JPH08180832A - 四重極イオントラップ内での周波数変調を利用した選択イオン分離方法 - Google Patents

四重極イオントラップ内での周波数変調を利用した選択イオン分離方法

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JPH08180832A
JPH08180832A JP7242402A JP24240295A JPH08180832A JP H08180832 A JPH08180832 A JP H08180832A JP 7242402 A JP7242402 A JP 7242402A JP 24240295 A JP24240295 A JP 24240295A JP H08180832 A JPH08180832 A JP H08180832A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】トラップ体積内の選択イオン質量を分離するべ
くイオントラップ質量スペクトロメータを使用する方法
を与える。 【解決手段】四重極イオントラップ質量スペクトロメー
タにおいて選択イオンを分離するための方法が与えられ
る。イオントラップから除去されるべきひとつまたはそ
れ以上の質量範囲は,トラッピングフィールドが変調さ
れる間,周波数成分がまばらな補助ダイポール励起波形
を印加することにより,放出される。補助励起波形内の
周波数成分の間隔は波形内の周波数範囲にわたって変化
する。好適に,周波数範囲は複数のサブレンジに分割さ
れ,各サブレンジ内の周波数成分の間隔は一定である。
補助励起波形を生成するために使用される周波数のマス
ターセットを作り出すための方法がまた示される。同様
に,補助波形により励起される質量スペクトル内のギャ
ップを画成するエッジ周波数を計算するための方法も示
される。トラッピングフィールドの変調は,補助励起波
形が質量スペクトル内のギャップの幅を変化させるべく
印加されている間に変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,四重極イオントラ
ップ質量スペクトロメータを使用する方法に関し,特に
その機器内で選択イオンを分離するための方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明は,最初Paulらによって米国特許
第2939952号に説明された3次元四重極イオントラップ
質量スペクトロメータを使用する方法に関する。近年,
イオントラップ質量スペクトロメータは,その比較的安
いコストと,生産の容易さと,比較的長時間にわたって
広範囲の質量に対してイオンを保存する能力を有してい
ることから広く使用されるに至った。後者の特徴は個別
のイオン種を分離しかつ扱う際のイオントラップにおい
て特に有用であり,それは親イオンが娘イオンを生成す
るべく分離されかつ分解されまたは解離され,また該娘
イオンは従来のイオントラップ検出方法を使用して識別
されまたは孫イオンを生成するべくさらに分解されると
ころのいわゆる,タンデムMS,MS/MSまたはMSn実験のよ
うなイオントラップである。
【0003】MS/MS実験のための親イオンの分離に加
え,孤立イオンの分離もまた他の応用において重要であ
る。比較的低コストの現在の商用イオントラップの感度
で,それらは特定の化合物または関連化合物の群の存在
のモニター,例えば有毒ガスの発生のモニター等に使用
され得る。興味ある特定のイオン種を選択的に分離する
イオントラップの制御は,検出が困難であるか全く検出
不可能である選択イオンに対するトラップの感度を最適
化するのに使用される。この関係において,イオントラ
ップの一つの欠点は,制限されたダイナミックレンジと
デバイス内に捕獲されたイオンにより生成された空間電
荷に対する感度である。したがって,興味あるイオン以
外のイオントラップ内の実質的数のイオンの存在は,興
味あるイオンに対するトラップの感度を実質的に劣化さ
せる。興味あるイオンに対する感度を最適化するため
に,他のイオン質量のトラップを取り除くのが最適であ
る。
【0004】四重極イオントラップはひとつのリング形
の電極及び二つのエンドキャップ電極から成る。理想的
に,リング電極及びエンドキャップ電極の両方は双曲面
を有し,同軸に整列されかつ対称に配置される。これら
の電極にAC及びDC電圧(通常,それぞれV及びUとして示
される)の組み合わせを印加することによって,四重極
トラッピングフィールドが生成される。トラッピングフ
ィールドは,四重極トラッピングフィールドを生成する
べくリング電極及びエンドキャップの間に固定周波数
(通常,fで示す)のAC電圧を印加することによって単
純に生成される。付加的なDC電圧の使用は任意であり,
イオントラップの商業的実施例において,DCトラッピン
グ電圧は通常は使用されない。適正な周波数及び振幅の
AC電圧を使用することにより,広範囲の質量が同時に捕
獲され得ることは周知である。
【0005】イオントラップにより生成される四重極ト
ラッピングフィールドの数学は周知であり,上記Paulら
の特許に説明されている。赤道半径r0のリング電極と,
軸線r=0に沿ってトラップの中心にある原点から距離z0
だけ離れたエンドキャップ電極を有するトラップに対
し,かつ与えられたU,V及びfに対し,質量電荷比(m/
e,また周波数表示ではm/z)のイオンが捕獲される
か否かは,以下の2つの方程式の解に依存している。
【0006】
【数1】 ここで,ω=2πfである。
【0007】これらの方程式を解くことは,選択された
m/eを有する与えられたイオン種に対し,az及びqz
値を与える。もし,イオントラップのための周知の安定
エンベロープ内部に点(az,qz)がマッピングされれば,
イオンは四重極フィールド内に捕獲される。もし,点(a
z,qz)が上記安定エンベロープからはずれれば,イオン
は捕獲されず,イオントラップ内に導入されたあらゆる
イオンがトラップから急速に放出される。U,Vまたはf
の値を変化させることにより,特定のイオン種の安定性
に影響を与えることができる。方程式1から,U=0のと
き(すなわち,トラップにDC電圧が印加されないとき)
az=0であることがわかる。
【0008】(ここで,イオンの“質量”といった場
合,通常はイオンの質量電荷比を指す。実際に,イオン
トラップ内のほとんどのイオンは一価であるため,質量
電荷比は質量と同値である。本明細書においては,実際
に即して,質量電荷比の意味で“質量”の語を使用する
こととする。)
【0009】トラッピングフィールド内の各イオンは,
イオン質量及びトラッピングフィールドのパラメータに
依存する永年周波数を有する。周知のように,イオン質
量の永年周波数に等しい周波数を有するイオントラップ
に補助的な双極電圧を印加することにより,トラッピン
グフィールドに安定に保持される与えられた質量のイオ
ンを励起することは可能である。トラップ内のイオン
は,このように共鳴してエネルギーを吸収する。比較的
低電圧において,補助双極電圧は,処理中のバックグラ
ンドのガス分子内の解離衝突を進行させながら,特定の
質量のイオンに対しトラップ内での共鳴を引き起こすた
めに使用される。この技術は解離誘導衝突またはCIDと
呼ばれ,通常は娘イオンを生成するべく親イオンを解離
するためにMS/MS内で使用される技術である。より高電
圧において,補助電圧の周波数に一致する永年周波数を
有するイオンがトラップ体積を離れるのに十分なエネル
ギーが補助電圧により与えられる。この技術は通常,イ
オントラップから不用なイオンを除去するのに,及び外
部検出器による検出用にイオンをトラップから放出する
のに使用される。
【0010】イオントラップを使用する典型的な基本方
法は,広範囲の質量にわたってイオンを保持するトラッ
ピングフィールドを確立するべくトラップ電圧に対しrf
トラッピング電圧(V0)を印加する工程と,イオントラッ
プ内にサンプルを導入する工程と,サンプルをイオン化
する工程と,トラップ内に保存されたイオンが質量の小
さいほうから順に放出され検出されるようにトラップの
内容をスキャンする工程とから成る。典型的に,イオン
はひとつのエンドキャップ内のせん孔を通じて放出さ
れ,電子マルチプライアにより検出される。MS/MSのよ
うなより詳細な実験は,概してこの基本方法に立脚し,
しばしばイオントラップ内の特定のイオン質量またはイ
オン質量の範囲の分離を要求する。
【0011】ひとたびイオンが形成されかつトラップ内
に保存されると,多くの技術が興味の特定イオンを分離
するために有効となる。トラッピングフィールドがDC成
分を含むとき,トラッピングフィードのパラメータ(す
なわち,U,V及びf)はトラップ内の一価のイオンまたは
非常に狭い質量範囲を分離するべく調節されることは周
知である。この方法の問題点は,高精度でトラッピング
フィールドのパラメータを制御することは困難であり,
一価のイオンまたは狭い質量範囲を分離するのに要求さ
れる正確なトラッピングフィールドパラメータの組み合
わせを計算することも困難であるということである。他
の問題点は,ほとんどの商用イオントラップはDCトラッ
ピング電圧を印加することが不可能であり,これを可能
とするには装置のコストが高額になるということであ
る。さらに,この方法は多重不連続質量を分離するのに
使用することができない点も注目すべきである。さらに
また,フィールド内に保持されたイオンは,捕獲効果が
低い安定性境界周縁付近に存在する点も注目すべきであ
る。
【0012】米国特許第4736101号はMS/MS実験用のイオ
ンを分離する他の方法を説明している。該特許に教示さ
れた技術により,トラッピングフィールドは広範囲にわ
たって質量を有するイオンを捕獲するべく確立される。
これは当業者にとって周知の方法で実行される。次に,
トラッピングフィールドは興味の選択イオン以外のイオ
ンを除去するべく変更される。これを実行するため,イ
オントラップに印加されるrfトラッピング電圧は,低質
量のイオンが連続的に不安定になりかつトラップから除
去されることになるように,傾斜される。rfトラッピン
グ電圧の傾斜は,イオントラップから注目イオンのすぐ
下の質量のイオンが除去された時点で終了する。米国特
許第4736101号は,DC電圧の存在しないとき,注目の質
量より大きい質量を有するイオンを除去するために如何
にトラッピングフィールドを扱うかについては教示して
いない。イオントラップの内容がトラッピング電圧を変
化させる上記技術により制限された後で,該トラッピン
グ電圧は,再び広範囲のイオンが捕獲されるように平衡
状態になる。次に,イオントラップ内の親イオンは,娘
イオンを形成するべく好適にはCIDを使って解離され
る。最後に,すべての質量範囲のイオンが連続的に不安
定になりトラップから放出されるように,再び四重極ト
ラッピング電圧を傾斜させることによって,イオントラ
ップがスキャンされる。
【0013】米国特許第4736101号の方法の主な不足
は,DC成分を有するトラッピングフィールドを使用せず
に如何にトラップから大質量のイオンを除去するかを教
示していない点にある。さらに,低質量イオンが不安定
性スキャンによりイオントラップから除去されるような
技術もまた問題がある。もしmpがトラップ内に保持され
るべき質量であって,トラッピングフィールドはmp-1が
不安定になるように扱われるのであれば,mpは,その地
点で,安定境界に非常に近接して存在することになる。
再び,このことによって,mpに対する捕獲効果が非常に
低くなり,不所望の低質量イオンを除去するべくトラッ
ピング電圧を傾斜する際該トラッピング電圧の精確な制
御が要求される。
【0014】イオントラップ内の孤立イオンを分離する
ための他の方法は,米国特許第5198665号に記載されて
いる。米国特許第5198665号によれば,保持されるべき
質量(mp)より低い質量がまず共鳴放出を使用してトラッ
プから連続的にスキャンされる。これは,mpが安定性境
界から離れている間にmp-1がトラップから除去されると
いう長所を有する。低質量のイオンが除去された後,広
帯域補助信号が大質量イオンを除去すべくトラップに印
加される。mpのすぐ上のイオンを共鳴させるべく補助広
帯域電圧を印加する間,トラッピング電圧はほんの少し
減少される。この技術は高精度の結果をもたらすことが
可能であるが,それはいくらか複雑で,イオントラップ
から多重不連続質量を分離するのに使用することはでき
ない。さらに,小質量イオンが除去される間,大質量イ
オンはトラップ内に残るため,大規模な空間電荷が残
る。もし適正な処置を講じなければ,この空間電荷は実
験の精度に影響を及ぼす。
【0015】従来技術において,トラップから多重の不
所望イオンを同時に除去するべく,さまざまな種類の補
助広帯域信号をイオントラップに印加することは知られ
ている。従来技術の教示するところは,(1)不所望イ
オンの共鳴周波数に対応する離散的周波数成分から成る
広帯域信号及び(2)本質的にすべての周波数を含む広
帯域ノイズ信号の使用であって,それらはすべての質量
スペクトルに作用し,該質量スペクトルはイオントラッ
プ内に保持されるべきイオンの永年周波数に対応する周
波数成分を除去するべく濾過される。すべての周知の従
来技術において,補助広帯域電圧がイオントラップに印
加される間,トラッピングフィールドは一定に維持され
る。
【0016】これらの従来の方法によって,イオントラ
ップ内に一価イオンを保持するためには,注目イオン質
量以外のトラッピングフィールド内にポテンシャル的に
維持されるすべてのイオンを励起させるような非常に多
くの周波数成分を有する補助電圧波形を印加することが
必要である。典型的なイオントラップは通常の捕獲条件
の下に約50〜650amuの範囲の質量に適用可能である。こ
こで,もし各整数イオン質量を励起するのに単一の周波
数成分が要求されるとすれば,すべての質量スペクトル
を共鳴して放出するにはほぼ600種類の周波数成分が必
要である。しかし,この数の周波数成分は整数質量を有
するイオンのみ励起するに過ぎない。多重電荷(例え
ば,二価にイオン化された分子)を有するイオンがトラ
ップ内に存在すれば,質量電荷比の値は整数値にはなら
ないこともある。さらに,トラップ内の空間電荷は捕獲
イオンの永年周波数に影響を与え,その結果,特定のイ
オン質量を励起するために補助波形内に含まれた周波数
成分は機能しないということが知られている。したがっ
て,実際問題として,イオントラップ内の一価イオン質
量または狭い範囲のイオン質量を分離するための従来技
術を使用する際には,非常に多くの周波数成分を含む必
要がある。
【0017】例えば,米国特許第5256875号には,数千
個の周波数成分を使用すべき旨が記載されている。上記
特許は,広帯域励起信号内の周波数間隔は信号が物理装
置に対する周波数の実質的連続帯域を与えるように十分
に小さくなければならない旨を教示し,一価イオン質量
がトラップ内に保持されるように設計されたスペクトル
内のノッチの幅が,スペクトルの下端周波数において実
質的に500Hz以下でなければならないと教示する。さら
にこれは,ノッチの一方の側の領域の周波数間隔が他方
より十分に狭いことを要求する。しかし,トラップ内の
イオンの永年周波数が空間電荷により変化することを説
明していないため,これは実際には機能しない。以下に
説明するように,イオンの共鳴幅は実質的に500Hz以上
であり得る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】トラップから不所望の
イオン質量を除去するために広帯域信号の使用を主張す
る上記いずれの特許も,イオン質量の近接する永年周波
数の間隔が質量スペクトルを横切って変化するという事
実を適切にとらえていない。小さい質量に対して近接す
る整数質量の永年周波数は非常に離れており,一方大き
な質量では非常に近接している。結果的に,小さい質量
では注目イオンが整数質量でなければ,または空間電荷
若しくはトラッピングフィールドの不均一が通常の永年
周波数をシフトさせたとすれば,質量が励起及び除去さ
れない危険性がある。一方,大きい質量範囲では,単一
の周波数成分は多重質量値の共鳴を引き起こし,その場
合広帯域信号内の狭いノッチは所望のイオンがイオント
ラップ内に保持されていることを保証するには不十分で
ある。
【0019】波形が非常に多くの周波数成分を含むこと
による従来術の欠点は,質量スペクトルを横切ってイオ
ンの励起を引き起こすのに十分な高電圧で各周波数成分
が存在することに伴う大電力の要求である。この欠点は
ノイズ信号及び,直接周波数を選択するかまたは時間ド
メインの励起波形を生成するべく周波数ドメインの励起
スペクトルの逆フーリエ変換のようなアルゴリズムによ
って決定された周波数成分を有する構成波形に対して存
在する。構成波形において,励起波形のダイナミックレ
ンジを最小化するべく周波数成分の位相を制御すること
が重要である。周波数成分の数が増加するに従って,よ
りエレガントかつ時間節約への要求が,最小化されたピ
ークツーピーク電圧である手頃なダイナミックレンジを
有する時間ドメイン信号を生成するのに必要とされる。
例えば,米国特許第5256875号は,補助電圧波形を生成
するためのかなり複雑で時間のかかる反復技術を教示す
る。
【0020】イオントラップから不所望のイオンを除去
するために広帯域信号を使用する従来の方法の他の欠点
は,トラップ内のイオンの共鳴周波数及び共鳴幅がトラ
ップ内の空間電荷及びトラップ内の捕獲イオンの位置に
より変化することを説明していないことである。
【0021】
【課題を解決するための手段】従って,本発明の目的
は,トラップ体積内の選択イオン質量を分離するべくイ
オントラップ質量スペクトロメータを使用する方法を与
えることである。
【0022】本発明の他の目的は,イオントラップから
他のすべての質量を除去しながら,イオントラップ質量
スペクトロメータ内の多重不連続質量を分離するべくイ
オントラップ質量スペクトロメータを使用する方法を与
えることである。
【0023】本発明の他の目的は,イオントラップ質量
スペクトロメータから不所望の多重質量を同時に除去す
るべく,トラッピングフィールドとともに使用される補
助電圧波形を構成する方法を与えることである。
【0024】さらに本発明の他の目的は,イオントラッ
プから不所望のイオンを除去するべくトラッピングフィ
ールドとともに使用され,質量スペクトルを横切って永
年周波数の幅の変動性を考慮した補助波形を構成する方
法を与えることである。
【0025】さらに本発明の他の目的は,イオントラッ
プ質量スペクトロメータから不所望の多重質量を同時に
除去するべくトラッピングフィールドとともに使用され
る広帯域補助電圧信号内のギャップ内にエッジ周波数を
決定するための方法を与えることである。
【0026】さらに本発明の他の目的は,イオントラッ
プから選択イオン以外のすべてのイオンを除去するのに
使用される補助励起波形であって,比較的孤立周波数成
分が希薄であるところの補助波形を構成するための方法
を与えることである。
【0027】さらに本発明の他の目的は,選択イオンの
永年周波数の変動性及び選択イオンの共鳴幅の変動性を
処理するイオントラップ内の選択イオンを分離する方法
を与えることである。
【0028】これらの並びに本明細書及び図面から当業
者にとって自明の他の目的は,イオントラップ内に注目
のイオンのみ保持されるように,イオントラップ質量ス
ペクトロメータから不所望のイオン除去する方法から成
る本発明において明らかとされる。広い態様において,
本発明は,第1連続質量範囲内にイオンを捕獲すること
が可能であり,各捕獲イオンがそれに伴う永年周波数を
有するところのイオントラップ内にトラッピングフィー
ルドを確立する段階と,トラッピングフィールドを変調
しながらイオントラップに対し補助ダイポールフィール
ドを印加することによりイオントラップから不所望のイ
オンを除去する段階であって,該補助ダイポールフィー
ルドは複数の周波数成分からなり,周波数成分の間隔は
ダイポール電圧の周波数範囲にわたって変化するところ
の段階と,から成る。好適には,ダイポールフィールド
の周波数範囲は複数の連続サブレンジに分割され,各サ
ブレンジ内の周波数成分の間隔は実質的に一定である。
好適には,各周波数成分は少なくとも1500Hzだけ離れて
いる。本発明にしたがって,補助励起波形を生成する際
に使用される周波数成分のマスターセットを生成するた
めの特定の方法が説明されている。同様に,本発明にし
たがって,特定の変調波形が,トラッピング電圧を変調
するために教示される。
【0029】別の態様において,本発明は,イオントラ
ップから不所望なイオンを除去するのに使用される広帯
域補助電圧波形内のギャップの境界のエッジ周波数を計
算するための方法から成り,イオントラップ内に保持さ
れるべきイオンの質量を決定する段階と,質量範囲の上
端及び下端での各質量の永年周波数を決定する段階と,
変調トラッピングフィールド内の範囲の端の質量に対し
エッジ周波数を決定する段階と,から成る。多重不連続
質量がイオントラップ内で分離されるのに必要なだけ,
上記方法が繰り返される。
【0030】さらに他の態様において,トラッピングフ
ィールドの変調は補助励起波形が印加されている間に変
化する。好適には,これはACトラッピング電圧のピーク
ツーピーク変調を,イオンがイオントラップ内に導入さ
れる時間の間中印加される第1値からより大きな第2値
まで,変化させることによって達成される。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の方法を実行するのに使用
される装置は,図1に示されるように周知のものであ
る。断面図として示されるイオントラップ10は,上側及
び下側エンドキャップ電極30及び35とそれぞれ同軸に整
列されたリング電極20から成る。これらの電極は内部捕
獲領域を画成する。好適には,トラップ電極は双極面を
有するが,円弧形状の断面を有する他の電極形状も多く
の目的に適応するトラッピングフィールドを生成するた
めに使用される得る。イオントラップ質量スペクトロメ
ータの設計及び構成は周知のものであるため,詳細に説
明する必要はない。ここに説明されている商用モデルの
イオントラップは,サターンと呼ばれるモデルで本発明
の譲受人により販売されている。
【0032】例えば,ガスクロマトグラフ(GC)40から
のサンプルはイオントラップ10内に導入される。典型的
にGCは大気圧で動作するがイオントラップは非常に減圧
状態で動作するため,圧力減圧手段(例えば,真空ポン
プ及び適当なバルブ等)が必要である。そのような圧力
減圧手段は従来において周知のものである。本発明はサ
ンプル源としてGCを使用して説明されているが,該ソー
スは本発明の一部ではなく,ガスクロマトグラフを使用
することに限定するものではない。他のサンプルソー
ス,例えば特別のインターフェースを有する液体クロマ
トグラフもまた使用可能である。いくつかの応用に対
し,サンプルの分割は要求されず,サンプルガスはイオ
ントラップに直接導入される。
【0033】試薬ガスのソース50もまた化学イオン化実
験を導入するためにイオントラップへ接続される。イオ
ントラップ10の内部に導入されるサンプル及び試薬ガス
は,フィラメント電源65により付勢された熱電子フィラ
メント60からの電子ビームを使用してイオン化され,ゲ
ート電極67によって制御される。上部エンドキャップ電
極30の中央は,フィラメント60及び制御ゲート電極67に
より生成された電子ビームがトラップ内に入射できるよ
うに,穴が開けられている。本発明の好適実施例におい
て,電子ビームを生成し制御するための機器がコントロ
ーラ70により制御される。ゲートがオンされると,電子
ビームがトラップ内に入射して,サンプル及び適用可能
ならトラップ内の試薬分子と衝突し,それによってそれ
らをイオン化する。サンプル及び試薬ガスの電子衝撃イ
オン化はまた,詳細に説明する必要のない周知技術であ
る。もちろん,本発明の方法はトラップ領域内の電子ビ
ームの使用に制限されない。多くの他のイオン化方法も
また周知技術である。本発明の目的のために,トラップ
内にサンプルイオンを導入するのに使用されるイオン化
技術は概して重要ではない。
【0034】図示されていないが,ひとつ以上の試薬ガ
スソースが,異なる試薬イオンを使用する実験のため
に,または他の試薬ガスを化学的にイオン化するべく前
駆体イオンのソースとして一つの試薬ガスを使用するた
めに,イオントラップへ接続され得る。さらに,典型的
に,捕獲イオンの調和振動を減衰させるべくバックグラ
ンドガスがイオントラップ内に導入される。CIDに使用
されるようなガスは,好適には,電子ビームまたは他の
イオン化ソースのエネルギー以上の高イオン化ポテンシ
ャルを有するヘリウム原子から成る。GCとともにイオン
トラップを使用する際に,ヘリウムはまた好適にGCキャ
リアガスとして使用される。
【0035】所望の質量範囲内にイオンを安定に捕獲す
るべく,所望の周波数及び振幅を有するAC電圧の印加に
より,トラッピングフィールドが生成される。RFジェネ
レータ80がこのフィールドを生成するのに使用され,そ
れがリング電極20に印加される。好適には,RFジェネレ
ータの動作はコントローラ70の制御のもとにある。DC電
源(図示せず)もまた周知の方法でトラッピングフィー
ルドへDC成分を印加するのに使用される。しかし,好適
実施例において,DC成分はトラッピングフィールドに使
用されない。
【0036】コントローラ70は,中央演算装置,揮発性
及び不揮発性メモリ,入力/出力(I/O)デバイス,デジ
タルアナログ及びアナログデジタルコンバータ(DAC及び
ADC),デジタル信号プロセッサ並びにその他を含む標準
的なコンピュータシステムから成る。さらに,制御関数
及びシステムオペレータからの指示を実行するためのシ
ステムソフトは,不揮発性メモリ内に組み込まれ,動作
中システム内にロードされる。これらの特徴はすべて従
来からのもので,これ以上議論することは本発明の欲す
るところではない。
【0037】トラップの内容をスキャンするための好適
方法において,四重極トラッピングフィールドに対し補
助的な振動ダイポールフィールドを生成するべく,補助
AC電圧がイオントラップのエンドキャップ30,35を横切
って印加される。(しばしば,四重極トラッピングフィ
ールド及び補助RFダイポールフィールドの組み合わせ
は,結合フィールドと呼ばれる)このスキャン方法にお
いて,補助AC電圧は主ACトラッピング電圧と異なる周波
数を有する。補助AC電圧は,特定の捕獲イオンに対し軸
方向の永年周波数での共鳴を引き起こす。イオンの永年
周波数が補助電圧の周波数と一致するとき,エネルギー
が効果的にイオンに吸収される。この方法により十分な
エネルギーが特定の質量のイオンに吸収されると,該イ
オンは検出器90により検出される軸線方向にトラップか
ら放出される。特定のイオン質量を励起するため補助ダ
イポールフィールドを使用する技術は,しばしば軸変調
と呼ばれる。
【0038】異なる質量のイオンを補助AC電圧と共鳴さ
せる2つの方法がある。一つは固定トラッピングフィー
ルド内の補助電圧の周波数をスキャンする方法であり,
もう一つは補助電圧の周波数を一定に維持した状態でAC
トラッピング電圧の大きさVを変化させる方法である。
典型的に,イオントラップの内容をスキャンするべく軸
変調を使用する際,補助AC電圧の周波数が一定に保持さ
れ,連続的に大きい質量のイオンが共鳴されかつ放出さ
れるようにVが傾斜される。Vの値を傾斜させることの長
所は,実行が比較的単純であることと,補助電圧の周波
数を変化させることにより得られるものより良好な線形
性を与える点である。補助電圧を使用することによりト
ラップをスキャンする方法は,共鳴放出スキャンと呼ば
れる。
【0039】スキャン技術として共鳴放出を使用するイ
オントラップの商用の実施例において,補助AC電圧の周
波数はACトラッピング電圧の周波数のほぼ半分に設定さ
れる。トラッピング電圧及び補助電圧の周波数の関係
は,共鳴状態にあるイオンのqzの値(上記方程式2で定
義済み)を決定することがわかる。
【0040】一方,米国特許第4540884号に説明される
ような質量不安定性スキャンと呼ばれる通常の技術は,
イオントラップの内容をスキャンする際に使用される。
前記特許は,捕獲イオンが連続的に不安定になりトラッ
プから放出されるように,四重極トラッピングフィール
ドのU,Vまたはfなどの基本トラッピングパラメータのひ
とつまたはそれ以上をスキャンすることを教示する。前
記特許は,標準的な電子増幅回路に接続された上記電子
マルチプライアまたはファラデーコレクタ等の多くの技
術を使用して検出されるところの軸方向へ,不安定電子
を放出するようトラッピングパラメータをスキャンする
ことを教示する。それにもかかわらず,捕獲イオンの共
鳴放出スキャンは上記特許に教示される質量不安定性技
術を使用して得られるものより良好な感度を与え,より
狭いよりよいピークを画成し,すなわち共鳴放出スキャ
ンは全体的に良好な質量分析をもたらす。また,共鳴放
出スキャンはより大きい質量全体にわたってイオンの分
析能力を実質的に向上させる。
【0041】さらに,飛行時間技術のように,補助フィ
ールドの印加によりトラップ内の内容を同時に放出する
という方法が使用され得る。米国特許第5105081号に説
明されているようなまたは導入電流の計測を含むトラッ
プ内検出方法が,実験後のイオントラップ10の内容を決
定するために使用されるということは当業者によって認
識されるところである。検出方法が使用されるところで
は,検出器により検出されたデータはコントローラ70に
より回収されかつ処理される。
【0042】GCからの流入は連続的であり,最近の高分
解能GCは,ほんの数秒間持続する狭いピークを生成す
る。狭いピークの質量スペクトルを得るために,毎秒少
なくとも1回のイオントラップの完全なスキャンを実行
することが必要である。トラップの急速なスキャンの実
行の要求は,質量分解能及び再現性に影響を与える制約
を加える。同様な制約は,LCを有するイオントラップま
たはさまざまなサンプルストリームの連続流入を使用す
る際にも存在する。
【0043】共鳴放出スキャンにおいて使用される補助
ダイポール電圧は,トランスミッタ110によりエンドキ
ャップ電極に連結された補助波形ジェネレータ100によ
って生成される。補助波形ジェネレータ100は,共鳴放
出スキャン用に単一の補助周波数成分を生成できるばか
りではなく,広範囲の離散的周波数成分から成る電圧波
形を生成することができる。コントローラ70の制御を受
ける適当な任意の波形ジェネレータが,本発明で使用さ
れる補助波形を生成するために使用され得る。本発明に
従って,ジェネレータ100により生成された多重周波数
補助波形は,トラップから多重イオン質量を同時に共鳴
させて放出するために,トラッピングフィールドが変調
されている間イオントラップのエンドキャップ電極に印
加される。選択イオンを分離するべく補助信号を生成す
るための本発明の方法が,以下に詳細に述べられてい
る。補助波形ジェネレータ100はまたCIDによりトラップ
内の親イオンを分解するべく低電圧共鳴信号を生成する
のに使用されることは,周知技術である。
【0044】さまざまなタイプの広帯域補助励起信号を
使用するイオントラップから多重イオンを共鳴して放出
する従来の方法において,補助信号が静電トラッピング
フィールド内に印加される。そのような環境の下に,全
質量範囲を適正にスパンするのに要求される1000個また
はそれ以上の周波数を伴う大量の周波数成分を有する補
助広帯域信号を印加することが必要である。本発明にお
いて,全質量イオンをスパンするのに非常に少ない周波
数成分が使用されるような全く異なる方法が使用され
る。本発明の方法の好適実施例において,132個または
それ以下の周波数成分を有する補助励起波形が使用され
る。
【0045】本発明の方法に従って,補助ダイポール電
圧波形が印加される間,トラッピングフィールドのパラ
メータの一つが変調される。トラッピングフィールド内
のイオン質量の永年周波数はイオン質量及びトラッピン
グフィールドパラメータの両方に依存しているため,ト
ラッピングフィールドパラメータの変調はイオン質量の
永年周波数を変調する直接的効果を有する。これを見る
有効な方法は,トラップ内の各イオンの永年周波数を値
の範囲でスイープしながらトラッピングフィールドの変
調を眺めることである。これは,公称値の中央の値の範
囲で,各補助周波数成分をスイープするのと効果的に同
等である。従って,本発明により,周波数成分のまばら
な補助電圧波形と組み合わせたトラッピングフィールド
の変調が,イオントラップから多重イオン質量を放出す
るべく使用される。これらの不所望の質量はひとつまた
はそれ以上の範囲内に存在する。
【0046】図5は,イオントラップの商用実施例の通
常の質量範囲にわたって質量(m/z's)の共鳴周波数での
トラッピングフィールドの変調効果を示したグラフであ
る。与えられたデータは公称値V0付近のトラッピング電
圧の3%変調に対するものである。すべてのトラッピン
グパラメータ,すなわちトラッピング電圧の大きさV,
トラッピング電圧の周波数f,またはトラッピングフィ
ールドのDC成分の大きさUはトラッピングフィールドを
変調するべく変化されが,実際にはVの大きさを変化さ
せることが最も簡単である。したがって,本発明の好適
実施例において,トラッピングフィールドの変調は高電
圧VHから低電圧VLへトラッピング電圧の大きさを周期的
に変化させることを含み,それによってピークツーピー
クの電圧スイングVH-VLが画成される。以下に説明され
るように,VHはVLと同じだけV0からオフセットされる必
要はない(すなわち,VH-V0がV0-VLと等しくなくてもよ
い)。図6は,公称値V0に関してトラッピング電圧を変
調するのに使用され得る2つのサンプル変調波形を示
す。
【0047】図5からわかるように,永年周波数でのト
ラッピングフィールドの変調により生成された効果は質
量スペクトルにわたってかなり変化する。大質量イオン
のトラッピング電圧での3%変調は与えられた質量の永
年周波数に500Hzごとの変化を生じさせ,一方小質量に
おける同様の3%変調は与えられた質量の永年周波数に
5000Hzまたはそれ以上ごとの変化を生じさせる。本発明
の一つの態様のなかで,この変動性の理解において,イ
オントラップから範囲の質量を放出するべく生成された
補助波形内の周波数成分の周波数間隔は周波数スペクト
ルを横切って変化する。本発明に従った好適方法におい
て,範囲の質量を除去するのに使用される補助周波数ス
ペクトルは複数のサブレンジに分割され,異なるサブレ
ンジごとに一定の周波数間隔を使用する。
【0048】図2は,如何に周波数成分のマスターセッ
トがイオントラップ内のすべてのイオンを励起するべく
生成されるかを示すフローチャートである。この周波数
成分のマスターセットは以下に説明される補助電圧波形
を生成するのに使用される。ブロック210からスタート
する際,公称トラッピング電圧V0が印加されるときトラ
ップ内に保持される質量範囲を知ることがまず必要であ
り,次にこの質量範囲に対応する永年周波数の範囲を決
定する。例えば,本発明の譲受人の販売する典型的なイ
オントラップが約50〜650amuの範囲でイオンを保存す
る。(ACトラッピング電圧のみ有するトラッピングフィ
ールドはフィールド内に捕獲される質量の上限を有しな
い。しかし実際には,捕獲効果は大きい質量では極端に
低下するため,トラップ内に保持された多数の非常に大
きい質量は無視され得る。)大質量が低永年周波数を有
し小質量が高永年周波数を有する状態でV0をトラップに
印加する典型的な捕獲条件の下で,50〜650amuの質量範
囲は25〜420kHzの永年周波数範囲に対応する。この全周
波数範囲はその後連続的なサブレンジに分割され(ステ
ップ220)各サブレンジに対し周波数間隔が決定される
(ステップ230)。本発明の好適方法によって,図5に
示された関係は異なるサブレンジで周波数間隔を決定す
る際に使用される。現好適方法において第1サブレンジ
は周波数レンジの25〜80kHzをスパンし,周波数成分は1
500Hzだけ離隔される。したがって,第1サブレンジは2
0,21.5,23,24.5,...78.5,80kHzで周波数成分を有する。
第2サブレンジは82〜132kHzの間の周波数をスパンし,
82,84.5,87,...129.5,132のように2500kHzだけ離隔され
た周波数成分を有する。135〜205kHz及び210■420kHzの
第3及び第4の周波数範囲はそれぞれ3500及び4500kHz
だけ離隔された周波数成分から成る。各サブレンジに対
する周波数成分の選択は図2におけるステップ240にお
いて識別される。4つのすべてのサブレンジをスパンす
る周波数成分の完全セットは,その後システムメモリ内
またはそれと同等のものに保存される(ステップ25
0)。
【0049】図2の方法は,トラッピングフィールドの
変調に関して使用される際全質量スペクトルにわたって
イオントラップからすべてのイオンを除去することが可
能な補助電圧周波数のセットを生成する点に関して説明
されてきたが,トラップのトータル質量範囲のサブセッ
トである与えれた質量レンジのすべてのイオンを共鳴し
て除去するための周波数のセットを生成するのに,同様
の方法が使用可能であることは当業者の知るところので
ある。本発明は従来技術に比べ,補助信号内に使用する
周波数成分が非常に少ないという大きな長所を有する。
これが補助電圧波形の電力を非常に低下させ,波形の生
成,保存及び処理の作業を単純化する。
【0050】マスターセット内の補助周波数のすべての
成分は500Hzの積であることがわかる。短い構成波形が
位相シフト無しで積の回数だけ繰り返されるように周波
数成分がすべて共通因子を有するのが好適である。共通
因子の選択はシステムのクロック周波数及び波形を画成
するのに必要なデータポイント数に依存する。例えば,
2ミリ秒続くマスター周波数の内の複数の周波数からな
る波形が構成されメモリ内に保存される。この波形は補
助電圧信号として45ミリ秒続く励起を与えるため30
回繰り返しイオントラップに印加される。
【0051】(しかし,コンピュータにおける処理速度
及び処理パワーの現在の増加傾向が進行して,非常に特
別のコンポーネントが開発されると期待されるので,リ
アルタイムに多重補助励起波形を生成しかつ実行するこ
とが可能となることが予想される。これが実現すれば,
もはやメモリに保存された短い波形の反復に依存する必
要がなく,すべての周波数成分に対しての共通因子を使
用する必要もなくなる。さらに,リアルタイムの処理が
実現する前でも,これらの傾向はより長い波形の簡単な
生成及び保存を可能とし,その結果短い波形のセグメン
トが必要なくなる。) 図3は,本発明にしたがって,如何に,イオントラップ
内に選択イオンを保持するべく補助電圧波形を生成する
かを示すフローチャートである。まず,イオントラップ
内に保持されるべき質量範囲が決定される。本発明の目
的のため,ひとつ以上の質量範囲が存在し,それぞれが
ひとつ以上の質量値を含む。または,イオントラップ内
に保持されるべき注目質量がひとつだけ存在してもよ
い。ここで使用されるように,各質量範囲はひとつまた
はそれ以上の連続質量値からなる。ここでの議論の目的
のため,質量範囲m1−m2が考えられる。次に,質量範
囲の上端または下端での質量の永年周波数が,V0での
捕獲電圧セットとして非変調トラッピングフィールド内
で決定される(段階320)。これらの値はf1及びf2
としてそれぞれ示されている。f1及びf2の値は,トラ
ッピングフィールドの変調及びトラップ内のイオンの共
鳴幅を補償するべく調節される(段階330)。エッジ
周波数の調節値はそれぞれfE1及びfE2として示され
る。単一の質量のみがトラップ内に保持されるようなm
1=m2の場合には,周波数の調節はエッジ周波数スペク
トルを含むかどうかに依存しているため,f1=f2,す
なわち,fE1≠fE2である。周波数を調整するべき好適
技術は以下に図4とともに説明される。トラップ内に保
持されるべきが一つ以上の質量範囲であれば,段階31
0〜330の連続が各質量範囲に対して繰り返される
(段階340)。エッジ周波数は以下に説明されるよう
に補助電圧波形内にギャップを画成するべく使用され,
その結果トラップ内に保持されるイオンの共鳴周波数が
捕獲電圧変調の全範囲にわたって失われることは当業者
にとって周知である。すべての質量範囲に対してエッジ
周波数が決定された後,補助電圧波形はエッジ周波数及
び図2に関して上記された周波数のマスターセットから
構成される(段階350)。
【0052】補助電圧波形を構成するための好適方法が
以下にしめされる。まず,すべてのエッジ周波数が波形
に付加される。つぎに,補助周波数のセット内の各周波
数が,周波数スペクトル内にひとつ以上のギャップを画
成するエッジ周波数の値と比較される。(周波数のセッ
トはfiで示され,ここでiは1から132までの範囲
をスパンする。)各iの値に対し,ギャップ内に周波数
iが存在すれば,それは放棄される。さもなければ,
周波数が波形に付加される。エッジ周波数fE1及びfE2
を画成して,イオントラップ内に単一の質量範囲のみが
保持される場合には,各fiは基準fi<fE1,fi>f
E2に一致する補助電圧信号に付加される。
【0053】周知技術であるように,最終波形のダイナ
ミックレンジを最小化するために,最終波形内に含まれ
る周波数成分の初期位相は好適に制御される。好適実施
例において,各周波数成分の初期位相はランダムに指定
される。満足な結果を生じさせる構成補助電圧波形内の
周波数成分に対して位相を指定するための他の技術が周
知である。本発明は,構成広帯域信号に基づく従来技術
より非常に少ない周波数成分に基づくため,周波数成分
の位相を制御する必要がそれほど大きくない。上記方法
で構成された最終波形セグメントは実験で使用するため
メモリに保存される。
【0054】一方,マスター波形が周波数成分のマスタ
ーセットから生成され,システムメモリ内に記録され
る。マスター波形の周波数成分の位相は,ランダムに,
または最終マスター波形のダイナミックレンジを最小化
する適当なアルゴリズムにより指定される。最終波形
は,エッジ周波数を付加しエッジ周波数間に存するその
他の周波数を除去することにより,マスター波形から引
出される。孤立周波数成分,マスター波形及び最終印加
波形はすべてデジタルであり,処理はシステムソフトま
たはデジタル信号プロセッサを通じて便利に実行され
る。もちろん,アナログ信号を生成し処理するための手
段,及びアナログ信号をデジタル信号に変換するための
またはその逆の手段は,周知技術である。
【0055】本発明にしたがって,ひとつまたはそれ以
上の範囲の不所望のイオンをイオントラップから除去す
るべく,最終波形がトラッピングフィールドの変調に関
連して使用される。好適には,範囲はトラップ内に保持
されるべき質量の側または質量範囲のいずれかに存す
る。ひとつ以上の不連続質量または保持される質量範囲
が存在する結果,補助波形は3つ以上の範囲の質量をイ
オントラップから除去させる。
【0056】好適には,補助励起波形は,イオントラッ
プのエンドキャップ電極30,35へ,イオン化電子ビ
ームがゲートオン状態になりトラップ内へのイオン導入
の間及びイオン化が完了した後の短時間の間に印加され
る。波形が印加されている間,トラップ内のイオンの永
年周波数を変化させるためにトラッピングフィールドが
変調される。好適に,トラッピングフィールドの変調
は,公称値V0に関して高いVHから低いVLへとRFト
ラッピング電圧を変調することによって実行される。変
調波形は捕獲電圧を変調させるために印加される。サン
プル変調波形は図6との関係で以下に説明される。図6
は本発明の他の態様にしたがって特別に構成された変調
波形を示すが,他の単純な波形も印加可能である。例え
ば,変調波形は単純な正弦波でもよい。好適実施例にお
いて,図6(C)の波形に類似する変調波形を有する5
00Hzの変調周波数が使用される。図6(C)の波形
において,三角波がトラップに対し,イオン化の間及び
イオン化の終了後の1サイクルまでの間に印加される。
その結果,ユーザが選択した特殊なドウェル時間tHOLD
が三角形の頂点に付加される。
【0057】本発明の微細な点において,異なるサブレ
ンジの周波数成分の振幅は変化する。イオントラップか
ら大きい質量のイオンを放出するのに必要なエネルギー
は,小質量のイオンを放出するのに必要なエネルギーよ
り低いことは周知である。さらに,イオンを放出するの
に非常に大きな電圧を使用することが,分解能を劣化さ
せる逆の効果を有する。したがって,補助周波数成分の
電圧を最適化することが最もよい。本発明の好適実施例
において,最大周波数成分に使用される電圧の約70%
である最小周波数成分に使用する電圧とともに,一定だ
が異なる電圧レベルが各4つの周波数サブレンジに対し
て使用される。各サブレンジ内で一定値を使用する以外
は,各孤立周波数成分(または,さまざまなサブレンジ
のサブセット)は異なる値に指定される。
【0058】図4は,図3の方法に使用される最終エッ
ジ周波数を決定するための好適方法のフローチャートで
ある。該方法は図3の段階320と同様に,イオントラ
ップ内に保持される質量範囲(m1−m2,m1≦m2)の
端での質量(m1,m2)の公称永年周波数(f1,f2
が非変調トラッピング電圧V0に対し決定されるところ
の,段階410から開始される。次に,予備的なエッジ
周波数(fPE1,fPE2)が,公称永年周波数をエッジス
ケーリング因子により調節することによって計算され
る。エッジスケーリング因子fEは(大質量m2に対応
する)最小周波数から減じられ,(小質量m1に対応す
る)最大周波数に付加される,すなわち,fPE1=f1
E及びfPE2=f2−fEである。
【0059】イオントラップ内の質量は有限の共鳴幅を
有し,その結果すべての与えられた質量はその永年周波
数と一致する補助電圧からのエネルギーばかりでなく,
その付近の補助電圧からのエネルギーも吸収するという
認識のもとに,エッジスケーリング因子が使用される。
これを見るひとつの方法は,もし,m1=m2,f1=f2
であれば,単一の周波数成分より広い周波数スペクトル
内のギャップが存在する必要があるという点である。本
発明者は与えられた質量のイオンの共鳴幅は大きい空間
電荷の存在する状況では1.0〜1.5kHzの幅であって,全
質量スペクトルにわたって比較的一定であるということ
を決定した。非常に広い共鳴幅を生じさせる因子は,空
間電荷の効果及びトラッピングフィールドの欠陥を含
む。イオントラップ内の空間電荷は捕獲イオンの永年周
波数に影響を与え,さらに捕獲イオンの空間的分布に影
響を与える。実際,大きな空間電荷の存在はトラップに
印加される小さいDC電圧Uを有することと同値である
として観測される。さらに,最も注意深く構成されたイ
オントラップでさえ,トラップ内のイオンの位置を変化
させる高次の成分(例えば,六重極,八重極等)を有す
るということが知られている。いくつかの商用イオント
ラップでは,高次のフィールドは故意に導入される。こ
れらの効果はトラップ内のイオンの共鳴幅を広げる要因
となる。たとえ信号が空間電荷を生成する要因となる不
所望なイオンを放出するのにトラップに印加されたとし
ても,イオンはトラップから即座に除去されない。した
がって,イオン化が完了し,補助電圧信号の印加により
不所望なイオンがトラップから除去されるまでに,それ
らはトラップ内の空間電荷に寄与する。トラップ内に選
択的に保存されたイオンの永年周波数及びそれらの共鳴
幅は,イオン構造及び保存プロセスを通じて変化する。
単一イオンがトラップ内の最適レベルで保存されると,
共鳴幅は500〜800Hzになる。
【0060】従来技術は,概してこれらの因子を認識す
る代わりに,イオンの永年周波数の変動性及び永年周波
数の共鳴幅の変動性に伴う問題を無視した。したがっ
て,多くの従来技術は高帯域信号内の非常に狭い周波数
ギャップまたはノッチを使用することを説明する。しか
し,大きな空間電荷の存在のもとで,周波数ノッチを有
する高帯域励起からなる単一波形は,ノッチの中心周波
数及びノッチ幅がターゲットイオンの永年周波数及び共
鳴幅と常に一致するわけではないため,非最適状態であ
る。空間電荷及び高次のフィールド成分の影響によりシ
フトされた永年周波数を有する一部のターゲットイオン
は,高帯域信号により放出される。トラップ内のほとん
どの空間電荷が除去され,かつ注目のイオンが高次のフ
ィールドの効果が最小であるところのトラップの中心付
近の軌道を占有するまでは,ターゲットイオンの永年周
波数は概して周波数ノッチの中心周波数に近づかない。
好適に,エッジスケーリング因子は,少なくとも補助励
起波形の初期印加の間は,半分の高さの約1500Hz
の共鳴幅にほぼ等しい。以下に説明するように,効果的
ノッチ幅は,イオン化の完了した後の補助波形をトラッ
プに印加している一部の時間中に縮小され得る。これは
エッジスケーリング因子の効果的な減少として観測され
る。
【0061】図4の議論にもどって,エッジスケーリン
グ因子によりエッジ周波数を調節した後(段階42
0),エッジ周波数はトラッピング電圧が高電圧VH
び低電圧VLの間で変調されるという事実を考慮するべ
くさらに調節される。この調節は,段階430及び440から
成る。段階430において,小質量イオンm1に対する永年
周波数内の変化Δf1は公称電圧V0と変調捕獲電圧の最高
値VHでのm1の永年周波数の差を決定することにより計算
され,大質量イオンm2に対する永年周波数内の変化Δf
2は公称電圧V0と変調捕獲電圧の最低値VHでのm2の永年
周波数の差を決定することにより計算される。次に,段
階440において,予備エッジ周波数は段階430内で計算さ
れた量,すなわち,fE1=fPE1-Δf1及びfE2=fPE2+Δf2
より調節される。これらの値は最終エッジ周波数と呼ば
れている。しかし,好適には,該値はマスター周波数セ
ット内の周波数に対し共通因子を有するという基準に一
致する近接の周波数に囲まれている。図4の段階は,選
択的に保存されるべき質量の各範囲に対し繰り返され
る。
【0062】本発明により方法のさらに詳細な点におい
て,最終エッジ周波数の振幅は,トラップ内に保持され
るイオンの比較的大きい共鳴幅に伴う問題をさらに軽減
するべく,小さくスケーリングされる。変調電圧波形の
形状に依存して,捕獲電圧が変調される際,最終エッジ
周波数は捕獲電圧が変調の端点に接近するに従いすなわ
ちピーク値に達し向きを変更する際に大量の時間間隔を
費やす。トラップ内に保持されるべき質量範囲の上端及
び下端付近でイオンを共鳴させるような結合フィールド
条件は最長のドウェル時間を有する。上端及び下端のイ
オンに共鳴して結合されたエネルギーは比較的長時間存
在し,そのため所望のイオンの不本意な除去を引き起こ
す。エッジ周波数成分の電圧を減少させることにより,
この問題は軽減される。
【0063】さらに本発明の方法の詳細な点において,
結合フィールドは,トラップ内のイオンの共鳴周波数及
び共鳴幅が変化するに従って,時間的に変化する。例え
ば,イオン除去及び分離の段階は2つの段階で実行され
る。第1段階において,広い効果的ノッチ幅が,イオン
形成またはイオン注入処理の間及びその後の短時間の間
に使用される。この第1段階はトラップからほとんどの
空間電荷除去し,かつ残存イオンが高次のトラッピング
フィールドの効果が非常に減少されるところのトラップ
の中心を占有するようにする。トラップ内の残存イオン
の共鳴幅は,それにより実質的に減少し,残存イオンの
永年周波数はそれぞれの公称永年周波数に接近するかま
たはそれ上にある。第2段階の間に,効果的ノッチ幅は
イオン分離の分解能を増加させるべく減少される。この
2段階処理は,第1段階の間に印加される第1レベルか
ら第2段階の間に印加されるより大きな第2レベルま
で,トラッピング電圧のピークツーピーク変調範囲を単
純に増加させることにより実行される。この関係におい
て,トラッピング電圧を変調することは,効果として各
補助電圧成分を値の範囲にわたってスィープすることと
同じであり,変調量を増加させることは効果的スィープ
を増加させることであることがわかる。変調電圧を増加
させることは補助電圧波形内のエッジ周波数のスィープ
を増加させ,それによってそれらの間のギャップをせば
める。さらに,補助電圧波形の大きさは第1時間間隔で
は高いレベルで,第2時間間隔では低いレベルで印加さ
れる。
【0064】もちろん,結合捕獲/補助フィールドを変
化させる他の方法は当業者に周知である。例えば,捕獲
電圧変調の2つの精確な値を使用せずに,捕獲電圧の変
調は時間的に傾斜される。他の実施例において,トラッ
ピングフィールドの傾斜はイオン化時間間隔の終点また
はそれ付近に始まる(すなわち,一定のピークツーピー
ク変調はすべてまたはほとんどのイオン化時間間隔に使
用され,イオン化が完全にまたはほぼ完了したのち徐々
に傾斜される)。同様に,これは実行が困難であるため
に好適ではないが,エッジ周波数及び/またはそれらの
振幅は補助電圧波形が一定に印加されまたはトラッピン
グフィールド変調を変化させる間の時間間隔にわたって
変化する。
【0065】さらに,他の詳細な点における本発明は,
四重極フィールドに付加される高次の多重極成分を有す
るイオントラップにおいて,捕獲イオンの永年周波数と
rf捕獲電圧を増加させることによる補助波形の周波数
成分との間で共鳴に近づくことは,捕獲電圧を減少させ
ることにより共鳴に近づくことと同値ではないという周
知事実を扱うべく実行される。この非対称形を処理する
2つの方法が図6の(A)及び(B)に示されている。図6
(A)は公称捕獲電圧V0610に関して捕獲電圧を変調するの
に使用される鋸の歯状の波形620を示す。波形620は捕獲
電圧Vrfを急速に低から高電圧へ増加させかつ比較的よ
りゆるやかに減少させる。示された波形において,低か
ら高へ捕獲電圧を増加させるのに用する時間は,高から
低へ捕獲電圧を減少させるのに用する時間の約半分であ
る。
【0066】図6(B)の波形630において,該波形は公称
電圧V0に関して対称では無く,その結果高ピーク電圧は
低ピーク電圧と等しくはない(すなわち,V0-VL≠VH-
V0)。トラッピングフィールドの下方変調の間のピーク
電圧は図6(B)の波形に減少されるが,捕獲電圧がV0
下に減少する時間間隔は間隔tHOLDの挿入によりトラッ
ピングフィールドが増加する時間間隔と同一である。
【0067】このタイプのほとんどの機器において,イ
オントラップのダイナミックレンジは制限され,トラッ
プが最適数のイオンに満たされた状態のとき最高に精確
かつ有用な結果を生じさせることが知られている。も
し,トラップ内に存在するイオンが非常に少なければ,
感度は低くかつピークはノイズにより損なわれる。も
し,トラップ内に存在するイオンが非常に多ければ,空
間電荷効果が非常にトラッピングフィールドを歪め,か
つピーク分解能が損なわれる。
【0068】従来技術はこの問題を,一定レベルでトラ
ップ内の全電荷数を維持するためのいわゆる自動利得制
御(AGC)を使用して処理してきた。特に,従来のAGC技術
はトラップ内の電荷数を見積もるためのトラップの高速
プレスキャンを使用し,その後このプレスキャンを次の
分析スキャンを制御するべく使用する。本発明にしたが
って,プレスキャンはまた空間電荷を制御しかつ分析ス
キャン用にトラップ内を最適化するのにも使用される。
プレスキャンの間,上記同様の補助波形がトラップに印
加され,その結果補助分析スキャンの間のイオン化時間
は注目イオンでトラップを満たすよう最適化され得る。
【0069】したがって,当業者は本発明が,(1)選択
的に所望のイオンを保存しかつ不所望のイオンを除去す
るべくトラッピングフィールド変調と連動して使用する
ための補助励起波形を構成する単純な方法,(2)励起波
形内の周波数成分の数を最少化するような波形を構成す
る方法,(3)効果的な質量範囲の幅が有用であるところ
のトラップ内に保持された質量範囲を画成する,イオン
トラップ内の結合トラッピング及び励起フィールドを生
成するための方法,(4)空間電荷効果が減少するように
トラッピング電圧の変調を変化させる方法,及び(5)異
方向からのイオンを共鳴に近づける際存在する非対称性
を補償するフィールド変調の方法,を提供することを理
解されよう。
【0070】本発明は特定の実施例について説明されて
来たが,特許請求の範囲に記載された発明の思想及び態
様から離れることなく,さまざまな変更及び改良が可能
であることは当業者の知るところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実行するために使用されるイオ
ン質量スペクトロメータ装置の部分略示図である。
【図2】本発明によるマスター周波数セットを構成する
ための方法のフローチャートである。
【図3】本発明の方法にしたがった補助電圧波形を形成
するための方法のフローチャートである。
【図4】本発明による注目の質量範囲を保持するべく補
助電圧波形内のエッジ周波数成分を調整するための方法
のフローチャートである。
【図5】トラッピングフィールド電圧の3%変化に対す
るイオン質量の永年周波数の変化を質量数の関数として
表したグラフである。
【図6】(A),(B)及び(C)は,本発明に従うトラッピング
電圧を変調するための交流波形を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 チャールズ・ケー・ハストン アメリカ合衆国カリフォルニア州フェアフ ィールド、チェリー・バレー・コート 105

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四重極イオントラップ質量スペクトロメ
    ータを使用するための方法であって,イオントラップ内
    にトラッピングフィールドを確立する段階であって,そ
    の結果第1連続質量範囲が該イオントラップ内に捕獲さ
    れ,捕獲された各イオンはそれに伴った永年周波数を有
    するところの段階と,トラッピングフィールドを変調す
    る間,イオントラップ内に第1補助ダイポールフィール
    ドを生成することによって,イオントラップから第2連
    続質量範囲内のイオンを除去する段階であって,前記第
    2連続質量範囲は前記第1連続質量範囲のサブセットで
    あり,前記第1補助ダイポールフィールドはそれぞれの
    永年周波数でイオンを励起されるための複数の周波数成
    分を有し,前記第1補助ダイポールフィールド内の周波
    数成分は第1周波数範囲をスパンし,前記周波数成分の
    間隔は前記第1周波数範囲にわたって変化する,ところ
    の段階と,から成る方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法であって,前記第1
    周波数は複数の連続周波数サブレンジに分割され,各サ
    ブレンジ内の周波数成分の間隔は実質的に一定である,
    ところの方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法であって,さらに
    トラッピングフィールドを変調しながらイオントラップ
    内に第2補助ダイポールフィールドを生成することによ
    り,第3連続質量範囲内のイオンをイオントラップから
    除去する段階から成り,前記第3連続質量範囲は前記第
    1連続質量範囲のサブセットであるが前記第2連続質量
    範囲とは異なり,その結果前記第2及び第3質量範囲の
    間には不連続性が存在し,前記第2補助ダイポールフィ
    ールドは前記第3連続質量範囲内のイオンをそれぞれの
    永年周波数で励起するための複数の周波数成分から成
    る,ところの方法。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の方法であって,前記第2
    及び第3連続質量範囲の間の前記不連続性は単一質量単
    位のオーダーである,ところの方法。
  5. 【請求項5】請求項3に記載の方法であって,前記周波
    数成分の間隔は前記第2周波数範囲にわたって変化す
    る,ところの方法。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の方法であって,実質的に
    すべての周波数成分は少なくとも1500Hz離れている,と
    ころの方法。
  7. 【請求項7】請求項3に記載の方法であって,前記第1
    周波数範囲の境界での周波数成分を決定するための方法
    が,(a)イオントラップ内に保持されるべきイオンの質
    量m1を決定する段階であって,該質量が第2質量範囲端
    をこえた第1質量であるところの段階と,(b)非変調ト
    ラッピングフィールド内のm1の永年周波数f1を決定する
    段階と,(c)トラッピングフィールドの変調を補償する
    べくf1の値を調節する段階と,から成るところの方法。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の方法であって,f1の値を
    調節する段階が,所定のエッジスケーリング周波数fE
    よりf1をオフセットすることで予備エッジ周波数fPE1
    計算する段階から成る,ところの方法。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の方法であって,f1の値を
    調節する段階がさらに,トラッピングフィールドの変調
    に伴うf1の変化Δf1を計算する段階,及びΔf1によりf
    PE1をオフセットすることで最終エッジ周波数fE1を計算
    する段階とから成る,ところの方法
  10. 【請求項10】請求項9に記載の方法であって,前記第
    1周波数範囲内のすべての周波数成分が整数の共通因子
    を有する,ところの方法。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の方法であって,さら
    に前記共通因子の整数積である周波数に前記最終エッジ
    周波数を丸め込む段階から成る,ところの方法。
  12. 【請求項12】ひとつまたはそれ以上の質量から成る質
    量範囲内のイオンが選択的にイオントラップ内に保存さ
    れるように,イオントラップから不所望の質量を共鳴に
    より除去するべく,四重極イオントラップに印加された
    公称トラッピングフィールドの変調とともに使用するた
    めの補助電圧波形を生成するための方法であって,(a)
    公称トラッピングフィールドによりイオントラップ内に
    保持された質量範囲の上下端での質量を決定する段階
    と,(b)最大及び最小質量の永年周波数を決定する段階
    であって,それによって前記永年周波数をスパンする周
    波数範囲を画成する段階と,(c)前記周波数範囲を複数
    のサブレンジに分割する段階と,(d)各サブレンジに対
    して周波数成分のセットを確立する段階であって,サブ
    レンジ内の各周波数成分が実質的に同じ分だけ隣接する
    成分から離隔されている段階と,(e)イオントラップ内
    に選択的に保存される質量m1-m2の連続範囲を決定する
    段階であって,前記範囲が少なくともひとつの質量値か
    ら成る段階と,(f)非変調トラッピングフィールドにお
    いて,m1及びm2の永年周波数f1及びf2を決定する段階
    と,(g)トラッピングフィールドの変調の効果を補償す
    るべく,f1及びf2の値を調節することによってエッジ周
    波数のセットを計算する段階と,(h)イオントラップ内
    に選択的に保存された質量の付加的範囲のそれぞれに対
    し,段階(e)から(g)を繰り返す段階と,(i)各エッジ周
    波数と,エッジ周波数の各セット間にある周波数以外の
    周波数成分のセット内の各周波数成分とを合体すること
    により最終波形を生成する段階と,から成る方法。
  13. 【請求項13】請求項12に記載された方法であって,
    トラッピングフィールドはAC成分を有し,トラッピング
    フィールドの変調はトラッピングフィールドのAC成分の
    電圧を変調することから成る,ところの方法。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の方法であって,ACト
    ラッピング電圧の変調をもたらすべく変調波形が印加さ
    れる,ところの方法。
  15. 【請求項15】請求項14に記載の方法であって,前記
    変調波形は鋸歯状の波形であって,波形の増加部分の傾
    斜は波形の減少部分の傾斜と異なる,ところの方法。
  16. 【請求項16】請求項14に記載の方法であって,公称
    トラッピング電圧より上の波形のピーク振幅は,公称ト
    ラッピング電圧より下の波形のピーク振幅と異なる,と
    ころの方法。
  17. 【請求項17】公称トラッピング条件の下でのトラップ
    により保持された質量範囲内のイオンの選択範囲を除去
    するべく,イオントラップ内の変調トラッピングフィー
    ルドとともに使用するための補助ダイポール電圧波形を
    生成する際に使用する周波数成分のマスターセットを作
    り出すための方法であって,公称トラッピング条件のも
    とにイオントラップ内に効果的に保持された質量範囲を
    決定する段階と,周波数範囲を画成するべく,質量範囲
    の端点の永年周波数を決定する段階と,複数の連続サブ
    レンジへ前記周波数範囲を分割する段階と,各周波数サ
    ブレンジに対し,サブレンジを周波数成分のマスターセ
    ットにスパンする複数の一様に離隔された周波数成分を
    付加する段階であって,周波数成分の間隔は異なるサブ
    レンジ内で異なるところの段階と,から成る方法。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の方法であって,周波
    数成分の間の間隔は少なくとも各サブレンジ内で1500Hz
    である,ところの方法。
  19. 【請求項19】請求項17に記載の方法であって,少な
    くとも4つのサブレンジが存在する,ところの方法。
  20. 【請求項20】請求項19に記載の方法であって,少な
    くともひとつの前記サブレンジ内の周波数間隔が少なく
    とも4500Hzである,ところの方法。
  21. 【請求項21】ACトラッピング電圧から成るトラッピン
    グフィールドによりイオントラップ内に保持される不所
    望のイオンを除去するための方法であって,補助ダイポ
    ール電圧励起波形をイオントラップに印加する段階と,
    多重イオンが共鳴によりイオントラップから放出される
    ようにACトラッピング電圧を上下のピーク値間で変調さ
    せる段階と,から成り,補助励起波形が印加される間,
    前記ACトラッピング電圧の上下ピーク値が変化する,と
    ころの方法。
  22. 【請求項22】請求項21に記載の方法であって,トラ
    ッピングフィールド変調のピークツーピーク値は,イオ
    ンがイオントラップ内に導入される間一定であり,その
    後増加する,ところの方法。
  23. 【請求項23】イオントラップ内にイオンを選択的に保
    存するための方法であって,トラッピングフィールドを
    イオントラップへ印加する段階と,多重周波数成分を有
    する補助励起波形をイオントラップへ印加する段階であ
    って,前記トラッピングフィールド及び補助励起波形は
    結合フィールドを形成し,該結合フィールドはイオント
    ラップ内に選択的に保存されるべきイオンの永年周波数
    に対応する周波数ノッチを効果的に画成するところの段
    階と,補助励起波形がイオントラップに印加されている
    時間に,周波数ノッチの幅を変化させるべく結合フィー
    ルドを制御する段階と,から成る方法。
  24. 【請求項24】請求項23に記載の方法であって,周波
    数ノッチの幅は補助励起波形がイオントラップに印加さ
    れている時間に減少される,ところの方法。
  25. 【請求項25】公称値に関して変調されるトラッピング
    電圧と結合してイオントラップ内に質量範囲を選択的に
    保持するために使用される補助電圧波形内に含まれる周
    波数成分のギャップを画成するためのエッジ周波数を決
    定する方法であって,イオントラップ内に選択的に保持
    されるべき質量範囲の極値における質量値の各永年周波
    数を決定する段階と,予備エッジ周波数を画成するべく
    スケーリング因子により永年周波数を調節する段階と,
    エッジ周波数を画成すべく,トラッピングフィールドの
    変調を補償するよう予備エッジ周波数を調節する段階
    と,から成る方法。
  26. 【請求項26】請求項25に記載の方法であって,前記
    補助波形内の周波数成分がすべて共通因子の整数積であ
    り,さらにエッジ周波数を最も近くの前記共通因子の整
    数積に丸め込む段階から成る,ところの方法。
  27. 【請求項27】四重極イオントラップ質量スペクトロメ
    ータを使用するための方法であって,イオントラップ内
    にトラッピングフィールドを確立する段階であって,そ
    の結果第1連続質量範囲が該イオントラップ内に捕獲さ
    れ,捕獲された各イオンはそれに伴った永年周波数を有
    するところの段階と,トラッピングフィールドを変調す
    る間,イオントラップ内に第1補助ダイポールフィール
    ドを生成することによって,イオントラップから第2連
    続質量範囲内のイオンを除去する段階であって,前記第
    2連続質量範囲は前記第1連続質量範囲のサブセットで
    あり,前記第1補助ダイポールフィールドはそれぞれの
    永年周波数でイオンを励起されるための複数の周波数成
    分を有し,前記第1補助ダイポールフィールド内の周波
    数成分は第1周波数範囲をスパンし,前記周波数成分の
    電圧は前記第1周波数範囲にわたって変化する,ところ
    の段階と,から成る方法。
  28. 【請求項28】請求項27に記載の方法であって,前記
    第1周波数範囲は複数の連続周波数サブレンジに分割さ
    れ,各サブレンジ内の周波数成分の電圧は実質的に一定
    である,ところの方法。
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