JPH0817454A - リン酸型燃料電池発電システム - Google Patents

リン酸型燃料電池発電システム

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JPH0817454A
JPH0817454A JP6146103A JP14610394A JPH0817454A JP H0817454 A JPH0817454 A JP H0817454A JP 6146103 A JP6146103 A JP 6146103A JP 14610394 A JP14610394 A JP 14610394A JP H0817454 A JPH0817454 A JP H0817454A
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JP
Japan
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phosphoric acid
fuel cell
exhaust
heat
air
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JP6146103A
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English (en)
Inventor
Yoshio Koyama
由夫 小山
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、燃料電池本体から排出される排空気
から熱回収を行なうに際して、リン酸による排熱回収熱
交換器の腐食・劣化および性能低下を生じないようにす
ることを最も主要な目的としている。 【構成】本発明は、電解質としてリン酸を用いる燃料電
池本体と、炭化水素系燃料を改質して改質ガスを得、燃
料電池本体に反応用の燃料として供給する改質装置と、
燃料電池本体に反応用の空気を供給する空気供給装置
と、燃料電池本体の空気極から排出される排空気の保有
熱を回収する排熱回収用熱交換器とを備えて構成される
リン酸型燃料電池発電システムにおいて、排熱回収熱交
換器における排空気と接触する伝熱面部分に、リン酸に
対して耐蝕性を有するリン酸耐蝕性部材を用い、かつ伝
熱面に凝縮したリン酸を鉛直下方へ流下させるように、
排熱回収熱交換器の主たる伝熱面をほぼ垂直に配置する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料電池本体から排出
される排空気の保有熱を回収する排熱回収熱交換器を備
えたリン酸型燃料電池発電システムに係り、特にリン酸
による排熱回収熱交換器の腐食・劣化、および性能低下
を生じないようにしたリン酸型燃料電池発電システムに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、燃料電池発電システムは、電解
質を挟んで燃料極および空気極を配置した単位セルを複
数個積層して構成される燃料電池本体を備え、燃料極に
反応用の燃料を、空気極に反応用の空気を供給すること
によって発電を行なうものであり、発電に伴って生じる
熱も利用することができる。この場合、燃料について
は、都市ガス等の炭化水素を水蒸気と混合し、改質装置
によって水素を主成分とする改質ガスに転換して、燃料
電池本体の燃料極へ供給するようにしている。そして、
このうち、上記電解質としてリン酸を使用したものがリ
ン酸型燃料電池発電システムであり、数十kW〜千kW
の発電規模で、現在最も実用化の進んでいる燃料電池発
電システムである。
【0003】図9は、この種の従来のリン酸型燃料電池
発電システムの構成例を示すブロック図である。図9に
おいて、燃料電池本体1は、図示のように電解質である
リン酸を含浸したマトリックス1aを挟んで燃料極1b
および空気極1cを配置して、単位セルを構成してい
る。なお、図示はしていないが、実際の燃料電池では、
燃料極1b、空気極1c、マトリックスからなるこのよ
うな単位セルを、ガスの分離板を介して複数個積層し
て、燃料電池本体を構成している。
【0004】一方、都市ガス等の炭化水素系燃料に水蒸
気を混合したものを、燃料供給装置2を介して改質装置
3の反応部3aに導き、水蒸気改質反応により水素リッ
チの改質ガス4を生成する。この改質ガス4中には、主
成分として水素を含むが、その他に一酸化炭素、二酸化
炭素、メタン、水蒸気が含まれている。
【0005】また、改質装置3から取り出された改質ガ
スは、一酸化炭素変成器5に導かれ、ここで一酸化炭素
のシフト反応により、リン酸型の燃料電池本体1に有害
な一酸化炭素量を減少させる。この際、水蒸気と一酸化
炭素から、水素と二酸化炭素が生成され、より水素濃度
を高めた水素リッチの改質ガス4が、燃料電池本体1の
燃料極1bに反応用の燃料として導かれる。
【0006】さらに、燃料電池本体1の空気極1cに
は、空気供給装置6により反応用の空気7を導き、燃料
電池本体1において空気中の酸素と改質ガス中の水素を
反応させて発電を行なう。この際、燃料電池本体1で
は、発電と同時に反応熱も生じるため、燃料電池本体1
の温度を摂氏190度程度の適正温度に保つことを目的
として、内部に冷却水が供給される冷却板8を燃料電池
本体1に密着して設置している。
【0007】なお、燃料電池本体1の燃料極1bに供給
された改質ガス中の水素は、全量は反応に使用されず、
燃料極1bの排ガスにはまだ水素が余剰燃料として含ま
れている。そのため、この燃料極排ガス9は、改質装置
3の燃焼バーナ部3bへ供給され、空気供給装置6から
供給される燃焼用空気10により燃焼して燃焼ガスとな
り、改質装置3の反応部3aの加熱源として利用され
る。
【0008】一方、改質装置3の燃焼バーナ部3bを出
た燃焼排ガス11、および燃料電池本体1の空気極1c
から出た排空気12は、合流した後に最終的には大気中
へ放出される。しかしながら、改質装置3出口の燃焼排
ガスが摂氏400〜500度、空気極1c出口の排空気
が摂氏170度と、かなりの熱エネルギーを保有してい
るため、これをそのまま系外に排出したのでは、熱エネ
ルギーを無駄に外部に捨てることになる。そのため、こ
の種のリン酸型燃料電池発電システムにおいては、各排
ガス流路上に排熱回収熱交換器を設置し、排ガス中の熱
エネルギーを回収して、システムの熱効率を高めること
が一般に行なわれている。
【0009】すなわち、例えば図9に示すように、改質
装置3の燃焼バーナ部3bの燃焼排ガス11の流路上に
排熱回収熱交換器13,14を、また空気極1c出口の
排空気12の流路上に排熱回収熱交換器25を、さらに
燃焼排ガス11と排空気12との合流後の流路上に排熱
回収熱交換器26を設置する等、種々の方式が採用さ
れ、実施されている。
【0010】この場合、回収熱の利用方法としては、直
接図示はしていないが、例えば排熱回収熱交換器13
は、改質装置3の燃焼バーナ部3bの燃焼用空気10の
予熱、また排熱回収熱交換器14,25は、燃料電池本
体1の空気極1cへ供給される反応用の空気7の予熱、
さらに排熱回収熱交換器26では、冷暖房、給湯の熱源
としてそれぞれ回収され、同時に排ガス中に含まれる水
蒸気の回収もここで行なわれている。
【0011】ところで、通常、リン酸型燃料電池配電シ
ステムにおいて、燃料電池本体1は摂氏190度程度で
運転されており、燃料電池本体1の電解質であるリン酸
が、マトリックス1aから酸化リンの形態で一部蒸発
し、燃料極排ガス9および空気極1cからの排空気12
中に微量含有されて出てくる。そして、この酸化リンを
含むガスは、下流側の排熱回収熱交換器13,14,2
5,26で冷却され、ガス中の酸化リンの濃度、水蒸気
分圧、排熱回収熱交換器13,14,25,26の冷却
面温度等の条件が満足された場合には、排熱回収熱交換
器13,14,25,26における排空気12と接触す
る伝熱面部分に、再びリン酸が付着・生成される。
【0012】この場合、図1に示したいくつかの排熱回
収熱交換器13,14,25,26のうち、リン酸生成
の可能性や生成量が多いのは、ガスの流量および酸化リ
ンの濃度の点で、特に燃料電池本体1の空気極1cから
の排空気12からの熱回収を行なうために設置した排熱
回収熱交換器25,26である。排熱回収熱交換器は、
一般に、軟鋼もしくはステンレス鋼等の材料で構成され
ており、高温・高濃度のリン酸が付着したような場合に
は、その構成部材が腐食劣化すると共に、その際排熱回
収熱交換器の伝熱面に生成されるリン酸塩(鉄系材料の
場合はリン酸鉄)が、熱抵抗要因として働くと共に、ガ
ス流路の目詰まりによって排熱回収熱交換器の圧力損失
増加の原因ともなり、排熱回収熱交換器の性能低下、ひ
いては発電システムが運転不能になる危険性がある。
【0013】そこで、燃料電池本体1から排出されたリ
ン酸によるこれらの問題を解決するために、燃料電池本
体1から排出される排ガス中のリン酸回収を目的とし
て、金属製ウールを充填したリン酸スクラバーを排ガス
流路上に設置する方法がある。
【0014】しかしながら、この方法は、圧力損失の点
で、加圧タイプのリン酸型燃料電池発電システムには採
用できるものの、オンサイト型の常圧タイプの燃料電池
発電システムには、ガスの圧力損失等を考慮すると装置
の小型化に逆行するため、適用することが難しい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
リン酸型燃料電池配電システムにおいては、燃料電池本
体から排出される排空気から熱回収を行なう際に、リン
酸による排熱回収熱交換器の腐食・劣化や性能低下を生
じるという問題があった。
【0016】本発明の目的は、燃料電池本体から排出さ
れる排空気から熱回収を行なうに際して、リン酸による
排熱回収熱交換器の腐食・劣化および性能低下を生じる
ことがない高信頼性のリン酸型燃料電池発電システムを
提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明では、電解質であるリン酸を含浸したマトリ
ックスを挟んで燃料極および空気極を配置した単位セル
を複数個積層してなる燃料電池本体と、炭化水素系燃料
を改質して改質ガスを得、燃料電池本体の燃料極に反応
用の燃料として供給する改質装置と、燃料電池本体の空
気極に反応用の空気を供給する空気供給装置と、燃料電
池本体の空気極から排出される排空気の保有熱を回収す
る排熱回収用熱交換器とを備えて構成されるリン酸型燃
料電池発電システムにおいて、排熱回収熱交換器におけ
る排空気と接触する伝熱面部分に、リン酸に対して耐蝕
性を有するリン酸耐蝕性部材を用い、かつ伝熱面に凝縮
したリン酸を鉛直下方へ流下させるように、排熱回収熱
交換器の主たる伝熱面をほぼ垂直に配置して成る。
【0018】ここで、特に上記排熱回収熱交換器におけ
る排空気の接触部分に、テフロンあるいはセラミックス
等の被覆層を形成するようにしている。また、上記排熱
回収熱交換器として、テフロンチューブを用いたシェル
・チユーブ型熱交換器を用いるか、または黒鉛板を積層
して形成した排熱回収熱交換器を用いるようにしてい
る。さらに、上記排熱回収熱交換器における排空気側流
路の下部に、リン酸を回収するリン酸回収部を設けるよ
うにしている。
【0019】
【作用】従って、本発明のリン酸型燃料電池発電システ
ムにおいては、排熱回収熱交換器における排空気と接触
する伝熱面部分に、リン酸に対して耐蝕性を有するリン
酸耐蝕部材を用いていることにより、燃料電池本体から
の排空気から熱回収を行なう際に、排熱回収熱交換器の
伝熱面にリン酸が生成・付着しても、伝熱面の腐食・劣
化やリン酸塩を生じるようなことがない。
【0020】また、上記伝熱面に凝縮したリン酸を鉛直
下方に流下させるように、排熱回収熱交換器の主たる伝
熱面をほぼ垂直に配置していることにより、伝熱面に付
着したリン酸が重力の作用で流下して伝熱面に滞留しな
いため、排熱回収熱交換器の性能低下や圧力損失の増加
を起こすようなことがない。これにより、極めて高い信
頼性を有するリン酸型燃料電池発電システムを得ること
ができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明する。図1は、本発明によるリン酸型燃
料電池発電システムの構成例を示すブロック図であり、
図9と同一部分には同一符号を付して示している。
【0022】図1において、燃料電池本体1は、図示の
ように電解質であるリン酸を含浸したマトリックス1a
を挟んで燃料極1bおよび空気極1cを配置して、単位
セルを構成している。なお、図示はしていないが、実際
の燃料電池では、燃料極1b、空気極1c、マトリック
スからなるこのような単位セルを、ガスの分離板を介し
て複数個積層して、燃料電池本体を構成している。
【0023】一方、都市ガス等の炭化水素系燃料に水蒸
気を混合したものを、燃料供給装置2を介して改質装置
3の反応部3aに導き、水蒸気改質反応により水素リッ
チの改質ガス4を生成する。この改質ガス4中には、主
成分として水素を含むが、その他に一酸化炭素、二酸化
炭素、メタン、水蒸気が含まれている。
【0024】また、改質装置3から取り出された改質ガ
スは、一酸化炭素変成器5に導いて、ここで一酸化炭素
のシフト反応により、リン酸型の燃料電池本体1に有害
な一酸化炭素量を減少させる。この際、水蒸気と一酸化
炭素から、水素と二酸化炭素が生成され、より水素濃度
を高めた水素リッチの改質ガス4を、燃料電池本体1の
燃料極1bに反応用の燃料として導くようにしている。
【0025】さらに、燃料電池本体1の空気極1cに
は、空気供給装置6により反応用の空気7を導き、燃料
電池本体1において空気中の酸素と改質ガス中の水素を
反応させて発電を行なう。この際、燃料電池本体1で
は、発電と同時に反応熱も生じるため、燃料電池本体1
の温度を摂氏190度程度の適正温度に保つことを目的
として、内部に冷却水が供給される冷却板8を燃料電池
本体1に密着して設置している。
【0026】なお、燃料電池本体1の燃料極1bに供給
された改質ガス中の水素は、全量は反応に使用されず、
燃料極1bの排ガスにはまだ水素が余剰燃料として含ま
れている。そのため、この燃料極排ガス9は、改質装置
3の燃焼バーナ部3bへ供給され、空気供給装置6から
供給される燃焼用空気10により燃焼して燃焼ガスとな
り、改質装置3の反応部3aの加熱源として利用され
る。
【0027】一方、改質装置3の燃焼バーナ部3bを出
た燃焼排ガス11、および燃料電池本体1の空気極1c
から出た排空気12は、合流した後に最終的には大気中
へ放出するようにしている。しかしながら、改質装置3
出口の燃焼排ガスが摂氏400〜500度、空気極1c
出口の排空気が摂氏170度と、かなりの熱エネルギー
を保有しているため、これをそのまま系外に排出したの
では、熱エネルギーを無駄に外部に捨てることになる。
そのため、本リン酸型燃料電池発電システムにおいて
は、各排ガス流路上に排熱回収熱交換器を設置し、排ガ
ス中の熱エネルギーを回収して、システムの熱効率を高
めるようにしている。
【0028】すなわち、図1に示すように、改質装置3
の燃焼バーナ部3bの燃焼排ガス11の流路上に排熱回
収熱交換器13,14を、また空気極1c出口の排空気
12の流路上に排熱回収熱交換器15を、さらに燃焼排
ガス11と排空気12との合流後の流路上に排熱回収熱
交換器16を設置している。
【0029】この場合、回収熱の利用方法としては、直
接図示はしていないが、例えば排熱回収熱交換器13
は、改質装置3の燃焼バーナ部3bの燃焼用空気10の
予熱、また排熱回収熱交換器14,15は、燃料電池本
体1の空気極1cへ供給される反応用の空気7の予熱、
さらに排熱回収熱交換器16では、冷暖房、給湯の熱源
としてそれぞれ回収し、同時に排ガス中に含まれる水蒸
気の回収もここで行なうようにしている。
【0030】ここで、本実施例のリン酸型燃料電池発電
システムの特徴的な点は、燃料電池本体1の空気極1c
からの排空気12から熱回収を行なう排熱回収熱交換器
15,16における排空気12と接触する伝熱面部分
に、リン酸に対して耐蝕性を有するリン酸耐蝕部材を用
い、かつ当該伝熱面に凝縮したリン酸を鉛直下方に流下
させるように、排熱回収熱交換器15,16の主たる伝
熱面をほぼ垂直に配置している。
【0031】図2は、排熱回収熱交換器15,16の概
略構成例を示す断面図である。本排熱回収熱交換器1
5,16は、図2に示すように、燃料電池本体1の空気
極1cからの排空気12が供給されるダクト17内に、
金属製のフィン付き伝熱管18が多数設置されており、
その管内に反応用の空気7を熱回収流体として流通させ
ている。
【0032】また、このフィン付き伝熱管18の排空気
12と接触する伝熱面部分19には、図3に示すよう
に、テフロンやセラミックス等のリン酸耐蝕性部材20
による被覆層が形成されており、リン酸に対して耐蝕性
を有している。
【0033】ここで、フィン付き伝熱管18の外表面
に、テフロンやセラミックスの被覆層を形成する方法と
しては、テフロンやセラミックスの溶射やペースト状塗
布剤を金属素材表面に塗布した後に、加熱・乾燥させる
方法等、種々の方法がある。
【0034】次に、以上のように構成した本実施例のリ
ン酸型燃料電池発電システムにおいては、排熱回収熱交
換器15,16における排空気12と接触する伝熱面部
分19に、リン酸に対して耐蝕性を有するリン酸耐蝕部
材20を用いていることにより、燃料電池本体1の空気
極1cからの排空気12から熱回収を行なう際に、排熱
回収熱交換器15,16の伝熱面部分19にリン酸が生
成・付着しても、伝熱面の腐食・劣化やリン酸塩を生じ
ず、また熱抵抗の要因となるリン酸塩も生成しない。
【0035】さらに、排熱回収熱交換器15,16の伝
熱面部分19に凝縮したリン酸を鉛直下方に流下させる
ように、排熱回収熱交換器15,16の主たる伝熱面、
すなわちフィン部をほぼ垂直に配置していることによ
り、伝熱面部分19に付着したリン酸が重力の作用で流
下して伝熱面部分19に滞留しないため、排熱回収熱交
換器15,16の性能低下や圧力損失の増加を生じな
い。
【0036】これにより、極めて高い熱効率と信頼性を
有するリン酸型燃料電池発電システムが得られる。上述
したように、本実施例のリン酸型燃料電池発電システム
は、電解質であるリン酸を含浸したマトリックス1aを
挟んで燃料極1bおよび空気極1cを配置した単位セル
を複数個積層してなる燃料電池本体1と、炭化水素系燃
料を改質して改質ガス4を得、燃料電池本体1の燃料極
1bに反応用の燃料として供給する改質装置と、燃料電
池本体1の空気極1cに反応用の空気7を供給する空気
供給装置6と、燃料電池本体1の空気極1cから排出さ
れる排空気12の保有熱を回収する排熱回収用熱交換器
15,16とを備え、排熱回収熱交換器15,16にお
ける排空気12と接触する伝熱面部分19に、リン酸に
対して耐蝕性を有するリン酸耐蝕部材20を用い、かつ
当該伝熱面部分19に凝縮したリン酸を鉛直下方に流下
させるように、排熱回収熱交換器15,16の主たる伝
熱面部分19をほぼ垂直に配置するようにしたものであ
る。
【0037】従って、燃料電池本体1の空気極1cから
排出される排空気12から熱回収を行なう際に、排熱回
収熱交換器15,16の伝熱面部分19にリン酸が生成
・付着しても、伝熱面部分19の腐食・劣化やリン酸鉄
等のリン酸塩を生じないようにすることが可能となる。
【0038】また、伝熱面部分19に凝縮したリン酸が
流下して伝熱面部分19に滞留しないため、排熱回収熱
交換器15,16の性能低下や圧力損失の増加を引き起
こさないようにすることが可能となる。
【0039】これにより、極めて熱効率と信頼性の高い
リン酸型燃料電池発電システムを得ることができ、工業
上の有用性が極めて大きいものとなる。尚、本発明は上
記実施例に限定されるものではなく、次のようにしても
同様に実施できるものである。
【0040】(a)本発明のリン酸型燃料電池発電シス
テムにおいて、排熱回収熱交換器15,16の型式は、
前述したフィン付き伝熱管18に限定されるものではな
く、例えば図4に斜視図を示すようなプレート型熱交換
器21とするようにしてもよく、燃料電池本体1の空気
極1cから排出される排空気12と接触する伝熱面部分
19を、例えば図5に部分拡大断面図を示すように、テ
フロンやセラミックス等のリン酸耐蝕性部材20により
被覆すれば、前述したリン酸凝縮の問題を生じることな
く、排空気12からの排熱回収を行なうことができ、前
述と同様の効果を得ることが可能である。
【0041】(b)図6は、本発明に使用される排熱回
収熱交換器15,16の他の構成例を示す断面図であ
る。すなわち、本排熱回収熱交換器15,16は、シェ
ル・チューブ型熱交換器の構成部材である伝熱管22に
テフロンチューブを使用しており、またその伝熱面部分
がほぼ垂直となるように熱交換器を配置している。
【0042】これにより、燃料電池本体1の空気極1c
から排出される排空気12中の酸化リンが水蒸気と結合
して、排空気12と接触する伝熱面部分にリン酸が付着
・生成しても、伝熱面部分の腐食・劣化を生じず、また
熱抵抗の要因となるリン酸塩も生成しない。
【0043】さらに、伝熱面部分をほぼ垂直に配置する
ことにより、伝熱面部分に凝縮したリン酸が重力の作用
で流下するため、伝熱面部分に滞留せず、排熱回収熱交
換器15,16の性能低下を生じない。
【0044】(c)図7は、本発明に使用される排熱回
収熱交換器15,16の他の構成例を示す斜視図であ
る。すなわち、本排熱回収熱交換器15,16は、溝付
きの黒鉛板23を溝が交互に交差するように積層し、熱
交換器を形成している。この場合、燃料電池本体1の空
気極1cからの排空気12により、反応用の空気7を予
熱するようにしている。
【0045】これにより、熱交換器の伝熱面部分が黒鉛
でできているため、燃料電池本体1の空気極1cから排
出される排空気12中の酸化リンが水蒸気と結合して、
排空気12と接触する伝熱面部分にリン酸が付着・生成
しても、伝熱面部分の腐食・劣化を生じず、また熱抵抗
の要因となるリン酸塩も生成しない。
【0046】さらに、排空気12と接触する伝熱面部分
をほぼ垂直となるように配置して使用することにより、
伝熱面部分に凝縮したリン酸が重力の作用で流下するた
め、伝熱面部分に滞留せず、排熱回収熱交換器15,1
6の性能低下を生じない。
【0047】(d)図8は、本発明に使用される排熱回
収熱交換器15,16の他の構成例を示す断面図であ
る。すなわち、本排熱回収熱交換器15,16は、それ
自体は図2で説明した排熱回収熱交換器と同一である
が、その排空気側流路の下部に、リン酸を回収するリン
酸回収部24を設けていることを特徴としている。
【0048】これにより、伝熱面部分に凝縮したリン酸
が重力の作用で流下し、リン酸が多量に集まった場合で
も回収を行なうことができ、連続的に運転することが可
能となる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
解質であるリン酸を含浸したマトリックスを挟んで燃料
極および空気極を配置した単位セルを複数個積層してな
る燃料電池本体と、炭化水素系燃料を改質して改質ガス
を得、燃料電池本体の燃料極に反応用の燃料として供給
する改質装置と、燃料電池本体の空気極に反応用の空気
を供給する空気供給装置と、燃料電池本体の空気極から
排出される排空気の保有熱を回収する排熱回収用熱交換
器とを備えて構成されるリン酸型燃料電池発電システム
において、排熱回収熱交換器における排空気と接触する
伝熱面部分に、リン酸に対して耐蝕性を有するリン酸耐
蝕性部材を用い、かつ伝熱面に凝縮したリン酸を鉛直下
方へ流下させるように、排熱回収熱交換器の主たる伝熱
面をほぼ垂直に配置するようにしたので、燃料電池本体
から排出される排空気から熱回収を行なうに際して、リ
ン酸による排熱回収熱交換器の腐食・劣化および性能低
下を生じることがない高信頼性のリン酸型燃料電池発電
システムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリン酸型燃料電池発電システムの
一実施例を示すブロック図。
【図2】同実施例のリン酸型燃料電池発電システムに使
用される排熱回収熱交換器の一例を示す断面図。
【図3】図2の排熱回収熱交換器を構成するフィン付き
伝熱管の構成例を示す断面図。
【図4】本発明によるリン酸型燃料電池発電システムに
使用される排熱回収熱交換器の他の構成例を示す斜視
図。
【図5】図4の排熱回収熱交換器の部分拡大断面図。
【図6】本発明によるリン酸型燃料電池発電システムに
使用される排熱回収熱交換器の他の構成例を示す断面
図。
【図7】本発明によるリン酸型燃料電池発電システムに
使用される排熱回収熱交換器の他の構成例を示す斜視
図。
【図8】本発明によるリン酸型燃料電池発電システムに
使用される排熱回収熱交換器の他の構成例を示す断面
図。
【図9】従来のリン酸型燃料電池発電システムの構成例
を示すブロック図。
【符号の説明】
1…燃料電池本体、1a…マトリックス、1b…燃料
極、1c…空気極、2…燃料供給装置、3…改質装置、
3a…反応部、3b…、4…改質ガス、5…一酸化炭素
変成器、6…空気供給装置、7…反応用の空気、8…冷
却板、9…燃料極排ガス、10…燃焼用空気、11…燃
焼排ガス、12…排空気、13,14,15,16…排
熱回収熱交換器、17…ダクト、18…フィン付き伝熱
管、19…伝熱面部分、20…リン酸耐蝕性部材、21
…プレート型熱交換器、22…伝熱管、23…溝付きの
黒鉛板、24…リン酸回収部。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質であるリン酸を含浸したマトリッ
    クスを挟んで燃料極および空気極を配置した単位セルを
    複数個積層してなる燃料電池本体と、炭化水素系燃料を
    改質して改質ガスを得、前記燃料電池本体の燃料極に反
    応用の燃料として供給する改質装置と、前記燃料電池本
    体の空気極に反応用の空気を供給する空気供給装置と、
    前記燃料電池本体の空気極から排出される排空気の保有
    熱を回収する排熱回収用熱交換器とを備えて構成される
    リン酸型燃料電池発電システムにおいて、 前記排熱回収熱交換器における前記排空気と接触する伝
    熱面部分に、リン酸に対して耐蝕性を有するリン酸耐蝕
    性部材を用い、 かつ前記伝熱面に凝縮したリン酸を鉛直下方へ流下させ
    るように、前記排熱回収熱交換器の主たる伝熱面をほぼ
    垂直に配置して成ることを特徴とするリン酸型燃料電池
    発電システム。
  2. 【請求項2】 前記排熱回収熱交換器における排空気の
    接触部分に、テフロンあるいはセラミックス等の被覆層
    を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載
    のリン酸型燃料電池発電システム。
  3. 【請求項3】 前記排熱回収熱交換器として、テフロン
    チューブを用いたシェル・チユーブ型熱交換器を用いる
    ようにしたことを特徴とする請求項1に記載のリン酸型
    燃料電池発電システム。
  4. 【請求項4】 前記排熱回収熱交換器として、黒鉛板を
    積層して形成した排熱回収熱交換器を用いるようにした
    ことを特徴とする請求項1に記載のリン酸型燃料電池発
    電システム。
  5. 【請求項5】 前記排熱回収熱交換器における排空気側
    流路の下部に、リン酸を回収するリン酸回収部を設ける
    ようにしたことを特徴とする請求項1に記載のリン酸型
    燃料電池発電システム。
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