JPH08184120A - プレキャスト床板接合部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 予め工場等で形成したプレキャスト床板を簡
単に且つ所定の強度で接合して資材等を置くことができ
る鉄骨造建物の床を構築するプレキャスト床板接合部構
造を提供すること。 【構成】 複数の切欠部１２が形成された櫛の歯状の端
部を有し且つ各切欠部１２が位置する端面からアンカー
筋１４を突出させたプレキャスト鉄筋コンクリート床板
１１の端部同志を対向させて、ジベル筋１５が設けられ
た鉄骨建造物の鉄骨梁１３上に配置し、プレキャスト鉄
筋コンクリート床板１１の対向する端部及び鉄骨梁１３
で区画形成される平面的に見て肋骨状のジョイント溝部
１６にコンクリート１８を打設して鉄骨梁１３と一体化
して接合されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はプレキャスト床板接合部
構造に関し、更に詳細には鉄骨造建物において鉄骨梁上
に対向して並べられたプレキャスト鉄筋コンクリート床
板同志及び鉄骨梁のジョイント構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、鉄骨造建物における床は、鉄骨建
て方終了後にデッキプレートを敷き、その上にワイヤー
メッシュや鉄筋を配筋してコンクリートを打設すること
で構築されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような従来の床の構築方法では、デッキプレート上に
配筋してコンクリートを打設するまでは実質的に資材等
を置くことはできず、別途作業用資材を置くための仮設
構台等を設ける必要があった。また、床構築後の仕上げ
工事や設備工事の際には資材の揚重が錯綜し、これを解
決するために揚重設備を増設する必要があり、工期の遅
れや工事費増の要因となっていた。

【０００４】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解
決するためになされたもので、予め工場等で形成したプ
レキャスト床板を用いて鉄骨造建物の床を構築する際、
鉄骨梁上に配列された前記スラブ板の端部を簡単に且つ
所定の強度で接合し、資材等を置くことができるように
するプレキャスト床板接合部構造を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明はプレキャスト床
板接合部構造であり、前述した技術的課題を解決するた
めに以下のように構成されている。すなわち、本発明
は、鉄骨造建物の鉄骨梁上でプレキャスト床板の相対向
する端部を接合する接合部構造であって、前記鉄骨造の
鉄骨梁１３上に相対向して支持され且つ複数の切欠部１
２が長手方向に間隔を開けて形成された前記プレキャス
ト床板１１の端部と、前記鉄骨梁１３上面の中央部に立
設された複数のジベル筋１５と、前記プレキャスト床板
１１の対向する前記端部及び前記鉄骨梁１３で区画形成
されるジョイント溝部１６と、前記鉄骨梁１３上に配置
された前記プレキャスト床板１１の対向端面から前記ジ
ョイント溝部１６に突出するアンカー筋１４と、前記鉄
骨梁１３に支持された前記プレキャスト床板１１の対向
する前記端部に相対向して形成された前記切欠部１２の
間に前記ジョイント溝部１６を横断して配置された添え
筋１７と、前記ジョイント溝部１６に打設されたコンク
リート１８とから構成されていることを特徴とする。以
下、本発明における各構成要素を個別に説明する。

【０００６】（プレキャスト床板）少なくとも接合部と
なる端部に複数の切欠部１２が形成されたプレキャスト
床板１１は工場などで大量生産されるパネルであり、一
般的には鉄筋コンクリートパネルである。これを建造物
の床として用いるような仕様で形成する時プレキャスト
床板１１と称する。このようなプレキャスト床板１１は
内部にスラブ筋と称する鉄筋が埋設されている。

【０００７】（アンカー筋）プレキャスト床板１１の端
部からはアンカー筋１４が突出している。このアンカー
筋１４は異径鉄筋をプレキャスト床板１１内に埋設し、
それぞれその一端部をプレキャスト床板１１の端面から
突出させて構成することができる。勿論、ネジ鉄筋など
を使用することもできる。

【０００８】（ジョイント溝部）相対するプレキャスト
床板１１の端部を鉄骨梁１３上で対向するように配列し
た時これら対向するプレキャスト床板１１の切欠部１２
が形成された端面と鉄骨梁１３とで断面Ｕ字形で且つ平
面で見て肋骨状の溝部が区画形成される。この溝部がジ
ョイント溝部１６であり、このジョイント溝部１６には
プレキャスト床板１１の端面から突出するアンカー筋１
４が当該溝部１６を横断する方向に配置されている。そ
して、このジョイント溝部１６にコンクリート１８が打
設され、前記プレキャスト床板１１同志を接合すると共
に鉄骨梁１３とも一体化させる。

【０００９】（ジベル筋）ジョイント溝部１６において
鉄骨梁１３上面から立ち上がって形成された鉄棒であ
る。ジョイント溝部１６にコンクリート１８が打設され
た時、このジベル筋１５により鉄骨梁１３への一体化が
図られる。このジベル筋は、鉄棒やスタッドボルトなど
で構成することができる。

【００１０】

【作用】本発明のプレキャスト床板接合部構造による
と、複数の切欠部１２が形成された端面からアンカー筋
１４を突出させたプレキャスト床板１１は予め工場等で
形成される。そして、このプレキャスト床板１１を鉄骨
造建物におけるジベル筋１５が設けられた鉄骨梁１３に
配列する。

【００１１】従って、１つの鉄骨梁１３上では両側に配
置されたプレキャスト床板１１の端面が対向し、これら
対向するプレキャスト床板１１端面と鉄骨梁１３とによ
り断面がＵ字形で且つ平面的に見て肋骨状のジョイント
溝部１６が区画形成される。従って、このジョイント溝
部１６における中央溝には各プレキャスト床板１１端面
から突出したアンカー筋１４が横断する方向に配置され
る。

【００１２】次いで、このジョイント溝部１６にコンク
リート１８が打設され、これにより端部を鉄骨梁１３に
乗せられたプレキャスト床板１１同志及びこの鉄骨梁１
３が一体化されて接合される。

【００１３】

【実施例】以下、本発明のプレキャスト床板接合部構造
を図に示される実施例に沿って更に詳細に説明する。図
１には本発明の一実施例に係るプレキャスト床板接合部
１０の構造が示されている。この実施例は、複数の切欠
部１２が形成された櫛の歯状の端部を備える矩形のプレ
キャスト鉄筋コンクリート床板（以下、単にＰＣ床板と
称する）１１を用い、このＰＣ床板１１を鉄骨造建物の
鉄骨梁１３上で接合する際の接合部構造である。このよ
うなＰＣ床板１１は工場等で大量に製造することができ
る。

【００１４】このＰＣ床板１１は、プレキャスト鉄筋コ
ンクリートパネルであり、建造物の床を構成するために
用いる仕様で形成される時これをプレキャスト鉄筋コン
クリート床板と称する。このようなＰＣ床板１１の内部
には文字どおり鉄筋（スラブ筋）が入れられていて必要
な強度が確保されている。

【００１５】このようなＰＣ床板１１には更にアンカー
筋となる多数本の異径鉄筋が埋設されており、その鉄筋
端部はＰＣ床板１１の切欠部１２で端面から突出してい
る。ＰＣ床板１１の切欠部１２の位置で端面から突出し
ているこれら鉄筋端部がアンカー筋１４である。このよ
うなアンカー筋１４は図２から明らかなように上下に存
在している。このアンカー筋１４として異径鉄筋以外に
ネジ鉄筋などを使用することもできる。

【００１６】このように形成されたＰＣ床板１１は、鉄
骨造建物において例えばＨ形鋼からなる鉄骨梁１３上
に、所定の間隔をあけて端面を対向させるように配列支
持される。ＰＣ床板１１の端部が乗せられる鉄骨梁１３
の上面にはその長手方向に所定の間隔で且つ２列にジベ
ル筋１５が立設されている。このジベル筋１５は既によ
く知られているもので、鉄筋よりもやや太い鉄棒で構成
することができるし、或いはスタッドボルト等、種々の
素材で構成することもできる。。

【００１７】鉄骨梁１３へのこのようなＰＣ床板１１の
配置により、各ＰＣ床板１１の対向する櫛の歯形端面と
鉄骨梁１３とで断面Ｕ字形で且つ平面で見て肋骨状の溝
部１６が区画形成される。この溝部１６が即ちジョイン
ト溝部である。図１から明らかなようにジョイント溝部
１６は、実質的に対向するＰＣ床板１１の端部間で形成
される中央の縦方向溝１６ａとＰＣ床板１１端面の対向
する切欠部１２間に向かう枝状の横方向溝１６ｂとから
構成されることになる。

【００１８】各横方向溝１６ｂには上下２本の添え筋１
７が配筋されている。そして、ＰＣ床板１１の下面側に
鉄骨梁上面から外れた切欠部１２を塞ぐ型枠（図示せ
ず）をあてがって支持した上で、このジョイント溝部１
６にコンクリート１８が打設され、これによりＰＣ床板
１１同志並びに鉄骨梁１３は共に強固に一体化される。

【００１９】このようにして所定の間隔をあけ且つ複数
の切欠部によって櫛の歯状に形成された端部を対向させ
て鉄骨梁１３上に配置支持されたＰＣ床板１１は、ＰＣ
床板１１の対向端面と鉄骨梁１３上面とで区画形成され
た平面的にみて肋骨状のジョイント溝部１６にコンクリ
ート１８を打設することによって極めて強固に接合され
ることになる。その結果、鉄骨造建物において床を極め
て短期間に且つ高強度に構築することができることか
ら、工事用資材等の仮置きに利用することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のプレキャ
スト床板接合部構造によれば、所定の間隔をあけ且つ複
数の切欠部により櫛の歯状に形成された端部を対向させ
るように鉄骨梁上に配列支持されたプレキャスト床板
は、このプレキャスト床板の対向する端面と鉄骨梁上面
とで区画形成された平面的に見て肋骨状のジョイント溝
部にコンクリートを打設することによって鉄骨梁と共に
強固に接合され、これにより鉄骨造建物において床を極
めて短期間に且つ所定の強度で構築することができる。

【００２１】その結果、鉄骨造建物においてこの床にい
つでも工事用資材等を仮置きすることができ、換言すれ
ば早期に資材ストックヤードとして使用できる床を形成
することができることから、仕上げ材等の先行揚重によ
り揚重量を削減して揚重設備を最小限に抑えることがで
き、しかも従来のように別途作業用資材を置く仮設構台
を設置する必要もないため、この仮設構台設置の費用な
どが掛からず非常に経済的となる。

【００２２】また、本発明のプレキャスト床板接合部構
造によれば、鉄骨造建物において早期に床の構築が完了
できるため、これが屋根となって以後の作業が天候に左
右されなくなると共に、早期に通路が確保されるため、
作業環境が向上し、鉄骨建て方後の仕上げ工事などへス
ムースの移行することができるなど多大な効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るプレキャスト床板接合
部構造における接合部を示す平面図である。

【図２】図１の２−２線に沿って切断して示すプレキャ
スト床板接合部の断面図である。

【符号の説明】

１０ プレキャスト鉄筋コンクリート床板の接合部 １１ プレキャスト鉄筋コンクリート床板 １２ 切欠部 １３ 鉄骨梁 １４ アンカー筋 １５ ジベル筋 １６ ジョイント溝部 １６ａ 縦方向溝 １６ｂ 横方向溝 １７ 添え筋 １８ 打設コンクリート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萩原 浩 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内 (72)発明者 牧野 真之 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内 (72)発明者 成瀬 忠 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄骨造建物の鉄骨梁上でプレキャスト床
   板の相対向する端部を接合する接合部構造であって、 前記鉄骨造の鉄骨梁上に相対向して支持され且つ複数の
   切欠部が長手方向に間隔を開けて形成された前記プレキ
   ャスト床板の端部と、 前記鉄骨梁上面の中央部に立設された複数のジベル筋
   と、 前記プレキャスト床板の対向する前記端部及び前記鉄骨
   梁で区画形成されるジョイント溝部と、 前記鉄骨梁上に配置された前記プレキャスト床板の対向
   端面から前記ジョイント溝部に突出するアンカー筋と、 前記鉄骨梁に支持された前記プレキャスト床板の対向す
   る前記端部に相対向して形成された前記切欠部の間に前
   記ジョイント溝部を横断して配置された添え筋と、 前記ジョイント溝部に打設されたコンクリートと、から
   構成されていることを特徴とするプレキャスト床板接合
   部構造。