JPH08174189A - 耐摩耗性部材の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性部材の製造方法

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JPH08174189A
JPH08174189A JP31681294A JP31681294A JPH08174189A JP H08174189 A JPH08174189 A JP H08174189A JP 31681294 A JP31681294 A JP 31681294A JP 31681294 A JP31681294 A JP 31681294A JP H08174189 A JPH08174189 A JP H08174189A
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hard particles
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JP31681294A
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Toshiki Yoshida
敏樹 吉田
Katsuhiko Kojo
勝彦 古城
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Hitachi Metals Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 超硬合金層を形成する硬質粒子及び超硬合金
チップと鋳物本体とが強固に接合した耐摩耗性部材の製
造方法を提供する。 【構成】 黒鉛化促進元素を含む合金を硬質粒子と混合
して鋳型内に設置し、さらには黒鉛化促進元素を含み溶
融温度が鋳鉄の溶融温度より低温である合金を硬質粒子
と混合して鋳型内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注
入するようにしたので硬質粒子と母材鋳鉄との接合を強
固なものとすることができる。また黒鉛化促進元素を含
み溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低温である合金を硬質
粒子と混合して鋳型内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯
を注入すると共に溶融温度が鋳鉄の溶融温度より高温で
ある接種剤を溶湯中に添加するようにしたので硬質粒子
と母材鋳鉄との接合は強固なものとなり、かつ接種剤の
溶け残りを防止しつつ接種効果を持続させて全体として
も高い接種効果を得るようにすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性部材の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基礎工事用掘削部品のケーシングビット
や、トンネル掘削に使用するカッターコーンなど耐摩耗
性や耐衝撃性が要求される部品すなわち耐摩耗性部材は
従来から鋳物の本体に超硬合金チップを組み合わせて作
成されていた。従来、この様に鋳物部品に超硬合金チッ
プを組み合わせるにあたっては超硬合金チップを鋳物本
体にろう付けする方法を採っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし以上の従来の耐
摩耗性部材の製造方法におけるろう付けによる接合は接
合強度が充分ではなく、そのため超硬合金チップが母材
である鋳物から取れてしまう問題が生じていた。
【0004】従って本発明は以上の従来技術における問
題に鑑みてなされたものであって、超硬合金層を形成す
る硬質粒子及び超硬合金チップと鋳物本体とが強固に接
合した耐摩耗性部材の製造方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成する本
発明の耐摩耗性部材の製造方法は、黒鉛化促進元素を含
む合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設置し、その鋳型
内に鋳鉄溶湯を注入することを特徴とする。
【0006】以上の本発明において黒鉛化促進元素を含
む合金すなわち接種剤を硬質粒子と混合して鋳型内に設
置する態様としては例えば接種剤を硬質粒子と混合して
鋳型表面に塗布した鋳型に鋳鉄溶湯を注湯するようにす
ることができる。
【0007】また本発明の耐摩耗性部材の製造方法は、
黒鉛化促進元素を含み溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低
温である合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設置し、そ
の鋳型内に鋳鉄溶湯を注入することを特徴とする。
【0008】以上の本発明の耐摩耗性部材の製造方法に
よれば溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低温である合金す
なわち接種剤を硬質粒子と混合して用いるので、かかる
接種剤は溶融温度が鋳鉄の溶融温度より高温の接種剤を
用いる場合よりも低温から溶解しはじめるので、接種効
果の発現が早くなり、また接種剤が低温で溶解するため
溶け残り不良の防止効果も得ることができ、その結果硬
質粒子と母材鋳鉄との界面にセメンタイト(Fe3C)
を生じ、接合面が脆化することがなく、両者の接合を強
固なものとすることができる。なお、ここにいう黒鉛化
促進元素とは鋳鉄中のセメンタイト(Fe3C)を分解
させて鉄(Fe)と黒鉛にさせる物質であって、Fe3
Cの分解を助長する物質であり、一般にけい素(S
i)、ニッケル(Ni)などは黒鉛化促進元素である。
【0009】また本発明の耐摩耗性部材の製造方法は、
黒鉛化促進元素を含み溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低
温である合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設置し、そ
の鋳型内に鋳鉄溶湯を注入すると共に溶融温度が鋳鉄の
溶融温度より高温である接種剤を溶湯中に添加すること
を特徴とする。
【0010】溶融温度が鋳鉄の溶融温度より高温である
接種剤では通常溶け残りが生じ、普通の鋳物で鋳型内接
種をするときには鋳物が小さくなると溶けのこることが
多い。そのように溶け残りが生じると硬質粒子と母材鋳
鉄との界面にセメンタイト(Fe3C)を生じ、接合が
不十分となる問題が生じる。これに対して溶融温度が鋳
鉄の溶融温度より低温である接種剤では例えば鋳型に塗
布して用いても溶け残りが生じない。しかし、一方、溶
融温度が鋳鉄の溶融温度より低温である接種剤では溶け
残りが生じない反面、早期に溶解するため、接種効果を
持続させるのが困難な場合が生じ、鋳物全体としての接
種効果が不十分となる場合もある。そこで本発明の様に
することにより、溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低温で
ある合金すなわち接種剤を硬質粒子と混合して鋳型内に
設置、例えば鋳型に塗布して用いても溶け残りは生じ
ず、硬質粒子と母材鋳鉄との接合は強固なものとなり、
一方、溶融温度が鋳鉄の溶融温度より高温である接種剤
を溶湯中に添加して用いることにより、接種剤の溶け残
りを防止しつつ接種効果を持続させて全体としても高い
接種効果を得るようにすることができる。
【0011】さらに本発明の耐摩耗性部材の製造方法
は、黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及びNiである
合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設置し、その鋳型内
に鋳鉄溶湯を注入することを特徴とする。
【0012】主成分がSi及びNiであるNi−Si接
種剤の共晶温度は993℃で、Fe−Siの1270℃
より低い。したがって溶湯中に添加したときにFe−S
iよりも低温から溶解しはじめるので、接種効果の発現
が早く、また、低温で溶解するため、溶け残り不良も防
止できる。かかるNi−Si接種剤すなわち主成分がS
i及びNiである合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設
置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入することにより硬質
粒子と母材鋳鉄の界面に生じるセメンタイト(Fe
3C)を防止し、両者の接合を強固とすることができ
る。
【0013】加えて本発明の耐摩耗性部材の製造方法
は、黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及びNiであ
り、3wt%以下のBaを含有する合金を硬質粒子と混合
して鋳型内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入する
ことを特徴とする。ここで3wt%以下のBaを添加する
のは接種効果の持続に有効であるからであり、特に本発
明の耐摩耗性部材の製造方法に用いる溶融温度が球状黒
鉛鋳鉄の溶融温度より低温である接種剤例えばNi−S
i系接種剤では、接種剤の早期溶解と、Ba添加による
接種効果の持続との相乗効果が認められ有効となる。こ
こで、Baの添加量を3wt%とするのは添加量が3wt%を
越えても接種効果の増大は認められないからである。
【0014】さらに本発明の耐摩耗性部材の製造方法
は、黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及びNiである
合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設置し、その鋳型内
に鋳鉄溶湯を注入すると共に主成分がSi及びFeであ
る接種剤を溶湯中に添加することを特徴とする。すなわ
ち主成分がFe及びSiである接種剤では通常溶け残り
が生じ、普通の鋳物で鋳型内接種をするときには鋳物が
小さくなると溶けのこることが多い。そのように溶け残
りが生じると硬質粒子と母材鋳鉄との界面にセメンタイ
ト(Fe3C)を生じ、接合が不十分となる問題が生じ
る。これに対して主成分がSi及びNiである接種剤で
は例えば鋳型に塗布して用いても溶け残りが生じない。
しかし、一方、主成分がSi及びNiである接種剤では
溶け残りが生じない反面、早期に溶解するため、接種効
果を持続させるのが困難な場合が生じ、鋳物全体として
の接種効果が不十分となる場合もある。そこで本発明の
様にすることにより、主成分がSi及びNiである合金
すなわち接種剤を硬質粒子と混合して鋳型内に設置、例
えば鋳型に塗布して用いても溶け残りは生じず、硬質粒
子と母材鋳鉄との接合は強固なものとなり、一方、主成
分がFe及びSiである接種剤を溶湯中に添加して用い
ることにより、接種剤の溶け残りを防止しつつ接種効果
を持続させて全体としても高い接種効果を得るようにす
ることができる。
【0015】なお、以上の場合には主成分がSi及びN
iである接種剤が3wt%以下のBaを含有する様にする
のが好ましい。さらに以上の各場合において本発明にお
いては主成分がSi及びNiである接種剤のSi含有量
を50〜80wt%とするのが好ましい。すなわちSiが
50wt%未満の場合にはかかる接種剤の状態図における
液相線の温度が球状黒鉛鋳鉄の溶融温度よりも低くなり
接種効果が極めて早く消失し、全体としての接種効果が
低くなり好ましくない。またSiが80wt%を越える場
合には工業的に製造することが困難になる。さらに以上
の本発明の耐摩耗性部材の製造方法にあっては鋳型の所
定位置に予め超硬合金部品すなわち超硬合金チップを配
置し、その状態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入するよう
にすることができる。また黒鉛化促進元素を含む合金を
硬質粒子と混合して塗布した超硬合金部品を鋳型の所定
位置に配置し、その状態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入
するようにすることができ、さらに黒鉛化促進元素を含
み溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低温である合金を硬質
粒子と混合して塗布した超硬合金部品を鋳型の所定位置
に配置し、その状態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入する
ようにすることができ、加えて黒鉛化促進元素を含み主
成分がSi及びNiである合金を硬質粒子と混合して塗
布した超硬合金部品を鋳型の所定位置に配置し、その状
態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入する様にすることがで
き、さらにまた黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及び
Niであり、3wt%以下のBaを含有する合金を硬質粒
子と混合して塗布した超硬合金部品を鋳型の所定位置に
配置し、その状態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入する様
にすることができる。以上のようにすることにより、基
礎工事用掘削部品のケーシングビットや、トンネル掘削
に使用するカッターコーンなど所望の部品を鋳造鋳ぐる
みで製造することができしかも超硬合金チップを溶湯で
鋳ぐるむ際に界面にセメンタイト(Fe3C)を生じる
ことなく超硬合金チップと母材とを拡散接合させるの
で、超硬合金チップが母材から取れることはない。ま
た、チップが付いていない鋳肌部分も硬質粒子例えば超
硬合金粉末を同時に鋳ぐるむことで、超硬合金と同じ特
性を持つ表面にすることができる。
【0016】なお以上の本発明の耐摩耗性部材の製造方
法においては、用いられる硬質粒子を超硬合金とするこ
とができ、特に硬質粒子がWC,TiC,TaC、Mo
2C、VCのうち少なくとも一以上を含む様にすること
ができる。さらになお以上の本発明の耐摩耗性部材の製
造方法においては、用いられる鋳鉄を球状黒鉛鋳鉄とす
ることができ、それにより強靱な鋳鉄母材を得ることが
できる。加えて以上の本発明の耐摩耗性部材の製造方法
においては、硬質粒子の周辺部に溶融温度が鋳鉄の溶融
温度より低温であって黒鉛化促進元素を含有する合金が
偏析している組織を有させる特徴を有する。
【0017】
【作用】以上の本発明の耐摩耗性部材の製造方法では次
の機構により母材と硬質粒子との接合が強固なものとな
る。溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低温であって黒鉛化
促進元素を含有する合金、例えばNi−Si合金(接種
剤)を硬質粒子、すなわち鋳鉄母材に鋳ぐるまれる材料
の周りに配置することにより、鋳造過程でその部分で非
常に早く黒鉛が析出すると共に、Ni−Si合金と相手
材とが作用して融合する。その場合黒鉛の析出が遅く母
材がチル化すると母材にクラックが入る。しかし、本発
明のように溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低温であって
黒鉛化促進元素を含有する合金、例えばNi−Si合金
を硬質粒子と共に配置することによって早期に母材を形
成する鋳鉄溶湯から黒鉛が早期に析出し、チル化を防止
して、クラックの生成を防止することができる。その結
果として硬質粒子と鋳鉄母材との接合は強固なものとな
る。
【0018】また以上の本発明の耐摩耗性部材の製造方
法では超硬合金チップを溶湯で鋳ぐるみ、その場合に超
硬合金チップに予め溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低温
であって黒鉛化促進元素を含む合金を硬質粒子と混合し
て塗布することで超硬合金チップと母材とを拡散接合さ
せるので、超硬合金チップが母材から取れることはな
い。また、チップが付いていない鋳肌部分も超硬合金粉
末を同時に鋳ぐるむことで、超硬合金と同じ特性を持つ
表面にすることができる。以上の機構を更に詳細に説明
すれば、本発明の耐摩耗性部材の製造方法ではその鋳造
過程でまず超硬合金チップのCoがバインダーとなった
WCのCが黒鉛化し、鋳鉄中にとけ込んでいく。すなわ
ちCoが最初に溶けて、WCがバラバラになっていき徐
々に鋳鉄中に拡散していき、その際溶融温度が鋳鉄の溶
融温度より低温であって黒鉛化促進元素を含有する合
金、例えばNi−Si合金の作用によってCが黒鉛化し
て、WCの鋳鉄中への拡散が均一に行われる。それによ
り超硬合金チップのWCの外側の層が剥がれて、その内
側に母材鋳鉄が入り込む。その結果連続的に変化した接
合層を得ることができる。以上の過程において溶融温度
が鋳鉄の溶融温度より低温であって黒鉛化促進元素を含
有する合金、例えばNi−Si合金を超硬表面に塗布し
ていることにより超硬合金のCo、Wが鋳鉄の基地に溶
融してもWCのCは容易に黒鉛化し、M6C((Fe
W)6C)などの脆弱な炭化物が作られることが防止さ
れる。また超硬合金と鋳鉄母材の界面でのWによるセメ
ンタイト化も防止される。
【0019】以上において本発明で特に溶融温度が球状
黒鉛鋳鉄の溶融温度より低温である接種剤例えばNi−
Si合金を用いるのは次の理由による。Ni−Si合金
及びFe−Si合金の状態図をみるとFe−Si合金の
共晶温度が1210〜1220℃であるのに対してNi
−Si合金の共晶温度は950〜990℃であり、Ni
−Si合金の方がFe−Siよりも低温で溶けやすいこ
とが判る。それと同時に、Ni−Si合金ではFe−S
i合金と比べた場合にSi量を同程度に含ませることが
できる。ここで接種剤において接種効果を発揮するのは
SiでありSi量が同程度であればFe−SiでもNi
−Siでも同程度に接種効果を発揮する。しかも前述し
たようにNi−Si合金はFe−Siに比べて融点が低
いので早い時期に効き始める。一方、Ni−Si合金及
びFe−Siの溶け終わりの時期はそれ等の状態図の液
相線で示される様にFe−Si、Ni−Si共に同程度
の温度である。
【0020】以上のことからNi−Siは早い時期から
効き初めて、Fe−Siと同じ位の時期まで効き続け
る。また本発明の耐摩耗性部材の製造方法では黒鉛粒数
が増えるという作用が認められる。すなわち鋳鉄溶湯の
表面は温度が低く例えば鋳型表面部では温度が低いので
Fe−Si接種剤では溶け込まない。これに対し本発明
の耐摩耗性部材の製造方法に硬質粒子と混合して用いら
れる接種剤例えばNi−Si合金接種剤ではFe−Si
等の接種剤に比べて非常に低い温度から溶け始める。従
って、鋳物表面のチル化防止については本発明の耐摩耗
性部材の製造方法で用いられる接種剤例えばNi−Si
合金の接種剤がはるかに有利となる。
【0021】
【実施例】以下に本発明の耐摩耗部材の製造方法の実施
例について説明する。 実施例1 表1に示す成分のNi−Si系接種剤を用いて、本発明
の耐摩耗性部材の製造方法を実施した。まず、超硬合金
チップを砂でできた鋳型内にセットした。一方、粒径5
μm以下の炭化タングステン(WC)を主成分とする超
硬合金粉末及び表1に示す成分のNi−Si系接種剤を
塗型剤と混合して、ペースト状物質を作り、これを鋳型
内面の必要な部分(耐摩耗性を高めたい部分)に塗布、
数時間自然乾燥して、硬質予定層を形成させた。塗布す
るペーストの厚さは1〜5mm程度とした。ペーストが
乾燥した後、鋳型に溶湯を流し込み、超硬合金チップと
超硬合金粉末とを同時に鋳くるんだ。
【0022】
【表1】
【0023】表1に示される組成においてAl、Caは
一般的に接種剤にはこの程度は含まれるものであり、製
造工程で硅砂から入ってくる。これに対してBaは意図
的に添加している。以上の実施例によって得られた鋳物
は母材が鉄系材料の特性を持ちながら、表面は超硬合金
と同じ耐摩耗性を持っていた。超硬合金チップが母材と
拡散接合している一方、超硬合金粉末ペーストを塗布し
た部分も超硬合金粉末と母材が拡散しあい、表面の超硬
層から母材の鋳鉄層まで組織が連続的に変化しており、
両者は一体化していた。マイクロビッカース硬さは、硬
質層が630〜1010、鋳鉄層が210〜250であ
った。以上により得られた耐摩耗性部材の組織写真を図
1に示す。また図2及び図3にサンプルの取りだし位置
と組織写真の撮影位置を示す。図1に示されるように実
施例により得られた耐摩耗性部材では硬質粒子が内層と
これを取り巻く外層との2重構造となっておいる。これ
は硬質粒子のCoが最初に溶けて、WCがバラバラにな
っていき徐々に鋳鉄中に拡散していき、その際Ni−S
i合金の作用によってCが黒鉛化して、WCの鋳鉄中へ
の拡散が均一に行われ、それにより硬質粒子のWCの外
側の層が剥がれて、その内側に母材鋳鉄が入り込む。そ
の結果連続的に変化した接合層が形成されることによ
る。従ってかかる硬質粒子の外層はNi−Si合金が部
分的に偏析したものとなっている。
【0024】
【発明の効果】以上の様に本発明の耐摩耗性部材の製造
方法によれば黒鉛化促進元素を含む合金を硬質粒子と混
合して鋳型内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入す
るようにし、さらには黒鉛化促進元素を含み溶融温度が
鋳鉄の溶融温度より低温である合金を硬質粒子と混合し
て鋳型内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入するよ
うにしたので硬質粒子と母材鋳鉄との接合を強固なもの
とすることができる。また本発明の耐摩耗性部材の製造
方法によれば、黒鉛化促進元素を含み溶融温度が鋳鉄の
溶融温度より低温である合金を硬質粒子と混合して鋳型
内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入すると共に溶
融温度が鋳鉄の溶融温度より高温である接種剤を溶湯中
に添加するようにしたので硬質粒子と母材鋳鉄との接合
は強固なものとなり、かつ接種剤の溶け残りを防止しつ
つ接種効果を持続させて全体としても高い接種効果を得
るようにすることができる。
【0025】さらに本発明の耐摩耗性部材の製造方法に
よれば、黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及びNiで
ある合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設置し、その鋳
型内に鋳鉄溶湯を注入するようにしたので硬質粒子と母
材鋳鉄の接合を強固とすることができる。
【0026】加えて本発明の耐摩耗性部材の製造方法に
よれば、黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及びNiで
あり、3wt%以下のBaを含有する合金を硬質粒子と混
合して鋳型内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入す
るようにしたのでNi−Si系接種剤の早期溶解と、B
a添加による接種効果の持続との相乗効果が認められ硬
質粒子と母材鋳鉄との接合は強固なものとなり、かつ接
種剤の溶け残りを防止しつつ接種効果を持続させて全体
としても高い接種効果を得るようにすることができる。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施して得られた耐摩耗性部材の組
織写真
【図2】 本発明を実施して得られた耐摩耗性部材
【図3】 図2の耐摩耗性部材から切り出されたサンプ
ルと、そのサンプルから撮影された図1の組織写真の撮
影位置を示す図
【符号の説明】
なし
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】 本発明を実施して得られた耐摩耗性部材の金
属組織写真である。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛化促進元素を含む合金を硬質粒子と
    混合して鋳型内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入
    することを特徴とする耐摩耗性部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 黒鉛化促進元素を含み溶融温度が鋳鉄の
    溶融温度より低温である合金を硬質粒子と混合して鋳型
    内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入することを特
    徴とする耐摩耗性部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 黒鉛化促進元素を含み溶融温度が鋳鉄の
    溶融温度より低温である合金を硬質粒子と混合して鋳型
    内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入すると共に溶
    融温度が鋳鉄の溶融温度より高温である接種剤を溶湯中
    に添加することを特徴とする耐摩耗性部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及び
    Niである合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設置し、
    その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入することを特徴とする耐摩
    耗性部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及び
    Niであり、3wt%以下のBaを含有する合金を硬質粒
    子と混合して鋳型内に設置し、その鋳型内に鋳鉄溶湯を
    注入することを特徴とする耐摩耗性部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及び
    Niである合金を硬質粒子と混合して鋳型内に設置し、
    その鋳型内に鋳鉄溶湯を注入すると共に主成分がSi及
    びFeである接種剤を溶湯中に添加することを特徴とす
    る耐摩耗性部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 主成分がSi及びNiである合金が3wt
    %以下のBaを含有する請求項6記載の耐摩耗性部材の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 硬質粒子が超硬合金である請求項1〜請
    求項7の何れか一に記載の耐摩耗性部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 硬質粒子がWC,TiC,TaC、Mo
    2C、VCのうち少なくとも一以上を含む請求項1〜請
    求項7の何れか一に記載の耐摩耗性部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 鋳鉄が球状黒鉛鋳鉄である請求項1〜
    請求項9の何れか一に記載の耐摩耗性部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 超硬合金部品を鋳型の所定位置に配置
    し、その状態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入する請求項
    1〜請求項10の何れか一に記載の耐摩耗性部材の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 黒鉛化促進元素を含む合金を硬質粒子
    と混合して塗布した超硬合金部品を鋳型の所定位置に配
    置し、その状態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入する請求
    項1〜請求項10の何れか一に記載の耐摩耗性部材の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 黒鉛化促進元素を含み溶融温度が鋳鉄
    の溶融温度より低温である合金を硬質粒子と混合して塗
    布した超硬合金部品を鋳型の所定位置に配置し、その状
    態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入する請求項1〜請求項
    10の何れか一に記載の耐摩耗性部材の製造方法。
  14. 【請求項14】 黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及
    びNiである合金を硬質粒子と混合して塗布した超硬合
    金部品を鋳型の所定位置に配置し、その状態でその鋳型
    内に鋳鉄溶湯を注入する請求項1〜請求項10の何れか
    一に記載の耐摩耗性部材の製造方法。
  15. 【請求項15】 黒鉛化促進元素を含み主成分がSi及
    びNiであり、3wt%以下のBaを含有する合金を硬質
    粒子と混合して塗布した超硬合金部品を鋳型の所定位置
    に配置し、その状態でその鋳型内に鋳鉄溶湯を注入する
    請求項1〜請求項10の何れか一に記載の耐摩耗性部材
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 硬質粒子の周辺部に溶融温度が鋳鉄の
    溶融温度より低温であって黒鉛化促進元素を含有する合
    金を偏析させる請求項1〜請求項15の何れか一に記載
    の耐摩耗性部材の製造方法。
  17. 【請求項17】 超硬合金部品の周辺部に溶融温度が鋳
    鉄の溶融温度より低温であって黒鉛化促進元素を含有す
    る合金を偏析させる請求項8〜請求項16の何れか一に
    記載の耐摩耗性部材の製造方法。
  18. 【請求項18】 溶融温度が鋳鉄の溶融温度より低温で
    あって黒鉛化促進元素を含有する合金がNi−Si合金
    である請求項16又は請求項17に記載の耐摩耗性部材
    の製造方法。
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