JPH08183635A - 炭化ケイ素膜付きガラス基板 - Google Patents

炭化ケイ素膜付きガラス基板

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JPH08183635A
JPH08183635A JP32779294A JP32779294A JPH08183635A JP H08183635 A JPH08183635 A JP H08183635A JP 32779294 A JP32779294 A JP 32779294A JP 32779294 A JP32779294 A JP 32779294A JP H08183635 A JPH08183635 A JP H08183635A
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silicon carbide
carbide film
glass substrate
film
substrate
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JP32779294A
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Hiroyuki Nagasawa
弘幸 長澤
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Hoya Corp
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Hoya Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/22Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with other inorganic material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
    • C03C2217/20Materials for coating a single layer on glass
    • C03C2217/28Other inorganic materials
    • C03C2217/282Carbides, silicides

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マスクのアライメント精度やマスク転写パタ
ーンの寸法精度が向上したX線マスクもしくは位相シフ
トマスク、あるいは記録密度が向上した光磁気記録媒体
を作製するのに好適な炭化ケイ素膜付きガラス基板を提
供する。 【構成】 本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板は、ガ
ラス基板と、このガラス基板の片面上または両面上に設
けられた炭化ケイ素膜とを備え、前記炭化ケイ素膜にお
ける膜厚分布が式(tmax−tmin)/tave ≦0.03
を満たし、屈折率分布が式(nmax−nmin)/nave
0.03を満たし、表面粗さRaが式Ra≦3nmを満
たすことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線マスクや位相シフ
トマスクの材料、あるいは透明導電膜付きガラスや光磁
気記録媒体用基板等として使用される炭化ケイ素膜付き
ガラス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化ケイ素膜は耐熱性、耐食性、耐摩耗
性、耐放射線性等に優れており、電気的には半導性ない
し絶縁性を有する一方で適当な不純物を添加することに
より高い導電性を付与することもできる。このような特
性を有する炭化ケイ素膜は、現在、X線マスクのX線透
過膜や位相シフトマスクのシフタ膜、あるいはTFT用
の基板等における透明導電膜としての利用が図られてい
る他、光磁気記録媒体におけるカー回転効果用の誘電体
層としての利用も図られている。
【0003】炭化ケイ素膜を上述の用途に使用する場合
には、先ず、所定の基板上に炭化ケイ素膜を設ける必要
がある。一般に、炭化ケイ素膜を基板上に成膜するにあ
たっては化学的気相堆積法(CVD法)、分子線エピタ
キシー法(MBE法)またはスパッタリング法が利用さ
れている。
【0004】CVD法により基板上に炭化ケイ素膜を成
膜する場合には、1種または複数種の原料ガスを反応室
内に供給し、熱やプラズマ等により前記の原料ガスを反
応させて、反応生成物である炭化ケイ素を基板表面に堆
積させる(例えば『Thin Solid Films(スィン ソリッ
ド フィルムズ)』第225号(1993年)第230
頁(H.Nagasawa et. al.)、特開昭62−138398
号公報および特開平6−124910号公報参照)。こ
のとき、膜の組成、不純物の添加量等は原料ガスの供給
量や基板温度を調整することで制御される。
【0005】また、MBE法により基板上に炭化ケイ素
膜を成膜する場合には、炭素源のガスおよびシリコン源
のガスをそれぞれ分子線にして基板表面に照射し、表面
反応により順次炭化ケイ素膜を成長させる(例えば『Jo
urnal of Crystal Growth(ジャーナル オブ クリス
タル グロース)』第95号(1989年)第461頁
(T.Fuyuki et. al.)または『J.Appl.Phys(ジャーナ
ル オブ アプライドフィジクス)』第68(1)号
(1990年7月1日)第101頁(S.Motoyama et. a
l.)参照)。
【0006】そして、スパッタリング法により基板上に
炭化ケイ素膜を成膜する場合には、ターゲットとしての
炭化ケイ素基板をプラズマ雰囲気中でスパッタリング
し、ターゲットに対向させて配置した基板表面にスパッ
タ原子を付着させて炭化ケイ素膜を得る(例えば『Thin
Solid Films(スィン ソリッド フィルムズ)』第6
3号(1979年)第237頁(Y.Hirohata et. al.)
参照)。
【0007】ところで、結晶性が良好な炭化ケイ素膜を
基板上に成膜するためには、成膜方法に拘わらず、その
成膜時における基板温度を900℃以上にすることが望
まれる。一方、炭化ケイ素膜をX線マスクのX線透過膜
や位相シフトマスクのシフタ膜として利用する場合に
は、目的とするX線マスクや位相シフトマスクを製造す
る過程での作業性等の点から、基板としてはガラス基板
を用いることが望まれる。また、炭化ケイ素膜をTFT
等用の透明導電膜として利用する場合にも、光透過性や
経済性等の点から、基板としてはガラス基板を用いるこ
とが望まれる。
【0008】周知のように、シリカガラス以外のガラス
の軟化点は概ね900℃未満であるので、このようなガ
ラス(以下、軟化点が900℃未満のガラスを低融点ガ
ラスという)からなる基板上に結晶性が良好な炭化ケイ
素膜を成膜することはできない。シリカガラスからなる
基板を用いれば、この基板上に結晶性が良好な炭化ケイ
素膜を成膜することができるが、シリカガラスは高価で
ある。このため、より安価な低融点ガラス基板の片面上
または両面上に結晶性が良好な炭化ケイ素膜を設けるべ
く、シリコン基板のように耐熱温度が900℃以上であ
る基板に結晶性が良好な炭化ケイ素膜を一旦成膜した
後、この基板(炭化ケイ素膜を成膜したもの)と低融点
ガラス基板とを炭化ケイ素膜を内側にして陽極接合し、
この後に基板(炭化ケイ素膜の成膜に用いた基板)をエ
ッチング除去することにより低融点ガラス基板上に炭化
ケイ素膜を設ける方法が開発されている(特開平4−2
80840号公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ガラ
ス基板の片面上または両面上に炭化ケイ素膜を成膜した
もの(以下、このものを炭化ケイ素膜付きガラス基板と
いう)は、X線マスクや位相シフトマスクの材料とし
て、あるいはTFT用の基板等の材料となる透明導電膜
付きガラスや光磁気記録媒体用基板等として有用であ
る。しかしながら、技術の発展に伴い、X線マスクや位
相シフトマスク等ではマスクのアライメント精度やマス
ク転写パターンの寸法精度の更なる向上が、また光磁気
記録媒体では記録密度の更なる向上がそれぞれ求められ
るようになってきており、このような要望を満たすX線
マスクや位相シフトマスク、あるいは光磁気記録媒体を
作製するのに好適な炭化ケイ素膜付きガラス基板は、未
だ開発されていない。
【0010】本発明の目的は、マスクのアライメント精
度やマスク転写パターンの寸法精度が向上したX線マス
クもしくは位相シフトマスク、あるいは記録密度が向上
した光磁気記録媒体を作製するのに好適な炭化ケイ素膜
付きガラス基板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板は、ガラス基板と、
このガラス基板の片面上または両面上に設けられた炭化
ケイ素膜とを備え、前記炭化ケイ素膜における膜厚分布
が式(tmax−tmin)/tave ≦0.03を満たし、屈
折率分布が式(nmax−nmin)/nave ≦0.03を満
たし、表面粗さRaが式Ra≦3nmを満たすことを特
徴とするものである。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
炭化ケイ素膜付きガラス基板は、上述したようにガラス
基板と、このガラス基板の片面上または両面上に設けら
れた炭化ケイ素膜とを備えている。ここで、前記のガラ
ス基板としてはケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、
ホウ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガ
ラス、フツリン酸塩ガラス等、電荷移動可能なイオンを
含んでいる低融点ガラスからなるものが用いられるが、
その軟化点は概ね400〜600℃であることが好まし
い。ガラス基板の材料ガラスの軟化点が400℃未満で
は、後述する方法により本発明の炭化ケイ素膜付きガラ
ス基板を作製する際にガラス基板が変形しやすく、ガラ
ス基板の変形が起きた場合には目的とする炭化ケイ素膜
付きガラス基板を得ることが困難になる。また、軟化点
が600℃を超えるガラスからなるガラス基板は、ガラ
ス中のイオン温度が低く、一般に後述の方法による接合
が困難となる。
【0013】ガラス基板の厚さは特に限定されるもので
はなく、目的とする炭化ケイ素膜付きガラス基板の用途
等に応じて適宜選択可能である。例えば、X線マスクや
位相シフトマスクの材料としての炭化ケイ素膜付きガラ
ス基板でのガラス基板の厚さは概ね1〜10mmの範囲
で選択可能であり、特に3〜5mmが好ましい。また、
光磁気記録媒体用基板としての炭化ケイ素膜付きガラス
基板でのガラス基板の厚さは概ね0.5〜3mmの範囲
で選択可能であり、特に0.8〜1.2mmが好まし
い。そして、TFT用の基板等の材料となる透明導電膜
付きガラスとしての炭化ケイ素膜付きガラス基板でのガ
ラス基板の厚さは概ね1〜10mmの範囲で選択可能で
あり、特に1〜5mmが好ましい。
【0014】本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板で
は、上記のガラス基板の片面上または両面上に炭化ケイ
素膜が設けられているわけであるが、この炭化ケイ素膜
は化学量論比の炭化ケイ素からなるものが好ましいが、
導電性を向上させるためにB,P,Al,N等の不純物
(ドーパント)を1014〜1020/cm3 含有させたも
のであってもよい。本発明では、これらのものを総称し
て炭化ケイ素という。炭化ケイ素膜の組成は、目的とす
る炭化ケイ素膜付きガラス基板の用途等に応じて適宜変
更可能である。また、炭化ケイ素膜は多結晶の炭化ケイ
素からなっていてもよいし、単結晶の炭化ケイ素からな
っていてもよいが、目的とする炭化ケイ素膜付きガラス
基板がTFT用の基板として用いられる場合には、移動
度の向上等の点から単結晶の炭化ケイ素からなっている
方が好ましい。
【0015】上記の炭化ケイ素膜の膜厚は目的とする炭
化ケイ素膜付きガラス基板の用途等に応じて適宜選択可
能である。例えば、X線マスクの材料としての炭化ケイ
素膜付きガラス基板での炭化ケイ素膜の膜厚は概ね
0.5〜5.0μmの範囲で選択可能であり、特に1.
0〜2.0μmが好ましい。また、位相シフトマスクの
材料としての炭化ケイ素膜付きガラス基板での炭化ケイ
素膜の膜厚は概ね0.1〜1.0μmの範囲で選択可能
であり、特に0.1〜0.5μmが好ましい。光磁気記
録媒体用基板としての炭化ケイ素膜付きガラス基板での
炭化ケイ素膜の膜厚は概ね0.1〜1.0μmの範囲で
選択可能であり、特に0.1〜0.3μmが好ましい。
そして、TFT用の基板等の材料となる透明導電膜付き
ガラスとしての炭化ケイ素膜付きガラス基板での炭化ケ
イ素膜の膜厚は概ね0.1〜10μmの範囲で選択可能
であり、特に1〜5μmが好ましい。炭化ケイ素膜付き
ガラス基板がX線マスク用のものである場合には、波長
633nmの光についての光透過率が70%以上となる
ように炭化ケイ素膜の膜厚を適宜選択することが好まし
く、特に、前記の光透過率が70〜80%となるように
炭化ケイ素膜の膜厚を選択することが好ましい。
【0016】本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板にお
いては、炭化ケイ素膜の膜厚は上述したようにその用途
等に応じて適宜選択可能であるが、前述したように、当
該炭化ケイ素膜はその膜厚分布が式(tmax−tmin)/
ave ≦0.03を満たし、屈折率分布が式(nmax
min)/nave ≦0.03を満たし、表面粗さRaが
式Ra≦3nmを満たすものに限定される。ここで、前
記のtmax は任意の複数箇所で測定した膜厚の最大値を
示し、前記のtmin は前記任意の複数箇所で測定した膜
厚の最小値を示し、前記のtave は前記任意の複数箇所
で測定した膜厚の平均値を意味する。また、前記のn
max は任意の複数箇所で測定した屈折率の最大値を示
し、前記のnmin は前記任意の複数箇所で測定した屈折
率の最小値を示し、前記のnave は前記任意の複数箇所
で測定した屈折率の平均値を意味する。そして、前記の
表面粗さRaは膜の中心線粗さを意味する。
【0017】炭化ケイ素膜を上記のものに限定する理由
は、炭化ケイ素膜が上記の限定範囲外である炭化ケイ素
膜付きガラス基板では特定波長(例えばエキシマレーザ
光(KrF,ArF)の波長1〜10オングストロー
ム,He−Neレーザ光等の波長633nm,Hgのi
線やg線等)の電磁波(光およびX線)についての透過
率および反射率を精密に制御することが困難であり、そ
の結果として当該炭化ケイ素膜付きガラス基板を用いて
マスクのアライメント精度やマスク転写パターンの寸法
精度が向上したX線マスクや位相シフトマスクを作製す
ることが困難になるからである。また、同時に、記録密
度が向上した光磁気記録媒体を作製することが困難にな
るからである。
【0018】炭化ケイ素膜における膜厚分布は0〜0.
03であることが好ましく、特に0〜0.01であるこ
とが好ましい。また、屈折率分布は0〜0.03である
ことが好ましく、特に0〜0.01であることが好まし
い。そして、表面粗さRaは0〜3nmであることが好
ましく、特に0〜1nmであることが好ましい。
【0019】膜厚分布、屈折率分布および表面粗さRa
がそれぞれ前記の式を満たす炭化ケイ素膜を備えた本発
明の炭化ケイ素膜付きガラス基板は、炭化ケイ素膜の膜
厚を所定の厚さにすることにより、マスクのアライメン
ト精度やマスク転写パターンの寸法精度が向上したX線
マスクもしくは位相シフトマスクを作製するための材料
として好適なものになる。そして、本発明の炭化ケイ素
膜付きガラス基板から作製したX線マスクや位相シフト
マスクは、転写パターンの微細化を実現するうえでも有
用である。また、本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板
は、炭化ケイ素膜の膜厚を所定の厚さにすることによ
り、記録密度が向上した光磁気記録媒体を作製するため
の光磁気記録媒体用基板として好適なものになる。さら
に、本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板はTFT用の
基板等の材料となる透明導電膜(半導体膜)付きガラス
として、あるは保護膜付きガラスとしても好適である。
【0020】上述した利点を有する本発明の炭化ケイ素
膜付き基板は、例えば以下に述べる方法により製造する
ことができる。先ず、耐熱温度が1400℃以上で表面
の格子定数が4.5オングストローム±5%以内である
基板、例えばケイ素、酸化マグネシウム、炭化チタンま
たは炭化ケイ素からなる基板の表面にCVD法、MBE
法またはスパッタリング法により所望の膜厚および結晶
性(多結晶または単結晶)の炭化ケイ素膜を成膜する。
このとき、炭化ケイ素膜成膜時の基板温度は900〜1
400℃とする。基板温度を900℃未満にして成膜し
た場合には、得られる炭化ケイ素膜の結晶性、膜厚分
布、屈折率分布が悪化しすぎる。一方、基板温度を14
00℃より高くして成膜した場合には熱による基板のダ
メージが著しくなり、基板表面に堆積される炭化ケイ素
の結晶化も悪化しすぎる。また、炭化ケイ素膜の成膜工
程中に炭化ケイ素層に対してB,P,Al,N等の不純
物(ドーパント)を添加して導電性を向上させてもよい
(例えば『J.Electroche.Soc(ジャーナル オブ エレ
クトロケミカル ソサエティー)』第135号(198
8)第1255頁(Y.Furumuraet. al.)参照)。さら
には、炭化ケイ素膜の成膜後に前述した不純物(ドーパ
ント)を添加して導電性を向上させてもよい(例えば
『IEEE Electron Device Letters 』第13号No.1
2(1992年12月)第639頁(Mario Ghezzoet.
al.)参照)。
【0021】また、ここで述べる方法により得られる炭
化ケイ素膜付きガラス基板では、上記の成膜時において
基板との界面であった側の炭化ケイ素膜面が炭化ケイ素
膜付きガラス基板における炭化ケイ素膜表面となるの
で、最終的に得られる炭化ケイ素膜付きガラス基板にお
ける炭化ケイ素膜の表面粗さRaが3nm以下のものを
得るうえからは、上記の成膜時に使用する基板の表面粗
さも3nm以下とすることが好ましい。さらに、膜厚分
布および屈折率分布が良好な炭化ケイ素膜を得るうえか
らは、ケイ素源ガスと炭素源ガスとを交互に反応室に供
給して炭化ケイ素膜を成膜するタイプのCVD法により
炭化ケイ素膜を成膜することが特に好ましい。なお、ケ
イ素からなる基板の表面にCVD法により炭化ケイ素の
単結晶膜を成膜する場合には、炭化ケイ素膜の成膜に先
立って前記の基板の表面を予め炭化して炭化層(炭化ケ
イ素層)に改質することが好ましい。この場合、最終的
に得られる炭化ケイ素膜付きガラス基板における炭化ケ
イ素膜表面は前記の炭化層(炭化ケイ素層)となる。
【0022】次に、上述のようにして炭化ケイ素膜を成
膜した後の基板と所望のガラス基板とを炭化ケイ素膜を
内側にして陽極接合する。このときの接合条件は、雰囲
気圧常圧〜10-6Pa、接合温度室温〜370℃、印加
電圧100〜1000V、荷重100〜2000g/c
2、接合時間1〜300分とすることが好ましい。陽
極接合を行うことにより、高い密着性を有する接合界面
が得られる。また、陽極接合法によれば接合温度が前記
のように低いことから、ガラス基板が熱的要因により歪
むことを抑制することが可能となり、前記の歪みを抑制
することにより最終的に得られる炭化ケイ素膜付きガラ
ス基板における炭化ケイ素膜の平坦性や光学的性質の均
一性が向上する。特に好ましい陽極接合条件は雰囲気圧
常圧〜10-6Pa、接合温度200〜300℃、印加電
圧500〜1000V、荷重500〜1000g/cm
2、接合時間5〜10分である。なお、CVD法により
基板に炭化ケイ素膜を成膜した場合には基板の両面に炭
化ケイ素膜が成膜されるので、陽極接合の前または後
に、不要の炭化ケイ素膜をリアクティブイオンエッチン
グ法(以下、リアクティブイオンエッチングをRIEと
略記する)等により除去するか、または、基板の片面に
マスクを付けて炭化ケイ素膜の成膜を行う。
【0023】この後、炭化ケイ素膜の成膜時に使用した
基板を研磨やエッチングによって除去することにより、
目的とする炭化ケイ素膜付きガラス基板を得ることがで
きる。このときのエッチングは、基板のみを選択的に除
去できるもであればウェットエッチングであってもドラ
イエッチングであってもよく、エッチャントの種類は除
去しようとする基板の材質に応じて適宜選択される。
【0024】また、上述した方法により得ることができ
る本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板を用いてのX線
マスクの作製は、例えば次のようにして行うことができ
る。まず、所定膜厚の炭化ケイ素膜を備えた炭化ケイ素
膜付きガラス基板を上述した方法により得、この炭化ケ
イ素膜付きガラス基板を構成している炭化ケイ素膜の表
面にスパッタリング等の方法によりタンタル、タングス
テン等の重金属からなる所定膜厚のX線吸収膜を成膜し
た後に当該X線吸収膜を所定形状にパターニングする。
次に、ガラス基板の中央部をエッチング除去することに
より当該ガラス基板を所定形状のガラスフレームに成形
する。これによりX線マスクが得られる。
【0025】または、所定膜厚の炭化ケイ素膜を備えた
炭化ケイ素膜付きガラス基板を上述した方法により得、
この炭化ケイ素膜付きガラス基板を構成しているガラス
基板の中央部をエッチング除去することにより当該ガラ
ス基板を所定形状のガラスフレームに成形する。この
後、炭化ケイ素膜の所望面上に前述のようにしてX線吸
収膜を成膜し、さらにそのパターンニングを行う。これ
によりX線マスクが得られる。
【0026】さらには、前述した方法により炭化ケイ素
膜付きガラス基板を得る際のガラス基板として所定形状
のガラスフレームを用い、かつ、炭化ケイ素膜を成膜す
る基板として前記のガラスフレームの内寸より大きい外
寸を有する基板を用い、他は前述した方法に従って炭化
ケイ素膜付きガラス基板を得る。このようにして得られ
る炭化ケイ素膜付きガラス基板は、ガラスフレームの内
寸より大きい外寸を有する炭化ケイ素膜を当該炭化ケイ
素膜の一方の面からガラスフレームによって支持したも
のである。この後、炭化ケイ素膜の所望面上に前述のよ
うにしてX線吸収膜を成膜し、さらにそのパターンニン
グを行う。これによりX線マスクが得られる。
【0027】また、前述した方法により得ることができ
る本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板を用いての位相
シフトマスクの作製は、例えば次のようにして行うこと
ができる。まず、所定膜厚の炭化ケイ素膜を備えた炭化
ケイ素膜付きガラス基板を前述した方法により得、この
炭化ケイ素膜付きガラス基板を構成している炭化ケイ素
膜を必要に応じてRIE等の方法により所望形状にパタ
ーニングする。次に、炭化ケイ素膜上にフォトリソグラ
フィ法によりクロム、タングステン、モリブデン等から
なる所望パターンの遮光膜を形成する。これにより位相
シフトマスクが得られる。
【0028】また、前述した方法により得ることができ
る本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板を用いての光磁
気記録媒体の作製は、例えば次のようにして行うことが
できる。まず、所定膜厚の炭化ケイ素膜を備えた炭化ケ
イ素膜付きガラス基板を前述した方法により得る。光磁
気記録媒体を作製する場合、前記の炭化ケイ素膜付きガ
ラス基板がそのまま、または、必要に応じてこの炭化ケ
イ素膜付きガラス基板を構成している炭化ケイ素膜の上
にSi34 等からなる所定膜厚の誘電体層を形成した
ものが光磁気記録媒体用基板となる。この後、前記の炭
化ケイ素膜上(炭化ケイ素膜上に更に誘電体層を形成し
た場合にはこの誘電体層上)にFe,Co等の磁性体か
らなる記録層(垂直磁気記録層)をスパッタリング法等
により形成し、この記録層の上に必要に応じてZnS,
AlN,Si34,Y23,Al23,AlSiN,A
lSiON,SiO2,SiN3 等からなる保護層を形
成する。これにより光磁気記録媒体が得られる。
【0029】そして、TFT用の基板等の材料としての
透明導電膜付きガラスは、所定膜厚の炭化ケイ素膜を備
えた炭化ケイ素膜付きガラス基板を前述した方法により
得ることにより、または、必要に応じてこの炭化ケイ素
膜付きガラス基板を構成している炭化ケイ素膜をRIE
法等により所定形状にパターニングすることにより、得
ることができる。
【0030】
【作用】本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板は、これ
を構成している炭化ケイ素膜における膜厚分布が式(t
max−tmin)/tave ≦0.03を満たし、屈折率分布
が式(nmax−nmin)/nave ≦0.03を満たし、表
面粗さRaが式Ra≦3nmを満たすことから、特定波
長の電磁波(光およびX線)についての透過率および反
射率を精密に制御することができる。したがって、本発
明の炭化ケイ素膜付きガラス基板はマスクのアライメン
ト精度やマスク転写パターンの寸法精度が向上したX線
マスクもしくは位相シフトマスクを作製するための材料
として好適であり、歩留りも向上する。さらに、本発明
の炭化ケイ素膜付きガラス基板はX線マスクや位相シフ
トマスクの転写パターンの微細化を実現するうえでも有
用な材料である。
【0031】また、前記3つの式を満たす炭化ケイ素膜
を備えた本発明の炭化ケイ素膜付きガラス基板は、炭化
ケイ素膜の形状的均一性および光学的均一性が高いこと
から、当該炭化ケイ素膜によって高いカー回転効果を得
ることができる。したがって、本発明の炭化ケイ素膜付
きガラス基板は記録密度が向上した光磁気記録媒体を作
製するための材料としても好適であり、歩留りも向上す
る。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。 実施例1 先ず、炭化ケイ素膜を成膜するための基板として単結晶
シリコン基板(主表面は(100)面,主表面の表面粗
さRa0.5nm)を用い、ホットウォールタイプのC
VD装置により炭化ケイ素膜の成膜を行って、図1
(a)に模式的に示すように前記の単結晶シリコン基板
1の表て面(成膜時において原料ガスの供給口側に位置
させた面)および裏面にそれぞれ膜厚1.2μmの炭化
ケイ素膜2a,2bを成膜した。これらの炭化ケイ素膜
2a,2bは立方晶の炭化ケイ素からなる多結晶膜であ
り、その組成は化学量論比の炭化ケイ素である。なお、
炭化ケイ素膜2a,2bの成膜にあたっては原料ガスと
してSiH2Cl2 ガスおよびC22ガスを用い、これ
らのガスはCVD装置の反応炉に同時に供給した。他の
成膜条件は次の通りである。
【0033】基板温度:900℃ SiH2Cl2 ガス流量:100sccm C22 ガス流量:15sccm 反応炉内圧力:10.6Pa(80mTorr) 膜堆積時間:108分
【0034】次に、単結晶シリコン基板1の裏面に成膜
された炭化ケイ素膜2bをRIE法により除去して、図
1(b)に模式的に示すように一主表面(表て面)にの
み炭化ケイ素膜2aが設けられている単結晶シリコン基
板1aを得た。このときのエッチングガスとしてはCF
4 ガスとO2 ガスを用い、RIE条件は次の通りとし
た。
【0035】CF4 ガス流量:40cc/分 O2 ガス流量:10cc/分 rf電力:300W 圧力(雰囲気圧):5Pa エッチング速度:46.7nm/分
【0036】次いで、ガラス基板としてパイレックスガ
ラス(コーニング社製,「パイレックス」は同社の商品
名)を用い、図1(c)に模式的に示すように上記の単
結晶シリコン基板1aと前記のガラス基板3とを炭化ケ
イ素膜2aが内側に位置するようにして当接させ、この
状態で陽極接合を行った。陽極接合の条件は次の通りで
ある。
【0037】接合温度:300℃ 印加電圧:1000V 荷重:850g/cm2 接合時間:10分 雰囲気圧:常圧
【0038】この後、70ccのフッ化水素酸(50%
HF)と30ccの63%硝酸との混酸中で前記の単結
晶シリコン基板1を全て除去して、図1(d)に模式的
に示すようにガラス基板3と当該ガラス基板3の片面に
陽極接合によって設けられた炭化ケイ素膜2aとからな
る炭化ケイ素膜付きガラス基板4を得た。このようにし
て得られた炭化ケイ素膜付きガラス基板4では、ガラス
基板3が300℃を超える熱工程を経ていないことか
ら、熱処理に起因する歪みは観測されない。
【0039】この炭化ケイ素膜付きガラス基板4を構成
する炭化ケイ素膜2aについて、当該炭化ケイ素膜2a
の中央部とこの中央部を挟んで左右7箇所の計15箇所
でその膜厚をエリプソメトリーによって測定し(測定個
所は全て1本の直線上にある)、その結果から膜厚分布
(tmax−tmin)/tave を求めたところ、0.01で
あった。また、膜厚の測定箇所と同じ箇所で炭化ケイ素
膜2aの屈折率をエリプソメトリーによって測定し、そ
の結果から屈折率分布(nmax−nmin)/nav e を求め
たところ、0.01であった。さらに、炭化ケイ素膜2
aの表面粗さRaは2.3nmであった。
【0040】炭化ケイ素膜付きガラス基板4を透過した
光(炭化ケイ素膜2aおよびガラス基板3を透過した
光)の透過率スペクトルは、図2に示すように、炭化ケ
イ素膜2a内部の干渉効果により複数の極大値および極
小値を有する。透過率が極大となる波長の1つである6
33nmの光に対する炭化ケイ素膜2aの屈折率を求め
たところ、2.63であった。この結果から考えて、炭
化ケイ素膜2aの膜厚を適宜設定することにより、当該
炭化ケイ素膜2aを位相シフトマスクのシフタ膜や光磁
気記録媒体のカー回転角を高めるための誘電体層として
利用し得ることは明らかである。さらに、熱処理に起因
する歪みが小さく、かつ高い光透過率を有していること
から、当該炭化ケイ素膜2aはX線マスクとしても利用
し得る。
【0041】また、炭化ケイ素膜付きガラス基板4を構
成する炭化ケイ素膜2aのシート抵抗を測定したところ
1.37kΩ/□であり、高い導電性を有していること
が確認された。このような高い導電性は電極、配線とし
ての実用性を十分に満足するものである。さらに、この
炭化ケイ素膜付きガラス基板4に加速電圧50keV、
ドーズ量300μC/cm2 の条件で電子ビームを照射
したが、チャージアップに伴う膜剥がれ等は一切観察さ
れなかった。このことから、この炭化ケイ素膜付きガラ
ス基板4をX線マスクや位相シフトマスクに用いた場合
には、電子線リソグラフィー等の際に問題とされるチャ
ージアップによる描画パターンの欠落が抑止されるもの
と予想される。
【0042】この炭化ケイ素膜2aは、表1に示すよう
に各種の酸およびアルカリに対して十分な耐性を示し
た。
【表1】
【0043】実施例2 炭化ケイ素膜を成膜するための基板として単結晶シリコ
ン基板(主表面は(100)面)を用い、先ず、ホット
ウォールタイプのCVD装置により前記単結晶シリコン
基板の表面をC22 ガス雰囲気中で炭化して、図3
(a)に模式的に示すように当該単結晶シリコン基板1
1の表て面(炭化時においてC22 ガスの供給口側に
位置させた面)および裏面を炭化層(炭化ケイ素層)1
2に改質した。このときの炭化条件は次の通りである。
【0044】C22 ガス流量:10cc/分 水素ガス流量:100cc/分 反応炉内圧力:150mTorr 表面炭化温度:1020℃ 表面炭化時間:60分 反応炉内圧力:8Pa(60mTorr)
【0045】次に、前記のCVD装置により炭化ケイ素
膜の成膜を行って、図3(b)に模式的に示すように前
記の単結晶シリコン基板1の表て面(成膜時において原
料ガスの供給口側に位置させた面)の炭化層12上およ
び裏面の炭化層12上にそれぞれ膜厚1.0μmの炭化
ケイ素膜13a,13bを成膜した。これらの炭化ケイ
素膜13a,13bは立方晶の炭化ケイ素からなる単結
晶膜であり、その組成は化学量論比の炭化ケイ素であ
る。炭化ケイ素膜13aについての走査型トンネル顕微
鏡(STM)像を図4(a)に示す。なお、炭化ケイ素
膜13a,13bの成膜にあたっては原料ガスとしてS
iH2Cl2 ガスおよびC22 ガスを用い、これらのガ
スはCVD装置の反応炉に交互に供給した。他の成膜条
件は次の通りである。
【0046】基板温度:1020℃ SiH2Cl2 ガス流量:10cc/分 1回あたりのSiH2Cl2 ガスの供給時間:20秒 C22 ガス流量:10cc/分 1回あたりのC22 ガスの供給時間:10秒 SiH2Cl2 ガスの供給を終えてから C22 ガスの供給を開始するまでの時間:5秒 C22 ガスの供給を終えてからSiH2Cl2 ガス の供給を開始するまでの時間:3秒 原料ガスの交互供給回数:1137回 反応炉内圧力:0.67〜13.3Pa(5〜100m
Torr)
【0047】次いで、単結晶シリコン基板11の裏面に
形成した炭化層12とこの上に成膜された炭化ケイ素膜
13bとをRIE法により除去して、図3(c)に示す
ように一主表面(表て面)にのみ炭化層12および炭化
ケイ素膜13aが設けられている単結晶シリコン基板1
1aを得た。このときのRIE条件は実施例1と同一と
した。
【0048】次に、ガラス基板としてパイレックスガラ
ス(コーニング社製,「パイレックス」は同社の商品
名)を用い、図3(d)に示すように上記の単結晶シリ
コン基板11aと前記のガラス基板14とを炭化ケイ素
膜13aが内側に位置するようにして当接させ、この状
態で陽極接合を行った。このときの陽極接合条件は実施
例1と同一とした。
【0049】この後、実施例1と同様にして混酸中で前
記の単結晶シリコン基板11を全て除去して、図3
(e)に示すようにガラス基板14と当該ガラス基板1
4の片面に陽極接合によって設けられた炭化ケイ素膜1
3aとを備えた炭化ケイ素膜付きガラス基板15を得
た。この炭化ケイ素膜付きガラス基板15では、炭化ケ
イ素膜13aの外側に当該炭化ケイ素膜の成膜時にその
下地となった炭化層12が存在している。この炭化層1
2は前述のように炭化ケイ素層であるので、以下、炭化
ケイ素膜13aと炭化層12とを炭化ケイ素膜13cと
総称する。
【0050】このようにして得られた炭化ケイ素膜付き
ガラス基板15では、ガラス基板14が300℃を超え
る熱工程を経ていないことから、熱処理に起因する歪み
は観測されない。また、実施例1と同様にして炭化ケイ
素膜13cの膜厚を測定し、その結果から上式により膜
厚分布を求めたところ0.007であった。さらに、炭
化ケイ素膜13cについて実施例1と同様にして屈折率
を測定し、その結果から上式により屈折率分布を求めた
ところ0.005であった。膜厚および屈折率の測定結
果を図5に示す。また、炭化ケイ素膜13cの表面粗さ
Raは1.463nmであり、極めて高い平坦性を有し
ていた。炭化ケイ素膜13cのSTM像を図4(b)に
示す。
【0051】炭化ケイ素膜付きガラス基板15を透過し
た光(炭化ケイ素膜13cおよびガラス基板14を透過
した光)の透過率スペクトルは、図6に示すように、炭
化ケイ素膜13c内部の干渉効果により複数の極大値お
よび極小値を有する。透過率が極大となる波長の1つで
ある633nmの光に対する炭化ケイ素膜13cの屈折
率を求めたところ、2.63であった。この結果から考
えて、炭化ケイ素膜13cの膜厚を適宜設定することに
より、当該炭化ケイ素膜13cを位相シフトマスクのシ
フター層や光磁気記録媒体のカー回転角を高めるための
誘電体層として利用し得ることは明らかである。さら
に、熱処理に起因する歪みが小さく、かつ、高い光透過
率を有していることから、当該炭化ケイ素膜13cはX
線マスクとしても利用し得る。
【0052】また、炭化ケイ素膜付きガラス基板15を
構成する炭化ケイ素膜13cのシート抵抗を測定したと
ころ600kΩ/□であり、高い導電性を有しているこ
とが確認された。このような高い導電性は、電極、配線
としての実用性を十分に満足するものである。さらに、
この炭化ケイ素膜付きガラス基板15に加速電圧50k
eV、ドーズ量300μC/cm2 の条件で電子ビーム
を照射したが、チャージアップに伴う膜剥がれ等は一切
観察されなかった。このことから、この炭化ケイ素膜付
きガラス基板15をX線マスクや位相シフトマスクに用
いた場合には、電子線リソグラフィーの際等に問題とさ
れるチャージアップによる描画パターンの欠落が抑止さ
れるものと予想される。
【0053】この炭化ケイ素膜13cは、表2に示すよ
うに各種の酸およびアルカリに対して十分な耐性を示し
た。
【表2】
【0054】比較例1 ガラス基板としてパイレックスガラス(コーニング社
製,「パイレックス」は同社の商品名)を用い、このガ
ラス基板の表面に実施例1と同じ条件のCVD法により
炭化ケイ素膜を成膜して、炭化ケイ素膜付きガラス基板
を得た。このようにして得られた炭化ケイ素膜付きガラ
ス基板では炭化ケイ素膜とガラス基板との密着性が著し
く低く、部分的に炭化ケイ素膜が剥離していた。そし
て、炭化ケイ素膜における膜厚分布、屈折率分布および
表面粗さのいずれも本発明の限定範囲外であった。さら
に、900℃もの高温工程を経ているため、ガラス基板
には変形が認められた。
【0055】この炭化ケイ素膜のシート抵抗を測定した
ところ89MΩ/□と極めて高く、当該炭化ケイ素膜は
電極や配線として利用するには不適である。また、この
炭化ケイ素膜付きガラス基板に加速電圧50keV、ド
ーズ量300μC/cm2 の条件で電子ビームを照射し
たところ、照射部分にチャージアップが発生し、炭化ケ
イ素膜が局部的に剥離した。したがって、この炭化ケイ
素膜付きガラス基板をX線マスクや位相シフトマスクに
用いた場合には、電子線リソグラフィーの際等に問題と
されるチャージアップによる描画パターンの欠落が発生
する。さらに、上記の方法で得られた炭化ケイ素膜付き
ガラス基板は、炭化ケイ素膜が部分的に剥離してその箇
所からガラス基板が露出していることから露出面がフッ
酸に浸食され、十分な耐薬品性を示さなかった。
【0056】比較例2 基板として石英基板を用い、この基板の表面に実施例2
と同じ条件のCVD法により炭化ケイ素の単結晶膜を成
膜しようとしたが、炭化ケイ素膜の成長は一切認められ
なかった。
【0057】比較例3 まず、実施例2と同一条件で単結晶シリコン基板の表面
の改質、炭化ケイ素膜の成膜並びに基板裏面の炭化層お
よび炭化ケイ素膜の除去を行って、一主表面(表て面)
にのみ炭化層および炭化ケイ素膜が設けられている単結
晶シリコン基板(以下、炭化ケイ素膜付き単結晶シリコ
ン基板という)を得た。次に、ガラス基板としてパイレ
ックスガラス(コーニング社製,「パイレックス」は同
社の商品名)を用い、このガラス基板と上記の炭化ケイ
素膜付き単結晶シリコン基板とをエポキシ樹脂を用いて
結合させた。このときの結合は、炭化ケイ素膜付き単結
晶シリコン基板を構成している炭化ケイ素膜とガラス基
板とがエポキシ樹脂により接着されるようにして行っ
た。この後、実施例2で用いた混酸と同一組成の混酸中
で単結晶シリコン基板の除去を行ったところ、エポキシ
樹脂も混酸中に溶出した結果、炭化ケイ素膜付きガラス
基板を得ることができなかった。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の炭化ケイ
素膜付きガラス基板は、マスクのアライメント精度やマ
スク転写パターンの寸法精度が向上したX線マスクもし
くは位相シフトマスク、あるいは記録密度が向上した光
磁気記録媒体等を作製するのに好適な材料である。した
がって、本発明によればマスクのアライメント精度やマ
スク転写パターンの寸法精度が向上したX線マスクもし
くは位相シフトマスク、あるいは記録密度が向上した光
磁気記録媒体を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1での炭化ケイ素膜付きガラス基板の製
造工程を説明するための模式的な側面図である。
【図2】実施例1で作製した炭化ケイ素膜付きガラス基
板の光透過率スペクトルを示すグラフである。
【図3】実施例2での炭化ケイ素膜付きガラス基板の製
造工程を説明するための模式的な側面図である。
【図4】(a)は実施例2で単結晶シリコン基板上に成
膜した炭化ケイ素膜についてのSTM像であり、(b)
は実施例2で作製した炭化ケイ素膜付きガラス基板にお
ける炭化ケイ素膜についてのSTM像である。
【図5】実施例2で作製した炭化ケイ素膜付きガラス基
板における炭化ケイ素膜についての膜厚分布および屈折
率の測定結果を示すグラフである。
【図6】実施例2で作製した炭化ケイ素膜付きガラス基
板の光透過率スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1,11 単結晶シリコン基板 2a,2b,13a,13b 炭化ケイ素膜 3 ガラス基板 4,15 炭化ケイ素膜付きガラス基板 12 炭化層(炭化ケイ素層)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板と、このガラス基板の片面上
    または両面上に設けられた炭化ケイ素膜とを備え、前記
    炭化ケイ素膜における膜厚分布が式(tmax−tmin)/
    ave ≦0.03を満たし、屈折率分布が式(nmax
    min)/nave ≦0.03を満たし、表面粗さRaが式
    Ra≦3nmを満たすことを特徴とする炭化ケイ素膜付
    きガラス基板。
  2. 【請求項2】 波長633nmの光についての炭化ケイ
    素膜の光透過率が70%以上である、請求項1に記載の
    炭化ケイ素膜付きガラス基板。
  3. 【請求項3】 炭化ケイ素膜が単結晶膜である、請求項
    1または請求項2に記載の炭化ケイ素膜付きガラス基
    板。
  4. 【請求項4】 ガラス基板が低融点ガラスからなる、請
    求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化ケイ素膜
    付きガラス基板。
  5. 【請求項5】 ガラス基板が貫通孔を有し、このガラス
    基板の片面上に設けられた炭化ケイ素膜が前記貫通孔の
    一方の開口部を覆っている、請求項1〜請求項4のいず
    れか1項に記載の炭化ケイ素膜付き基板。
  6. 【請求項6】 ガラス基板と、このガラス基板の片面上
    に形成された少なくとも1層の誘電体層と、この誘電体
    層上に形成された記録層とを備え、前記誘電体層のうち
    で前記ガラス基板の片面の直上に積層されている層が炭
    化ケイ素膜からなり、この炭化ケイ素膜における膜厚分
    布が式(tmax−tmin)/tave ≦0.03を満たし、
    屈折率分布が式(nmax−nmin)/nave ≦0.03を
    満たし、表面粗さRaが式Ra≦3nmを満たすことを
    特徴とする光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 波長633nmの光についての炭化ケイ
    素膜の光透過率が70%以上である、請求項6に記載の
    光磁気記録媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011219298A (ja) * 2010-04-07 2011-11-04 Nippon Steel Corp 炭化珪素エピタキシャル膜の製造方法

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