JPH08187039A - l−メントールの収得方法 - Google Patents

l−メントールの収得方法

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JPH08187039A
JPH08187039A JP166595A JP166595A JPH08187039A JP H08187039 A JPH08187039 A JP H08187039A JP 166595 A JP166595 A JP 166595A JP 166595 A JP166595 A JP 166595A JP H08187039 A JPH08187039 A JP H08187039A
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JP
Japan
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menthol
culturing
plant
medium
soil
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JP166595A
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English (en)
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Iwao Asai
以和夫 浅井
Toshiro Omoto
俊郎 大本
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SANEI GEN F F I Inc
San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
SANEI GEN F F I Inc
San Ei Gen FFI Inc
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 香料として広く使用されているl−メントー
ルを、シソ科植物から効率的に収得する方法を提供す
る。 【構成】 シソ科植物であるメンタアルベンシスのシュ
ートを培養することにより幼植物体を増殖させ、その幼
植物体を土壌に移植、栽培することにより、本来の種か
らの栽培と比較して短期間にl−メントール含量の高い
植物体を得ることができる効率的なl−メントールの収
得方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、l−メントールの収得
方法に関する。lーメントールは香料として医薬品、歯
磨き、チューインガム、冷菓、飲料等の食品、更に煙草
等に利用されている。
【0002】
【従来の技術】メントールには合成品と天然品がある
が、普通メントールといえば、はっか油から得られるl
−メントール(はっか脳)をさす。はっか油は、はっか
(Menthaarvensis)の全草から水蒸気蒸留や溶剤抽出等
により得られ、その収油率は約1.3〜1.6%(重
量、以下同じ)であり、又、はっか油中のl−メントー
ルの含有量は約65〜85%である。l−メントール
は、はっか油を冷却し、結晶として分離精製して得られ
る。このl−メントールは重要な香気成分であり、食
品、医薬品、化粧品工業等において頻繁に使用されてい
る。l−メントールは、合成により製造することが確立
されているが、天然の物を大量にかつ効率的にシソ科植
物から生産する方法は確立されていない。現在、天然の
植物体中から抽出して製造する場合、天然物を原料とし
ているため、その生産が天候に左右されること、収穫時
期が限定されていることが問題となっている。そのた
め、このl−メントール及びモノテルペン類を植物の組
織培養により生産する研究が行われた。
【0003】これまでに、メンタ属植物については、川
邊等によるメンタアルベンシスのカルスからの増殖と不
定根・不定芽からの幼植物体再生に関する報告(Plant
Tissue Culture,10(4),184-187(1993))と植物ホルモン
(ベンジルアミノプリン)の濃度によるモノテルペン成
分の生産比率の違いに関する報告(Biosci.Biotech.Bio
chem.,57(4),657-658(1993))が、また、メンタピペリ
ータ(M.piperita)の培養については、Kim と Lee の
培地の条件による生産物への影響の報告(J.Korean Agr
ic.Chem.Sci.,35(6),443-448(1992))等がある。しか
し、l−メントールの大量生産方法は見当たらない。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】天然のl−メントー
ルを植物の栽培から生産する場合、天然物を原料として
いるため、その生産が天候に左右されること、収穫時期
が限定されることや雑草、害虫等の問題があった。ま
た、栽培では6ヶ月かかって収穫し、メントール含量が
約12mg/g(新鮮重量)しか採れていなかった。本
発明は、メンタアルベンシスのシュートを効率良く培養
して、土壌移植することにより短期間で簡易な方法によ
り,l−メントールを安定に収得する方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明は、メンタアルベ
ンシスからl−メントールを生産するために、シュート
の培養を行い、得られた幼植物体を土壌に移植すること
によりl−メントール含量の高いメンタアルベンシスが
得られ、効率的にl−メントールが生産されることを見
出し、本発明を完成するに至った。シュートの培養条件
及び培養方法を以下に示す。本発明で使用される培地
は、無機成分及び炭素源を必須成分とし、必要に応じて
ビタミン類、アミノ酸類を添加した培地である。該培地
の無機成分としては、具体的に硝酸カリウム、硝酸アン
モニウム、塩化カルシウム、リン酸2水素カリウム、リ
ン酸2水素ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第1
鉄、硫酸第2鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、モリブデン酸
ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸亜鉛、ホウ酸、塩化
コバルト等の化合物を例示できる。
【0006】該培地の炭素源としては、ショ糖などの炭
水化物とその誘導体、脂肪酸などの有機酸およびエタノ
ールなどの1級アルコール等を例示できる。該培地のビ
タミン類は、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン
(ビタミンB6)、ビオチン、アスコルビン酸(ビタミ
ンC)、ニコチン酸、イノシトール等が例示される。該
培地のアミノ酸類は、グリシン、アラニン、グルタミン
酸、システイン、フェニルアラニン及びリジン等が例示
できる。通常、培地の無機成分を約0.1μM〜100
mM、炭素源を約1〜10%、ビタミン類及びアミノ酸
類をそれぞれ約0.1〜500mg/l程度とすること
が出来る。
【0007】本発明のメンタアルベンシスのシュートの
培養に用いられる培地として具体的には、従来から知ら
れている植物の組織培養に用いられている培地(無機成
分、ビタミン類、アミノ酸類を含んでいる)、例えば、
ムラシゲ・スクッグ培地、ガンボルグ培地、ウッディプ
ラント培地等に前述した炭素源を添加し、更に必要に応
じて前述したビタミン類、アミノ酸類を添加して調製さ
れる培地を例示できるが、本発明では、この中でも特に
ムラシゲ−スクッグ培地(3%ショ糖)を用いて調製さ
れる培地が好ましい。
【0008】液体培養の方法としては、静置培養、振と
う培養、回転培養等が例示できるが、本発明では、振と
う培養が好ましい。固形培地に使用するゲル化剤は、各
種寒天、アガロース、ゲランガム、ジェルライト等が例
示できるが、本発明では、ジェルライトを用いるのが好
ましい。シュートの植え付け量は、広い範囲で変えるこ
とができる。通常、シュートを用いる場合、液体培養で
は、30mlの培地に対してシュートの長さ約1〜3c
m(約20〜60mg:新鮮重量)を1本、固形培養で
は、20mlの培地に対して(内径2.5cmで高さ1
2〜15cmの培養用試験管)シュートの長さ約0.5
〜2cm(約10〜40mg:新鮮重量)を1本、植え
付けることが望ましい。培養温度は、約22〜27℃が
適している。光り照射時間は、一日の内16時間照明が
適している。
【0009】シュートの培養方法を以下に示すが、ほん
の一例であり上記の培養条件を満たしていれば培養可能
である。培養は、ホルモン無添加のムラシゲ・スクーグ
の固形培地(3%ショ糖添加、pH5.6〜5.8(1
NKOHで調整)、0.2%ジェルライト添加)を調製
し、植物組織培養用試験管(内径25〜30mm、長さ
120〜150mm)に約20ml分注する。この培地
をオートクレーブ(120℃、15分)殺菌して無菌培
地を調製し、メンタアルベンシスの無菌植物体の頂芽及
び側芽(約2cm)を1本ずつ植え付け、25℃、一日
の内16時間照明下(4000lx)の条件で5〜8週
間培養する。培養で得られた幼植物体が草丈約10cm
になると再び頂芽及び側芽(約2cm)に切り分け(約
1本の頂芽と約4本の側芽が得られる)、上記培地に1
本ずつ植え付け、25℃、一日の内16時間照明下(4
000lx)の条件で5〜8週間培養すると約5本の幼
植物体が得られる。これをもう一度同様に繰り返し培養
することにより、約25本の幼植物体が得られることが
でき、容易に増殖可能となる。
【0010】土壌移植、土壌栽培方法を以下に示す。材
料として、固形培地または液体培地において2〜4週間
培養して得られた幼植物体を使用することが出来るが、
本発明では、約3週間培養して得られた幼植物体を移植
することが望ましい。さらに、幼植物体は、草丈3〜1
0cmの広い範囲で移植できるが、本発明では、4〜6
cmを移植することが望ましい。使用する土壌は、市販
の合成土や赤玉土と川砂及び腐葉土等の混合土が例示で
きるが、本発明では、赤玉土(細粒)と川砂と腐葉土の
体積比が5:1:1の土壌を使用することが好ましい。
栽培温度は、約22〜27℃が適している。光り照射時
間は、一日の内16時間照明が適している。栽培期間
は、8〜10週間が適している。
【0011】l−メントールの収得は、幼植物体が生育
したところで、これらの全草を回収して水蒸気蒸留やジ
エチルエーテル等の有機溶媒を用いて、はっか取卸油を
抽出する。得られたはっか取卸油を冷却することによ
り、lーメントールを結晶として濾過法により分離す
る。その分離したl−メントールをはっか白油を溶媒と
して再結晶を行い精製する。実施例により本発明を説明
する。
【0012】
【実施例】無菌植物体を得るためにメンタアルベンシス
の頂芽部を75%エタノールに30秒浸し、ついで滅菌
した蒸留水で洗浄後、2%次亜塩素酸ナトリウム水溶液
に10分間浸し、滅菌蒸留水で3回洗浄した後、頂芽の
先端約5mmを切断し、ホルモン無添加のムラシゲ・ス
クーグ(以下MS培地という)の固形培地(含3%ショ
糖、0.2%ジェルライト)に置床し、25℃、一日の
内16時間照明下の条件で約8週間培養する。得られた
無菌植物体(5本)を頂芽及び側芽(1cm長)に切り
分け、ホルモン無添加のMS培地(含3%ショ糖、0.
2%ジェルライト)で25℃、一日の内16時間照明下
の条件で7週間培養して増殖(30本)する。
【0013】得られた無菌植物体の頂芽約1cm(30
本)をホルモン無添加のMS固形培地(含3%ショ糖、
0.2%ジェルライト)に移植し、一日の内16時間照
明下(4000lx)、25℃で、3週間静置培養し
た。3週間培養して得られた幼植物体(30本)を体積
比が赤玉土:川砂:腐葉土=5:1:1の鉢に移植し、
一日の内16時間照明下(4000lx)、25℃で栽
培し、2、5、8週間後(それぞれ10本)でのメンタ
アルベンシスの茎葉の新鮮重量とl−メントールの含量
を測定し、平均値を求めた。その結果及び通常の栽培を
行った場合の比較を表1に示した(l−メントールの分
析は、茎葉をジエチルエーテルで抽出し、GC−MSを
用いて定量(内部標準:ethyl heptanoate)した)。
【0014】生育に関して、土壌移植後2、5週間では
新鮮重量は、それぞれ0.22、0.29gであり、8
週目では、1.00gとなった。l−メントール生産に
関しては、土壌移植後2、5、8週間でそれぞれ2.8
5、6.88、13.97mg/g(新鮮重量)と著し
く増加した。また、培養から土壌移植した場合と種から
の栽培を比較すると、前者では、11週間で約14mg
/g(新鮮重量)得られるが、後者では、24週間で約
12mg/g(新鮮重量)となり、培養から土壌に移植
した方が栽培より約2培早くlーメントール含量の高い
植物体が得られた。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、メンタアルベンシスが
生産する重要な香気成分のl−メントールを、本植物の
シュートを培養することによって得られた幼植物体を土
壌に移植し、栽培することにより、効率的に簡易な方法
により生産することができる。つまり、栽培においてメ
ントールを生産する場合、種から始めると種植え時期が
限定されると共に、収穫するまでに約6ヶ月時間が必要
となり効率的に生産することが困難となる。更に、天候
や病気、雑草、害虫等の問題も考えなければならない
が、本発明によれば、メンタアルベンシスを3週間培養
後土壌に移植して約8週間で効率的にメントールを生産
でき、天候や雑草の問題が解消できる。また、培養にお
いては、一本の植物体から無限に増殖が可能であり、植
え付ける時期に限定されることはないので、必要に応じ
てメントールを生産することも可能になる。さらに、栽
培におけるメントールの含量は、約6〜12mg/gで
あり、それと比較して培養から栽培に移した場合に短期
間で約14mg/g生産され効率的である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シソ科植物であるメンタアルベンシス
    (Mentha arvensis)のシュートを培養する工程と、前
    記培養により増殖した幼植物体を土壌に移植、栽培する
    工程を含むl−メントールの収得方法。
JP166595A 1995-01-10 1995-01-10 l−メントールの収得方法 Pending JPH08187039A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100468237B1 (ko) * 2000-06-01 2005-01-25 김재조 멘톨의 제조방법
JP2018048098A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 小林製薬株式会社 口腔用又は外用組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100468237B1 (ko) * 2000-06-01 2005-01-25 김재조 멘톨의 제조방법
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