JPH0817242A - 複合誘電体 - Google Patents
複合誘電体Info
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- JPH0817242A JPH0817242A JP14595894A JP14595894A JPH0817242A JP H0817242 A JPH0817242 A JP H0817242A JP 14595894 A JP14595894 A JP 14595894A JP 14595894 A JP14595894 A JP 14595894A JP H0817242 A JPH0817242 A JP H0817242A
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- JP
- Japan
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- inorganic powder
- inorganic
- coupling agent
- treated
- composite dielectric
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Inorganic Insulating Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 比誘電率が20以上である無機粉体、フッ素
系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる複合誘電体であっ
て、吸湿処理による誘電正接等の電気特性の変化が少な
い複合誘電体を提供する。 【構成】 比誘電率が20以上である無機粉体、フッ素
系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる複合誘電体におい
て、無機粉体が、フェニルシラン系及び/またはフッ素
系シランカップリング剤による表面処理が施されてい
て、平均粒径が0.3〜10μmであり、かつ、平均円
形度が0.9〜1.0である無機粉体であることを特徴
とする複合誘電体。
系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる複合誘電体であっ
て、吸湿処理による誘電正接等の電気特性の変化が少な
い複合誘電体を提供する。 【構成】 比誘電率が20以上である無機粉体、フッ素
系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる複合誘電体におい
て、無機粉体が、フェニルシラン系及び/またはフッ素
系シランカップリング剤による表面処理が施されてい
て、平均粒径が0.3〜10μmであり、かつ、平均円
形度が0.9〜1.0である無機粉体であることを特徴
とする複合誘電体。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばプリント回路基
板等の電子部品に使用される複合誘電体に関する。
板等の電子部品に使用される複合誘電体に関する。
【0002】
【従来の技術】高度情報化社会を迎え、情報伝送はより
高速化・高周波化の傾向にある。自動車電話やパーソナ
ル無線等の移動無線、衛星放送、衛星通信、CATV等
の分野では、機器のコンパクト化が推進されており、こ
れに伴い誘電体共振器等のマイクロ波用回路素子に対し
ても小型化が強く望まれている。
高速化・高周波化の傾向にある。自動車電話やパーソナ
ル無線等の移動無線、衛星放送、衛星通信、CATV等
の分野では、機器のコンパクト化が推進されており、こ
れに伴い誘電体共振器等のマイクロ波用回路素子に対し
ても小型化が強く望まれている。
【0003】マイクロ波用回路素子の大きさは、使用電
磁波の波長が基準となる。比誘電率εr の誘電体中を伝
播する電磁波の波長λは、真空中の伝播波長をλ0 とす
るとλ=λ0 /(εr )0.5 となる。従って、マイクロ
波用回路素子がプリント回路基板に形成される場合に
は、使用される基板の比誘電率が高いほど小型の回路素
子になる。また、基板の比誘電率が高いと、電磁エネル
ギーが基板内に集中するため電磁波の漏れが少なく好都
合である。
磁波の波長が基準となる。比誘電率εr の誘電体中を伝
播する電磁波の波長λは、真空中の伝播波長をλ0 とす
るとλ=λ0 /(εr )0.5 となる。従って、マイクロ
波用回路素子がプリント回路基板に形成される場合に
は、使用される基板の比誘電率が高いほど小型の回路素
子になる。また、基板の比誘電率が高いと、電磁エネル
ギーが基板内に集中するため電磁波の漏れが少なく好都
合である。
【0004】上記のプリント回路基板として、例えば特
開平3−5140号に開示されているように、比誘電率
が高い無機粉体(チタン酸バリウム等)を添加したフッ
素系樹脂とガラスクロスからなる積層板が知られてい
る。このような回路基板は、アルミナ等のセラミックス
系基板に比べ、大面積化対応性や切断加工、孔加工等の
加工性に優れるため注目されている。
開平3−5140号に開示されているように、比誘電率
が高い無機粉体(チタン酸バリウム等)を添加したフッ
素系樹脂とガラスクロスからなる積層板が知られてい
る。このような回路基板は、アルミナ等のセラミックス
系基板に比べ、大面積化対応性や切断加工、孔加工等の
加工性に優れるため注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の無機粉体、フッ
素系樹脂及びガラスクロスを含んでなる基板では、比誘
電率が20以上の無機粉体を使用した場合には、フッ素
系樹脂を成形過程で無機粉体と強固に密着させることが
困難なため、基板の加工時や使用時に湿気がその界面に
入り込み、誘電正接等の電気特性を著しく変化させると
いう耐湿性に関する問題があった。
素系樹脂及びガラスクロスを含んでなる基板では、比誘
電率が20以上の無機粉体を使用した場合には、フッ素
系樹脂を成形過程で無機粉体と強固に密着させることが
困難なため、基板の加工時や使用時に湿気がその界面に
入り込み、誘電正接等の電気特性を著しく変化させると
いう耐湿性に関する問題があった。
【0006】上記の事情に鑑み、本発明は、比誘電率が
20以上である無機粉体、フッ素系樹脂及びガラスクロ
スを含んでなる基板の耐湿性を向上させることを課題と
する。すなわち、本発明は、比誘電率が20以上である
無機粉体、フッ素系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる
複合誘電体であって、吸湿処理による誘電正接等の電気
特性の変化が少ない複合誘電体を提供することを目的と
している。
20以上である無機粉体、フッ素系樹脂及びガラスクロ
スを含んでなる基板の耐湿性を向上させることを課題と
する。すなわち、本発明は、比誘電率が20以上である
無機粉体、フッ素系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる
複合誘電体であって、吸湿処理による誘電正接等の電気
特性の変化が少ない複合誘電体を提供することを目的と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
複合誘電体は、比誘電率が20以上である無機粉体、フ
ッ素系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる複合誘電体に
おいて、無機粉体が、フェニルシラン系及び/またはフ
ッ素系シランカップリング剤による表面処理が施されて
いて、平均粒径が0.3〜10μmであり、かつ、平均
円形度が0.9〜1.0である無機粉体であることを特
徴としている。
複合誘電体は、比誘電率が20以上である無機粉体、フ
ッ素系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる複合誘電体に
おいて、無機粉体が、フェニルシラン系及び/またはフ
ッ素系シランカップリング剤による表面処理が施されて
いて、平均粒径が0.3〜10μmであり、かつ、平均
円形度が0.9〜1.0である無機粉体であることを特
徴としている。
【0008】また、本発明の請求項2に係る複合誘電体
は、請求項1記載の複合誘電体において、無機粉体が、
その表面にシリカを主成分とする無機質皮膜が被覆され
ていて、この無機質皮膜に対し表面処理が施されている
無機粉体であることを特徴としている。
は、請求項1記載の複合誘電体において、無機粉体が、
その表面にシリカを主成分とする無機質皮膜が被覆され
ていて、この無機質皮膜に対し表面処理が施されている
無機粉体であることを特徴としている。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用する比誘電率が20以上である無機粉体としては、
平均粒径が0.3〜10μmのものが好ましく、種類に
ついては比誘電率が20以上であればよく特に限定はな
い。本発明で使用できる比誘電率が20以上である無機
粉体の例としては、酸化チタン(TiO2 等)、チタン
酸バリウム系(BaTi0.7 Zr0.3 O3 等)、チタン
酸ストロンチウム(SrTiO3 )、PbTi0.5 Zr
0.5 O3 系等のチタン元素を含有するチタン系無機粉体
やPb(Mg2/3 Nb2/3 )O3 系、Ba(Snx Mg
y Taz )O3系、Ba(Zrx Zny Taz )O3 系
等のペロブスカイト型結晶構造(あるいは複合ペロブス
カイト型結晶構造)を有する粉体などが挙げられる。
(なお、x、y、zは、x+y+z=1となる正の数を
表している。)
使用する比誘電率が20以上である無機粉体としては、
平均粒径が0.3〜10μmのものが好ましく、種類に
ついては比誘電率が20以上であればよく特に限定はな
い。本発明で使用できる比誘電率が20以上である無機
粉体の例としては、酸化チタン(TiO2 等)、チタン
酸バリウム系(BaTi0.7 Zr0.3 O3 等)、チタン
酸ストロンチウム(SrTiO3 )、PbTi0.5 Zr
0.5 O3 系等のチタン元素を含有するチタン系無機粉体
やPb(Mg2/3 Nb2/3 )O3 系、Ba(Snx Mg
y Taz )O3系、Ba(Zrx Zny Taz )O3 系
等のペロブスカイト型結晶構造(あるいは複合ペロブス
カイト型結晶構造)を有する粉体などが挙げられる。
(なお、x、y、zは、x+y+z=1となる正の数を
表している。)
【0010】そして、本発明で使用する無機粉体の形状
は平均円形度が0.9〜1.0である形状をしているこ
とが、本発明の課題を解決するためには重要である。こ
こで、粉体の円形度について説明すると、粉体の円形度
は一般的に用いられている代表的な形状指数で下式のよ
うに定義される。〔粉体工学会誌,p693〜p69
9,Vol.27,(1990)参照〕 円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投
影像の輪郭の長さ) なお、この円形度の数値は粒子の写真を撮ることにより
得ることができる。
は平均円形度が0.9〜1.0である形状をしているこ
とが、本発明の課題を解決するためには重要である。こ
こで、粉体の円形度について説明すると、粉体の円形度
は一般的に用いられている代表的な形状指数で下式のよ
うに定義される。〔粉体工学会誌,p693〜p69
9,Vol.27,(1990)参照〕 円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投
影像の輪郭の長さ) なお、この円形度の数値は粒子の写真を撮ることにより
得ることができる。
【0011】さらに、本発明で使用する無機粉体はフェ
ニルシラン系及び/またはフッ素系シランカップリング
剤による表面処理が施されていることが、本発明の課題
を解決するためには重要である。このフェニルシラン系
及び/またはフッ素系シランカップリング剤による表面
処理によって、著しく耐湿性に優れた複合誘電体を得る
ことができる。また、無機粉体の平均粒径が0.3〜1
0μmであることが、やはり、本発明の課題を解決する
ためには重要である。平均粒径が0.3μm未満の場合
には、平均円形度が0.9〜1.0であっても、樹脂層
の流動性が悪く、複合誘電体内部にポアが、表面にクラ
ックが残存しやすくなり、その結果吸湿処理による誘電
正接等の電気特性の変化が大きくなる問題が生じる。一
方、10μmを越えると、無機粉体をフッ素樹脂のディ
スパージョンに分散させる工程で無機粉体が沈降しやす
くなるため、設定した誘電率に複合誘電体を作製するこ
とが困難になる。従って無機粉体の平均粒径は0.3〜
10μmであることが重要であり、より好ましくは1〜
5μmである。
ニルシラン系及び/またはフッ素系シランカップリング
剤による表面処理が施されていることが、本発明の課題
を解決するためには重要である。このフェニルシラン系
及び/またはフッ素系シランカップリング剤による表面
処理によって、著しく耐湿性に優れた複合誘電体を得る
ことができる。また、無機粉体の平均粒径が0.3〜1
0μmであることが、やはり、本発明の課題を解決する
ためには重要である。平均粒径が0.3μm未満の場合
には、平均円形度が0.9〜1.0であっても、樹脂層
の流動性が悪く、複合誘電体内部にポアが、表面にクラ
ックが残存しやすくなり、その結果吸湿処理による誘電
正接等の電気特性の変化が大きくなる問題が生じる。一
方、10μmを越えると、無機粉体をフッ素樹脂のディ
スパージョンに分散させる工程で無機粉体が沈降しやす
くなるため、設定した誘電率に複合誘電体を作製するこ
とが困難になる。従って無機粉体の平均粒径は0.3〜
10μmであることが重要であり、より好ましくは1〜
5μmである。
【0012】また、本発明で使用する無機粉体は、比誘
電率が20以上である無機粉体であり、一般的にシラン
カップリング剤との反応性が乏しい傾向があるため、単
純にカップリング剤処理を施すだけでは、フッ素樹脂と
無機粉体の密着が十分ではなく、加工時や使用時に湿気
がその界面に入り込んでしまう。そこで、無機粉体とカ
ップリング剤との反応性を上げ、より優れた耐湿性を有
する複合誘電体を得るには、シリカを主成分とする無機
質皮膜が無機粉体の表面に被覆されていることが望まし
い。その方法については、特に限定しないが、無機粉体
をSi4+イオンを含む過飽和溶液に浸漬し、無機粉体の
表面にシリカを主成分とする酸化物を析出させる方法が
望ましい。
電率が20以上である無機粉体であり、一般的にシラン
カップリング剤との反応性が乏しい傾向があるため、単
純にカップリング剤処理を施すだけでは、フッ素樹脂と
無機粉体の密着が十分ではなく、加工時や使用時に湿気
がその界面に入り込んでしまう。そこで、無機粉体とカ
ップリング剤との反応性を上げ、より優れた耐湿性を有
する複合誘電体を得るには、シリカを主成分とする無機
質皮膜が無機粉体の表面に被覆されていることが望まし
い。その方法については、特に限定しないが、無機粉体
をSi4+イオンを含む過飽和溶液に浸漬し、無機粉体の
表面にシリカを主成分とする酸化物を析出させる方法が
望ましい。
【0013】また、無機粉体へのフェニルシラン系及び
/またはフッ素系シランカップリング剤による表面処理
方法は、無機粉体をヘンシェルミキサー等で攪拌しなが
ら、カップリング剤処理液を滴下してゆく等の乾式処理
法、溶剤に溶解したカップリング剤処理溶液に無機粉体
を浸漬した後、溶剤を除去する等の湿式処理法などが用
いられる。この表面処理は、被処理無機粉体の合計重量
に対し0.05〜5重量%のカップリング剤を用いて行
うのが好ましい。また、本発明に使用する無機繊維基材
に対しても、フェニルシラン系及び/またはフッ素系シ
ランカップリング剤による表面処理を施すことは、フッ
素樹脂と無機繊維基材の界面の密着性向上を図るのに有
効である。この表面処理は、例えば、無機繊維基材をカ
ップリング剤を含む処理溶液に浸漬した後、乾燥する方
法等で行えばよい。
/またはフッ素系シランカップリング剤による表面処理
方法は、無機粉体をヘンシェルミキサー等で攪拌しなが
ら、カップリング剤処理液を滴下してゆく等の乾式処理
法、溶剤に溶解したカップリング剤処理溶液に無機粉体
を浸漬した後、溶剤を除去する等の湿式処理法などが用
いられる。この表面処理は、被処理無機粉体の合計重量
に対し0.05〜5重量%のカップリング剤を用いて行
うのが好ましい。また、本発明に使用する無機繊維基材
に対しても、フェニルシラン系及び/またはフッ素系シ
ランカップリング剤による表面処理を施すことは、フッ
素樹脂と無機繊維基材の界面の密着性向上を図るのに有
効である。この表面処理は、例えば、無機繊維基材をカ
ップリング剤を含む処理溶液に浸漬した後、乾燥する方
法等で行えばよい。
【0014】本発明における、比誘電率が20以上であ
る無機粉体、フッ素系樹脂及び無機繊維基材の割合につ
いては、特に限定はなく、所望する複合誘電体の性能に
より適宜選択すればよいが、通常、比誘電率が20以上
である無機粉体を5〜75体積%、フッ素系樹脂を25
〜95体積%、無機繊維基材を5〜70体積%の範囲内
にすることが好ましい。
る無機粉体、フッ素系樹脂及び無機繊維基材の割合につ
いては、特に限定はなく、所望する複合誘電体の性能に
より適宜選択すればよいが、通常、比誘電率が20以上
である無機粉体を5〜75体積%、フッ素系樹脂を25
〜95体積%、無機繊維基材を5〜70体積%の範囲内
にすることが好ましい。
【0015】また、本発明の複合誘電体を得るための複
合化の方法については、特に限定するものではないが、
例えば次のようにして行うことができる。すなわち、平
均円形度が0.9〜1.0の無機粉体をカップリング剤
により表面処理し、次いで、得られた無機粉体をフッ素
系樹脂のディスパージョンに均一混合し、次いでこの混
合液に無機繊維基材を含浸、乾燥して、プリプグを得、
得られたプリプレグを所定枚数積層し、さらに、その両
面または片面に銅箔やアルミ箔等の金属箔を配置し、加
熱加圧して成形する方法で、金属張り積層板(複合誘電
体の一種)を製造することができる。
合化の方法については、特に限定するものではないが、
例えば次のようにして行うことができる。すなわち、平
均円形度が0.9〜1.0の無機粉体をカップリング剤
により表面処理し、次いで、得られた無機粉体をフッ素
系樹脂のディスパージョンに均一混合し、次いでこの混
合液に無機繊維基材を含浸、乾燥して、プリプグを得、
得られたプリプレグを所定枚数積層し、さらに、その両
面または片面に銅箔やアルミ箔等の金属箔を配置し、加
熱加圧して成形する方法で、金属張り積層板(複合誘電
体の一種)を製造することができる。
【0016】
【作用】本発明で使用する無機粉体の平均粒径が0.3
〜10μmであり、かつ、平均円形度が0.9〜1.0
であることは、無機粉体を分散させたフッ素樹脂の流動
性を良くする働きをするので、得られる複合誘電体の内
部にポアが発生したり、あるいは複合誘電体の表面にク
ラックが発生するのが防止され、その結果、吸湿処理に
よる誘電正接等の電気特性の変化の少ない複合誘電体が
得られるようになる。
〜10μmであり、かつ、平均円形度が0.9〜1.0
であることは、無機粉体を分散させたフッ素樹脂の流動
性を良くする働きをするので、得られる複合誘電体の内
部にポアが発生したり、あるいは複合誘電体の表面にク
ラックが発生するのが防止され、その結果、吸湿処理に
よる誘電正接等の電気特性の変化の少ない複合誘電体が
得られるようになる。
【0017】また、無機粉体の表面にシリカを主成分と
する無機質皮膜を被覆し、この無機質皮膜に対し表面処
理を施すことは、無機粉体と無機粉体とカップリング剤
との反応性を上げる作用をし、その結果、フッ素樹脂と
無機粉体の密着性が改善され、優れた耐湿性を有する複
合誘電体が得られるようになる。
する無機質皮膜を被覆し、この無機質皮膜に対し表面処
理を施すことは、無機粉体と無機粉体とカップリング剤
との反応性を上げる作用をし、その結果、フッ素樹脂と
無機粉体の密着性が改善され、優れた耐湿性を有する複
合誘電体が得られるようになる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて
説明する。なお、各実施例及び比較例で使用した無機粉
末の平均円形度はn=30(nはサンプルの個数)の測
定値の平均値である。
説明する。なお、各実施例及び比較例で使用した無機粉
末の平均円形度はn=30(nはサンプルの個数)の測
定値の平均値である。
【0019】(実施例1)まず、平均円形度0.95、
平均粒径5μmである酸化チタン粉体(SCM社製、品
番VC)99重量部に対し、フェニルシラン系カップリ
ング剤(東芝シリコーン社製:TSL8173)を1重
量部の割合で用いて、湿式法で表面処理して、表面処理
済みの酸化チタン粉体を得た。この表面処理済みの酸化
チタン粉体を四フッ化エチレン樹脂(ダイキン工業社
製:D−2)と四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン
共重合体樹脂(ダイキン工業社製:ND−1)を重量比
で4:1に混合したディスパージョン中に、フッ素系樹
脂と無機粉体(酸化チタン粉体)の合計に対する無機粉
体の割合が35体積%になるように配合して、混合し、
ワニスを作製した。
平均粒径5μmである酸化チタン粉体(SCM社製、品
番VC)99重量部に対し、フェニルシラン系カップリ
ング剤(東芝シリコーン社製:TSL8173)を1重
量部の割合で用いて、湿式法で表面処理して、表面処理
済みの酸化チタン粉体を得た。この表面処理済みの酸化
チタン粉体を四フッ化エチレン樹脂(ダイキン工業社
製:D−2)と四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン
共重合体樹脂(ダイキン工業社製:ND−1)を重量比
で4:1に混合したディスパージョン中に、フッ素系樹
脂と無機粉体(酸化チタン粉体)の合計に対する無機粉
体の割合が35体積%になるように配合して、混合し、
ワニスを作製した。
【0020】一方、ガラスクロスとしてはガラスクロス
98重量部に対し2重量部のフェニルシラン系シランカ
ップリング剤(東芝シリコーン社製:TSL8173)
を用いて表面処理された、Eガラスよりなる厚み100
μmの平織ガラスクロスを使用した。なお、この平織ガ
ラスクロスは繊維径7μmのガラス繊維を使用し、織り
密度が縦60本/25mm、横58本/25mmである
ガラスクロスを使用した。
98重量部に対し2重量部のフェニルシラン系シランカ
ップリング剤(東芝シリコーン社製:TSL8173)
を用いて表面処理された、Eガラスよりなる厚み100
μmの平織ガラスクロスを使用した。なお、この平織ガ
ラスクロスは繊維径7μmのガラス繊維を使用し、織り
密度が縦60本/25mm、横58本/25mmである
ガラスクロスを使用した。
【0021】前記のワニスをよく攪拌してから、前記の
平織ガラスクロスに含浸させ、370℃で焼成しプリプ
レグを得た。このプリプレグ中のガラスクロスの重量割
合は42重量%であった。得られたプリプレグを4枚重
ね、さらにその上下面に銅箔(厚み18μm)を配し、
温度400℃、圧力30kg/cm2 で60分間加圧成
形して、両面銅張り積層板(複合誘電体)を作製した。
平織ガラスクロスに含浸させ、370℃で焼成しプリプ
レグを得た。このプリプレグ中のガラスクロスの重量割
合は42重量%であった。得られたプリプレグを4枚重
ね、さらにその上下面に銅箔(厚み18μm)を配し、
温度400℃、圧力30kg/cm2 で60分間加圧成
形して、両面銅張り積層板(複合誘電体)を作製した。
【0022】(実施例2)酸化チタン粉体として、平均
円形度0.94、平均粒径0.32μmの酸化チタン粉
体(テイカ社製、品番JR−600A)を用いた以外
は、実施例1と同様にして、両面銅張り積層板(複合誘
電体)を作製した。
円形度0.94、平均粒径0.32μmの酸化チタン粉
体(テイカ社製、品番JR−600A)を用いた以外
は、実施例1と同様にして、両面銅張り積層板(複合誘
電体)を作製した。
【0023】(実施例3)実施例1で使用したものと同
じ酸化チタン粉体である、平均円形度0.95、平均粒
径5μmの酸化チタン粉体(SCM社製、品名VC)
を、シリカを過飽和状態にした珪フッ化水素酸水溶液に
浸漬して、酸化チタン粉体の表面にシリカを主成分とす
る無機質皮膜を析出させた。その後、表面にシリカを主
成分とする無機質皮膜が形成された酸化チタン粉体を、
珪フッ化水素酸溶液から取り出し、十分乾燥させた。得
られた酸化チタン粉体99重量部に対し、フェニルシラ
ン系カップリング剤(東芝シリコーン社製:TSL81
73)を1重量部の割合で用いて、湿式法で表面処理し
て、表面処理済みの酸化チタン粉体を得た。この表面処
理済みの酸化チタン粉体を用いた以外は、実施例1と同
様にして、両面銅張り積層板(複合誘電体)を作製し
た。
じ酸化チタン粉体である、平均円形度0.95、平均粒
径5μmの酸化チタン粉体(SCM社製、品名VC)
を、シリカを過飽和状態にした珪フッ化水素酸水溶液に
浸漬して、酸化チタン粉体の表面にシリカを主成分とす
る無機質皮膜を析出させた。その後、表面にシリカを主
成分とする無機質皮膜が形成された酸化チタン粉体を、
珪フッ化水素酸溶液から取り出し、十分乾燥させた。得
られた酸化チタン粉体99重量部に対し、フェニルシラ
ン系カップリング剤(東芝シリコーン社製:TSL81
73)を1重量部の割合で用いて、湿式法で表面処理し
て、表面処理済みの酸化チタン粉体を得た。この表面処
理済みの酸化チタン粉体を用いた以外は、実施例1と同
様にして、両面銅張り積層板(複合誘電体)を作製し
た。
【0024】(比較例1)酸化チタン粉体として、平均
円形度0.78、平均粒径5μmの酸化チタン粉体(住
友化学工業社製、商品名ルクセレンSS)を用いた以外
は、実施例1と同様にして、両面銅張り積層板(複合誘
電体)を作製した。
円形度0.78、平均粒径5μmの酸化チタン粉体(住
友化学工業社製、商品名ルクセレンSS)を用いた以外
は、実施例1と同様にして、両面銅張り積層板(複合誘
電体)を作製した。
【0025】(比較例2)酸化チタン粉体として、平均
円形度0.96、平均粒径0.1μmの酸化チタン粉体
(テイカ社製、品番JR−801)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、両面銅張り積層板(複合誘電体)
を作製した。
円形度0.96、平均粒径0.1μmの酸化チタン粉体
(テイカ社製、品番JR−801)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、両面銅張り積層板(複合誘電体)
を作製した。
【0026】上記のようにして、実施例及び比較例で得
られた各両面銅張り積層板について135℃、3気圧
(蒸気圧)、2時間のPCT処理(吸湿処理)前後の比
誘電率及び誘電正接を測定した。得られた結果を表1及
び表2に示す。なお、比誘電率及び誘電正接の測定は測
定周波数fを1KHz及び3GHzとして行った。
られた各両面銅張り積層板について135℃、3気圧
(蒸気圧)、2時間のPCT処理(吸湿処理)前後の比
誘電率及び誘電正接を測定した。得られた結果を表1及
び表2に示す。なお、比誘電率及び誘電正接の測定は測
定周波数fを1KHz及び3GHzとして行った。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表1及び表2にみるように、実施例の銅張
り積層板は、比較例のものに比べて、特に誘電正接の値
のPCT処理(吸湿処理)前後の変化が非常に少なく安
定していて、耐湿性が向上していることが確認された。
り積層板は、比較例のものに比べて、特に誘電正接の値
のPCT処理(吸湿処理)前後の変化が非常に少なく安
定していて、耐湿性が向上していることが確認された。
【0030】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る複合誘電体は、
フェニルシラン系及び/またはフッ素系シランカップリ
ング剤による表面処理が施されていて、平均粒径が0.
3〜10μmであり、かつ、平均円形度が0.9〜1.
0である無機粉体を使用しているので、無機粉体を含む
フッ素樹脂の流動性が向上し、その結果、吸湿処理によ
る誘電正接の変化が少ない、すなわち、耐湿性が向上し
ていて、プリント回路基板等の用途において有用な複合
誘電体が得られる。
フェニルシラン系及び/またはフッ素系シランカップリ
ング剤による表面処理が施されていて、平均粒径が0.
3〜10μmであり、かつ、平均円形度が0.9〜1.
0である無機粉体を使用しているので、無機粉体を含む
フッ素樹脂の流動性が向上し、その結果、吸湿処理によ
る誘電正接の変化が少ない、すなわち、耐湿性が向上し
ていて、プリント回路基板等の用途において有用な複合
誘電体が得られる。
【0031】また、本発明の請求項2に係る複合誘電体
は、請求項1記載の複合誘電体において、表面にシリカ
を主成分とする無機質皮膜が被覆されていて、この無機
質皮膜に対し表面処理が施されている無機粉体を使用し
ているので、フッ素樹脂と無機粉体の密着性が良好とな
るので、さらなる耐湿性の向上が達成される。
は、請求項1記載の複合誘電体において、表面にシリカ
を主成分とする無機質皮膜が被覆されていて、この無機
質皮膜に対し表面処理が施されている無機粉体を使用し
ているので、フッ素樹脂と無機粉体の密着性が良好とな
るので、さらなる耐湿性の向上が達成される。
フロントページの続き (72)発明者 山河 清志郎 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 比誘電率が20以上である無機粉体、フ
ッ素系樹脂及び無機繊維基材を含んでなる複合誘電体に
おいて、無機粉体が、フェニルシラン系及び/またはフ
ッ素系シランカップリング剤による表面処理が施されて
いて、平均粒径が0.3〜10μmであり、かつ、平均
円形度が0.9〜1.0である無機粉体であることを特
徴とする複合誘電体。 - 【請求項2】 無機粉体が、その表面にシリカを主成分
とする無機質皮膜が被覆されていて、この無機質皮膜に
対し表面処理が施されている無機粉体であることを特徴
とする請求項1記載の複合誘電体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14595894A JPH0817242A (ja) | 1994-06-28 | 1994-06-28 | 複合誘電体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14595894A JPH0817242A (ja) | 1994-06-28 | 1994-06-28 | 複合誘電体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0817242A true JPH0817242A (ja) | 1996-01-19 |
Family
ID=15396966
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14595894A Withdrawn JPH0817242A (ja) | 1994-06-28 | 1994-06-28 | 複合誘電体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0817242A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004256821A (ja) * | 2004-04-28 | 2004-09-16 | Tdk Corp | 電子部品 |
WO2008087985A1 (ja) * | 2007-01-18 | 2008-07-24 | Nippon Chemical Industrial Co., Ltd. | 改質ペロブスカイト型複合酸化物、その製造方法及び複合誘電体材料 |
JP2013191527A (ja) * | 2012-02-16 | 2013-09-26 | Auto Network Gijutsu Kenkyusho:Kk | 絶縁電線 |
-
1994
- 1994-06-28 JP JP14595894A patent/JPH0817242A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004256821A (ja) * | 2004-04-28 | 2004-09-16 | Tdk Corp | 電子部品 |
WO2008087985A1 (ja) * | 2007-01-18 | 2008-07-24 | Nippon Chemical Industrial Co., Ltd. | 改質ペロブスカイト型複合酸化物、その製造方法及び複合誘電体材料 |
JPWO2008087985A1 (ja) * | 2007-01-18 | 2010-05-06 | 日本化学工業株式会社 | 改質ペロブスカイト型複合酸化物、その製造方法及び複合誘電体材料 |
US8247075B2 (en) | 2007-01-18 | 2012-08-21 | Nippon Chemical Industrial Co., Ltd. | Modified perovskite complex oxide, method for producing the same and composite dielectric material |
JP5193882B2 (ja) * | 2007-01-18 | 2013-05-08 | 日本化学工業株式会社 | 改質ペロブスカイト型複合酸化物、その製造方法及び複合誘電体材料 |
JP2013191527A (ja) * | 2012-02-16 | 2013-09-26 | Auto Network Gijutsu Kenkyusho:Kk | 絶縁電線 |
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Legal Events
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