JPH0817637B2 - 接木ロボット - Google Patents

接木ロボット

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JPH0817637B2
JPH0817637B2 JP4165624A JP16562492A JPH0817637B2 JP H0817637 B2 JPH0817637 B2 JP H0817637B2 JP 4165624 A JP4165624 A JP 4165624A JP 16562492 A JP16562492 A JP 16562492A JP H0817637 B2 JPH0817637 B2 JP H0817637B2
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晴樹 大月
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は台木苗と穂木苗を自動的
に供給・接木する接木苗製造用ロボットに関し、特にそ
のクリップガイド機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の接木苗製造用のロボットは例えば
実開平3−27933号公報、実開平4−49935号
公報等に開示されているような装置が知られている。前
記公報記載の接木ロボットは、円盤台の外周部に放射状
に複数個設けられた苗支持孔に予め配置された台木苗お
よび同一構造の円盤台に配置された穂木苗をそれぞれ3
60度回転させながら、該円盤台に隣接して、やはり3
60度の回転をする台木処理円盤部および穂木処理円盤
部にそれぞれ突出して設けられる固定ハンドに一つずつ
各苗を受け渡し、各苗処理円盤部がそれぞれ所定角度回
転した位置で、切断装置で台木苗および穂木苗をそれぞ
れ切断し、これらの苗をさらに所定角度回転させて台木
と穂木が接合できる位置に回転搬送させ、台木と穂木を
クリップで接合する装置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来の接
木ロボットをさらに改良して、使いがっての良い接木ロ
ボットを提供することを目的とする。より詳細には、本
発明は接木ロボットのクリップ供給装置およびクリップ
接合装置のクリップガイド機構を操作性の優れたものに
することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成によって達成される。すなわち、台木苗と穂木苗を
それぞれ切断した台木苗と穂木苗をクリップ供給装置の
前面に配置したクリップ接合装置で接合する接合ロボッ
トにおいて、該クリップ接合装置は、クリップ押出具
、該クリップ押出具により押し出されるクリップの把
持部の両端を開放付勢しながらクリップの取手部の両端
をガイドする狭窄ガイドレールと、該狭窄ガイドレール
の先端に設けられるクリップ取手部の両端を開放する方
向にガイド幅を拡大するクリップ開閉具とを備え、該ク
リップ開閉具のクリップの取手部が接触する接触面を平
滑にした接木ロボットである。なお、クリップの把持部
とはクリップ先端部の苗を把持する部分であり、図13
に示すクリップ123の例では苗の茎を把持するための
クリップ先端部123bであり、クリップ取手部とは、
クリップ先端部をクリップばねの付勢力に抗して開閉す
るための基部であり、もし人間がクリップを掴んでその
先端を開くとすると、指で掴む部分であり、図13では
取手部123aで図示されている。
【0005】前記接木ロボットにおいて、そのクリップ
接合装置の狭窄ガイドレールの下方位置にクリップ開閉
具の駆動用部材を配置することができ、また、狭窄ガイ
ドレールは、その上下方向に三層の板を積層してクリッ
プ通路用の袋構造を形成し、前記いずれかの層を形成す
る一対の板にはクリップの弾性部材をガイドする溝を設
ける構成とすること、さらには、クリップ開閉具が閉じ
位置にある時に狭窄ガイドレールのクリップ通路の幅と
クリップ開閉具が閉じ位置にある時のクリップ開閉具の
対向する接触面間の幅がほぼ同一となるように構成する
ことができる。また、前記接木ロボットにおいて、クリ
ップ供給装置のクリップガイドレールにはクリップの取
手部が入る溝とクリップ把持部の端面が入る溝をそれぞ
れ設けることができる。
【0006】
【作用】本発明のクリップ接合装置のクリップ開閉具を
開く時にクリップの取手部が接触するクリップ開閉具の
接触面が平滑であるので、クリップの前進と共にクリッ
プが滑るようにして、その把持部を閉じることができ
る。こうして、クリップの把持部がスムーズに前進し
て、正確な接合位置で苗を把持することができる。
【0007】また、クリップ接合装置の狭窄ガイドレー
ル上方には穂木や台木の子葉が広がっているため、クリ
ップ開閉具の駆動用部材が子葉と干渉して苗を前方に押
し出し、クリップミスの原因とならないように狭窄ガイ
ドレールの下方位置にクリップ開閉具の駆動用部材を配
置した。
【0008】前記狭窄ガイドレールは、溝付きの三層積
層板で形成したので、その作製が容易であるだけでな
く、溝にクリップの弾性部材を嵌合させながら、滑らか
にクリップを前進させることができる。
【0009】また、クリップ開閉具を開く時、クリップ
の寸法誤差などによりクリップが回転して片側の取手部
がクリップ供給装置側のクリップ通路に引掛る場合があ
り、また、クリップ開閉具の対向する接触面間の幅が広
いと、十分なクリップ開き角が得られない。そこで本発
明では狭窄ガイドレールのクリップ通路の幅とクリップ
開閉具が閉じ位置にある時のクリップ開閉具の接触面間
の幅がほぼ同一となるように構成することができる。ま
た、クリップ供給装置のガイドレールの二つの溝により
クリップの位置規制をしながらスムーズにクリップを前
進させることができる。また、狭窄ガイドレールとクリ
ップ開閉具は別部材でできているので、苗の硬さ、柔ら
かさに応じてクリップ把持部で苗を把持する時の把持
力、把持速度などをクリップ開閉具単独の開方向の移動
速度を調整することで容易に調整することができる。
【0010】
【実施例】本発明の実施例を以下、図面と共に説明す
る。本実施例の接木ロボットの上面図を図1(天板を外
した図)に、その部分(接木部)拡大図を図2に、前面
図を図3(前面カバーを外した図)に、側面図を図4
(側面カバーを外した台木側の側面図)にそれぞれ示
す。接木ロボットはクリップフイーダ部1と接木部2か
らなり、接木部2は台木部3と穂木部5およびその中間
の接合部6からなっている。
【0011】クリップフィーダ部1のクリップボウル7
外周からクリップガイドレール9を設け、その先端部に
接木部2を隣接させる。また、台木と穂木の各々を把
持、搬送するためのそれぞれのロボットマニュピュレー
タ10、11および苗供給板13、14を接木部2の天
板15(図3)に懸架している。一枚の天板15に全て
のムーブメントを組み付けたため、寸法精度がよくな
る。また、天板15は接木ロボットのカバーと強度部材
の役割を果たしており、台木と穂木の切断カスの飛散を
防ぐ。図1の接木部2部分の拡大図を図2に示す。台木
部3は台木苗の供給装置17と台木苗の搬送装置18お
よび台木切断装置19からなり、また、穂木部5も同様
に穂木苗供給装置21、穂木搬送装置22、穂木切断装
置23からなっている。
【0012】台木苗供給装置17に人手により供給され
る台木苗は図1の矢印(イ)の方向に回転する台木搬送
装置18により台木切断装置19の位置(切断位置)ま
で搬送され、ここで、切断装置19が回転して(図4参
照)その切断刃により台木苗の子葉を一枚残して、その
他の子葉部分は切り落とされる。台木切断装置19は先
端に切断刃を取り付けた回転式カッターであり、図1の
矢印(ハ)方向に回転する。切断されて子葉一枚残した
台木は矢印(ロ)方向に搬送され、接合部2で接合装置
25により穂木と接合される。
【0013】また、同様に人手により穂木供給装置21
に供給された穂木苗は穂木搬送装置22により矢印
(ニ)方向に搬送され、切断位置で矢印(ヘ)方向に回
転する穂木切断装置23によりその胚軸部分より上の組
織を残して、一部胚軸部と根部が切り落とされる。そし
て、子葉部分を持つ穂木は矢印(ホ)方向に搬送され、
台木と接合部2において、クリップフィーダ部1から供
給されるクリップで接合され、接木操作が完了し、接木
部2の下方に落下・回収される。
【0014】次いで、台木供給装置17と搬送装置18
の説明をする。 まず、台木供給装置17について主に
図2と図3により説明する。台木苗供給板13は台木苗
胚軸径よりも大きな受け溝13aと対向する方向に開い
ている両子葉の裏面に接触する角度を持って台木を受け
取る構造からなる保持部13bからなっている。受け溝
13aの径を台木苗の子葉展開基部の径より大きくして
いるので台木苗は子葉が保持部13bに安定に保持され
る。さらに、子葉裏面に接触する角度を持って保持部1
3bが設けられているので、台木苗を供給する時に子葉
の向きを正確にセットしなくても略同一方向に苗を供給
板13上に載せる事ができる。
【0015】台木苗供給板13にセットされた台木苗は
台木搬送装置18で把持されて、切断位置と接合位置に
順次搬送される。台木搬送装置18の詳細図を図5に示
す。図5(a)は上面図であり、図5(b)は側面図で
あり、図5(c)は搬送装置先端部の下面図である。
【0016】台木搬送装置18の台木搬送用回転アクチ
ュエータ29は天板15に支持され、該アクチュエータ
29の下部には台木搬送アーム支持体30が該アクチュ
エータ回転軸31を中心に回転自在に支持されている。
台木搬送アーム支持体30には、該支持体30に支持さ
れた台木搬送アーム押出シリンダ33、該シリンダ33
に固定された台木搬送アーム34と該搬送アーム34先
端の台木把持部35(台木胚軸ハンド37と台木根固定
ハンド38と台木首吊片39と円筒ローラ41)が設け
られている。前記両ハンド37、38は台木搬送アーム
34のボックス42内に設けられたエアシリンダ(図示
せず)により台木を把持するように開閉制御される。図
5(b)のハンド37、38部分の下視図である図5
(c)に示すように台木胚軸ハンド37は台木の胚軸を
傷つけないために該ハンド37内側はゴム製となってい
る。また、台木根固定ハンド38は台木根鉢43(図5
(b))の形を崩さないために、台木根鉢43の円筒状
の側面を把持するような湾曲板でできている。
【0017】また、台木搬送アーム34には台木子葉展
開基部40(図6参照)を保持するための台木首吊片3
9と円筒ローラ41およびこれらを支持する台木首吊片
支持アーム45および台木首吊片39を水平面方向に回
転させるための前記支持アーム45下面に取り付けられ
た首吊片回転アクチュエータ46からなる台木首吊具4
7が設けられている。また、台木搬送アーム支持体30
には、穂木との接合時に前記台木首吊具47を鉛直方向
に回転させ、台木子葉を持ち上げるための台木子葉持ち
上げ用回転アクチュエータ49も設けられている。
【0018】台木苗供給板13上の台木苗のセット位置
まで押し出された台木搬送アーム34先端の台木胚軸ハ
ンド37と台木根固定ハンド38の作動エアシリンダが
作動して台木苗を把持する(図6)。このとき子葉展開
基部40はハンド37より距離をおいて上方にある。こ
れらハンド37、38の作動と同時に台木搬送アーム用
回転アクチュエータ29も作動して、前記ハンド37、
38で把持した台木苗を切断位置まで搬送する。切断位
置では前記ハンド37、38は所定時間オフとするが、
このとき、既に台木首吊片39(台木苗供給板13で苗
を受け取るときには図5(a)の破線位置にある)が図
5(a)の実線位置に来ているので、台木苗の子葉展開
基部40は首吊片39で支持された状態となる(図5
(b))。この直後に台木胚軸ハンド37と台木根固定
ハンド38が再び胚軸を把持し、台木がその胚軸方向の
設定切断位置に把持されたことになる。
【0019】この台木首吊具47は台木の子葉展開基部
40を首吊片39で支え、台木を首吊状態にして台木の
切断位置の位置決めをするものであり、同一植物では同
一品種の苗の子葉展開基部40の太さの違いが0.2〜
0.3mmの範囲内にあるので、台木首吊具47で台木
の胚軸方向の切断位置を植物の種類毎に一定とすること
ができる。
【0020】切断時には、図4に示す台木搬送用回転ア
クチュエータ29の前面側の台木切断位置上部にある台
木子葉押え50が降りてきて、図7のように子葉を押え
る。こうして、子葉は円筒ローラ41と子葉押え50で
挟み込まれて切断装置19の切断刃で容易に子葉を一枚
残した台木が得られる。また、穂木との接合時には図8
に示すように、この台木首吊具47を鉛直方向に回転さ
せ、台木に残す子葉を持ち上げ、クリップが台木胚軸を
把持できるようにする。
【0021】次に、穂木部について詳細に説明する。ま
ず、穂木部供給装置21について説明する。図2に明示
されるように穂木苗供給装置21には前面に開口した穂
木受け溝14cを形成した穂木苗供給板14が水平平面
を持つように設けられていて、この穂木受け溝14cに
人手により1本1本穂木苗の胚軸を挿入して、穂木苗を
支持させる。
【0022】穂木苗供給板14に支持された穂木苗は穂
木搬送装置22で把持されて、切断位置と接合位置に順
次搬送される。穂木搬送装置22の詳細図を図9に示
す。図9(a)は上面図(後述の穂木搬送用回転アクチ
ュエータ73の図示は省略)であり、図9(b)は側面
図である。穂木搬送装置22は穂木搬送用回転アクチュ
エータ73と該アクチュエータ73の下部の穂木搬送ア
ーム支持体75が該アクチュエータ回転軸76を中心に
回転自在に支持されている。穂木搬送アーム支持体75
には、該支持体75に支持された穂木搬送アーム押出シ
リンダ77、該シリンダ77により伸縮される穂木搬送
アーム79と該搬送アーム79先端には穂木把持部80
を構成する穂木子葉押えハンド81と穂木胚軸ハンド8
3、穂木根固定ハンド84が設けられている。前記両ハ
ンド81、83は穂木搬送アーム79先端のハンド支持
部材85内に設けられたエアシリンダ89により穂木を
把持するように開閉制御される。穂木子葉押えハンド8
1内側は穂木子葉を傷つけないためにゴム製となってい
る。穂木供給位置では穂木胚軸ハンド83のみが穂木を
支え、切断位置で穂木子葉押えハンド81が子葉を把持
して、胚軸部位の切断の邪魔にならないようにする(図
10参照)。
【0023】穂木搬送アーム79の一側面には穂木根固
定ハンド84を支持するための支持板87が固定されて
いる。穂木根固定ハンド84はこの支持板87水平位置
から垂直位置に、その固定ハンドアーム84aが回転で
きるように空気圧駆動式のロータリーアクチュエータ8
8が備え付けられている。この穂木根固定ハンド84で
穂木根近傍の胚軸を挟み込んで支持し、これを切断位置
で穂木胚軸を穂木切断装置23で切断する際には該ハン
ド84を真下方向に回転させ(図11参照)、穂木根が
邪魔にならなすようにする。このように、穂木子葉押え
ハンド81と穂木胚軸ハンド83と穂木根固定ハンド8
4等で穂木把持部が構成される。
【0024】この穂木搬送アーム79は搬送アーム押出
シリンダ77で押し出されるが、その押し出し量は押し
出量調整シム91により調整される。また、穂木搬送ア
ーム押出シリンダ77下部には裏当てガイド92が固定
されていて、穂木搬送アーム79が後退した位置に来る
と、その裏当てガイド92先端のガイド片92aが穂木
の胚軸切断時に胚軸の裏当てをする(図11参照)。裏
当てガイド92が穂木切断時にそのガイド片92aによ
る胚軸の裏当て支持によりカッタによる切断が確実に行
える。なお、穂木切断装置の回転方向は図1、図11に
示す通りであり、台木切断装置19とは逆方向に回転さ
せる。その理由は台木切断時には子葉一枚を胚軸に残し
た状態で切断するのには胚軸側から子葉側に切断したほ
うが有利であるのに対して、穂木の胚軸の切断は裏当て
ガイド92先端のガイド片92aの押えを効かすため
と、胚軸が切断されてできるその先端の鋭角部の形が崩
れないようにするためである。
【0025】次に切断装置を図12により説明する。な
お、切断装置は台木部3、穂木部5にそれぞれ設けられ
ているが、両方に共通する機構からなるものである。図
12には台木部3側の切断装置を示す。図12(a)は
その上面図(接木ロボット上面から見た方向)であり、
図12(b)は図12(a)の矢印A方向(接木ロボッ
トの穂木部側の側壁側から見た方向)から見た側面図で
ある。カッタ駆動用モータ111は鉛直方向に向いた支
柱112に支持されていて、そのモータ111の回転軸
113にカッタアーム115が取り付けられている。こ
のカッタアーム115の先端に該アーム115と直交す
る方向に設けられた切断刃支持片116に切断刃117
が取り付けられている。カッタアーム115への切断刃
支持片116の取り付け位置はカッタアーム115に設
けられた調整ネジ119等の調整具で行う。また、カッ
タ駆動用モータ111の取り付け高さの調整は支柱11
2に設けられた調整ネジ120等の調整具で行う。
【0026】また、カッタアーム115には胚軸の切断
の邪魔にならないように、切断刃117が胚軸に当たる
前に切断刃117の回転軌跡内にある苗の子葉(切り落
とす子葉)を持ち上げるための子葉持ち上げガイド12
2が設けられている。なお、図2に示す穂木部の穂木切
断装置23は切断刃117が支柱112と同一鉛直面上
に来た状態を示している。
【0027】次にクリップ供給装置とクリップ接合装置
について図13〜15に示す。図1に示すようにクリッ
プ供給装置のクリップフィーダ部1はクリップボウル7
の内面に沿って螺旋状の上昇路を持つ振動型のパーツフ
ィーダ(振動システムNB−300:(株)モートロ
ン)にクリップ123(図13、図14、15参照)の
取手部123aの両端部をガイドする溝を形成した振動
トラフからなるクリップガイドレール9を接続して、そ
のガイドレール先端は接木部2に臨むクリップ掛け装置
124が接続している。
【0028】図13にはクリップガイドレール9に接続
するクリッブ掛け装置124(=クリップ接合装置2
5)の要部上面図を示し、図14、15にはその側面図
を示す。図13に示すように、このガイドレール9の先
端は接木部2の台木と穂木の接合部の直前で前記クリッ
プ123の取手部123aの両端部のガイド間隔を狭
め、クリップ123の把持部123bを開放するための
狭窄ガイドレール125が接続している。ここで把持部
123bを開放した状態で前進したクリップ123(図
13(a))が台木と穂木の接合位置に来ると、クリッ
プ開閉具126がクリップ123の取手部123aの付
勢を開放する方向に移動して(図13(b))、把持部
123bにより台木と穂木を接合状態に保つ。
【0029】クリップ123の前進は図14、15に示
す手順で次のようにして行われる。まず、クリップフィ
ーダ部1からガイドレール9を経て供給されるクリップ
123は狭窄ガイドレール125(図13の平面図参
照)の基部の位置にくると(図14(a))、クリップ
押出シリンダ127が作動開始して、このシリンダ12
の先端に固定支持されている金属製の弾性変形可能な
帯状体からなるクリップ押出具128が前進し、クリッ
プ押出具128の側面から見てレの字状の折れ曲り部の
先端の平面がクリップ123の取手部123aの肩を押
すことで、クリップ123を狭窄ガイドレール125に
乗せる(図14(b))。このときクリップ123の取
手部123aが狭窄ガイドレール125の狭い間を強制
的に押されるのでクリップ123の把持部123bが開
放するが(図13(a)参照)、この段階でクリップ開
閉具126が図13(b)のようにクリップ123の取
手部123aの両側からの押さえを開放するように作動
するのでクリップ123の把持部123bは接木を締め
付けることができ、同時に取手部123aの肩を押し続
けているクリップ押出具128が前進して、接木をクリ
ップ123と共に地面に向けて落下させる(図14
(a))。クリップ押出具128の先端は図示のように
クリップ把持部123bの上方コーナと同一形状とし、
しかもこの先端部から基部にかけて傾斜した側面視でレ
の字形状をしており、弾性変形が容易な金属製の帯状体
であるので、クリップ押出シリンダ127の後退時に
は、次に狭窄ガイドレール125に供給されるべく待機
中のクリップ123のクリップ把持部123bにクリッ
プ押出具128の傾斜部が当たり、クリップ押出具12
8の後退につれて、その傾斜部が変形して、クリップ把
持部123bを乗り越えることができる(図14
(b))。なお、クリップ掛け装置124の上方にはク
リップの有無を検知するセンサ129が設けられてい
て、クリップ123が供給されなくなると、自動的に動
作停止するようになっている。
【0030】ここで、クリップ123の取手部123a
が接触するクリップ開閉具126の接触面126aを平
滑にし、苗の接合時に合わせて、クリップ123を閉じ
る際にクリップ123の取手部123aがクリップ開閉
具126の平滑接触面上126aを滑るようにしてクリ
ップ123を閉じるようにした。もし、クリップ開閉具
126とクリップ取手部123aとの接触箇所が固定さ
れるような状態でクリップ開閉具126を開くと、クリ
ップ123の把持部123bが苗の接合位置より後退し
てしまうことがあるが、本実施例ではクリップ把持部1
26bの後部をクリップ押出具128が押さえているた
め、クリップ把持部123bがクリップ開閉具接触平面
126aをスムーズに前進して、正確な苗の接合位置で
その把持部123bを閉じることができるようになる。
【0031】このとき、図16に示すようにクリップ開
閉具126の接触面126a間の幅が狭いと、クリップ
開閉具126を開く時、クリップ123の寸法誤差など
によりクリップ123が回転して片側の取手部123a
がクリップフィーダ部1側のクリップ通路に引掛る場合
がある。また、クリップ開閉具126の接触面126a
間の幅が広いと、十分なクリップ開き角が得られない。
そこで、本実施例ではクリップ開閉具126が閉じた時
に固定トラフであるクリップ掛け装置124の狭窄ガイ
ドレール125のクリップ通路の幅とクリップ開閉具1
26の対向する接触面126a間の幅を図13(a)に
示すようにクリップ開閉具126が閉じた時にほぼ同一
となるように配置してある。狭窄ガイドレール125の
クリップ通路と接触面126aとが面一、あるいは前記
両者間の幅が広い場合は、クリップ123が回転しても
狭窄ガイドレール側壁面125c(図16)に当たるた
め、クリップ通路に取手部123aが入り込むことは防
げる。
【0032】狭窄ガイドレール125の後端位置が待機
中のクリップ123の把持部123bの前端123b−
2の近傍にあると、振動トラフであるクリップフィーダ
部1のガイドレール9が振動した時に狭窄ガイドレール
125との間にできる隙間にクリップ123が脱落し
て、噛み込んでしまうおそれがある。そこで狭窄ガイド
レール125のガイドレール9側の端部125aが待機
中のクリップ123の把持部123bの後端123b−
1近傍に配置されるように構成する。このとき、待機中
のクリップ123はクリップ開閉具126に当接してい
るものに続く二番目または三番目のクリップ123であ
ることが狭窄ガイドレール(固定トラフ)125の大き
さから望ましいものである。
【0033】また、図14、15に示すように、狭窄ガ
イドレール125の上側は穂木や台木の子葉が広がって
いるため、その上側にクリップ開閉具126の駆動用シ
リンダ126bを配置すると子葉と干渉して苗を前方に
押し出し、クリップミスの原因となるため、本実施例で
は前記駆動用シリンダ126bを、狭窄ガイドレール1
25の下側に配置してある。
【0034】また、図13のS−S線断面図を図17に
示すように、狭窄ガイドレール125は上下方向に三層
の板125e、f、gを積層した構造としているので、
一体構造によりクリップ通路用の袋構造を形成する加工
に比べて簡単に作製できる。すなわち、一対の中間層の
板125fの間隔を他の板125e、125gより幅広
にすることで、容易に前記袋構造を形成することができ
る。そして、クリップ123をガイドする通路に平行
に、クリップ123のスプリング123cが入る幅の溝
125bをその中間層の板125fにより形成する。こ
の溝125bにスプリング123cを嵌合させ、クリッ
プ123を押す際に、その上下方向の移動を規制できる
ため、滑らかにクリップ123を送ることが可能となっ
た。
【0035】また、図14に示すように狭窄ガイドレー
ル125先端部において、上層板125eが下層板12
5gよりも短くなるように積層している。これは台木の
接合部の上半分の位置で、すでに子葉部が広がってお
り、もし、上層板125eがクリップ123を支える下
層板125gと同じ長さであると、台木子葉と上層板1
25eが干渉して、台木の接合部位を前に押し出すこと
になり、クリップミスの原因となるおそれがあるためで
ある。
【0036】また、狭窄ガイドレール125の底面に把
持部123bの後端面が引っ掛かりる段部125h(図
15参照)を設け、一旦押し出されたクリップが後退し
ないようにする。また、この段部125hにクリップ把
持部123bの後端面が当接した状態になると、クリッ
プ取手部123aはクリップ押し出し方向側に該端部1
23aに沿ったクリップ進行防止用の壁125i(図1
3参照)にも接触することになる。そして、この段部1
25hと壁125iにより前方のクリップ123の苗把
持が終わるまで、次のクリップ123を待機させておく
ことができる。取手部123aに沿ったクリップ進行防
止用の壁125iはクリップ123の押し出しの際、ス
ムーズに把持部123bを開くガイドとしても機能す
る。
【0037】また、クリップ123の待機位置を決める
クリップ進行防止用の壁125iから前方に向かって、
クリップ把持部123bを開けたときの該把持部123
b先端と取手部123aの後端を結ぶ線に平行になるよ
うにクリップ通路を設けているので、クリップ123の
待機位置から押して出すだけで、平行のクリップ通路で
クリップ把持部123bが口を開け、苗の接合態勢に入
れる。
【0038】クリップを送り出す振動トラフクリップガ
イドレール9の側面両側にも図13のD−D線断面図で
ある図18に示すようにクリップ123の取手部123
aが入る溝9bを設け、また、クリップガイドレール9
の底面にもクリップ把持部123bの端面が入る溝9c
を設け、整列したクリップ123を直進させる際に、ク
リップ123が回転すること等により進路を外れるのを
防ぐ。溝9cはクリップ取手部123aとスプリング1
23cを支えてクリップ123が傾かないので、送り途
中での引掛かりなどを防止できる。なお、クリップガイ
ドレール9を三層の板を積層状にすると容易に溝9b、
9cが作製できる。
【0039】クリップガイドレール9の先端には、クリ
ップ掛け装置124の狭窄ガイドレール125側に入り
込むようにツノ9a(図13)を設けているので、クリ
ップ123をガイドレール9で送ってきて、狭窄ガイド
レール125側に渡す際、振動トラフの摺動により生じ
る両ガイドレールの間の隙間にクリップ取手部123a
が噛み込むのを防ぐことができる。
【0040】次に本実施例の接木ロボットの作動の手順
を説明する。まず、接木ロボットの作動シーケンスを図
19を用いて説明する。台木苗供給板13にセットされ
た台木苗を押し出された台木搬送アーム34の先端の台
木胚軸ハンド37と台木根固定ハンド38でつかみ、こ
れを90度回転搬送させ、この間に台木の子葉展開基部
50を首吊片で支持しながら台木を首吊状態にした後、
台木胚軸ハンド37と台木根固定ハンド38で台木を持
ち換えて、切断位置で子葉を一枚残して、その他の子葉
部分を切断する。
【0041】また、この台木苗の供給位置から切断位置
への搬送と同時に穂木苗供給板14にセットされた穂木
も押し出された穂木搬送アーム79先端の穂木子葉押え
ハンド81と穂木胚軸ハンド83と穂木根固定ハンド8
4で把持して、切断位置に搬送する。ここで胚軸を切断
しやすいように、穂木根を根固定ハンド84で切断刃の
軌跡の外に固定する。それぞれ切断された台木と穂木は
接合位置まで90度回転搬送され、ここでクリップ12
3により接合される。このときの台木に残された子葉と
穂木の対向する方向にある一対の子葉とは直交する方向
に接合される。そして台木搬送アーム34と穂木搬送ア
ーム79は初期位置である台木供給位置および穂木供給
位置に180度逆回転して戻る。
【0042】このとき本実施例の切断装置19、23は
切断刃117を回転させて使用する機械であるので、次
のような安全装置を持っている。まず、フットスイッチ
(図示せず)を台木側と穂木側に設けておく。こうして
台木苗と穂木苗はそれぞれ別人により各々の供給板1
3、14にセットする必要があり、二人のうちのいずれ
かの者がロボットを停止させたいときに、随時ロボット
を停止させることができる。また、接木ロボットの接木
部2前面は安全カバー(図示せず)で覆われているの
で、この安全カバーが開かれるとロボットが停止する。
さらに、クリップ123がなくなったことをクリップ有
無センサ129(図14、15)が検知すると、台木と
穂木の接木ができなくなるので、この場合も停止する。
ただし、この場合はクリップ123がセットされると、
リセットスイッチで作業が続行される。クリップ123
がなくなったとき以外に接木ロボットが停止した場合
は、接木ロボットの作業は最初からやり直す。なお、本
発明の接木ロボットの台木部、穂木部のタイムチャート
等については本出願人の特許出願(特願平4−1615
12号)に開示した通りである。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、クリップ接合装置のク
リップ開閉具を開く時にクリップの取手部が接触するク
リップ開閉具の接触面が平滑であるので、クリップの前
進と共にクリップが滑るようにして、その把持部を閉じ
ることができる。こうして、クリップの把持部がスムー
ズに前進して、正確な接合位置で苗を把持することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の接木ロボットの上面図で
ある。
【図2】 本発明の一実施例の接木ロボットの接木部の
上面図である。
【図3】 本発明の一実施例の接木ロボットの接木部の
前面図である。
【図4】 本発明の一実施例の接木ロボットの接木部の
側面図である。
【図5】 本発明の一実施例の接木ロボットの台木搬送
装置の図である。
【図6】 本発明の一実施例の接木ロボットの台木の供
給装置から受け取った状態の台木搬送装置の図である。
【図7】 本発明の一実施例の接木ロボットの台木切断
時の台木搬送装置付近の図である。
【図8】 本発明の一実施例の接木ロボットの苗の接合
時の台木搬送装置の図である。
【図9】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木搬送
装置の図である。
【図10】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木苗
切断前の穂木搬送装置の図である。
【図11】 本発明の一実施例の接木ロボットの穂木切
断時の穂木搬送装置付近の図である。
【図12】 本発明の一実施例の接木ロボットの切断装
置の図である。
【図13】 本発明の一実施例の接木ロボットのクリッ
プ掛け装置の上面図である。
【図14】 本発明の一実施例の接木ロボットのクリッ
プ掛け装置の側面図である。
【図15】 本発明の一実施例の接木ロボットのクリッ
プ掛け装置の側面図である。
【図16】 本発明の一実施例の接木ロボットのクリッ
プ掛け装置のクリップ開閉具の接触面間の幅が狭い場合
に生じる不具合を示す図である。
【図17】 本発明の一実施例の接木ロボットのクリッ
プ掛け装置の狭窄ガイドレールの断面図である。
【図18】 本発明の一実施例の接木ロボットのクリッ
プフィーダのガイドレールの断面図である。
【図19】 本発明の一実施例の接木ロボットの作動シ
ーケンスを示す図である。
【符号の説明】
1…クリップフィーダ部、2…接木部、3…台木部、5
…穂木部、6…接合部、9…クリップガイドレール、1
0…台木ロボットマニュピュレータ、11…穂木ロボッ
トマニュピュレータ、13…台木供給板、14…穂木供
給板、15…天板、18…台木搬送装置、19…台木切
断装置、22…穂木搬送装置、23…穂木切断装置、2
5…クリップ接合装置、29…台木搬送用回転アクチュ
エータ、33…台木搬送アーム押出シリンダ、34…台
木搬送アーム、35…台木把持部、37…台木胚軸ハン
ド、38…台木根固定ハンド、39…台木首吊片、41
…円筒ローラ、47…首吊具、49…子葉持ち上げ用回
転アクチュエータ、50…台木子葉押え、73…穂木搬
送用回転アクチュエータ、77…穂木搬送アーム押出シ
リンダ、79…穂木搬送アーム、80…穂木把持部、8
1…穂木子葉押えハンド、83…穂木胚軸ハンド、84
…穂木根固定ハンド、92…裏当てガイド、96…開口
部、117…切断刃、123…クリップ、124…クリ
ップ掛け装置、125…狭窄ガイドレール、126…ク
リップ開閉具、127…クリップ押し出しシリンダ、1
28…クリップ押し出し具

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台木苗と穂木苗をそれぞれ切断した台木
    苗と穂木苗をクリップ供給装置の前面に配置したクリッ
    プ接合装置で接合する接合ロボットにおいて、 該クリップ接合装置は、クリップ押出具と、該クリップ
    押出具により押し出されるクリップの把持部の両端を開
    放付勢しながらクリップの取手部の両端をガイドする狭
    窄ガイドレールと、該狭窄ガイドレールとは別体であ
    り、かつ前記狭窄ガイドレールの先端に設けられるクリ
    ップ取手部の両端を開放する方向にガイド幅を拡大する
    クリップ開閉具とを備え、該クリップ開閉具のクリップ
    の取手部が接触する接触面を平滑にしたことを特徴とす
    る接木ロボット。
  2. 【請求項2】 クリップ接合装置の狭窄ガイドレールの
    下方位置にクリップ開閉具の駆動用部材を配置したこと
    を特徴とする請求項1記載の接木ロボット。
  3. 【請求項3】 狭窄ガイドレールは、その上下方向に三
    層の板を積層してクリップ通路用の袋構造を形成し、前
    記いずれかの層を形成する一対の板にはクリップの弾性
    部材をガイドする溝を設けたことを特徴とする請求項1
    記載の接木ロボット。
  4. 【請求項4】 クリップ開閉具が閉じ位置にある時に狭
    窄ガイドレールのクリップ通路の幅とクリップ開閉具が
    閉じ位置にある時のクリップ開閉具の対向する接触面間
    の幅がほぼ同一となるように構成したことを特徴とする
    請求項1記載の接木ロボット。
  5. 【請求項5】 クリップ供給装置のクリップガイドレー
    ルにはクリップの取手部が入る溝とクリップ把持部の端
    面が入る溝をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1
    記載の接木ロボット。
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