JPH08187080A - 耐酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ、その製造法及びそれを用いるフラクトースの製造法 - Google Patents

耐酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ、その製造法及びそれを用いるフラクトースの製造法

Info

Publication number
JPH08187080A
JPH08187080A JP3059344A JP5934491A JPH08187080A JP H08187080 A JPH08187080 A JP H08187080A JP 3059344 A JP3059344 A JP 3059344A JP 5934491 A JP5934491 A JP 5934491A JP H08187080 A JPH08187080 A JP H08187080A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glucose
resistant
fructose
enzyme
glucose isomerase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3059344A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3003008B2 (ja
Inventor
Yoshiyuki Takasaki
義幸 高崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Amano Enzyme Inc
Original Assignee
Amano Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Amano Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Amano Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP3059344A priority Critical patent/JP3003008B2/ja
Publication of JPH08187080A publication Critical patent/JPH08187080A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3003008B2 publication Critical patent/JP3003008B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な耐酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ
を用いることで、酸性下で実質的にpHを調整すること
なく、澱粉糖化液からフラクトースを製造する。 【作用】 作用pH、熱安定性などの酵素化学的性質に
おいて公知のグルコースイソメラーゼと異にする新規耐
酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ、該酵素生産能を有
するストレプトマイセス属菌を培養し、該酵素を生産
し、これを採取する耐酸、耐熱性グルコースイソメラー
ゼの製造法及び該酵素をグルコース含有液に作用させ、
フラクトース含有液を得ることを特徴とするフラクトー
スの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸性下でD−グルコー
ス(以下、グルコースと記載)をD−フラクトース(以
下、フラクトースと記載)に変換する新規な耐酸、耐熱
性グルコースイソメラーゼ、その製造法及びそれを用い
るフラクトースの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フラクトースは天然に存在する糖の中で
最も甘味の強い糖であり、甘味料として使用されてい
る。フラクトースは、現在、澱粉を原料として製造され
るグルコースをグルコースイソメラーゼで異性化して製
造されており、一般に、異性化糖と呼ばれ、フラクトー
ス42〜45%を含む液糖として市販されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、現在、異性
化糖の製造に使用されている公知のグルコースイソメラ
ーゼは最適pHが8〜9付近にあるため、酸性下で不安
定で、工業的規模でのグルコース異性化反応は、通常、
pH8付近で行われている。一方、澱粉からグルコース
の製造において、α−アミラーゼによる、澱粉の液化反
応はpH6付近で行われ、グルコアミラーゼによる液化
澱粉の糖化反応はpH4.5付近で行われている。
【0004】このように、澱粉から異性化糖の製造にお
いて、澱粉の液化、液化澱粉の糖化、グルコースの異性
化の各工程の反応pHは、それぞれの工程において使用
される酵素の作用条件と安定性から、pH6→4.5→
8と変化させて行うという、煩雑かつ非能率的な方法が
採られているのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、澱粉から異
性化糖の製造を効率的かつ経済的に行うため、グルコア
ミラーゼによる液化澱粉の糖化条件と一致した条件で作
用する耐酸性のグルコースイソメラーゼの検索を行って
きた結果、土壌中より分離し、ストレプトマイセス・エ
スピーG−27(Streptomyces sp.
G−27)と同定した微生物がpH5付近においても効
率的にグルコースをフラクトースに異性化する耐酸性の
グルコースイソメラーゼを生産することを認めた。この
酵素を用いることによって異性化反応の作用pH条件
を、現在、澱粉の液化に使用されているバチルス属のα
−アミラーゼや、液化澱粉の糖化に使用されているアス
ペルギルス属又はリゾープス属のグルコアミラーゼの作
用pH条件と適合させることができ、実質的に一貫した
条件で液化、糖化及び異性化などの反応を行うことがで
きるため、澱粉から能率的かつ経済的に異性化糖を製造
することが可能となった。本発明はこの知見に基づいて
なされたものである。
【0006】以下、本発明の内容を更に具体的に説明す
る。本発明のグルコースイソメラーゼ(以下、本発明の
酵素という)の理化学的性質は下記の通りである。 a)作用:酸性下でD−グルコースをD−フラクトース
に変換する。 b)基質特異性:D−グルコースとD−フラクトースの
相互変換を行う他、D−キシロース、L−アラビノース
とD−リボースをそれぞれ対応するケトースに異性化す
る。しかしD−マンノース、D−ガラクトース、D−ア
ラビノースなどには実質的に作用しない。 c)作用pH:4〜8である。 d)最適pH:7付近に認められるが、pH5付近でも
よく作用し、約30%の活性を示す。 e)最適温度:0.1Mグルコースを基質としpH8、
10分反応での最適温度は85〜87℃である。 f)安定pH:0.1M緩衝液(酢酸又はリン酸緩衝
液)の下で、室温(約25℃)で 時間放置後、残存活
性を測定した。その結果、pH4〜12の範囲で安定で
あった。 g)熱安定性:酵素水溶液を各温度で加熱した結果、8
0℃、85℃では、30分間加熱しても失活は認められ
ず、むしろ活性の増加が認められた。又、90℃、10
分間の加熱では約30%失活した。 h)Km値:グルコースに対するKmは約0.083
M、D−キシロースに対するKmは約0.13Mで、本
酵素はD−キシロースよりもD−グルコースに対してよ
り親和性が大きい。 i)賦活剤:Co2+、Mg2+、Mn2+などにより賦活さ
れる。その活性の強さは、5×10-3MにおいてCoC
2を100%としたとき、MgSO4約42%、MnS
4約17%であった。 j)阻害剤:5×10-3MのHgCl2、AgNO3、C
uSO4、CaCl2などにより阻害された。 k)精製法:硫酸アンモニウムによる分画、DEAE−
セファロースカラムクロマトグラフィー及びセファデッ
クスG−150ゲルろ過などにより電気泳動的に単一ま
で精製することができる。 l)活性測定法:0.1Mのリン酸緩衝液(pH7.
0)、0.01M MgSO4及び0.2Mのグルコー
スを含む溶液0.5mlに、適量の酵素を加え、水で全
量を1.0mlとし、60℃で反応させる。そして生成
したフラクトースをシステイン−カルバゾール法で定量
する。この条件で、1分間に1マイクロモルのフラクト
ースを生成する酵素量を1単位とした。
【0007】本発明の酵素は、現在、工業的に広く使用
されているストレプトマイセス・ルビジノサス(Str
eptomyces rubiginosus)のグル
コースイソメラーゼ(以下、酵素Aという)〔Y. T
akasaki, アグリカルチャル・バイオロジカル
・ケミストリー(Agric. Biol. Che
m.),33巻,1523頁(1969)〕及びストレ
プトマイセス・フェオクロモゲネス(Streptom
yces phaeodhromogenes)のグル
コースイソメラーゼ(以下、酵素Bという)〔N.Ts
umuraら,アグリカルチャル・バイオロジカル・ケ
ミストリー(Agric.Biol.Chem.),2
9巻,1192頁(1965)〕に比べ、以下に記載す
る酵素的性質の差異が認められた。
【0008】すなわち、 (1)本発明の酵素の最適pHは7付近にあるが、図1
に示す通り、pH5以下でもよく作用する。一方、酵素
Aの最適pHは8.5付近にあり、pH6における活性
はpH8.5のときの約30%である。そして、pH5
以下では不安定で実質的に作用しない。又、酵素Bの最
適pHはよりアルカリ側のpH9.3〜9.5に認めら
れていおり、そして同様にpH5以下では実質的に作用
しない。
【0009】(2)本発明の酵素の最適温度は85〜8
7℃にあり、酵素A及び酵素Bに比べ5〜7℃高い。
【0010】(3)本発明の酵素は85℃で30分加熱
しても失活が認められないが、酵素Aは80℃、10分
の加熱で約30%失活し、酵素Bは70℃、10分の加
熱で80〜85%失活する。
【0011】(4)本発明の酵素は、D−グルコースの
他、D−キシロース、D−リボース、L−アラビノース
などにも作用し、それぞれ対応するケトースに異性化す
る。すなわち、本酵素は巾広い基質特異性を示すのに対
し、酵素AはD−グルコースとD−キシロースのみに作
用し、酵素BはD−グルコース、D−キシロースとL−
アラビノースに作用する。
【0012】(5)酵素A及び酵素Bは、D−グルコー
スに対するKm値がD−キシロースに対するKmより大
きく、D−グルコースよりもD−キシロースに対する親
和性の方が大きいのに対し、本発明の酵素は、D−グル
コースに対するKmは約0.083M、D−キシロース
に対するKmは約0.13Mであり、 D−キシロ
ースよりもD−グルコースに対してより親和性が大き
い。
【0013】(6)酵素A及び酵素BはMg2+により最
も強く賦活されるのに対し、本発明の酵素はMg2+より
Co2+によって強く賦活される。
【0014】本発明の酵素の理化学的性質のうち、主な
性質について、公知のグルコースイソメラーゼと比較し
た結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】以上のとおり、本発明の酵素は作用pH、
熱安定性などの性質において、公知のグルコースイソメ
ラーゼに比べ重要な差異が認められ、耐酸性と耐熱性に
優れた新規なグルコースイソメラーゼと考えられるもの
である。
【0017】本発明において使用されるストレプトマイ
セス・エスピー G−27は新たに土壌から発見、分離
されたものであり、その菌学的性質は下記の通りであ
る。尚、本菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に微
工研菌寄第12036号(FERM P−12036)
として寄託されている。
【0018】A.形態 (1)基生菌糸は樹枝状に分岐し発育、液体・固体をと
わず、いかなる培地においても、断裂しない。 (2)気菌糸は単純分枝で、直状の長い胞子連鎖を形成
する。培養が長期となると先端部でゆるく波状になる
が、らせん状は稀である。 (3)胞子柄は基生菌糸から形成されるが、認められる
ほど長くない(10μm以下)。分枝は菌糸の主軸に対
し20〜40℃、分枝数は通常1〜3本。 (4)胞子嚢、菌核、球状体は形成しない。 (5)胞子は気菌糸上にのみ生じ、出来る方向は求心
的。胞子の表面は平滑で、卵円形又は円筒系、1.0×
1.5〜2.0μm、通常50個以上の直状の連鎖とな
る。 (6)基生菌糸、気菌糸の幅はそれぞれ1.0〜1.5
μm。
【0019】 B.各培地における生育状態 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 培 地 発 育 気菌糸 裏面の 溶解性 色調 色素 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− イースト・麦芽 良好 拡散性 盛上り 豊富 絨毯状 黄褐色 なし 寒天培地 皺 淡黄白色 淡桃→灰色 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− オートミール 良好 拡散性 平坦 中庸 絨毯状 黄 色 なし 寒天培地 黄色 淡桃→灰色 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− スターチ・無機 良好 拡散性 平坦 中庸 絨毯状 黄白色 なし 塩寒天培地 淡黄白色 淡桃→灰色 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グリセリン・ア 良好 拡散性 盛上り 中庸 粉状 黄 色 なし スパラギン寒天 黄色 灰白色 培地 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− チロシン寒天 良好 拡散性 平坦 豊富 線状 黒褐色 なし 培地 皺 淡黄白色 白色 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− シュクロース・ 弱い 拡散性 平坦 なし 黒 色 なし 硝酸塩培地 無色 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グルコース・ア 良好 拡散性 平坦 中庸 線状 黄 色 なし スパラギン寒天 黄白色 淡桃→灰色 培地 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 栄養寒天培地 中庸 局限性 平坦 なし 黄白色 なし 黄白色 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ベネット寒天 良好 拡散性 盛上り 中庸 粉状 黄 色 なし 培地 皺 黄白色 淡桃→灰白色 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ペプトン・イー 中庸 局限性 平坦 なし 黄 色 なし スト・鉄寒天 皺 黄白色 培地 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− スターチ合成寒 微 拡散性 無色 なし 無 色 なし −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0020】C.生理学的性質 (1)リトマスミルク:凝固なく消化、リトマス還元な
し (2)ゼラチン液化:なし (3)抗酸性:陰性 (4)グルコース酸化(Hugh−Leifson):
陽性 (5)温度生育性:至適温度39℃、生育温度範囲15
〜45℃ (6)pH生育性:最適pH7.2、生育pH範囲4.
8〜9.5 (7)耐塩性:7% (8)硝酸塩の還元:陽性 (9)硫化水素の生成:陽性 (10)カゼイン分解(Fraizer法):陽性 (11)デンプンの加水分解:陽性 (12)エスクリン加水分解:陽性 (13)リンゴ酸石灰の溶解:陽性 (14)アデニン分解:陽性 (15)キサンチン分解:陰性 (16)チロシン分解:陰性 (17)フェニールアラニン脱アミノ:陰性 (18)ウレアーゼ:陽性 (19)カタラーゼ:陽性 (20)細胞壁タイプ: LL−ジアミノピメリン酸 + meso−ジアミノピメリン酸 − グリシン + リジン − アラビノース − ガラクトース − (21)窒素源の利用性:アスパラギン酸ナトリウム、
カゼミノ酸、β−アラニン、ペプトン、グルタミン酸ナ
トリウム(+++)良く利用する L−アルギニン、硫安、塩安、DL−メチオニン、L−
バリン(++) 利用する 硝酸カリ、硝酸ナトリウム、尿素(+)弱く利用する (22)炭素源の利用性:D−グルコース、D−キシロ
ース、L−アラビノース、L−ラムノース、D−フラク
トース、D−ガラクトース、D−ラフィノース、D−マ
ンニット、i−イノシトール、シュクロース(+++)
良く利用する サリシン(+)利用する
【0021】以上の菌学的諸性質についてバージェイス
・マニュアル・オブ・ディタミネイティブ・バクテリオ
ロジー(Bergey’s Manual of De
terminative Bacteriology)
(第7版)及びThe Actinomycetes
(2巻、152〜292頁)を参照し、本菌をストレプ
トマイセス・エスピー G−27(Streptomy
ces sp. G−27)と同定した。
【0022】本菌を培養してグルコースイソメラーゼを
生産するには、窒素源として、コーンスティープリカ
ー、肉エキス、ペプトン、ブイヨン、カゼイン、大豆
粕、酵母、酵母エキスなど、通常、微生物の培養に使用
される有機窒素源、あるいは塩化アンモニウム、硫酸ア
ンモニウム、尿素、硝酸アンモニウムなどの無機窒素源
を単独又は有機窒素源に補足して使用される。
【0023】炭素源としては、キシロース、又はその原
料であるキシラン及びその派生物が使用される。この
他、ソルビトール、グリセリン、マンノース、グルコー
ス、シュークロースなども有効である。
【0024】以上の窒素源と炭素源の他に、補足する培
地成分としてリン酸塩、マグネシウム塩、コバルト塩、
マンガン塩などが添加される。
【0025】培養は、pH5〜9、好ましくはpH5.
5〜8、温度25〜50℃、好ましくは30℃で1〜4
日間程度行われる。グルコースイソメラーゼは菌体内に
生産される酵素であるので、培養後、ろ過又は遠心分離
により菌体を回収し、そのまま、又は適当な固定化処理
を使用するか、超音波又は自己消化法により該酵素を抽
出し使用される。抽出された酵素は必要により、濃縮
し、硫酸アンモニウム、アセトン、メタノール、エタノ
ールなどで沈殿し、乾燥保存する。
【0026】本発明の酵素を用い、グルコースからフラ
クトースを生成する反応は、20〜60%のグルコース
溶液又はグルコース含有液、例えば、澱粉糖化液が使用
され、pH4.5〜8、温度50〜90℃で行うことが
できる。すなわちアスペルギルス・ニガー又はリゾープ
ス属のグルコアミラーゼを用い、pH4.5〜5.5で
糖化された糖化液を、実質的にpHを調整することな
く、そのまま異性化原料として使用するか、又は、澱粉
液化液又はデキストリン含有液を原料とし、グルコアミ
ラーゼが作用する条件(pH4.5〜5.5、温度55
〜60℃)で、グルコアミラーゼによる糖化と本発明の
酵素による異性化を同時に行うことができる。又、澱粉
を原料とし、α−アミラーゼによる液化、グルコアミラ
ーゼによる糖化と本発明の酵素による異性化の、3つの
反応を、pH5〜6、温度55〜60℃で同時に行い、
澱粉から直接、異性化糖を製造することも可能である。
【0027】さらに又、本発明の酵素は耐酸と耐熱性に
優れているため、公知のグルコースイソメラーゼで平衡
まで異性化した糖液を、pH5〜6、80〜95℃で短
時間処理することにより、フラクトース側に平衡を移動
させ、フラクトース含有量の高い異性化糖を製造する目
的にも使用することができる。
【0028】尚、異性化した反応物の糖組成の分析は高
速液体クロマトグラフィーによるか、又は、フラクトー
スはシステインーカルバゾール法による比色定量によ
り、グルコースはグルコースオキシダーゼを用いる酵素
法により、そして全糖量はアンスロン法又はフェノール
−硫酸法による比色定量法により行われる。
【0029】以下、実施例により本発明の詳細を説明す
る。
【実施例】
実施例1 コーンスティープ・リカー1.5%、各種の炭素源1
%、K2HPO4 0.3%、MgSO4・7H2O 0.
1%、CoCl2 1×10-3Mからなる培地(pH
6)4mlを計18mmの試験管に入れ、常法により殺
菌後、ストレプトマイセス・エスピー G−27(微工
研菌寄第12036号)を接種し、30℃で2日間振盪
培養した。培養後、20KC超音波で細胞を破砕し、抽
出されたグルコースイソメラーゼ活性を測定した。得ら
れた結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2から明らかなように、キシロースの
他、グリセリン、ソルビトールなどによってもグルコー
スイソメラーゼが生産された。
【0032】実施例2 炭素源としてキシロースとグリセリンの混合比を種々変
え(全量、1%)、コーンスティープ・リカー1.5
%、とK2HPO4 0.3%、MgSO4・7H2O 0.
1%、CoCl2 1×10-3Mからなる培地(pH
6)を用い、実施例1と同様、4mlを試験管に入れ、
常法により殺菌後、ストレプトマイセス・エスピー G
−27(微工研菌寄第12036号)を接種し、30℃
で2日間振盪培養した。培養後、実施例1と同様にし
て、生産されたグルコースイソメラーゼ活性を測定した
結果は表3に示す通りであった。
【0033】
【表3】
【0034】表3から明らかなように、キシロース0.
6%とグリセリン0.4%添加したとき生産量が最も高
かった。
【0035】キシロース0.6%、グリセリン0.4
%、コーンスティープ・リカー1.5%、K2HPO4
0.1%、MgSO4・7H2O 0.1%、CoCl2
1×10-3Mからなる培地(pH6)で培養した菌体
から抽出された酵素液に、硫酸アンモニウムを60%飽
和になるように加え、生成した沈殿を透析し、DEAE
−セファロースカラムクロマトグラフィー、セファデッ
クスG−150カラムクロマトグラフィーを行って精製
酵素を調製した。精製採取された本発明のグルコースイ
ソメラーゼは電気泳動的に単一であった。
【0036】実施例3 実施例2に従って培養し、得られた本発明のグルコース
イソメラーゼを用いグルコース異性化反応の条件につい
て試験した。 (1)反応pHの影響 グルコース各200mg、各pHの酢酸又はリン酸緩衝
液0.08M、MgSO4 5×10-3M、CoCl2
1×10-3M、グルコースイソメラーゼ0.11単位、
全量1.0mlで、60℃で反応した。得られた結果は
図1に示す通りであった。
【0037】図1から明らかなように、本酵素はpH5
付近でもよく作用し、効率的に反応が進行した。
【0038】(2)反応温度の影響 グルコース各400mg、pH5.0の酢酸酸緩衝液
0.08M、MgSO41×10-2M、CoCl2 1×
10-3M、グルコースイソメラーゼを基質1g当たり2
単位加え、全量1.0mlで、60℃、65℃、70℃
で反応した。得られた結果は図2に示す通り、70℃に
おいて最も効率的に反応が進行した。
【0039】実施例4及び実施例5においては、本発明
のグルコースイソメラーゼとグルコアミラーゼを用いデ
キストリンから糖化と異性化反応を同時に行った結果に
ついて示す。
【0040】グルコアミラーゼとしては、市販のアスペ
ルギルス・ニガー〔製品名:グルクザイムNL,天野製
薬(株)製造〕及びリゾープス・デレマー〔製品名グル
クザイム6000、天野製薬(株)製造〕の生産するも
のを使用した。 実施例4
【0041】デキストリン約30%、MgSO4 1×
10-2M、CoCl2 1×10-3M、アスペルギルス
・ニガーのグルコアミラーゼを基質1g当たり36単
位、及び実施例2に従い調製した本発明の酵素を基質1
g当たり4単位加え、pH5.0で、60℃で48時間
反応した。得られた結果を表4と図3に示す。48時間
後、異性化率46.9%の異性化糖液が得られた。
【0042】
【表4】
【0043】実施例5 デキストリン約30%、MgSO4 2×10-2M、C
oCl2 1×10-3M、リゾープス・デレマーのグル
コアミラーゼを基質1g当たり18単位、及び実施例2
に従い調製した本発明の酵素を基質1g当たり4単位加
え、pH5.0、pH5.25及び5.5において60
℃で72時間反応した。得られた結果を表5に示す。p
H5.25において、糖化反応が最も効率的に進行し、
糖化率94.3%、異性化率45.9%の糖液が得られ
た。
【0044】
【表5】
【0045】実施例6 バレイショ澱粉約30%、MgSO4 1×10-2M、
CaCl2 1×10-3MをpH5.5で90℃に加熱
後、バチルス・ズブチリスのα−アミラーゼ〔製品名ア
ミラーゼADアマノ:天野製薬(株)製造〕を基質1g
当たり10単位加え、澱粉を液化し、次いで該液化澱粉
(pH5.5)を60℃に冷却後、実施例5で使用した
リゾープス・デレマーのグルコアミラーゼを基質1g当
たり36単位加え糖化した。得られた糖化液(pH5.
5)に実施例2に従い調製した本発明の酵素を基質1g
当たり4単位加え、60℃で48時間反応したところ、
異性化率46.9%の異性化糖液が得られた。
【0046】
【発明の効果】本発明の耐酸性、耐熱性グルコースイソ
メラーゼは、澱粉の液化に使用されているα−アミラー
ゼ及び液化澱粉の糖化に使用されているグルコアミラー
ゼの作用条件に適している。そのため実質的に一貫した
条件で液化、糖化及び異性化などの反応を行うことがで
きるため、澱粉から能率的かつ経済的に異性化糖を製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵素を用いた異性化反応条件での反応
pHの影響を示している。図中−○−はpH4.7、−
●−はpH4.9、−△−はpH5.2、−黒三角−は
pH5.5及び−□−はpH6.8の場合をそれぞれ示
す。
【図2】本発明の酵素の最適温度を示している。
【図3】本発明の酵素の熱安定性を示している。図中−
○−は80℃、−●−は85℃及び−□−は90℃の場
合をそれぞれ示す。
【図4】本発明の酵素を用いた異性化反応条件での反応
温度の影響を示している。図中−○−は60℃、−●−
は65℃及び−□−は70℃の場合をそれぞれ示す。
【図5】デキストリンを基質とし、グルコアミラーゼに
よる糖化反応と本発明の酵素による異性化反応を同時に
行った結果を示している。図中−○−はフラクトース量
及び−●−は全糖量をそれぞれ示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有する耐酸、耐熱
    性グルコースイソメラーゼ。 a)作用:酸性下でD−グルコースをD−フラクトース
    に変換する。 b)基質特異性:D−グルコースとD−フラクトースの
    相互変換を行う他、D−キシロース、L−アラビノース
    とD−リボースをそれぞれ対応するケトースに異性化す
    る。しかしD−マンノース、D−ガラクトース、D−ア
    ラビノースなどには実質的に作用しない。 c)作用pH:4〜8である。 d)最適pH:7付近である。 e)最適温度:85〜87℃である。 f)安定pH:pH4〜12付近である。 g)温度安定性:pH7において80〜85℃で30分
    で安定である。 h)Km値:グルコースに対するKmは約0.083
    M、D−キシロースに対するKmは約0.13Mであ
    る。 i)賦活剤:コバルトイオン、マグネシウムイオン、マ
    ンガンイオンなどにより賦活される。 j)阻害剤:水銀イオン、銀イオン、銅イオン及びカル
    シウムイオンで阻害される。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐酸、耐熱性グルコース
    イソメラーゼ生産能を有するストレプトマイセス属菌を
    培養し、該グルコースイソメラーゼを生産し、これを採
    取することを特徴とする耐酸、耐熱性グルコースイソメ
    ラーゼの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の耐酸、耐熱性グルコース
    イソメラーゼをグルコース含有液に作用させ、得られる
    フラクトース含有液を採取することを特徴とするフラク
    トースの製造法。
JP3059344A 1991-02-28 1991-02-28 耐酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ、その製造法及びそれを用いるフラクトースの製造法 Expired - Fee Related JP3003008B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3059344A JP3003008B2 (ja) 1991-02-28 1991-02-28 耐酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ、その製造法及びそれを用いるフラクトースの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3059344A JP3003008B2 (ja) 1991-02-28 1991-02-28 耐酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ、その製造法及びそれを用いるフラクトースの製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08187080A true JPH08187080A (ja) 1996-07-23
JP3003008B2 JP3003008B2 (ja) 2000-01-24

Family

ID=13110592

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3059344A Expired - Fee Related JP3003008B2 (ja) 1991-02-28 1991-02-28 耐酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ、その製造法及びそれを用いるフラクトースの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3003008B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006149369A (ja) * 2004-10-29 2006-06-15 Matsutani Chem Ind Ltd 異性化糖を含む難消化性デキストリンの製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012532589A (ja) 2009-07-10 2012-12-20 セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ アルコール含量が減少したアルコール飲料の製造のための方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006149369A (ja) * 2004-10-29 2006-06-15 Matsutani Chem Ind Ltd 異性化糖を含む難消化性デキストリンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3003008B2 (ja) 2000-01-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4284722A (en) Heat and acid-stable alpha-amylase enzymes and processes for producing the same
KR830010192A (ko) 디브랜칭 효소 생성물, 그 제법 및 그 이용 방법
JP3557288B2 (ja) 還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する組換え型耐熱性酵素
US5188956A (en) Thermostable amylase
Yoshida et al. Production and application of maltose phosphorylase and trehalose phosphorylase by a strain of Plesiomonas
JP3559609B2 (ja) 組換え型酵素とその製造方法並びに用途
JPS61162183A (ja) プルラナ−ゼ様酵素の製造法
US5281527A (en) Process for producing pullalanase
JP3235904B2 (ja) 耐熱性マンノースイソメラーゼ及びその製造法並びにこれを用いたマンノースの製造法
CA1081633A (en) Heat and acid-stable alpha-amylase enzymes and processes for producing the same
JP3003008B2 (ja) 耐酸、耐熱性グルコースイソメラーゼ、その製造法及びそれを用いるフラクトースの製造法
US4061539A (en) Preparation and use of glucose isomerase
JPH05236959A (ja) プルラナーゼ、その製造法及び該酵素を用いる澱粉の 糖化法
KR930018029A (ko) 절지효소 및 이의 제조방법
JPH0515368A (ja) 新規プルラナーゼおよびその製造方法
JP3814005B2 (ja) 耐酸性グルコースイソメラーゼによるグルコースからフラクトースへの変換方法
US4605619A (en) Process for preparing fructose from starch
JP3557276B2 (ja) 酵素をコードするdnaとそれを含む組換えdna並びに形質転換体
JPH0155877B2 (ja)
JP3557271B2 (ja) 酵素をコードするdnaとそれを含む組換えdna並びに形質転換体
JP4439153B2 (ja) 耐熱性マンノースイソメラーゼ及び該酵素を用いたマンノースの製造法
KR820001311B1 (ko) 글루코즈를 프락토즈로 전환시키는 방법
JP2623509B2 (ja) 分岐マルトオリゴ糖の製造法
JPS6331194B2 (ja)
KR820001312B1 (ko) 글루코즈-이성화 효소의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071119

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081119

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees