JPH08187866A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH08187866A
JPH08187866A JP350495A JP350495A JPH08187866A JP H08187866 A JPH08187866 A JP H08187866A JP 350495 A JP350495 A JP 350495A JP 350495 A JP350495 A JP 350495A JP H08187866 A JPH08187866 A JP H08187866A
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JP
Japan
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piezoelectric body
ink
piezoelectric
resin
substrate
Prior art date
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Pending
Application number
JP350495A
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English (en)
Inventor
Hideo Yasutomi
英雄 保富
Kenji Masaki
賢治 正木
Nan Touno
楠 東野
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH08187866A publication Critical patent/JPH08187866A/ja
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 インクジェット記録装置は、平行に伸びる複
数の溝状凹部21を有する天板20と、これら凹部21
に対応して基板24上にそれぞれ配置された複数の圧電
体26と、各凹部21を覆ってインク室23を形成する
隔壁22と、から構成されるインクジェットヘッド12
を備えている。圧電体26は基板24に対して一部接着
状態で固定され、圧電体26の非固定部分と基板24と
の間には空間が形成されている。 【効果】 圧電体を一部接着としたことにより、他の圧
電体への連動変位がなくなり、クロストークを完全に抑
制できる。また、一部接着とした圧電体の変位が、従来
例に比し飛躍的に大きくなったので、低電圧駆動と変位
制御による中間調再現が可能となる。さらに、圧電体の
非固定部分の弾性復元により隔壁を弾いてインク室を加
圧するので、高効率のインク飛翔を達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像信号に応じてイン
ク滴を飛翔させことにより、紙等の被記録媒体に記録を
行うオンデマンド方式のインクジェットヘッドを有する
インクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、画像信号に応じて圧電体に電
圧を印加し、圧電体の変形に基づきインクを加圧してノ
ズルからインク滴を飛翔させることにより、紙等の被記
録媒体に記録するオンデマンド方式のインクジェットヘ
ッドがプリンタなどの記録装置に用いられている。
【0003】この方式のインクジェットヘッドとして、
例えば特開昭62−56150号公報に、図18に示す
ものが開示されている。このインクジェットヘッド60
は、複数の凹部61が形成された圧電部材62と、これ
ら複数の凹部61を覆うカバープレート63を有し、凹
部61の内側にインク室64が形成されている。また、
複数の凹部61の底面には凸部65が形成されており、
この凸部65の上面と、圧電部材62の背面の上記凸部
65に対応する位置には、電極66,67がそれぞれ設
置されている。このように構成されるインクジェットヘ
ッド60では、電極66,67の間に電圧を印加して、
圧電部材62の凸部65を変形させることにより、イン
ク室64の容積を変化させ、インク室64に充填された
インクを加圧することで、ノズルからインク滴を吐出さ
せるようになっている。
【0004】また、特開平6−143563号公報で
は、図19に示すものが提案されている。このインクジ
ェットヘッド70は、インク室74用の複数の凹部71
が並列に形成された流路基板72上に弾性膜73が接合
されている。この弾性膜73上に、基板75と接着され
た複数の駆動用積層圧電振動子76及びダミー用積層圧
電振動子77が配置されている。駆動用積層振動子76
とダミー積層圧電振動子77は、基板75に1枚の積層
圧電振動子からなる板を接着した後スリット加工によっ
て分離されたものである。そして、これら流路基板7
2、弾性膜73、積層圧電振動子76,77および基板
75の接合体が2枚の剛体固定板78,79で挾持され
ている。このように構成されるインクジェットヘッド7
0では、駆動用の積層圧電振動子76に電圧を印加して
変形させ、弾性膜73を介してインク室74の容積を変
化させてインクを加圧することにより、ノズルからイン
ク滴が飛翔するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
インクジェットヘッドには、以下のような問題点があっ
た。まず、上記インクジェットヘッド60では、凸部6
5を変形させてインクを加圧しても、インクが凸部65
との間に形成される隙間に回り込むことによって飛翔効
率が低下するだけでなく、圧電体である凸部65にイン
クが浸透して低抵抗化を招いて実行電圧がかからなくな
り、その結果、凸部65の変位量が低下してインク滴が
飛翔しにくくなるという問題があった。
【0006】また、上記インクジェットヘッド70で
は、奥行き方向(図19において紙面の表裏方向)に伸
びる駆動用の積層圧電振動子76と基板75との接触面
が全面に亘って接着固定されているため、積層圧電振動
子76の個々の振動が基板75を介して隣接する積層圧
電振動子76にも伝播して連動変位を生じさせていた。
このため、インク吐出を欲しないインク室74からイン
ク滴が吐出したり、または、インク滴が吐出しないまで
もインク室74内のインクの流れに乱れを生じ、次の吐
出の際にインク滴径が不均一になるという、いわゆるク
ロストークと呼ばれるインク吐出特性の相互干渉が発生
し、印字品質が劣悪なものになるという問題があった。
【0007】そこで、本発明は上記問題点を解決し、高
効率で安定したインク滴の飛翔を実現し、印字品質に優
れたインクジェット記録装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るインクジェット記録装置は、非圧電部
材にインク室となる複数の溝状凹部を形成し、上記非圧
電部材の凹部形成面に基板を設け、この基板上の上記凹
部に対応する位置に複数の圧電体をそれぞれ配置してな
るインクジェットヘッドと、上記圧電体を変位させイン
ク室に充填されたインクを加圧吐出させるように画像信
号に応じて上記圧電体に電圧を印加する電圧印加手段と
から構成されるインクジェット記録装置において、上記
凹部を覆って凹部壁面との間にインク室を形成するとと
もにインク室と上記圧電体とを隔てる隔壁を設け、上記
圧電体の少なくとも一部分を上記基板に固定せず、電圧
印加により上記圧電体の非固定部分が基板に向かって変
位し得る空間を形成し、上記圧電体の弾性復元に基づき
インク室を加圧するようにしたものである。
【0009】また、上記圧電体の一端側を固定し、他端
側を上記基板に固定しないようにしてもよい。
【0010】さらに、上記圧電体の非固定部分と上記隔
壁とを接着してもよいし、上記各圧電体がそれぞれ連結
された部分を有するように櫛歯状に形成してもよい。
【0011】
【作用】上記構成からなるインクジェット記録装置で
は、圧電体に電圧を印加して電界を形成すると、圧電体
の非固定部分が基板に向かう方向に変位する。圧電体へ
の電圧印加を解除して電界を消滅させると、圧電体の有
する弾性に基づき上記非固定部分が元の状態に復帰す
る。このとき、圧電体の非固定部分は慣性力により電圧
印加前の常態位置を通り過ぎ、隔壁を弾くようにして押
し上げる。これにより、インク室の容積が急峻に減少
し、インク室内に充填されたインクが加圧されて吐出す
る。その後、圧電体の非固定部分が隔壁から離れると、
隔壁はその弾性に基づき元の状態に戻る。その結果、イ
ンク室の容積が増加して内部に負圧が生じ、インクが補
給されて次のインク吐出の準備ができる。
【0012】この場合、圧電体は一部分において基板に
対して固定されているだけなので、基板を介して他の圧
電体が連動変位することがなく、クロストークは生じな
い。また、インク室と圧電体との間には隔壁が設けてあ
るので、インクが圧電体に直接接触して浸透することは
ない。
【0013】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて説明する。図1は本発明の実施例であるインクジ
ェット記録装置の全体構成を概略的に示したものであ
る。このインクジェット記録装置1は大別して、コネク
タ2aを備えた電源部2と、駆動系3と、メカコントロ
ーラ4と、メモリ5と、コントローラ6と、インク供給
部7と、スキャンキャリッジ8と、給紙部9と、ケース
10と、操作パネル11とから構成されている。上記ス
キャンキャリッジ8は通紙方向(矢印a方向)に直交す
る方向(図1において紙面の表裏方向)にスキャン可能
になっており、その内部にはブラック、シアン、マゼン
タおよびイエロの各色用に4つのインクジェットヘッド
12が通紙方向に沿い、かつインク吐出ノズルを下方に
向けて配置されている。
【0014】次に、上記インクジェットヘッド12の構
成について図2〜図4を参照して説明する。インクジェ
ットヘッド12は、図2に示すように、ベースプレート
13上に、前方(図2において左下)からインク吐出部
14、端子板15およびコネクタ16を順に設置した構
成になっている。
【0015】インク吐出部14の天板20は、例えばア
ルミナなどの非圧電材料からなるプレートで構成され、
図3に示すように、その下面には複数の溝状凹部21が
形成されている。これら凹部21は天板20の幅方向に
所定ピッチで形成され、天板20の長手方向にそれぞれ
平行に伸びている。天板20の凹部21形成面には、例
えばエポキシ樹脂からなる弾性を有する隔壁22が接着
されており、この隔壁22で覆われた凹部21内部にイ
ンク室23が形成されている。
【0016】上記隔壁22の幅方向両端側にはスペーサ
18,18(一方は図示せず)が接着され、これらスペ
ーサ18,18の下部には基板24が接着されている。
スペーサ18,18および基板24は天板20と同様に
非圧電材料からなり、スペーサ18,18と基板24の
上面24aに囲まれた領域には、すべての凹部21を覆
う凹部25が形成されている。また、基板上面24aの
後部には、図4に示すように、圧電体支持板19が設置
されている。この圧電体支持板19には、基板24と同
じ非圧電材料を用いてもよいし、異なる材料を用いても
よい。
【0017】上記圧電体支持板19の上面には、例えば
PZT圧電セラミックからなる複数の圧電体26が天板
20の各凹部21に沿って配置されている。圧電体26
の上面には個別電極27が設置され、僅かの隙間を隔て
てインク室23の一壁を形成する隔壁22に対向してい
る。一方、個別電極27の形成面とは反対側の圧電体2
6の下面には共通電極28が設置されている。なお、図
3に示すように、圧電体26の分極方向(矢印b方向)
は、個別電極27および共通電極28に電圧が印加され
ることによって形成される電界の方向と平行になるよう
に配置されている。また、本実施例では圧電体26の個
別電極27と隔壁22との間に隙間を形成するようにし
たが、この隙間は電圧印加時の圧電体26の基板24に
向かう方向への変位量よりも小さくする必要があり、こ
の隙間を設けることなく個別電極27と隔壁22を接触
するように構成してもよい。
【0018】上記圧電体26は、図4に示すように、そ
の後端側の上記圧電体支持板19との接触領域において
導電性接着剤で接着固定され、その前端側は基板上面2
4aとの間に圧電体支持板19の板厚に相当する空間を
隔てた自由端となっている。これにより、圧電体26に
電圧を印加して電界を形成すると、圧電体支持板19と
の接着領域より前方に位置する圧電体26の自由端部が
一旦基板方向に変位した後、弾性復元する際に隔壁22
を押し上げてインク室23を加圧する作用部を構成する
ことになる。なお、圧電体26の自由端部下方の空間
は、圧電体支持板19を基板24と一体的に成型して段
差を形成するか、圧電体26に対応する基板上面24a
に凹部を設けることにより形成してもよいし、または、
圧電体26を基板24に直接接着してその接着層を厚く
することにより形成するようにしてもよい。
【0019】上記天板20、隔壁22および基板24の
接合体の前端面には、例えば厚さ25〜200μm程度
のポリイミドフィルムからなるノズルプレート30が接
着固定されている。このノズルプレート30には、例え
ばエキシマレーザなどによって複数のノズル孔30aが
上記インク室23と等ピッチで形成され、このピッチは
例えば約42.3〜254μm(画素密度:600〜1
00dpi)程度である。
【0020】上記天板20の両側面には、図2に示すよ
うに、各インク室23に連通するインクレット(図示せ
ず、後述する)の両端開口部を閉塞するサイドプレート
31,31が接着され、天板20の後端面には各インク
室23の後端開口部を閉塞するバックプレート32が接
着されている。また、天板20の上面には、インク室2
3にインクを供給するためのマニホールド33が接着さ
れ、このマニホールド33の上部には複数のインク供給
口33aが突設されている。
【0021】上記圧電体26は、図2に示すように、天
板20後端部に接着したバックプレート32を越えて後
方に伸びている。そして、各圧電体26後端部の個別電
極27は、端子板15上面に設置された複数の導体15
aにワイヤボンディングによってそれぞれ接続され、さ
らに駆動用IC17、導体15bおよびコネクタ16を
介して図1に示すコントローラ6に接続されている。一
方、圧電体支持板19にはその上面19a全体に導電性
接着剤が塗布されているため、各圧電体26下面の共通
電極28は、圧電体支持板19の後端側表面とベースプ
レート13上に設置されている導体13aとを一か所の
ワイヤボンディング等により接続すれば、コネクタ16
を介してコントローラ6に接続される。
【0022】続いて、上記構成からなるインクジェット
ヘッド12の製造工程について、図5〜図10を参照し
て説明する。まず、図5に示すように、基板24の上面
24aにスペーサ18,18および圧電体支持板19を
接着固定した後、圧電体支持板19の表面19aに導電
性接着剤を塗布する。そして、図6(a)に示すよう
に、上下面に無電界メッキによるAu/Ni膜、または
Au/(Ni,Cr)のスパッタ膜を10μm〜0.1
μm形成して電極層を設置したPZTプレート40を圧
電体支持板19上に接着固定する。
【0023】次に、図6(b)に示すように、オートマ
チックダイシングソー39を用いてPZTプレート40
をスリット加工し、図6(c)に示すように、圧電体2
6を所定ピッチで形成する。その後、大気中の湿気が浸
透することにより圧電体26に電圧を印加したときの変
位が低下するのを防止するため、圧電体26の表面全体
に、例えばポリイミド樹脂をスピンコート法で塗布し、
180℃で1時間焼き付けてオーバコート処理をする。
ただし、湿度抵抗の高い圧電材料を圧電体26に用いた
場合には、この工程は省略してもよい。
【0024】一方、天板20は、図7に示すように、例
えばアルミナなどのセラミックスプレート41を用い、
インク室23となる複数の凹部21をダイシング加工に
より上記圧電体26と等ピッチで形成する。これら凹部
21の幅は圧電体26によって効率的にインク室23を
加圧できるようにするために、圧電体26より大きな寸
法に形成する。また、これら凹部21形成面の反対面
に、凹部21と直交しかつ全ての凹部21に連通する溝
状のインクインレット42をダイシング加工で形成す
る。その後、天板20の凹部21形成面に隔壁22を接
着する。
【0025】続いて、図8に示すように、基板24に接
着したスペーサ18,18上に天板20を重ね合わせ、
幅方向の両端部を接着固定すると共に、これら天板2
0、基板24等の接合体の前端面に、ノズル孔30aが
インク室23の中央に位置するようにしてノズルプレー
ト30を接着する。
【0026】そして、図9に示すように、インクインレ
ット42の上にマニホールド33を接着固定し、インク
インレット42の両側開口部を閉塞するサイドプレート
31,31と、インク室23の後端開口部を閉塞するバ
ックプレート32とを天板20に接着することで、イン
ク吐出部14の組み立てが完了する。
【0027】さらに、図10に示すように、上記インク
吐出部14と、上面に駆動用IC17および導体15
a,15bを設置した端子板15と、コネクタ16と
を、導体13aを設置したベースプレート13上面に接
着固定する。そして、圧電体26の個別電極27と導体
15a、各圧電体26の共通電極28に導電する圧電体
支持板表面19aとベースプレート13上の導体13a
をそれぞれ電気的に接続し、各導体15b,13aをコ
ネクタ16の端子16aに電気的に接続することで、イ
ンクジェットヘッド12が完成する。その後、図10中
点線で示すように、その外部面を一体的に樹脂モールデ
ィングすれば、より合理的な固定が可能となる。
【0028】次に、本実施例のインクジェットヘッド1
2におけるインク吐出動作について説明する。インク
は、図4に示すように、インク供給部7(図1参照)か
らマニホールド33のインク供給口33aを介して供給
され、天板20内のインク室23に充填されている。個
別電極27および共通電極28に、画像信号に応じて図
11(a)で示すようなパルス状電圧を印加すると、圧
電体26内の分極方向を図12,13において矢印b′
で示す方向とした場合に、この分極方向と平行に電界が
形成される。すると、従来例のインクジェットヘッドの
ように圧電体26の下面を全面接着して固定した場合
(接着領域s1)には、図12中点線で示すように、y
方向にΔyだけ膨張変位するとともに、x方向および奥
行き方向(図11において紙面の表裏方向)に僅かに収
縮変位していた。しかし、圧電体26の接着領域s2
圧電体支持板19との接触面のみとし、圧電体26の一
端側を自由端とした場合には、図13中点線で示すよう
に、その自由端が曲率をもって反り返るように変形し、
このときのy方向の変位ΔYは同一電圧を印加したとき
の上記Δyに比べて100倍以上であることが確認され
た。
【0029】そこで、本実施例ではこの圧電体26の反
り変形を利用して、圧電体26が弾性復元する際にイン
クを加圧吐出させるようにしたものである。すなわち、
図14に示すように、圧電体26の分極方向を図13に
示すものとは反対の矢印b方向となるように処理し、個
別電極27および共通電極28に図11(a)で示すパ
ルス状電圧を印加して圧電体26の上面から下面に向か
う方向に電界を形成する。この場合、圧電体26先端の
自由端部は基板24に接近する方向に反り変形し、図1
4において点線で示す常態位置から実線位置に変位す
る。
【0030】圧電体26が上記のように変位した状態
で、電圧印加が解除されて電界が消滅すると、圧電体2
6はその弾性に基づき元の状態に復帰しようとする。こ
のとき、圧電体26の自由端部は慣性力によって上記常
態位置を通り過ぎ、図15に示すように、隔壁22を弾
くように押し上げインク室23の容積を急峻に減少させ
る。これにより、インク室23に充填されたインクが加
圧され、ノズル孔30aから液滴状となって吐出・飛翔
し、図示しない記録紙上に付着する。
【0031】隔壁22を押し上げた圧電体26の自由端
部は、その後再び上記常態位置に向かって弾性復元する
ため隔壁22から離れ、これに伴って隔壁22もその弾
性に基づき元の平面状態に戻る。これにより、インク室
23の容積が増加して内部に負圧が生じ、マニホールド
33、インクレット42を介してインク室23にインク
が補充されて次のインク吐出の準備ができる。
【0032】ただし、上記圧電体26の自由端部は上下
に空間を有し拘束されないので、隔壁22を押し上げて
インクを吐出させた後も減衰振動を繰り返す。このた
め、次のパルス印加時に圧電体26が上記常態位置にな
いと、インク滴径のバラツきやインク吐出タイミングの
ずれを生じ、印字品質を低下させる原因ともなる。ま
た、圧電体26の振動がおさまるのを待っていたので
は、印字スピードの高速化に支障を来すことになる。そ
こで、このような不具合を防止するため、図11(b)
に示すように、メインパルスの後に逆方向のサブパルス
を印加することにより圧電体26の振動を強制的に停止
させることが望ましい。
【0033】以上のようなインク吐出動作が画像信号に
応じて各インク室23毎に独立して行われることによ
り、1ライン分の画像が描かれ、これが記録紙の移動に
同期して繰り返されることで、画像信号に応じた画像が
記録紙上に描かれる。
【0034】このように、本実施例のインクジェットヘ
ッド12では、圧電体26と基板24との接着領域s1
を圧電体26の全長に対して一部分とすることで、電圧
を印加した際の圧電体26の振動が、圧電体支持板19
や基板24を介して隣接する圧電体26に伝播すること
により生ずる連動変位を完全に抑制することができた。
このため、クロストークによる不必要なインク吐出やイ
ンク室32内のインク流の乱れもなく、インク吐出を非
常に安定して行うことができ、その結果、印字品質を格
段に向上させることが可能になった。
【0035】また、圧電体26を一部接着としたこと
で、従来例に比して同一電圧で飛躍的に大きな変位量を
得ることができ、かつ、その変位量は印加電圧にほぼ比
例する関係にある。したがって、従来同様のインクの吐
出量および飛翔速度を確保する場合にも極めて低い電圧
で足り、ドライバコストの低減を図れるとともに、印加
電圧を制御して圧電体26の変位量を調節することで飛
翔するインク滴の径を任意に変えることができ、その結
果、記録紙上に描かれる画像の色彩ついて中間調再現も
可能になった。
【0036】さらに、本実施例では圧電体26の自由端
部を基板方向に一旦変位させた後電圧を解除し、圧電体
26の弾性に基づき隔壁22を弾いてインク室23を加
圧し、インクを吐出させる構成となっている。このた
め、電圧を印加することにより圧電体26を基板24と
は反対方向に変位させて隔壁22を押し上げる場合より
も圧電体26を変位させる際の抵抗が小さく、電圧負荷
も小さくて済む。また、一般に高剛性を有する圧電体2
6が隔壁22を弾くときの衝撃力は強力で、大きなイン
ク吐出エネルギを得ることができる。したがって、本実
施例によれば、圧電体26を一部接着としたことと相俟
って低電圧でかつ高効率のインク吐出を達成できる。
【0037】そしてまた、圧電体26は隔壁22によっ
てインク室23と隔てられ、インクと直接接触しないよ
うになっているので、圧電体26にインクが浸透して低
抵抗化することがない。したがって、実効電圧の低下に
伴って圧電体26の変位が減少するのを防止でき、結果
としてインクジェットヘッド12の安定性、信頼性が向
上する。
【0038】続いて、図16を参照して上記実施例の変
形例について説明する。第1実施例のインクジェットヘ
ッド12では、基板24の幅方向両端側にスペーサ1
8,18を配置して、基板上面24aとの間に天板20
の各凹部21を覆う凹部25を形成したが、図16に示
すように、上記各凹部21に対応して形成された同一幅
の凹部43を有する基板44を用いてもよい。この場
合、上記圧電体支持板19は上記各凹部43に対応して
櫛歯状に形成するか、または、上記凹部43の底面に段
差を形成する等により、圧電体26の自由端部下方に空
間を形成する。
【0039】この変形例によれば、圧電体26を収容し
た凹部43がガイドの役割を果たし、何らかの原因で圧
電体26の位置がずれたような場合でも圧電体26の変
位をロスすることなく隔壁22に導くことができる。ま
た、隔壁22は上下方向から挾持され、各インク室23
ごとに仕切られたようになっているので、隔壁22の振
動が隣接するインク室23に伝播するのをより好適に遮
断することができるとともに、隔壁22の機械的強度が
増加してインクジェットヘッドの寿命を延ばすことがで
きる。
【0040】なお、上記実施例およびその変形例では、
隔壁22と圧電体26上部の個別電極27との間に僅か
の隙間を形成するようにしたが、この隙間を接着剤で充
填してもよい。このようにすれば、隔壁22が圧電体2
6の変位に常に追従するようになるので、圧電体26に
高周波のパルス状電圧を印加することができ、インク吐
出の高周波応答性の向上、印字速度の高速化を図ること
ができる。
【0041】ただし、上記のように隔壁22と圧電体2
6とを接着した場合には、電圧印加により圧電体26を
基板方向に変位させたときにインク室23の容積が増加
してインクが補充されることになる。このため、急峻に
インク室23の容積を増加させるとノズル孔30aから
インク室23内に気泡が吸引され、次の電圧印加時に気
泡が圧力を吸収してインク飛翔を妨げるおそれがある。
そこで、図11(c)に示すように、圧電体26を基板
方向に変位させる際の電圧のパルス形状に傾斜をもた
せ、圧電体26および隔壁22が気泡の吸引を生じない
範囲で最も速く変位するようにして、これを防止する。
ここで、メインパルスの後に逆方向のサブパルスを印加
している理由は、上記図11(b)の場合と同様であ
る。
【0042】以上に説明した実施例およびその変形例に
おいては、図6に示すように、基板24に一部接着状態
で固定された平板状の圧電材料をダイシング加工して、
各圧電体26を完全に分割して短冊状に形成したが、図
17に示すように、いわゆる櫛歯状に形成した圧電部材
51を用いるようにしてもよい。この圧電部材51は、
圧電体支持板19との接着領域sを含む前方領域(図1
7において左側)では、各圧電体52は短冊状に分割さ
れているが、上記接着領域sより後方領域では、個別電
極27が形成されている各圧電体52の上面より一段低
くなった上面を有する連結部53を介して各圧電体52
が連結されている。なお、この連結部53は、平板状の
圧電材料をダイシングによりスリット加工する際に、圧
電体支持板19との接着領域sを過ぎたところで切削深
さを浅くすることによって形成される。
【0043】このように構成することで、各圧電体52
の構造的強度が増し、インクジェットヘッドの耐久性、
信頼性が向上する。また、各圧電体52の下面に形成さ
れている共通電極が上記連結部53の存在によって圧電
部材51の後部領域において接続されることになるの
で、共通電極とドライバ電源との接続は、この後部領域
の共通電極とベースプレート13上の導体13aをワイ
ヤボンディングや半田付けなどにより一か所接続するこ
とで完了する。したがって、短冊状に分離して圧電体2
6を形成した場合のように、圧電体支持板19との接着
に導電性接着剤を用いる必要がない。
【0044】さらに、個別電極27および共通電極28
に電圧を印加した場合、各圧電体52の非接着領域が変
位する際の発生力は、短冊状に完全に分離された圧電体
26の発生力よりも大きいことが実験的に確認されてい
る。したがって、圧電部材51を櫛歯状に形成すること
により、さらに高効率のインク飛翔が達成できる。
【0045】なお、上記実施例等では単層の圧電体26
を使用したが、圧電材料を2層または多層に積層し、上
下面だけでなく内部にも個別電極または/および共通電
極を配置した圧電体を使用すれば、積層数に応じて大き
な実効変位を得ることができるので、さらに駆動電圧を
低くすることができ、ドライバーコストの低減を図れ
る。
【0046】最後に、上記実施例および変形例において
使用できる材料等について説明する。圧電体の材料 上記圧電体26,52の材料としては、以下に示す圧電
材料を用いることができる。 (1) 圧電結晶 水晶(SiO2) ,ロッシェル塩(RS:NaKC4
46・4H2O) 酒石酸エチレンジアミン(ETD:C61426
,酒石酸カリウム(DKT:K2446・1/2H
2O) ,第2リン酸アンモニウム(ADP:NH42
PO4) ,プロブスカイト系結晶(ex.CaTi
3,BaTiO3,PLZT) ,タングステンブロン
ズ系結晶(ex.NaxWO3 〔0.1<x<0.2
8〕) ,ニオブ酸バリウムナトリウム(Ba2NaN
515) ,ニオブ酸カリウム鉛(Pb2KNb
515) ,ニオブ酸リチウム(LiNbO3) ,タン
タル酸リチウム(LiTaO3) ,さらに、塩素酸ソ
ーダ(NaClO3),電気石(Tourmalin
e), 閃亜鉛鉱(ZuS) ,硫酸リチウム(LiS
42O) ,メタガリウム酸リチウム(LiGa
2) ,ヨウ素酸リチウム(LiIO3) ,硫酸グリ
シン(TGS) ,ゲルマニウム酸ビスマス(Bi12
eO20) ,ゲルマニウム酸リチウム(LiGeO3
,チタニウム酸バリウム ,ゲルマニウム(Ba2
2TiO3) 等の結晶。
【0047】(2) 圧電半導体 ウルツ鉱 ,BeO ,ZnO ,CdS ,CdSe
,AlN。 (3) 圧電セラミックス チタニウム酸バリウム(BaTiO3) ,チタニウム
酸ジルコニウム酸鉛(PbTiO3・PbZrO3) ,
チタニウム酸鉛(PbTiO3) ,ニオブ酸バリウム
酸鉛((Ba−Pb)Nb26)。 (4) 上記(1)圧電結晶、(2)圧電性半導体、
(3)圧電セラミックス材料の粉をプラスチック類に分
散して成型したものでも良い。 (5) 圧電性高分子 ポリフッ化ビニリデンPVDF(−CH2−CF2−)n
,ポリフッ化ビニリデン/PZT ,ゴム/PZT
,トリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンの共重合
体 ,シアン化ビニリデンと酢酸ビニルの共重合体 ,
ポリシエン化ビニリデン等。以上に挙げる圧電材料を分
極処理した後、圧電体として加工して用いるか、もしく
は圧電体として加工した後、分極処理して用いてもよ
い。
【0048】圧電体のオーバコート処理 上記圧電体26,52のオーバコート処理は、次の
(1)〜(5)に挙げる方法で行うこともできる。 (1) プラスチック類の塗布 飽和ポリエステル樹脂 ,ポリアミド樹脂 ,アクリル
樹脂 ,アラミド樹脂,エチレン−酢酸ビニル樹脂 ,
イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー) ,ス
チレン−ブタジェンブロック共重合体 ,ポリアセター
ル ,ポリカーボネード ,塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体 ,セルロースエステル ,ポリイミド ,スチ
ロール樹脂等の熱可塑性樹脂。
【0049】エポキシ樹脂 ,フェノキシ樹脂 ,ウレ
タン樹脂 ,ナイロン類 ,シリコーン樹脂 ,フルオ
ロシリコン樹脂 ,フェノール樹脂 ,メラミン樹脂
,キシレン樹脂 ,アルキッド樹脂 ,熱硬化アクリ
ル樹脂等の熱硬化性樹脂。ポリビニルカルパゾール ,
ポリビニルピレン ,ポリビニルアントラセン,ポリビ
ニロール等の光導電性樹脂。
【0050】これらは単独で、または組み合わせて使用
することができる。その他、液晶ポリマー等のエンジニ
アプラスチック類、プラスチック類と粉末、ウィスカー
との混合物でも良い。感光性樹脂 ,厚膜用フォトレジ
スト樹脂等が使用可能である。ベークライト ,フッ素
系樹脂 ,ガラス・エポキシ樹脂(エポキシ中にガラス
フィラー混入)でもよい。これらは、塗布,ディップ,
スプレー法等、公知の液体塗布方法を用いればよい。上
記の中では特に、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノキシ樹脂、フルオロシリコーン樹脂、
フッ素樹脂、ガラス・エポキシ樹脂の効果が優れてい
る。
【0051】(2) 酸化・窒化・硫化金属化合物等の
蒸着 酸化金属化合物(SiO2,SiO,CrO,Al23
等)や、窒化金属化合物(Si34,AlN等)や、硫
化金属化合物(ZnS等)、あるいはこれらの合金を、
真空蒸着やスパッタ等でコートする。また、上記(1)
のプラスチックを蒸着によって塗布してもよいし、バレ
リン樹脂蒸着してもよい。上記の中では、Al23、S
34の効果が優れている。
【0052】(3) 炭化水素化合物の塗布 炭化水素,酸素含有炭化水素,硫黄含有炭化水素を始め
とするIV属元素含有炭化水素 、窒素含有炭化水素,ケ
イ素含有炭化水素,フッ素含有炭化水素を始めとするハ
ロゲン含有炭化水素 、III属元素含有炭化水素を、P
−CVD(プラズマCVD)によって塗布し、オーバコ
ート処理する。あるいは、これらの混合気相下でP−C
VDにより塗布してもよい。上記の中ではフッ素含有炭
化水素の効果が優れている。なお、これらの膜は、圧電
体との接着性の相性にしたがって適宜、a−Si(アモ
ルファスシリコン),a−SiC,a−SiN等による
アンダーコートを設ける必要がある。 (4) 上記(1)のプラスチック類を、塗液状態で圧
電体プレート表面の塗布する代わりに、減圧下で圧電体
形成部に置換,含浸させて成形する。 (5) 圧電体プレートの表面を撥インク性の溶剤で表
面処理する。
【0053】以上の(1)〜(5)に挙げる方法で形成
したオーバコート膜を比較すると、次のような特徴が見
られる(ただし(3)はアンダーコート有りの場合)。 強度 : 強 (2),(3)>(1),(4)>(5) 弱 平滑性 : 良 (1),(4)>(2),(3),(5) 悪 接着性(耐振動性を含む) : 強 (1),(4)>(2),(3)>(5) 弱 耐久性(耐インク性を含む): 良 (1),(4)>(2),(3)>(5) 悪 その他、(5)は処理が簡便であり、(1)〜(4)の
後処理として利用することもできる。また、コスト面に
おいては、(1),(4)が特に安価である。なお、上
記(1)〜(5)に挙げる方法を、圧電体やインク種に
応じて適宜組み合わせて使用してもよい。
【0054】天板,基板の材料 天板20,基板24を構成する非圧電材料に用いること
ができるものとして、次の(1)〜(4)に挙げるもの
がある。 (1) セラミックス Al23 ,SiC ,C ,BaTiO3 ,BiO3
・3SnO2 ,Pb(Zrx,Ti1-x)O3 ,ZnO
,SiO2 ,(1−x)Pb(Zrx,Ti1-x)O3
+(x)La23 ,Zn1-xMnxFe23 ,γ−F
23 ,Sr・6Fe23 ,La1-xCaxCrO3
,SnO2 ,遷移金属酸化物 ,ZnO−Bi23
,半導体BaTiO3 ,β−Al23 ,安定化ジ
ルコニア,LaB6 ,B4C ,ダイヤモンド ,Ti
N ,TiC ,Si34 ,Y22S:Eu ,PL
ZT ,ThO2 ,−CaO・nSiO2 ,Ca
5(F,Cl)P312 ,TiO2 ,K2O・nAl2
3
【0055】(2) ガラス類 元素ガラス=Si ,Se ,Te ,As 水素結合ガラス=HPO3 ,H3PO4 ,SiO2
22 ,P25 ,GeO2 ,As23 酸化物ガラス=SbO3 ,Bi23 ,P23 ,V2
5 ,Sb25 ,As23 ,So3 ,ZrO2 フッ化物ガラス=BeF2 ,塩化物ガラス=ZnCl2 硫化物ガラス=GeS2 ,As23 炭酸塩ガラス=K2CO3 ,MgCO3 硝酸塩ガラス=NaNO3 ,KNO3 ,AgNO3 硫酸塩ガラス=Na223 ,H2O ,Tl2SO
4 ,ミョウバン ケイ酸ガラス=SiO2 ケイ酸アルカリガラス=Na2O−CaO−SiO2 カリ石灰ガラス=K2O−CaO−SiO2 ソーダ石灰ガラス=Na2O−CaO−SiO2 鉛ガラス バリウムガラス ホウケイ酸ガラス。
【0056】(3) プラスチック類 飽和ポリエステル樹脂 ,ポリアミド樹脂 ,アラミド
樹脂 ,アクリル樹脂,エチレン−酢酸ビニル樹脂 ,
イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー) ,ス
チレン−ブタジェンブロック共重合体 ,ポリアセター
ル ,ポリカーボネード ,塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体 ,セルロースエステル ,ポリイミド ,スチ
ロール樹脂等の熱可塑性樹脂。エポキシ樹脂 ,ウレタ
ン樹脂 ,ナイロン樹脂 ,シリコーン樹脂 ,フェノ
ール樹脂 ,メラミン樹脂 ,キシレン樹脂 ,アルキ
ッド樹脂 ,熱硬化アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂。ポ
リビニルカルパゾール ,ポリビニルピレン ,ポリビ
ニルアントラセン,ポリビニロール等の光導電性樹脂。
【0057】上記(1)〜(3)に挙げるものは単独
で、または組み合わせて使用することができる。その
他、液晶ポリマー等のエンジニアプラスチック類、プラ
スチック類と粉末、ウィスカーとの混合物でも良い。感
光性樹脂、厚膜用フォトレジスト樹脂等も使用可能であ
り、ベークライト、フッ素系樹脂、ガラス・エポキシ樹
脂(エポキシ中にガラスフィラー混入)でもよい。
【0058】(4) その他 インク室に接する側面を絶縁膜コートする場合は、全て
の金属が使用できる。これらの非圧電材料は、板状にし
た後、天板20に加工するか、もしくは型成型したり、
パターンエッチング、光硬化等を利用して最初から天板
20の形状に成型しても良い。
【0059】隔壁の材料 上記隔壁22,48の材料としては、以下に挙げるもの
を用いることができる。 (1)エポキシ樹脂 ,フェノキシ樹脂 ,ウレタン樹
脂 ,ナイロン類 ,シリコーン樹脂 ,フルオロシリ
コン樹脂 ,フェノール樹脂 ,メラミン樹脂,キシレ
ン樹脂 ,アルキッド樹脂 ,熱硬化アクリル樹脂等の
熱硬化性樹脂。 上記の中では、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フルオ
ロシリコーン樹脂が好適い用いられる。
【0060】(2) 飽和ポリエステル樹脂 ,ポリア
ミド樹脂 ,アクリル樹脂 ,アラミド樹脂 ,エチレ
ン−酢酸ビニル樹脂 ,イオン架橋オレフィン共重合体
(アイオノマー) ,スチレ−ブタジェンブロック共重
合体 ,ポリアセタール ,ポリフェニレンサルファイ
ド ,ポリカーボネイト ,塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体 ,セルロースエステル ,ポリイミド ,スチ
ロール樹脂等の熱可塑性樹脂。 上記の中では、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリア
ミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂が好適に用いられ
る。
【0061】(3) 液晶ポリマ (4) 感光性樹脂 ,厚膜用フォトレジスト樹脂 (5) ゴム ,合成ゴム (6) ニッケル ,ステンレス ,チタン ,タング
ステン等の薄板 なお、上記(1)〜(5)に挙げた材料は、単体もしく
は組み合わせて用いてもよい。
【0062】以上の(1)〜(6)に挙げた材料の優劣
を比較すると、(1)〜(3)についてはほぼ同等であ
るが、 優 (1)〜(3)>(4)>(6)>(5) 劣 という特徴が見られる。さらに、材料の厚さは100μ
m以下、できれば50μm以下とするのが好ましい。
【0063】接着剤の材料 インクジェットヘッド12の組み立てに用いる接着剤と
しては、次の(1)(2)に挙げるものが使用できる。
ただし、圧電体26を圧電体支持板19に接着する際に
用いる接着剤は、導電性を有する必要がある。 (1) エポキシ樹脂 ,フェノール樹脂 ,フェノキ
シ樹脂 ,アクリル系樹脂 ,フラン樹脂 ,ポリウレ
タン樹脂 ,ポリイミド樹脂 ,シリコーン樹脂等の熱
硬化性樹脂接着剤。 (2) ポリ酢酸ビニル ,ポリ塩化ビニル ,ビニル
アセタール ,ポリビニルアルコール ,ポリビニルブ
チラール等の熱可塑性樹脂接着剤。 (3) UV硬化樹脂接着剤。 (4) 嫌気性硬化型接着剤。
【0064】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
インクジェット記録装置では、各圧電体を一部接着状態
で固定しているので、一の圧電体の振動が基板を介して
他の圧電体に伝播して連動変位することもなく、クロス
トークを完全に抑制することができる。したがって、各
インク室からインク滴を安定して飛翔させることがで
き、印字品質の向上を図れる。
【0065】また、圧電体を一部接着としたことにより
圧電体の変位が飛躍的に大きくなったので、従来例より
極めて低い電圧で同程度のインク飛翔が可能となり、ド
ライバコストの低減を図ることができる。同時に、圧電
体の変位が大きくなったことで、印加電圧を制御するこ
とにより圧電体の変位量の調節が可能になる。その結
果、インク室から飛翔するインク滴の径を任意に変える
ことができ、記録紙上に描かれる画像の色彩についての
中間調再現が可能になる。
【0066】さらに、圧電体の非固定部分を基板方向に
一旦変位させ、圧電体の弾性復元に基づき隔壁を弾いて
インク室を加圧するようにしたので、圧電体を一部接着
としたことと相俟って低電圧駆動と高効率のインク吐出
が可能になる。そしてまた、圧電体と隔壁とを接着すれ
ば高周波応答性を向上させることができ、各圧電体を連
結部を有する櫛歯状に形成すれば更に高効率のインク飛
翔を達成できる。
【0067】加えて、圧電体にインクが直接接触してい
ないので、インクが圧電体に浸透して低抵抗化すること
もない。したがって、実効電圧の低下により圧電体の変
位が小さくなることもなく、結果としてインクジェット
記録装置の安定性、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例であるインクジェット記録装
置の概略構成図である。
【図2】 実施例におけるインクジェットヘッドの全体
斜視図である。
【図3】 実施例におけるインクジェットヘッドの要部
の幅方向断面図である。
【図4】 実施例におけるインクジェットヘッドの要部
の長手方向断面図である。
【図5】 実施例におけるインクジェットヘッドの製造
工程を説明する斜視図である。
【図6】 実施例におけるインクジェットヘッドの製造
工程を説明する斜視図である。
【図7】 実施例におけるインクジェットヘッドの製造
工程を説明する斜視図である。
【図8】 実施例におけるインクジェットヘッドの製造
工程を説明する斜視図である。
【図9】 実施例におけるインクジェットヘッドの製造
工程を説明する斜視図である。
【図10】 実施例におけるインクジェットヘッドの製
造工程を説明する斜視図である。
【図11】 実施例の圧電体に印加する電圧のパルス形
状を示す図である。
【図12】 従来のインクジェットヘッドにおける圧電
体の変位を示す側面図である。
【図13】 実施例のインクジェットヘッドにおける圧
電体の変位を示す側面図である。
【図14】 実施例のインクジェットヘッドにおける圧
電体の変位を説明するための要部幅方向断面図である。
【図15】 実施例のインクジェットヘッドにおける圧
電体の変位を説明するための要部幅方向断面図である。
【図16】 実施例の変形例のインクジェットヘッドに
おける要部の幅方向断面図である。
【図17】 櫛歯状に形成した圧電部材の平面図および
側面図である。
【図18】 従来のインクジェットヘッドの一例を示す
部分断面図である。
【図19】 従来のインクジェットヘッドの一例を示す
部分断面図である。
【符号の説明】
12…インクジェットヘッド、18…スペーサ、19…
圧電体支持板、20…天板、21…凹部、22…隔壁、
23…インク室、24…基板、26…圧電体、27…個
別電極、28…共通電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非圧電部材にインク室となる複数の溝状
    凹部を形成し、上記非圧電部材の凹部形成面に基板を設
    け、この基板上の上記凹部に対応する位置に複数の圧電
    体をそれぞれ配置してなるインクジェットヘッドと、上
    記圧電体を変位させインク室に充填されたインクを加圧
    吐出させるように画像信号に応じて上記圧電体に電圧を
    印加する電圧印加手段とから構成されるインクジェット
    記録装置において、 上記凹部を覆って凹部壁面との間にインク室を形成する
    とともにインク室と上記圧電体とを隔てる隔壁を設け、
    上記圧電体の少なくとも一部分を上記基板に固定せず、
    電圧印加により上記圧電体の非固定部分が基板に向かっ
    て変位し得る空間を形成し、上記圧電体の弾性復元に基
    づきインク室を加圧するようにしたことを特徴とするイ
    ンクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 上記圧電体の一端側が固定され、他端側
    が上記基板に固定されていないことを特徴とする請求項
    1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 上記圧電体の非固定部分と上記隔壁とを
    接着したことを特徴とする請求項1または2に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 上記各圧電体がそれぞれ連結された部分
    を有する櫛歯状に形成されていることを特徴とする請求
    項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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