20が形成されている。同
吸着材層20の上方及び下方にはフィルタ20a、20
bが設けられており、活性炭吸着材19は両フィルタ2
0a、20bの間において充填されている。また、前記
フィルタ20bから下方の空間は拡散室21とされ、同
拡散室21により主室16及び副室17は連通されてい
る。主室16の上方に該当するキャニスタ2の上面に
は、燃料タンク1内において発生したベーパをキャニス
タ2内部に導入するベーパ導入ポート22が形成されて
いる。また、ベーパ導入ポート22の右側には、燃料タ
ンク1内が負圧になった際に通気を行うためのチェック
ボール式のベーパリリーフバルブ23が形成されてい
る。
【0030】前記タンク内圧制御弁4はベーパ導入ポー
ト22を覆うようにキャニスタ2上面に配設されてい
る。同タンク内圧制御弁4にはダイヤフラムバルブ4a
が備えられており、同ダイヤフラムバルブ4aによって
前記ベーパ導入ポート22の先端開口部が閉塞されてい
る。また、タンク内圧制御弁4の内部は前記ダイヤフラ
ムバルブ4aによって上下に区画されており、ダイヤフ
ラムバルブ4aの上側には背圧室4b、下側には正圧室
4cがそれぞれ形成されている。前記背圧室4bの側面
には、その内部を大気圧に維持する大気開放ポート24
が設けられている。また、前記正圧室4c内部は前記ベ
ーパ通路3を介して燃料タンク1内部と連通されてい
る。
【0031】なお、ダイヤフラムバルブ4aは背圧室4
bに設けられたスプリング4dによりベーパ導入ポート
22の先端開口部側に付勢されているため、燃料タンク
1の内圧が所定値以上になるまでは、タンク内圧制御弁
4は閉弁した状態に保持される。
【0032】また、主室16の上方に該当するキャニス
タ2上面には、前記ブリーザ通路7の一端が開口して接
続されている。ブリーザ通路7の開口位置左側にはパー
ジ通路8が同様に接続されている。
【0033】さらに、前記副室17の上方に該当するキ
ャニスタ2上面には、通気ポート25が形成されてい
る。そして、前記大気側制御弁14が同通気ポート25
を覆うように配設されている。大気側制御弁14は大気
開放制御弁12と大気吸入制御弁13とが左右に対向す
る位置に配置され形成されている。
【0034】大気開放制御弁12に備えられたダイヤフ
ラムバルブ12aの左側には大気圧室12b、大気吸入
制御弁13に備えられたダイヤフラムバルブ13aの右
側には負圧室13bがそれぞれ形成されている。両ダイ
ヤフラムバルブ12a、13aによって挟まれた空間
は、隔壁28により2つの圧力室に区画されている。そ
して、両圧力室の一方は前記大気開放制御弁12の正圧
室12dとされ、他方は前記大気吸入制御弁13の大気
圧室13dとされている。また、前記隔壁28の一部に
は圧力ポート28aが形成されるとともに、その先端開
口部は前記ダイヤフラムバルブ13aによって閉塞され
ている。同ダイヤフラムバルブ13aは負圧室13bに
配設されたスプリング13cによって圧力ポート28a
の先端開口部側に付勢されているため、前記大気吸入制
御弁13は閉弁状態となっている。そして、ベーパがエ
ンジン吸気系側にパージされる際、前記負圧室13bに
作用する負圧と前記大気圧室13dの内圧との圧力差が
所定値に達したときに、大気吸入制御弁13は開弁す
る。
【0035】前記大気側制御弁14の上部には大気開放
ポート29が形成され、大気圧室12b内部は常時大気
圧とされている。前記負圧室13bの側部には、その内
部とキャニスタ2内の主室16内部とを連通する圧力通
路30が接続され、負圧室13b内にはパージ通路8に
発生する圧力が導入されている。
【0036】前記大気吸入制御弁13の大気圧室13d
には大気吸入通路27が開口して設けられている。そし
て、キャニスタ2内のベーパをサージタンク9にパージ
する際には、前記大気吸入通路27を通じてキャニスタ
2内に外気が導入される。
【0037】また、大気側制御弁14にはキャニスタ2
内で燃料成分が捕集されたベーパを導出する大気開放通
路26が設けられている。ORVR処理時において、大
量の空気(燃料成分が捕集されたベーパ)が大気開放通
路26を通じて外部に放出されるため、大気開放通路2
6はブリーザ通路7とほぼ等しい通路断面積を有してい
る。また、前記大気開放通路26の先端開口部は大気開
放制御弁12のダイヤフラムバルブ12aによって閉塞
されている。そして、同ダイヤフラムバルブ12aは、
大気圧室12bに配設されたスプリング12cにより大
気開放通路26の開口部側に付勢されているため、大気
開放制御弁12はキャニスタ2の内圧が所定値以上にな
るまで閉弁状態に保持される。
【0038】つぎに、ORVR処理に関連する主要な構
成について、図2を参照して説明をする。燃料タンク1
の上部には嵌挿孔31が形成され、同嵌挿孔31にはブ
リーザ通路の一部をなす筒状のブリーザ管32が挿入、
固定されている。ブリーザ管32の下部にはフロート弁
33が形成されており、燃料タンク1内に収容されてい
る燃料の液面が上昇した場合に同フロート弁33によっ
てブリーザ管32の下部が閉塞され、燃料がブリーザ管
32の上部側に達することが抑止される。
【0039】また、前記差圧弁5は燃料タンク1の上部
に前記ブリーザ管32の上端開口部32aを覆うように
配設されている。同差圧弁5に備えられたダイヤフラム
バルブ5aはブリーザ管32の上端開口部32aを閉塞
している。以上のように本実施例において差圧弁5は、
前記フロート弁33と一体となった構造とされている。
【0040】差圧弁5内部はダイヤフラムバルブ5aに
よって上下に区画され、ダイヤフラムバルブ5aの上側
には第1圧力室5bが、その下側には第2圧力室5cが
それぞれ形成されている。ダイヤフラムバルブ5aは、
第1圧力室5bに配設されたスプリング5dの付勢力に
よりブリーザ管32の上端開口部32aに対して押圧さ
れている。したがって、給油時に燃料タンク1の内圧が
所定値以上に増加するまで、同ダイヤフラムバルブ5a
は差圧弁5を閉弁状態とする位置に保持されている。
【0041】ダイヤフラムバルブ5aによって閉塞され
たブリーザ管32の上端開口部32aの面積S6 は、ダ
イヤフラムバルブ5aの第1圧力室5b側受圧面積S4
の60%以上を占めるように設定されている。かかる構
成としたのは以下の理由による。すなわち、差圧弁5
は、燃料タンク1の内圧変化によってダイヤフラムバル
ブ5aに生じる付勢力の変化(以下、付勢力変化ΔFと
いう)を検知して開閉駆動するようになっている。ここ
で、前記面積S6 が小さい場合には、前記付勢力変化Δ
Fも小さいものとなる。したがって、同付勢力変化ΔF
を検知して差圧弁5を開閉駆動させるためには、必然的
に前記スプリング5dの弾性力を小さくし差圧弁5を閉
弁状態に保持する閉弁力を抑える必要がある。ところ
が、かかる構成では車両振動等によりダイヤフラムバル
ブ5aが振動し差圧弁5が開弁してしまうおそれがあ
る。そこで、本実施例においては差圧弁5の安定した閉
弁状態を得るべく前記面積S6 は面積S4 の60%以上
となるようにしている。
【0042】上記第1圧力室5bは圧力通路34によっ
て燃料タンク1に設けられた燃料注入管36内部と連通
されている。また、前記燃料注入管36の先端部には絞
り36aが形成されている。そして、燃料が同絞り36
aを通過すると、同燃料注入管36内部のベーパの流れ
方向は給油口36bから燃料タンク1側に流れる方向に
規制される。したがって、給油口36bからベーパが外
部に漏出することが抑止される。
【0043】ブリーザ通路7は、前記負圧調整弁6より
燃料タンク1側の第1ブリーザ通路7aと、キャニスタ
2側の第2ブリーザ通路7bとからなっている。なお、
第1及び第2ブリーザ通路7a、7bは本発明のブリー
ザ通路を構成している。前記第1ブリーザ通路7aの上
流側(図中右側)端部は差圧弁5の第2圧力室5cに開
口して接続され、下流側端部は後述する負圧調整弁6の
正圧室6cに開口して接続されている。一方、第2ブリ
ーザ通路7bの上流側端部は負圧調整弁6の正圧室6c
に接続され、下流側端部はキャニスタ2に開口して接続
されている。
【0044】負圧調整弁6は第2ブリーザ通路7bの上
流側端部を覆うように配設されている。同負圧調整弁6
にはダイヤフラムバルブ6aが備えられており、同ダイ
ヤフラムバルブ6aによって第2ブリーザ通路7bの上
流側開口部7cが閉塞されている。また、負圧調整弁6
の内部は前記ダイヤフラムバルブ6aによって上下の圧
力室に区画されており、ダイヤフラムバルブ6aの上側
には大気圧室6bが、下側には正圧室6cがそれぞれ形
成されている。前記大気圧室6b側に該当する負圧調整
弁6の上部には、同大気圧室6bを大気圧に維持する大
気開放ポート37が形成されている。また、同大気圧室
6bにはスプリング6dが配設され、同スプリング6d
の付勢力により、ダイヤフラムバルブ6aは第2ブリー
ザ通路7bの上流側開口部7cに対して押圧されてい
る。
【0045】上記構成を備える第1実施例における蒸発
燃料処理装置は以下のように作用する。まず、ORVR
処理を行わない場合、すなわち、給油時以外におけるベ
ーパ処理過程について図1を参照して説明する。
【0046】前記燃料タンク1内において燃料が蒸発
し、燃料タンク1の内圧が、所定圧力値以上に上昇する
と、キャニスタ2に設けられたタンク内圧制御弁4が開
弁する。すると、ベーパ通路3内には燃料タンク1から
キャニスタ2に向かうベーパの流れが形成される。した
がって、燃料タンク1のベーパはキャニスタ2側に導入
される。かかる際、前記差圧弁5の第1圧力室5bと第
2圧力室5cの内圧は相互に等しいため、同差圧弁5は
閉弁状態に保持されブリーザ通路7は閉鎖されている。
【0047】ベーパ通路3を通じてキャニスタ2内部に
到達したベーパは、空気層18を通過した後、主室16
側の吸着材層20に充填された活性炭吸着材19によっ
て燃料成分が捕集される。続いて、ベーパは吸着材層2
0の下方にある拡散室21に達する。さらに、ベーパは
拡散室21を通じて副室17に導入され、同副室17側
の吸着材層20において主室16側の吸着材層20で捕
集しきれなかった燃料成分が捕集される。以上のように
ベーパはキャニスタ2内部を略U字状の移動経路に沿っ
て流れるため、吸着材層20の活性炭吸着材19に接触
する時間が長くなり燃料成分が効果的に捕集される。
【0048】そして、燃料成分の大部分が吸着材層20
の活性炭吸着材19によって捕集されたベーパは大気開
放制御弁12を開弁するとともに、大気開放通路26を
通じて外部に放出される。この時、大気吸入制御弁13
の負圧室13bの内圧は大気圧室13dの内圧より大き
い正圧となっているため、大気吸入制御弁13は開弁し
ない。したがって、大気吸入制御弁13を介して、大気
吸入通路27からベーパが外部に漏出することはない。
【0049】一方、長時間の駐車等により、燃料タンク
1が冷却され、燃料タンク1内のベーパの発生が止ま
り、キャニスタ2内部の圧力が相対的に高くなった場合
には、ベーパリリーフバルブ23が開放される。したが
って、キャニスタ2内のベーパはベーパ通路3を通じて
燃料タンク1に戻される。
【0050】つぎに、キャニスタ2内に捕集された燃料
成分は以下のようにしてエンジン吸気系に供給される。
エンジンが始動されると前記パージ通路8のサージタン
ク9側開口部近傍は負圧に転じる。そして、ECU10
の制御信号によりパージ量制御弁11が開放駆動される
毎に、同パージ通路8内部にはキャニスタ2から前記サ
ージタンク9に向かうベーパ流動が形成される。したが
って、キャニスタ2内部は負圧となり、前記大気吸入制
御弁13が開弁するとともに、大気吸入通路27を通し
てキャニスタ2内部に外気が導入される。そして、活性
炭吸着材19に吸着されている燃料成分はその外気によ
り離脱、吸収される。
【0051】さらに、燃料成分を吸収した外気(ベー
パ)はパージ通路8内に導かれ、パージ量制御弁11を
介してサージタンク9に流入する。同サージタンク9内
において、ベーパはエアクリーナ35を透過した燃焼用
空気と混合され図示しないシリンダ内に供給される。そ
して、燃焼用空気と混合されたベーパは、燃料タンク1
内の燃料ポンプ38を介し燃料噴射弁40から吐出され
た燃料とともに図示しないシリンダ内において燃焼され
る。
【0052】つぎに、ORVR処理について図2を参照
して説明する。給油時において、まず、燃料注入管36
の給油口36bに取り付けられている給油キャップ36
cが取り外され、続いて給油ノズル39が同給油口36
bから燃料注入管36の内部に挿入される。この時、差
圧弁5の第1圧力室5bは圧力通路34によって給油口
36b近傍に連通されているため、同第1圧力室5bの
内圧は大気圧と等しくなる。
【0053】前記給油ノズル39から燃料タンク1内に
燃料が注入されると、同燃料タンク1内の燃料液面は上
昇するとともに、燃料タンク1内のベーパ量が増加す
る。その結果、燃料タンク1内の内圧は増加する。そし
て燃料タンク1内において高圧となったベーパは、差圧
弁5の第1圧力室5bの内圧(大気圧)及びスプリング
5dによる付勢力に抗してダイヤフラムバルブ5aを上
方に持ち上げ、差圧弁5を開弁する。その結果、燃料タ
ンク1のベーパは前記ブリーザ管32及び差圧弁5を介
し、第1ブリーザ通路7a側に流入する。さらに、ベー
パは負圧調整弁6に達し、負圧調整弁6に備えられたダ
イヤフラムバルブ6aを大気圧室6bの内圧及びスプリ
ング6dによる付勢力に抗して上方に持ち上げ、負圧調
整弁6を開弁する。続いて、負圧調整弁6を通過したベ
ーパは、さらに第2ブリーザ通路7bを通じてキャニス
タ2に導入される。
【0054】ベーパがキャニスタ2に導入された後、燃
料成分が捕集され外部に放出される過程、及び捕集され
た燃料成分がエンジン吸気系に供給される過程は前述し
たORVR処理を行わない場合と同様であるので、その
説明は省略する。
【0055】以上、本実施例にかかる蒸発燃料処理装置
の構成及びベーパの処理過程について詳細に説明した。
つぎに、前記第1ブリーザ通路7a及び第2ブリーザ通
路7bの間に、負圧調整弁6を備える構成とした本実施
例の作用及び効果について、従来技術と比較して説明す
る。
【0056】図5に示す従来技術において、給油開始時
に差圧弁44を閉弁するように作用する力F1 (以下、
閉弁力F1 という)は、ダイヤフラムバルブ44aを下
方に付勢する力(FS1+P0 ・S1 )とこれを上方に付
勢する力(P1 ・S2 +P2・S3 )との差によって表
すことができる。ここで、FS1はスプリング44dの弾
性力、P0 は大気圧、S1 は第1圧力室44b側のダイ
ヤフラムバルブ受圧面積、P1 は燃料タンク41内圧、
2 は第2圧力室44c側のダイヤフラムバルブ受圧面
積、P2 はキャニスタ42内圧、S3 はブリーザ通路4
3bの開口部43c面積をそれぞれ示している。したが
って、前記閉弁力F1 は(1)式のように表すことがで
きる。
【0057】
【数1】
【0058】(1)式において、S3 =S1 −S2 であ
るから、(1)式は次式のようになる。
【0059】
【数2】
【0060】(2)式における右辺第3項(P0
2 )・(S1 −S2 )を負圧力FP とすれば、(2)
式は次式のようになる。
【0061】
【数3】
【0062】ここで、エンジン停止後にキャニスタ42
内部が大気圧と等しくなる(P2 =P0 )とすれば、F
P =0であるから(3)式は次式のようになる。
【0063】
【数4】
【0064】(4)式に示されるように、閉弁力F1
燃料タンク41の圧力上昇に比例して増加する力(P1
−P0 )・S2 がスプリング44dの弾性力FS1と等し
くなった時にF1 =0となる。すなわち、差圧弁44は
開弁する。
【0065】ところが、前述したようにエンジン停止
後、キャニスタ42の内部は負圧(P 0 >P2 )になっ
ており、また(S1 −S2 )>0であるから、前記負圧
力FPは正値(FP >0)となる。したがって、(3)
式における負圧力FP は差圧弁44を閉弁するように作
用する。すなわち、給油時おいて燃料タンク41の内圧
が所定値まで増加しても、ダイヤフラムバルブ44aに
は負圧力FP が作用しているため閉弁状態に保持され
る。その結果、燃料タンク41内部の圧力増加を招き、
給油性が低下することになる。
【0066】これに対して、本実施例における蒸発燃料
処理装置では差圧弁5及びキャニスタ2間に負圧調整弁
6が配設された構成を備えるため、以下に説明するよう
に上記問題が解消されている。
【0067】図2に示す本実施例においてエンジンを運
転状態から停止させた場合、キャニスタ2及び第2ブリ
ーザ通路7bの内圧は負圧となる。しかし、前記第2ブ
リーザ通路7bの開口端部は負圧調整弁6のダイヤフラ
ムバルブ6aよって閉塞されているため、第2ブリーザ
通路7bの負圧は第1ブリーザ通路7aに伝播されな
い。したがって、第1ブリーザ通路7aの内圧は給油開
始時において大気圧P0と略等しい状態となる。給油開
始時に差圧弁5を閉弁するように作用する力F2(以
下、閉弁力F2 という)はダイヤフラムバルブ44aを
下方に付勢する力と、これを上方に付勢する力との差に
よって表すことができる。したがって、閉弁力F2は次
式のようになる。
【0068】
【数5】
【0069】ここで、FS2はスプリング5dの弾性力、
4 は第1圧力室5b側のダイヤフラムバルブ受圧面
積、S5 は第2圧力室5c側のダイヤフラムバルブ受圧
面積、S6 はブリーザ管32の上端開口部32a面積を
それぞれ示している。さらに、S4 =S5 +S6 である
から(5)式は次式となる。
【0070】
【数6】
【0071】(6)式に示されるように、本実施例にお
ける差圧弁5の閉弁力F2 はキャニスタ2内に発生する
負圧(P2 −P0 )に影響されることがない。すなわ
ち、燃料タンク1の内圧上昇に比例した付勢力(P1
0 )・S6 と第1圧力室5bに配設されたスプリング
5dの弾性力FS2とが等しくなった時に閉弁力F2 はF
2 =0となり差圧弁5は開弁する。したがって、給油時
に燃料タンク1の内圧が所定値以上になっても差圧弁5
が閉弁状態のままになるおそれがない。
【0072】ここで、負圧調整弁6が給油中においても
閉弁状態を保持し、ブリーザ通路7内のベーパ流動が妨
げられることが懸念される。したがって、本実施例にお
ける負圧調整弁6は、給油開始時において前記第2ブリ
ーザ通路7bの開口部を確実に閉塞するものであり、給
油中は速やかに開弁状態となるものでなければならな
い。
【0073】給油開始時において、負圧調整弁6を閉弁
するように作用する力F3 (以下、閉弁力F3 という)
は以下の(7)式のように表すことができる。
【0074】
【数7】
【0075】ここで、FS3はスプリング6dの弾性力、
7 は大気圧室6b側のダイヤフラムバルブ受圧面積、
8 は正圧室6c側のダイヤフラムバルブ受圧面積、S
9 は第2ブリーザ通路7bの先端開口部7c面積をそれ
ぞれ示している。また、(7)式の右辺において、(F
S3+P0 ・S7 )はダイヤフラムバルブ6aを下方に付
勢する力を、(P0 ・S8 +P2 ・S9 )はこれを上方
に付勢する力をそれぞれ示している。
【0076】(7)式において、(S9 =S7 −S8
を代入すると閉弁力F3 は次式のようになる。
【0077】
【数8】
【0078】給油開始時において第2ブリーザ通路7b
の内圧P2 は負圧(P2 <P0 )であるため、上記
(8)式における(P0 −P2 )・S9 は正値となる。
したがって、スプリング6dの弾性力FS3の大きさに関
わらず常にF3 >0となるため、第2ブリーザ通路7b
の先端開口部7cは確実に閉塞された状態となる。
【0079】これに対して給油中においては、差圧弁5
が開弁するため前記第1ブリーザ通路7aの内圧は燃料
タンク1の内圧P1 と等しくなる。したがって、閉弁力
3は次式のようになる。
【0080】
【数9】
【0081】(9)式において、(S7 =S8 +S9
を代入し、さらに正圧室6cのダイヤフラムバルブ受圧
面積S8 が第1ブリーザ通路7aの開口部面積S9 のa
倍(以下、aを拡大率という)であるとすれば(9)式
は次式のようになる。
【0082】
【数10】
【0083】給油時には燃料タンク1内の内圧は正圧
(P1 >P0 )となるため、(10)式において{a・
(P1 −P0 )・S9 }>0となる。したがって、拡大
率aの値(本実施例においてはa=10とした)を適宜
選択することにより閉弁力F3をF3 =0とすることが
できる。すなわち、給油中において負圧調整弁6が閉弁
状態を保持し給油性が低下するおそれはない。なお、本
実施例では前記拡大率aの値をa=10としているが、
これは10≦a≦50の範囲で変更することが可能であ
る。
【0084】以上の説明したように、前記負圧調整弁6
は給油開始時において閉弁状態を維持し、一旦、差圧弁
5が開弁した後は速やかに開弁状態に移行するものであ
る。したがって、同負圧調整弁6は給油中におけるベー
パ流動を妨げるものではない。
【0085】次に、本発明を具体化した第2実施例につ
いて図4を参照して説明する。なお、第1実施例の構成
と同一構成又は相当する構成については同一符号を付し
て説明を省略する。
【0086】図4に示すように、キャニスタ2内部は差
圧弁5の第2圧力室5b内部とブリーザ通路7により連
通されている。また、キャニスタ2内部はパージ通路8
によって、エンジン吸気系の一部をなすサージタンク9
内部と連通されている。同パージ通路8の途中にはVS
V11a(VSV;Vacuum Switching Valve)が配設さ
れている。同VSV11aはECU10によって生成さ
れた制御信号によって開閉駆動するものであり、エンジ
ンが始動し、エンジン水温が所定温度を越えると作動を
開始するようになっている。キャニスタ2から前記パー
ジ通路8を介してサージタンク9に供給されるパージ量
は、同VSV11aのバルブ開度を変化させることによ
り制御されている。なお、前記VSV11aは本発明の
通路開閉手段を構成している。
【0087】また、前記ECU10は図示しないイグニ
ッションスイッチがOFFとなったことを検知し、その
時から所定時間Tが経過するまで前記VSV11aを開
弁状態に維持するようになっている。そして、所定時間
Tが経過した後、ECU10はVSV11aを閉弁す
る。本実施例においては図示しないイグニッションスイ
ッチがOFFとなった時から約20秒間、VSV11a
は開弁状態に保持されるようになっている。
【0088】かかる構成を備えた第2実施例における蒸
発燃料処理装置は以下のように作用する。エンジン停止
後所定時間Tの間、前記ECU10からの信号によりV
SV11aは開弁状態に維持される。したがって、キャ
ニスタ2内部とサージタンク9内部とはパージ通路8に
より連通された状態となる。エンジンの停止した直後は
キャニスタ2内は負圧になっているため、サージタンク
9側の燃焼用空気がキャニスタ2内に導入される。かか
る燃焼用空気の流動はキャニスタ2内の内圧が大気圧と
等しくなった時点で停止する。なお、以上の過程は約1
0〜20秒間のごく短い時間で終了する。その後、EC
U10からの信号によりVSV11aは閉弁状態とな
る。
【0089】図3は本実施例におけるキャニスタ2内圧
の変化を示しており、縦軸は大気圧P0 とキャニスタ2
内の圧力P2 の差圧ΔP(=P2 −P0 )を示してい
る。図3において実線で示すように、差圧ΔPはエンジ
ン停止後に速やかに0近傍に収束し、キャニスタ2の内
圧は大気圧と略等しい状態となっている。
【0090】したがって、前記負圧力がFP が差圧弁5
に作用することはなく、前記差圧弁5は燃料タンク1の
内圧が所定値以上となったときに開弁する。以上、本発
明を具体化した実施例について詳細に説明したが、本発
明は以下のように具体化することも可能である。 (1)第1実施例において、負圧調整弁6の正圧室6c
側のダイヤフラムバルブ受圧面積S8 は、第2ブリーザ
通路7bの開口部面積S9 の10倍(拡大率a=10)
としたが、エンジン停止後において、キャニスタ2に大
きな負圧が発生する場合にはこれを大きくするように変
更する。かかる構成によれば、負圧調整弁6のダイヤフ
ラムバルブ6aを上方に付勢する力が大きくなり、差圧
弁5が開弁した後は同負圧調整弁6は速やかに開弁状態
となる。 (2)上記(1)において、スペースの制約上、負圧調
整弁6を大きくすることができず正圧室6cの受圧面積
8 を十分に確保できない場合には、第1実施例及び第
2実施例を併用して、両実施例の作用により確実に前述
の効果が奏せられるようにしてもよい。 (3)第1実施例において、負圧調整弁6が配設される
位置は、前記差圧弁5とキャニスタ2の間であればよ
い。そこで、同負圧調整弁6をキャニスタ2の上面に配
設したり、あるいは前記タンク内圧制御弁4と一体的に
形成された構造としてもよい。かかる構成によれば、本
発明における蒸発燃料処理装置を小型化することがで
き、これは同装置を車載する場合等に効果的である。 (4)第2実施例において、VSV11aを開弁状態に
維持する時間Tは20秒としたが、例えばキャニスタ2
の容量に応じてTを変化させ、容量が大きい場合にはT
を大きくし、小さい場合にはTを小さくするように変更
してもよい。
【0091】以上、本発明を具体化した各実施例につい
て説明したが、各実施例から把握できる請求項以外の技
術的思想について、以下にその効果と共に記載する。 (a)請求項2に記載の発明において、前記通路開閉手
段はECU10からの制御信号により開閉駆動し、前記
パージ通路8を通してキャニスタ2からサージタンク9
に供給されるパージ量を制御するパージ量制御弁である
ことを特徴とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。かかる
構成によれば部品の共通化を図ることができ、パージ通
路8に新たに通路開閉手段を設ける必要がない。したが
って、同装置の製造コストを低減することができる。
【0092】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、給油開
始時においてキャニスタ内部が負圧となっていても、第
2の感圧弁が閉弁状態となっているため、その負圧は第
1の感圧弁に作用しない。その結果、第1の感圧弁は給
油時において燃料タンクの内圧が所定値にまで増加する
と開弁する。したがって、給油時に燃料タンク内に発生
する蒸発燃料は速やかにキャニスタ側に導入されるた
め、良好な給油性が得られることになる。
【0093】請求項2に記載の発明によれば、内燃機関
停止後所定時間の間に、キャニスタの内圧は負圧の状態
から大気圧と等しくなるまで増加する。その結果、給油
時においてキャニスタ内の内圧は大気圧に維持される。
したがって、第1の感圧弁は燃料タンクの内圧が所定圧
力に上昇すると開弁し、燃料タンクの蒸発燃料は速やか
にキャニスタ側に導出される。その結果、燃料タンクへ
の燃料の供給をスムーズにおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を具体化した第1実施例にかかる蒸発
燃料処理装置が車載された場合のシステム概略構成を示
す説明図。
【図2】第1実施例の作用を説明するための概略断面
図。
【図3】キャニスタの内圧変化を示す説明図。
【図4】第2実施例にかかる蒸発燃料処理装置が車載さ
れた場合のシステム概略構成を示す説明図。
【図5】従来技術の作用を説明するための概略断面図。
【符号の説明】
1…燃料タンク、2…キャニスタ、3…ベーパ通路、5
…差圧弁(第1の感圧弁)、6…負圧調整弁(第2の感
圧弁)、7a…第1ブリーザ通路(ブリーザ通路)、7
b…第2ブリーザ通路(ブリーザ通路)、8…パージ通
路、10…ECU、11…パージ量制御弁、11a…V
SV(通路開閉手段)、19…活性炭吸着材、32…ブ
リーザ管(ブリーザ通路)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02M 25/08 311 G B60K 15/077

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンクからの蒸発燃料をベーパ通路
    を通してキャニスタ内の吸着材によって吸着させ、内燃
    機関運転時にキャニスタ内の吸着燃料をパージ通路を通
    して内燃機関の吸気通路へパージする内燃機関の蒸発燃
    料処理装置において、 燃料タンク内とキャニスタ内とを連通し、給油時に燃料
    タンク内の蒸発燃料をキャニスタに導入するブリーザ通
    路と、 前記ブリーザ通路の途中に配設され、給油時に燃料タン
    クの内圧が所定値以上に上昇したことを検知して開弁す
    る第1の感圧弁と、 前記第1の感圧弁とキャニスタとの間における前記ブリ
    ーザ通路に配置され、給油開始時にキャニスタ内の負圧
    が前記第1の感圧弁に伝播することを抑止する第2の感
    圧弁と、 を備えた内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  2. 【請求項2】 燃料タンクからの蒸発燃料をベーパ通路
    を通してキャニスタ内の吸着材によって吸着させ、内燃
    機関運転時にキャニスタ内の吸着燃料をパージ通路を通
    して内燃機関の吸気通路へパージする内燃機関の蒸発燃
    料処理装置において、 燃料タンク内とキャニスタ内とを連通し、給油時に燃料
    タンク内の蒸発燃料をキャニスタに導入するブリーザ通
    路と、 前記ブリーザ通路の途中に配設され、給油時に燃料タン
    ク内圧が所定値以上に上昇したことを検知して開弁する
    第1の感圧弁と、 前記パージ通路に配設され、内燃機関停止後から所定時
    間が経過するまで同パージ通路を連通状態に維持し、そ
    の後同パージ通路を閉鎖状態とする通路開閉手段と、 を備えた内燃機関の蒸発燃料処理装置。
JP87695A 1995-01-06 1995-01-06 内燃機関の蒸発燃料処理装置 Pending JPH08189425A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040035974A (ko) * 2002-10-14 2004-04-30 현대자동차주식회사 자동차 캐니스터의 과부압 차단 밸브
JP2016118141A (ja) * 2014-12-19 2016-06-30 トヨタ自動車株式会社 燃料タンクシステム

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KR20040035974A (ko) * 2002-10-14 2004-04-30 현대자동차주식회사 자동차 캐니스터의 과부압 차단 밸브
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