JPH08179562A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法

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JPH08179562A
JPH08179562A JP6336620A JP33662094A JPH08179562A JP H08179562 A JPH08179562 A JP H08179562A JP 6336620 A JP6336620 A JP 6336620A JP 33662094 A JP33662094 A JP 33662094A JP H08179562 A JPH08179562 A JP H08179562A
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toner
gas
image
softening point
drying
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JP6336620A
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Masakichi Kato
政吉 加藤
Tatsuya Nakamura
達哉 中村
Koji Inaba
功二 稲葉
Toshiyuki Ukai
俊幸 鵜飼
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トナーの凝集を防ぎ、ダマを発生させること
なく直接重合法によって得られたトナー粒子を効率良く
乾燥させるトナーの製造方法を提供する。 【構成】 ルーゼックスで測定した形状係数SF−1が
100〜140であり、かつ低軟化点物質を5〜40重
量%含有している直接重合法によって得られたトナー粒
子を、機械的振動と気体の吹き込みにより浮遊懸濁さ
せ、流動層を形成しつつ乾燥することを特徴とする静電
荷像現像用トナーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、潜像を顕像化する方法
に用いられるトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法は米国特許第2,297,6
91号明細書等に記載されている如く、多数の方法が知
られており、一般には光導電性物質を利用し、種々の手
段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をト
ナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写部材にト
ナー画像を転写した後、加熱、圧力、或いは溶剤蒸気等
により定着し複写物を得る。また、トナーを用いて現像
する方法、或いはトナー画像を定着する方法としては、
従来各種の方法が提案され、それぞれの画像形成プロセ
スに適した方法が採用されている。
【0003】従来、これらの目的に用いるトナーとし
て、一般に熱可塑性樹脂中に染料及び顔料の如き着色剤
を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置、分級機
により所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0004】この製造方法はかなり優れたトナーを製造
し得るが、ある種の制限、即ちトナー用材料の選択範囲
に制限がある。例えば樹脂着色剤分散体が十分に脆く、
経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくては
ならない。ところが、こういった要求を満たすために樹
脂着色剤分散体を脆くすると、実際に高速で微粉砕した
場合に形成された粒子の粒径範囲が広くなり易く、特に
比較的大きな割合の微粒子がこれに含まれるという問題
が生ずる。さらに、このように脆性の高い材料は、複写
機等現像用に使用する際、さらなる微粉砕ないしは粉化
を受け易い。また、この方法では、着色剤等の固体微粒
子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、
その分散の度合によっては、カブリの増大、画像濃度の
低下や混色性・透明性の不良の原因となるので、分散に
注意を払わなければならない。また、破断面に着色剤が
露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合
もある。
【0005】一方、これら粉砕法によるトナーの問題点
を克服するため、特公昭36−10231号、同43−
10799号及び同51−14895号公報等により懸
濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。懸
濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、重合開始
剤さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加
剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした
後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、
例えば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重
合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得
る。
【0006】この方法は、粉砕工程が全く含まれないた
め、トナーに脆性が必要ではなく、軟質の材料を使用す
ることができ、また、分級工程の省略をも可能にするた
め、エネルギーの節約、時間の短縮、工程収率の向上
等、コスト削減効果が大きい。
【0007】また、近年の複写機やプリンターの高画質
化、フルカラー化、省エネルギー化等トナー自体の多機
能化が要求されている。例えば、高画質化にともない高
解像度・デジタル方式に対応するトナー粒子の微小粒径
化、フルカラー化にともなうOHP画像の透明性の向
上、省エネルギー化にともなう低温定着化に対応するた
めトナー中に低軟化点物質の含有、転写材への転写効率
の向上に有効であるトナー粒子の形状化等が要求されて
おり、これらの要求を実現する手段として重合法による
トナーが挙げられる。
【0008】従来より、これら優れた特徴を有する重合
トナーを得るために、単量体組成物の造粒工程における
改良(例えば、分散手段,分散剤等の分散造粒条件の改
良)、あるいは重合工程の改良(例えば、重合開始剤の
種類,その付与条件等の重合条件の改良)も行われてい
る。
【0009】また、重合反応が終了した懸濁液の固液分
離後のトナー粒子の乾燥方法についても若干の検討がな
されている。例えば、特開昭63−124055号公報
には、トナー粒子を気体により浮遊懸濁させ流動層を形
成しつつ乾燥させる方法が提案されている。また、特開
平4−311966号公報にも同様に流動層乾燥機を使
用したトナー粒子の乾燥方法が提案されている。
【0010】上記流動層乾燥機によるトナー粒子の乾燥
方法は、効率良くトナーの乾燥が行える。しかしなが
ら、前述したように近年の複写機やプリンターの高画質
化に伴うトナーの小粒径化、フルカラー化、省エネルギ
ー化に伴うトナー自体の多機能化によりトナーの付着力
は増大する傾向にあり、このようなトナーを前記提案の
流動層乾燥機で乾燥を行うとトナー同士が凝集しダマが
発生してしまったり、装置の壁にトナーが付着し、収率
及び作業性に大きな問題を生ずる。
【0011】特に乾燥中にダマが発生すると、後工程で
トナーに外添を行う際トナー表面に外添剤が均一に付着
しないため、現像剤としての性能に問題を生じる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のごとき問題を解決した静電荷像現像用トナーの製造方
法を提供することにある。
【0013】詳しくは、本発明の目的は、トナーの凝集
を防ぎダマを発生させることなく直接重合法によって得
られたトナー粒子を効率良く乾燥させる、静電荷像現像
用トナーの製造方法を提供することにある。
【0014】また、本発明の目的は、トナー凝集物が原
因となる画像欠陥のない高画質の画像が得られる静電荷
像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、ルー
ゼックスで測定した形状係数SF−1が100〜140
であり、かつ低軟化点物質を5〜40重量%含有してい
る直接重合法によって得られたトナー粒子を、機械的振
動と気体の吹き込みにより浮遊懸濁させ、流動層を形成
しつつ乾燥することを特徴とする静電荷像現像用トナー
の製造方法に関する。
【0016】特に、本発明は、透過型電子顕微鏡(TE
M)を用いたトナーの断層面測定方法で、低軟化点物質
が外殻樹脂層で内包化されている直接重合法によって得
られたトナー粒子を、機械的振動と気体の吹き込みによ
り浮遊懸濁させ、流動層を形成しつつ乾燥することを特
徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【0017】更に、本発明は、低軟化点物質として、炭
素数10以上の長鎖エステル部分を1個以上有するエス
テルワックスを含有する直接重合法によって得られたト
ナー粒子を、機械的振動と気体の吹き込みにより浮遊懸
濁させ、流動層を形成しつつ乾燥することを特徴とする
静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【0018】本発明に用いられる機械的振動と気体の吹
き込みにより浮遊懸濁させ、流動層を形成しつつ乾燥を
行う容器は、その上部よりも下部が絞り込まれたもので
あり、下部の気体の吹き込み部の気体の線速度が上部の
気体の線速度の2倍以上であることが好ましい。
【0019】また、本発明に用いられる機械的振動と気
体の吹き込みにより浮遊懸濁させ、流動層を形成しつつ
乾燥を行う容器が、加熱を行うジャケットを外周部に有
することをが好ましい。
【0020】以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】本発明者らは、鋭意検討の結果、ルーゼッ
クスで測定した形状係数SF−1が100〜140であ
り、かつ低軟化点物質を5〜40重量%含有している直
接重合法によって得られたトナー粒子を、機械的振動と
気体の吹き込みにより浮遊懸濁させ、流動層を形成させ
ながら乾燥させることにより、トナーの凝集を防ぎダマ
を発生させることなく、効率良くトナーが得られること
を見いだした。
【0022】従来の重合トナーの製造方法で使用された
流動層乾燥機では、トナーのように微小な粉体で流動層
を形成するには、気体の吹き込み線速度は、0.5〜1
m/秒程度であり、通常の粉末の乾燥に比べ流速が速く
なっており、このような流動化状態では微細粒子は造粒
して粒径の大きい二次粒子となって流動化することが多
く、また気泡径も大きくなるため層から飛び出す粒子の
量が増大したりする。そのため、微妙な調整が必要とさ
れてきた。
【0023】また、より小粒径化されたトナーでは、ト
ナー粒子の重量も小さくなり、流速の調整も非常に困難
となる。さらに、微小粒径化による付着力の増加に加え
て、低軟化点物質を含有するトナーでは、粒子間の付着
力が大きくなる傾向にあり、凝集しダマとなり易い。
【0024】これに対して、前述した構成を有する本発
明の製造方法においては、気体の吹き込みに加え、粒子
層全体に機械的振動を与えることにより、微細粒子を良
好に流動化することができるためダマの発生がなく効率
よく乾燥が行える。
【0025】以下必要に応じて図面を参照しつつ、本発
明を更に詳細に説明する。
【0026】本発明のトナーの製造方法においては、重
合性単量体組成物を重合して得られるトナー粒子を原料
として用いるが、このような乾燥前のトナー粒子は、粉
体としての流動性の点から含水率40%以下であること
が好ましい。また、更には30%以下がより好ましい。
ここでいう含水率とは、湿量基準含水率、すなわち、全
重量(乾燥トナー重量と水分重量との和)に対する水分
重量の比率をいう。
【0027】このような含水率を有するトナー粒子は、
通常の固液分離手段(例えば、濾過)により容易に得ら
れるが、このような含水率を得るために予備的に乾燥を
行っても良い。
【0028】本発明においては、トナー粒子に機械的振
動が加えられ、気体の吹き込みにより浮遊懸濁させ、流
動層を形成しつつ乾燥することができる装置であれば、
特に限定なく用いることが可能であるが、例えば図1,
図2に模式側断面図を示すような形態の乾燥装置が好ま
しく用いられる。
【0029】図のような乾燥装置は、その全体が円筒形
状を有し、気体の流通経路に沿って、気体流入口2と、
気体を整流する目皿板2、粒子と気体との流動層が形成
される乾燥室4、粒子を捕捉するフィルター5、排気口
6から構成される。排気口6は、排気ブロアに接続し排
気を行う。
【0030】また、乾燥室底部の架台の相対向する側壁
面に2基の振動モータ(バイブレータ)10が取付けら
れており、乾燥室全体に振動を与えることができる。振
動の振幅は、振動モータの軸の両端に取付けられている
アンバランスウエイト間の取付け角度により調整でき、
振動数は、インバータにより任意に設定できる。
【0031】乾燥原料は、乾燥室上部の投入口8より供
給され、乾燥品は、図2のように乾燥室下部の排出口9
から排出されるか、図1のように乾燥室上部の排出口9
から吸引排出される。
【0032】この乾燥装置を用いる乾燥操作は、たとえ
ば以下のように行われる。すなわち、乾燥室に投入され
た含水トナー粒子は、振動モータにより与えられた機械
的振動と、気体流入口から投入され、目皿板を介して導
入された温風により、吹き上げられ、気体とともに流動
化する。乾燥室内に浮遊して流動層を形成したトナー粒
子は、この流動層内部において、気体と均一に混合され
乾燥される。
【0033】乾燥室4の上部(排気口6側)に吹き上げ
られたトナー粒子は、フィルター5に捕捉されるが、例
えばこのフィルターに逆洗パルスを与えることにより、
トナー粒子はフィルターから払い落とされて下方に戻さ
れる。
【0034】微小粒径で付着性の強い、低軟化点物質を
含有するトナー粒子では、目皿板3付近でトナーの凝集
が起こり易いため、気体の線速度を速くすることが有効
であるが、気体の線速度が速いと乾燥室上部に舞い上が
る粒子が増加し、フィルターを詰らせ易くするなどの弊
害を生じるので、乾燥室4は、図1のように気体の流路
に垂直な方向の断面積において上部よりも下部が絞られ
た形状を有することが好ましく、乾燥室下部の目皿板3
付近の気体の線速度が、乾燥室上部における気体の線速
度の2倍以上になることが好ましい。
【0035】また、乾燥室の外周囲は、ジャケット構造
とし、温水を循環させて加温することにより、乾燥効率
を高めることがより好ましい。
【0036】上記乾燥室内に導入する気体の種類は特に
限定されるものではなく、窒素等の不活性ガスまたは、
空気が用いられる。気体の温度は30〜80℃が好まし
い。この気体の温度は、乾燥を効率的に行う点から高温
であることが好ましいが、原料トナー粒子の変形・融着
等を抑制する点から、原料トナー粒子のガラス転移点以
下の温度であることが望ましい。また、この気体は除湿
して相対湿度50%以下(より好ましくは30%以下)
にして用いることが好ましい。
【0037】同様に、乾燥室の外周囲をジャケット構造
とし、温水を循環させて加温する場合の温度も原料トナ
ー粒子のガラス転移点以下の温度であることが望まし
い。
【0038】本発明において好ましく用いられる振動流
動層乾燥装置として、具体的には、中央化工機製振動流
動層乾燥装置VUA型が挙げられる。
【0039】本発明に係るトナーとしては、ルーゼック
スで測定した形状係数であるSF−1の値が100〜1
40で有り且つ低軟化点物質を5〜40重量%含有して
いるトナーが好ましく用いられる。
【0040】本発明に用いられる形状係数を示すSF−
1とは、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用
いトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画
像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析
装置(Luzex3)に導入し解析を行い、下式より算
出し得られた値を本発明においては形状係数SF−1と
定義した。
【0041】
【数1】
【0042】[式中、MXLNGは絶対最大長を示し、
AREAはトナーの投影面積を示す。]
【0043】トナーの形状係数SF−1が140より大
きいトナー形状は、球形から徐々に不定形に近づき、そ
れにつれて同時に転写効率の低下が認められる。
【0044】更に高画質化のためより微小な潜像ドット
を忠実に現像するために、トナーもより微小粒径の、具
体的にはコールターカウンターにより測定された重量平
均径が4μm〜8μmで個数変動係数が35%以下のト
ナーが本発明に使用するトナーとして最も好ましい。重
量平均径が4μm未満のトナーにおいては、転写効率の
悪さから感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発
生し、カブリ,転写不良に基づく画像の不均一ムラの原
因となり本発明で使用するトナーとしては好ましくな
い。また、トナーの重量平均径が8μmを超える場合に
は、部材への融着が起きやすく、トナーの個数変動係数
が35%を超えると更にその傾向が強まり問題となる。
【0045】本発明に係るトナーに用いられる低軟化点
物質としては、ASTM D3418−8に準拠し測定
された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物
が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点
物質の自己凝集力が弱くなり、結果として高温オフセッ
ト性が弱くなりフルカラートナーには好ましくない。一
方極大ピークが、90℃を超えると定着温度が高くな
り、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難と
なり混色性の点から好ましくない。更に直接重合方法に
よりトナーを得る場合においては、水系で造粒,重合を
行うため極大ピーク値の温度が高いと主に造粒中に低軟
化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましく
ない。
【0046】上記の極大ピーク値の温度の測定には、例
えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検
出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量
の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプ
ルは、アルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセッ
トし、昇温速度10℃/分で測定を行う。
【0047】具体的にはパラフィンワックス,ポリオレ
フィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,
アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこ
れらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等
が利用できる。好ましくは下記一般構造式で示す炭素数
が10以上の長鎖エステル部分を1個以上有するエステ
ルワックスが、OHPの透明性を阻害せずに高温オフセ
ット性に効果を有するので本発明においては特に好まし
い。本発明に好ましい具体的なエステルワックスの代表
的化合物の構造式を以下に一般構造式,一般構造式
及び一般構造式として示す。
【0048】
【化1】
【0049】[式中、a及びbは0〜4の整数を示し、
a+bは4であり、R1 及びR2 は炭素数が1〜40の
有機基を示し、且つR1 とR2 との炭素数差が10以上
である基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、n
とmが同時に0になることはない。]
【0050】
【化2】
【0051】[式中、a及びbは0〜4の整数を示し、
a+bは4であり、R1 は炭素数が1〜40の有機基を
示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時
に0になることはない。]
【0052】
【化3】
【0053】[式中、a及びbは0〜3の整数を示し、
a+bは3以下であり、R1 及びR2は炭素数が1〜4
0の有機基を示し、且つR1 とR2 との炭素数差が10
以上である基を示し、R3 は炭素数が1以上の有機基を
示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時
に0になることはない。]
【0054】本発明で好ましく用いられるエステルワッ
クスは、硬度0.5〜5.0を有するものが好ましい。
エステルワックスの硬度は、直径20mmφで厚さが5
mmの円筒形状のサンプルを作製した後、例えば島津製
作所製ダイナミック超微小硬度計(DUH−200)を
用いビッカース硬度を測定した値である。測定条件は、
0.5gの荷重で負荷速度が9.67mm/秒の条件で
10μm変位させた後15秒間保持し、得られた打痕形
状を測定しビッカース硬度を求める。本発明に好ましく
用いられるエステルワックスの硬度は、0.5〜5.0
の値を示す。硬度が0.5未満の低軟化点物質では定着
器の圧力依存性及びプロセススピード依存性が大きくな
り、高温オフセット効果の発現が不十分となりやすく、
他方5.0を超える場合ではトナーの保存安定性に乏し
く、離型剤自身の自己凝集力も小さいため同様に高温オ
フセットが不十分となりやすい。具体的化合物として
は、下記化合物が挙げられる。
【0055】
【化4】
【0056】近年フルカラー両面画像の必要性も増して
きており、両面画像を形成せしめる際においては、最初
に表面に形成された転写紙上のトナー像が次に裏面に画
像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過する可能
性が有り、よりトナーの高温オフセット性を十分に考慮
する必要がある。その為にも本発明においては、多量の
低軟化点物質の添加が必須となる。具体的には、低軟化
点物質をトナー中に5〜40重量%添加することが好ま
しい。5重量%未満の添加では十分な高温オフセット性
を示さず、更に両面画像の定着時において裏面の画像が
オフセット現象を示す傾向がある。また40重量%を超
える場合は、造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやす
く、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不
適当であった。
【0057】本発明のトナー粒子を製造する方法として
は、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53
856号公報、特開昭59−61842号公報に述べら
れている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方
法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有
機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水
溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成す
るソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を
用いトナーを製造することが可能である。
【0058】しかしながら、分散重合方法においては、
得られるトナーは極めてシャープな粒度分布を示すが、
使用する材料の選択が狭いことや有機溶剤の利用が廃溶
剤の処理や溶剤の引火性に関する観点から製造装置が複
雑で煩雑化しやすい。ソープフリー重合に代表される乳
化重合方法は、トナーの粒度分布が比較的揃うため有効
であるが、使用した乳化剤や開始剤末端がトナー粒子表
面に存在し時に環境特性を悪化させやすい。
【0059】本発明においてはトナーの形状係数SF−
1値を100〜140にコントロールでき、比較的容易
に粒度分布がシャープで4〜8μm粒径の微粒子トナー
が得られる常圧下での、または、加圧下での懸濁重合方
法が特に好ましい。一旦得られた重合粒子に更に単量体
を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂
シード重合方法も本発明に好適に利用することができ
る。
【0060】また、定着性の観点から多量の低軟化点物
質をトナーに含有せしめる必要性から必然的に低軟化点
物質を外殻樹脂中に内包化せしめる必要がある。低軟化
点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体
中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を
小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体
を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆し
た所謂コア−シェル構造を有するトナーを得ることがで
きる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性
の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加
量を変える方法や機械的装置条件、例えばローターの周
速,パス回数,撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又
は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより所
定の本発明のトナーを得ることができる。
【0061】本発明においてトナーの断層面を測定する
具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にト
ナーを十分分散させた後温度40℃の雰囲気中で2日間
硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要に
より四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイ
ヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプ
ルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの
断層形態を測定した。本発明においては、用いる低軟化
点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違い
を利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸化
ルテニウム染色法を用いることが好ましい。代表的な一
例を図3に示す。明らかに低軟化点物質が外殻樹脂で内
包化されていることが観測された。
【0062】上記重合トナーに使用できる重合性単量体
としては、スチレン,o(m−,p−)−メチルスチレ
ン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量
体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エ
チル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル
酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アク
リル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メ
タ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチ
ルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチ
ル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプ
レン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,ア
クリル酸アミド等のビニル系単量体が好ましく用いられ
る。これらは、単独または一般的には出版物ポリマーハ
ンドブック第2版III−P139〜192(John
Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス温度
(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混
合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場
合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面
から問題が生じ、一方75℃を超える場合は定着点の上
昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては
各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更
にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から
好ましくない。
【0063】本発明においては、外殻樹脂中に低軟化点
物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂
を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられ
る極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の
共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹
脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂
は、外殻樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中
に含まないものが特に好ましい。不飽和基を有する極性
樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量
体と架橋反応が起きフルカラー用トナーとしては、極め
て高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ま
しくない。
【0064】本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤
としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー
/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたもの
が利用される。
【0065】イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合
物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,
アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代
表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピ
グメントイエロー12、13、14、15、17、6
2、74、83、93、94、95、109、110、
111、128、129、147、168等が好適に用
いられる。
【0066】マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合
物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キ
ナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール
化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合
物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.
I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、4
8;2、48;3、48;4、57;1、81;1、1
44、146、166、169、177、184、18
5、202、206、220、221、254が特に好
ましい。
【0067】シアン着色剤としては、銅フタロシアニン
化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染
料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.
ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、
15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に
利用できる。
【0068】これらの着色剤は、単独又は混合し更には
固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤
は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナ
ー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量
は、樹脂100重量部に対し1〜20重量部添加して用
いられる。
【0069】黒色着色剤として磁性体を用いた場合に
は、他の着色剤と異なり、樹脂100重量部に対し40
〜150重量部添加して用いられる。
【0070】本発明に用いられる荷電制御剤としては、
公知のものが利用できるが、無色でトナーの帯電スピー
ドが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制
御剤が好ましい。更に本発明において直接重合方法を用
いる場合には、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無
い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、
ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸
の金属化合物,スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高
分子型化合物,ホウ素化合物,尿素化合物,ケイ素化合
物,カリークスアレーン等が利用でき、ポジ系として四
級アンモニウム塩,該四級アンモニウム塩を側鎖に有す
る高分子型化合物,グアニジン化合物,イミダゾール化
合物等が好ましく用いられる。該荷電制御剤は樹脂10
0重量部に対し0.5〜10重量部が好ましい。しかし
ながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではな
く、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリヤ
ーとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーテ
ィング現像方法を用いた場合においてもブレード部材や
スリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでト
ナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0071】本発明に係る重合トナーに使用できる重合
開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサ
ン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス
イソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始
剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペル
オキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ク
メンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイル
ペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系
重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目
的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対
し0.5〜20重量%添加され用いられる。重合開始剤
の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減
期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
【0072】重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖
移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能で
ある。
【0073】本発明に係る重合トナーにおいて、特に分
散剤を用いた懸濁重合を利用する場合用いる分散剤とし
ては、無機化合物として、リン酸三カルシウム,リン酸
マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸
カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水
酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カ
ルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイ
ト,シリカ,アルミナ等が挙げられる。有機化合物とし
て、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロー
ス,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセル
ロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,
ポリアクリル酸及びその塩,デンプン等を水相に分散さ
せて使用できる。これら安定化剤は、重合性単量体10
0重量部に対して0.2〜20重量部を使用することが
好ましい。
【0074】これら安定化剤の中で、無機化合物を用い
る場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい
粒子を得るために、分散媒中にて該無機化合物を生成さ
せても良い。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹
拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウ
ム水溶液を混合すると良い。
【0075】また、これら安定化剤の微細な分散の為
に、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を使用して
もよい。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進す
る為のものであり、その具体例としては、ドデシルベン
ゼン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペ
ンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,
オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステア
リン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられ
る。
【0076】本発明のトナー製造方法においては、以下
の如き製造方法によって具体的にトナーを製造すること
が可能である。
【0077】即ち、重合性単量体中に低軟化点物質から
なる離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の
添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によっ
て均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤
を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,
ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量
体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌
速度,時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の
作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防
止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以
上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行
うのが良い。また、重合反応後半に昇温しても良く、更
に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性
単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、
反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了
後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、本
発明の乾燥方法によって乾燥する。懸濁重合法において
は、通常単量体系100重量部に対して水300〜30
00重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0078】本発明のトナーの含水率の測定は以下のよ
うに行った。
【0079】0.5±0.1gのサンプルを微量水分測
定装置(AQ−6 平沼産業(株))にて測定する。滴
定用試薬はハイドラナールアクアライトRSを用いた。
サンプルの加熱は、AQ−6とインターフェイスで接続
し自動水分気化装置(SE−24平沼産業(株);11
0℃設定,N2 ガス0.25リットル/分設定)にて行
う。
【0080】また、トナーの粒度分布は種々の方法によ
って測定できるが、本発明においてはコールターカウン
ターを用いて行った。
【0081】測定装置としてはコールターカウンターT
A−II型(コールター社製)を用い、個数平均分布、
体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)
及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)
を接続して電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%N
aCl水溶液を調製する。
【0082】測定法としては前記電解水溶液100〜1
50ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアル
キルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さら
に測定試料を2〜20mg加える。
【0083】試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約
1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンター
TA−II型により、アパチャーとして100μmアパ
チャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒子
の粒度分布を測定して、それから各種値を求める。
【0084】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0085】実施例1 イオン交換水710gに0.1mol/リットル−Na
3 PO4 水溶液450gを投入し60℃に加温した後、
TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて12,0
00rpmにて撹拌した。これに1.0mol/リット
ル−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3
(PO42 を含む水系媒体を得た。
【0086】一方、分散質系は、 ・スチレン単量体 170g ・n−ブチルアクリレート 30g ・C.I.ピグメントブルー15:3 10g ・飽和ポリエステル 10g ・サリチル酸金属化合物 3g ・化合物(1) 55g (DSCにおけるピーク温度59.4℃,ビッカース硬度1.5)
【0087】上記混合物をアトライター(三井三池化工
機製)を用い3時間分散させた後、60℃に加温し30
分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2′
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10g
を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記重合性
単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、回転数を維
持しつつ15分間造粒した。その後、高速攪拌機からプ
ロペラ攪拌羽根に攪拌機を変え、内温を80℃に昇温さ
せ50rpmで重合を10時間継続させた。重合終了
後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、Ca3 (PO
42 を溶解させた後、濾過、水洗を行い、含水率23
%の含水トナーを得た。
【0088】得られた含水トナーを図1にあるような下
部が上部よりも絞り込まれた縦長形状の振動流動層乾燥
機内に投入し乾燥を行った。乾燥条件として、振動数2
5Hz,振幅2.5mmの振動を与え、下部より50℃
の空気を線速度0.5m/秒で吹き込んだところ、含水
トナーは流動層を形成しつつ装置内を循環した。このと
き、上部の空気の線速度は0.13m/秒であった。ま
た、乾燥機外周部のジャケットには50℃の温水を循環
させた。120分後にトナーを取り出し含水率を測定し
たところ、0.1%以下であった。また、トナー凝集に
よるダマの発生もなく、目開き149μmの篩いの通過
率は95%以上であった。ここでいう通過率とは以下の
ようにして求めた。
【0089】
【数2】
【0090】また、トナーの重量平均粒径は6.2μm
であり、個数変動係数が28%であった。形状係数SF
−1は、105であり、そのトナーの断層写真の模式図
を図3に示す。低軟化点物質である化合物(1)が外殻
樹脂で覆われた構造を示している。
【0091】得られたトナー100重量部に対し、BE
T法による比表面積が200m2 /gである疎水性シリ
カ1.5重量部を外添し、外添トナーを得た。更に外添
トナー5重量部に対し、アクリルコートされたフェライ
トキャリア95重量部を混合して現像剤とした。
【0092】この現像剤を用いて、キヤノン製フルカラ
ー複写機CLC−500改造機を用いて画出し評価を行
ったところ、10,000枚耐久においても、初期と耐
久後の画像濃度に変化がなく、中抜けのない高画質の画
が得られた。さらに両面画像を形成させたが、転写材の
表裏面共にオフセットの発生は認められなかった。ま
た、OHPシートへの画像形成を行ったところ、透明性
の良好な画像が得られた。
【0093】ここで、感光体から転写材(坪量199g
/m2 紙)への転写効率は94%とかなり高い転写効率
を示した。
【0094】実施例2 実施例1で得た含水率23%の含水トナーを、乾燥条件
として乾燥機外周部のジャケットに温水を循環させずに
室温のまま乾燥を行った以外は実施例1と同様の操作を
行った。
【0095】120分後にトナーを取り出し含水率を測
定したところ、0.15%であったが、150分後にト
ナーを取り出し含水率を測定したところ、0.1%以下
であり、トナー凝集によるダマの発生もなく、目開き1
49μmの篩いの通過率は95%以上であった。
【0096】さらに実施例1と同様の画出し評価を行っ
たところ、実施例1と同様に良好な画像が得られた。
【0097】実施例3 実施例1で得た含水率23%の含水トナーを、図2にあ
るような円筒縦長形状の振動流動層乾燥機内に投入し乾
燥を行った。乾燥条件として、振動数25Hz,振幅
2.5mmの振動を与え、下部より50℃の空気を線速
度0.2m/秒で吹き込んだところ、含水トナーは流動
層を形成しつつ装置内を循環した。また、乾燥機外周部
のジャケットには50℃の温水を循環させた。120分
後にトナーを取り出し含水率を測定したところ、0.1
%以下であった。また、トナー凝集によるダマの発生も
少なく、目開き149μmの篩いの通過率は90%であ
った。
【0098】さらに実施例1と同様の画出し評価を行っ
たところ、実施例1と同様に良好な画像が得られた。
【0099】比較例1 実施例1で得た含水率23%の含水トナーを、図2にあ
るような円筒縦長形状の振動流動層乾燥機内に投入し、
振動を与えずに乾燥を行った。乾燥条件として、下部よ
り50℃の空気を線速度0.2m/秒で吹き込み、乾燥
機外周部のジャケットには50℃の温水を循環させた。
含水トナーは流動層を形成せず、空気の流路が形成され
るいわゆるチャネリング現象が生じた。その後、空気を
線速度を0.6m/秒に上昇させ不安定ではあるが含水
トナーの循環を行わせた。120分後にトナーを取り出
し含水率を測定したところ、0.1%以下であったが、
トナー凝集によるダマの発生が多く、目開き149μm
の篩いの通過率は60%であった。また、乾燥機外周部
には、トナーの固着がみられた。
【0100】得られたトナーを解砕し、以下実施例1と
同様の操作を行い現像剤とした。
【0101】同様の画出し評価を行ったところ、耐久
1,500枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発
生した。
【0102】比較例2 実施例1で得た含水率23%の含水トナーをアルミパッ
ト上に分散し、50℃で真空乾燥を行った。120分後
の含水率を測定したところ、18%であった。含水率が
0.1%以下になるまでにさらに1,000分間乾燥を
行い、乾燥トナーを得た。得られたトナーは一部凝集し
ており、目開き149μmの篩いの通過率は70%であ
った。
【0103】得られたトナーを解砕し、以下実施例1と
同様の操作を行い現像剤とした。
【0104】同様の画出し評価を行ったところ、耐久5
00枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発生し
た。
【0105】実施例4 まず、実施例1と同じ水系分散媒を用意した。
【0106】一方、分散質系として ・スチレン単量体 180g ・2−エチルヘキシルアクリレート 20g ・グラフト化カーボンブラック 10g ・飽和ポリエステル 10g ・サリチル酸金属化合物 3g ・パラフィンワックス(m.p.65℃) 40g
【0107】上記混合物をアトライター(三井三池化工
機製)を用い3時間分散させた後、60℃に加温し30
分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2′
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10g
を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記重合性
単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、TKホモミ
キサーの回転数を10,000rpmで20分間造粒し
た。その後、高速攪拌機からプロペラ攪拌羽根に攪拌機
を変え、内温を80℃に昇温させ50rpmで重合を1
0時間継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希
塩酸を添加し、Ca3 (PO42 を溶解させた後、濾
過、水洗を行い、含水率25%の含水トナーを得た。
【0108】得られた含水率25%の含水トナーを、実
施例1と同様の装置及び操作で乾燥を行った。120分
後にトナーを取り出し含水率を測定したところ、0.1
%以下であった。また、トナー凝集によるダマの発生も
なく、目開き149μmの篩いの通過率は95%以上で
あった。また、トナーの重量平均粒径は6.4μmであ
り、個数変動係数が31%であった。形状係数SF−1
は、113であり、そのトナーの断層写真は、実施例1
と同様の構造を示していた。
【0109】得られたトナーを実施例1と同様の操作を
行い現像剤とした。
【0110】同様の画出し評価を行ったところ、耐久に
よる濃度変化がなく、中抜けのない高画質の画像が得ら
れた。また、OHPシートへの画像形成を行ったとこ
ろ、実施例1に比べ透明性にやや欠けたが実用的には問
題のないレベルであった。
【0111】ここで、感光体から転写材(坪量199g
/m2 紙)への転写効率は92%とかなり高い転写効率
を示した。
【0112】実施例5 実施例1と同じ組成比の水系分散媒を1,100g用意
した。
【0113】一方、分散質系として、化合物(1)を1
10gとした以外は、実施例1と同じ混合物を用意し
た。
【0114】上記分散質系をアトライター(三井三池化
工機製)を用い3時間分散させた後、55℃に加温し3
0分間混合した。これに、重合開始剤である2,2′−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを
溶解し、重合性単量体組成物を調製した。この重合性単
量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、TKホモミキ
サーの回転数を10,000rpmにし20分間造粒し
た。その後、高速攪拌機からプロペラ攪拌羽根に攪拌機
を変え、内温を80℃に昇温させ50rpmで重合を1
0時間継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希
塩酸を添加し、Ca3 (PO42 を溶解させた後、濾
過、水洗を行い、含水率24%の含水トナーを得た。
【0115】得られた含水率24%の含水トナーを、実
施例1と同様の装置及び操作で乾燥を行った。120分
後にトナーを取り出し含水率を測定したところ、0.1
%以下であった。また、トナー凝集によるダマの発生も
なく、目開き149μmの篩いの通過率は90%であっ
た。また、トナーの重量平均粒径は6.4μmであり、
個数変動係数が32%であった。形状係数SF−1は、
128であり、そのトナーの断層観察において化合物
(1)の極一部が外殻樹脂層へ滲み出していることがみ
られた。
【0116】得られたトナーを実施例1と同様の操作を
行い現像剤とした。
【0117】同様の画出し評価を行ったところ、中抜け
のない高画質の画像が得られた。10,000枚耐久試
験において初期画像濃度は1.6を示したが、耐久後に
は1.5と若干の濃度低下を示したが、実用的には問題
のないレベルであった。
【0118】ここで、感光体から転写材(坪量199g
/m2 紙)への転写効率は85%であった。
【0119】比較例3 実施例1と同じ組成比の水系分散媒を1,100g用意
した。
【0120】一方、分散質系として、全量を実施例1の
1.3倍とした実施例1と同じ組成比の混合物を用意し
た。
【0121】上記分散質系をアトライター(三井三池化
工機製)を用い3時間分散させた後、45℃に加温し3
0分間混合した。これに、重合開始剤である2,2′−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)13gを
溶解し、重合性単量体組成物を調製した。この重合性単
量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、TKホモミキ
サーの回転数を9,000rpmにし25分間造粒し
た。その後、高速攪拌機からプロペラ攪拌羽根に攪拌機
を変え、内温を80℃に昇温させ50rpmで重合を1
0時間継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希
塩酸を添加し、Ca3 (PO42 を溶解させた後、濾
過、水洗を行い、含水率24%の含水トナーを得た。
【0122】得られた含水率24%の含水トナーを、実
施例1と同様の装置及び操作で乾燥を行った。120分
後にトナーを取り出し含水率を測定したところ、0.1
%以下であった。また、トナー凝集によるダマの発生も
なく、目開き149μmの篩いの通過率は90%であっ
た。また、トナーの重量平均粒径は6.6μmであり、
個数変動係数が38%であった。形状係数SF−1は、
142であり、そのトナーの断層観察において化合物
(1)の内包化はなされていなかった。
【0123】得られたトナーを実施例1と同様の操作を
行い現像剤とした。
【0124】同様の画出し評価を行ったところ、初期画
像濃度は1.1しかなく、両面定着画像において、裏面
にオフセットによる画像不良が発生した。また、感光体
から転写材(坪量199g/m2 紙)への転写効率は7
2%とかなり低く問題が多かった。
【0125】比較例4 実施例1の組成物のうち化合物(1)の配合量を10g
に変えた以外は実施例1と同様にして、含水率23%の
含水トナーを得た。
【0126】得られた含水率23%の含水トナーを、実
施例1と同様の装置及び操作で乾燥を行った。120分
後にトナーを取り出し含水率を測定したところ、0.1
%以下であった。また、トナー凝集によるダマの発生も
なく、目開き149μmの篩いの通過率は95%以上で
あった。また、トナーの重量平均粒径は6.3μmであ
り、個数変動係数が29%であった。形状係数SF−1
は、108であり、そのトナーの断層写真は、実施例1
と同様の構造を示していた。
【0127】得られたトナーを実施例1と同様の操作を
行い現像剤とした。
【0128】同様の画出し評価を行ったところ、両面定
着画像において、裏面にオフセットによる画像不良が発
生した。
【0129】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、トナー
の凝集を防ぎ、ダマを発生させることなく直接重合法に
よって得られたトナー粒子を効率良く乾燥することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法に用
いる乾燥装置の一具体例を示す模式側面断面図である。
【図2】本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法に用
いる乾燥装置の他の一具体例を示す模式側面断面図であ
る。
【図3】実施例1のトナー断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1 振動架台 2 気体流入口 3 目皿板 4 乾燥室 5 フィルター 6 排気口 7 ジャケット 8 投入口 9 排出口 10 振動モータ 11 バネ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 381 (72)発明者 鵜飼 俊幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルーゼックスで測定した形状係数SF−
    1が100〜140であり、かつ低軟化点物質を5〜4
    0重量%含有している直接重合法によって得られたトナ
    ー粒子を、機械的振動と気体の吹き込みにより浮遊懸濁
    させ、流動層を形成しつつ乾燥することを特徴とする静
    電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 機械的振動と気体の吹き込みにより浮遊
    懸濁させ、流動層を形成しつつ乾燥を行う容器が、その
    上部よりも下部が絞り込まれたものであり、下部の気体
    の吹き込み部の気体の線速度が上部の気体の線速度の2
    倍以上であることを特徴とする請求項1記載の静電荷像
    現像用トナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 機械的振動と気体の吹き込みにより浮遊
    懸濁させ、流動層を形成しつつ乾燥を行う容器が、加熱
    を行うジャケットを外周部に有することを特徴とする請
    求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記トナー粒子が、透過型電子顕微鏡を
    用いたトナーの断層面測定方法で、低軟化点物質が外殻
    樹脂層で内包化されていることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記トナー粒子が含有する低軟化点物質
    が、炭素数10以上の長鎖エステル部分を1個以上有す
    るエステルワックスであることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999019367A1 (de) * 1997-10-10 1999-04-22 Bayer Aktiengesellschaft Verfahren zum entgasen von kautschuk aus der gasphasenpolymerisation
US6207339B1 (en) 1998-08-25 2001-03-27 Canon Kabushiki Kaisha Process for producing toner

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WO1999019367A1 (de) * 1997-10-10 1999-04-22 Bayer Aktiengesellschaft Verfahren zum entgasen von kautschuk aus der gasphasenpolymerisation
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