JP3350235B2 - X線マスクの製造方法及びそれにより得られたx線マスク - Google Patents

X線マスクの製造方法及びそれにより得られたx線マスク

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、X線リソグラフィー
用のX線マスクの製造方法及びそれにより得られたX線
マスクに係り、ダイヤモンド薄膜を用いたX線マスクの
製造方法及びそれにより得られたX線マスクに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】図7は例えば特開平5−217862号
公報に示された従来のX線マスクを示す断面図であり、
図において、1は中央部が除去された2mm程度の厚み
のシリコン(Si)基板、2はSi基板1上に成膜され
炭化ケイ素(SiC)等のX線透過率のよい軽元素セラ
ミックスからなる2μm程度の厚みのメンブレン薄膜
(自立膜)、3は酸化インジウムスズ(ITO)等の可
視光の透過率のよい材料から構成され荷電粒子による帯
電を防止する下地膜、4は中央部に半導体集積回路のパ
ターン5が形成され1〜2%のチタン(Ti)を含むタ
ングステン(W)合金(W−Ti合金)からなるX線吸
収体、6はクロム(Cr)金属膜からなるエッチングマ
スクである。
【0003】次に、前記X線マスクの製造方法について
図8に基づき説明する。まず、Si基板1の上面にSi
C膜11を形成し(同図(a))、次いでSi基板1の
中央部を弗硝酸等のエッチング溶液を用いて下方から溶
解除去し、SiCのメンブレン薄膜2を形成する(同図
(b))。次いでスパッタ法またはスピンコート法(回
転塗布法)等を用いてメンブレン薄膜2上にITOの下
地膜3、W−Ti合金のX線吸収体4、エッチングマス
ク6となるCr膜12及びレジスト膜13を順次形成す
る(同図(c))。次いでレジスト膜13上に図示しな
い電子ビーム(EB)を走査させて該レジスト膜13に
半導体集積回路のパターン14を形成し(同図
(d))、Cl2 /O2 の混合ガスを用いパターン14
をエッチングマスクとしてCr膜12をエッチングする
(同図(e))。次いでSF6 /CHF3混合ガスを用
い、低温ヘリウム(He)によりSi基板1を底部より
−50℃程度まで冷却した状態でX線吸収体4に低温エ
ッチングを行い、半導体集積回路のパターン5を形成し
た後、レジスト膜13を除去する(同図(f))。
【0004】下地膜3のITOはW−Ti合金とのエッ
チング選択性が大きく、エッチング時間を長くしても安
定であるからエッチングストッパとして良好であり、W
−Ti合金のX線吸収体4に深さ一定かつエッチング面
が垂直なパターン5を形成することができる。
【0005】前記X線マスクを露光材(レジスト)を塗
布したSiウエハ面に対して10〜50μmの間隔を保
持したまま平行に配置し、シンクロトロン(Synchro-tr
on radiation;SR)放射光源から放出されるX線を照
射することにより、マスク上の微細加工用パターンであ
るパターン5をSiウエハ上に転写することができる。
このX線マスクを用いたX線露光法は、X線の直進性が
優れているため、従来の電子ビーム露光,紫外線露光等
と比べて高精度の微細パターンの形成が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のX線マスク及び
その製造方法は以上のように構成されているので、クォ
ータミクロンレベルの微細なパターン5の位置精度を高
めるためには、メンブレン薄膜2のヤング率を大きく
し、X線吸収体4の応力を小さくする必要があり、さら
にパターン5の寸法精度を高めるためには、X線吸収体
4の結晶粒径を極端に小さくするか、または非晶質(ア
モルファス)とする必要がある。そこで、ダイヤモンド
膜が高ヤング率を有することから該ダイヤモンド膜をメ
ンブレン薄膜として用いる試みがなされ様々な提案がな
されている。
【0007】しかしながら、ダイヤモンド膜は従来のS
iC膜と比べて結晶粒径が大きくなり易く、成膜後の表
面の凹凸が大きくなるため膜の平滑性が低下するという
問題点があった。この場合、ダイヤモンド膜上またはそ
の上のITO膜上に形成されたX線吸収体は結晶化され
易くなるため、安定した非晶質構造をとることが難しい
という問題点がある。また、メンブレン薄膜2には適正
な応力が要求されるが、通常のダイヤモンド膜の応力は
かなり大きく、例えば上記の製造工程でメンブレン薄膜
2としてダイヤモンド膜を用いるとSi基板1の中央部
を溶解除去した際に該ダイヤモンド膜の応力のためにS
i基板1が大きく反ったり歪んだりし、極端な場合には
破損してしまう等の問題点があった。
【0008】そこで、表面の凹凸を小さくする改善策と
して、(a)下地膜3にSOG(Spin on Glass )を塗
布し平滑性を向上させる、(b)プラズマ処理により下
地膜3の表面を非晶質化する、(c)X線吸収体4の形
成時にスパッタ圧力を低くしてW−Ti合金を非晶質化
し易くする、等が考えられるが、(a)ではSOGのX
線に対する耐性が弱いので劣化し易く、しかも膜が剥が
れ易い等の問題点があり、また(b)では凹凸を小さく
する効果が小さく、(c)ではW−Ti合金の応力が大
きくなりすぎるなどの問題点があった。
【0009】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、請求項1ないし3の発明は、緻
密で平滑性のよいX線吸収体を有するX線マスクの製造
方法を提供することを目的とする。
【0010】請求項4の発明は、X線露光時に隣接する
チップ間のかぶりを防止することができるX線マスクの
製造方法を提供することを目的とする。
【0011】請求項5の発明は、パターンの位置精度を
向上させることができるX線マスクの製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0012】請求項6の発明は、平滑性をさらに向上さ
せるX線マスクの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0013】請求項7の発明は、ダイヤモンド膜の応力
を制御することにより、反りや歪みを防止することがで
きるX線マスクの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0014】請求項8の発明は、緻密で平滑性のよいX
線吸収体を有することにより、パターンの寸法精度を向
上させることができるX線マスクを得ることを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るX
線マスクの製造方法は、薄厚の基板の平滑な面に非晶質
または微結晶のいずれかの構造からなるX線吸収体を形
成する吸収体形成工程と、該X線吸収体上にダイヤモン
ド膜を成膜するダイヤモンド成膜工程と、前記基板を前
記X線吸収体より除去する基板除去工程と、前記X線吸
収体に所定のパターンを形成するパターン形成工程とを
備えたものである。
【0016】請求項2の発明に係るX線マスクの製造方
法は、前記吸収体形成工程の後に、前記X線吸収体上に
光の反射防止膜となる薄膜を形成する薄膜形成工程を備
えたものである。
【0017】請求項3の発明に係るX線マスクの製造方
法は、前記ダイヤモンド成膜工程の後に、該ダイヤモン
ド膜の周縁部にX線マスクの補強部材を設ける補強工程
を備えたものである。
【0018】請求項4の発明に係るX線マスクの製造方
法は、前記基板除去工程を、前記基板の周囲部分を除く
部分を除去する工程としたものである。
【0019】請求項5の発明に係るX線マスクの製造方
法は、前記基板除去工程を、前記基板の周囲部分を除く
部分を除去するとともに該周囲部分に電子ビーム描画用
位置検出マークを形成する工程としたものである。
【0020】請求項6の発明に係るX線マスクの製造方
法は、前記ダイヤモンド成膜工程を、炭素化合物を含む
原料ガスと共に粒径が数〜数十nm以下のダイヤモンド
微結晶を供給し、前記原料ガスを分解しつつ該ダイヤモ
ンド微結晶を含むダイヤモンド膜を成膜する工程とした
ものである。
【0021】請求項7の発明に係るX線マスクの製造方
法は、前記ダイヤモンド成膜工程を、原料ガス中の炭素
化合物の濃度及び該原料ガスの分解条件を変化させて膜
の応力を調整し、異なる応力を持つ膜の組合せにより、
成膜するダイヤモンド膜の応力を制御する工程としたも
のである。
【0022】請求項8の発明に係るX線マスクは、請求
項1ないし7のいずれか1項記載のX線マスクの製造方
法により作成したものである。
【0023】
【作用】請求項1の発明におけるX線マスクの製造方法
は、前記吸収体形成工程と、ダイヤモンド成膜工程とを
行った後に、前記基板を除去する基板除去工程を行うこ
とにより、表面の凹凸が小さく平滑性に優れた非晶質ま
たは微結晶の緻密な構造のX線吸収体を作成することが
可能になり、したがってパターンの寸法精度の高いX線
マスクを作成することが可能になる。
【0024】請求項2の発明におけるX線マスクの製造
方法は、前記吸収体形成工程の後に、前記X線吸収体上
にITO等の光透過が高く且つ光反射防止機能を持つ下
地膜を備えたことにより、転写時のアライメントを高精
度に行なうことができる。
【0025】請求項3の発明におけるX線マスクの製造
方法は、前記ダイヤモンド成膜工程の後に、該ダイヤモ
ンド膜の周縁部に補強部材を設ける補強工程を備えたこ
とにより、X線マスクの機械的強度が向上する。
【0026】請求項4の発明におけるX線マスクの製造
方法は、前記基板除去工程を前記基板の周囲部分を除く
部分を除去する工程としたことにより、X線露光を行う
際に周囲から侵入するX線を前記周囲部分で遮断し、隣
合うチップ間のかぶりを防止するX線マスクを作成する
ことが可能になる。
【0027】請求項5の発明におけるX線マスクの製造
方法は、前記基板除去工程を、前記基板の周囲部分を除
く部分を除去するとともに該周囲部分に電子ビーム描画
用位置検出マークを形成する工程としたことにより、X
線露光を行う際に周囲から侵入するX線を前記周囲部分
で遮断し、隣合うチップ間のかぶりを防止するととも
に、パターン描画時のパターン位置精度を向上させるX
線マスクを作成することが可能になる。
【0028】請求項6の発明におけるX線マスクの製造
方法は、炭素化合物を含む原料ガスと共に、粒径が数〜
数十nm以下のダイヤモンド微結晶を供給し、前記原料
ガスを分解しつつ該ダイヤモンド微結晶を含むダイヤモ
ンド膜を成膜することにより、前記ダイヤモンド微結晶
は膜表面で二次核となり、粒径のそろったダイヤモンド
微結晶が成長し、緻密な多結晶構造のダイヤモンド膜を
形成する。これにより粒径の小さいダイヤモンド微結晶
からなる表面の凹凸の小さいダイヤモンド膜を成膜する
ことが可能になる。
【0029】請求項7の発明におけるX線マスクの製造
方法は、原料ガス中の炭素化合物の濃度及び該原料ガス
の分解条件を変化させて膜の応力を調整し、異なる応力
を持つ膜の組合せにより、成膜するダイヤモンド膜の応
力を制御することにより、該ダイヤモンド膜の応力を適
正な応力範囲に収める。
【0030】請求項8の発明におけるX線マスクは、請
求項1ないし7のいずれか1項のX線マスクの製造方法
で作成することにより、X線吸収体の平滑性が向上し、
したがってパターンの寸法精度が高まる。さらに、各製
造方法により生じる特徴を備えたX線マスクを提供する
ことが可能になる。
【0031】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図に基づいて説
明する。前記図7と同一部分には同一符号を付して重複
説明を省略した図1において、21は中央部に半導体集
積回路のパターン5が形成された非晶質のW−Ti合金
からなるX線吸収体、22はダイヤモンド膜、23は厚
みが2mm程度の補強用リング(補強部材)である。
【0032】次に、前記X線マスクの製造方法について
図2に基づき説明する。まず、表面が平滑な厚みが10
0〜300μm程度の薄厚のSi基板31上にスパッタ
法によりW−Ti合金のX線吸収体21を成膜する(吸
収体形成工程 同図(a))。Si基板31は表面が平
滑であるので非晶質のW−Ti合金膜を容易に形成する
ことができる。次いで、真空中または窒素雰囲気中にお
いて800℃程度で高温アニールを行い、X線吸収体2
1の応力を計測して10MPa以下の応力にする。該応
力計測を精度良く行うためにはSi基板31が薄厚であ
ることが重要となる。
【0033】次いで、蒸着法,スパッタ法,スピンコー
ト法等によりX線吸収体21上にITO等の下地膜3を
成膜し、再度アニールを行い安定な結晶とする(薄膜形
成工程 同図(b))。次いで、熱フィラメントやマイ
クロ波放電等を用いて下地膜3上にダイヤモンド膜22
を成膜する(ダイヤモンド成膜工程 同図(c))。該
ダイヤモンド膜22の表面を研磨またはレーザ照射する
ことにより表面の凹凸をさらに改善することができる。
【0034】次いで、ダイヤモンド膜22の周縁部に補
強用リング23を接着する(補強工程 同図(d))。
この場合、補強用リング23を接着する部分は研磨せず
に凹凸が大きいまま残した方が接着強度が大きくなる。
次いで、弗硝酸等を用いてSi基板31を溶解除去し、
露出したX線吸収体21上にエッチングマスク6となる
Cr膜をスパッタ法により成膜し、Cr膜上にレジスト
膜13を形成すると(同図(e))、従来のX線マスク
(図8(c))と類似の構造となる。レジスト膜13に
パターン14を形成する工程以降(図8(d)以降)は
従来のX線マスクの製造方法と全く同様である。
【0035】以上説明したように、この一実施例のX線
マスクの製造方法によれば、Si基板31上にX線吸収
体21、下地膜3及びダイヤモンド膜22を順次形成
し、その後Si基板31を除去したので、緻密なX線吸
収体21を作成することができ、表面の平滑性が向上
し、パターンの寸法精度の高いX線マスクを製造するこ
とができる。
【0036】なお、X線吸収体21を微結晶の多結晶構
造としても同様の効果が得られる。また、上記実施例で
は、下地膜3としてITOからなる反射防止膜を用いた
が、ITOに限定されることなく、例えばSOG,Cr
2 ,Al23 等の材料を用いても良く、またCr等
のエッチングストッパ材料を用いても良い。また、場合
によってはX線吸収体上に直接ダイヤモンド膜を形成し
てもよい。また、X線吸収体21としてW−Ti合金を
用いたが、純粋のWや窒化物、またはタンタル(Ta)
やその混合物等を用いても同様の効果を得ることができ
る。
【0037】実施例2.図3はこの発明の実施例2のX
線マスクを示す断面図であり、実施例1のX線マスクの
ようにSi基板31を全部除去するかわりに、パターン
5を形成すべき部分に窓41を形成したものである。こ
のX線マスクでは、周囲から侵入するX線はSi基板3
1で遮断されるので、X線露光を行う際に隣合うチップ
間のかぶりを防止することができる。さらに、Si基板
31上に電子ビーム描画用位置検出マーク42が形成さ
れている。
【0038】次に、このX線マスクの製造方法について
図4に基づき説明する。補強用リング23を接着するま
では実施例1と全く同様である。Si基板31上にスピ
ンコート法によりレジスト膜13を塗布し(同図
(a))、光転写を用いて寸法及び位置精度の高い窓4
1及び電子ビーム描画用位置検出マーク42を形成する
(同図(b))。次いで、エッチングマスク6となるC
r膜を順次形成し、従来と同様の方法によりX線吸収体
21にパターン5を形成する(同図(c))。
【0039】このX線マスクには、Si基板31上に電
子ビーム描画用位置検出マーク42が形成されているの
で、回路パターンを電子ビームで描画する際に電子ビー
ム描画用位置検出マーク42を読み取り、パターン位置
を補正しながら描画することができるので、パターンの
位置精度を向上させることができる。
【0040】実施例3.図5は、この発明の実施例3の
X線マスクの製造方法に用いられるダイヤモンド成膜装
置を示す概略構成図であり、図において、51は成膜用
基板、52は回転自在の基板ホルダー、53はメタン
(CH4 )と水素(H2 )の混合ガスからなる原料ガス
を供給する供給管、54は供給管53の途中に設けられ
粒径が数nmのダイヤモンド微結晶を原料ガスに混入す
るための微結晶供給器、55はW等からなる熱フィラメ
ントである。
【0041】次に、このダイヤモンド成膜装置を用いて
ダイヤモンド膜を成膜する方法について説明する。熱フ
ィラメント55を所定の温度、例えば2000℃に加熱
すると、その放射熱により成膜用基板51が加熱され、
その基板温度は800〜900℃になる。この状態でダ
イヤモンド微結晶を含む原料ガスを供給すると、熱フィ
ラメント55の表面及びその近傍の高温領域で原料ガス
が分解され、成膜用基板51上にダイヤモンド微結晶が
堆積し、機械的強度が大きく表面の凹凸の小さなダイヤ
モンド膜を得ることができる。
【0042】従来のダイヤモンド合成法では、図6
(a)に示すようにダイヤモンド微結晶57が粒成長す
るためにその粒径が膜厚の増加とともに大きくなり表面
の凹凸が大きくなるが、この実施例の合成法では図6
(b)に示すように、供給されるダイヤモンド微結晶が
膜表面で二次核となり、粒径のそろったダイヤモンド微
結晶58が成長し緻密なダイヤモンド膜を形成すること
ができる。
【0043】上記実施例の成膜用基板51は、下地膜3
及びX線吸収体21が形成されたSi基板31以外であ
ってもよい。例えばSi基板とすると、該Si基板上に
直接ダイヤモンド膜を形成することができる。また、原
料ガスの成分としては、上記CH4 以外にC22 等の
炭化水素,CH3 OH等のアルコール類,CO,CO2
等の酸化物,CF4 等の弗化物や塩化物等を用いること
もできる。また、原料ガスを分解する手段としては、上
記の熱フィラメント55以外に、マイクロ波やアーク等
の放電,アセチレン炎のような高温ガス等を用いること
もできる。
【0044】X線マスクに用いるダイヤモンド膜は応力
であることが要求されているが、その応力が適正な範囲
にないと、Si基板が応力により変形したり、また破損
してしまう場合がある。このため、反応時に原料のメタ
ンと水素の比を変化させることにより応力を調整するこ
とができる。すなわち、CH4 濃度を高くするとダイヤ
モンドは微結晶となり、応力は大きくなる。一方、CH
4 濃度を低くすると、二次核の生成が抑制され、ダイヤ
モンド微結晶は粒成長して応力は低下する。成膜初期は
CH4 濃度を高くして結晶を微細化させ、その後CH4
濃度を低くして、ある程度粒成長させることにより応力
の調整を行い、適正な範囲に収めることができる。各濃
度で成膜する時間(=膜厚)の割合は、総合応力が適正
な範囲になるよう設定すればよい。
【0045】また、マイクロ波プラズマを用いる場合
は、プラズマ強度を大きくすると応力は大きくなり、プ
ラズマ強度を小さくすると応力は小さくなる。このため
ダイヤモンド膜の応力を適正な応力範囲に収めるために
は、当初はプラズマ強度を大きくし、次にプラズマ強度
を小さくする等、プラズマ強度を適宜調整すればよい。
【0046】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、薄厚の基板の平滑な面に非晶質または微結晶のいず
れかからなるX線吸収体を形成する吸収体形成工程と、
該X線吸収体上にダイヤモンド膜を成膜するダイヤモン
ド成膜工程と、前記基板を除去する基板除去工程とを備
え、パターン形成工程で前記X線吸収体に所定のパター
ンを形成するように構成したので、表面の凹凸が小さく
平滑性に優れた非晶質または微結晶の緻密な構造のX線
吸収体を作成することができ、パターンの寸法精度の高
いX線マスクを作成することができる効果がある。
【0047】請求項2の発明によれば、前記前記吸収体
形成工程の後に、前記X線吸収体上にITO等の光透過
率が高く且つ反射防止機能を持つ下地膜を設けるように
構成したので、転写時のアライメントを高精度に行なう
ことができる効果がある。
【0048】請求項3の発明によれば、前記ダイヤモン
ド成膜工程の後に、補強工程で該ダイヤモンド膜の周縁
部に補強部材を設けるように構成したので、X線マスク
の機械的強度を向上させることができる効果がある。
【0049】請求項4の発明によれば、前記基板除去工
程で、前記基板の周囲部分を除く部分を除去するように
構成したので、X線露光時に隣合うチップ間のかぶりを
防止できるX線マスクを作成することができる効果があ
る。
【0050】請求項5の発明によれば、前記基板除去工
程で、前記基板の周囲部分を除く部分を除去するととも
に該周囲部分に電子ビーム描画用位置検出マークを形成
するように構成したので、X線露光時に隣合うチップ間
のかぶりを防止することができ、パターン描画時のパタ
ーン位置精度を向上させることができるX線マスクを作
成することができる効果がある。
【0051】請求項6の発明によれば、前記ダイヤモン
ド成膜工程で、炭素化合物を含む原料ガスと共に粒径が
数〜数十nm以下のダイヤモンド微結晶を供給し、前記
原料ガスを分解しつつ該ダイヤモンド微結晶を含むダイ
ヤモンド膜を成膜するように構成したので、該ダイヤモ
ンド微結晶が二次核となり、粒径がそろったダイヤモン
ド微結晶からなる表面の凹凸の小さい緻密なダイヤモン
ド膜を形成することができる効果がある。
【0052】請求項7の発明によれば、原料ガス中の炭
素化合物の濃度及び該原料ガスの分解条件を変化させて
膜の応力を調整し、異なる応力を持つ膜の組合せによ
り、成膜するダイヤモンド膜の応力を制御するように構
成したので、該ダイヤモンド膜の応力を適正な応力範囲
に収めることができる効果がある。
【0053】請求項8の発明によれば、請求項1ないし
7のいずれか1項記載のX線マスクの製造方法により作
成したので、平滑性に優れたX線吸収体を有するように
構成したので、パターンの寸法精度の高いX線マスクを
提供することができる。さらに各製造方法により生じる
特有の特徴を備えたX線マスクを提供することができる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1によるX線マスクを示す
断面図である。
【図2】 この発明の実施例1によるX線マスクの製造
方法を示す過程図である。
【図3】 この発明の実施例2によるX線マスクを示す
断面図である。
【図4】 この発明の実施例2によるX線マスクの製造
方法を示す過程図である。
【図5】 この発明の実施例3によるX線マスクの製造
方法に用いられるダイヤモンド成膜装置を示す概略構成
図である。
【図6】 ダイヤモンド膜の成膜状態を示す模式図であ
る。
【図7】 従来のX線マスクを示す断面図である。
【図8】 従来のX線マスクの製造方法を示す過程図で
ある。
【符号の説明】
3 下地膜、21 X線吸収体、22 ダイヤモンド
膜、23 補強用リング(補強部材)、31 Si基板
(基板)、42 電子ビーム描画用位置検出マーク、5
8 ダイヤモンド微結晶。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 安次 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電 機株式会社 半導体基礎研究所内 (72)発明者 丸本 健二 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電 機株式会社 半導体基礎研究所内 (72)発明者 矢部 秀毅 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電 機株式会社 半導体基礎研究所内 (56)参考文献 特開 平2−51216(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 1/00 - 1/16 H01L 21/027

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄厚の基板の平滑な面に非晶質または微
    結晶のいずれかからなるX線吸収体を形成する吸収体形
    成工程と、該X線吸収体上にダイヤモンド膜を成膜する
    ダイヤモンド成膜工程と、前記基板を除去する基板除去
    工程と、前記X線吸収体に所定のパターンを形成するパ
    ターン形成工程とを備えたことを特徴とするX線マスク
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記吸収体形成工程の後に、前記X線吸
    収体上に光の反射防止を行なう下地膜を形成する薄膜形
    成工程を備えたことを特徴とする請求項1記載のX線マ
    スクの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ダイヤモンド成膜工程の後に、該ダ
    イヤモンド膜の周縁部に補強部材を設ける補強工程を備
    えたことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項
    記載のX線マスクの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記基板除去工程を、前記基板の周囲部
    分を除く部分を除去する工程としたことを特徴とする請
    求項1記載のX線マスクの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記基板除去工程を、前記基板の周囲部
    分を除く部分を除去するとともに該周囲部分に電子ビー
    ム描画用位置検出マークを形成する工程としたことを特
    徴とする請求項1記載のX線マスクの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ダイヤモンド成膜工程は、炭素化合
    物を含む原料ガスと共に粒径が数〜数十nm以下のダイ
    ヤモンド微結晶を供給し、前記原料ガスを分解しつつ該
    ダイヤモンド微結晶を含むダイヤモンド膜を成膜するこ
    とを特徴とする請求項1記載のX線マスクの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ダイヤモンド成膜工程は、原料ガス
    中の炭素化合物の濃度及び該原料ガスの分解条件を変化
    させて膜の応力を調整し、異なる応力を持つ膜の組合せ
    により、成膜するダイヤモンド膜の応力を制御すること
    を特徴とする請求項1記載のX線マスクの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項記載の
    X線マスクの製造方法により作成したことを特徴とする
    X線マスク。
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