JPH08182435A - 田植え機装填用マット苗の育苗方法及び育苗用エンボ ス加工耐水紙 - Google Patents

田植え機装填用マット苗の育苗方法及び育苗用エンボ ス加工耐水紙

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JPH08182435A
JPH08182435A JP33999294A JP33999294A JPH08182435A JP H08182435 A JPH08182435 A JP H08182435A JP 33999294 A JP33999294 A JP 33999294A JP 33999294 A JP33999294 A JP 33999294A JP H08182435 A JPH08182435 A JP H08182435A
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Japan
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waterproof paper
seedling
soil
seedlings
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JP33999294A
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English (en)
Inventor
Takatake Takada
隆剛 高田
Ichiro Kagawa
一郎 香川
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MARUEI SANGYO KK
Original Assignee
MARUEI SANGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 葉齢が2葉未満の乳苗の時点でも、使用する
床土の性状に比較的影響されることなく、苗の根を確実
にシートに貫通させることができ、床土とシートとの密
着性が非常に良好で、マット部の崩れ、苗のバラケを確
実に防止できる田植え機装填用マット苗の育苗方法を提
供する。 【構成】 育苗箱内に、この育苗箱の底板13との間に空
隙ができるように、少なくとも移植前の耐水性及び通気
性と移植後の腐食性とを有するシート6 を敷き、このシ
ート6 上に床土4 を入れた後、床土4 上に所定数の籾8
を播種して育苗し、籾8 から出根し成長する根12をシー
ト6 の下側の空隙15側に貫通させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、田植え機装填用マット
苗の育苗方法及び育苗用エンボス加工耐水紙に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】田植え機装填用マット苗は床土部が1枚
のマット状になったものである。このマット苗を育苗す
る場合には、通常、育苗箱中に一様に床土を入れて、そ
の床土上にすじ撒き状又はばら撒き状に籾を播種した
後、覆土して育苗する方法が採用されており、稚苗、中
苗の育苗に用いられている(「新版 農業機械ハンドブ
ック」第494頁 農業機械学会編 昭和59年3月3
0日 コロナ社発行)。
【0003】しかし、稚苗、中苗は、育苗箱の箱数が多
くなると共に、育苗期間が長くなるため、育苗関係の費
用、作業能率、その他の点で問題がある。そこで、近年
では、葉齢が2葉未満の乳苗の時点で田植え機に装填し
て移植する乳苗移植が普及する傾向にある。この乳苗移
植の場合には、育苗箱の数を少なくできると共に、育苗
期間を短縮でき、しかも育苗期間中に施用する追肥等が
不要になる等の利点がある。
【0004】乳苗のマット苗を育苗する乳苗育苗方法と
しては、従来、ロックウールマットを用いたロックウー
ルマット育苗方法と、耐水紙を用いた耐水紙育苗方法と
がある(「東北農業研究 第46号」第25〜26頁
第36回東北農業研究発表会における講演論文集(平成
5年7月29日 於 秋田市文化会館)東北農業試験研
究協議会発行)。また、その他に複合育苗シートを用い
た複合育苗シート育苗方法もある。
【0005】ロックウールマット育苗方法は、床土の代
わりにロックウールマットを用い、このロックウールマ
ットを育苗箱の中に敷いた後、その上に籾を播種し灌水
し覆土して育苗する方法である。耐水紙育苗方法は、育
苗箱の中に、C−30M(1平方メートル当たり30g
以上で40g未満)程度の耐水紙を敷き、この耐水紙の
上に床土を入れ、その床土上に籾を播種して覆土し育苗
する方法である。
【0006】複合育苗シート育苗方法は、薄い上面紙と
厚い下面紙との間に、吸水性ポリマーを入れた天然パル
プ製の吸水層を介在し、これらをエンボス加工により凹
凸状に形成して一体化した複合育苗シートを用い、この
複合育苗シートを育苗箱に敷き、その上に床土を入れて
籾を播種して覆土し育苗する方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の乳苗育苗方法で
は、次のような欠点がある。即ち、ロックウールマット
育苗方法の場合は、床土の代わりに特別なロックウール
マットを用いるため、床土の準備が不要になる利点があ
る反面、ロックウールマットによって育苗コストが大幅
に高騰し、水稲育苗の低コスト化を図るにも自ずと限界
がある。また無肥料で育苗するため、育苗時期が低温の
場合には、苗の草丈の伸長が遅いという欠点がある。
【0008】複合育苗シート育苗方法の場合は、特別な
複合育苗シートを用いるために育苗コストがアップする
と共に、複合育苗シートの上側の床土内で根が成長する
だけであって、根が複合育苗シートを貫通しないので、
床土の量が増大する欠点がある。また複合育苗シート自
体に耐水性がなく、マット苗のマット部に対する複合育
苗シートの補強効果が極めて少ないので、田植え機に装
填する場合の取り扱いが非常に煩わしく、作業性に欠け
る欠点がある。
【0009】一方、従来の耐水紙育苗方法は、C−30
M程度の耐水紙を使用でき、しかも床土に畑土・水田土
・山土等の自然土を利用できるので、ロックウールマッ
ト育苗方法、複合育苗シート育苗方法に比較して低コス
ト化を大幅に促進できる利点がある。また育苗時に基肥
を施用するので、ロックウールマット育苗方法に比較し
て、低温時でも苗の草丈が順調に伸長するという利点が
ある。
【0010】しかし、従来の耐水紙育苗方法では、単に
クレープ加工したのみの耐水紙等、一般に凹凸のない平
面的な耐水紙を使用しているため、床土によっては、根
の耐水紙への貫通がなく、移植時にマット苗のマット部
が崩れて苗にバラケが生じる欠点がある。
【0011】つまり、葉齢が2葉未満の乳苗の時点で
は、根が十分に発達しておらず、その長さが短かいた
め、各苗の根が互いに絡まり合ってマット部の崩れを防
止することは期待できない。従って、苗の根を床土側か
ら耐水紙の下側へと貫通させて、苗の根によって床土と
耐水紙との密着度を確保し、且つマット部全体の強度を
耐水紙によって補強する必要がある。
【0012】しかしながら、従来の耐水紙育苗方法で
は、黒粒土、花崗土、或いは市販の培土を用いた場合に
は、床土自体に細かい粉粒状のものが少ないので、育苗
時に床土と耐水紙との間の空隙ができ、その空隙部分に
苗の根が伸長することになる。このため、耐水紙を貫通
する根の数が極端に少なくなって、使用する床土の条件
によっては、床土と耐水紙との密着度が低下してマット
部の保形性が著しく低下する。
【0013】従って、田植え機に装填して移植する場合
には、植え付け爪で苗を数本ずつ掻き取って植え付けて
行くが、その植え付け時に、植え付け爪による苗の掻き
取りミス、苗のバラケ、欠株等が生じ易く、また掻き取
り部分の耐水紙が千切れずに田植機の苗載せ台側に残る
等の恐れがある。このため、使用する床土が著しく制約
される欠点がある。
【0014】本発明は、かかる従来の課題に鑑み、葉齢
が2葉未満の乳苗の時点でも、使用する床土の性状に比
較的影響されることなく、苗の根を確実にシートに貫通
させることができ、床土とシートとの密着性が非常に良
好で、しかもマット部の崩れ、苗のバラケを確実に防止
できる田植え機装填用マット苗の育苗方法及び育苗用エ
ンボス加工耐水紙を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係る田植え機装填用マット苗の育苗方法は、育苗箱1
内に、該育苗箱1 の底板13との間に空隙15ができるよう
に、少なくとも移植前の耐水性及び通気性と移植後の腐
食性とを有するシート6 を敷き、このシート6上に床土4
を入れた後、床土4 上に所定数の籾8 を播種して育苗
し、籾8 から出根し成長する根12をシート6 の下側の空
隙15側に貫通させるものである。
【0016】請求項2に記載の本発明に係る田植え機装
填用マット苗の育苗方法は、請求項1に記載の発明にお
いて、籾8 から出根し成長する根12をシート6 の下側の
空隙15側に貫通させた後、該シート6 の下側の空隙15側
で育苗箱1 の底板13により根12を案内しながら成長させ
るものである。
【0017】請求項3に記載の本発明に係る田植え機装
填用マット苗の育苗方法は、請求項1又は2に記載の発
明において、シート6 に、エンボス加工により凹凸状に
形成されたエンボス加工耐水紙9 を用いるものである。
【0018】請求項4に記載の本発明に係る田植え機装
填用マット苗の育苗方法は、請求項3に記載の発明にお
いて、床土4 に、エンボス加工耐水紙9 の近傍の床土4
が該エンボス加工耐水紙9 の凹凸部10,11 内に入って、
床土4 内に空隙ができないように微細な粉粒を含むもの
を用いるものである。
【0019】請求項5に記載の本発明に係る田植え機装
填用マット苗の育苗方法は、請求項3又は4に記載の発
明において、エンボス加工により形成された凹凸部10,1
1 が全体に亘って略均一に分散し、且つ各凹凸部10,11
が夫々独立して形成されたエンボス加工耐水紙9 を用い
るものである。
【0020】請求項6に記載の本発明に係る育苗用エン
ボス加工耐水紙は、1m2 当たりの重量が30g〜70
gで耐水性、通気性及び腐食性を有する耐水紙の略全面
に細かい凹凸状にクレープ加工を施し、且つ略全面に略
均等に分散するようにエンボス加工により凹凸部10,11
を形成したものである。
【0021】
【作用】請求項1に記載の本発明では、育苗箱1 内に、
該育苗箱1 の底板13との間に空隙15ができるように、少
なくとも移植前の耐水性及び通気性と移植後の腐食性と
を有するシート6 を敷き、このシート6 上に床土4 を入
れた後、床土4 上に所定数の籾8 を播種して育苗する。
すると籾8 から出根し成長する根12がシート6 の下側の
空隙15側に空気を求めて貫通する。このため、葉齢が2
葉未満の乳苗7 の時点でも、使用する床土4 の性状に比
較的影響されることなく、苗の根12を確実にシート6 に
貫通させることができ、床土4 とシート6 との密着性が
非常に良好になり、しかもマット部3 の崩れ、苗のバラ
ケを確実に防止できる。
【0022】請求項2に記載の本発明では、籾8 から出
根し成長する根12をシート6 の下側の空隙15側に貫通さ
せた後、このシート6 の下側の空隙15側で育苗箱1 の底
板13により根12を案内しながら成長させる。このため、
シート6 を貫通した根12がその下側で絡み合った状態の
マット苗2 が得られる。
【0023】請求項3に記載の本発明では、シート6
に、エンボス加工により凹凸状に形成されたエンボス加
工耐水紙9 を用いる。このため、エンボス加工耐水紙9
に対する根12の貫通が容易であり、またマット苗2 の低
コスト化が可能である。
【0024】請求項4に記載の本発明では、床土4 に、
エンボス加工耐水紙9 の近傍の床土4 が該エンボス加工
耐水紙9 の凹凸部10,11 内に入って、床土4 内に空隙が
できないように微細な粉粒を含むものを用いる。このた
め、エンボス加工耐水紙9 を貫通する根12の貫通率が向
上する。
【0025】請求項5に記載の本発明では、エンボス加
工により形成された凹凸部10,11 が全体に亘って略均一
に分散し、且つ各凹凸部10,11 が夫々独立して形成され
たエンボス加工耐水紙9 を用いる。このため、育苗箱1
の底板12とエンボス加工耐水紙9 との間に空隙15を確保
し易く、乳苗7 等の育苗が容易である。
【0026】請求項6に記載の本発明では、1m2 当た
りの重量が30g〜70gで耐水性、通気性及び腐食性
を有する耐水紙を用い、この耐水紙の略全面に細かい凹
凸状にクレープ加工を施し、且つ略全面に略均等に分散
するようにエンボス加工により凹凸部10,11 を形成して
いるので、育苗時に根の貫通が良く、床土4 とシート6
との密着性の良いマット苗を容易に育苗でき、しかも移
植後の問題もない。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述
する。図1乃至図5は本発明の第1実施例を例示する。
図1は育苗箱1 内で乳苗状態まで育苗した時の育苗状態
を示し、図2は育苗箱1 から取り出した田植え機装填前
の乳苗マット苗2 を示し、図3は図2の要部の拡大断面
を示す。
【0028】図1乃至図3において、3 はマット苗2 の
マット部で、床土4 及び覆土5 と、その床土4 の下側に
密着したシート6 とからなる。7 はマット部3 から上に
植生する多数の乳苗で、床土4 上に籾8 を播種し覆土し
た状態で7日〜8日程度育苗したものであって、葉齢が
2葉未満で、草丈が7cm程度である。床土4 及び覆土
5 には、育苗用として一般に市販されている培土、又は
畑等から採取した黒土粒状培土等が用いられている。こ
の床土4 は13mm内外の厚さであり、また覆土5 は播
種後の籾8 を完全に覆い得る程度の厚さである。
【0029】シート6 は、少なくとも移植前の耐水性、
移植後の腐食性の他に、通気性及び吸水性を有し、且つ
移植時に容易に引き裂き可能な素材を凹凸状に成形した
ものであって、例えばクレープ加工によって細かい凹凸
模様が形成されたC−30MからC−70M程度の天然
パルプ製の耐水紙を、更に凹凸状にエンボス加工したエ
ンボス加工耐水紙9 が用いられている。このエンボス加
工耐水紙9 は、エンボス加工により形成された凹部10と
凸部11とがその全体に亘って略均一に分散して配置さ
れ、各凹部10及び凸部11が夫々独立して形成されてい
る。因みにC−30MからC−70Mまでの各エンボス
加工耐水紙9 の秤量、厚さ、密度等の一般的物性は、表
1に示す通りである。
【0030】
【表1】 なお、各凹部10及び凸部11の大きさ、形状等は、エンボ
ス加工耐水紙9 自体の厚さによって成形性、保形性、特
に湿潤時の保形性が変化するため、エンボス加工耐水紙
9 の厚さとの相対関係で変わるが、その各部の寸法は、
例えばC−40Mのエンボス加工耐水紙9 の場合には、
次の通りである。即ち、凹部10及び凸部11の高さは1〜
4mm、凹部10及び凸部11の基部側の幅は1〜5mm、
各凹部10又は凸部11間のピッチは3〜9mm程度であ
る。
【0031】またエンボス加工耐水紙9 の凹部10、凸部
11の大きさは、エンボス加工耐水紙9 の上側近傍で床土
4 内に発生する空隙を極力少なくする必要から、床土4
の粒径組成とも大きく関係する。例えば、床土4 の粒径
組成が比較的細かい場合には、凹部10、凸部11の小さい
ものを用い、粒径組成が比較的大きい場合には、凹部1
0、凸部11の大きいものを用いる。
【0032】各乳苗7 の根12は、約35〜60%程度が
床土4 側からエンボス加工耐水紙9を貫通して下側に伸
び、その下側でエンボス加工耐水紙9 に沿って互いに複
雑に絡まり合った状態となっている。このマット苗2 を
育苗する場合には、次のようにして行う。先ず、図4の
(I)に示すように、所定の育苗箱1 を準備し、この育苗
箱1 内の底板13上にエンボス加工耐水紙9 を敷く。この
時、エンボス加工耐水紙9 は、製紙時の沙造工程でパル
プ繊維が略縦方向に揃うため、表1に示すように、横方
向に比較して縦方向の引張強度が大であり、縦方向の伸
度が小であるので、エンボス加工耐水紙9 の縦方向が育
苗箱1 の長手方向と一致するように敷く。そして、図4
の(II)に示す如く、このエンボス加工耐水紙9 の上に1
3mm程度の厚さに床土4 を入れ、その後、床土4 が適
当な湿潤状態になるように灌水をする。なお、底板13に
は、小さい孔14が適当数形成されている。
【0033】このように育苗箱1 の底板13上にエンボス
加工耐水紙9 を敷くと、エンボス加工耐水紙9 には、そ
の全体に亘って略均一に無数の凹部10と凸部11とが形成
されているので、育苗箱1 の底板13との間に、エンボス
加工耐水紙9 が略全体にクレープ加工による細かい凹凸
模様とエンボス加工による凹部10及び凸部11を有するの
で、このエンボス加工耐水紙9 の凹凸模様、凹部10及び
凸部11に相当する空隙15が全体に亘って略均一にでき、
その空隙15に空気、即ち、酸素が溜まった状態が得られ
る。
【0034】そして、床土4 に灌水した後、図4の(II
I) 及び(IV)に示す如く、適度に催芽した状態の籾8 を
床土4 上に播種して、床土4 と同じ覆土5 を用いて籾8
を覆土する。なお、籾8 の播種は、すじ撒き、ばら撒き
の何れでも良い。籾8 の播種が完了すると、所定の育苗
条件の下で葉齢が2葉未満程度になるまで育苗する。こ
の育苗期間中に籾8 は発芽し出根して、その芽が成長す
ると共に、根12が床土4 内で下側に順次伸長してエンボ
ス加工耐水紙9 の上面側まで伸びる。
【0035】そして、根12がエンボス加工耐水紙9 まで
到達すれば、一般に、植物の根12は空気層、即ち、酸素
を求めて伸長する性質があるので、その根12の多くがエ
ンボス加工耐水紙9 を貫通して下側に伸長する。即ち、
エンボス加工耐水紙9 の下側には、底板13の孔14を介し
て育苗箱1 の外部と連通する空隙15があり、その空隙15
に空気が溜まった状態になっており、またエンボス加工
耐水紙9 自体には無数の微細な孔があって適度な通気性
がある。このため、エンボス加工耐水紙9 まで伸びた根
12は、エンボス加工耐水紙9 の下側の空隙15側へと空
気、即ち、酸素を求めて伸び、エンボス加工耐水紙9 を
貫通して下側に伸長して行く。
【0036】特に、エンボス加工耐水紙9 の上側には湿
潤状態の床土4 が充満し、エンボス加工耐水紙9 の上側
の空隙率は、エンボス加工による凹部10と凸部11とによ
って積極的に空隙15を確保している下側に比較して極端
に少なく、しかもエンボス加工耐水紙9 の下側の空隙15
には空気があるので、エンボス加工耐水紙9 まで伸びた
根12は、エンボス加工耐水紙9 の最も抵抗の少ない部
位、例えば凹部10と凸部11との中間部分を経てエンボス
加工耐水紙9 に対して略直角方向に貫通する等、エンボ
ス加工耐水紙9 の上側から下側に貫通して行く。
【0037】またエンボス加工のない平坦な耐水紙を使
用した場合には、粒度が大きく土中に空気が多く存在す
る床土4 では、根12の先端が耐水紙に接触した後、耐水
紙が障害となって根12自体が床土4 の下部側で耐水紙に
沿って横に伸びることになり、根12の貫通率が極端に少
なくなる。
【0038】しかし、エンボス加工耐水紙9 を使用すれ
ば、エンボス加工耐水紙9 の下側に空隙15による空気層
ができる他に、同じC−40Mのエンボス加工耐水紙9
であっても、クレープ加工及びエンボス加工時の伸びに
よって、それ自体の厚さが局部的又は全体的に薄くなっ
ている上に、クレープ加工による細かい凹凸模様と、エ
ンボス加工による独立した凹部10と凸部11とによって全
体に亘って凹凸状になっているため、粒度の小さい床土
4 では勿論のこと、粒度の大きい床土4 でも、根12の先
端側がエンボス加工耐水紙9 に接触した後、その細かい
凹凸模様を有する凹凸部10,11 の凹凸形状によって根12
の横方向への伸長が規制されて、床土4の下部で横方向
に伸長し難くなる。
【0039】つまり、換言すれば、エンボス加工耐水紙
9 に到達した後の根12のエンボス加工耐水紙9 に対する
刺さりがどのような床土4 でも非常に容易になり、根12
の多くを比較的短期間でエンボス加工耐水紙9 を貫通さ
せて、エンボス加工耐水紙9の下側へと伸長させること
ができる。
【0040】そして、エンボス加工耐水紙9 を貫通して
下側に伸びた根12は、その下側に育苗箱1 の底板13があ
るので、この底板13に接触した後、底板13の上面によっ
て案内されて空隙15内で横方向に曲がり、この空隙15内
で伸び易い方向に自在に伸びて行く。このため、各根12
同士がエンボス加工耐水紙9 と育苗箱1 の底板13との間
で互いに交差する等によって絡まり合った状態となる。
【0041】特に、エンボス加工耐水紙9 は、細かい凹
凸模様を有する凹部10及び凸部11が夫々独立しており、
その凹部10が育苗箱1 の底板13の上面に当たっているの
で、育苗期間中に、仮に床土4 側の重量又は根12の伸長
等によって、エンボス加工耐水紙9 の凹凸形状が多少損
傷すると仮定しても、エンボス加工耐水紙9 と育苗箱1
の底板13との間の空隙15は網み目状に略連続した状態、
又はそれに近い状態になっており、エンボス加工耐水紙
9 を貫通した各根12を底板13の上面に沿って空隙15内で
複雑に伸長させることができる。
【0042】従って、エンボス加工耐水紙9 を貫通した
根12がそのまま下方に伸長せず、各根12をエンボス加工
耐水紙9 の下側に沿って密着状態又はそれに近い状態に
することができると同時に、各根12同士を複雑に絡ませ
ることができ、エンボス加工耐水紙9 の下側での根12の
収まり状態が非常に良好になり、しかもその根12同士の
絡まり状態を一層促進させることができる。
【0043】因みに、草丈が約7cm、葉齢が1.5程
度の乳苗7 では、1個の籾8 から出る根12が5〜6本程
度であり、その根12の長さも最長の根12で5〜6cm程
度であるが、エンボス加工耐水紙9 を用いた場合には、
籾8 から出根した根12の総数の約35〜60%程度まで
を下側に貫通させることができ、またエンボス加工耐水
紙9 の下側でエンボス加工耐水紙9 に沿って根12同士を
複雑に絡み合わせることが可能である。
【0044】葉齢が1.5程度の乳苗7 まで育苗する
と、上記のような状態になるので、その後、育苗箱1 か
ら取り出すせば、図1に示すような田植え機装填用のマ
ット苗2 を得ることができる。即ち、根12の総数の35
〜60%程度がエンボス加工耐水紙9 を貫通し、その下
側に沿って伸長し且つ根12同士が複雑に絡み合った状態
になっているので、マット部3 の床土4 とエンボス加工
耐水紙9 とを根12によって確実に密着させ、エンボス加
工耐水紙9 がマット苗を強化させる役目を果たすことが
できる。
【0045】このマット苗2 は、そのマット部3 の床土
4 とエンボス加工耐水紙9 との密着状態が非常に良好で
あり、従来の耐水紙育苗方法により育苗した乳苗マット
苗での欠点を悉く解消することができる。即ち、凹凸形
状に形成されたエンボス加工耐水紙9 を使用しているの
で、本来、床土4 側とエンボス加工耐水紙9 との間での
相対的な滑りが少ない上に、床土4 側の各籾8 から出根
した5〜6本程度の根12の内、その35〜60%が床土
4側からエンボス加工耐水紙9 を貫通しているので、こ
の貫通する各根12によって床土4 とエンボス加工耐水紙
9 との分離を確実に防止することができる。
【0046】従って、マット苗2 のマット部3 をエンボ
ス加工耐水紙9 と根12とによって確実に補強することが
でき、マット部3 の崩れが非常に少なくなって、その保
形性が著しく向上する。また各根12の40〜50%がエ
ンボス加工耐水紙9 を貫通するだけでなく、その貫通し
た根12がエンボス加工耐水紙9 の下側でエンボス加工耐
水紙9 の下面側に沿って伸びて、各根12同士が互いに複
雑に絡まり合った状態になっているので、床土4 とエン
ボス加工耐水紙9 とをより確実に密着させることがで
き、床土4 とエンボス加工耐水紙9 との結合状態が非常
に良好である。
【0047】このため、葉齢が1.5程度であって、稚
苗等に比較して根12の発達状態が不十分な乳苗7 であっ
ても、マット苗2 のマット部3 の崩れを確実に防止する
ことができるので、田植え機に装填する場合に、マット
苗2 をロール状に巻き取って取り扱うことができる等、
その取り扱いが非常に容易であり、作業能率が向上す
る。
【0048】また田植え機による移植時にも、C−30
MからC−70エンボス加工耐水紙9 では、耐水紙強度
が適当であるため、植え付け爪による掻き取りミス、苗
のバラケ、欠株等の生じる恐れが非常に少なくなり、し
かも植え付け爪による苗の掻き取り時に、床土4 とエン
ボス加工耐水紙9 とをマット部3 から一体に掻き取るこ
とができ、エンボス加工耐水紙9 が苗載せ台側に残る等
の問題も防止することができる。
【0049】更に、エンボス加工耐水紙9 を貫通した根
12がエンボス加工耐水紙9 の下面に沿っているので、根
12がエンボス加工耐水紙9 から下側に大きく伸びたもの
に比較して、根12自体の損傷が非常に少なくなり、育苗
箱1 から取り出した後のマット苗2 の取り扱いが容易で
あると共に、根12の損傷の少ない状態で田植え機により
移植することができ、移植後の苗の水田圃場に対する活
着性を良好にすることができる。
【0050】またエンボス加工耐水紙9 の縦方向がマッ
ト苗2 の長手方向になっているので、田植え機による移
植時にも、その植え付け爪によりマット苗2 のマット部
3 を所定本数の位置で縦横に容易に引き千切ることがで
きる。しかも、エンボス加工耐水紙9 と根12によってマ
ット苗2 のマット部3 を補強できるため、育苗箱1 から
取り外した後の崩れ、バラケ等を考慮して、床土4 の厚
さを大にする必要がなく、床土4 の使用量を少なくでき
ると同時に、播種後の育苗箱1 が軽量で運搬等を容易に
行うことができ、この点でも経済性、作業性が著しく向
上する。
【0051】エンボス加工耐水紙9 は、それ自体天然パ
ルプを主としており、腐食性があるので、水田圃場に移
植後は、時間の経過と共に次第に腐食して行き、その後
の稲の生育に影響するようなこともない 次に、エンボス加工耐水紙9 を用いて実際に乳苗7 の育
苗を行った場合の試験結果を示す。エンボス加工耐水紙
9 は何れもC−40Mで、A・B・C及びD型の4種類
を用い、床土4 及び覆土5 にイセキ培土(商標)と黒土
粒状培土を用いた。
【0052】A型は図5の(I) 及び(II)に示す如く、独
立する各凹部10及び凸部11の高さaが1.45mm、基
部の幅bが1.96mm、各基部間の間隔cが3.92
mm、ピッチdが5.69mm程度になるように、各凹
部10及び凸部11を若干大きめに形成したエンボス加工耐
水紙9 である。
【0053】B型は図5の(III) に示す如く、独立する
各凹部10及び凸部11の高さaが0.59mm、基部の幅
bが0.71mm、各基部間の間隔cが1.43mm、
ピッチdが1.90mmになるように、各凹部10及び凸
部11を若干小さめに形成したエンボス加工耐水紙9 であ
る。C型は図5の(IV)に示す如く、高さaが0.72m
m、基部の幅bが0.82mm、ピッチdが1.66m
mと若干小さめの凹部10と凸部11とを横方向の溝状に形
成したエンボス加工耐水紙9 である。
【0054】D型はエンボス加工をせずにクレープ加工
を施したのみの耐水紙である。なお、図5の(II)(III)
は図5の(I) のX−X線断面を示す。この試験に用いた
A型、B型及びC型の各エンボス加工耐水紙9 の一般的
物性は、表2に示す通りである。
【0055】
【表2】 またA型、B型及びC型の各エンボス加工耐水紙9 の湿
潤強度の経時変化は、表3に示す通りである。
【0056】
【表3】 イセキ培土の粒径組成は、1.00mm未満が41重量
%、1.0〜3.35mmが54重量%、3.36〜
5.00mmが5重量%であり、黒土粒状培粒径組成
は、1.00mm未満が19重量%、1.0〜3.35
mmが71重量%、3.36〜5.00mmが10重量
%である。このA型、B型、C型及びD型の4種類のエ
ンボス加工耐水紙9 と、イセキ培土及び黒土粒状培土を
用いて、表4に示す各試験区の組み合わせについて育苗
試験を行った。
【0057】
【表4】 この育苗試験の条件は、次の通りである。 品 種: あきたこまち 床 土 量: 13mm(2.1l)/箱 播種量(乾籾8 換算): 200g/箱 基 肥 量: N2.0g/箱 P2.4g/箱 K
1.7g/箱 覆 土: 共土 1.0l/ 箱 播 種 期: 平成5年10月17日 出 芽: 育苗機内で積み重ね 32°Cで48
時間加温 緑化・硬化: ガラス室にて出芽後、2日間シルバー
ポリシートを被覆し、その後は除覆して育苗 育苗終了期: 平成5年10月25日 育苗日数8
日 上記育苗試験での各試験区における苗の生育状況及びマ
ット苗2 の巻き取りの可否は、表5に示す通りである。
【0058】
【表5】 次に試験結果について考察する。この表5からも明らか
なように、出芽状況は、各試験区とも根上がりがなく、
出芽が良好であり、エンボス加工耐水紙9 、無加工耐水
紙の如何を問わず、耐水紙を用いたことによる出芽障害
はなかった。苗の生育は、各試験区とも良好であり、育
苗終了時の草丈が1.5〜1.6cm、葉齢が1.5〜
1.6と何れも各試験区間でも差がなかった。
【0059】各試験区とも5×5cm2 当たりの籾数を
115粒とした場合、出根総数は633本であり、1粒
当たりの出根平均は5.5本であった。この出根総数の
内、エンボス加工耐水紙9 を貫通した根12の数は、イセ
キ培土、黒土粒状培土の何れの場合にも、A型のエンボ
ス加工耐水紙9 が365本、343本と最も多く、出根
総数に対して50%以上の貫通率で根12がエンボス加工
耐水紙9 を貫通していた。そして、エンボス加工耐水紙
9 を貫通した根12の数は、B型、C型、D型の順に少な
い傾向にあった。
【0060】またA型のエンボス加工耐水紙9 では、イ
セキ培土が365本、黒土粒状培土が343本と床土4
の粒径組成の違いによる差は極僅かしかなかった。しか
し、B型、C型の各エンボス加工耐水紙9 とD型の耐水
紙では、イセキ培土が238本、231本、118本で
あるのに対して、黒土粒状培土が225本、111本、
0本であり、イセキ培土よりも黒土粒状培土の方が根12
の出根が少なく、特にD型の場合には、黒土粒状培土を
用いた試験区では、根12の貫通は全く見られなかった。
【0061】なお、出根総数633本の内、エンボス加
工耐水紙9 まで到達した根12の到達数は、各試験区とも
538本(出根総数の約85%)であった。この到達数
に対する貫通率は、A型のエンボス加工耐水紙9 の場
合、イセキ培土では67.8%、黒土粒状培土では6
3.7%となる。従って、到達率を80%として、出根
総数の約80%、即ち、506本の根12がエンボス加工
耐水紙9 に到達するものと仮定すれば、A型のエンボス
加工耐水紙9 の場合には、イセキ培土では72%、黒土
粒状培土では67.7%の貫通率となる。この結果から
すれば、エンボス加工耐水紙9 の凹部10、凸部11の形状
が大きく、床土4 の粒径組成が細かい程、根12がエンボ
ス加工耐水紙9 を貫通する貫通率が良いことが判る。
【0062】これは、乳苗7 の育苗期間(7日〜8日)
程度ではエンボス加工耐水紙9 自体の湿潤強度の経時変
化が非常に少なく、育苗期間中、エンボス加工耐水紙9
の凹凸形状を十分に維持又は持続できること、エンボス
加工耐水紙9 の凹部10、凸部11の形状が大きく、床土4
の粒径組成が細かくなればなる程、エンボス加工耐水紙
9 の上側近傍で床土4 の内部に空隙部分が生じ難く床土
4 の密度が大になこと、エンボス加工耐水紙9 の下側の
空隙15が大になり、エンボス加工耐水紙9 の下側に多量
の空気層ができること、エンボス加工耐水紙9 の透気度
が大であって、下側の空気層との通気性が良いこと、及
び根12がエンボス加工耐水紙9 を貫通する際のエンボス
加工耐水紙9 による抵抗が比較的少ないことによるもの
と解することができる。
【0063】育苗後のマット苗2 を育苗箱1 から取り出
してロール状に巻き取るマット苗2の巻き取りは、A
型、B型のエンボス加工耐水紙9 を用いた場合には、イ
セキ培土、黒土粒状培土の何れでも可能であった。しか
し、C型のエンボス加工耐水紙9 を用いた場合には、イ
セキ培土では可能であるが、黒土粒状培土ではマット部
3 が崩れて不可能であった。またC型のエンボス加工耐
水紙9 及びD型の耐水紙に黒土粒状培土を使用した試験
区では、不可能であった。
【0064】これは、A型、B型のエンボス加工耐水紙
9 を用いた場合、C型のエンボス加工耐水紙9 にイセキ
培土を用いた場合には、出根総数に対する貫通率が何れ
も35%以上で、到達率を80%と見た時の貫通率が何
れも44%以上であり、絶対数で225本以上の根12が
エンボス加工耐水紙9 を貫通しているので、床土4 とエ
ンボス加工耐水紙9 との密着度が非常に良好であり、マ
ット苗2 のマット部3の崩れがないためである。
【0065】一方、C型のエンボス加工耐水紙9 に黒土
粒状培土を用いた場合、D型の耐水紙を用いた場合に
は、耐水紙を貫通した根12の絶対数が非常に少なく、床
土4 と耐水紙との密着度が極端に低下するためである。
勿論、エンボス加工耐水紙9 の湿潤状態での縦方向の強
度が、マット苗2 のマット部3 の崩れを防止し得るに十
分な強度を有することは言うまでもない。
【0066】この育苗試験結果によれば、耐水紙上に床
土4 を入れて乳苗7 を育苗する場合、エンボス加工の有
無を問わず草丈の伸長が順調であるため、寒冷地の育苗
でも草丈の確保が容易であることが判る。しかし、乳苗
7 の状態では、根12の発達状況が十分でないため、エン
ボス加工のないD型の耐水紙を使用する場合は、田植え
機に載せる作業に困難を来たすばかりでなく、田植え機
の植え付け爪による掻き取り時にマット部3 が崩れて欠
株が発生し、1株苗数の変動が大きくなる。
【0067】そこで、エンボス加工耐水紙9 、取り分け
A型及びB型のエンボス加工耐水紙9 、或いはC型のエ
ンボス加工耐水紙9 にイセキ培土を使用すれば、エンボ
ス加工耐水紙9 に対する根12の貫通が良好で、床土4 と
エンボス加工耐水紙9 との密着度が向上するので、マッ
ト苗2 のマット部3 の崩れを防止することができ、従来
の耐水紙育苗方法の問題を悉く解消することができる。
【0068】特に、この育苗試験結果では、どの種類の
床土4 にも適するエンボス加工耐水紙9 はA型及びB型
であり、中でもA型が最適で実用性の極めて高いことが
判った。図6は本発明の第2実施例を例示し、クレープ
加工したのみの耐水紙17を用いた場合の乳苗育苗方法を
示す。この第2実施例では、育苗箱1 の底板13上に、金
属線材等からなる耐水紙支持桟16を設けておき、この耐
水紙支持桟16上に耐水紙17を敷いて、育苗箱1 の底板13
と耐水紙17との間に所定の空隙15を確保する。そして、
この耐水紙17の上に床土4 を入れて、第1実施例と同様
に、籾8 を播種して育苗する。
【0069】この第2実施例でも、耐水紙17の下側に、
空気層を形成する空隙15があるので、第1実施例と同様
に、籾8 から出根した根12が耐水紙17を貫通して、その
下側の空隙15側に伸長する。そして、この空隙15内に伸
長した根12は、育苗箱1 の底板13に沿って案内されて互
いに絡まり合った状態となる。
【0070】従って、乳苗7 まで育苗した後、そのマッ
ト苗2 を育苗箱1 から取り出せば、エンボス加工のない
クレープ加工のみの耐水紙17を用いているにも拘わら
ず、第1実施例と同様に、多数の根12が耐水紙17を貫通
し且つその各根12が耐水紙17の下側に沿って絡まり合っ
た状態のマット苗2 を得ることができる。しかも、エン
ボス加工のない耐水紙17を使用しているので、それだけ
耐水紙17自体のコストも低減することができる。
【0071】図7は本発明の第3実施例を例示し、底板
13に、その上面側に突出する突起18を全体に亘って略均
一に設けた育苗箱1 を使用して乳苗育苗する場合を例示
する。この第3実施例では、育苗箱1 の底板13内に、エ
ンボス加工のないクレープ加工のみの耐水紙17を敷いた
後、床土4 を入れて、第1実施例と同様に育苗する。こ
のようにすれば、耐水紙17の下側に、底板13側の突起18
によって空隙15ができ、その空隙15の空気層が耐水紙17
の下側にできるので、第1実施例及び第2実施例と同様
のマット苗2 を育苗することができる。しかも、育苗箱
1 の底板13側に突起18を形成して、この突起18で耐水紙
17の下側に空隙15を形成しているので、エンボス加工の
ない耐水紙17を使用できると共に、第2実施例の耐水紙
支持桟15等を使用する不便さも解消することができる。
【0072】以上、本発明の各実施例について説明した
が、本発明は各実施例に限定されるものではない。例え
ば、第1実施例では、耐水紙17の凹凸形状を断面台形状
に形成しているが、凹部10及び凸部11の先端が球面状に
なるように形成しても良い。また第2実施例、第3実施
例の場合には、エンボス加工のないクレープ加工のみの
耐水紙17を用いているが、第1実施例と同様にエンボス
加工耐水紙9 を用いても良い。
【0073】更に、各実施例の耐水紙17は、クレープ加
工のないものを用いても良い。本発明の方法で育苗する
マット苗2 は、実施例では乳苗7 としているが、葉齢が
2葉以上で且つ乳苗7 に比較的近い稚苗、又はそれ以上
の稚苗、中苗等の育苗にも利用することが可能であり、
乳苗育苗にのみ限定されるものではない。
【0074】
【発明の効果】請求項1に記載の本発明に係る田植え機
装填用マット苗の育苗方法によれば、育苗箱1 内に、該
育苗箱1 の底板13との間に空隙15ができるように、少な
くとも移植前の耐水性及び通気性と移植後の腐食性とを
有するシート6 を敷き、このシート6 上に床土4 を入れ
た後、床土4 上に多数の籾8 を播種して育苗し、籾8 か
ら出根し成長する根12をシート6 の下側の空隙15側に貫
通させるので、葉齢が2葉未満の乳苗7 の時点でも、使
用する床土4 の性状に比較的影響されることなく、苗の
根12を確実にシート6 に貫通させることができ、床土4
とシート6 との密着性が非常に良好になり、しかもマッ
ト苗のマット部3 を補強できるので、マット部3 の崩
れ、苗のバラケを確実に防止できる。
【0075】請求項2に記載の本発明に係る田植え機装
填用マット苗の育苗方法によれば、請求項1に記載の発
明において、籾8 から出根し成長する根12をシート6 の
下側の空隙15側に貫通させた後、該シート6 の下側の空
隙15側で育苗箱1 の底板13により根12を案内しながら成
長させるので、シート6 を貫通した根12がその下側で絡
み合った状態のマット苗2 を容易に育苗できる。
【0076】請求項3に記載の本発明に係る田植え機装
填用マット苗の育苗方法によれば、請求項1又は2に記
載の発明において、シート6 に、エンボス加工により凹
凸状に形成されたエンボス加工耐水紙9 を用いるので、
エンボス加工耐水紙9 に対して根12を容易に貫通させる
ことができ、またマット苗2 の低コスト化を促進でき
る。
【0077】請求項4に記載の本発明に係る田植え機装
填用マット苗の育苗方法によれば、請求項3に記載の発
明において、床土4 に、エンボス加工耐水紙9 の近傍の
床土4 が該エンボス加工耐水紙9 の凹凸部10,11 内に入
って、床土4 内に空隙ができないように微細な粉粒を含
むものを用いるので、エンボス加工耐水紙9 を貫通する
根12の貫通率を向上させることができる。
【0078】請求項5に記載の本発明に係る田植え機装
填用マット苗の育苗方法によれば、請求項3又は4に記
載の発明において、エンボス加工により形成された凹凸
部10,11 が全体に亘って略均一に分散し、且つ各凹凸部
10,11 が夫々独立して形成されたエンボス加工耐水紙9
を用いるので、育苗箱1 の底板12とエンボス加工耐水紙
9 との間に空隙15を確保し易くなり、乳苗7 等を容易に
育苗できる。
【0079】請求項6に記載の本発明に係る育苗用エン
ボス加工耐水紙よれば、1m2 当たりの重量が30g〜
70gで耐水性、通気性及び腐食性を有する耐水紙を用
い、この耐水紙の略全面に細かい凹凸状にクレープ加工
を施し、且つ略全面に略均等に分散するようにエンボス
加工により凹凸部10,11 を形成しているので、育苗時に
根の貫通が良く、床土4 とシート6 との密着性の良いマ
ット苗を容易に育苗でき、しかも移植後の問題もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すマット苗の斜視図で
ある。
【図2】本発明の第1実施例を示す育苗状態の断面図で
ある。
【図3】本発明の第1実施例を示すマット苗の拡大斜視
図である。
【図4】本発明の第1実施例を示す育苗過程の説明図で
ある。
【図5】本発明の第1実施例を示すエンボス加工耐水紙
の説明図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す育苗状態の断面図で
ある。
【図7】本発明の第2実施例を示す育苗状態の断面図で
ある。
【符合の説明】
1 育苗箱 2 マット苗 3 マット部 4 床土 5 覆土 6 シート 7 乳苗 8 籾 9 エンボス加工耐水紙 12 根 13 底板 15 空隙 17 耐水紙

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 育苗箱(1) 内に、該育苗箱(1) の底板(1
    3)との間に空隙(15)ができるように、少なくとも移植前
    の耐水性及び通気性と移植後の腐食性とを有するシート
    (6) を敷き、このシート(6) 上に床土(4) を入れた後、
    床土(4) 上に所定数の籾(8) を播種して育苗し、籾(8)
    から出根し成長する根(12)をシート(6) の下側の空隙(1
    5)側に貫通させることを特徴とする田植え機装填用マッ
    ト苗の育苗方法。
  2. 【請求項2】 籾(8) から出根し成長する根(12)をシー
    ト(6) の下側の空隙(15)側に貫通させた後、該シート
    (6) の下側の空隙(15)側で育苗箱(1) の底板(13)により
    根(12)を案内しながら成長させることを特徴とする請求
    項1に記載の田植え機装填用マット苗の育苗方法。
  3. 【請求項3】 シート(6) に、エンボス加工により凹凸
    状に形成されたエンボス加工耐水紙(9) を用いることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の田植え機装填用マッ
    ト苗の育苗方法。
  4. 【請求項4】 床土(4) に、エンボス加工耐水紙(9) の
    近傍の床土(4) が該エンボス加工耐水紙(9) の凹凸部(1
    0)(11)内に入って、床土(4) 内に空隙ができないように
    微細な粉粒を含むものを用いることを特徴とする請求項
    3に記載の田植え機装填用マット苗の育苗方法。
  5. 【請求項5】 エンボス加工により形成された凹凸部(1
    0)(11)が全体に亘って略均一に分散し、且つ各凹凸部(1
    0)(11)が夫々独立して形成されたエンボス加工耐水紙
    (9) を用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の
    田植え機装填用マット苗の育苗方法。
  6. 【請求項6】 1m2 当たりの重量が30g〜70gで
    耐水性、通気性及び腐食性を有する耐水紙の略全面に細
    かい凹凸状にクレープ加工を施し、且つ略全面に略均等
    に分散するようにエンボス加工により凹凸部(10)(11)を
    形成したことを特徴とする育苗用エンボス加工耐水紙。
JP33999294A 1994-12-28 1994-12-28 田植え機装填用マット苗の育苗方法及び育苗用エンボ ス加工耐水紙 Pending JPH08182435A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998021961A1 (en) * 1996-11-22 1998-05-28 Rhone-Poulenc Agrochimie Novel solid compositions based on an insoluble cellulose derivative and a 1-arylpyrazole derivative
WO1998021960A1 (fr) * 1996-11-22 1998-05-28 Rhone-Poulenc Agrochimie Nouvelles compositions solides a base de derive cellulosique insoluble et de derive de 1-aryl-pyrazole
FR2759249A1 (fr) * 1997-02-11 1998-08-14 Rhone Poulenc Agrochimie Dispositif pour la protection du riz contre les especes nuisibles

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