JPH08177843A - 内燃機関の潤滑システム - Google Patents

内燃機関の潤滑システム

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JPH08177843A
JPH08177843A JP32617894A JP32617894A JPH08177843A JP H08177843 A JPH08177843 A JP H08177843A JP 32617894 A JP32617894 A JP 32617894A JP 32617894 A JP32617894 A JP 32617894A JP H08177843 A JPH08177843 A JP H08177843A
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JP
Japan
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bearing
main
oil
crank
combustion engine
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JP32617894A
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English (en)
Inventor
Yutaka Tazaki
豊 田崎
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の潤滑システムにおいて、潤滑油の
分配量を適正に保つ。 【構成】 オイルポンプ1から吐出される潤滑油を主軸
受に供給するメインギャラリ6と、オイルポンプ1の吐
出圧に応じてオイルジェット16への潤滑油の供給を制
御する油圧制御バルブ15とを備える内燃機関の潤滑シ
ステムにおいて、主軸受8の軸受表面をアルミニウムと
錫を主成分とする合金により形成し、クランクシャフト
のジャーナル部にマイクロフィニッシュ仕上げ加工を施
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の潤滑システ
ムの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クランクシャフトの摺動面は、機関の高
速化、高出力化に伴って、高速、大荷重のもとで摺動す
るため、潤滑油のせん断発熱等により高温化し、非常に
厳しい潤滑条件となる。
【0003】自動車用機関の潤滑システムとして、従来
例えば図10に示すようなものがある。
【0004】これについて説明すると、定容量型オイル
ポンプ91は機関により駆動され、オイルポンプ91か
ら吐出する潤滑油はレギュレータバルブ92、リリーフ
バルブ93、オイルフィルタ94を経てメインギャラリ
95に導かれる。
【0005】メインギャラリ95に導かれた一部の潤滑
油は、クランクシャフトの主軸受(メインベアリング)
96やシリンダヘッド上のオイルギャラリ97から動弁
系に供給されるとともに、各気筒毎に設けられた油圧制
御バルブ99を介してピストンを冷却するオイルジェッ
ト98に供給される。
【0006】機関の高回転時にメインギャラリ95を介
して導かれる油圧が所定値を越えるとバルブ99が開弁
し、オイルジェット98から潤滑油をピストンに向けて
噴射し、この潤滑油によってピストンおよびシリンダボ
ア等の熱を持ち去るようになっている(例えば、特開昭
52−92037号公報、参照)。
【0007】また、図9に示すように、従来のコンロッ
ド軸受または主軸受96に介装される軸受メタル81〜
84は、クランクシャフトのジャーナル部73またはク
ランクピン75に対する焼き付きを防ぐなじみ性、異物
の埋収性を確保するために、その軸受表面に鉛(Pb)
を主成分とする鉛合金からなるオーバレイ層が形成され
ている。
【0008】ジャーナル部73またはクランクピン75
には図5に示すような加工精度と真円度を有する通常の
ラッピング仕上げ加工が施されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の内燃機関の潤滑システムに備えられる主軸受
96の軸受メタル84,83にあっては、その軸受表面
に硬度が低い鉛合金からなるオーバレイ層が形成されて
いるため、ラッピング仕上げ加工が施されたジャーナル
部73に対する耐摩耗性が十分に確保されず、長時間の
運転に伴って主軸受96とジャーナル部73の軸受隙間
が拡大し、図6に示すように、主軸受96に供給される
給油量が増加する経時変化が大きい。
【0010】このように主軸受96に供給される給油量
が増加する経時変化が起きると、オイルポンプ91の吐
出圧が機関回転数に応じて上昇する率が変化し、機関の
高回転時にオイルポンプ91の吐出圧が所定値を越えて
も油圧制御バルブ99が開弁せず、予め設定されたピス
トンの冷却が必要な回転数域でもオイルジェット98か
ら潤滑油が噴射されない可能性がある。
【0011】本発明は上記の問題点を解消し、内燃機関
の潤滑システムにおいて、潤滑油の分配量を適正に保つ
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の内燃機
関の潤滑システムは、ピストンの往復動をコンロッドを
介して回転運動に変換するクランクシャフトと、機関本
体にクランクシャフトのジャーナル部を回転可能に支承
する主軸受と、機関により駆動されるオイルポンプと、
オイルポンプから吐出される潤滑油を主軸受に供給する
メインギャラリと、オイルポンプから送られる潤滑油を
ピストンに向けて噴射するオイルジェットと、オイルポ
ンプの吐出圧に応じてオイルジェットへの潤滑油の供給
を制御する油圧制御バルブと、を備える内燃機関の潤滑
システムにおいて、主軸受の軸受表面をアルミニウムと
錫を主成分とする合金により形成し、クランクシャフト
のジャーナル部にマイクロフィニッシュ仕上げ加工を施
す。
【0013】請求項2に記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1に記載の発明において、主軸受の軸受面側
に裏金より硬度の低いメタル層を形成し、主軸受の軸受
表面にアルミニウムと錫を主成分とする合金によりオー
バレイ層を形成する。
【0014】請求項3に記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1または2に記載の発明において、主軸受に
メインギャラリに連通した半周グルーブを形成し、クラ
ンク内部通路に、ジャーナル部に対する2つの開口部
と、クランクピンに対する1つの開口部を形成する。
【0015】請求項4に記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1または2に記載の発明において、主軸受に
メインギャラリに連通した全周グルーブを形成し、クラ
ンク内部通路に、ジャーナル部に対する1つの開口部
と、クランクピンに対する1つの開口部を形成する。
【0016】
【作用】請求項1に記載の内燃機関の潤滑システムにお
いて、オイルポンプから吐出される潤滑油は、メインギ
ャラリから各主軸受に供給され、主軸受とジャーナル部
の摺動部を潤滑する。
【0017】予め設定されたピストンの冷却が必要な回
転数域では、油圧制御バルブがオイルポンプの吐出圧に
応動して開弁し、オイルポンプから吐出される潤滑油の
一部はオイルジェットに供給され、オイルジェットから
ピストンに噴射され、ピストンの冷却が行われる。
【0018】本発明は、主軸受の軸受表面がアルミニウ
ムと錫を主成分とする合金により形成されることによ
り、軸受表面の硬度が十分に確保される。
【0019】そして、ジャーナル部の摺動面は、マイク
ロフィニッシュ仕上げ加工が施されることにより、その
表面粗度が十分に小さく抑えられる。マイクロフィニッ
シュ仕上げ加工が施されたジャーナル部の平滑な表面に
支持される油膜は、高温高圧下で薄くなっても流体潤滑
状態が保たれる。
【0020】ジャーナル部の平滑な表面が油膜を介して
高い表面硬度を有する主軸受に摺接する構造のため、主
軸受の耐摩耗性が十分に確保され、主軸受とジャーナル
部の軸受隙間が拡大することを抑えられる。この軸受隙
間が小さく保たれることにより、主軸受とジャーナル部
の軸受隙間からクランク室に流出する潤滑油量の増加が
抑えられる。
【0021】メインギャラリから主軸受に供給される給
油量が増加する経時変化が抑えられることにより、オイ
ルポンプの吐出圧が機関回転数に応じて上昇する率が変
化することを抑えられ、オイルポンプの吐出圧に応動す
る油圧制御バルブが開弁する回転数を適正に保つ。すな
わち、予め設定されたピストンの冷却が必要な回転数域
でもオイルジェットから潤滑油が噴射されないという不
具合を防止できる。
【0022】請求項2記載の内燃機関の潤滑システムに
おいて、主軸受のオーバレイ層をアルミニウムと錫を主
成分とする合金により形成する構造のため、要求される
耐摩耗性を確保するとともに、メタル層を銅と鉛を主成
分とする合金により形成したため、要求される耐荷重性
を確保することができる。
【0023】請求項3に記載の内燃機関の潤滑システム
において、メインギャラリから主軸受に供給された潤滑
油の一部は、主軸受とジャーナル部の軸受隙間からクラ
ンク室に流出し、残りが主軸受に形成された半周グルー
ブから各クランク内部通路を通って各クランクピンに供
給される。
【0024】クランク内部通路は、ジャーナル部に開口
した2つの開口部のいずれか一方が常に半周グルーブに
連通し、クランクピンへの潤滑油の供給が途絶えること
がない。
【0025】クランクピンに1つの開口部を有するクラ
ンク内部通路は、クランクピンに複数の開口部を有する
構造に比べて、クランクピンに供給される潤滑油量が減
少する。しかし、アルミニウムと錫を主成分とする軸受
表面にマイクロフィニッシュ仕上げ加工が施されたジャ
ーナル部が支承される構造は、主軸受とジャーナル部の
軸受隙間からクランク室に流出する潤滑油量の増加が抑
えられることにより、クランクピンとコンロッド軸受の
摺動部に供給される潤滑油量が経時的に低下することを
抑制し、クランクピンに供給される潤滑油量が不足する
ことを防止できる。この結果、オイルポンプの吐出量を
必要以上に高める必要がなく、オイルポンプを小型化し
て駆動損失の低減がはかれる。
【0026】請求項4に記載の内燃機関の潤滑システム
において、メインギャラリから主軸受に供給された潤滑
油の一部は、主軸受とジャーナル部の軸受隙間からクラ
ンク室に流出し、残りが主軸受に形成された半周グルー
ブから各クランク内部通路を通って各クランクピンに供
給される。
【0027】クランク内部通路は、ジャーナル部に開口
した1つの開口部が常に全周グルーブに連通し、クラン
クピンへの潤滑油の供給が途絶えることがない。
【0028】クランクピンに1つの開口部を有するクラ
ンク内部通路は、クランクピンに複数の開口部を有する
構造に比べて、クランクピンに供給される潤滑油量が減
少する。しかし、アルミニウムと錫を主成分とする軸受
表面にマイクロフィニッシュ仕上げ加工が施されたジャ
ーナル部が支承される構造は、主軸受とジャーナル部の
軸受隙間からクランク室に流出する潤滑油量の増加が抑
えられることにより、クランクピンとコンロッド軸受の
摺動部に供給される潤滑油量が経時的に低下することを
抑制し、クランクピンに供給される潤滑油量が不足する
ことを防止できる。この結果、オイルポンプの吐出量を
必要以上に高める必要がなく、オイルポンプを小型化し
て駆動損失の低減がはかれる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0030】図2に示すように、定容量型オイルポンプ
1は機関により駆動され、オイルパン2からストレーナ
3を介して吸い上げた潤滑油を吐出し、オイルポンプ1
から吐出される潤滑油はリリーフバルブ4、オイルフィ
ルタ5を経てメインギャラリ6とジェットギャラリ14
およびヘッドギャラリ7の3系等に分流する。
【0031】オイルポンプ1から吐出される潤滑油の一
部は、メインギャラリ6を通って図示しないクランクシ
ャフトを支承する各主軸受8に供給される。
【0032】オイルポンプ1から吐出される潤滑油の一
部は、ヘッドギャラリ7を通って図示しないカムシャフ
ト等の摺動部に供給される。
【0033】機関の高回転時にオイルポンプ1の吐出圧
が所定値を越えると油圧制御バルブ15が開弁し、オイ
ルポンプ1から吐出される潤滑油の一部は、ジェットギ
ャラリ14を通って各気筒毎に設けられたオイルジェッ
ト16に供給される。オイルジェット16から噴射され
る潤滑油は、ピストンの背面に当たり、ピストンの熱を
持ち去る。
【0034】機関の低回転時にオイルポンプ1の吐出圧
が所定値以下にあると油圧制御バルブ15が閉弁し、オ
イルジェット16への潤滑油の供給が停止される。
【0035】図2に示すように、クランクシャフト30
は、機関本体の主軸受8に支承されるジャーナル部33
と、コンロッド31のコンロッド軸受32に支承される
クランクピン35を有する。
【0036】この4気筒機関はクランクシャフト30の
各ジャーナル部33を支承する5つの主軸受8を備え
る。各主軸受8にはジャーナル部33に摺接する上下の
軸受メタル24,23が介装される。
【0037】コンロッド31のコンロッド軸受32には
クランクピン35に摺接する上下の軸受メタル22,2
1が介装される。
【0038】クランクシャフト30の内部には各ジャー
ナル部12とクランクピン5を結ぶクランク内部通路2
9が形成される。オイルポンプ1から吐出される潤滑油
は、機関本体のメインギャラリ6から分岐する供給路3
6を通って各主軸受8に供給され、上軸受メタル24の
みに形成された半周グルーブ37から各クランク内部通
路29を通って各クランクピン35に供給される。
【0039】図3に示すように、主軸受8に介装される
軸受メタル24,23は、半割り形をした円筒状の裏金
56を主体として形成される。裏金56は鋼材により形
成される。一方、クランクシャフト30は鋼材または鋳
鉄材により形成される。
【0040】図3において、51は軸受メタル24,2
3の裏金56の軸受面側に形成されるメタル層である。
このメタル層51は銅(Cu)と鉛(Pb)を主成分と
するケルメット合金により、300μmの厚さをもった
層状に形成される。なお、このメタル層51の熱伝導率
は130W/mK程度に設定される。
【0041】軸受メタル24,23のジャーナル部33
に摺接する軸受表面に、メタル層51に比べて柔らかい
材質でオーバレイ層52が形成され、ジャーナル部33
に対する初期なじみ性、異物の埋収性が確保される。
【0042】本発明は、軸受メタル24,23のジャー
ナル部33に摺接するオーバレイ層52を、その硬度が
鉛を主成分とするケルメット合金より高い材質として、
アルミニウム(Al)と錫(Zn)を主成分とする合金
により形成し、耐摩耗性を十分に確保するようになって
いる。
【0043】この実施例では、メタル層51とオーバレ
イ層52の間にニッケル(Ni)を主成分とする材質に
よって中間層53が、1μm程度の厚さをもって層状に
形成される。なお、この中間層53の熱伝導率は70W
/mK程度である。
【0044】オーバレイ層52はジャーナル部33より
熱伝導率の高い材質として、アルミニウム(Al)と錫
(Zn)を主成分とする合金により形成される。鉄(F
e)を主成分とするジャーナル部33の熱伝導率が50
W/mK程度であるのに対して、オーバレイ層52の熱
伝導率は120W/mK程度に設定される。
【0045】このオーバレイ層52は、上下の軸受メタ
ル24,23の全周に渡って、20ミクロン程度の厚さ
で層状に形成される。
【0046】なお、他の実施例として、主軸受8に介装
される軸受メタル24,23は、裏金56の軸受面側に
形成されるメタル層を、、アルミニウムと錫を主成分と
する合金により形成し、オーバレイ層を廃止してもよ
い。
【0047】この実施例では、コンロッド軸受32に介
装される上下の軸受メタル22,21の軸受表面にもア
ルミニウム−錫系のオーバーレイ層が施される。
【0048】一方、ジャーナル部33の摺動面は、図5
に示すような加工精度と真円度を有するマイクロフィニ
ッシュ仕上げ加工が施され、通常のラッピン仕上げ加工
に対してその表面粗度を小さくするとともに、その真円
度を高めている。なお、図5には、一般的に施されるラ
ッピング仕上げ加工の加工精度と真円度を共に示してあ
る。
【0049】図4にも示すように、クランク内部通路2
9は、その両端がジャーナル部33に開口した通孔11
と、その両端がクランクピン35に開口した通孔13
と、両通孔11,13を連通する通孔12とによって構
成される。
【0050】以上のように構成され、次に作用について
説明する。
【0051】オイルポンプ1から吐出される潤滑油は、
機関本体のメインギャラリ6から分岐する供給路36を
通って各主軸受8に供給され、上下軸受メタル24,2
3とジャーナル部33の摺動部を潤滑する。
【0052】予め設定されたピストンの冷却が必要な回
転数域では、油圧制御バルブ15がオイルポンプ1の吐
出圧に応動して開弁し、オイルポンプ1から吐出される
潤滑油の一部はジェットギャラリ14を通ってオイルジ
ェット16に供給され、オイルジェット16からピスト
ンの背面に噴射され、ピストンの冷却が行われる。
【0053】本発明は、軸受メタル24,23のジャー
ナル部33に摺接するオーバレイ層52を、アルミニウ
ムと錫を主成分とする合金により形成したことにより、
軸受表面の硬度が十分に確保される。
【0054】そして、ジャーナル部33の摺動面は、マ
イクロフィニッシュ仕上げ加工が施されることにより、
その表面粗度が十分に小さく抑えられる。マイクロフィ
ニッシュ仕上げ加工が施されたジャーナル部33の平滑
な表面に支持される油膜は、高温高圧下で薄くなっても
流体潤滑状態が保たれる。
【0055】ジャーナル部33の平滑な表面に油膜を介
して硬度が高いオーバレイ層52が摺接する構造のた
め、オーバレイ層52の耐摩耗性が十分に確保され、主
軸受8とジャーナル部33の軸受隙間が拡大することを
抑えられる。この軸受隙間が小さく保たれることによ
り、主軸受8とジャーナル部33の軸受隙間からクラン
ク室に流出する潤滑油量の増加が抑えられる。図6に示
すように、メインギャラリ6から主軸受8に供給される
給油量が増加する経時変化が抑えられる。
【0056】メインギャラリ6から主軸受8に供給され
る給油量が増加する経時変化が抑えられることにより、
オイルポンプ1の吐出圧が機関回転数に応じて上昇する
率が変化することが抑えられ、オイルポンプ1の吐出圧
に応動する油圧制御バルブ15が開弁する回転数を適正
に保つ。すなわち、予め設定されたピストンの冷却が必
要な回転数域でもオイルジェット16から潤滑油が噴射
されないという不具合を防止できる。
【0057】また、供給路36を通って各主軸受8に供
給された潤滑油の一部は、主軸受8とジャーナル部33
の軸受隙間からクランク室に流出し、残りが主軸受8の
上軸受メタル24に形成された半周グルーブ37から各
クランク内部通路29を通って各クランクピン35に供
給される。
【0058】クランク内部通路29は、その通孔11の
両端がジャーナル部33に開口しているため、常に半周
グルーブ37に連通し、通孔11から通孔12,13を
経て行われるクランクピン35への潤滑油の供給が途絶
えることがない。
【0059】主軸受8とジャーナル部33の軸受隙間か
らクランク室に流出する潤滑油量の増加が抑えられるこ
とにより、クランクピン35とコンロッド軸受32の摺
動部に供給される潤滑油量が経時的に低下することを防
止できる。
【0060】コンロッド軸受32の軸受メタル22,2
1にアルミニウム−錫系のオーバーレイ層が施されて、
軸受表面の熱伝導率が高められることにより、クランク
ピン35から潤滑油を経てコンロッド軸受32側へ伝わ
る熱流速が高められる作用と、コンロッド軸受32に供
給される潤滑油量が十分に確保される作用が相互して、
クランクシャフト30の回転に伴って負荷が軽減してい
る間にオーバレイ層からその表面を流れる潤滑油に伝わ
る熱流速が高まり、クランクピン35の冷却効果が大き
くなる。
【0061】次に、図7に示す他の実施例について説明
する。なお、図4等との対応部分には同一符号を用いて
説明する。
【0062】クランク内部通路29は、その両端がジャ
ーナル部33に開口した通孔18と、その一端が通孔1
8の端部に接続され、その他端がクランクピン35に開
口した通孔19とによって構成される。
【0063】供給路36を通って各主軸受8に供給され
た潤滑油の一部は、主軸受8とジャーナル部33の軸受
隙間からクランク室に流出し、残りが主軸受8の上軸受
メタル24に形成された半周グルーブ37から各クラン
ク内部通路29を通って各クランクピン35に供給され
る。
【0064】主軸受8の上軸受メタル24のみに半周グ
ルーブ37が形成され、クランクシャフト30を介して
燃焼圧力が主として作用する下軸受メタル23は、グル
ーブが形成されてその軸受面積が削減されることがな
く、ジャーナル部33に対する面圧を低減できる。
【0065】クランク内部通路29は、その通孔18の
両端がジャーナル部33に開口しているため、常に半周
グルーブ37に連通し、通孔18から通孔19を経て行
われるクランクピン35への潤滑油の供給が途絶えるこ
とがない。
【0066】本実施例において、通孔19の一端がクラ
ンクピン35に開口するクランク内部通路29は、クラ
ンクピン35に対して二つの開口部を有する前記実施例
に比べて、クランクピン35とコンロッド軸受32の軸
受隙間に供給される潤滑油量が減少する。
【0067】しかし、アルミニウムと錫を主成分とする
オーバレイ層52にマイクロフィニッシュ仕上げ加工が
施されたジャーナル部33が支承される構造により、主
軸受8とジャーナル部33の軸受隙間からクランク室に
流出する潤滑油量の増加が抑えられることにより、クラ
ンクピン35とコンロッド軸受32の摺動部に供給され
る潤滑油量が経時的に低下することを抑制するため、ク
ランクピン35に供給される潤滑油量が不足することを
防止できる。この結果、オイルポンプ1の吐出量を必要
以上に高める必要がなく、オイルポンプ1を小型化して
駆動損失の低減がはかれる。
【0068】次に、図8に示す他の実施例について説明
する。なお、図4等との対応部分には同一符号を用いて
説明する。
【0069】クランク内部通路29は、その一端がジャ
ーナル部33に開口し、その他端がクランクピン35に
開口した1本の通孔17によって構成される。
【0070】供給路36を通って各主軸受8に供給され
た潤滑油の一部は、主軸受8とジャーナル部33の軸受
隙間からクランク室に流出し、残りが主軸受8の上下軸
受メタル24,23に形成された全周グルーブ37,3
8から各クランク内部通路29を通って各クランクピン
35に供給される。
【0071】クランク内部通路29は、その通孔17の
一端が常に全周グルーブ37,38に連通し、通孔17
を経てクランクピン35への潤滑油の供給が途絶えるこ
とがない。
【0072】本実施例において、通孔17の一端がクラ
ンクピン35に開口するクランク内部通路29は、クラ
ンクピン35に対して二つの開口部を有する前記実施例
に比べて、クランクピン35とコンロッド軸受32の軸
受隙間に供給される潤滑油量が減少する。
【0073】しかし、アルミニウムと錫を主成分とする
オーバレイ層52にマイクロフィニッシュ仕上げ加工が
施されたジャーナル部33が支承される構造により、主
軸受8とジャーナル部33の軸受隙間からクランク室に
流出する潤滑油量の増加が抑えられることにより、クラ
ンクピン35とコンロッド軸受32の摺動部に供給され
る潤滑油量が経時的に低下することを抑制するため、ク
ランクピン35に供給される潤滑油量が不足することを
防止できる。この結果、オイルポンプ1の吐出量を必要
以上に高める必要がなく、オイルポンプ1を小型化して
駆動損失の低減がはかれる。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の内
燃機関の潤滑システムは、ピストンの往復動をコンロッ
ドを介して回転運動に変換するクランクシャフトと、機
関本体にクランクシャフトのジャーナル部を回転可能に
支承する主軸受と、機関により駆動されるオイルポンプ
と、オイルポンプから吐出される潤滑油を主軸受に供給
するメインギャラリと、オイルポンプから送られる潤滑
油をピストンに向けて噴射するオイルジェットと、オイ
ルポンプの吐出圧に応じてオイルジェットへの潤滑油の
供給を制御する油圧制御バルブとを備える内燃機関の潤
滑システムにおいて、主軸受の軸受表面をアルミニウム
と錫を主成分とする合金により形成し、クランクシャフ
トのジャーナル部にマイクロフィニッシュ仕上げ加工を
施したため、主軸受の耐摩耗性が十分に確保され、主軸
受とジャーナル部33の軸受隙間が経時的に拡大するこ
とを抑えられ、オイルポンプの吐出圧に応動する油圧制
御バルブが開弁する回転数を適正に保つことができる。
【0075】請求項2に記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1に記載の発明において、主軸受の軸受面側
に裏金より硬度の低いメタル層を形成し、主軸受の軸受
表面にアルミニウムと錫を主成分とする合金によりオー
バレイ層を形成したため、主軸受に要求される耐摩耗性
を確保するとともに、耐荷重性を確保することができ
る。 請求項3に記載の内燃機関の潤滑システムは、請
求項1または2に記載の発明において、主軸受にメイン
ギャラリに連通した半周グルーブを形成し、クランク内
部通路に、ジャーナル部に対する2つの開口部と、クラ
ンクピンに対する1つの開口部を形成したため、クラン
クピンに対する潤滑油の供給量を減らすことが可能とな
り、オイルポンプの吐出量を必要以上に高める必要がな
く、オイルポンプを小型化して駆動損失の低減がはかれ
る。
【0076】請求項4に記載の内燃機関の潤滑システム
は、請求項1または2に記載の発明において、主軸受に
メインギャラリに連通した全周グルーブを形成し、クラ
ンク内部通路に、ジャーナル部に対する1つの開口部
と、クランクピンに対する1つの開口部を形成したた
め、クランクピンに対する潤滑油の供給量を減らすこと
が可能となり、オイルポンプの吐出量を必要以上に高め
る必要がなく、オイルポンプを小型化して駆動損失の低
減がはかれる。また、クランク内部通路を1本の通孔に
より形成することで、生産性を高めれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す潤滑油経路図。
【図2】同じくクランクシャフト等の断面図。
【図3】同じく軸受メタルの断面図。
【図4】同じくクランク内部通路および軸受メタル等の
構成図。
【図5】軸の表面粗度を示す表。
【図6】主軸受への給油量と運転時間の関係を示す特性
図。
【図7】他の実施例を示すクランク内部通路および軸受
メタル等の構成図。
【図8】さらに他の実施例を示すクランク内部通路およ
び軸受メタル等の構成図。
【図9】従来例を示すクランク内部通路および軸受メタ
ル等の構成図。
【図10】従来例を示す潤滑油経路図。
【符号の説明】
1 オイルポンプ 2 オイルパン 4 リリーフバルブ 6 メインギャラリ 8 主軸受 14 ジェットギャラリ 15 油圧制御バルブ 16 オイルジェット 17 通孔 18 通孔 19 通孔 21 軸受メタル 22 軸受メタル 23 軸受メタル 24 軸受メタル 29 クランク内部通路 30 クランクシャフト 31 コンロッド 32 コンロッド軸受 33 ジャーナル部 35 クランクピン 37 半周グルーブ 38 半周グルーブ 51 メタル層 52 オーバレイ層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピストンの往復動をコンロッドを介して回
    転運動に変換するクランクシャフトと、 機関本体にクランクシャフトのジャーナル部を回転可能
    に支承する主軸受と、 機関により駆動されるオイルポンプと、 オイルポンプから吐出される潤滑油を主軸受に供給する
    メインギャラリと、 オイルポンプから送られる潤滑油をピストンに向けて噴
    射するオイルジェットと、 オイルポンプの吐出圧に応じてオイルジェットへの潤滑
    油の供給を制御する油圧制御バルブと、 を備える内燃機関の潤滑システムにおいて、 主軸受の軸受表面をアルミニウムと錫を主成分とする合
    金により形成し、 クランクシャフトのジャーナル部にマイクロフィニッシ
    ュ仕上げ加工を施したことを特徴とする内燃機関の潤滑
    システム。
  2. 【請求項2】主軸受の軸受面側に裏金より硬度の低いメ
    タル層を形成し、 主軸受の軸受表面にアルミニウムと錫を主成分とする合
    金によりオーバレイ層を形成したことを特徴とする請求
    項1に記載の内燃機関の潤滑システム。
  3. 【請求項3】主軸受にメインギャラリに連通した半周グ
    ルーブを形成し、 クランク内部通路に、ジャーナル部に対する2つの開口
    部と、クランクピンに対する1つの開口部を形成したこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の潤
    滑システム。
  4. 【請求項4】主軸受にメインギャラリに連通した全周グ
    ルーブを形成し、 クランク内部通路に、ジャーナル部に対する1つの開口
    部と、クランクピンに対する1つの開口部を形成したこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の潤
    滑システム。
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