JPH08185830A - 高圧金属蒸気放電ランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造コストを高めることなくランプ製造工程
でのステムピンチ部のクラック発生を防止する。 【構成】 一端部に口金１が取り付けられた外球２内に
発光管が支持され、外球２内で発光管と口金１との間に
金属遮熱板８が設置されている。金属遮熱板８は、外球
２の端部に設けられたステム６のステムピンチ部７の周
囲に配置され、かつ切欠部１２の内縁がステムピンチ部
７と空隙を有して、ステムピンチ部７と非接触状態で設
けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高圧金属蒸気放電ランプ
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、高圧水銀灯やメタルハライドラ
ンプ等の高圧金属蒸気放電ランプにおいては、外球内に
発光管がステムを用いて支持され、このステムの外部リ
ード線が外球の一端部に取り付けられた口金に半田付け
されている。従来、このような高圧金属蒸気放電ランプ
においては、ランプ動作中に高温の発光管からの対流お
よび放射によって口金の半田付け部の温度が過度に上昇
しないように、外球内で発光管と口金との間に金属遮熱
板が取り付けられている。そして、金属遮熱板は、その
中央部から周縁部にかけて切込みを有しており、この切
込みがステムのステムピンチ部にはめ込まれて固定され
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成を、外球として、特に耐熱性の硬質ガラスから
なるチューブラー形状バルブを採用したコンパクトな１
０００Ｗ以上の高ワットタイプのメタルハライドランプ
に適用したところ、ランプ製造工程中で外球とステムと
の封止後にステムピンチ部のガラスにクラックが発生
し、ランプが不良になる比率が著しく増加するという問
題が生じた。これは、外球の封止工程で外球の封止部が
ガスバーナによって高温に加熱されると、ステムピンチ
部の周りにほぼ密着して金属遮熱板が存在するために、
金属遮熱板を境にしてステムピンチ部に大きな温度勾配
が生じることと、ステムのガラスと熱伝導率が著しく異
なる金属遮熱板がステムピンチ部に接触していることに
より、この部分に過度の残留歪が発生するためと考えら
れる。

【０００４】本発明はこのような点にかんがみてなされ
たもので、コストを高めることなくランプ製造工程での
ステムピンチ部のクラック発生を防止することのできる
高圧金属蒸気放電ランプを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の高圧金属蒸気放
電ランプは、外球内に発光管が支持され、前記外球の一
端部に口金が取り付けられ、前記発光管と口金との間に
金属遮熱板が設置された高圧金属蒸気放電ランプにおい
て、前記金属遮熱板は、前記外球の端部に設けられたス
テムのステムピンチ部の周囲に配置され、かつこの金属
遮熱板の切欠部の内縁が前記ステムピンチ部と空隙を有
して、このステムピンチ部と非接触状態で設けられてい
るものである。

【０００６】

【作用】かかる構成により、外球の封止工程において、
外球端部がガスバーナで加熱された時、外球内端部で加
熱された空気が、金属遮熱板で遮断されることなく対流
によってステムピンチ部の周りを通過することができる
ので、その部分に過度な温度勾配を生じない。また、金
属遮熱板がステムピンチ部に接触していないことから、
ステムピンチ部に残留歪が発生することがない。このた
め、外球の封止工程中でのステムピンチ部のクラック発
生を防止することができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を用
いて説明する。

【０００８】図２に示すように、本発明実施例の定格電
力１０００Ｗのメタルハライドランプは、一端部に口金
１が取り付けられたチューブラー形状の耐熱性硬質ガラ
ス製外球２と、この外球内に組み込まれ、かつ支持板３
ａ，３ｂを介して支持線４で支持された石英ガラス製発
光管５と、外球２の一端部に封止され、かつ支持線４を
支持しているガラス製ステム６と、外球２内で発光管５
と口金１との間に位置し、かつステム６のステムピンチ
部７の周囲に後述するように配置されたニッケルメッキ
された鉄板からなる金属遮熱板８とを主要部としてい
る。発光管５の両端には主電極９ａ，９ｂが設けられ、
また主電極９ｂに近接して補助電極１０が設けられ、か
つ発光管５の内部には水銀、始動用希ガスとともによう
化ディスプロシウム、よう化タリウム、よう化セシウム
等の金属ハロゲン化物が封入されている。

【０００９】図１（Ａ）に示すように、金属遮熱板８に
は細長い舌片１１が一体に形成されている。この舌片１
１を起立させることにより、図１（Ｂ）に示すような形
状の切欠部１２が形成されることとなる。切欠部１２
は、中央部がほぼ円形の部分１２ａと、この部分に連設
する細長い部分１２ｂと、同じく部分１２ａに連設する
細長い開口部１２ｃとからなっている。

【００１０】そして、舌片１１の先端部は、ステム６で
支持された２本のステム内部リード線１３の一方に溶接
により固着されている。金属遮熱板８の切欠部１２の内
縁は、ステムピンチ部７と空隙を有していて、ステムピ
ンチ部７と非接触状態になっている。２本のステム外部
リード線１４ａ，１４ｂは、口金１の口金殻１５および
トップ端子にそれぞれ半田付けされて、口金１に第１の
半田付け部１６および第２の半田付け部１７がそれぞれ
形成されている。

【００１１】以上のような構成を有しているので、本発
明実施例のメタルハライドランプによれば、ランプ製造
中、外球２の封止工程で外球２の封止部がガスバーナ
（図示せず）により高温度に加熱されても、外球２内の
加熱された空気が、切欠部１２の存在によって、金属遮
熱板８で遮られることなくステムピンチ部７の表面を対
流によって通過していき、このステムピンチ部７にガラ
ス加工上有害な過度の温度勾配が生じることがないこと
と、ガラスと熱伝導率、すなわち冷却速度が異なる金属
遮熱板８がステムピンチ部７に接触していないことか
ら、ステムピンチ部７に過度な残留歪を生じることがな
く、その結果、外球２の封止工程において、ステムピン
チ部７にクラックが発生するのを防止することができ
て、ランプ不良をなくすことができる。

【００１２】なお、口金を上側にした垂直点灯において
は、ステム外部リード線１４ａと口金殻１５との第１の
半田付け部１６、およびステム外部リード線１４ｂとト
ップ端子との第２の半田付け部１７の温度が高くなりや
すい。そこで、ステムピンチ部７と切欠部１２ｃとの位
置関係については、ランプ完成時において、第１の半田
付け部１６に発光管５からの放射が直接当たらないよう
にする方がよい。切欠部１２ｃの開口部と第１の半田付
け部１６とがランプ中心軸に関してなす角度を９０度以
上（２７０度以下）に設定すると、９０度未満の場合に
比べて、第１の半田付け部１６の温度上昇を低く抑える
ことができる。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
コストを高めることなく、ランプ製造工程でのステムピ
ンチ部のクラック発生を防止することができる。また、
ランプ動作中の口金半田付け部の温度を許容限度内に抑
えることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）本発明の一実施例である高圧金属蒸気放
電ランプの要部拡大斜視図 （Ｂ）同ランプのステムピンチ部に対する金属遮熱板の
配置状態を示す拡大断面図

【図２】同高圧金属蒸気放電ランプの正面図

【符号の説明】

１ 口金 ２ 外球 ５ 発光管 ６ ステム ７ ステムピンチ部 ８ 金属遮熱板 １１ 金属遮熱板の舌片 １２ 切欠部 １２ｃ 開口部 １３ 内部リード線 １４ａ，１４ｂ ステム外部リード線 １６ 第１の半田付け部 １７ 第２の半田付け部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 祇園 洪 大阪府高槻市幸町１番１号 松下電子工業 株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外球内に発光管が支持され、前記外球の
   一端部に口金が取り付けられ、前記発光管と口金との間
   に金属遮熱板が設置された高圧金属蒸気放電ランプにお
   いて、前記金属遮熱板は、前記外球の端部に設けられた
   ステムのステムピンチ部の周囲に配置され、かつこの金
   属遮熱板の切欠部の内縁が前記ステムピンチ部と空隙を
   有して、このステムピンチ部と非接触状態で設けられて
   いることを特徴とする高圧金属蒸気放電ランプ。
2. 【請求項２】 金属遮熱板の切欠部の開口部と口金の半
   田付け部との位置関係を、ランプ軸に関してなす角度が
   ９０度以上となるようにしたことを特徴とする請求項１
   に記載の高圧金属蒸気放電ランプ。
3. 【請求項３】 ランプの定格電力が１０００Ｗ以上であ
   ることを特徴とする請求項１または２に記載の高圧金属
   蒸気放電ランプ。