JPH08188598A - 組換え肺胞界面活性タンパク - Google Patents

組換え肺胞界面活性タンパク

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JPH08188598A JP7231858A JP23185895A JPH08188598A JP H08188598 A JPH08188598 A JP H08188598A JP 7231858 A JP7231858 A JP 7231858A JP 23185895 A JP23185895 A JP 23185895A JP H08188598 A JPH08188598 A JP H08188598A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 呼吸困難症候群に有効な哺乳類肺胞活性タン
パクを提供する。 【解決手段】 通常それと共存するタンパクを含まない
ヒト肺胞界面活性タンパク(ASP)であって、該タンパク
は気相/水相界面における脂質膜の形成を増大し得、そ
して以下のアミノ酸配列を含む: 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】(関連出願に対する相互参照)本出願は、米
国特許出願第008,453号(1987年6月29日出願)の一部継
続出願である。この米国特許出願第008,453号は、米国
特許出願第857,715号(1986年4月30日出願)の一部継続
出願である。また、この米国特許出願第857,715号は、
米国特許出願第808,843号(1985年12月13日出願)の一部
継続出願である。そして、この米国特許出願第808,843
号は、米国特許出願第680,358号(1984年12月11日出願)
の一部継続出願である。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、組換えタンパク生
産の分野に関する。さらに詳しくは、ある呼吸病の管理
に有用な、種々の型の肺胞界面活性タンパク(ASP)の生
産に関する。
【0003】
【従来の技術】ヒトの肺は、多数の小胞または肺胞から
構成されており、そこで血液と肺の気室との間でガスが
交換される。健常人では、この交換は、II型肺胞細胞の
ミクロソーム膜で合成される界面活性複合体を含むタン
パクの存在により仲介される。この複合体が充分なレベ
ルで存在しないと、肺は正常に機能し得ない−−すなわ
ち、肺胞は呼気の間に収縮し、次いで吸気により再膨張
し得ない。従って、この複合体を合成し得ないことを治
療しないと、死または重症の身体障害をもたらす。
【0004】不充分な界面活性複合体レベルに関して最
もよく報告されている例は、未熟児および難産で生まれ
た乳児の場合であり、呼吸困難症候群(RDS)として広く
知られている。この症候群の広く公表されている型は、
ヒアリン膜症または特発性RDSと呼ばれている。RDSは、
現在、合衆国および他の先進諸国における乳児の死亡率
および罹患率の主因であり、診断と治療に多くの努力が
向けられている。現在の治療は、機械的(圧力)換気に関
心が寄せられているが、この方法は、せいぜい他に害を
もたらす一時しのぎの処置である。この処置は、しばし
ば肺の障害および他の副作用をもたらし、気管支肺の形
成異常、間質性気腫および気胸などを併発する。知能発
達の遅れもまた、この処置を行った結果として生じる(H
allman,M.ら、Pediatric Clinics of North America(19
82)29:1057-1075)。
【0005】界面活性体を置換することによって、この
症候群を治療しようという試みは限られている。この方
法は、一般に投与が1回だけで良く、そして障害を減じ
る可能性があるので、選択される。例えば、Fujiwara
ら、Lancet(1980)1:55-は、ウシの肺に由来するタンパ
ク除去界面活性標品を用いた;この標品は有効であるが
免疫原性である。Hallman,M.ら、Pediatrics(1983)7
1:473-482は、ヒトの羊水から単離した界面活性体を用
いて少数の乳児を治療し、ある程度の成功を収めた。Cl
ementsの米国特許第4,312,860号には、人工の界面活性
体が開示されている。この界面活性体は、タンパクを含
まず、データは示されていないが、このアプローチに有
用であると記載されている。簡単に言えば、界面活性体
置換は、臨床的には広く用いられていない。
【0006】好ましい界面活性体置換物は、肺の界面活
性複合体自体である。この複合体は、アポタンパク;主
要量で存在する2つのリン脂質(ジパルミトイルホスホ
コリン(DPPC)およびホスファチジル−グリセロール(P
G));極く微量で存在するいくつかの脂質成分;および
カルシウムイオンから構成されている。このアポタンパ
クは、分子量が32,000ダルトン程度のタンパクと約10,0
00ダルトン程度の非常に疎水性のタンパクとを含む(Kin
g,R.J.ら、Am J Physiol(1973)224:788-795)。32,000ダ
ルトンのタンパクは、糖鎖が形成されており、ヒドロキ
シプロリンを含む
【0007】。
【発明が解決しようとする課題】界面活性体の置換によ
る治療があまり進展しない主な理由は、この複合体のタ
ンパク部分が入手しにくいことである。置換治療は、脂
質成分のみを使用する試みに関心が寄せられており、こ
のような治療の効果がアポタンパクの添加により著しく
改善され得ることは明らかである(Hallman,M.ら、Pedia
tric Clinics ofNorth America(1982)(前出))。しかし
ながら、現在、これらタンパクのいくつかは、正常な成
人の肺および羊水のみから得られる。有効な単離方法を
用いてもなお、充分な量を供給し得ない。従って、単独
で、あるいはこの複合体の飽和リン脂質部分と共に利用
するのに、実用的な量のアポタンパクの生産する有効な
方法が望まれる。
【0008】PCT特許出願WO86/03408、すなわち本出願
の前出願は、約32kdのヒトASPタンパクの組換え生産、
種々のイヌASPタンパクをコードするDNA配列の検索、お
よび約10kdの分子量を有するヒトASPタンパクグループ
の1つの代表的なものの検索について述べている。現在
では明らかに、“10K"グループの有効な生産が、充分な
治療に用いるのに要求されている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、肺界面活性複
合体のアポタンパク部分の付加的成分を、その特徴を最
適にする量および条件下で得る方法を提供する。この複
合体の残りの成分、すなわちジパルミトイルホスファチ
ジルコリンおよびホスファチジルグリセロールは、カル
シウムイオンと共に、WO86/03408(前出)に述べられてい
るASPグループのある成分のように、すでに容易に入手
し得る。他の型のアポタンパクが必要量得られれば、治
療に使用し得る複合体の形態を最適にする研究が可能に
なり、そして呼吸困難症候群の常法的な置換治療の可能
性が開かれる。
【0010】従って、ある局面では、本発明は組換えに
よって生産された10Kグループの哺乳類肺胞界面活性タ
ンパク(ASP)に関する。分子量が比較的大きく、比較的
水溶性であるような約32kdのタンパク(32K ASP)は、上
述のように開示されている。分子量が小さく、疎水性で
あるような約5〜20kdのタンパク(10K ASP)がここに記
載されている。両グループのタンパクは、カルシウムイ
オンの存在下でリン脂質と複合体を形成する際に、表面
張力の低下した膜の形成を促進する。しかしながら、イ
ンビボの研究によると、10Kグループおよびその個々の
成分は、肺を膨張させ、そして維持する際に、32K ASP
より劇的に有効であり、10Kタンパクと32Kタンパクとの
組合せは相乗的である。本発明は、さらに、他の哺乳類
ASPタンパクをコードするDNA配列;これらのタンパクの
生産に適した発現ベクター;これらのベクターで形質転
換される組換え宿主細胞;そして組換えASPおよびそれ
らの前駆体を生産する方法に関する。他の局面では、本
発明は、ヒトASPを含む薬学的組成物およびそれらを用
いてRDSを治療する方法に関する。
【0011】さらに他の局面では、本発明は、32K ASP
タンパクを単離するための改良された方法およびウシ10
K型を精製するための改良された方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
A.定義 本明細書で用いられているように、“肺胞界面活性タン
パク(ASP)"とは、肺界面活性複合体に関連し、以下に
特定するASP活性を有するアポタンパクを意味する。調
べた全ての種のASPは、ここで“32K ASP"と名付けた比
較的高分子量(32kd程度)の1種またはそれ以上の成分
と、ここで“10K ASP"と名付けた比較的低分子量(5〜2
0kd程度)の極めて疎水性の1種またはそれ以上の成分と
を含むようである(King,R.J.ら、J Appl Physiol(1977)
42:483-491;Phizackerley,P.J.R.,Biochem J (1979)18
3:731-736)。
【0013】全ての種の32Kタンパクは、各種における
1種またはそれ以上の非常に類似した原型のアミノ酸配
列に由来するようである。“この"32Kタンパクは、明ら
かに配列がわずかに異なる複数の遺伝子によってコード
されている。ヒト32K配列の3つの変種がここに示され
ている。しかしながら、ある条件下で見い出された明ら
かに分子量が異なる複数の成分は、糖鎖形成のパターン
の変化によるものである。前出願、WO86/03408には、高
い相同性を示すヒトおよびイヌの32K ASPタンパクの全
アミノ酸配列が開示されている。高い分子量を有し、比
較的親水性であるこの一組のタンパクは、前記前出願の
主題であり、そして別の哺乳類種に由来する32K ASP
が、イヌおよびヒトのこの配列と高い相同性を示すこと
が期待される。しかしながら、特に、ヒトタンパクのさ
らに2つの変種をここに開示する。
【0014】低分子量の“10K"タンパクは、比較的疎水
性であり、分子量の異なる数種のタンパクの混合物であ
るようである。ヒトおよびイヌの両タンパクは、18kd、
8kd、および5kdの非還元分子量を示す。8kdタンパク
および5kdタンパクは、N−末端配列が同一であり、お
そらく同一のメッセージに由来するが、C−末端のプロ
セッシングに違いがあるらしい。他方、18kdタンパク
は、還元条件下で10kdの分子量を示すが、明らかに異な
るアミノ酸配列を有する。しかしながら、ここで取り扱
っている哺乳類種の18kd、8kd、および5kdのタンパク
は、全てインビボで同等に機能するようである。本発明
は、ここで主にこの10Kグループを取り扱う。前出願、W
O86/03408では、18kdイヌタンパクに対する全cDNA配列
および推定されるアミノ酸配列と、対応するヒトタンパ
クの部分的なDNA配列とを開示した。8kd/5kdイヌタン
パクに対しては、短いN−末端アミノ酸配列のみが開示
された;現在では、ヒトタンパクに対する適当なcDNAが
回収されており、代表的な両方の10Kタンパクの完全な
配列は、この技術の一部をなしている。10K混合物は、
単に2つのDNA配列の生産物なので、翻訳後のプロセッ
シングの変化が多数の分子量をもたらし得るが、SP-18
およびSP-5という名称を、これら2つの型のタンパクと
遺伝子とに採用した。
【0015】ここでの図1は、WO86/03408の図2に対応
し、位置1で示すロイシンで始まり、位置183のフェニ
ルアラニンで終わる、成熟イヌSP-18タンパクの全cDNA
配列を表す。ヒトSP-18タンパクの対応する配列を図2
および図3に示す。以下に示すように、これら配列はア
ミノ酸配列が極くわずか異なっている。成熟タンパクの
始まりは、図2の位置201のフェニルアラニン残基であ
り、位置381のロイシンで終わる。従って、このcDNA
は、ヒトの181アミノ酸タンパクをコードすると推定さ
れる。しかしながら、ヒトおよびイヌの両タンパクは、
カルボキシ末端配列の一部分の欠失により、さらに短い
配列にプロセッシングされると考えられる。ヒトタンパ
クでは、このプロセッシングは、分泌されたタンパクが
図2において位置286で示されるアルギニンで終わるよ
うに起こると考えられる。このようなプロセッシングに
よって、単離された成熟タンパクの還元電気泳動ゲルで
見られるような約10Kの分子量を有するタンパクが生じ
る。
【0016】2つの類似した型のヒトSP-5タンパクに対
するcDNA配列および推定されるアミノ酸配列を図5およ
び図6に示す。また、成熟タンパクの推定N−末端で始
まるcDNAは、173アミノ酸または174アミノ酸をコードす
るが、C−末端のプロセッシングの変化の結果、5kdま
たは8kdの単離タンパクをもたらす。
【0017】要約すると、低分子量タンパクの10Kグル
ープは、ここでSP18およびSP5と名付けた2つの異なる
種をコードするDNAに由来するようである。SP18がコー
ドされる種は、これらの種が非還元条件下で約18kdのタ
ンパクとして移動する成熟タンパクをコードするので、
このように名付けられる;明らかに、このタンパクは小
さな約10kdのモノマー単位の2量体である。このモノマ
ー単位は、コードされたタンパクのカルボキシ末端にお
ける切断を含む翻訳後のプロセッシングにより形成され
るが、さもなければこのタンパクは、さらに以下で説明
するように、181アミノ酸を含む。同様に、SP5は推定
分子量が約19kdのタンパクをコードする。しかしなが
ら、また、この分子量のタンパクは、抽出物中には見ら
れず、コードされるアミノ酸配列は、明らかに得られた
5kdタンパクおよび8kdタンパクにプロセッシングされ
る。
【0018】本発明の組換えASPタンパクは、ここで示
されるアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する。
しかしながら、活性を損なうことなく、わずかな修飾を
行い得ることは理解される。例えば、図14は、この32K
タンパクの5つの変種を表す。さらに、全体の一次構造
の一部のみが必要とされ得る。例えば、本発明のヒトSP
18組換えタンパクは、図2に示されたアミノ酸配列と実
質的に類似した、アミノ酸配列を有するが、活性を損な
わずにこの配列を少し修飾したものもまた、SP18ヒトAS
Pの定義内に含まれ、そして以下で詳しく述べるよう
に、請求の範囲に記載されたタンパクの定義内に含まれ
る。さらにこの定義内に含まれるものには、活性を保持
した図2の完全な配列の断片であって、特に翻訳後のプ
ロセッシングにより生じる断片がある。
【0019】全てのタンパクの場合のように、このASP
タンパクは、その調製方法、あるいは溶液中ではその環
境に依存して、中性の形、あるいは塩基塩または酸付加
塩の形で存在し得る。従って、一般にタンパク、そして
特にいかなるASPも、遊離のアミノ基を含む酸付加塩、
あるいは遊離のカルボキシル基で形成された塩基塩の形
で見い出され得ることはよく知られている。実際、薬学
的に許容される塩には、このタンパクの機能性を高め得
る。適当な薬学的に許容される酸付加塩には、例えば塩
酸または硫酸のような無機酸、あるいは酢酸またはグリ
コール酸のような有機酸から形成されたものが含まれ
る。薬学的に許容される塩基には、水酸化カリウムまた
は水酸化ナトリウムのような水酸化アルカリ、あるいは
ピペリジン、グルコサミン、トリメチルアミン、コリ
ン、またはカフェインのような有機塩基が含まれる。さ
らに、このタンパクは、脂質や糖のような他の生物試料
との組合せ;あるいはアミノ基のアセチル化、ヒドロキ
シル側鎖のリン酸化、またはスルフヒドリル基の酸化の
ような側鎖の修飾;またはコードされる一次配列の他の
修飾により修飾され得る。実際、天然型では、ASPタン
パクは糖鎖が形成されており、そしてコードされている
プロリン残基のいくつかはヒドロキシプロリンに変換さ
れている。このタンパクはまた、リン脂質、特にDPPCお
よびPGと結合して見い出される。ここでASPタンパクの
型の定義に含まれるものには、糖鎖形成型および糖鎖非
形成型、ヒドロキシル化型および非ヒドロキシル化型、
アポタンパク単独、あるいは脂質との結合型がある。簡
単に言えば、この定義は、血液と肺の気室との間のガス
交換を促進し、そして肺胞を再膨張させる能力を保持し
た天然の配列と実質的に類似したアミノ酸配列を有する
いかなる組成物をも含む。
【0020】一次アミノ酸配列のわずかな修飾は、特に
例証されている配列のいずれと比べても、実質的に同等
な活性または増大した活性を有するタンパクをもたらし
得ることが、さらに理解される。これらの修飾は、部位
特異的変異によって計画的に行うか、あるいはASP生産
生物である宿主の変異によるように、偶発的に行い得
る。これら修飾のすべては、ASP活性が保持される限り
包含される。
【0021】タンパクに対する"ASP活性”は、単独、ま
たは他のタンパクとの組合せのいずれかで脂質と結合さ
せた場合に、Robertson,B.Lung(1980)158:57-68および
以下に記述するインビボ分析において活性を示す能力と
して定義される。この分析では、試験すべき試料を、帝
王切開により未熟児で生まれたウサギ胎児または子ヒツ
ジに、気管内挿入管によって投与する(これらの“早産
児”は、自己のASPを欠いており、人工呼吸器によって
維持される)。肺の収縮、血中の気体、および人工呼吸
器内の圧力を測定することによって活性の指標を得る。
活性の予備的な評価は、インビトロ分析、例えば、Kin
g,R.J.ら、Am J Physiol(1972)223:715-726、または以
下に例証されるHawgoodらの方法によって行い得る。後
者の方法は、このタンパクをリン脂質小胞の標品と混合
した場合の空気−水界面における表面張力を簡単に測定
することを利用している。ここで述べる10Kおよび30K A
SPタンパクは、単独でも、あるいは組合せてもASP活性
を示す。10Kタンパクは、32Kグループと共奏的に作用す
る場合にのみASP活性を示すと以前は考えられていた
が、本発明者らは、10Kタンパク単独でも顕著なASP活性
を示し、また32Kタンパクを加えると10Kタンパクの活性
が相乗的に高められることを、ここで示している。
【0022】“作動可能に連結した"とは、これらの成
分がその通常の機能を達成し得るように配置された近接
状態を意味する。従って、コード配列に作動可能に連結
した制御配列は、このコード配列の発現に効果的であり
得る。
【0023】“制御配列"とは、所望のコード配列に適
切に結合した場合に、このような配列に適合する宿主内
でその発現を効果的に行い得る1つのDNA配列または複
数のDNA配列を意味する。このような制御配列は、原核
宿主および真核宿主の両方におけるプロモーター;原核
生物におけるリボゾーム結合部位配列;および真核生物
における終始シグナルを包含する。発現を行う際に必要
なあるいは助けとなる他の因子は、引き続き同定され得
る。ここで用いられるように、“制御配列"とは、単に
用いた特定の宿主内で発現を行うのに必要であり得るい
かなるDNA配列をも意味する。
【0024】“細胞"または“組換え宿主細胞"、あるい
は“宿主細胞"は、文脈から明らかなように、しばしば
互換的に用いられる。これらの用語は、直接の対象細
胞、およびもちろん子孫をも包含する。必ずしも全ての
子孫が、変異または環境の違いにより、親細胞と完全に
同一でないことは理解される。しかしながら、このよう
に変化した子孫も、上述の用語を用いる場合には包含さ
れる。
【0025】B.一般的な記述 以下に示される、ASPをコードするDNA配列を得るための
方法は、単に例証することを目的としており、用いられ
得る方法のうちの代表的なものである。しかしながら、
当該分野で知られているように、他の方法も用いられ得
る。
【0026】B.1.界面活性複合体の性質 肺の肺胞表面は、多くの技術により、そして多くのグル
ープによって広範囲にわたって研究されている。肺胞の
膜は、I型およびII型の肺胞細胞から構成され、このう
ちII型細胞は表面の約3%を構成しているようである。
II型細胞は、基底膜を被覆しているライニング流体層へ
物質の外分泌を行っている。この物質は、ライニングの
流体と、含まれる容積の気相との間の表面張力を減少さ
せる。流体層は、肺胞の毛細血管の血漿に由来する水、
およびII型細胞の界面活性分泌物から構成されている。
【0027】II型細胞は、それ自身が、細胞1個あたり
60〜100pgのタンパク、および約1pgの脂質のリンを含
んでいる。II型細胞におけるDPPCとPGとのリンの比率は
約8:1である。アポタンパク成分の研究は、様々な種
に由来する肺洗浄液に基づいており、前述したような、
分子量が約10〜20kdと32kdである2つの主要なタンパク
型を含有することが示されている(Kikkawa,Y.ら、Labor
atory Investigation(1983)49:122-139)。アポタンパク
がリン脂質成分に結合しているか(King,R.J.ら、Am Rev
Respir Dis(1974)110:273)、あるいは結合していない
か(Shelly,S.A.ら、J Lipid Res(1975)16:224)は、明ら
かではない。
【0028】イヌの肺の洗浄液から得られ、ゲル電気泳
動によって分離される高分子量のタンパクは、分子量が
29,000、32,000、および36,000ダルトンである3つの主
要な成分から構成されることが示されている。32,000ダ
ルトンのタンパクを用いて、以下に示すような配列デー
タを得た;しかしながら、これらのタンパクの3つ全て
は、同一のN−末端配列を有しており、明らかに糖鎖形
成の程度だけが相違している。36kdおよび32kdのバンド
を、糖側鎖を除去するエンドグリコシダーゼFで分解す
ると、29kd成分と同じように移動する生成物が得られ
る。29kd成分の移動度は、この処理によって影響されな
い。32kd画分が凝集して二量体および三量体を形成する
ことも示されている。
【0029】より小さな分子量を有するタンパクが、か
ろうじて抽出されるが、これらもまた、混合物であるよ
うである(Phizackerleyら、前出;以下の記述)。イヌお
よびヒトのタンパクについては、コードDNAに関して、
およびウシの洗浄液に関して研究され、そしてタンパク
レベルで研究されており、より低分子量のタンパク混合
物は、ここでSP-18およびSP-5と名付けられる2つのタ
イプのアミノ酸配列を含むようである。SP-18配列は、
約18kdの分子量の一次配列(約180アミノ酸)に対応す
るcDNAによってコードされている。しかしながら、この
生産物は、インビボにおいて、より短いタンパクへプロ
セッシングされるようである。SP-5 DNAは、約173アミ
ノ酸の成熟タンパクをコードしている、このタンパクも
また、約5kdおよび8kdの実質的により小さなタンパク
へ明らかにプロセッシングされる。上述のプロセッシン
グは、生産されたタンパクのC−末端からの配列欠失を
包含しているようである。
【0030】B.2.イヌおよびヒトのASPタンパクに
対するコード配列のクローニング イヌおよびヒトのASP 32Kタンパクの全コード配列は、W
O86/03408に記述されているように、クローン化され、
そして発現されている。ここでは、ヒトおよびイヌに由
来する低分子量のいくつかのタンパクをコードするDNA
配列も得られ、そして発現されている。ヒト32Kタンパ
クの別の型のものも開示されている。
【0031】イヌの肺のcDNAライブラリーは、18kd(非
還元ゲル上で)イヌタンパクのN−末端アミノ酸配列に
対応するよう設計した2つの合成オリゴマー混合物をプ
ローブとして用いて調べ、両方のプローブにハイブリダ
イズするクローンを回収し、配列を決定した;これによ
って図1に示した情報を得た。これらのクローンの1つ
であって、イヌASPコード配列を含むものを用いて、成
人の肺から単離したmRNAよりバクテリオファージλgt10
で作成したcDNAライブラリーを調べ、ヒトSP-18を得
た;次いで、このヒトSP-18を用いてヒトのゲノムライ
ブラリーを調べた。cDNAおよびゲノムクローンによって
コードされるヒトSP-18に対する完全な配列が開示され
ている。次いで、5kdイヌタンパクのN−末端アミノ酸
配列に対応するように設計したプローブを用いてλgt10
肺ライブラリーからSP-5 cDNAを得た。この配列の変種
も開示されている。
【0032】B.3.ASPの発現 ヒトおよびイヌの他のASPタンパクをコードする核酸配
列が、現在入手し得るので、これらを様々な系で発現さ
せ得る。原核生物系を用いる場合には、適当な制御配列
と共に、イントロンを有さない配列を用いるべきであ
る。上記のいずれのASPタンパクに対するcDNAクローン
も、適当な制限酵素で切り出し、このような発現のため
の原核生物ベクターに連結し得る。ASPゲノムDNAの原核
生物における発現には、部位特異的変異処理によって、
あるいはcDNAの対応する部分を回収し、イントロンを含
むゲノム配列と置換することによって、イントロンを除
去するようにDNAを修飾する必要がある。次いで、イン
トロンを含まないコードDNAは、原核生物における発現
用ベクターに連結する。いくつかの例証的な発現系を以
下に記述する。
【0033】以下に例示するように、ASPをコードする
配列も、イントロンをプロセッシングし得る発現系(通
常、哺乳類宿主細胞培養物)において直接使用すること
ができる。このような発現を行うためには、ゲノム配列
を、適当な哺乳類細胞中でこれら配列の発現を調節する
制御可能な哺乳類プロモーターの下流に連結し得る。
【0034】組換え生産物に加えて、5kdタンパクのよ
うな充分短い本発明のタンパクは、タンパク合成法によ
って調製し得る。
【0035】B.4.タンパクの回収 ASPタンパクは、成熟タンパクまたは融合タンパクとし
て生産するか、あるいは分泌するためにこの配列をプロ
セッシングし得る細胞内で、シグナル配列と共に生産し
得る。タンパクの分泌が行えれば、精製が容易になるの
で有利である;従って、適当なプロセッシングを行い得
る細胞内で、本来のシグナル配列に対するコドンを含む
ヒトASP遺伝子を発現させることが好ましい。培養され
た哺乳類細胞は、シグナル配列を含む外来の哺乳類タン
パクを切断し、プロセッシングし、そして培地中へ分泌
し得ることが示されている(McCormick,F.ら、Mol Cell
Biol (1984)4:166)。
【0036】培地へ分泌された場合、ASPタンパクは標
準的なタンパク精製法を用いて回収される。培地には、
比較的少数のタンパクしか分泌されず、従って分泌され
たタンパクの主要なものは、すでにASPであるため、精
製方法は簡単化される。しかしながら、この手順はより
面倒ではあるが、融合型または成熟型のタンパクを細胞
内生産している細胞の音波処理物または溶解物からこの
タンパクを精製することは、当該分野で公知の方法であ
る。
【0037】B.5.32Kタンパクの改良された精製方
ここで開示されているのは、自然に、または組み換えに
よって生産された32Kタンパクを精製するのに特に有利
な方法である。この方法は、一次配列のある領域がレク
チンの糖結合部分に類似していることを利用している。
【0038】従って、本発明のある局面は、32K ASPタ
ンパクを精製する方法である。該方法は、このようなタ
ンパクを含む混合物を、親和性の要因となる部分が糖
(特に、マンノースまたは糖結合したタンパク)であるア
フィニティークロマトグラフィーに供することを包含す
る。以下に例証するように、例えば、マンノースそれ自
体が直接結合した適当な担体(例えば、アガロースまた
はセファロース、あるいは他の一般的に用いられるクロ
マトグラフィー用の固体担体)、もしくはマンノースを
高いレベルで含む糖タンパクを用い得る。マンノースが
最も好ましいが、他の機能的な親和性パートナーである
糖には、フコースおよびN−アセチルグルコサミンが含
まれる。特定の親和性基に対するクロマトグラフィー担
体の設計に関する変法は、当業者によく知られており、
有用な吸着剤として糖を与えるもの全てが適している。
【0039】結合は、低濃度のカルシウムイオン存在下
で有効に起こり、そして溶出は、例えばEDTAを用いてカ
ルシウムイオンを除去することによって有効に行われ
る。しかしながら、溶出は、ASPへの結合に関してアフ
ィニティーカラムと競合する溶離溶媒中の物質(例え
ば、濃度を増加させたマンノースまたはガラクトース)
によっても行い得る。ジスルフィド結合を還元すると、
pHの高低によって結合を解離するので、還元剤を供給す
ることによっても溶出を行い得る。pHが低いと変性を引
き起こし得るが、約pH10のホウ酸緩衝液中で溶出を行う
のが効果的である。
【0040】B.6.ASP活性の分析 表面張力を減少(表面圧力を増加させることと同じ)させ
ることによって機能するASPタンパクが、水/気界面に膜
を生じさせる能力を評価するインビトロ法が考案されて
いる。これらの方法を用いた研究は、単離された自然の
32KイヌASPに関して行われている(Benson,B.J.ら、Prog
Resp Res(1984)18:83-92;Hagwood,S.ら、Biochemistry
(1985)24:184-190)。
【0041】Tanaka,Y,ら、Chem Pharm Bull(1983)31:4
100-4109には、ウシの肺に由来する35kdタンパクがDPPC
の表面拡張を増大させたことが開示されている;Suzuk
i,Y.,J Lipid Res(1982)23:62-69;Suzuki,Y.ら、Prog R
esp Res(1984)18:93-100では、ブタの肺に由来する15kd
タンパクが、同じ起源の脂質−タンパク複合体の表面拡
張を増大させることが示された。
【0042】インビボにおける界面活性複合体の機能
は、表面張力を減少させるために気/水界面に膜を形成
することなので、インビトロモデルでは、このような表
面に脂質またはリポタンパクを展開することによって生
じる膜の形成を増大させるASPタンパクの能力は、明ら
かにその有用性と関係がある。実施例において述べられ
るインビボモデルも用い得る。
【0043】B.7.投与および使用 精製されたタンパクは、単独で、および投与に適した薬
学的組成物と組み合わせて、幼児または成人における呼
吸困難症候群の治療に用い得る。本発明の組成物および
タンパク生産物は、肺炎および気管支炎のような関連し
た呼吸器系疾患の治療にも有用である。複合体は、約50
%からほぼ100%(wt/wt)の脂質、および50%から1%を
下回るASPを含む;好ましくは、ASPは、この複合体の5
%〜20%である。脂質部分は、好ましくは80%〜90%(w
t/wt)のDPPCであり、そして残りは、不飽和のホスファ
チジルコリン、ホスファチジルグリセロール、トリアシ
ルグリセロール、パルミチン酸、またはこれらの混合物
である。この複合体は、ASPの溶液を脂質リポソームの
懸濁液と混合するか、あるいは脂質タンパク溶液を界面
活性剤または有機溶媒の存在下で直接混合することによ
って再会合させる。次いで、この界面活性剤または溶媒
は、透析によって除去され得る。
【0044】この複合体を再構成する際には、肺洗浄液
に由来の中性脂質成分を利用することも、それを適当な
量のASPタンパクに加えることも可能であるが、明らか
に合成脂質の使用が好ましい。第一に、充分に供給する
問題があり、これは自明のことである。第二に、調製物
の純度、および中性脂質を単離した肺に存在し得る外来
タンパク(感染性タンパクを含む)による汚染がないこと
は、合成調製物によってのみ保証される。もちろん、合
成成分を用いた場合には、有効な複合体の再構成は、よ
り困難である。
【0045】上述したように、以前は、主として10K AS
P混合物が32K混合物の活性を増大させるのに役立つと考
えられていた;しかしながら、現在では、本発明者らに
より、好ましい組成物は、10Kタンパクのみ、SP-5また
はSP-18タンパクのみの複合体;10Kおよび32Kの混合物
の複合体;あるいはSP-18またはSP-5タンパク、および3
2K混合物の複合体を含有することが確立されている。後
者の2つの場合、好ましいタンパクの比率−−すなわ
ち、32K:10K、32K:SP-18、または32K:SP-5−−は、
典型的には、3:1〜200:1の範囲にあり、好ましく
は約10:1〜5:1である。32Kタンパクは、水溶液中
のリン脂質小胞の水性懸濁液に直接添加し得る。非常に
疎水性であるため、10K混合物(あるいは、SP-5またはSP
-18タンパク)を、クロロホルムのような有機溶媒中の脂
質に添加し、溶媒を蒸発させ、そして水和させることに
より小胞が再形成される。
【0046】界面活性複合体を投与するために、32Kタ
ンパクを10K型に添加することは、相乗効果を有するよ
うである−−すなわち、32K型および10K型タンパクの組
み合わせは、10Kタンパクのみに対して必要なタンパク
濃度より低い濃度で所望の活性を有する。従って、本発
明の好ましい方法では、投与される界面活性複合体は、
有効量の10K混合物、あるいは32K ASPと混合した個々の
SP-5またはSP-18タンパクの有効量を含む。特に好まし
い組成物は、上記の比率の32K:10K型タンパクを、適当
量の脂質成分(典型的には、この組成物の50%からほぼ1
00%の範囲)と共に含む。
【0047】この複合体を含む組成物は、気管を通じた
投与に適した組成物(すなわち、一般的には、液体懸濁
液、乾燥粉末“微粒子”、またはエアロゾル)であるこ
とが好ましい。気管を通じた直接の投与に対して、この
複合体は適当な賦形剤(例えば、水、食塩水、デキスト
ロース、またはグリセリンなど)と共に液体中に懸濁す
る。この組成物は、pH緩衝剤(例えば、酢酸ナトリウム
またはリン酸ナトリウムのような非毒性の補助物質を少
量含有し得る。“微粒子"を調製するためには、この複
合体(必要に応じて、上記のように混合される)を凍結乾
燥し、乾燥粉末として回収する。
【0048】エアロゾル投与に用いる場合、この複合体
は、付加的な界面活性剤および噴射剤と共に微細に粉砕
された形で供給される。投与され得る典型的な界面活性
剤は、脂肪酸およびエステルである。しかしながら、こ
の場合、界面活性複合体の他の成分(すなわち、DPPCお
よびPG)を利用することが好ましい。有用な噴射剤は、
典型的には周囲条件下で気体であり、加圧下で凝縮す
る。低級アルカンおよびフッ素化アルカン(例えば、フ
レオン)が用いられ得る。エアロゾルは適当な弁を装備
した容器に詰められ、従って成分は放出されるまで加圧
下で保持され得る。
【0049】界面活性複合体は、適当な投薬形態とし
て、気管内挿入管によって、エアロゾル投与によって、
あるいは吸入されるガス中へ懸濁液または微粒子を噴霧
化することによって投与される。体重1kgあたり約0.1m
gと200mgとの間、好ましくは、50〜60mgの量の複合体を
1回の用量として投与する。新生児に使用する場合に
は、一般に1回の投与で充分である。成人の場合には、
欠乏状態であることが示されているレベルから回復する
のに充分な再構成複合体を投与する(Hallman,M.ら、J.C
linical Investigation(1982)70:673-682)。
【0050】C.標準的な方法 細胞の形質転換、ベクターの構築、mRNAの抽出、cDNAラ
イブラリーの調製などに用いられる技術のほとんどは、
当該分野で広く実施されており、ほとんどの当業者は、
特定の条件および手順が記述された標準的な資料を熟知
している。これらの方法は、WO86/03408に詳細に記述さ
れている。
【0051】前出願において記述したように、発現は様
々な宿主系で達成され得る。このような宿主系には、特
に、哺乳類系および細菌系、そして酵母を基礎とする系
が含まれる。さらに、当該分野では他の細胞系が利用さ
れるようになってきている。例えば、タンパクをコード
する遺伝子を昆虫細胞内で発現させるのに用いるバキュ
ロウイルスベクターである。以下に述べる発現系は、例
証的なものであり、当業者には様々な発現系が用いられ
得ることが理解される。
【0052】
【実施例】
D.1.哺乳類のASPタンパクの単離 イヌ、ヒト、およびウシのASPタンパクを、精製された
形で得た。
【0053】D.1.a.イヌの界面活性複合体の単離 放血したイヌから得たイヌの肺から、肺の界面活性複合
体を調製した。洗浄を含めたすべての操作は4℃で行
い、単離した物質は−15℃で保存した。
【0054】肺を脱気し、1回の洗浄あたり5mM Tris-
HCl、100mM NaCl、pH7.4の緩衝液1lを用いて3回洗浄
した。この緩衝液のCa2+濃度は、5×10-6M以下であっ
た(Radiometer F2112 Ca;Radiometer A/S、Copenhage
n、Denmark)。プールした肺洗浄液を細胞物質を除去す
るために150×gavで15分間遠心した(Sorval RC2-B)。次
いで、上清を15型ローター(Beckman Instruments)を用
いて20,000×gavで15時間遠心(Beckman L3-40)し、得ら
れたペレットを1.64M臭化ナトリウムを含有する緩衝液
に分散した。1時間平衡化した後、この懸濁液を、SW28
ローター(Beckman Instruments)を用いて100,000×gav
で4時間(Beckman L5-50B)遠心分離した。その薄膜を緩
衝液で再懸濁し、100,000×gavで1時間遠心(Beckman L
5-50B)した。複合体を含むこのペレットを、2回蒸留し
た蒸留水に再懸濁した。
【0055】ペレットを10〜15mgリン脂質/mlの濃度で
水に再懸濁して50倍容量のn−ブタノールに注入し(Sig
rist,H.ら、Biochem Biophys Res Commun(1977)74:178-
184)、室温で1時間攪拌した。これを10,000×gavで20
分間遠心(Sorval RC2-B)した後、以下に述べるように、
32K ASPを含有するペレットをさらに精製するために回
収する。上清は単相であり、脂質および低分子量のタン
パクを含有する。脂質を得るために、上清を40℃の真空
下にて乾燥させ、脂質を抽出した(Folch,J.ら、J Biol
Chem(1957)226:497-509)。
【0056】疎水性タンパクを得るために、上清をRoto
vapにかけてブタノールを除去し、エタノールの添加に
続いてRotovapにかけ、さらに乾燥させた。乾燥残留物
を、0.1N HClを含有する再蒸留したクロロホルムに懸濁
し、不溶性物質を遠心分離により除去した。
【0057】得られた溶液をLH-20カラム(Pharmacia)で
クロマトグラフし、クロロホルムで展開した(LH-20はセ
ファデックスG-50のヒドロキシプロピル誘導体である;
該LH-20は有機溶媒に対して不活性な疎水性ゲルであ
る)。タンパクは排除され;脂質/リン脂質は、内部容積
部分から溶出される。
【0058】タンパクを、窒素下でクロロホルムを蒸発
させることにより排除容積画分から回収し、次いで、ポ
リアクリルアミドゲルでサイズ分画した。この分画を非
還元条件下で行ったところ、約18kd(WO86/03408では16.
5kdと同定)、8kd(WO86/03408では12kdと同定)、および
5kd(WO86/03408では6kdと同定)のバンドが得られた;
還元条件下では、5〜12kdの幅の広い単一バンドが認め
られた。
【0059】非還元性ゲルから得た18kd、8kd、および
5kdのバンドをエドマン分解法によりN−末端分析し、
以下の配列を得た: 18kd:?-Pro-Ile-Pro-Leu-Pro-Tyr-Cys-Trp-Leu-Cys-Ar
g-Thr-Leu-Ile-Lys-Arg-Ile-Gln-Ala-Met-Ile-Pro-Lys-
Gly-Val-Leu-Ala-Val-Thr-?-Gly-Gln- 8kd:Ile-Pro-Cys-Phe-Pro-Ser-Ser-Leu-Lys-Arg-Leu-
Leu-Ile-Ile-Val-Trp- 5kd:Ile-Pro-Cys-Phe-Pro-Ser-Ser-Leu-Lys-Arg-Leu-
Leu-Ile-Ile-Val-Trp- 5〜12kdのバンドは、18kd、8kd、および5kdタンパク
の混合物であることも示し、ここでタンパクの“10K"混
合物と命名する。
【0060】WO86/03408(前出)に述べられているよう
に、精製された32Kアポタンパクを得るために、上記の
n−ブタノール抽出で得られた沈澱物を用いた。
【0061】D.1.b.ヒトのASPの単離 ヒトの32Kおよび低分子量ASPを、PCT国際公開第WO86/03
408号公報に記載の方法に従って調製した。
【0062】単離された低分子量の疎水性タンパクは、
非還元条件下でポリアクリルアミドゲル電気泳動を行う
と、18kd、8kd、および5kdに相当するバンドを示す。
還元条件下では、5〜12kdに相当する幅の広い単一バン
ドが得られる。これらのバンドの分子量は、公開公報で
報告されている分子量とはわずかに異なる。
【0063】D.1.c.ウシのASPの単離 5kdおよび18kdタンパクを含有するウシの10KASPを、イ
ヌのASPについて用いたのと同様の方法で、ウシの肺洗
浄液から単離した。
【0064】切除されたウシの肺を、トリス緩衝食塩水
で満たし、この液を吸引により肺から取り出した。この
洗浄液を200×gで10分間遠心して上清を回収し、8〜9
000×gで20分間遠心した。次いで、「界面活性体」ペ
レットを界面活性体の浮遊密度よりも大きな密度を有す
る0.8Mスクロースに懸濁し、約100,000×gで3時間遠
心分離した。浮遊している界面活性体を水に懸濁し、約
9〜10,000×gで20分間遠沈してスクロースを除去し
た。
【0065】リン脂質に富む界面活性体を、まず2容量
%まで水性の界面活性体を加えた98%n−ブタノールで
抽出した。この単一層での抽出は、5kdおよび18kdのタ
ンパク、および脂質を可溶化すると同時に、その他のタ
ンパクの沈澱を引き起こす。このタンパクは9〜10,000
×gで遠心分離することにより除去した。次いで、5kd
および18kdタンパクから脂質を分離するために、このブ
タノール溶液をLH-20ゲル透過カラム(Pharmacia)でクロ
マトグラフを行った。所望のタンパクのピークを、LH-6
0で再びクロマトグラフを行い、5kdタンパクから18kd
タンパクを分離した。両方のカラムとも、0.5%0.1N HC
Lを含有するクロロホルム:メタノール(2:1、V:
V)で溶出する。
【0066】精製した5kdおよび/または18kdタンパク
を単独で、または組み合わせて(1:1)、効果的な界面
活性体を得るために合成リン脂質と種々の重量比で混合
した。
【0067】D.2.イヌの10K ASPタンパクをコード
するcDNA イヌの成体の肺組織から抽出したメッセンジャーRNA
を、WO86/03408(前出)に記載されているようなpBR322で
のGCテイリングを用いたDNAライブラリー調製のために
使用した。
【0068】SP-18タンパク:コドン選択のための哺乳
類コドン選択表を用いて、18kdタンパクのN−末端の配
列に対応する2つのオリゴマープローブを合成した。プ
ローブ1198は36塩基からなる配列5'-GGTCACAGCCAGGCCCT
TGGGGATCATGGCCTGGAT-3';プローブ1199は45塩基からな
る配列5'-CTTGATCAGGGTTCTGCACAGCCAGCAGTAGGGCAGGGGGA
TGGG-3'であった。両者はともに、リン酸化により32Pで
標識した。
【0069】ハイブリダイゼーションのために、フィル
ターを真空下80℃で2時間加熱し、次いで0.1%SDSを含
有する大容量の3×SSC中で68℃、4時間振盪しながら
洗浄した。このフィルターを、6×SSC、5×デンハート
(Denhardt's)、20%ホルムアミド、0.1%SDS、および剪
断し、変性させたサケ精子のDNA100μg/mlで数時間プレ
ハイブリダイズさせた。複製フィルターを、13ng/mlの
プローブ1198または16ng/mlのプローブ1199のいずれか
を含有する上記の緩衝液中で、初期温度が68℃、その後
42℃で一晩ハイブリダイズさせた。このフィルターを、
6×SSC、0.1%SDS、0.05%ピロリン酸ナトリウム中、
室温で15分間2回洗浄し、次いで同様の緩衝液中、65℃
で5分間洗浄し、その後乾燥させ、オートラジオグラフ
ィーを行った。
【0070】スクリーニングした40,000クローンのうち
8クローンが両プローブにハイブリダイズし、該ハイブ
リダイズしたクローンの制限分析を行った。組み合わせ
ると、全長が1520ヌクレオチドになる2つの重複したク
ローンが配列決定された。結果は図1に示した。これら
2つのクローンを、pD10K-1およびpD10K-4と命名し、図
1に示す。矢印は、成熟18kdタンパクの開始点を示して
いる。
【0071】SP-5タンパクをコードするcDNA:ヒトの5
kd肺界面活性タンパクの推定配列に相当するオリゴマー
のプローブを合成した。イヌの肺のcDNAライブラリーを
上記のように作成し、スクリーニングを行った。単離さ
れたcDNAは、約800bpであった。これはcDNAの全長では
なかった。というのは、ノーザン分析ではクローンの全
長は約1.1kdであることが示されたからである。cDNAク
ローンは、イヌの5kdまたは8kd成熟タンパクのN−末
端の約30アミノ酸残基上流から始まっていた。可能性の
ある切断部位(Gln-Gln)は、約5kdのタンパクを与え
る。
【0072】D.3.ヒトのASP DNA バクテリオファージシャロン28にクローン化したヒトの
ゲノムライブラリー(Rimm.D.L.ら、Gene(1980)12:301-3
10)を、ハーバード大学のDr.T.Maniatisから入手した。
約1.5×106のファージをE.coli K803で増殖させ、Bento
n,W.D.ら、Science(1977)196:180-182に記述されている
ように、プラーク溶解産物をニトロセルロースフィルタ
ーに移した。ヒトの32kdタンパクをコードしているゲノ
ムクローンgHS-15の単離、およびこの遺伝子の発現はす
でに記述している。
【0073】さらに、ヒトの肺由来のcDNAライブラリー
を、GCテイリングまたはλgtのいずれかにより、前に記
述したように調製した。32kdのヒトASPタンパクをコー
ドするcDNAの回収も、WO86/03408に記述した。
【0074】ここで図14に開示されているのは、ここ
でλgt10におけるヒト肺のライブラリーから得られ、pH
S10-5およびpHS-10-4と命名された、cDNAクローンによ
りコードされるアミノ酸配列である。これらのタンパク
は、WO86/03408に記載の回収されたゲノムクローンによ
りコードされているタンパクとは、それぞれ1つおよび
7つのアミノ酸が異なっている。このゲノムクローンに
よりコードされているタンパク配列も、図14に示す。
6Aおよび1Aで示される図14の残りの配列は、他で
得られたcDNAがコードする付加的な変異である。ヒトの
32K ASPタンパクは、同義遺伝子によりコードされ得る
と考えられる。
【0075】SP-18の回収:公開公報に記載されている
ように、λgt10中のcDNAライブラリーを、ニトロセルロ
ースフィルター上で上記1×106cpmのイヌのクローンpD
10K-1(図1に示す)を用いて37℃で16時間スクリーニン
グした。これは、40%ホルムアミド、5×SSC、0.05%S
DS、5×デンハート、50μg/ml酵母tRNAおよび50μg/ml
サケ精子のDNAで行った(pD10K-4断片、または全長のpD1
0K-1およびpD10K-4クローンの組み合わせも同様に用い
られ得る)。フィルターを、2×SSC、0.1%SDS中、50℃
で30分間2回洗浄し、乾燥させ、オートラジオグラフィ
ーを行った。40,000個のプラークのうち2個が陽性であ
り、cDNA#3と命名した1.5kd挿入断片を有する1つを配
列決定のために選択した。SP18タンパクおよびその前駆
体に対する完全なヌクレオチドおよび推定されるアミノ
酸配列を図2に示す。図に示されるように、成熟SP18タ
ンパクは、201番目のPheをコードする614番目のヌクレ
オチドから始まっている。プロセッシングを受けたタン
パクのカルボキシ末端は、286番目のアルニギンである
と考えられる。1.5kdの挿入断片を切り出し、EcoRIで切
断したPUC8にサブクローニングし、E.coli K-12 MC1061
株中のph18K-3と命名されたこのプラスミドを、America
n Type Culture CollectionにATCC受託番号67276で寄託
した。
【0076】ph18K-3cDNA挿入断片は、ヒトのゲノムラ
イブラリー(前出)のSP18タンパクおよびその前駆体をコ
ードする遺伝子をスクリーニングするのに用いた。回収
された遺伝子のエキソンをコードする配列を図3に示
す。Phe-201の成熟アミノ末端は、3866番目のヌクレオ
チドである;ゲノムヌクレオチド配列の番号付けは、ラ
ムダクローンから配列決定された7332bpの最初の残基か
ら始まっている。
【0077】ゲノムおよびcDNAのコード配列はヌクレオ
チドが1つ異なっており、その結果、前駆体のアミノ酸
配列の1残基が1つ異なる;すなわち、cDNAのIle-131
が、ゲノムクローンではThr-131となっている。このよ
うに、前駆体をコードするゲノムクローンはN−結合グ
リコシル化に対する2つの共通部位(Asn-129:Thr-131お
よびAsn-331:Ser-313)を有しており、cDNAのコード配列
は、後者のグリコシル化部位のみを有している。ゲノム
配列をコードするcDNAクローンも、ライブラリーに存在
すると予想される。
【0078】SP-5の回収:SP5タンパクについて、6個
のオリゴヌクレオチドからなるヌクレオチド混合物をプ
ールした(図4)。
【0079】これらのヌクレオチドは、イヌの8kdおよ
び5kdタンパクのN−末端アミノ酸配列に対して作られ
たものである。上記のように調製されたλgt10中のヒト
肺のcDNAライブラリーをスクリーニングし、SP5タンパ
クをコードする8個のcDNAを得た。成熟SP-5タンパクの
推定N−末端から約19残基上流から始まっているcDNAク
ローンは、820bpを有していた。これをラムダファージ
中に挿入してλh6k-3と命名し、American Type Culture
CollectionにATCC受託番号40294で寄託した。
【0080】代表的なcDNAクローンである番号18および
19を、図5および図6に示す。cDNA#18は、12残基のポ
リ(A)を含む826bpという最も長い挿入断片を有する;し
かしながら、ノザンブロット分析からは、SP-5タンパク
をコードするmRNAは1〜1.1kdの長さである。cDNA#18お
よび19は、cDNA#19配列の下線を施してある4つのヌク
レオチドが異なり、その結果、2個のアミノ酸が異な
る;#18のAsn-138は#19ではThr-138であり、#18のAsn-1
86は#19ではSer-186である。
【0081】ヒトの5kdおよび8kdタンパクには2つの
N−末端アミノ酸残基が見られ、これらは図5および図
6のPhe-24とGly-25とに相当する。5kdおよび8kdタン
パクのカルボキシ末端は、正確には決定されていない;
8kdタンパクはGln-108で終わるのに対し、5kdタンパ
クはGln-80またはThr-65で終わると仮定される。
【0082】(pBR322におけるイヌ肺のライブラリー
を、本質的に上記のように調製し、ヒトの820bpクロー
ンを用いてスクリーニングを行った。単離されたcDNA--
pD6K-11と命名--は約800bp(図13を参照)であり、cDNA
の全長ではなかった。クローンは、イヌの成熟SP-5タン
パクのN−末端の上流約30アミノ酸残基から始まってお
り、可能性のあるGln-Gln切断部位を有していた。) D.4.哺乳類の発現ベクターの構築 種々のASPをコードする配列の哺乳類細胞内での発現に
適し、イントロンを有するDNAをプロセッシングするこ
とも可能なベクターを構築した。発現は、Karin,M.ら、
Nature(1982)229:797-802に記述されているように、メ
タロチオネインII(metallothionein;hMT II)制御配列
によって制御する。
【0083】中間宿主ベクターであるpMTは、以下のよ
うにプロモーターをpUC8に連結することによって得た:
hMTII遺伝子を有するプラスミド84H(Karin,M.ら(前出))
をBamHIで完全に消化し、末端のヌクレオチドを除去す
るためにエキソヌクレアーゼBal-31で処理し、次いで、
hMTII遺伝子の−765から+70のヌクレオチド(+1のヌ
クレオチドとは、転写されるヌクレオチドの1番目のこ
とである)を含有する840bpの断片を遊離させるためにHi
ndIIIで消化した。840bp断片を単離し、HindIII/HincI
Iで消化したpUC8に連結し(Vieira,J.ら、Gene(1982)1
9:259-268)、この連結した混合物でE.coli MC1061を形
質転換した。pMTの正しい構造は、ジデオキシヌクレオ
チド配列決定法により確認した。
【0084】さらに、C−末端制御シグナルを有するpM
Tの誘導体であるpMT-Apoも調製した。pMT-Apoはヒト肝
臓のタンパクapoAI遺伝子の一部を有しており(Shoulder
s,C.C.ら、Nucleic Acids Res(1983)11:2827-2837)、
3'末端制御シグナルを有するapoAI遺伝子のPstI/PstI
2.2kb断片(平滑末端)をpMTポリリンカー領域のSmaI部位
にクローン化し、apoAI遺伝子の大部分をBamHIで消化す
ることによって取り出し、クレノーで平滑末端とし、St
uIで消化し、そして再結合させた。得られたベクターは
ジデオキシ配列分析で確認すると、3'末端からおよそ50
0bpのapoAI遺伝子を有する。
【0085】さらに、SV40ウイルスのエンハンサーを有
する発現ベクターを、HindIIIで切断したHindIII部位に
1100bpのSV40 DNA断片を挿入することにより構築した。
1100bpのSV40 DNA断片は、ゲル電気泳動により単離し、
HindIII消化し、CIP処理したpMTに連結した。得られた
ベクターはpMT-SV(9)およびpMT-SV(10)と命名され、MT
−IIプロモーターが先行し、反対方向でこの断片を含
む。pMT-SV(9)では、エンハンサーは5'mRNA開始部位か
ら約1600bpである;逆方向のSV(10)では、エンハンサー
は5'mRNA開始部位から約980bpである。どちらの方向で
も作動可能であるが、エンハンサー配列が開始部位に近
い方向がより高いレベルの発現を与える。
【0086】所望の宿主ベクターpMTApo10を得るため
に、pMT-Apo(上記)を消化することにより得られた500bp
のapoAI断片を単離し、この単離体を、EcoRI/BamHIで消
化したpMT-SV(10)に連結して、この断片をpMT-SV(10)へ
挿入した。
【0087】この宿主ベクターをBamHIで消化し、平滑
末端とし、SP-18前駆体をコードする1275bpのクローン#
3から得られたcDNA配列に連結させた。このクローン#3
は図2で平滑末端断片として示す。これは、663番目の
ヌクレオチドのBamHI部位を避けた形でcDNA#3(図2)か
らEcoRI/BamHI(部分)断片を単離し、EcoTI/BamHI pUC9
へサブクローニングすることによって行われ、所望の断
片は、EcoRIおよびHindIIIで切り出し、クレノーで平滑
末端とし、次いでpMTApo10へ挿入した。得られたベクタ
ーpMT(E):SP18-40Kで、以下に述べるようにCHO細胞を
形質転換した。
【0088】同様の方法で、図5および図6のSP-5クロ
ーンの平滑末端としたEcoRI挿入断片をBamHIで消化した
pMTApo10へ導入し、pMT(E):SP-5ベクターを得て、CHO
細胞を形質転換した。
【0089】D.5.哺乳類細胞での発現 チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)-K1細胞を、10%ウ
シ胎児血清を含有するコーン(Coon)のF12培地およびDM
E21培地の1:1の混合物からなる培地で増殖させた。
コンピテント細胞を、対象とするベクターおよびpSV2:N
EOで同時に形質転換した(Southern,P.ら、J Mol Appl G
enet(1982)1:327-341)。pSV2:NEOは、ネオマイシン類
似物であるG418に対する耐性を与える機能遺伝子を有す
る。典型的な形質転換では、pSV2-NEO 0.5μgおよび発
現ベクターDNA5μgかそれ以上を100mmディッシュの細
胞に添加した。Wigler,M.ら、Cell(1979)16:777-785の
プロトコルに従ったリン酸カルシウム−DNA共沈法を、D
NAに4時間接触させた後に15%グリセロールを含有する
PBSでの2分間“ショック”を包含する方法とともに用
いた。
【0090】簡単に述べると、細胞を1/10にまとめて接
種し、一晩培養し、PBSで2回洗浄し、そして15分間CaP
O4・DNA共沈物を含むヘペス(Hepes)緩衝生理食塩水に移
し、次いで10mlの培地で培養した。この培地を吸引で除
去し、15%グリセロールを含有するPBS中に1.5〜3分間
置いた。ショックを与えた細胞を洗浄し、培養培地で培
養した。MT-IIで制御された発現の誘導まで、培地に10
%FBSを含有するF12/DMEM211:1を含有させる。1日
の後、G418耐性コロニーをプールするために細胞を1mg
/mlのG418に接触させた。うまく形質転換され、しかも
所望のプラスミドを安定に保持する形質転換体を、次い
で、単離クローン精製のために低密度でプレートした。
【0091】形質転換体を、所望のタンパクの生産性に
ついて、最初にプールを、次いで複数ウェルのプレート
の単離クローンを分析した。プレート分析のレベルは、
ウェルのサイズに多少依存する。例えば、24ウェルのプ
レートでの結果を96ウェルのプレートでの結果と直接に
は比較できない。プレート分析により充分なレベルでタ
ンパクを産生することが認められたクローンは、次いで
ローラボトル中で行う生産工程で培養することが可能で
ある。典型的には、スケールアップした場合には生産レ
ベルがより高くなる。しかし、プレート分析とローラボ
トルとでは結果に確かな相関性はない。すなわち、プレ
ート分析では最高の生産を行う培養物が、スケールアッ
プ後では必ずしも最高ではない。この理由のため、典型
的には100〜200、またはそれ以上の個々のクローンをプ
レート上でのスクリーニング法で分析し、最も生産した
もの5〜10を生産条件下(回転瓶)で分析する。
【0092】プールした形質転換細胞を複数ウェルのプ
レートで培養し、次いで、ASPの産生を誘導するため
に、5×10-5〜1×10-4の濃度の亜鉛イオンに接触させ
る。
【0093】10%FBSを含有するマッコイ(McCoy's)の5A
培地で培養した個々の細胞系の半集密的な単層を、リン
酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、10%FBS、1×10-4
化亜鉛、および0.25mMアスコルビン酸ナトリウムを含有
するマッコイの培地で再び培養した(アスコルビン酸は
プロリン残基の水酸化を仲介するのに有用である)。そ
の後24時間誘導した細胞をPBSで洗浄し、塩化亜鉛およ
びアスコルビン酸を含有する無血清のマッコイの培地で
再び培養した。12時間後、馴下培地を集めた。
【0094】プールした形質転換細胞を上記ZnCl2で誘
導し、35S-メチオニンで標識した。標識を12時間行った
後、培養培地を上記のように集め、ヒトのSP-18ASPに対
する抗血清免疫沈降を行った。次いで試料を15%ゲルの
SDS PAGEにかけ、図7Aおよび図7Bに示す結果を得
た。
【0095】図7Aにおいて、レーンMは分子量の標準
物質を示しており、レーンAは形質転換しなかったCHO
細胞由来の免疫沈降したタンパクを示し、そしてレーン
BはプールしたpMT(E):SP18-40K形質転換体由来の免疫
沈降したタンパクを示す。図7Bでは、プールした形質
転換体由来の免疫沈降したタンパクをエンドグリコシダ
ーゼFで1時間分解し、図7Aと同様に電気泳動を行っ
た。レーンAは処理なしのコントロールであり、レーン
Bは分解した試料である。
【0096】図7Aに示すように、43kdおよび25kdの前
駆体タンパクが形質転換した細胞により産生される;図
7Aに示されるより小さな分子量のタンパクは、再現性
がない。図7Bの結果は43kdの前駆体がグリコシル化さ
れていることを示している。グリコシル化されていない
免疫沈降したタンパクのサイズは、全体サイズである前
駆体について予測されたサイズである。
【0097】上記の誘導されたもののプールにより産生
される非放射性のタンパクを、長さを決定した前駆体の
ペプチドの残基336〜353に対する抗血清を用いてウェス
タンブロットを行った。25kdの生産物は、N−結合した
グリコシル化部位を有する、長さを決定したPhe201-Leu
-381の181個のアミノ酸配列を示すと考えられる。
【0098】D.6.付加的ベクター 明らかにCHO細胞において完全な長さの配列から産生さ
れた前駆体タンパクの、インビトロでの切断部位を提供
するために、標準的な部位特異性の変異法を用いて類似
ベクターを構築した。このようなある1つの構築体で
は、(AsnとGlyとの間で切断される)ヒドロキシルアミン
による切断可能な部位を提供するために381個のアミノ
酸の前駆体を修飾し、Gln-199:Gln-200およびArg-286:S
er-287をAsn:Glnに置き換えた。このように、ヒドロキ
シルアミンで生じた前駆体の切断は、アミノ末端に付加
されたGly残基およびAsn残基に換えられた推定のカルボ
キシ末端のArg-286を有する推定成熟型を生じる。
【0099】他の構築体では、Phe-201およびSer-287を
Asp残基に換える。酸を用いた切断(AspとProの間)によ
って、N−末端のPhe-201を欠失し、カルボキシ末端に
付加されたAsp残基を有するSP-18タンパクの成熟型が生
じる。
【0100】付加的構築体を、Glu残基の後を切断するS
taph V8ペプチダーゼを用いるより温和な酵素的手段で
前駆体のインビトロでのプロセッシングを行う。Glu-25
1をAspに変えると、Glu-198およびGlu-291の本来のGlu
残基が有利である。43kdの前駆体は、Staph V8で切断さ
れ、アミノ末端に付加されたGln-Glnおよびカルボキシ
末端にPro-Thr-Gly-Gluを有する推定の成熟SP-18タンパ
クを生じる。付加された構築体では、Glu残基を200番目
および/または287番目の位置に置くことが可能であ
る。
【0101】D.7.細菌での発現 SP-18タンパクの非グリコシル化型を、メチオニンが先
行する残基201〜381に相当する181個のアミノ酸前駆体
として、または15残基のβ−ガラクトシターゼの先行部
分を有するヒドロキシルアミンで切断可能な融合タンパ
ク前駆体として、細菌中で生産し得る。ATGが先行するc
DNAのアミノ酸201〜381をコードする修飾されたcDNA
を、Trp制御ベクターであるpTrp-233(pTrp宿主ベクタ
ー)のEcoRI部位とHindIII部位との間に挿入し、pTrp-20
を作成する。この構築物は分子量20kdのタンパクを産生
する。pBGal宿主ベクター中の類似構築体であるpBGal-2
0は、ヒドロキシルアミン感受性Asn-Gly重複を介して15
残基のβ−ガラクトシターゼの先行部分と融合したSP18
cDNA#3とおなじ配列を有し、MW=22kdの融合タンパク
を産生する。この構築の詳細は以下のD.11で述べる。
【0102】pTrp-20kおよびpBGal-20kプラスミドを用
いて、E.coli W3110をアンピシリン耐性に形質転換し
た。pTrp-20/W3110またはpBGal-20/W3110をM9培地(1×
M9塩類、0.4%グルコース、2mg/mlチアミン、200μg/m
l MgSO4・7H2O、0.5%カザミノ酸、100μg/mlIAA(3-βイ
ンドールアクリレート、シグマI-1625)で迅速に増殖培
養させ、Trpプロモターを誘導する。
【0103】誘導した細胞は、35Sメチオニン(100uCi
/ml)で10分間標識する前に2時間増殖させた。標識
は、非放射性の20%TCAを細胞1ml当り350μl添加する
ことにより停止させた;TCA沈澱物をアセトンで洗浄し、
SDS PAGE試料緩衝液で煮沸することにより再懸濁し、15
%ゲルでPAGEを行った。
【0104】図8にこの操作の結果を示す:レーンMは
サイズ標準物質である;レーンAはpBgal宿主ベクター/
W3110、レーンBはBgal-20/W3110、レーンCはpTrp宿主
ベクター/W3110、そしてレーンDはpTrp-20/W3110であ
る。レーンBおよびDはそれぞれ、レーンAおよびCに
は存在しない22kdおよび20kdの主な標識タンパクを示
す。
【0105】誘導した細胞の非放射性抽出物を同様の方
法で調製し、PAGEを行い、次いでアミノ酸336〜353に相
当するペプチドに対する抗血清を用いてニトロセルロー
スにウェスタンブロットし、次いで125I-タンパクAで行
った。図9において、レーンAはBgal-20/W3110、レー
ンBはpTrp宿主ベクター/W3110、そしてレーンCはpTrp
-20/W3110である。pTrp-20およびBgal-20は、明らかに
推定分子量の免疫特異的タンパクを示す。
【0106】前述のような、細菌内における発現のため
の切断部位を与える修飾されたSP-18タンパク配列をコ
ードするベクターも、以下のように調製した。pTrp-20
において、Arg-286 Ser-287をコードするコドンをAsn-G
lyをコードするように換えた;ヒドロキシルアミン感受
性切断部位を導入する、または酸感受性のAsp-Pro切断
部位をつくるようにSer-287のコドンをAspのコドンに置
換した;または所望のタンパクを切断することなしにSta
ph V8を用いてGlu-291で切断するように、Glu-251のコ
ドンをAspのコドンで置換した。または、pTrp-20および
pBgal-20の両方において、推定のカルボキシ末端Arg-28
6までの3'配列を削除し、停止コドンで置換した。どち
らの構築体も、誘導後に適切な大きさの標識タンパクを
産生しなかった。
【0107】pTrp-20の類似物である、SP-5“前駆体"の
ATGが先行するGly-25からカルボキシ末端のIle-197まで
及ぶcDNA#18(図5)の所望の断片を、EcoRI/HindIII切断
したpTrp-233に挿入したpTrp-5を作製し、そしてpBgal
宿主ベクター中に挿入してpBgal-5を作製した。ここ
で、SP-5配列はヒドロキシルアミン感受性Asn-Glyを通
してβ−ガラクトシダーゼの先行部分に融合している。
【0108】また、もし推定のC−末端が正しいなら
ば、この構築体から予想されるタンパクのPhe-24上流の
GluおよびGlu-66での、Staph V8による切断で成熟5kd
のタンパクが生じる。
【0109】これらの構築体はE.coli W3110を形質転換
し、前述のように発現された。
【0110】D.8.32Kタンパクの精製 32Kタンパクは、循環性のマンノース結合タンパクと強
いアミノ酸相同性を持ち、そしてまた、他のレクチンの
糖結合ドメインに共通の残基を有する。糖の認識は、界
面活性物質の代謝の制御において、または肺胞の免疫性
のような他の機能において、36kd ASPタンパクおよび他
の32Kタンパクの重要な性質であり得ると考えられてい
る。糖アフィニティークロマトグラフィーを用いてそれ
らのタンパクを精製するために、該タンパクのマンノー
ス親和性を利用することが可能である。クロマトグラフ
ィーでの精製は、マンノース残基を高い割合で有する固
定化糖タンパク(例えば、酵母マンナンまたはインベル
ターゼ)を用いて、もしくはアガロースに結合したマン
ノースで直接調製したカラムを用いて行われ得る。
【0111】肺洗浄液から単離された36kdタンパクは、
1mM Ca2+の存在下で、固定化単糖と広い範囲の特異性
をもって結合することが見い出された。この好適な実施
態様による精製工程は次のように行われた。2.5mM CaCl
2を含む(典型的には8〜16lの)細胞培養液を直接、60ml
のマンノース−アガロースカラム(セレクチン−10、Pie
rce Chemical)に、約240ml/hrの速度で、かけた。カラ
ムを5mMトリス、1mMCaCl2および25mM NaClを含む溶液
(pH7.5)(好ましくはカラム体積の10倍)で洗浄する。結
合したタンパクは、カルシウムイオン存在下で2mM EDT
Aまたはパプテン糖で溶出することにより、定量的に回
収される。好ましい手法は次のとおりである。まず、10
0mMのホウ酸ナトリウムを含むpH10.0の溶液をカラム体
積の2〜3倍容量使用して溶出させる。4回これを行っ
た後、カラムを4M尿素で洗浄し、PBSまたは2%ベンジ
ルアルコールで再平衡化する。
【0112】次の表1に述べたデータは、カルシウムイ
オンの存在下で結合した回収タンパクの割合(%)を示
す。この値は、2〜7回の実験の平均を示している。Ca
2+の結合の閾値濃度は、0.6mMであり、1mM Ca2+で最大
の結合が起こった。Ba2+、Sr2+およびMn2+はCa2+の代替
となり得る。36kdタンパクは、pH5.0で糖と結合するの
が認められたが、結合活性は、加熱処理またはジスルフ
ィド結合の減少によって失われた。
【0113】
【表1】
【0114】32kdタンパクの精製に適切な他のカラム
は、次のものを包含する:(1)ジビニルスルホンによりマ
ンノースをセファロース6B(ファルマシア)に結合させる
ことにより調製されるマンノース−セファロース(例え
ば、Fornstedt,N.およびPorath,J.(1975)FEBS Lett.5
7、187〜191参照);(2)CNBr法を用いてインベクターゼを
セファロース6Bに結合させることによって調製されるイ
ンベルターゼ−セファロース(例えばPorath,J.(1974)Me
thods Enzymol.34 13〜30参照);(3)ガラクトース−セフ
ァロース;および(4)これらの組み合わせ。周知のよう
に、このようなカラムには、糖と樹脂との種々の組み合
わせが包含され、そして、実質的に完全に不純物を除去
した後に使用され得る。
【0115】D.9.ASP成分の活性 単離されたASP成分が、気相/水相界面における脂質薄膜
の形成を増大させる能力を、Hagwood,S.ら、Biochemist
ry(1985)24:184〜190に記載された方法を用いてインビ
トロで分析した。簡単に述べれば、適当な割合で試験す
べきタンパクを含有するリン脂質小胞の調製物を、水性
緩衝液、マグネティックスターラーおよびプラチナ製の
プレート(上記緩衝液表面に浮遊し、ストレインゲージ
に結合させてある)を含むテフロン皿の底に、小容量注
意深く加える。ストレインゲージ上で記録した表面張力
の変化は、攪拌を開始したときから時間経過に従って記
録される。
【0116】10Kタンパクは、該10Kタンパクを含むクロ
ロホルム溶液を、リン脂質のクロロホルム:メタノール
(2:1V/V)に混合することにより、リン脂質に加えら
れた。溶媒をエバポレートし、そして固形物を緩衝液中
で水和し、小胞を得た。32Kタンパクは、水溶液中に直
接加えて、小胞懸濁液とし得る。そして小胞の凝集によ
る会合は、濁度測定で検出され得る。
【0117】Hagwoodらにより報告されているように(前
出)、リン脂質がイヌの肺の界面活性複合体から得たも
のであり、それがリン脂質小胞に包理されているときに
は、32KイヌASPは、リン脂質小胞を凝集させることがで
き、そして、薄膜の形成を増大させることができた。本
発明のタンパクの活性は、Hagwoodが述べているよう
に、凝集および薄膜の形成増大を測定する同様の方法を
用いることにより評価される。
【0118】前述のように調製されたイヌの肺由来のリ
ン脂質調製物(300μg)および合成リン脂質混合物の両者
が用いられた。この合成リン脂質は、市販のDPPC240μg
と卵PG60μgとを含んでいた。これは天然の脂質よりも
さらにずっと薄膜を形成しにくい。しかし、試料のリン
脂質は、タンパクの活性が最も効果的に表されるように
選択された。
【0119】32kdタンパクおよび10K ASPの混合物は、
前述のように、イヌの肺から単離された。32Kタンパク6
0μgを添加することにより、肺から得られた「天然の」
リン脂質によって薄膜形成を(ほぼ、その複合体自身が
示すのと同じレベルにまで)増大させることができる一
方、合成脂質を用いた場合には、薄膜形成は中程度に増
大するだけであった。10Kタンパク13μgを単独で添加し
た場合に同様の結果が得られた。しかし、10K調製物の1
3μgを、32Kタンパク60μgの添加に先立って、合成リン
脂質小胞と共にインキュベートしたときには、薄膜の形
成は、天然の複合体それ自身によるものに匹敵する速度
と量で起きた。これらの結果は図10に示される。
【0120】各々のヒトおよびイヌの5kdおよび18Kタ
ンパクに対する結果は、図11および図12に示され
る。図11および図12においては、3分後の表面圧力
(y軸)対タンパク濃度(x軸)がプロットされている。図1
1に示すように、達成された最大圧は40〜45mN/mであ
り、そして、5kdまたは18kdが約10μgで脂質の分離を
引き起こす。脂質100μgを全ての場合に用いたので、こ
れは、リン脂質対タンパクが10:1の比に相当する。脂
質混合物は、DPPC:PG(7:3)であったが、8:2および
9:1の比率は、結果に大きな相違を与えなかった。
【0121】図12に示されるイヌタンパクの場合は、
その結果はヒトタンパクにおける結果と同一である。図
12にはまた、組換え生産された32Kタンパクを18kdま
たは5kdタンパクに添加した場合の実験結果が示されて
いる。タンパク間の相乗作用は円で囲った点で示され
る。32kdタンパク10μgが18kdタンパクの5μgおよび7.
5μgに、そして、5kdタンパクの7.5μgおよび11μgに
添加された。
【0122】ウシの18kdおよび5kdタンパクは、イヌお
よびヒトタンパクの場合と同一の結果を与えた。
【0123】D.10.インビボにおける試験 インビボにおける試験のための標準界面活性物質(SAM)
を次のように調製した。若いウサギ成体の肺を生理食塩
水で洗浄する。健康なウサギに、3ccのペントバルビタ
ールナトリウムで耳の静脈を介して麻酔をかける。気管
を露出させ、チューブのついた3方活栓を気管に挿入し
て気道を確保する。胸を開いて、胸壁を除き、サイズ8
の供給管を有するカテーテルを肺動脈に、心臓側から挿
入する。血液循環系を50mlの通常生理食塩水でフラッシ
ュさせる一方で、60mlのシリンジを用いて気管のチュー
ブを通じて肺へ通気し、そして、次に、肺を注意深く、
気管をつけたまま取り出す。60mlの通常生理食塩水を気
管のチューブを通して肺に注入し、次に、肺を1分間ゆ
っくりマッサージし、生理食塩水を回収する。洗浄を4
回繰り返し、洗浄物をプールする。洗浄液から細胞の残
骸を、室温で2時間にわたり1000×gで遠心することに
より、除去する。このペレットを、最終濃度が10mg/ml
リン脂質となるように、0.1N生理食塩水に2Mの塩化カ
ルシウムを加えた溶液中に懸濁する。濃度は、クロロホ
ルムおよびメタノールで脂質を抽出し、脂質のリンを測
定することにより調整する。バブルテンシトメーター
(泡張力計;bubble tensitometer)では、この物質は、
迅速な吸着(時定数0.3秒またはそれ以下)、および表面
積が50%縮小した状態において0から3mN/mという最
小の表面張力を示す。拡大時の最大張力は32から35mN/
mであった。
【0124】インビボにおける試験に用いた対象物およ
び装置は次のとおりである。健康で、若く、懐妊期の雌
ウサギをミズーリのWhite Hare Rabbitoryから入手す
る。21日または22日の懐胎期にこの雌ウサギを空輸し、
そして到着時に妊娠しており、かつ健康であることを確
かめる。雌ウサギをウサギ飼育施設(1492−S)の標準的
な大きなウサギ小屋の中で飼育し、使用する前日に再検
査する。
【0125】4つの体積変動記録器を、直径2インチで
80インチ長のアクリルシリンダー〔1/2インチアクリル
チューブ(内径、0.5インチ)の3インチ長のチムニーが
取り付けられている〕により構成した。このチムニーに
は体積変動記録器内外からの流れの抵抗を小さくするの
に充分な量の綿ガーゼが充填される。チャンバーに流入
するおよびチャンバーから流出する空気の流れは、体積
変動記録器の内部と空隙との間の圧力変化の微分値を測
定することにより決定される(時定数<0.1秒)。導線
を、主シリンダーの端から、圧力変換機(ValidyneDP4
5、Validyne Engineering Company、Northridge、CA)お
よび較正用シリンジに連結する。実験を行うときには、
電気的に積分された流れ(容量)のシグナルは、しばしば
シリンジで較正する。主シリンダーの他方の端は、2イ
ンチのゴムストッパーで密閉される。このストッパーを
通じて4〜8インチの2本の金属棒が配置され、かつEC
G導線が3本引き出されている。綿シーツを、2本の金
属棒の間に配置し、実験動物をその上に載置できるよう
なつり帯を形づくった。バヨネット(Bayonet)型電極をE
CG導線に取り付ける。気管のアンギオキャスのハブが人
工呼吸装置(MarkVIII、Bird Respirator Company、Palm
Springs、CA)からのチューブに順番に取り付けられた
多岐管を通した気流に接触できるように、aNアダプター
をストッパーを介して配置する。通気道の外部のデッド
スペースは0.05から0.07mlである。通気道圧力は、Allt
ech MSDICE/1変換機(Alltech、City of Industry、CA)
の多岐管内で測定する。体積変動記録器の測定によれ
ば、0.01から1mlの容量で1分間あたり10から100の振
動数において直線が得られる。4つの体積変動記録器を
37℃に加温した1つの湯浴内に据えつける。各動物はそ
れぞれ自身の通気装置を有する。切り換え装置は気流、
容量、通気道圧力および各ウサギから連続的に送られ、
Brush記録計に記録されるECGを制御する。通常、3匹の
動物を5分毎に1分間使用しそれぞれを記録する。
【0126】採用した方法は次のとおりである。27日±
4時間の懐胎期のウサギの仔を用いた。雌ウサギに有効
量の脊髄麻酔を与えた後(1mlポントカイン)、腹部を開
き、子宮を露出させる。子宮を開く2分前に、それぞれ
の胎児に15mg/kgペントバルビタールおよび0.1mg/kgパ
ンクロニウムを腹腔内投与する。胎児の動きが止まる
と、麻酔をうけている胎児を速やかに取り出す。体重測
定の後、ほぼ同じ体重の3匹の仔を実験用に選択する。
明らかな異常を有する仔は研究対象にはしない。仔は22
から40グラムの間(平均±2SD)でなければならない。仔
が輻射熱で暖かさを保っている間に、気管に18ゲージの
アンギオキャスでカニューレを挿入する。カニューレを
挿入後、0.2mlの生理食塩水、SAMまたは試料物質(H2O浴
で37℃に保温し、含有物質の混合を均一にするために25
ゲージの針に5回通す)のいずれかを、3匹の適合した
一腹の仔の気管に入れて、流体−流体界面を形成するた
めに針のハブに肺の流体が現れるまで胸を緩やかに圧搾
する。0.45mlの空気により処理を引き続いて行う。
【0127】全ての試料物質(生理食塩水またはコント
ロールのSAMを除く)は、リン脂質を50mg/kgの割合で含
み、動物当りリン脂質10mg/mlとして0.2mlずつ投与され
る。濃度および投与量は、各々の実験において一定であ
る。動物をつり帯の上に置き、人工呼吸装置に接続され
ているアダプターにECG電極を取り付け、気管切開管を
接続する。仔を取り出してから補助的な通気を始めるま
での平均経過時間は10分であり、最大経過時間は15分で
ある。通気は0.35秒の吸気時間を用いて48呼吸/分の頻
度での酸素を用いて始める。最初の1分間では通気設定
はすべての動物に対して同じであり、それは、吸気時間
0.35秒、吸気圧のピーク40cm H2Oである。最初の1分間
の後には吸気圧を 6.5〜7.5ml/kgの周期的な容量を保
持するように調整する。動物の重量は約30gであり、こ
れは約0121mlの絶対容量に達している。気流、周期的容
量および気道圧力は、3匹の同腹の仔の各々について、
5分毎に記録した。動物に対して30分間通気を行った。
【0128】もし一匹でも空気漏れを生じたり、他の原
因で死亡したりした場合には、一組のすべての動物から
のデータは採用しない。
【0129】30分間の通気の後に気管チューブをストッ
プコックで閉鎖し、10分間肺からガスを除く。次に、空
気が満たされた各々のアンギオキャスを、水平に載置さ
れた測定長5mmのプラスチックチューブ(肺の端部に3m
lの空気を含み、そして他端に染色した水を含む)に接続
する。これら3つのプラスチックチューブの流体−流体
端を、染色水を有する単一の貯水槽(その表面はチュー
ブと同じレベルである)に多岐管を介して接続する。こ
の貯水槽においては、チューブおよび肺での圧力の増加
に対応して50cmの水を段階的に上昇させることができ
る。圧力が増加または減少すると、肺にガスが入るか、
または肺からガスが出て、流体カラムを置換する。その
ことによりガス容量の変化が測定できる。この装置はRo
bertson,B.Lung(1980)158:57〜68に記載されている装置
に類似する。圧力を0から5、10、15、20、25、30cm H
2Oに段階的に上昇させ、各々のレベルにおいて容量変化
を記録する前に、1分間停止させる。20mm H2Oで1分
後、圧力は5cm H2Oの減少量で減少し、再び容量を記録
する前に1分間各々の圧力を維持する。各々の容量の測
定は、圧力に応じて補正する。実験中は動物を湯浴中の
丁度水面下に配置することにより、37℃に保持する。
【0130】PINS、コンプライアンス(C)そして所定の
圧力における容量(Vp)のデータを得た。PINSは本来の肺
容量を維持するのに必要な圧力であり、下方の数字は、
もちろん、効率を意味する。コンプライアンスは、いか
に容易に肺が膨張するかという指標であり、これもまた
測定され、そして高い値が望ましい。Vpはある圧力(水
の高さ(cm)で示される)での肺の容量(cm3)である。結果
は次のとおりである。
【0131】30分におけるPINSについては、結果は表2
に示される(PLはリン脂質;32KタンパクはCHO細胞で生
産されるヒト32kd ASP、10Kは、単離された未処理のヒ
トタンパクである5kd、8kdそして18kdタンパクの混合
物である)。
【0132】
【表2】
【0133】表2に示されるように、32Kだけでは最も
効果が少ない。これに対し、10K混合物または5kdまた
は8kdタンパク単独の場合においては、ある程度効果的
である。しかし、10K混合物に対する32Kタンパクの添加
は効果を強める。
【0134】コンプライアンスについても、表3には同
様の結果が示される。
【0135】
【表3】
【0136】ここにおいても、10K混合物、または18kd
および5kdタンパクは良好な活性を示し、そして32Kは
かなり低い効果しか示さず、32Kタンパクの添加は10K混
合物の活性を非常に増強する。
【0137】表4および5はそれぞれV30およびV5(水
の高さ30cmおよび5cm)を示す。
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】これらの結果もまた、上記表に示すPINS
よびコンプライアンスについて得られた結果と同様の傾
向を示す。対応するウシタンパクで得られた結果も同様
である。
【0141】D.11.宿主ベクター pTrp233はpKK233-2から調製される。これはAmann,E.
ら、Gene(1985)40:183-190に詳細に記載されており、pK
K233-2のtacプロモーターを図15に示すヌクレオチド
配列の合成trpプロモーターで置き換えることにより調
製される。最初のプラスミドのNdeI部位は、NdeIでpKK2
33-2を切断しクレノーで平滑末端化し、そして再連結さ
せることにより除去される。NdeI部位を欠く生成物は、
次に、EcoRIとPstIで分解され、そして、図15の合成t
rpプロモーターのEcoRI/PstI分解物に連結され、所望
のベクターであるpTrp233が得られる。
【0142】pBGal宿主ベクターを調製するために、pTr
p233をEcoRIで分解し、ゲルで精製し、クレノーで平滑
末端化した。そのプラスミドを再連結し、E.coli中で増
殖させ、EcoRI部位を欠いた対応するプラスミドを得
た。β−ガラクトシダーゼのアミノ末端をコードし、6
つのスレオニン残基がそれに続く合成オリゴヌクレオチ
ド配列(下記)を、NdeI/HindIIIで分解した中間体プラス
ミドに連結し、そして挿入断片(pBGal宿主ベクター)
を有するプラスミドを、EcoRI切断に対する感受性によ
り同定した:
【0143】
【化17】
【0144】pTrp-20を構築するために、SP-18cDNA#3の
一部および合成断片をNdeI/HindIIで分解したpTrp233に
連結させた。上記のpUC-9に連結されたSP-18断片をPstI
(ヌクレオチド694で切断)とHindIII(プラスミドポリリ
ンカーでの3'末端後方を切断)とで分解することにより
切り出した。次に示す2つのオリゴヌクレオチドを調製
した。そのオリゴヌクレオチドは、アニーリング時にヌ
クレオチド694の上流からN−末端(残基201)への残基
と、先行するメチオニン(ATG)とをコードする: TATGTTCCCCATTCCTCTCCCCTATTGCTGGCTCTGCAおよびGAGCCA
GCAATAGGGAGAGGAATGGGGAACA これらのオリゴヌクレオチドをアニーリングし、上記切
り出したcDNAに結合させ、そして分解したベクターに挿
入してpTrp-20を得た。
【0145】pBGal-20を構築するために、類似の方法を
採用した。その方法では、EcoRI/HindIIIを用いて分解
したpBGal宿主ベクター、PstI/HindIIIで切り出したSP-
18DNA、および下記の充填用ヌクレオチドが用いられ、p
BGal-20が得られる: AATTGAACGGTTTCCCCATTCCTCTCCCCTATTGCTGGCTCTGCAおよ
びGAGCCAGCAATAGGGGAGAGGAATGGGGAAACCGTTG 短い型のSP-18をコードする遺伝子の発現のためのベク
ターを、pTrp-20またはpBGal-20から構築した。pTrp-9
を構築するために、pTrp-20をNcoI(ヌクレオチド846)と
HindIIIとで切断し、アニーリングした下記のオリゴヌ
クレオチドで再結合させた: CATGGATGACAGCGCTGGCCCAGGGTAおよびAGCTTACCTTGGGCCAG
CGCTGTCATC pBGal-20を出発材料として用い、全く同じ方法によりpB
Gal-9を構築した。
【0146】SP-5をコードするベクターを構築するため
に、cDNA#18(図5)をSmaI(ヌクレオチド94〜ヌクレオチ
ド680)で分解し、そしてSmaI−切断断片をpUC8のSmaI部
位に挿入した。クローン化した遺伝子からApaLI(ヌクレ
オチド123)とHindIII(リンカー)とで切断することによ
り切り出した断片を、pTrp-233のNdeI/HindIII分解物と
連結させ、そしてアニーリングした次のヌクレオチドに
結合させることによりpTrp-5が得られた: TATGGGCATTCCCTGCTGCCCAGおよびTGCACTGGGCAGCAGGGAATG
CCA 同様に、pBGal-5(N:G)とpBGal-5(V8)とを同じcDNA切断
断片、EcoRIとHindIIIとで切断したpBGal宿主ベクタ
ー、そして次に示す2対のヌクレオチドのそれぞれを用
いて構築した: AATTCAACGGCATTCCCTGCTGCCCAGおよびTGCACTGGGCAGCAGGG
AATCCCGTTG;そしてAATTCGGCATTCCCTGCTGCCCAGおよびTG
CACTGGGCAGCAGGGAATGCCG。
【図面の簡単な説明】
【図1】同定された重複するpD10k-1およびpD10k-4のク
ローンから得られたcDNAであって、イヌの18kd ASPタン
パクをコードするcDNAに対して決定されたDNA配列(推
定されるアミノ酸配列と共に)を表す図である。
【図2】ヒト18kd ASPタンパクをコードする“cDNA#3”
のcDNA配列および推定されるアミノ酸配列を表す図であ
る。
【図3】ヒト18kdタンパクをコードするゲノムDNAのエ
キソン部分のDNA配列および推定されるアミノ酸配列を
表す図である。
【図4】ヒト5kd/8kdタンパクをコードするcDNAを単
離するのに用いるオリゴヌクレオチドプローブの配列を
表す図である。
【図5】ヒト5kdタンパクをコードする“cDNA#18"のDNA
配列および推定されるアミノ酸配列を表す図である。
【図6】ヒト5kdタンパクをコードする類似の"cDNA#19"
を表す図である。
【図7】ヒト18kdタンパクをコードするベクターを感染
させたCHO細胞で産生される35S標識タンパクのエンドF
酵素処理を行った場合(A)と行われない場合(B)のSDS-
PAGEの結果を表す図である。
【図8】35Sメチオニンで標識したヒト18kdタンパクの
発現ベクターで形質転換した細菌から得られたSDSゲル
を表す図である。
【図9】図8に対応する細菌抽出物のウェスタンブロッ
トを表す図である。
【図10】種々のASPタンパクがリン脂質による表面張
力の低下を増大させる能力をインビトロで測定した結果
を表す図である。
【図11】さらにヒト18kd タンパクおよび5kdタンパク
がリン脂質による表面張力の低下を増大させる能力をイ
ンビトロで測定した結果を表す図である。
【図12】32kdタンパクの添加を行った場合と行わない
場合のイヌタンパクに対する図11に対応する結果を表
す図である。
【図13】イヌSP-5 cDNAクローンの核酸配列を表す図
である。
【図14】ヒト肺のλgt10ライブラリーから得られた2
つのcDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列、
WO86/03408においてgHS-15と記載されたゲノムクローン
によってコードされるアミノ酸配列、および他の研究者
により回収された2つのcDNAによってコードされるアミ
ノ配列の比較を表す図である。
【図15】細菌における界面活性タンパクの発現に用い
た合成trpプロモーターの核酸配列を表す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 5/10 15/09 C12P 21/02 ZNA C // A61K 38/00 ACD (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) A61K 37/02 ACD (C12N 5/00 B C12R 1:91) (71)出願人 593215117 2450 BAYSHORE PARKWA Y,MOUNTAIN VIEW,CAL IFORNIA 94043,U.S.A. (72)発明者 ロバート ティ.ホワイト アメリカ合衆国 カリフォルニア 94538 フレモント,ドラリタ アベニュー 40298 (72)発明者 バーバラ コーデル アメリカ合衆国 カリフォルニア 94109 サンフランシスコ,プリースト ストリ ート 25 (72)発明者 ブラッドレイ ジェイ.ベンソン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94127 サンフランシスコ,クレスタ ビスタ 170

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通常それと共存するタンパクを含まない
    ヒト肺胞界面活性タンパク(ASP)であって、該タンパク
    は気相/水相界面における脂質膜の形成を増大し得、そ
    して以下のアミノ酸配列を含む: 【化1】
  2. 【請求項2】 前記タンパクが、以下のアミノ酸配列を
    含む、請求項1に記載の肺胞界面活性タンパク(ASP): 【化2】
  3. 【請求項3】 以下の工程を含む方法により生産される
    請求項1に記載のタンパク:組換えDNA配列で哺乳類
    細胞または大腸菌(E.coli)細胞を形質転換する工程であ
    って、該組換えDNA配列は、哺乳類細胞または大腸菌
    (E.coli)細胞中で組換えDNA配列を発現させるに有効
    な制御配列、および該制御配列に作動可能に連結された
    肺胞界面活性タンパクをコードする配列を含み;および
    該形質転換された細胞を培養する工程;ここで、該肺胞
    界面活性タンパクをコードする配列は以下のアミノ酸配
    列をコードする: 【化3】
  4. 【請求項4】 通常それと共存するタンパクを含まない
    ヒト肺胞界面活性タンパク(ASP)を生産する方法であっ
    て、該タンパクは気相/水相界面における脂質膜の形成
    を増大し得、該方法は以下の工程を包含する:組換えD
    NA配列で哺乳類細胞または大腸菌(E.coli)細胞を形質
    転換する工程であって、該組換えDNA配列は、哺乳類
    細胞または大腸菌(E.coli)細胞中で組換えDNA配列を
    発現させるに有効な制御配列、および該制御配列に作動
    可能に連結された肺胞界面活性タンパクをコードする配
    列を含み;および該形質転換された細胞を培養する工
    程;ここで、該肺胞界面活性タンパクをコードする配列
    は以下のアミノ酸配列をコードする: 【化4】
  5. 【請求項5】 哺乳類の呼吸困難症候群(RDS)を治療す
    る際に有効な薬学的組成物であって、該組成物は、通常
    それと共存するタンパクを含まないヒト肺胞界面活性タ
    ンパク(ASP)を、リン脂質調製物と共に、そして必要に
    応じて薬学的に許容される賦型剤と共に含有し、該タン
    パクは気相/水相界面における脂質膜の形成を増大し
    得、そして以下のアミノ酸配列を含む: 【化5】
  6. 【請求項6】 哺乳類の呼吸困難症候群(RDS)を治療す
    る際に有効な薬学的組成物であって、該組成物は、通常
    それと共存するタンパクを含まないヒト肺胞界面活性タ
    ンパク(ASP)を、リン脂質調製物および有効量の32K ASP
    タンパクと共に、そして必要に応じて薬学的に許容され
    る賦型剤と共に含有し、該ヒト肺胞界面活性タンパク(A
    SP)は気相/水相界面における脂質膜の形成を増大し得、
    そして以下のアミノ酸配列を含み: 【化6】 そして該32K ASPタンパクは、以下のアミノ酸配列から
    なる群から選択されるアミノ酸配列のいずれかを含む: 【化7】
  7. 【請求項7】 気相/水相界面における脂質膜の形成を
    増大し得る以下のアミノ酸配列を含むヒト肺胞界面活性
    タンパク(ASP)をコードするDNA配列: 【化8】
  8. 【請求項8】 前記タンパクが、以下のアミノ酸配列を
    含むタンパクである、請求項7に記載のDNA配列: 【化9】
  9. 【請求項9】 気相/水相界面における脂質膜の形成を
    増大し得る以下のアミノ酸配列を含むヒト肺胞界面活性
    タンパク(ASP)をコードするDNA配列: 【化10】
  10. 【請求項10】 前記タンパクが、以下のアミノ酸配列
    を含むタンパクである、請求項9に記載のDNA配列: 【化11】
  11. 【請求項11】 前記タンパクが、以下のアミノ酸配列
    を含むタンパクである、請求項9に記載のDNA配列: 【化12】
  12. 【請求項12】 前記タンパクが、以下のアミノ酸配列
    を含むタンパクである、請求項9に記載のDNA配列: 【化13】
  13. 【請求項13】 前記タンパクが、以下のアミノ酸配列
    を含むタンパクである、請求項9に記載のDNA配列: 【化14】
  14. 【請求項14】 哺乳類細胞または大腸菌(E.coli)細胞
    中で組換えDNA配列を発現させるに有効な制御配列、お
    よび、該制御配列に作動可能に連結された、気相/水相
    界面における脂質膜の形成を増大し得る以下のいずれか
    のアミノ酸配列を含むヒト肺胞界面活性タンパク(ASP)
    をコードするDNA配列を含む発現ベクター: 【化15】
  15. 【請求項15】 哺乳類細胞または大腸菌(E.coli)細胞
    中で組換えDNA配列を発現させるに有効な制御配列、お
    よび、該制御配列に作動可能に連結された、気相/水相
    界面における脂質膜の形成を増大し得る以下のいずれか
    のアミノ酸配列を含むヒト肺胞界面活性タンパク(ASP)
    をコードするDNA配列を含む発現ベクターにより形質転
    換された組換え哺乳類細胞または大腸菌(E.coli)細胞: 【化16】
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