JPH08174690A - 繊維強化樹脂製フランジ付管状体及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂製フランジ付管状体及びその製造方法

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JPH08174690A
JPH08174690A JP6318853A JP31885394A JPH08174690A JP H08174690 A JPH08174690 A JP H08174690A JP 6318853 A JP6318853 A JP 6318853A JP 31885394 A JP31885394 A JP 31885394A JP H08174690 A JPH08174690 A JP H08174690A
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JP
Japan
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flange
fiber
frp
pipe
flange portion
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JP6318853A
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Inventor
Nobuhiro Goto
信弘 後藤
Hirohide Nakagawa
裕英 中川
Kimitoku Takao
公徳 高尾
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】FRP管本体部内面へのウィ−ピング発生防止
手段の付加等によりFRP管の使用内圧を高くする場
合、管のフランジ部接合部に作用する力に対し、フラン
ジ部と管本体部との境界近傍での繊維の補強効果を一層
に高め、管全体としての耐内圧性を満足に向上できるF
RP製フランジ部付管状体及びその製造方法を提供す
る。 【構成】管本体部の端部にフランジ部を有し、管本体部
並びにフランジ部がフィラメントワインディング法によ
る繊維強化樹脂製であり、一方向繊維材管本体部強化繊
維構造を一方向繊維aにより形成し、フランジ部の強化
繊維構造を一方向繊維材aとランダム方向繊維材b(例
えば、チヨップドストランドテ−プ、ロ−ビングクロス
テ−プ、すだれ状編みテ−プ、コンティニアステ−プ
等)を使用との共巻きにより形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維強化樹脂製フランジ
付管状体、例えば、繊維強化樹脂製フランジ付管継手及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】繊維強化樹脂(以下、FRPと称する)
製管をフランジ接合する場合、フランジ部をFRP製と
すれば、例えば、ボルトの締め付け力に対するフランジ
部のクリ−プをよく防止でき、ボルトの締め付け力を長
期にわたって安定に保持でき、安全である。
【0003】従来、FRP製フランジ付のFRP管とし
て、FRP製フランジ部材を別途製作し、このFRP製
フランジ部材をFRP管に接着したものが公知であり
(例えば、特公平2−29916号公報)、このFRP
製フランジ部材のFRP管への接着は、例えば、FRP
製フランジ部材とFRP管との間に接着剤を注入するこ
とによって行われる。
【0004】また、FRP製フランジ付のFRP管とし
て、FRP管の端部にフランジ形成用の2枚の型板を定
着し、これらの型板間を埋めるようにして硬化性樹脂含
浸繊維材を巻回し、この巻回体の樹脂を硬化後、型板を
脱型したもの(例えば、特開平2−300592号公
報)が公知であり、この場合、FRPフランジ部とFR
P管本体部との接着強化を図るための一般的な手段して
は、FRP管の端部を研磨加工により粗面化することが
知られている。
【0005】FRP製管状体を、高圧下、特に脈動負荷
条件下で使用すると、例えば、水道管の管継手として使
用すると、内部の水が発汗状に漏水する現象、すなわち
ウィ−ピング現象が発生し、このウィ−ピング現象によ
って管の使用内圧が制限されることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のFRP製フラン
ジ付のFRP管においては、通常、使用内圧がFRP管
本体部のウィ−ピングで定まってしまい、かかる内圧下
ではフランジ部の破壊が問題となることはなかった。
【0007】しかしながら、FRP管本体部にウィ−ピ
ング発生防止手段を付加する場合は(ウィ−ピング現象
は、管本体部の受口内面に、管挿口先端の接触やゴムリ
ング、抜け止めリングの緊圧によりマイクロクラックが
発生し、管内圧下、このマイクロクラックを起点とし
て、樹脂と繊維との界面の剥離が成長していく結果であ
り、管本体部の受口内面に硬質の合成樹脂成形体を固着
することにより、防止できる)、使用内圧の増大の結
果、フランジ部に作用する曲げモ−メントに基づく引張
り応力や剪断力の増大により、フランジ部に破壊が生じ
易くなる。
【0008】而るに、上記した前者の公知例(例えば、
特公平2−29916号公報)においては、接着剤注入
時での気泡の抱込み、または、接着剤の硬化収縮等によ
る残留応力の発生等があり、また、後者の公知例(例え
ば、特開平2−300592号公報)においては、強化
繊維の研削によるFRP管本体部の補強効果の実質上の
低下が懸念され、更に、何れの公知例においても、管本
体部が既に硬化を終了していて、管本体部とフランジ部
とが所謂2次接着により結合されているから、その結合
に高分子鎖の絡み合いによる相互拡散的結合を期待し難
く、管本体部とフランジ部との強力一体化に限界があ
る。
【0009】そこで、本発明者等においては、フィラメ
ントワインディングにより未硬化の管本体部を形成し、
この未硬化の管本体部の端部上に共通のフィラメントワ
インディングにより未硬化のフランジ部を形成し、次い
で、加熱により管本体部とフランジ部とを同時に硬化さ
せて一体化することを既に提案した。
【0010】ところで、上記フランジ部付管状体におけ
る管内圧力の増大下でのフランジ部の破壊は、破壊力学
上、応力集中の最も著しいフランジ部つけ根箇所(フラ
ンジ部と管本体部との境界)近傍と推定される。この破
壊時での、フランジ部と管本体部との境界近傍での応力
分布は複雑であり、その境界近傍における各点での応力
方向は、一方向ではなくまちまちである。而るに、FR
Pの補強効果は、引張り応力の方向と繊維の方向との差
が少ないほど、効果的に発揮させ得る。しかしながら、
上記提案に係るFRP製フランジ部付管状体において
は、フランジ部と管本体部との間の境界面での引張り応
力の方向がばばらであるにもかかわらず、当該境界面で
の繊維の方向が同じ向きであって、当該境界における繊
維方向と応力方向の不一致性が全体として著しく、当該
境界でFRPの補強効果が効果的に発揮されるとはいい
難い。
【0011】本発明の目的は、FRP管本体部内面への
ウィ−ピング発生防止手段の付加等によりFRP管の使
用内圧を高くする場合、管のフランジ部接合部に作用す
る力に対し、フランジ部と管本体部との境界近傍での繊
維の補強効果を一層に高め、管全体としての耐内圧性を
満足に向上できるFRP製フランジ部付管状体及びその
製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る繊維強化樹
脂製フランジ付管状体は、管本体部の端部にフランジ部
を有し、管本体部並びにフランジ部がフィラメントワイ
ンディング法による繊維強化樹脂製であり、フランジ部
の強化繊維構造が一方向繊維材とランダム方向繊維材と
の共巻きにより形成されていることを特徴とする構成で
ある。
【0013】本発明に係る繊維強化樹脂製フランジ付管
状体の製造方法は、管本体部の端部にフランジ部を有す
る繊維強化樹脂管状体の管本体部並びにフランジ部をフ
ィラメントワインディング法により一体形成する繊維強
化樹脂製フランジ部付管状体の製造方法であって、硬化
性樹脂含浸一方向繊維材の巻回により未硬化の管本体部
を形成し、更に、硬化性樹脂含浸一方向繊維材とランダ
ム方向繊維材との共巻により未硬化のフランジ部を形成
し、而るのち、上記未硬化の管本体部とフランジ部とを
同時に硬化させることを特徴とする構成である。
【0014】以下、本発明の構成を図面を参照しつつ説
明する。図1は本発明に係る繊維強化樹脂製フランジ付
管状体の製造方法において使用する通常のフィラメント
ワインディング(以下、フィラメントワインディングと
称する)装置の概略を示し、繊維材がボビン11から引
き出され、この繊維材に樹脂含浸槽12において硬化性
樹脂が含浸され、この硬化性樹脂含浸繊維材がフィ−ド
アイ13を経て回転中のマンドレル1に巻回積層されて
いく。
【0015】上記フィ−ドアイ13においては、図2に
示すように、製品であるFRP製のフランジ付管に応じ
て、硬化性樹脂含浸繊維材を所定の巻き付け角度並びに
積層層数で巻回し得るように、マンドレル1の回転軸に
平行なX軸方向の正逆走行、このX軸に対するY軸方向
の正逆走行、更にZ軸方向の正逆走行、Z軸に垂直な面
での正逆回転(U運動)並びにY軸に垂直な面での正逆
回転(V運動)等が可能とされている。これらの走行・
回転の制御には、コンピュ−タを使用することが好まし
い。
【0016】図3は本発明に係る繊維強化樹脂製フラン
ジ付管状体の一例としてのFRP製のフランジ付管継手
を示している。図3において、21はFRP製の継手本
体部である。20は受口内面に固着したウィ−ピング防
止用成形体であり、ゴムリング装着溝並びに抜け止めリ
ング装着溝を備えている。22は継手本体部21の後端
に設けたFRP製のフランジ部である。
【0017】このフランジ付管継手による管の接続にお
いては、図4に示すように、一端にフランジ31を有す
る管32、例えば、水道管用鋳鉄管の一端に当該管継手
2のフランジ部22がパッキング33を介してボルト3
4で連結され、当該管継手2の受口に水道管用FRP管
35がゴムリング36並びに抜け止めリング37を介し
差し込み方式により接続される。この場合、ウィ−ピン
グ防止用成形体20は、管継手2のFRP面への抜け止
めリング37、ゴムリング36、水道管用FRP管先端
351等の直接接触によるFRPのマイクロクラックを
阻止し、かつ成形体20自体の優れた水密性によって管
継手2のウィ−ピング現象を防止し、使用内圧の高圧化
を可能にしている。
【0018】本発明に係るFRP製フランジ部付管状体
の方法により、図3に示すFRP製フランジ付管継手を
製造するには、まず、図5の(イ)に示すように、フィ
ラメントワインディング装置のマンドレル1(一端に鍔
板15を有し、その一端においてマンドレル回転軸11
1に取り付けられている)の他端側にウィ−ピング防止
用成形体20をスペ−サ41を介して支着し、更に、繊
維係止用治具42を取付る。ついで、同上フィラメント
ワインディング装置において、ボビンより一方向繊維材
を引き出し、この繊維材を樹脂含浸槽に通して硬化性樹
脂の含浸を行い、図5の(ロ)に示すように、この硬化
性樹脂含浸一方向繊維材aをフィ−ドアイ13の少なく
ともX軸方向のトラバ−ス走行のもとで回転中のマンド
レル1に巻回し、各繊維係止用治具42のピンへの引っ
掛けにより巻き返しを行って、所定の巻き付け角度、所
定の積層層数で巻回積層して、未硬化の管継手本体部2
10を形成していく。
【0019】そして、この形成の最終段階において、硬
化性樹脂含浸一方向繊維材aが未硬化管継手本体部21
0の後端側(鍔板15)に到来したときに、一旦、マン
ドレル1の回転を停止し、図5の(ハ)に示すように、
フランジ形成用型板51のア−ム52をマンドレルの先
端側突出部112に固定して、フィ−ドアイ13を経た
硬化性樹脂含浸一方向繊維材aの管継手本体部近傍部分
を型板51と鍔板15との間に挾んで、型板51を管継
手本体部210の後端側に定着する。
【0020】また、マンドレル1の鍔板15の近傍にラ
ンダム方向繊維材供給ボビン6を、そのボビン軸とマン
ドレル軸とを並行にして配設し、該ボビン6からランダ
ム方向繊維材bを適当な長さだけ引出し、その先端を上
記硬化性樹脂含浸一方向繊維材aに、例えば、その未硬
化樹脂の粘着力によって絡み合わせ、接着しておく。
【0021】このようにして、フランジ形成用型板51
を定着し、ランダム方向繊維材bを用意した後は、マン
ドレル1の回転を再開し、型板51と鍔板15との間に
硬化性樹脂含浸一方向繊維材aとランダム方向繊維材b
とを同時巻回により共巻し、未硬化のフランジ部を形成
していく。この形成においては、硬化性樹脂含浸一方向
繊維材aの含浸樹脂の一部がランダム方向繊維材bに移
行し、フランジ部全体の樹脂の含浸状態が充分に一様化
される結果、図6に示すように一方向繊維材a’とラン
ダム方向繊維材bとが交互に積層された未硬化のFRP
製フランジ部が形成される。
【0022】未硬化フランジ部を形成すれば、型板51
を離型のうえ、未硬化の半製品をマンドレル1と共に加
熱炉に搬入し、樹脂を硬化させ、この硬化体内面にウィ
−ピング防止用成形体20を固着させたままで、マンド
レル1を脱型し、硬化体先端側のトリミングを行い、こ
れにて、FRP製のフランジ付管継手の製造を終了す
る。
【0023】上記FRP製フランジ付管におけるフラン
ジ部の外径は、ボルト締結が可能なように、通常、フラ
ンジ箇所の管本体部の内径の1.1〜1.7倍とされ
る。上記において、管本体部形成のための繊維材の巻き
付け角は、通常、±300〜±750とされ、フランジ部
形成のための繊維材の巻き付け角は、通常、ほぼ900
とされる。管本体部形成のための硬化性樹脂含浸一方向
繊維材の巻き付けにおいては、フィ−ドアイをY軸に垂
直な面内で正逆方向に傾けることが好ましく、例えば、
巻き付け角が±300(マンドレルの回転軸の方向を基
準とし、反時計回りの方向を+とする)の場合、±60
0の範囲で傾けることが好ましい。
【0024】上記において、フランジ成形用型板51の
定着及び脱出については、操作の簡易上、マンドレルの
他端側(マンドレル回転軸111に取付けられない側)
外部からの水平前進並びに後退移動により行われている
が、上下2つ割りにして上下より定着及び脱出させるこ
と、マンドレル回転軸側からの水平前進並びに後退移動
により定着及び脱出させることも可能である。
【0025】上記において、ランダム方向繊維材に対し
ても樹脂含浸槽を設け、ランダム方向繊維材をこの樹脂
含浸槽に通し、硬化性樹脂含浸ランダム方向繊維材を硬
化性樹脂含浸一方向繊維材と共巻して未硬化のフランジ
部を形成することもできる。
【0026】上記においては、未硬化フランジ部形成
後、型板を離型したうえで硬化を行っているが、硬化終
了後に型板を離型することもできる(ただし、後者の場
合、樹脂に低収縮化剤を混入すると、硬化後のフランジ
部に白化が生じ易い)。
【0027】本発明において、一方向繊維材(一方向に
のみ強度を呈する)には、通常、束状繊維(ロ−ビン
グ)が使用される。本発明において、ランダム方向繊維
材、すなわち、多方向に強度を呈する多方向繊維材とし
ては、チヨップドストランドテ−プ(チヨップドストラ
ンドマットに対し、一段と巾を狭くしたもの)を使用す
ることが好ましいが、ロ−ビングクロステ−プ、すだれ
状編みテ−プ、コンティニアステ−プ等を使用すること
も可能である。
【0028】これらの繊維材の材質としては、ガラス繊
維、炭素繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ポリエチレ
ンテレフタレ−ト繊維等の有機繊維が挙げられる。本発
明において、硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノ−ル
樹脂等を使用でき、低収縮化剤を添加することが好まし
い。熱硬化性樹脂の他、紫外線照射により硬化される光
硬化型樹脂の使用も可能である。
【0029】上記したウィ−ピング防止用成形体20に
は、真空成形法(プラスチックプレ−ト原反を真空成形
金型を使用して、加熱下で減圧吸引成形し、成形品の端
面をカットする)、ブロ−成形法(押出機からのバリソ
ンを膨張させてブロ−成形型で成形し、成形品の端面を
カットする)または射出成形法等で成形したものを使用
できるが、管挿口の管受口への挿入上の寸法精度を保障
するために、内径寸法精度に優れた射出成形法または真
空成形法で成形したものを使用することが好ましい。
【0030】このウィ−ピング防止用成形体20の樹脂
としては、管または管継手の受口の内面形状に成形可能
なものであれば使用でき、具体的には、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、フェノ−ル
樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩
化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレ
ン、ポリカ−ボネ−ト、ポリアミド、ポリフッ化ビニリ
デン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポ
リエ−テル・エ−テルケトン等の熱可塑性樹脂等が挙げ
られる。
【0031】上記マンドレルには、剛性が高く軽量なも
の、例えば、軟鋼(SS)、ステンレス(SUS)、ア
ルミニウム、ジュラルミン等の金属製マンドレルの他、
ウレタン等のゴム材、ポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリアミド、高密度ポリエチレン等のブロ−型の使用も
可能である。
【0032】なお、上記の例においては、フランジ付管
継手について説明されているが、本発明は水道管等の内
圧管、その他、フランジ接合される管状構造材等にも適
用できる。
【0033】
【作用】周知の通り、FRPにおける繊維補強効果は、
繊維の方向と引張り応力の方向の差が少ないほど、効果
的に発揮させ得る。
【0034】而るに、FRP製フランジ部付管状体に内
圧が作用したときのフランジ部での応力分布は、フラン
ジ部と管本体部との間の境界近傍に応力が集中したもの
となり、その境界近傍の各箇所での引張り応力の方向は
まちまちである。
【0035】かかる応力状態に対し、本発明に係るFR
P製フランジ部付管状体においては、その境界近傍各箇
所での繊維の方向と引張り応力の方向との近接度を、ラ
ンダム方向繊維材を混積しない場合に較べて充分に高く
でき(ランダム方向繊維材がない場合は、境界近傍各箇
所での繊維の方向が一方向繊維材のみによる一方向とな
り、たとえ、引張り応力の方向と繊維方向とが一致する
箇所が存在しても、それ以外の箇所では引張り応力の方
向が変わって、引張り応力の方向と繊維方向とが一致し
なくなるが、各箇所に方向がランダムな繊維が存在すれ
ば、何れの箇所でもランダム方向繊維の一部の繊維が引
張り応力方向に近接することになり、全体として境界近
傍各箇所での繊維の方向と引張り応力の方向との近接性
を充分に保証できる)、しかも、フランジ部の一方向強
化繊維と管本体部の一方向強化繊維とが境界で中断され
ること無く連続とされ、かつ、管本体部の樹脂とフラン
ジ部の樹脂とが同時硬化され、境界で樹脂が高分子鎖の
絡み合いにより分子構造的に一体化されるから、フラン
ジ部と管本体部との間の境界の上記応力状態に対する強
度を著しく高くできる。
【0036】従って、FRP製管本体部にウィ−ピング
防止手段が付加され、FRP製フランジ部の応力状態で
フランジ付FRP管の使用内圧が決せられるようになっ
ても、フランジ部と管本体部との間の境界でのFRPの
強度を効果的に発揮させて、管の使用内圧を極めて高く
することができる。
【0037】この作用効果は、次に述べる実施例と比較
例の耐内圧試験の比較からも確認できる。
【0038】
【実施例】
〔実施例1〕上述の方法により、図3に示す、フランジ
部の外径が300mm、フランジ部の厚さが26mmの
フランジ付管継手(呼び径150)を製造した。
【0039】図5において、ウィ−ピング防止用成形体
20には、厚さ1mmの塩化ビニル樹脂シ−トのブロ−
成形品を使用した。一方向繊維材にはガラス繊維ロ−ビ
ング(番手45000g/km)を10本引き揃えたも
のを使用し、硬化性樹脂組成物には、オルソ系不飽和ポ
リエステル(スチレン約40%及び6%ナフテン酸コバ
ルトを含有)100重量部,スチレン−酢酸ビニル共重
合体(低収縮化剤)17重量部,顔料(ダ−クブル−)3
重量部,メチルエチルケトンパ−オキサイド(硬化剤)
0.7重量部を使用した。フランジ部の形成において併
用したランダム方向繊維材には、ガラスチヨップドスト
ランドテ−プを使用し、フランジ部のガラス含有量を7
0容量%とするように、ガラスチヨップドストランド量
を設定した。
【0040】管継手本体部は±600のヘリカル巻きで
厚み3mmにて形成し(ただし、ウィ−ピング防止用成
形体の外面凹部を900の円周巻きで埋め、平滑にし
た)、その後、フランジ部は900の円周巻きで形成し
た。管継手本体部及びフランジ部の形成に要した時間
は、1個当たり、約9分であった。
【0041】フランジ部の形成後、型板を離型し、硬化
炉により70℃,1時間の条件で硬化した。硬化後のフ
ランジ部の白化は観られなかった。 〔比較例1〕管継手本体並びにフランジを別々にフィラ
メントワインディング法により成形硬化し、硬化管継手
本体部に硬化フランジ部を接着剤(エポキシ樹脂系)で
接着した。使用した管継手の寸法、硬化性樹脂組成物、
一方向繊維材、ランダム方向繊維材及び管継手本体並び
にフランジそれぞれの硬化条件は実施例に同じとし、フ
ランジは、二枚の型板間に硬化性樹脂含浸ガラスロ−ビ
ングとガラスチヨップドストランドテ−プとを円周巻き
で共巻し、片方の型板を取外したうえで、硬化すること
により製作した。
【0042】〔比較例2〕実施例に対し、管継手本体部
のみを成形硬化したのち(硬化条件は70℃,1時
間)、フランジ部成形用の二枚の型板を定着し、フラン
ジ部を形成し、硬化し(70℃,1時間)、型板を離型
し、これ以外は実施例に同じとした。製造に要した時間
は、1個当たり、130分であり、型板離型後のフラン
ジ部に白化が観られた。
【0043】〔比較例3〕実施例に対しランダム方向繊
維材(ガラスチヨップドストランドテ−プ)の使用を排
し、フランジ部を硬化性樹脂含浸ガラスロ−ビングのみ
で形成した以外、実施例に同じとした。
【0044】このようにして製作した実施例品並びに比
較例品のそれぞれについて(各試料数10箇)、フラン
ジ部に盲フランジをパッキングを介してボルト締めによ
り取付け、受口に硬質塩化ビニル管の一端をゴムリング
並びに抜け止めリングを用いて接続し、硬質塩化ビニル
管の他端から徐々に水圧をかけ、フランジ付管継手のフ
ランジにスラスト荷重を作用させたところ、実施例品に
おいては、10箇とも水圧40kg/cm2を充分な余
裕でクリア−した。
【0045】これに対し、比較例1においては、10箇
全てに約20kg/cm2にて、管継手本体部とフラン
ジとの接着箇所に破損が生じた。比較例2においては、
10箇中8箇に約25kg/cm2にて、管継手本体部
とフランジとの接着箇所に破損が生じ、残り2箇には、
約30kg/cm2にて、管継手本体部とフランジ部と
の接着箇所に破損が生じた。更に、比較例品3において
は、10箇中2箇に、40kg/cm2をやや越えた圧
力にて、管継手本体部とフランジ部との境界箇所に破損
が生じた。
【0046】実施例と比較例3の試験結果の比較より、
本発明において、フランジ部の強化繊維構造を一方向繊
維材とランダム方向繊維材の共巻きにより形成したこと
の効果が確認できる。
【0047】更に、比較例1並びに比較例2の試験結果
との比較から、管本体部とフランジ部のフィラメントワ
インディングを連続させたことの効果並びに同時硬化の
効果が確認できる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、FRP製のフランジ付
管状体において、FRP製管本体部へのウィ−ピング防
止手段の付加により使用内圧が高くされ、FRP製フラ
ンジ部に作用する応力でFRP管の使用内圧が決せられ
るような場合、フランジ接合部に充分な耐圧性を付与で
きるから、FRP製フランジ付管の使用内圧の高圧化に
極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のFRP製フランジ付管状体の製造に使
用される通常のフィラメントワインディング装置を示す
説明図である。
【図2】図1のフィラメントワインディング装置におけ
るフィ−ドアイを示す説明図である。
【図3】本発明に係るFRP製フランジ付管状体の一例
であるFRP製フランジ付管継手の上半部を断面図で示
す正面図である。
【図4】図3に示す管継手の使用状態を示す説明図であ
る。
【図5】本発明に係るFRP製フランジ付管状体の製造
方法の一例を示す説明図であり、図5の(イ)は型の組
立て直後を、図5の(ロ)は未硬化管本体部の形成直後
を、図5の(ハ)は型板の定着直後をそれぞれ示してい
る。
【図6】本発明に係るFRP製フランジ付管状体のフラ
ンジ部の強化繊維構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1 マンドレル 2 フランジ付管 21 管本体部 22 フランジ部 a 硬化性樹脂含浸一方向繊維材 a’ 一方向繊維材 b ランダム方向繊維材 210 未硬化の管本体部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 23:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】管本体部の端部にフランジ部を有し、管本
    体部並びにフランジ部がフィラメントワインディング法
    による繊維強化樹脂製であり、フランジ部の強化繊維構
    造が一方向繊維材とランダム方向繊維材の共巻きにより
    形成されていることを特徴とする繊維強化樹脂製フラン
    ジ付管状体。
  2. 【請求項2】管本体部の端部にフランジ部を有する繊維
    強化樹脂管状体の管本体部並びにフランジ部をフィラメ
    ントワインディング法により一体形成する繊維強化樹脂
    製フランジ部付管状体の製造方法であって、硬化性樹脂
    含浸一方向繊維材の巻回により未硬化の管本体部を形成
    し、更に、硬化性樹脂含浸一方向繊維材とランダム方向
    繊維材の共巻により未硬化のフランジ部を形成し、而る
    のち、上記未硬化の管本体部とフランジ部を同時に硬化
    させることを特徴とする繊維強化樹脂製フランジ付管状
    体の製造方法。
JP6318853A 1994-12-21 1994-12-21 繊維強化樹脂製フランジ付管状体及びその製造方法 Pending JPH08174690A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010036461A (ja) * 2008-08-05 2010-02-18 Murata Machinery Ltd フィラメントワインディング装置
JP2011126141A (ja) * 2009-12-18 2011-06-30 Nbl Kk 耐食層を有する管状繊維強化複合材料
CN112959702A (zh) * 2021-03-01 2021-06-15 深圳安吉尔饮水产业集团有限公司 玻璃钢压力容器及其加工方法

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