JPH08176557A - 重質油の改質方法 - Google Patents

重質油の改質方法

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JPH08176557A
JPH08176557A JP33736494A JP33736494A JPH08176557A JP H08176557 A JPH08176557 A JP H08176557A JP 33736494 A JP33736494 A JP 33736494A JP 33736494 A JP33736494 A JP 33736494A JP H08176557 A JPH08176557 A JP H08176557A
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carbon dioxide
hydrogen
heavy oil
steam
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JP33736494A
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English (en)
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Hisao Takaoka
尚生 高岡
Shigenori Nakashizu
茂徳 中静
Takashi Yoshizawa
隆 吉澤
Hiroshi Mizuguchi
博史 水口
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Japan Petroleum Energy Center JPEC
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Petroleum Energy Center PEC
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の方法より低い反応温度でしかも高い収
率で軽質油と水素とを製造できる重質油の改質方法を提
供する。 【構成】 本発明方法は、Ca、Mg及びBaのうちか
ら選ばれた1種以上のアルカリ土類金属の酸化物とアル
ミナとからなる担体にNi、Co及びMoのうちから選
ばれた1種以上の金属又はそれらの金属酸化物を添加し
てなる触媒の存在下で、炭化水素を主成分とする重質油
原料に水蒸気を添加した混合物又は水蒸気及び酸素若し
くは空気を添加した混合物を、反応温度が600〜80
0℃の範囲、反応圧力が1〜20kg/cm2の範囲、水蒸気
/炭素比(モル/原子比)が1〜10の範囲の条件で水
蒸気改質する水蒸気改質工程を有する。これにより、従
来法より低い水蒸気改質反応の反応温度で、水素と軽質
油とを高い収率で得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重質油の改質方法に関
し、更に詳細には、原料等の常圧蒸留残渣及び減圧蒸留
残渣、石炭及び石油タール或いはピッチ等の重質油を緩
やかな反応条件の下で改質して、灯油、軽油等の軽質油
と高純度の水素とを高い収率で製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】重質油の改質方法は、水蒸気改質法と部
分酸化法とに大別される。水蒸気改質法は、重質油と水
蒸気とを触媒の存在下高温で反応させ、軽質油と水素と
を得る方法である。水蒸気改質法では、触媒の活性を長
期間にわたって安定に維持する必要上、反応温度を高温
にし、ガス化率を向上させるとともに触媒上のコーク生
成を抑えている。従来、水蒸気改質法には、CaO/Al2O3
系の触媒が使用されている。部分酸化法は、重質油を構
成する炭化水素を酸素で部分燃焼し、燃焼によって得ら
れる高温の熱エネルギーと水蒸気とにより無触媒で未燃
焼の残存炭化水素を改質し、軽質油と水素とを得る方法
である。また、最近では、水蒸気改質法と部分酸化法と
を組み合わせて、軽質油と水素とを製造する、重質油の
改質方法が報告されている。
【0003】上述のように、従来の重質油改質法は、水
蒸気改質法、部分酸化法或いはこれらを組み合わせた方
法により軽質油と水素とを製造する方法であって、部分
酸化法では発生ガスはH2/CO比がほぼ50/50で
あるのに対し、水蒸気改質法では、水素リッチであり、
また、水蒸気改質法は部分酸化法に比べて単位原料当た
りから生成する水素量が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方法で
は、いずれも、触媒活性の維持のため、或いは部分燃焼
のため、反応温度を900℃以上の高温に設定する必要
がある。そのために、第1には、反応装置に高価な耐高
温性・耐腐食性材料を使用せざるを得なくなって、設備
費が嵩み、第2には、単位重質油当たりの燃料消費量が
多くなり、その分、系外に排出される炭酸ガス量も多く
なるとともに、運転費も嵩むと言う問題を有していた。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、従来
の方法より低い反応温度でしかも高い収率で軽質油と水
素とを製造できる重質油の改質方法を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
上記目的を達成するために、鋭意研究した結果、低い反
応温度でも高い活性を有する水蒸気改質触媒を開発し、
緩やかな反応条件の下で重質油を水蒸気改質することに
成功し、本発明を完成するに至った。更には、水蒸気改
質反応で生成した生成ガス中の一酸化炭素及び二酸化炭
素を水素ガスに転換すると共にかつ軽質油未転化の重質
油成分をリサイクルすることにも着目した。
【0006】以上の実験及び知見に基づき、本発明に係
る重質油の改質方法は、(イ)Ca、Mg及びBaのう
ちから選ばれた1種以上のアルカリ土類金属の酸化物と
アルミナとからなる担体にNi、Co及びMoのうちか
ら選ばれた1種以上の金属又はそれらの金属酸化物を添
加してなる触媒の存在下で、炭化水素を主成分とする重
質油原料に水蒸気を添加した混合物又は水蒸気及び酸素
若しくは空気を添加した混合物を、反応温度が600〜
800℃の範囲、反応圧力が1〜20kg/cm2の範囲、水
蒸気/炭素比(モル/原子比)が1〜10の範囲の条件
で水蒸気改質する水蒸気改質工程を有することを特徴と
している。
【0007】本発明方法の原料油は、炭化水素を主成分
とする重質油であって、原油及び分解油の常圧残渣、原
油及び分解油の減圧残査、石油又は石炭タール、石油又
は石炭ピッチ等の重質油を使用することができる。尚、
本明細書では、重質油は、API比重が5.8以下、又
は沸点が550°C 以上の油を言う。水蒸気改質工程
(イ)では、原料の重質油に水蒸気を添加して又は重質
油に水蒸気及び酸素もしくは空気等の酸素含有ガスを添
加して水蒸気改質反応を行う。これにより、メタン、エ
タン等の軽質炭化水素及び水素を主成分とする生成ガ
ス、沸点350℃以下の軽質油成分、及び沸点350℃
超の重質油成分が生成される。水蒸気改質工程におい
て、水蒸気に加えて酸素若しくは空気を重質油原料に添
加して反応させる方法は、水蒸気改質反応に加えて部分
酸化反応も起こるため、吸熱反応である水蒸気改質に必
要な反応熱を部分酸化の燃焼熱で補うことができると言
う利点を有する。この場合、添加する酸素の割合は、
0.1〜5(酸素モル/原料重質油モル)、好ましく
は、0.1〜2(酸素モル/原料重質油モル)とする。
【0008】本発明方法では、水蒸気改質触媒として、
Ca、Mg及びBaのうちから選ばれた1種以上のアル
カリ土類金属の酸化物とアルミナとからなる担体にN
i、Co及びMoのうちから選ばれた1種以上の金属又
はそれらの金属酸化物を添加してなる触媒を使用する。
本触媒の調製方法は、通常用いられる含浸法や共沈法等
の公知の方法を用いることができる。望ましくは、Mo
等の活性種金属成分を高分散で担持させるために、本発
明における触媒担体は、共沈法により作製される方が良
い。具体的には、アルカリ土類金属の硝酸塩の水溶液と
硝酸アルミニウムの水和物の水溶液とをそれぞれ別々に
調製し、両水溶液を同一容器内で撹拌しながらそれらの
混合溶液のPHを9以上にすることにより、アルミニウ
ムとアルカリ土類金属の共沈物を形成させる。得た共沈
物を洗浄・乾燥し、500℃で焼成すれば所望の担体が
得られる。さらに、この担体にMo等の活性金属種を担
持させるには、通常の含浸法を採用できる。
【0009】本発明で使用する触媒の組成は、触媒基
準、酸化物換算で、Mo等の活性種金属成分を5〜20
重量%、好ましくは8〜14重量%、アルカリ土類金属
を10〜25重量%、好ましくは12〜23重量%、ア
ルミニウムを55〜85重量%、好ましくは63〜80
重量%とするのが良い。Mo等の金属成分が5重量%よ
り少ないと改質反応活性が低くなり、20重量%を超え
ると触媒活性が飽和してしまう。アルカリ土類金属が1
0重量%より少ないと軽質留分の生成が少なくなり、逆
に25重量%を超えるとその効果が飽和してしまう。ア
ルミニウムが55重量%より少ないと、触媒担体の表面
積が低下する等の悪影響が発生し、85重量%を超える
と相対的にそれ以外の成分の含有量が低くなるので好ま
しくない。
【0010】本工程における水蒸気改質反応は、通常、
原料重質油と水蒸気及び酸素もしくは空気を圧力1〜2
0kg/cm2、好ましくは1〜5kg/cm2、温度600〜80
0℃、好ましくは650〜750℃、水蒸気/炭素比
(モル/原子比)1〜10好ましくは1.5〜5で反応
させるのが良い。反応圧力が1kg/cm2未満であれば、重
質油の通油が困難であり、20kg/cm2を超えると触媒上
にコークが生成し易くなるので好ましくない。反応温度
を600℃未満とすると、触媒の活性が現れず、800
℃を超えた高温にすると、軽質油成分の生成量が極めて
少なくなる。水蒸気/炭素比(モル/原子比)を1未満
にすると生成する水素の収率が低下する上に触媒上にコ
ークが生成し易くなる。逆に、10以上にするとコーク
抑制効果以上に過剰の水蒸気を使用することになり、不
経済である。
【0011】本発明方法の好適な実施態様は、(ロ)前
記水蒸気改質工程(イ)で得た生成物を水素及び炭素数
1〜4の炭化水素を含む生成ガスと、軽質油成分と、重
質油成分とに分離する分離工程と、(ハ)前記分離工程
(ロ)で分離した重質油成分を前記水蒸気改質工程
(イ)に循環する重質油循環工程とを有することを特徴
としている。
【0012】前段の水蒸気改質工程で得た生成物は、通
常、蒸留操作により分離される。分離工程では、生成物
をH2 、CO、CO2 及びCH4 、C2 6 等の軽質炭
化水素を主体とする生成ガス、沸点350℃以下の軽質
留分及び沸点350℃超の重質留分とに蒸留分離する。
沸点350℃以下の軽質油は、製品として抜き出され
る。一方、重質留分は、重質油循環工程によって水蒸気
改質工程に入る原料重質油の一部として原料供給ライン
にリサイクルされる。これにより、重質油原料単位当た
りの軽質油及び水素の収率が高くなる。
【0013】本発明方法の更に好適な実施態様は、
(ニ)前記分離工程(ロ)で得た生成ガスに含まれた硫
化水素を除去する硫化水素除去工程と、(ホ)前記硫化
水素除去工程(ニ)を経た生成ガスに二酸化炭素を添加
して改質触媒の存在下で改質反応させ、水素及び一酸化
炭素を含む水素含有ガスを得る二酸化炭素改質工程と、
(ヘ)前記二酸化炭素改質工程(ホ)からの水素含有ガ
スに水蒸気を添加してシフト反応触媒の存在下でシフト
反応させて該水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を二酸
化炭素と水素に転換するシフト反応工程と、(ト)前記
シフト反応工程(ヘ)を経た水素含有ガスに含まれる二
酸化炭素を分離、除去する二酸化炭素分離工程と、
(チ)前記二酸化炭素分離工程(ト)で分離した二酸化
炭素を前記二酸化炭素改質工程(ホ)に循環する二酸化
炭素循環工程とを有することを特徴としている。
【0014】硫化水素除去工程(ニ)では、分離工程で
分離された軽質炭化水素を主成分とする生成ガス中の硫
化水素をZnO吸着剤による吸着或いはMEA溶液等に
よる吸収により除去する。二酸化炭素改質工程(ホ)で
は、硫化水素除去工程を経た生成ガスに、後述する二酸
化炭素循環工程(チ)によって循環された二酸化炭素を
添加し、 Cmn+CO2 →CO+H2 (1) に示すように、改質触媒の存在下で二酸化炭素改質を行
うことにより、水素と一酸化炭素とを含む水素含有ガス
を得ることができる。
【0015】二酸化炭素改質工程の反応条件は、特に制
限はないが、二酸化炭素改質触媒の存在下において、通
常、硫化水素吸収工程からの生成ガスと二酸化炭素とを
圧力1〜15kg/cm2、好ましくは2〜6kg/cm2、温度7
00〜1000℃、好ましくは800〜1000℃で反
応させる。二酸化炭素分離工程からの二酸化炭素循環量
は、硫化水素吸収工程からの生成ガス1モルに対し1〜
5モル、好ましくは3〜4モルである。二酸化炭素改質
触媒としては、公知の触媒、例えばシリカSiO 2から
なる担体にNi、Rh、Ru等の金属を含浸法などの通
常の方法で0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜2重
量%程度担持させたものを使用する。触媒は、使用に先
立ち、500〜800℃で5〜6時間、H2 O及びH2
(H2 O/H2 =6mol/mol)により還元処理される。
また、触媒床を通過するガスの空塔速度はGHSV50
0〜20,00h-1である。
【0016】シフト反応工程(ヘ)では、二酸化炭素改
質工程からの水素含有ガスに水蒸気を添加し、シフト反
応触媒の存在下で次式(2)に示すようにシフト反応さ
せる。これにより、一酸化炭素は二酸化炭素と水素とに
変成される。 CO+H2 O→CO2 +H2 (2) 本発明方法では、二酸化炭素改質工程で生成した一酸化
炭素をシフト反応によって水素と二酸化炭素に転換する
ため、水素生成量が多くなる。しかも、生成した二酸化
炭素を分離除去して循環し、二酸化炭素改質工程で利用
するため、水素収率が高まる。
【0017】本工程におけるシフト反応の方法は特に限
られていないが、高温CO変成及び低温CO変成を順次
行う2段変成法を好適に採用できる。高温CO変成で
は、通常、圧力10〜40kg/cm2、好ましくは25〜3
5kg/cm2、温度350〜450℃、好ましくは370〜
400℃の条件でシフト反応を行い、ガス中のCO濃度
を2〜4容量%に低下させる。高温CO変成に使用され
るシフト反応触媒は、通常Fe、Crの酸化物である。
低温CO変成では、通常、圧力10〜40kg/cm2、好ま
しくは25〜35kg/cm2、温度190〜240℃、好ま
しくは200〜220℃の条件でシフト反応を行い、ガ
ス中のCO濃度を0.2〜0.5容量%まで低下させ
る。低温CO変成に使用されるシフト反応触媒は、通
常、Cu−Zn等の酸化物である。
【0018】二酸化炭素吸収工程(ト)では、シフト反
応工程で生じた二酸化炭素を生成ガスから分離除去し、
高純度の水素を含有するガスを得る。本工程における二
酸化炭素除去手段としては、通常、MEA法、熱炭酸カ
リ法等による吸収が採用される。MEA法は、モノエタ
ノールアミンの10〜20%水溶液を吸収溶剤として二
酸化炭素の吸収を行う。熱炭酸カリ法は、炭酸カリウム
を主体とした熱水溶剤を吸収剤として二酸化炭素の吸収
を行う。本工程では、一酸化炭素シフト反応工程で生じ
た二酸化炭素を濃度0.1〜0.5容量%まで除去する
ことが望ましい。また、本工程で分離除去した二酸化炭
素は、二酸化炭素改質工程(ホ)に循環される。
【0019】二酸化炭素吸収工程(ト)で二酸化炭素を
除去した水素含有ガスを更に純水素に精製するには、圧
力変動吸着法(PSA法)が好適に採用される。圧力変
動吸着法では、吸収剤に対する水素と他の不純物との物
理吸着能の差を用いて水素ガス精製を行う。通常、圧力
変動吸着法を用いたガス精製装置は4塔以上の吸着塔よ
り構成され、塔内にはモレキュラーシーブまたは活性炭
等が吸着剤として充填される。ガス中の水素以外の不純
物は、高圧下で吸着剤に吸着され、高純度の水素ガスが
得られる。
【0020】二酸化炭素循環工程(チ)では、二酸化炭
素分離工程で分離した二酸化炭素の一部を二酸化炭素改
質工程(ホ)に循環し、二酸化炭素改質反応の原料とし
て使用する。これにより、単位重質油原料当たりの水素
の収率が向上する。
【0021】
【実施例】以下、添付図面を参照し、実施例に基づいて
本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明方法を実
証するための重質油改質実験装置の概略構成を示すフロ
ーシートである。図1に示すように、重質油改質実験装
置(以下、簡単に装置と略称する)10は、水蒸気改質
触媒を充填した水蒸気改質塔12と、蒸留塔14と、硫
化水素吸収液を循環させている硫化水素吸収塔16と、
二酸化炭素改質触媒を充填した二酸化炭素改質塔18
と、シフト反応触媒を充填したシフト反応塔20と、二
酸化炭素吸収液を循環させている二酸化炭素吸収塔22
とを備えている。尚、ポンプ、圧縮機、熱交換器を含む
他の機器は、本発明方法に直接関係しないので、図示及
び説明を省略する。
【0022】原料の重質油と水蒸気との混合流れ又は重
質油と水蒸気と空気又は酸素との混合流れ(流体番号
1)は、蒸留塔14から送出された重質留分(流体番号
5)と合流した後、流体番号2となって水蒸気改質塔1
2に入る。流体番号2は、そこで水蒸気改質反応を行
い、流体番号3となって蒸留塔14に供給される。蒸留
塔14では、流体番号3は、塔頂の生成ガス(流体番号
4)と、中段から抜き出される軽質留分(流体番号6)
と、塔底の重質留分(流体番号5)とに蒸留、分離され
る。軽質留分は、中間製品として次の装置に送出され、
重質留分はリサイクルされて流体番号1に合流する。
【0023】生成ガスは、硫化水素吸収塔16に入り、
そこで生成ガス中の硫化水素が吸収液に吸収されて、生
成ガスから除去される。一方、吸収液は、分離塔(図示
せず)に入り、そこで硫化水素が分離され、流体番号7
となって系外に排出される。硫化水素が除去された生成
ガス(流体番号8)は、二酸化炭素吸収塔22からリサ
イクルされた二酸化炭素(流体番号16)と合流して流
体番号9となり、二酸化炭素改質塔18に入る。そこ
で、流体番号9は、二酸化炭素改質反応を行い、流体番
号10となって塔から出る。流体番号10は、水蒸気
(流体番号11)が添加されて流体番号12となり、シ
フト反応塔20に入り、シフト反応を行う。シフト反応
を経た流体番号13は、更に二酸化炭素吸収塔22に入
り、そこで二酸化炭素が吸収液により除去されて高純度
の水素含有ガス(流体番号14)となって送出される。
一方、吸収液は、分離塔(図示せず)に入り、そこで二
酸化炭素が分離され、流体番号15となって流出する。
二酸化炭素(流体番号15)の一部は、二酸化炭素改質
塔18にリサイクルされ、残部(流体番号17)は系外
に送出される。
【0024】本発明方法の実験例1 本実験例では、水蒸気改質触媒として使用する触媒Aを
以下のようにして調製した。先ず、95.5gのMg(N
O32 ・6H2O及び529.6gのAl(NO33 ・9H2O を
それぞれ別々の1リットルの蒸留水に溶解させて、2種
類の水溶液を調製し、両水溶液を混合撹拌しながらPH
を9以上にして共沈物を得た。その共沈物を洗浄・濾過
し、150℃で2時間乾燥する。その後、500℃で2
時間焼成して得た触媒担体90gを、10gの(HH4)6M
o7O24 ・4 H2O を500ml に溶かした水溶液中に充分
に含浸させた後、300℃で4時間乾燥を行い、触媒A
を得た。次いで、得た触媒A(MoO3/MgO-Al2O3)の27
ccを図1に示す水蒸気改質塔12(内径14mmのインコ
ネル製反応管)に充填し、またルテニウム触媒RuO2/Al2
O3の2ccを二酸化炭素改質塔18(内径15mmのインコ
ネル製反応管)に充填し、シフト反応塔20にはシフト
反応触媒の適当量を充填した。
【0025】上述のようにして触媒を充填した装置10
を以下の条件で運転して、本発明方法の効果を確認し
た。尚、硫化水素及び二酸化炭素の分離工程は、別の簡
易な装置を使用して行った。 原料重質油 :原油の減圧蒸留残渣(沸
点、550°C 以上、API比重、5.8) 水蒸気と原料の重質油中の炭素とのモル/原子比:2.
0 水蒸気改質塔の反応温度 :700℃ 水蒸気改質塔の圧力 :2kg/cm2 二酸化炭素改質塔の反応温度:900°C 二酸化炭素改質塔のGHSV:4000hr-1 二酸化炭素改質塔に入る流体番号9の炭化水素の炭素と
二酸化炭素のモル比が1:3となるように二酸化炭素を
リサイクルした。 その他の塔の運転条件 :通常の条件 装置10が定常状態になった状態で、各流体番号の試料
を採取し、反応生成ガスの分析はガスクロマトグラフィ
ーにより、液状生成物の分析は蒸留ガスクロマトグラフ
ィーによりそれぞれ試料を分析した。試料の分析値は、
各成分毎の重量流量で表示され、表1から表3に示す通
りであった。なお、表1及び表4から表8に示した原料
重質油の分解率は、次式により計算された。 分解率(%)=〔{(A)−(B)}/(A)〕×10
0 ここで、A:原料重質油中の350°C +留分の重量 B:水蒸気改質塔を出た生成物中の350°C +留分の
重量
【表1】
【表2】
【表3】
【0026】本発明方法の実験例2 触媒Aの調製において95.5gのMg(NO3)2 ・6H2Oの
代わりに、75.78gのCa(NO3)2 ・4 H2O を使用し
たこと以外は触媒調製Aと同様にして得た触媒B(MoO3
/CaO-Al2O3)を水蒸気改質触媒として用いた。次いで、
実験例1と同様にして装置10を運転し、水蒸気改質反
応塔周りの流体番号の成分分析に関し表4に示す結果を
得た。
【表4】
【0027】本発明方法の実験例3 触媒Aの調製において95.5gのMg(NO3)2 ・6H2Oの
代わりに、30.68gのBa(NO3)2 を使用したこと以
外は触媒調製Aと同様にして得た触媒C(MoO3/BaO-Al2
O3)を水蒸気改質触媒として用いた。次いで、実験例1
と同様にして装置10を運転し、水蒸気改質反応塔周り
の流体番号の成分分析に関し表5に示す結果を得た。
【表5】
【0028】本発明方法の実験例4 18gのMgO と72gのAl2O3 とを自動乳鉢で30分混
練し、得た混合物を500℃で2時間焼成して触媒担体
90gを得た。一方、10gの(NH4)6Mo7O24・4 H2O
を溶かして500mL の水溶液を作り、その水溶液中に
触媒担体90gを充分に含浸させた後、300℃で4時
間乾燥を行い、触媒D(MoO3/MgO-Al2O3)を得た。得た
触媒Dを水蒸気改質触媒として用いたこと以外は実施例
1と同様にして装置10を運転し、水蒸気改質反応塔周
りの流体番号の成分分析に関し表6に示す結果を得た。
【表6】
【0029】本発明方法の実験例5 水蒸気改質工程において、水蒸気に加えて空気を原料重
質油モルに対して等モルの比率で原料重質油に添加した
混合物を導入したこと以外は、実験例1と同様にして装
置10を運転し、水蒸気改質反応塔周りの流体番号の成
分分析に関し表7に示す結果を得た。
【表7】
【0030】従来法による比較例1 水蒸気改質触媒として従来の触媒CaO/Al2O3を用いたこ
と以外は実験例1と同様にして、装置10を運転し、水
蒸気改質反応塔周りの流体番号の成分分析に関し表8に
示す結果を得た。
【表8】
【0031】比較例2 水蒸気改質塔の反応温度を1100℃としたこと以外は
実験例1と同様にして水蒸気改質反応を行った。その結
果を表9に示す。
【表9】
【0032】実験例1から5では、水蒸気改質塔周りの
物質収支に関して、原料重質油1g当たり、約0.25
〜0.27gの軽質油と、約0.019〜0.026g
の水素を得ている。一方、従来のCaO/Al2O3触媒を水蒸
気改質触媒として使用し、反応温度を同じにした比較例
1では、原料重質油1g当たり、約0.24gの軽質油
を得ているが、水素が約0.004gでかつC1 〜C4
炭化水素及びCO、CO2 の収率が格段に低いので、結
果的には水素の収率が実験例1から5に比べて大幅に低
下すると評価できる。また、比較例2によれば、水蒸気
改質塔の反応温度が高いので、水素の収率は良くなる
が、軽質油を生成することができない。実験例4は、実
験例1から3に比べて原料重質油の分解率が低く、これ
により水素及び軽質油の収率が低下する。以上の結果か
ら、本発明方法による実験例1から4は、900°C 以
上の反応温度を必要とする従来法より低い水蒸気改質反
応温度の下で従来法に比べて水素の収率が大幅に向上
し、また軽質油の収率も比較的高い。また、実験例1
は、二酸化炭素及びC1 〜C4 炭化水素を一酸化炭素に
転換させ、一酸化炭素と水蒸気とから水素を生成するこ
とにより、更に水素の収率が向上することを実証してい
る。
【0033】
【発明の効果】請求項1に記載の本発明方法によれば、
特定の水蒸気改質触媒を使用することにより緩やかな反
応条件の下で重質油から軽質油及び水素を高い収率で製
造することができる。請求項2に記載の本発明方法によ
れば、重質油の水蒸気改質工程の反応生成物を分離し
て、未反応の重質留分を原料重質油にリサイクルするこ
とにより、単位重質油原料当たりの軽質油及び水素ガス
の生成量を高めることができる。請求項3に記載の本発
明方法によれば、第1段の水蒸気改質工程及び第2段の
二酸化炭素改質工程からなる2段改質法を採用し、二酸
化炭素及びC1 〜C4 炭化水素を一酸化炭素に転化し、
更に水蒸気と反応させて水素を生成しているので、単位
重質油原料当たりの水素ガスの生成量を更に高めること
ができる。また、水素含有ガスから分離した二酸化炭素
を第2段の二酸化炭素改質反応に循環使用することによ
り、更に水素を一層収率良く製造できるばかりでなく、
系外への二酸化炭素の排出量を削減できるという利点を
有する。請求項4に記載の本発明方法によれば、水蒸気
改質工程で使用する触媒が、共沈法により調製されてい
るので、従来の混練法に比べて活性金属種の分散性が良
く、比較的低温での触媒活性を向上している。これによ
って、第1段での水蒸気改質工程で得られる軽質油の収
率が、他の調製方法による触媒に比べて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施する重質油の改質実験装置の
構成を示すフローシートである。
【符号の説明】
10 本発明方法の重質油改質実験装置 12 水蒸気改質塔 14 蒸留塔 16 硫化水素吸収塔 18 二酸化炭素改質塔 20 シフト反応塔 22 二酸化炭素吸収塔
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/755

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)Ca、Mg及びBaのうちから選
    ばれた1種以上のアルカリ土類金属の酸化物とアルミナ
    とからなる担体にNi、Co及びMoのうちから選ばれ
    た1種以上の金属又はそれらの金属酸化物を添加してな
    る触媒の存在下で、炭化水素を主成分とする重質油原料
    に水蒸気を添加した混合物又は水蒸気及び酸素若しくは
    空気を添加した混合物を、反応温度が600〜800℃
    の範囲、反応圧力が1〜20kg/cm2の範囲、水蒸気/炭
    素比(モル/原子比)が1〜10の範囲の条件で水蒸気
    改質する水蒸気改質工程を有することを特徴とする重質
    油の改質方法。
  2. 【請求項2】 (ロ)前記水蒸気改質工程(イ)で得た
    生成物を水素及び炭素数1〜4の炭化水素を含む生成ガ
    スと、軽質油成分と、重質油成分とに分離する分離工程
    と、 (ハ)前記分離工程(ロ)で分離した重質油成分を前記
    水蒸気改質工程(イ)に循環する重質油循環工程とを有
    することを特徴とする請求項1に記載の重質油の改質方
    法。
  3. 【請求項3】 (ニ)前記分離工程(ロ)で得た生成ガ
    スに含まれた硫化水素を除去する硫化水素除去工程と、 (ホ)前記硫化水素除去工程(ニ)を経た生成ガスに二
    酸化炭素を添加して改質触媒の存在下で改質反応させ、
    水素及び一酸化炭素を含む水素含有ガスを得る二酸化炭
    素改質工程と、 (ヘ)前記二酸化炭素改質工程(ホ)からの水素含有ガ
    スに水蒸気を添加してシフト反応触媒の存在下でシフト
    反応させて該水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を二酸
    化炭素と水素に転換するシフト反応工程と、 (ト)前記シフト反応工程(ヘ)を経た水素含有ガスに
    含まれる二酸化炭素を分離、除去する二酸化炭素分離工
    程と、 (チ)前記二酸化炭素分離工程(ト)で分離した二酸化
    炭素を前記二酸化炭素改質工程(ホ)に循環する二酸化
    炭素循環工程とを有することを特徴とする請求項1又は
    2に記載の重質油の改質方法。
  4. 【請求項4】 前記触媒が、アルミニウム塩の水溶液と
    Ca、Mg及びBaのうちから選ばれた1種以上のアル
    カリ土類金属塩の水溶液とから共沈法により調製した複
    合担体に、Ni、Co及びMoのうちから選ばれた1種
    以上の金属又はそれらの金属酸化物を担持させてなる水
    蒸気改質触媒であることを特徴とする請求項1から3の
    うちのいずれか1項に記載の重質油の改質方法。
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