JPH08174428A - 砥粒固定型研磨定盤 - Google Patents

砥粒固定型研磨定盤

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JPH08174428A
JPH08174428A JP32190994A JP32190994A JPH08174428A JP H08174428 A JPH08174428 A JP H08174428A JP 32190994 A JP32190994 A JP 32190994A JP 32190994 A JP32190994 A JP 32190994A JP H08174428 A JPH08174428 A JP H08174428A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 異種材料が組み合わされている被研磨材をラ
ッピング研磨する場合にも、高い表面平滑性を得ること
ができる研磨定盤を提供する。 【構成】 定盤10の研磨面側の表層部には、ダイヤモ
ンド砥粒22と、そのダイヤモンド砥粒22の最大径よ
りも十分大きい最小粒径を備えた粒状錫粉24とを含む
研磨層20が設けられている。そのため、ラッピング研
磨を施すに際しては、定盤10が砥石として作用するこ
とから遊離砥粒液が不要となり、被研磨材28が硬度の
異なる異種材料を組み合わさて成る場合にも、遊離砥粒
加工に起因する加工段差の発生が好適に抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被研磨材の表面をラッ
ピング研磨するラッピング装置に用いられる研磨定盤に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品や光学部品を構成するセラミッ
クス,ガラス,水晶等の被研磨材は、その表面平滑性と
加工変質層の低減が求められると共に、高い面精度が望
まれることから、一般に仕上げ加工としてラッピング研
磨が施される。このラッピング研磨は、例えば、鋳鉄,
錫,銅等から構成される円板状の研磨定盤の研磨面上に
被研磨材を治具を用いて周方向の移動不能に保持し、ダ
イヤモンドやCBN(立方晶系窒化ホウ素)等の所謂超
砥粒が分散された遊離砥粒液すなわちスラリーを供給し
つつ、研磨定盤を回転させて被研磨材を周方向に相対移
動させると共にその被研磨材を研磨定盤の研磨面上で自
転させることにより行われる。
【0003】
【発明が解決すべき課題】ところで、上記の電子部品や
光学部品等は、二種以上の異なる材料が接合等により組
み合わされて用いられることも多いため、仕上げ加工
(ラッピング研磨)を施される被研磨材がそのような異
種材料が組み合わされた状態であることも多い。例え
ば、図3に示される磁気ヘッド用部材30はその一例で
ある。この磁気ヘッド用部材30は、比較的高硬度の A
l2O3-TiC(ビッカース硬度HV≒2200)から成るベース3
2に、比較的低硬度の Al2O3(HV≒990 )から成る絶縁
層36とパーマロイ等の磁性材料(HV≒180 )から成る
磁性層34とが積層された積層部38がCVD法等によ
り固着されて構成されている。このような磁気ヘッド用
部材30が記録用磁性体上を走査される際には、ラッピ
ング研磨が施される仕上げ面40がその磁性体側に位置
させられるが、この際、高い磁気特性を得るために、磁
性層34と記録用磁性体との距離が可及的に小さくされ
る。特に、近年の高密度化されている記録用磁性体にお
いてはこの要請が強い。そのため、ラッピング研磨にお
いて、ベース32や磁性層34の仕上げ面40b と絶縁
層36や磁性層34の仕上げ面40m との間に加工段差
を生じさせないことが必要である。
【0004】ところが、上記のような異種材料が組み合
わされている被研磨材に、遊離砥粒を用いてラッピング
研磨を施すと、硬度の低い材料(上記の磁気ヘッド用部
材30においては、積層部38)が相対的に早く除去さ
れる。そのため、図に示すような高硬度のベース32と
低硬度の積層部38との加工段差d(da ,dm )が生
じることとなる。すなわち、遊離砥粒を用いるラッピン
グ研磨では、異種材料が組み合わされている被研磨材全
体の高い表面平滑性が得られないという問題があったの
である。
【0005】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、異種材料が組み合わされ
ている被研磨材をラッピング研磨する場合にも、高い表
面平滑性を得ることができる研磨定盤を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、被研磨材の表面をラ
ッピング研磨するに際してその被研磨材が研磨面に摺接
させられる研磨定盤であって、砥粒と、その砥粒の平均
粒径よりも大きい平均粒径を備えた軟質金属粒子とを含
む砥粒層が、前記研磨面側の表層部に設けられているこ
とにある。
【0007】
【作用および発明の効果】このようにすれば、研磨定盤
の研磨面側の表層部には、砥粒と、その砥粒の平均粒径
よりも大きい平均粒径を備えた軟質金属粒子とを含む砥
粒層が設けられる。そのため、この研磨定盤を用いて被
研磨材にラッピング研磨を施すに際しては、研磨定盤が
砥石として作用することから遊離砥粒液が不要となり、
硬度の異なる異種材料が組み合わされている被研磨材を
ラッピング研磨する場合にも、遊離砥粒に起因する加工
段差の発生が好適に抑制される。しかも、砥粒層には砥
粒の平均粒径よりも大きな平均粒径の軟質金属粒子が含
まれているため、砥粒層から脱落した比較的大径の遊離
砥粒は被研磨材により押圧されてその軟質金属粒子に埋
め込まれることとなる。そのため、目詰まりが生じ難く
なって研磨能率が安定すると共に、研磨定盤の表面を自
由に転動させられる砥粒が減少させられることから被研
磨材表面のスクラッチの発生が好適に抑制される。
【0008】因みに、砥粒層が設けられた研磨定盤は従
来から種々提案されていたが、それらは、単に通常の砥
石と同様に砥粒を樹脂等の結合剤で結合したものに過ぎ
なかった。そのため、砥粒が脱落したり研磨粉により目
詰まりが生じると研磨能率が低下すると共に、脱落した
砥粒が研磨定盤と被研磨材との間に自由に転動可能な状
態で介在して、被研磨材表面にスクラッチを生じさせる
という問題があったのである。しかも、ラッピング研磨
に用いられる高価な超砥粒は、一般砥粒とは異なり、砥
粒の自生作用により研磨能率を確保すると、砥粒のムダ
が大きくなって加工コストが増大することから結合力の
高い結合剤が用いられているため、目詰まりが生じ易い
という問題もあったのである。
【0009】なお、本願において「軟質金属」とは、塑
性変形により遊離砥粒が容易に埋め込まれるが、ラッピ
ング研磨中には埋め込まれた砥粒の保持状態を維持して
研磨に関与させるだけの剛性を備えたものであり、例え
ば錫,銅等が好適に用いられる。
【0010】ここで、好適には、前記軟質金属粒子の平
均粒径は、砥粒の平均粒径の数倍以上、更に好ましくは
10倍以上とされる。このようにすれば、軟質金属粒子
の平均粒径が砥粒の平均粒径よりも十分に大きいため、
砥粒層から脱落した砥粒が軟質金属粒子に埋め込まれる
割合が一層高くされて、スクラッチの発生が一層抑制さ
れる。
【0011】また、好適には、前記砥粒層は、前記砥粒
および軟質金属粒子が所定の結合剤により結合されたも
のであり、それらの比率は、好ましくは、砥粒が 2〜20
vol%,軟質金属粒子が30〜70 vol%,結合剤が20〜60
vol%の範囲に、更に好ましくは、砥粒が 5〜15 vol
%,軟質金属粒子が40〜60 vol%,結合剤が30〜50 vol
%とされる。砥粒量が過少となると研磨能率が低下し、
反対に過多になると脱落した砥粒が軟質金属粒子に保持
される可能性が低くなってスクラッチ等の原因となる。
また、軟質金属粒子量が過少となると、研磨定盤の面積
に対する軟質金属粒子の全面積、すなわち脱落した砥粒
を保持する面積が小さくなってスクラッチ等の原因とな
り、過多になると砥粒層の強度が低下して磨耗や変形が
大きくなって、被研磨材の仕上げ面の精度が得られな
い。また、結合剤量が過少となると軟質金属粒子が過多
の場合と同様に砥粒層の強度が低下し、過多になると表
面に現れる砥粒が少なくなって研磨能率が低下する。
【0012】また、好適には、前記結合剤には、酸化ア
ルミニウム或いは酸化ケイ素等の微細粒子が混合され
る。このようにすれば、砥粒層の剛性が一層高くされて
縁ダレが防止され、被研磨材の仕上げ面の精度が一層高
くされる。なお、上記微細粒子の平均粒径は、砥粒の粒
子間を充填するため砥粒よりも十分小さいことが好まし
く、例えば、砥粒の平均粒径が 1μm 程度とされる場合
には、 0.1μm 程度とされることが好ましい。
【0013】また、好適には、前記研磨定盤は、金属か
ら成る台板上に前記砥粒層が設けられて構成され、その
砥粒層は、砥粒として一般砥粒が用いられて台板側に形
成される比較的厚い補強層と、砥粒として超砥粒が用い
られて表面側に形成される比較的薄い研磨層とから構成
される。一般に、超砥粒砥石では研磨或いは研削に用い
られる砥粒層はせいぜい数mmの厚さに過ぎず、加工コス
トを考慮すると、研磨定盤の砥粒として超砥粒が用いら
れる場合には砥粒層を比較的薄くすることが望ましい。
一方、一般に台金はアルミニウム合金やステンレス鋼等
の金属から構成されて砥粒層には熱膨張係数の差に起因
する熱応力が作用すると共に、取扱中に衝撃が与えられ
得ることから、砥粒層に熱応力や衝撃力に抗するだけの
強度を与えるためには、その厚さを比較的厚くすること
が必要である。上記のようにすれば、超砥粒が用いられ
る研磨層の厚さを薄くしても、砥粒層全体の厚みは補強
層の厚さを適宜設定することで十分な厚さとできるた
め、比較的安価で高い強度を備えた研磨定盤を得ること
ができる。なお、上記一般砥粒としては、例えば、酸化
アルミニウム或いは炭化ケイ素等が用いられ、補強層と
研磨層との熱膨張係数の差を可及的に小さくするため
に、その混合比および粒径は超砥粒と同程度とされるこ
とが好ましい。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳
細に説明する。
【0015】図1は、本発明の一実施例の砥粒固定型研
磨定盤(以下、定盤という)10の断面を示す図であ
る。この定盤10は、全体が例えばφ300 ×t40mm 程度
の大きさの円板状を成し、例えば厚さが30mm程度のアル
ミニウム合金等から高剛性に形成された台板12と、そ
の台板12の一面上の中央部の例えば直径 100mm程度の
部分を除く中周部に形成された、例えば厚さが10mm程度
の砥粒層14とを備えている。上記台板12の中央部に
は、軸心方向に貫通するねじ穴16が設けられている。
このねじ穴16は、図示しないラッピング研磨装置に定
盤10を取り付けるために設けられているものである。
また、上記砥粒層14は、台板12側から補強層18お
よび研磨層20が順次積層されて構成されている。
【0016】上記補強層18は、例えば、平均粒径 1μ
m 程度の炭化ケイ素微粉21および平均粒径15μm 程度
の粒状錫粉24が、例えばフェノール樹脂等の熱硬化性
樹脂から成る結合剤26により結合されて成るものであ
り、上記研磨層20は、例えば平均粒径 1μm 程度のダ
イヤモンド砥粒22および平均粒径15μm 程度の粒状錫
粉24が、同様にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂から
成る結合剤26により結合されて成るものである。上記
研磨層20の厚さは、補強層18に比べて比較的薄く、
例えば、 2〜3mm 程度とされている。なお、上記粒状錫
粉24の最小粒径は、ダイヤモンド砥粒22の最大径よ
りも十分に大きくなるように、両者の粒度分布が選択さ
れることが望ましく、本実施例では平均粒径が約15倍
に定められている。また、砥粒の結合度は一般にA〜Z
のアルファベットで表示され、Aに近いほど軟らかい
が、上記補強層18および研磨層20の結合度は、それ
ぞれH〜M程度とされている。
【0017】図2は、定盤10を図1における上側から
見た状態であり、研磨層20の表面の一部を拡大して示
す図である。研磨層20は、上述のように微粒のダイヤ
モンド砥粒22および粗粒の粒状錫粉24とが結合剤2
6により結合されて形成されているため、その表面に
は、両者が結合剤26中に分散した状態で存在してい
る。本実施例においては、上記研磨層20の表面が定盤
10の研磨面に相当し、その研磨面側の表層部には、ダ
イヤモンド砥粒22とそのダイヤモンド砥粒22の最大
径よりも大きい粒径を備えた粒状錫粉24(すなわち軟
質金属粒子)とを含む砥粒層14が設けられている。な
お、上記の砥粒層14においては、炭化ケイ素微粉21
およびダイヤモンド砥粒22が比較的高い密度で存在す
るが、研磨層20においては、特に、粒状錫粉24の近
傍にはその密度が高くなるように局在させられている。
一方、補強層18においては、炭化ケイ素微粉21は局
在させられていない。
【0018】上記の定盤10を用いて図1に示すように
被研磨材28をラッピング研磨するに際しては、定盤1
0をねじ穴16においてラッピング研磨装置に取り付け
てその軸心回りに回転させ、研磨層20の表面すなわち
研磨面に例えば水等の研削液を供給しつつ、被研磨材2
8を所定の押圧力でその研磨面に押しつけて、定盤10
の回転軸と平行な軸回りに自転させる。これにより、被
研磨材28の下面が研磨層20により高精度且つ平滑に
仕上げられる。
【0019】この場合において、上述のように、定盤1
0の表層部には、ダイヤモンド砥粒22と、そのダイヤ
モンド砥粒22の最大径よりも十分に大きい最小粒径を
備えた粒状錫粉24とを含む研磨層20が設けられてい
る。そのため、ラッピング研磨を施すに際しては、定盤
10が砥石として作用することから遊離砥粒液が不要と
なり、被研磨材28が硬度の異なる異種材料を組み合わ
せて成る場合にも、遊離砥粒加工に起因する加工段差の
発生が好適に抑制される。しかも、研磨層20にはダイ
ヤモンド砥粒22の最大径よりも十分大きな最小粒径の
粒状錫粉24が含まれているため、研磨層20から脱落
した比較的大径のダイヤモンド砥粒22は被研磨材28
により押圧されてその粒状錫粉24に埋め込まれること
となる。そのため、目詰まりが生じ難くなって研磨能率
が安定すると共に、定盤10の表面を自由に転動させら
れるダイヤモンド砥粒22が減少させられることから被
研磨材28表面のスクラッチの発生が好適に抑制され
る。
【0020】しかも、粒状錫粉24の平均粒径は、ダイ
ヤモンド砥粒22の平均粒径の15倍程度と、十分に大
きくされているため、研磨層20から脱落したダイヤモ
ンド砥粒22が粒状錫粉24に埋め込まれる割合が一層
高くされて、スクラッチの発生が一層抑制される。
【0021】更に、砥粒層14は、一般砥粒である炭化
ケイ素微粉21が用いられて台板12側に形成される比
較的厚い補強層18と、ダイヤモンド砥粒22が用いら
れて表面側に形成される比較的薄い研磨層20とから構
成されているため、高価な超砥粒が含まれる研磨層20
の厚さを必要以上に厚くすることなく、砥粒層14の厚
さを台金12との熱膨張係数の差に起因する熱応力や取
扱中に与えられる衝撃力に十分耐え得る厚さとすること
ができる。
【0022】なお、一般にダイヤモンド砥粒22等の超
砥粒が用いられた超砥粒砥石等においては、砥粒22の
脱落等による自生作用を利用して研削能率を確保すると
高価な砥粒の損失が著しいことから、砥粒22の結合度
は通常はRよりも硬くされて、容易に脱落しないように
されている。そのため、一般に、超砥粒砥石は目詰まり
が生じ易く研削能率を維持することが困難である。これ
に対して、本実施例によれば、結合度がH〜M程度と比
較的低くされているため砥粒22の脱落が生じ易いが、
脱落した砥粒22は粒状錫粉24に埋め込まれて研磨に
関与させられるため、目詰まりが生じ難く且つ研磨能率
が維持されると共に、砥粒22の損失が殆ど生じないこ
ととなる。
【0023】次に、上記のように構成された定盤10の
製造方法を以下に説明する。
【0024】下記表1のA〜Cの上段および2段目に示
す調合組成の研磨層用原料および補強層用原料を用意
し、A〜Cのそれぞれについて、調合を行った。先ず、
補強層用原料に少量の湿潤剤(例えば、灯油等の石油系
有機溶剤)を添加して、粉体混合機にて高速回転で十分
に混合して補強層用坏土を調製した。次いで、研磨層用
原料を、擂潰機に錫粉,湿潤剤(上記と同様),ダイヤ
モンド砥粒,フェノール樹脂の順に投入して混合するこ
とにより、研磨層用坏土を調製した。なお、粒状錫粉と
しては、平均粒径15μm 程度の比較的粗粒のものを、ダ
イヤモンド砥粒および炭化ケイ素微粉としては、何れも
平均粒径 1μm 程度のものを用い、フェノール樹脂は、
何れの原料においても、ノボラック型フェノール樹脂を
数μm に微粉砕して用いた。
【0025】
【表1】
【0026】そして、所定の金型に上記の補強層用坏土
を充填して軽く押さえた後、研磨層用坏土を均一に充填
し、例えば、熱板を予め 190℃に熱したホットプレス装
置にセットして、全体の密度が上記表1に示される密度
をなるように熱圧縮成形を行った。なお、上記金型の寸
法は、成形後の寸法が、何れも例えば、φ301 ×t 10×
φ99mmとなるように設定した。その後、補強層18側の
表面の一部を切削加工により除去し、前記のアルミニウ
ム合金製の台板12に、例えばエポキシ樹脂等により接
着することにより、前記のような定盤10を得た。な
お、研磨層用坏土を調製するに際して上記手順によった
のは、錫粉に湿潤剤を添加した後にダイヤモンド砥粒を
投入することにより、錫粉にダイヤモンド砥粒をコーテ
ィングするためである。これにより、前述のように、ダ
イヤモンド砥粒22が錫粒子24の回りに局在した研磨
層20が実現される。
【0027】上記のようにして作製した定盤10によ
り、被研磨材28として図3に示す磁気ヘッド用部材3
0の一面を、下記に示すラッピング研磨条件で仕上げ加
工した結果を、遊離砥粒加工と比較した。本実施例の結
果を前記表1に示す。上記磁気ヘッド用部材30は、硬
度の異なる異種材料が組み合わされているものである。
表1に示されるように、本実施例のA〜Cの定盤10に
よれば、磁気ヘッド用部材30(被研磨材28)の仕上
げ面の表面粗さや面精度を従来の遊離砥粒加工と同様な
程度に維持しながら、加工段差を従来の 1/2〜1/3 程度
に小さくすることができた。具体的には、遊離砥粒加工
においては、ベース32と磁性層34との加工段差dm
が20〜30nmであったのに対し、定盤10によった場合に
は、加工段差dm を10nm程度に減じることが可能であっ
た。
【0028】しかも、本実施例によれば、上記の仕上げ
面を得るに際して、研磨レート(単位時間当たりの加工
量)を従来の 2倍程度にすることが可能であり、そのよ
うにしても定盤10の磨耗量は従来の 1/2程度であっ
た。なお、遊離砥粒加工は、水に 1μm のダイヤモンド
砥粒を分散させたスラリーを研磨液として用いた他は、
定盤10を用いたラッピング研磨と同様の条件で行っ
た。
【0029】なお、前記表1において、調合組成D,E
は、本実施例の比較例である。比較例Dは、砥粒および
結合剤が過少に、粒状錫粉が過多に調合されたものであ
り、比較例Eは、砥粒および結合剤が過多に、粒状錫粉
が過少に調合されたものである。Dの場合には、砥粒が
過少であるため高い研磨能率が得られず、錫粉が過多で
あると共に結合剤が過少であるため、研磨層20の強度
が不足してその磨耗量が大きくなると共に被研磨材30
の高い仕上げ面精度が得られない。一方、Eの場合に
は、砥粒が過多であると共に錫粉が過少であるため、脱
落した砥粒が錫粉に十分に保持されずスクラッチ等の原
因となると共に、結合剤が過多であるため、表面に現れ
て研磨に作用する砥粒が少なくなって研磨能率も得られ
ない。したがって、砥粒層14は、前記表1のA〜Cの
ような調合組成とされることが好ましいのである。
【0030】次に、本発明が両面同時ラップ用として用
いられる場合について説明する。本実施例においては、
砥粒層14すなわち研磨層20および補強層18は、下
記の調合組成で作製した。なお、定盤10の製造方法
は、前述の実施例と略同様であるが、ホットプレス装置
の熱板の予熱温度は 180℃程度とし、熱圧縮成形後の全
体の密度は 4.40g/cm3に、成形寸法はφ332 ×t10 ×φ
158mm として、定盤10の寸法をφ330 ×t25 ×φ160m
m とした。また、台板12は、例えばステンレス鋼によ
り構成した。
【0031】上記の定盤10を両面ラップ盤に装着し
て、前記磁気ヘッド用部材30の上下両面を同時研磨し
た。なお、ラッピング研磨条件は、下記に示す通りであ
り、本実施例においても、従来の遊離砥粒加工による場
合と研磨結果を対比した。その結果、表面粗さ,面精度
(スクラッチ,カケ,チッピング等)を従来並に維持し
た状態で、従来の2 〜3 倍の研磨レートが得られると共
にその経時変化が極めて少なかった。また、定盤10の
摩耗量は、従来の遊離砥粒加工に用いられる錫定盤並で
あった。なお、遊離砥粒加工のラッピング研磨条件は、
研磨液に 3μm のダイヤモンド砥粒が分散されたスラリ
ーを用い、供給量を10cc/minとした他は、定盤10によ
る場合と同様とした。
【0032】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は他の態様でも実施される。
【0033】例えば、実施例においては、砥粒層14を
補強層18と研磨層20から構成し、補強層18に炭化
ケイ素微粉(砥粒)21,研磨層20にダイヤモンド砥
粒22を用いたが、用いられる砥粒の種類や粒径は適宜
変更される。例えば、ダイヤモンド砥粒22に代えてC
BN砥粒が用いられても良く、酸化アルミニウムや炭化
ケイ素,酸化セリウム等の一般砥粒が研磨層20に用い
られても良い。また、ダイヤモンド砥粒22やCBN砥
粒等の超砥粒や、一般砥粒から砥粒層14全体を構成し
ても差し支えない。すなわち、砥粒層14は、二層構造
とされていなくとも良い。但し、超砥粒を用いる場合は
二層構造として超砥粒を研磨層20のみに用いること
が、加工コストの増大を抑制するためには好ましい。
【0034】また、砥粒層14に含まれる軟質金属粒子
としては、実施例で用いた粒状錫粉24の他に、銅やそ
れ等と同様の性質を有する金属或いは合金粉体が用いら
れても良い。
【0035】また、砥粒層14に用いられる熱硬化性樹
脂から成る結合剤26としては、実施例で示したフェノ
ール樹脂やエポキシ樹脂の他に、ポリイミド樹脂,メラ
ミン樹脂,ポリエステル樹脂等が用いられても良く、ま
た、結合剤26中にダイヤモンド砥粒22や炭化ケイ素
微粉21よりも微細な(例えば平均粒径 0.1μm 以下)
の酸化アルミニウムや酸化ケイ素が混合されても良い。
【0036】また、実施例においては、被研磨材28と
して異種材料が組み合わされた磁気ヘッド用部材30が
加工される場合について説明したが、本発明の定盤10
は、種々の被研磨材のラッピング研磨に用いられ得、加
工段差が生じ得ない単一材料から成る被研磨材28にお
いても、高い研磨レートが得られると共に、定盤摩耗量
が少ないという利点が得られる。
【0037】また、実施例においては、本発明が円板状
の定盤10に適用された場合について説明したが、本発
明は、種々の寸法,形状の定盤に適用され得る。
【0038】また、実施例においては、定盤10の研磨
面が平坦にされていたが、通常用いられるラッピング研
磨用定盤のように、被研磨材と摺接させられる研磨面に
同心円或いはスパイラル状の所定の深さの溝が設けられ
ていても差し支えない。
【0039】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の砥粒固定型研磨定盤の断面
構造を示す図である。
【図2】図1の定盤を上面の一部を拡大して示す図であ
る。
【図3】ラッピング加工の対象となる被研磨材の一例を
示す図であり、(a) は斜視図を、(b) は(a) におけるb
−b断面の要部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
10:砥粒固定型研磨定盤 14:砥粒層 22:ダイヤモンド砥粒(砥粒) 24:粒状錫粉(軟質金属粒子) 28:被研磨材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被研磨材の表面をラッピング研磨するに
    際して該被研磨材が研磨面に摺接させられる研磨定盤で
    あって、 砥粒と、該砥粒の平均粒径よりも大きい平均粒径を備え
    た軟質金属粒子とを含む砥粒層が、前記研磨面側の表層
    部に設けられていることを特徴とする砥粒固定型研磨定
    盤。
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