JPH08174196A - 溶湯搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶湯を保有した取鍋などとされる溶湯保持手
段に設けられた蓋を開閉する機構を備え、蓋の開閉のた
めの特別の場所を必要とせず蓋の開閉を行なうことがで
き、それによって、特別な作業場所、作業用クレーンな
どを必要とせず、装置のコストの上昇を抑え、タイムサ
イクルを小さくすることができ、作業効率を向上させ溶
湯保持手段内の溶湯の温度低下を最小限度とすることの
できる溶湯搬送装置を提供する。 【構成】 溶湯搬送装置は、走行手段２と、この走行手
段２に取付けられた懸架手段１２とを有する。懸架手段
１２には溶湯を保有した取鍋１が懸架され、取鍋１はホ
イスト２０により上下方向に移動可能とされる。又、取
鍋１の開口部１ａを閉鎖するための蓋５０が設置され
る。この蓋５０は、蓋開閉装置６０にて、取鍋１の下方
向移動時に必要に応じて保持され、取鍋１の開口部１ａ
を開放する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一般には鋳造技術に関
するものであり、特に、鉄、アルミニウムなどの溶融金
属（溶湯）を保有した取鍋或はその他の溶湯保持手段
を、例えば溶解炉から保持炉へと、或は溶解炉或は保持
炉から注湯位置へと搬送するための溶湯搬送装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来鋳造工場において、溶湯は溶解炉或
は保持炉から例えば注湯取鍋へと満載され、そして溶湯
搬送装置にて例えば注湯セクシヨンつまりモールド枠が
配列されている注湯位置へと運搬され、次いで、取鍋を
回転傾斜させ、各モールド枠の湯口へと溶湯が注入され
る。

【０００３】このような取鍋では、取鍋に保有した溶湯
温度が、上記搬送時に、或は注湯作業時に低下するのを
防ぐために取鍋の上方開口部に蓋が設けられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶解炉
或は保持炉から供給された溶湯は、湯質調整のために、
種々の調質材を注入する必要があり、又、表面に浮上し
てきたノロ或はスラグを取鍋から掻き出すことが必須で
あるために、取鍋は、注湯位置へと搬送される途中にお
いて、取鍋蓋を少なくとも１回以上開閉することが必要
となる。一般に、取鍋蓋は、その重量が大であり、従っ
て、通常、取鍋を地上に降ろして、作業者が、クレーン
などを使用して取鍋蓋を取鍋上方へと吊り上げることが
行なわれている。

【０００５】このような、取鍋蓋の開閉作業は、蓋開閉
のための場所の確保、蓋開閉のためだけに使用するクレ
ーンの設置が必要となり、又、地上に降ろしてからの作
業となることもあり、そのために作業タイムサイクルが
大きくなり、取鍋内の溶湯の温度低下をもたらし、更に
は、作業効率及び製造コストの点で問題がある。

【０００６】従って、本発明の目的は、溶湯を保有した
取鍋などとされる溶湯保持手段に設けられた蓋を開閉す
る機構を備え、蓋の開閉のための特別の場所を必要とせ
ず蓋の開閉を行なうことができ、それによって、特別な
作業場所、作業用クレーンなどを必要とせず、装置のコ
ストの上昇を抑え、タイムサイクルを小さくすることが
でき、作業効率を向上させ溶湯保持手段内の溶湯の温度
低下を最小限度とすることのできる溶湯搬送装置を提供
することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明の溶
湯搬送装置によって完全に達成される。要約すれば、本
発明は、溶湯を保有する溶湯保持手段を担持し、所定位
置へと搬送する溶湯搬送装置であって、走行手段と、こ
の走行手段に取付けられそして前記溶湯保持手段を懸架
すると共にこの溶湯保持手段を上下方向に移動すること
のできる懸架手段と、前記溶湯保持手段の開口部を閉鎖
するための蓋と、前記溶湯保持手段の下方向移動時に、
必要に応じて前記蓋を保持し、前記溶湯保持手段の開口
部を開放するための蓋開閉装置とを有することを特徴と
する溶湯搬送装置である。

【０００８】好ましい実施態様によると、前記懸架手段
は、前記走行手段に固着された基台フレーム構造体と、
この基台フレーム構造体に設けられ、前記溶湯保持手段
を支持する支持フレーム構造体と、この支持フレーム構
造体を上下方向に移動するための駆動手段とを有する。
又、前記蓋開閉装置は、電動シリンダー手段と、この電
動シリンダー手段により作動され、前記蓋に設けられた
係止部材に係合するための蓋開閉フックとを有する。

【０００９】

【実施例】次に、図面を参照して本発明に係る溶湯搬送
装置を説明する。本発明にて、溶湯搬送装置は、地上よ
り所定の高さ位置に設置された軌条を走行する走行手段
を備え、この走行手段にて、溶湯を保持する溶湯保持手
段を搬送する、所謂空間走行式の溶湯搬送装置である。

【００１０】図１〜図５に本発明の溶湯搬送装置の一実
施例を示す。本実施例にて、溶湯を保有する溶湯保持手
段１は注湯取鍋であるとして説明する。しかしながら、
本発明はこれに限定されるものではない。

【００１１】本実施例にて、溶湯搬送装置の走行手段２
は、工場内の天井部に設備された軌条４を走行する駆動
源を備えた自走車６と、この自走車６と組をなす従動車
８と、この自走車４及び従動車８に取付けられた台車１
０とを有する自走式の走行手段（自走手段）とされる。
この自走手段２の台車１０には、取鍋１を保持するため
の懸架手段１２が取付けられる。

【００１２】懸架手段１２は、台車１０に固着された、
複数の縦フレーム１４ａ及び横フレーム１４ｂにて構成
される基台フレーム構造体１４を備え、この基台フレー
ム構造体１４の内部には、取鍋１を支持する支持フレー
ム構造体１６が配置される。この支持フレーム構造体１
６も又複数の縦フレーム１６ａ、横フレーム１６ｂ及び
斜フレーム１６ｃにて構成されている。支持フレーム構
造体１６の下側横フレーム１６ｂには滑車１８が取付け
られ、この滑車１８は、台車１０に取付けられた巻上げ
機（ホイスト）２０からのワイヤ２２が捲回されてい
る。従って、ホイスト２０の駆動モータを駆動すること
により、支持フレーム構造体１６は、基台フレーム構造
体１４に対して上下動される。好ましくは、支持フレー
ム構造体１６の上下動時に支持フレーム構造体１６が基
台フレーム構造体１４に対して揺れることなく移動し得
るように、支持フレーム構造体１４にガイドローラ（図
示せず）を設け、基台フレーム構造体１４に沿って上下
移動するように構成することも可能である。

【００１３】本実施例にて注湯取鍋１は、その両側部に
上方へと延在した支持ロッド３２を備え、両支持ロッド
３２は横支持フレーム３４にて連結されている。この横
支持フレーム３４は、上方へと突出した支持板３６を有
する。一方、前記支持フレーム構造体１２の下側横フレ
ーム１６ｂには、前記支持板３６に対応した位置にフッ
ク３８を備え、支持板３６に形成された長穴４０に挿入
可能とされる。従って、フック３８が支持板３６の長穴
４０に挿入された状態で、前記支持フレーム構造体１６
がホイスト２０により上方へと巻上げられると、取鍋１
も又上方へと持ち上げられることとなる。図１及び図２
は、取鍋１が上方へと持ち上げられた状態を示す。

【００１４】本発明によれば、取鍋１には上部開口部１
ａに適合して蓋５０が載置される。この取鍋蓋５０は、
耐火材、例えばキャスタブルを鋼鉄の外板にて補強する
ことによって作製することができる。又、この取鍋蓋５
０は、次に説明する蓋開閉装置６０にて取鍋１に対して
着脱自在とされる。

【００１５】つまり、本実施例によれば、この取鍋蓋５
０には係止部材が設けられ、本実施例にて係止部材は、
蓋５０の上部前端及び後端にてそれぞれ、支持台５２に
支持され平行に設けられた支持軸５４にて構成される。
この両支持軸５４は、取鍋１の両側部より外方へと突出
した端部を備えており、この端部に適合して、蓋開閉装
置６０を構成する蓋開閉フック５６が配置される。蓋開
閉フック５６は、基台フレーム構造体１４に回転自在に
設けられた横軸５８に固着されている。この横軸５８
は、その一端が基台フレーム構造体１４より、外方へと
延在し、その先端には、図３をも参照するとより良く理
解されるように、作動片部材６８が固着される。

【００１６】前記蓋開閉装置６０は、本実施例では、更
に電動シリンダー手段６２を備え、電動シリンダー手段
６２の作動によりピストンロッド６４が駆動される。ピ
ストンロッド６４の先端には押圧カム部材６６が取付け
てあり、この押圧カム部材６６は、前記作動片部材６８
に当接可能とされる。従って、ピストンロッド６４が、
電動シリンダー手段６２を付勢することにより下方へと
突き出し駆動されると、押圧カム部材６６が作動片部材
６８に当接し、更にピストンロッド６４を下方へと駆動
すると、押圧カム部材６６が作動片部材６８を更に下方
へと押し下げる。それにより、作動片部材６８を固着し
ている横軸５８が回転し、従って、蓋開閉フック５６
が、図３にて実線位置（取鍋蓋保持位置）から一点鎖線
位置（取鍋蓋開放位置）へと回転される。即ち、蓋開閉
フック５６が支持軸５４に対し係合解除状態となる。

【００１７】又、電動シリンダー手段６２が作動し、ピ
ストンロッド６４を上方へと引き戻すと、押圧カム部材
６６による作動片部材６８への押圧力が解除され、蓋開
閉フック５６は、自重により、図３にて一点鎖線位置か
ら実線位置へと回転する。即ち、蓋開閉フック５６が支
持軸５４に対し係合状態となる。

【００１８】次に、上記構成の溶湯搬送装置の作動につ
いて説明する。

【００１９】取鍋１が溶湯搬送装置にて搬送されている
ときは、図１及び図２に示すように、フック３８が取鍋
支持板３６の長穴４０に挿入され、支持フレーム構造体
１６及び取鍋１がホイスト２０により上方へと持ち上げ
られた状態とされる。

【００２０】このとき、取鍋１の蓋５０は取鍋１の上部
開口部１ａに載置され、取鍋１を閉鎖している。又、蓋
開閉フック５６は、取鍋蓋開閉装置６０により、図２に
示すように、外側へと回転されており、支持軸５４との
係合は解除されている。

【００２１】次いで、自走手段２が駆動されることによ
り、溶湯搬送装置が溶解炉或は保持炉位置に到達する
と、先ず、蓋開閉装置６０が作動し、ピストンロッド６
４を上方へと移動させる。これによって、蓋開閉フック
５６は自重により回転し、即ち、図３及び図４にて、一
点鎖線の位置から実線の位置へと内方に回転し、蓋開閉
フック５６は支持軸５４に対して係合位置へと移動す
る。次いで、ホイスト２０を駆動し、支持フレーム構造
体１６及び取鍋１を下方へと降下する。このとき、取鍋
蓋５０は、上述のように、蓋開閉フック５６に支持軸５
４が係合、保持されることにより、下方への降下が阻止
される。つまり、取鍋１のみが下方へと移動し、取鍋１
から蓋５０が除去され、取鍋１の上部開口部１ａが開放
される。取鍋１は、適当な位置まで降下して停止され、
溶解炉或は保持炉から、所望量の溶湯が開放された開口
部１ａを介して内部へと供給される。

【００２２】次に、溶湯が取鍋内へと満載されると、取
鍋１は、ホイスト２０が駆動されて上方へと持ち上げら
れ、再度図１及び図２に示すように、取鍋蓋５０により
取鍋開口部１ａが閉鎖される。取鍋１は、このように蓋
５０にて閉鎖された状態で、例えば湯質調整及びノロ、
スラグ除去位置まで搬送される。この作業位置でも又、
取鍋蓋５０を蓋開閉フック５６で保持し、取鍋１のみ
を、図３に示すような状態にまで上記手順を辿って降下
した後、取鍋１内に調質材を投入し、次いで、ノロ、ス
ラグなどが除去される。その後、取鍋１は、例えば図１
及び図２の状態にまで持ち上げられ、蓋５０にて取鍋開
口部１ａを閉鎖して注湯位置へと搬送される。

【００２３】このように本発明によれば、取鍋１の蓋５
０は蓋開閉フック５６で保持することができるので、必
要に応じて取鍋１を作業位置へと降下せしめることによ
って、取鍋開口部１ａから除去することができ、従来の
ように、蓋開閉のためだけのクレーンを作業位置毎に別
途設ける必要はなく、又、地上に降ろしてから作業する
必要もなく、そのためにタイムサイクルを著しく短縮す
ることができる。従って、作業効率を改善すると共に、
斯かる作業に起因した取鍋内の溶湯の温度低下の問題を
も解決することができる。

【００２４】溶湯搬送装置にて、取鍋１が注湯位置にま
で搬送されると、図５に示すように、ホイスト２０を駆
動し、支持フレーム構造体１６及び取鍋１を下方へと降
下する。このとき、取鍋蓋開閉装置６０が作動し、ピス
トンロッド６４が下方に駆動され、上述したように、押
圧カム部材６６が作動片部材６８に作用して、蓋開閉フ
ック５６が支持軸５４に対し係合解除状態となる。つま
り、蓋開閉フック５６は、取鍋蓋開閉装置６０により外
側へと回転されたままとされ、従って、支持軸との係合
は解除位置にあり、そのために、蓋５０が蓋開閉フック
５６に保持されることはなく、取鍋１は、蓋５０を有し
たまま下方へと移動する。

【００２５】注湯位置には注湯装置１００が配置されて
おり、降下した取鍋１は、この注湯装置１００に適合し
て装着される。

【００２６】本実施例で、注湯装置１００は、モールド
枠（図示せず）が配置された注湯ラインへと接離移動す
る台車１０２に搭載されている。従って、台車１０２
が、図５にて右側方向へと移動すると、溶湯搬送装置の
フック３８が取鍋支持板３６の長穴４０から離脱し、取
鍋１は注湯装置１００と共にモールド枠位置へと移動す
ることができる。

【００２７】又、本実施例では、取鍋１は扇形取鍋とさ
れ、その注湯口近傍に配置して回転中心軸１０４を中心
として、取鍋１に設けたハンドル７０を廻して、或は、
自動制御により、傾動され、モールド枠に取鍋１から溶
湯が注湯される。この注湯方法は、当業者には周知であ
るので、これ以上の説明は省略する。

【００２８】このようにして、注湯作業を行なうことに
より、取鍋１が保有した溶湯が消費尽くされると、台車
１０２は、図４に示す元の位置へと左側に移動し、溶湯
搬送装置のフック３８に取鍋支持板３６の長穴４０が適
合することとなる。

【００２９】その後、ホイスト２０が作動し、支持フレ
ーム構造体１６及び取鍋１が上方へと持ち上げられ、溶
解炉或は保持炉へと搬送される。以後、上記と同じ手順
にて、注湯作業が行なわれる。

【００３０】又、上記実施例では、本発明の取鍋１は、
扇形取鍋であるとして説明したが、これに限定されるも
のではなく、通常の円筒形状の取鍋にも本発明の原理は
適用できるものであり、同様の作用効果を達成し得る。

【００３１】又、取鍋蓋開閉装置も、上記構成に限定さ
れるものではなく、当業者には種々の変更態様が想到さ
れるであろう。これもまた、本発明の範囲内である。

【００３２】

【発明の効果】以上の如くに、本発明の溶湯搬送装置
は、懸架手段に支持された取鍋のような溶湯保持手段が
下方向に移動するときに、この溶湯保持手段の開口部を
閉鎖している蓋を保持し、前記溶湯保持手段の開口部を
開放する構成とされるので、蓋開閉のための場所の確
保、蓋開閉のためだけに使用するクレーンなどの設置が
不要となり、装置のコストの上昇を抑え、作業タイムサ
イクルを小さくすることができ、作業効率を向上させ、
溶湯保持手段内の溶湯の温度低下を最小限度とすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る溶湯搬送装置の一実施例の正面図
である。

【図２】図１の溶湯搬送装置の側面図で、蓋開閉装置は
省略されている。

【図３】図２と同様の側面図で、蓋開閉装置による蓋開
閉フックの作動態様を説明する。

【図４】図２と同様の側面図で、取鍋のみが降下した状
態を示し、蓋開閉装置は省略されている。

【図５】図２と同様の側面図で、蓋と共に取鍋が注湯装
置へと降下し、装着された状態を示し、蓋開閉装置は省
略されている。

【符号の説明】

１ 取鍋 ２ 走行手段 ４ 軌条 １０ 台車 １２ 懸架手段 １４ 基台フレーム構造体 １６ 支持フレーム構造体 ２０ 巻上げ機 ５０ 蓋 ５６ 蓋開閉フック ６０ 蓋開閉装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶湯を保有する溶湯保持手段を担持し、
   所定位置へと搬送する溶湯搬送装置であって、走行手段
   と、この走行手段に取付けられそして前記溶湯保持手段
   を懸架すると共にこの溶湯保持手段を上下方向に移動す
   ることのできる懸架手段と、前記溶湯保持手段の開口部
   を閉鎖するための蓋と、前記溶湯保持手段の下方向移動
   時に、必要に応じて前記蓋を保持し、前記溶湯保持手段
   の開口部を開放するための蓋開閉装置とを有することを
   特徴とする溶湯搬送装置。
2. 【請求項２】 前記懸架手段は、前記走行手段に固着さ
   れた基台フレーム構造体と、この基台フレーム構造体に
   設けられ、前記溶湯保持手段を支持する支持フレーム構
   造体と、この支持フレーム構造体を上下方向に移動する
   ための駆動手段とを有する請求項１の溶湯搬送装置。
3. 【請求項３】 前記蓋開閉装置は、電動シリンダー手段
   と、この電動シリンダー手段により作動され、前記蓋に
   設けられた係止部材に係合するための蓋開閉フックとを
   有する請求項１又は２の溶湯搬送装置。