JPH08183740A - 細胞接着阻害剤及び該阻害剤を含む抗炎症剤 - Google Patents

細胞接着阻害剤及び該阻害剤を含む抗炎症剤

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JPH08183740A
JPH08183740A JP6327159A JP32715994A JPH08183740A JP H08183740 A JPH08183740 A JP H08183740A JP 6327159 A JP6327159 A JP 6327159A JP 32715994 A JP32715994 A JP 32715994A JP H08183740 A JPH08183740 A JP H08183740A
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acid
inflammatory
group
peptide
leukocytes
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JP6327159A
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Atsushi Katada
淳 片田
Yoshimi Sato
吉美 佐藤
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式(1) : A−Ser−Arg−Gly−AspーTrp−OH (1) (式中、Aはオロチン酸、ハイドロオロチン酸、ピログ
ルタミン酸、L−2−アゼチジンカルボン酸、プロリ
ン、3、4ーデヒドロプロリン及びサルコシンからなる
群から選ばれる化合物を示す)で表されるペプチドまた
はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有す
る、細胞接着阻害剤。該細胞接着阻害剤を主成分として
含有する抗炎症剤。 【効果】 極めて低毒性であり、また様々な白血球細胞
の関与する幅広い炎症性疾患に対する治療を可能にする
という点で、産業上極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細胞接着阻害剤及び炎
症の際の白血球の活性化および白血球の血管外への遊走
を抑制することにより炎症反応の進行を抑制する新規抗
炎症薬に関する。
【0002】
【従来の技術】炎症反応は、生体防御機構として本来身
体に備わっている免疫系が外的や外来性の物質に対し、
過剰に反応した状態である。細菌や様々な化学物質が体
内に入ると、細菌由来の物質や化学物質そのもの等に反
応した血液中の白血球が血管外に出て(この現象を白血
球の血管外への遊走と呼ぶ)、感染箇所に集まる。これ
らの遊走白血球は血管外へ出ると同時に活性化を受け、
サイトカインと呼ばれる一連の化合物や多くの炎症性の
物質(プロスタグランジン、ロイコトリエン、血小板活
性化因子など)を産生・放出するようになる。これらの
物質が更に他の様々な免疫に関与する細胞を活性化した
り、呼び寄せたりすることにより外敵を排除するわけで
あるが、この反応が過剰に進むと、痛み・腫れ・発熱な
どのいわゆる炎症反応が引き起こされる。
【0003】炎症反応の最初の段階である白血球の血管
外への遊走は、数段階に及ぶ複雑な現象であり、この過
程には白血球と血管内皮細胞との接着や白血球と血管基
底膜との接着など様々な細胞接着が関係している。血流
に乗って流れている白血球は、起炎物質により活性化さ
れた血管内皮細胞が表面に発現させた白血球受容体に結
合することで、炎症部位付近の内皮細胞と接着する。次
に、一度接着した白血球は内皮細胞表面の別の白血球受
容体を利用して、内皮細胞との接着を保ちながら伸展
し、更に内皮細胞の隙間から血管外へと移動する。遊走
した白血球は次に内皮細胞下の基底膜と接着し基底膜を
足場にして更に外へと移動し、炎症部位へと到達する。
この白血球の血管基底膜への接着は、基底膜を構成する
コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミ
ニン等のいわゆる細胞外基質タンパク質と白血球表面に
存在するインテグリンと呼ばれる受容体との相互作用を
介して行われる。
【0004】現在臨床的に使用されている抗炎症剤と呼
ばれるもののほとんどは、これらのステップのうち、活
性化された遊走白血球の機能を抑えたり、炎症部位周辺
の細胞によるサイトカインやその他の炎症性物質の合成
を阻害する物質である。特に炎症性物質産生における最
重要酵素であるシクロオキシゲナーゼの阻害剤は、抗炎
症薬として広く用いられている。しかし、これらの抗炎
症薬は、炎症の種類によっては必ずしも有効ではないこ
とが多く、また作用メカニズム的に胃の粘膜障害(胃潰
瘍を生じさせる)や腎障害等の重大な副作用が不可避で
あり、より副作用の小さくかつ広範な炎症に対する有効
性を有した化合物が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
細胞接着阻害剤、及び当該細胞接着阻害活性を利用した
広範な炎症性疾患に対して有効でありかつ副作用の小さ
い新規抗炎症剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】副作用が少なく、より効
果的な抗炎症剤を開発するためには、従来のシクロオキ
シゲナーゼ阻害剤に代表される抗炎症剤とは異なり、炎
症反応の初期段階を特異的に抑制する必要がある。即
ち、活性化された遊走白血球の機能を抑えるのではな
く、白血球の遊走や活性化そのものを抑えることが有効
である。
【0007】近年、白血球の1種類である単核球は、イ
ンテグリンを介してフィブロネクチンと結合することに
より活性化されることが報告された(平成4年度日本免
疫学会学術集会にて滝澤らが発表)。即ち、白血球の細
胞外基質タンパク質へのインテグリンを介した接着は、
白血球の遊走に必須であるだけでなく遊走した白血球の
活性化にも関与していることになる。
【0008】発明者らは、このような白血球の遊走及び
活性化の阻害物質として白血球の細胞外基質タンパク質
へのインテグリンを介した細胞接着を抑制する物質が適
当であると考えて鋭意研究を重ねた結果、特定のペプチ
ドがこの細胞接着を阻害し、抗炎症剤としても有効であ
ることを見出して、本研究を完成するに至った。即ち、
本発明は、下記一般式(1) : A−Ser−Arg−Gly−AspーTrp−OH (1) (式中、Aはオロチン酸、ハイドロオロチン酸、ピログ
ルタミン酸、L−2−アゼチジンカルボン酸、プロリ
ン、3、4ーデヒドロプロリン及びサルコシンからなる
群から選ばれる化合物を示す)で表されるペプチドまた
はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有す
る、細胞接着阻害剤を提供する。また、本発明は、上記
細胞接着阻害剤を有効成分として含有する抗炎症剤を提
供する。
【0009】上記一般式(1)中のAは、アミノ基を有す
る天然型L体アミノ酸ではなく、上記のようなL体アミ
ノ酸の中でも2級のイミノ基を有するもの(ここでは、
プロリン、3,4−デヒドロプロリン及びサルコシ
ン)、生体内に存在する有機カルボン酸またはその簡単
な類縁体である化合物(ピログルタミン酸、L−2−ア
ゼチジンカルボン酸)及びカルボキシル基を有するビタ
ミンまたはビタミン様作用物質(オロチン酸及びハイド
ロオロチン酸)である。上記一般式(1)中のAが、上記
のようなアミノ基を有する天然型L体アミノ酸以外の生
体内アミノ酸、または生体内有機カルボン酸およびその
誘導体が適している理由は以下の通りである。
【0010】(1)体内で分解を受けた際に、非天然型
の物質は高毒性の代謝産物を産生する可能性があり、毒
性・副作用の点で問題がある。 (2)アミノ末端をオロチン酸等の上記Aとして示した
化合物で塞ぐことにより、体内に広範に存在するアミノ
ペプチダーゼによる分解から上記一般式(1)で表される
ペプチドを保護することができる。アミノペプチダーゼ
は、気管などの粘膜上皮、消化管、血液等に存在する酵
素である。それ故、上記一般式(1)で表されるペプチド
のアミノ末端を保護することにより、経口投与(胃を経
由し小腸内で吸収)や気管、鼻粘膜、舌下等の粘膜上皮
からの投与の際に吸収効率を大幅に向上させると共に、
血液中での分解率の低下に起因する体内保持時間の向上
を可能にする。
【0011】(3)上記Aとして示した化合物をペプチ
ドの末端に導入すると、従来から知られている単純なペ
プチド性の化合物であるArg-Gly-Asp-Ser-OHに比べ、細
胞接着阻害および抗炎症作用という点で大きな活性の上
昇がみられた。また上記Aとして示した化合物を末端に
導入することで、各種の細胞外基質タンパク質に対する
様々な白血球細胞の接着を阻害するという、広い作用範
囲の獲得が可能になった。即ち、上記一般式(1)で表さ
れるペプチドは、様々な種類の細胞外基質タンパク質に
対する様々な種類の白血球細胞の接着を阻害すると言う
点で非常に広範な抗炎症作用を示すものである。
【0012】以上のような理由で、上記一般式(1)で表
されるペプチドは従来報告されてきたような、単純な構
造を持つペプチド性RGD化合物に比べ明らかに抗炎症
薬として優れていると考えられる。
【0013】上記一般式(1)で表されるペプチドまたは
その薬学的に許容される塩は、強い細胞接着阻害活性を
有するだけでなく、フィブロネクチン、コラーゲン、ラ
ミニン、ビトロネクチン等に代表される様々な細胞外基
質タンパク質に対する単核球または多形核白血球(好酸
球、好中球、好塩基球など)などに代表される各種の白
血球細胞の細胞接着を阻害するという幅広い作用スペク
トラムを有する。このことは本発明の化合物が様々な種
類の白血球の遊走に対して阻害作用を有していることを
示しており、様々なタイプの炎症性疾患に対し炎症抑制
作用を発揮することが期待できる。
【0014】また、上記一般式(1)で表されるペプチド
またはその薬学的に許容される塩は白血球表面のフィブ
ロネクチン受容体と基底膜のフィブロネクチンとのイン
テグリンを介した相互作用を効果的に阻害する作用を有
しており、単核球の活性化及び単核球によるインターロ
イキン1の放出を抑制する作用も期待できる。このよう
に、本発明の化合物は、様々な種類の白血球の遊走を効
果的に阻害するだけでなく、単核球の活性化も抑制する
ことが期待でき、両者の相乗的な作用により、広範な炎
症性疾患に対し強力な抗炎症作用を発揮するという点
で、従来の抗炎症剤に比べより有用性が高い。
【0015】上記一般式(1)で表されるペプチドまたは
その薬学的に許容される塩は、分解産物だけでなく分子
全体としても非常に安全な化合物である。尚、本明細書
において、アミノ酸、ペプチド、その他に関して略号で
表示する場合、国際純正および応用化学連合(IUPA
C)、国際生化学連合(IBU)の規定或いは該当分野
における慣用記号に従うものとする。また、遺伝制御に
直接関連のあるα−アミノ酸に関して光学異性体があり
うる場合は、特に明示しなければL体を示すものとす
る。以下にその例を示す。
【0016】 Arg : アルギニン Asp : アスパラギン酸 Gly : グリシン Ser : セリン Trp : トリプトファン
【0017】上記一般式(1)で表されるペプチドは、市
販のアミノ酸を利用して、簡単な操作で容易に合成する
ことができる。すなわち、ペプチド化学において通常用
いられる方法、例えば、「ザ ペプチド(The Peptide
s) 」第1巻〔Schroder and Luhke著,Academic Press,
New York, U.S.A.(1966 年)〕、「ペプチド合成の基
礎と実験」〔泉屋信夫ら著丸善(株)(1985年)〕等に記
載されている方法によって製造することが可能であり、
液相法及び固相法のいずれによっても製造できる。さら
に、カラム法、バッチ法のいずれの方法も用いることが
できる。
【0018】ペプチド結合を形成するための縮合方法と
して、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、カルボ
ジイミド法、カルボジイミド−アディティブ法、活性エ
ステル法、カルボニルイミダゾール法、酸化還元法、酵
素法、ウッドワード試薬Kを用いる方法等を例示するこ
とができる。なお、固相法での縮合反応は上記した方法
のうち、酸無水物法、カルボジイミド法、及び活性エス
テル法が主な方法として挙げられる。
【0019】さらに、固相法でペプチド鎖を延長すると
きは、C末端アミノ酸を用いる有機溶媒に対して不溶な
樹脂等の支持体に結合する。ここでは、アミノ酸を樹脂
に結合させる目的で官能基を導入した樹脂や、樹脂と官
能基の間にスペーサーを挿入したもの、更に条件によっ
て種々の箇所で切断できるハンドル(handle)と称する
鎖を導入した樹脂を目的に応じて用いることもできる。
このような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂な
どのハロメチル樹脂、オキシメチル樹脂、4−(オキシ
メチル)−フェニルアセトアミドメチル樹脂、4−(オ
キシメチル)−フェノキシメチル樹脂、C末アミド化用
樹脂などを挙げることができる。
【0020】なお、これらの縮合反応を行なう前に、通
常公知の手段によって当該縮合反応に関与しないカルボ
キシル基やアミノ基やアルギニン残基中のグアニジド基
等の保護手段を施すことができる。また逆に当該縮合反
応に直接関与するカルボキシル基やアミノ基を活性化す
ることもできる。
【0021】保護手段に用いる保護基としては、有機化
学の分野において通常用いられている保護基、例えば
「プロテクティブ グループス イン オーガニック
シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)
〔Greene著,John Wiley & Sons,Inc.(1981)〕等に記載
されている保護基によって保護することが可能である。
セリン残基等の水酸基を含むアミノ酸残基中の水酸基の
保護基としては、例えばt-ブチル基、ベンジル基、トリ
メチルシリル基、テトラハイドロピラニル基等を挙げる
ことができる。
【0022】カルボキシル基の保護基としては、例え
ば、各種のメチルエステル、エチルエステル、ベンジン
エステル、p−ニトロベンジンエステル、t−ブチルエ
ステル、シクロヘキシルエステル等の通常公知の保護基
を挙げることができる。アミノ基の保護基としては、例
えば、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカル
ボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、9−フル
オレニルメトキシカルボニル基等を挙げることができ
る。
【0023】アルギニン残基中のグアニジノ基の保護基
としては、例えば、ニトロ基、トシル基、メシチレンス
ルフォニル基、4−メトキシ−2,3,6−トリメチル
ベンゼンスルフォニル基、2,2,5,7,8−ペンタ
メチルクロマン−6−スルフォニル基等を挙げることが
できる。
【0024】カルボキシル基の活性化されたものとして
は、例えば、当該カルボキシル基に対応する酸無水物;
アジド;ペンタフルオロフェノール、2,4−ジニトロ
フェノール、シアノメチルアルコール、p−ニトロフェ
ノール、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキ
シ−5−ノルボルネン−2,3ジカルボキシミド、N−
ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシベンゾトリア
ゾール等との活性エステル等を挙げられる。
【0025】アミノ基の活性化されたものとしては、当
該アミノ基に対応する燐酸アミド等を挙げることができ
る。ペプチド合成の際の縮合反応は、通常溶媒中で行な
われる。当該溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジ
クロロメタン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジオキサン、
テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、水、メタ
ノール等、又は、これらの混合物を挙げることができ
る。また、当該縮合反応の反応温度は、通常の場合と同
様に、−30℃〜50℃の範囲で行なうことができる。
【0026】さらに、本発明のペプチド製造工程におけ
る保護基の脱離反応の種類は、ペプチド結合に影響を与
えずに保護基を離脱させることができる限りにおいて、
用いる保護基の種類に応じて選択することができる。例
えば、塩化水素、臭化水素、無水フッ化水素、メタンス
ルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオ
ロ酢酸、又はこれらの混合物等による酸処理、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、ヒドラジン、ジエチルアミ
ン、ピペリジン等によるアルカリ処理;、液体アンモニ
ア中におけるナトリウム処理やパラジウム炭素による還
元;及び、トリメチルシリルトリフラート、トリメチル
シリルブロマイド等のシリル化処理等が挙げられる。な
お、上記の酸又はシリル化剤処理による脱保護基反応に
おいては、アニソール、フェノール、クレゾール、チオ
アニソール、エタンジチオールの如きカチオン補足剤を
添加するのが脱保護基反応が効率的に実行されるという
点において好ましい。
【0027】なお、固相法で合成したペプチドの固相か
らの切断方法も通常公知の方法に従う。例えば、上記の
酸又はシリル化剤による処理等を当該切断方法として挙
げることができる。
【0028】このようにして製造された上記一般式(1)
で表されるペプチドに対しては、上記の一連の反応の終
了後に通常公知の分離、精製手段を駆使することができ
る。例えば、抽出、分配、再沈殿、再結晶、カラムクロ
マトグラフィー等によって、より純粋なかたちで本発明
ペプチドを収得することができる。
【0029】また、上記一般式(1)で表されるペプチド
の塩としては、上記ペプチドの製造工程における反応条
件によって得られるものが挙げられ、具体的には塩酸、
硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸塩類;ギ酸、酢酸、プ
ロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石
酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類;ナトリ
ウム、カリウム、等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等
のアルカリ土類金属塩類;アンモニウム、エタノールア
ミン、トリエチルアミン、ジシクロヘシルアミン等の有
機アミン類等を挙げることができ、本発明では薬学的に
許容される塩を使用する。
【0030】本発明の細胞接着阻害剤および抗炎症剤の
投与経路としては、まず注射および点滴による静脈内へ
の投与が挙げられる。この場合には、上記一般式(1)で
表されるペプチドを生理食塩水等の適当な溶液に溶解し
て、直接注射または点滴薬に混合して使用する方法が考
えられる。また、鼻粘膜からの吸収、口内粘膜からの吸
収、気管支上皮からの吸収など、粘膜および皮膚からの
投与も有効である。この場合は適当な賦形剤や基質を組
み合わせるて用いることにより、張布剤、舌下錠、エア
ロゾル製剤等の形態を取ることができる。また、トリプ
シンインヒビター、アプロチニン、プロマイシン、カモ
スタット、バシトラシン等の酵素阻害剤や胆汁酸等の化
合物と混合して経口投与することも可能である。
【0031】また、本発明の細胞接着阻害剤および抗炎
症剤の投与量は、体重1kg当たり0.05〜50mgの範囲内で
あるが、患者の年齢、体重、症状、投与方法により適宜
決定する必要がある。また本発明の抗炎症薬は、従来の
シクロオキシゲナーゼ阻害薬などの作用機序の異なる抗
炎症薬と併用することにより、相乗的な効果が期待でき
る。この場合、個々の薬剤の使用量をより少量にするこ
とが可能である。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。しかしながら本実施例によって本発明の範囲が
限定されるものではない。また、実施例において使用し
た化合物は、 化合物1:Pyroglutamic-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH 化合物2:Orotyl-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH 比較例 :Arg-Gly-Asp-Ser-OH である。尚、化合物1は、下記の製造例1に示す方法
で、化合物2は、下記の製造例2に示す方法で合成し
た。
【0033】〔製造例1〕化合物1:Pyroglutamic-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH の合
下記式(2) : HOCH2-Ph(1,4)-OCH2-Ph(1,4)-Polymer (2) で表されるp-alkoxybenzyl alcolhol 型(Trpの導入量:
0.87meq/g;BACHEM社製)樹脂 0.275g(0.25mmol) を反応
容器に移し、DMAP存在下、Fmoc-Pyroglutamic (Fmoc :
9-フルオレニルメトキシカルボニル、Pyroglutamic:ピ
ログルタミン酸)を活性エステルで導入後、表1に示す
振盪、瀘過ステップを繰り返し、下記式(3) : Pyroglutamic-Arg(Mtr)-Gly-Asp(OBu t)-Trp-樹脂 (3) で表される化合物を得た。
【0034】
【表1】
【0035】得られた保護ペプチド樹脂を0℃のトリフ
ルオロ酢酸中で、m-クレゾール、エタンジチオール存在
下、1M トリメチルシリルブロマイドと1M チオアニソ
ールで1時間処理を行った。窒素気流中でトリメチルシ
リルブロマイドを留去後、樹脂を濾去し、濾液にジエチ
ルエーテルを氷冷下において加え、樹脂から切断された
ペプチドを粉末として得た。そして、当該粉末をジエチ
ルエーテルで洗浄した。当該洗浄物をセファデックスG
−10(ファルマシア社製)を支持体としたゲル濾過クロ
マトグラフィーにより脱塩し、これを凍結乾燥して粗ペ
プチドを得た。この粗ペプチドを高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)[カラム:ODS 5C18(μbondaspher
e,φ20×150mm)、移動相:(A)0.1%TFA, (B)100%CH3CN/
0.1%TFA、gradient:(A):(B)=80:20 から (A):(B)=70:3
0、20分間、流速 17ml/min]にて精製し、更にセファデ
ックスG−25を支持体とするゲル瀘過により酢酸塩とし
て、凍結乾燥することにより表題の化合物1: Pyroglutamic-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH を100mg 得た。
【0036】アミノ酸分析(6N HCl+phenol, 24hr, 110
℃) 本検出法ではトリプトファンは酸加水分解中に分解され
るために検出できない。また、定量のために外部標準と
して用いたアミノ酸は標準アミノ酸であるために、標準
アミノ酸に含まれていないアミノ酸に関しても検出でき
ない。 Asp 0.86 (1) Ser 1.00(1) Glu 1.12(1) Gly 1.22(1) Trp − (1) Arg 1.13(1)
【0037】HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(φ4.6 ×200mm)カラム(ナカライテ
スク社製)を用い、流速 1.0ml/minで、 0.1%TFA中アセ
トニトリル10〜40%(60分) のgradient溶出での分析HP
LCで保持時間14.0分の単一ピークを示した。FAB−MS : M+H 計算値731.3、実測値731
【0038】〔製造例2〕化合物2:Orotyl-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH の合成 製造例1と同様の方法によって、表題のペプチドを100m
g 合成した。アミノ酸分析 (6N HCl+phenol, 24hr, 110℃) Asp 0.86 (1) Ser 1.00(1) Gly 1.26(1) Trp − (1) Arg 1.00(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(φ4.6 ×200mm)カラム(ナカライテ
スク社製)を用い、流速 1.0ml/minで、 0.1%TFA中アセ
トニトリル10〜40%(60分) のgradient溶出での分析HP
LCで保持時間20.0分の単一ピークを示した。FAB−MS : M+H 計算値758.3、実測値758
【0039】〔実施例1〕白血球の細胞外基質タンパク質への接着実験 細胞外質蛋白質としては、1型コラーゲン(岩城ガラ
ス、type1−c)およびフィブロネクチン(ヒト由
来、岩城ガラス)を用い、これらの細胞外基質タンパク
質を吸着させたプラスチックプレートに対する細胞の接
着を調べる実験を行った。
【0040】(細胞外基質タンパク質吸着プレートの作
成)コラーゲンは、塩酸でpH3.0に調節した生理食塩水
で希釈し、100μg/mlに調製した希釈溶液を吸着に使
用した。一方、フィブロネクチンはpH7.4のリン酸緩衝
液含有生理食塩水(以下、PBSと略す。)で希釈し、
20μg/mlに調製し使用した。
【0041】例えば、1型コラーゲン吸着プレートを作
成する際には、1型コラーゲンの希釈溶液を0.4mlずつ2
4穴のプラスチックプレートに入れ、37度で一晩保温し
1型コラーゲンをプレートに吸着させた。さらに非特異
的な細胞の吸着を防ぐ目的で3%牛血清アルブミン(シ
グマ社)を含むPBSを各穴に入れ、37℃で1〜2時間
処理した。最後にPBSで3回洗浄し1型コラーゲン吸
着プレートとした。フィブロネクチンについても全く同
様の方法で吸着プレートを作成した。
【0042】(細胞接着阻害活性の測定)ヒト前腕部静
脈よりヘパリン採血にて採取した血液を、 Ficoll-Hypa
que混合溶液(比重=1.114)を用いて遠心分離処理(30
0g,30分)を行い、好中球の分画を分離採取した。当該
好中球分画をリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、実験
に使用した。この好中球分画を上記の2種類のコートプ
レートに一定量入れ、化合物1、2または比較例の化合
物の存在下で、それぞれ30分間インキュベーション(37
℃、5%CO2+95%O2)を行った。30分後に生理食塩
水で各プレートを洗浄し、未接着細胞を除去後、メチレ
ンブルーで細胞を染色し接着細胞数の指標とした。
【0043】図1は、プレートに固相化したフィブロネ
クチンに対する好中球の接着及び各化合物の接着阻害活
性について調べた実験結果である。本発明の化合物1及
び2は比較例に比べより低濃度で好中球の接着を抑制し
た。図2は、プレートに固相化したコラーゲンに対する
好中球の接着及び各化合物の接着阻害活性について調べ
た実験結果である。比較例の化合物は、コラーゲンへの
好中球の接着に対しあまり強い抑制作用を示さなかった
が、これらに比べ本発明の化合物は、より低濃度で好中
球の接着を抑制した。
【0044】このように、上記一般式(1)で表されるペ
プチドはフィブロネクチンだけではなく様々な細胞外基
質タンパク質への好中球の接着を非常に低い濃度で効果
的に抑制した。このことは、実際にはフィブロネクチ
ン、数種類の異なるタイプのコラーゲン、ビトロネクチ
ン、ラミニン等非常に多くの細胞外基質タンパク質から
なる基底膜と白血球との複雑な相互作用に対し、本発明
の化合物が幅広い抑制作用を有していることを示してお
り、作用スペクトラムの広いより有効な抗炎症剤となり
得ることを示している。
【0045】〔実施例2〕上記一般式(1)で表されるペ
プチドを生理食塩水に溶解し、マウスに 200mg/kgの割
合で静脈内投与を行ったが、毒性は全く観察されなかっ
た。
【0046】
【発明の効果】本発明の細胞接着阻害剤および当該阻害
剤を有効成分として含有する抗炎症剤は、極めて低毒性
であることを特徴としており、また様々な白血球細胞の
関与する幅広い炎症性疾患に対する治療を可能にすると
言う点で、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における、固相化したフィブロネクチ
ンへの好中球の接着に対する抑制作用を示す図である。
【図2】実施例1における、固相化したコラーゲンへの
好中球の接着に対する抑制作用を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 吉美 神奈川県川崎市中原区井田1618 新日本製 鐵株式会社先端技術研究所ライフサイエン ス研究センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) : A−Ser−Arg−Gly−AspーTrp−OH (1) (式中、Aはオロチン酸、ハイドロオロチン酸、ピログ
    ルタミン酸、L−2−アゼチジンカルボン酸、プロリ
    ン、3、4ーデヒドロプロリン及びサルコシンからなる
    群から選ばれる化合物を示す)で表されるペプチドまた
    はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有す
    る、細胞接着阻害剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の細胞接着阻害剤を有効
    成分として含有する抗炎症剤。
JP6327159A 1994-12-28 1994-12-28 細胞接着阻害剤及び該阻害剤を含む抗炎症剤 Pending JPH08183740A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003061620A2 (en) * 2002-01-21 2003-07-31 Vasogen Ireland Limited Peptide-carrying bodies for immune response

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003061620A2 (en) * 2002-01-21 2003-07-31 Vasogen Ireland Limited Peptide-carrying bodies for immune response
WO2003061620A3 (en) * 2002-01-21 2003-10-16 Vasogen Ireland Ltd Peptide-carrying bodies for immune response

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