JPH08170671A - フェーシング摩擦材及びその製造方法 - Google Patents
フェーシング摩擦材及びその製造方法Info
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- JPH08170671A JPH08170671A JP31175694A JP31175694A JPH08170671A JP H08170671 A JPH08170671 A JP H08170671A JP 31175694 A JP31175694 A JP 31175694A JP 31175694 A JP31175694 A JP 31175694A JP H08170671 A JPH08170671 A JP H08170671A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐摩耗性、μ−V特性に優れたフェーシング
摩擦材を提供する。 【構成】 金属芯板の表面に、摩擦調整材、カーボンフ
ァイバー及び有機質バインダーを含む摩擦層を形成して
なるフェーシング摩擦材。摩擦調整材はフェノール樹脂
とパルプ繊維とを混合して固化させたものを粉砕して得
られる無定形破砕粒子よりなるプレミックスフィラー。
有機質バインダーはポリアミドイミド系樹脂。 【効果】 プレミックスフィラーを配合することにより
摩擦層を多孔質化すると共に、弾性を付与できる。摩擦
面の潤滑油の排除が円滑になり、μ−V特性が良好とな
る。パルプ繊維は微細でフレキシビリティーに優れ、か
つ安価である。
摩擦材を提供する。 【構成】 金属芯板の表面に、摩擦調整材、カーボンフ
ァイバー及び有機質バインダーを含む摩擦層を形成して
なるフェーシング摩擦材。摩擦調整材はフェノール樹脂
とパルプ繊維とを混合して固化させたものを粉砕して得
られる無定形破砕粒子よりなるプレミックスフィラー。
有機質バインダーはポリアミドイミド系樹脂。 【効果】 プレミックスフィラーを配合することにより
摩擦層を多孔質化すると共に、弾性を付与できる。摩擦
面の潤滑油の排除が円滑になり、μ−V特性が良好とな
る。パルプ繊維は微細でフレキシビリティーに優れ、か
つ安価である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェーシング摩擦材及び
その製造方法に係り、特に、機械、家電機器等の耐摩耗
材料、自動車等の摩擦用フェーシング材など、摩擦機構
を有する装置の摩擦部材として有用なフェーシング摩擦
材及びその製造方法に関する。
その製造方法に係り、特に、機械、家電機器等の耐摩耗
材料、自動車等の摩擦用フェーシング材など、摩擦機構
を有する装置の摩擦部材として有用なフェーシング摩擦
材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の摩擦材料は、一般に、摩
擦性能を奏するフィラーやファイバーを含む組成物を抄
造又はロール、プレス成形によりシート状にしたべーパ
ー系の摩擦材を芯板となる金属板材に接着して製造され
ている。
擦性能を奏するフィラーやファイバーを含む組成物を抄
造又はロール、プレス成形によりシート状にしたべーパ
ー系の摩擦材を芯板となる金属板材に接着して製造され
ている。
【0003】また、フィラーやファイバーを含むコーテ
ィング液を芯板となる金属板材に塗布して摩擦層を形成
したフェーシング材も提案されている。
ィング液を芯板となる金属板材に塗布して摩擦層を形成
したフェーシング材も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のペーパー系
摩擦材を用いた摩擦材料では次のような欠点がある。
摩擦材を用いた摩擦材料では次のような欠点がある。
【0005】 従来のペーパー系の摩擦材は、耐摩耗
性や耐熱性に劣り、最近の高性能なスペック仕様に適応
する特性を示さない。 摩擦材自体についても、フィラーやファイバーの添
加、混合状態が均一でなく、安定した性状の摩擦材を得
ることが難しい。 鉄系金属板材を芯板とする摩擦材料では、油の急速
な移動を確保するために、芯板に多くの油溝を形成する
必要があり、加工が容易でない上に、加工コストも高く
つき、工業材料として問題がある。
性や耐熱性に劣り、最近の高性能なスペック仕様に適応
する特性を示さない。 摩擦材自体についても、フィラーやファイバーの添
加、混合状態が均一でなく、安定した性状の摩擦材を得
ることが難しい。 鉄系金属板材を芯板とする摩擦材料では、油の急速
な移動を確保するために、芯板に多くの油溝を形成する
必要があり、加工が容易でない上に、加工コストも高く
つき、工業材料として問題がある。
【0006】 摩擦特性においても十分ではない。
【0007】 フェーシング系の摩擦材では、すべり
速度(V)と摩擦係数(μ)との関係で、すべり速度が
大きい程、摩擦係数も大きくなること(以下、この特性
を「μ−V特性」と称す。)が必要条件である。従来の
ペーパー系の摩擦材は、このすべり速度と摩擦係数の関
係では比例関係にあるが、耐摩耗性が悪く、苛酷な使用
条件では実用困難である。 摩擦材と芯板との接着工程が煩雑で摩擦材の剥離の
問題もある。
速度(V)と摩擦係数(μ)との関係で、すべり速度が
大きい程、摩擦係数も大きくなること(以下、この特性
を「μ−V特性」と称す。)が必要条件である。従来の
ペーパー系の摩擦材は、このすべり速度と摩擦係数の関
係では比例関係にあるが、耐摩耗性が悪く、苛酷な使用
条件では実用困難である。 摩擦材と芯板との接着工程が煩雑で摩擦材の剥離の
問題もある。
【0008】一方、コーティングにより摩擦層を形成し
たフェーシング材では、摩擦材の接着工程や剥離の問題
がない上に、耐摩耗性も優れているが、すべり速度と摩
擦係数の関係では、すべり速度が大きくなっても摩擦係
数が期待した程大きくならず、時には減少傾向を示すこ
ともあるという問題があった。
たフェーシング材では、摩擦材の接着工程や剥離の問題
がない上に、耐摩耗性も優れているが、すべり速度と摩
擦係数の関係では、すべり速度が大きくなっても摩擦係
数が期待した程大きくならず、時には減少傾向を示すこ
ともあるという問題があった。
【0009】本発明は上記従来の問題点を解決し、耐摩
耗性、摩擦特性に優れたコーティング系のフェーシング
摩擦材であって、特にμ−V特性にも優れたフェーシン
グ摩擦材及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
耗性、摩擦特性に優れたコーティング系のフェーシング
摩擦材であって、特にμ−V特性にも優れたフェーシン
グ摩擦材及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1のフェーシング
摩擦材は、金属芯板の表面に、摩擦調整材、カーボンフ
ァイバー及び有機質バインダーを含む摩擦層を形成して
なるフェーシング摩擦材であって、該摩擦調整材はフェ
ノール樹脂とパルプ繊維とを混合して固化させたものを
粉砕して得られる無定形破砕粒子よりなるプレミックス
フィラーであり、該有機質バインダーはポリアミドイミ
ド系樹脂であることを特徴とする。
摩擦材は、金属芯板の表面に、摩擦調整材、カーボンフ
ァイバー及び有機質バインダーを含む摩擦層を形成して
なるフェーシング摩擦材であって、該摩擦調整材はフェ
ノール樹脂とパルプ繊維とを混合して固化させたものを
粉砕して得られる無定形破砕粒子よりなるプレミックス
フィラーであり、該有機質バインダーはポリアミドイミ
ド系樹脂であることを特徴とする。
【0011】請求項2のフェーシング摩擦材の製造方法
は、請求項1に記載のフェーシング摩擦材を製造する方
法であって、フェノール樹脂とパルプ繊維とを混合し、
得られた混合物を固化した後粉砕して無定形破砕粒子を
得、該破砕粒子をカーボンファイバーと共にポリアミド
イミド系樹脂に混合してコーティング液を調製し、この
コーティング液を金属芯板に塗布することを特徴とす
る。
は、請求項1に記載のフェーシング摩擦材を製造する方
法であって、フェノール樹脂とパルプ繊維とを混合し、
得られた混合物を固化した後粉砕して無定形破砕粒子を
得、該破砕粒子をカーボンファイバーと共にポリアミド
イミド系樹脂に混合してコーティング液を調製し、この
コーティング液を金属芯板に塗布することを特徴とす
る。
【0012】以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明において、芯板を構成する金属材料
としては、特に制限はなく、本発明はあらゆる金属材料
製芯板に適用可能であるが、好ましくは、従来一般に用
いられている安価な鉄合金、或いは、軽量なアルミニウ
ム合金等が挙げられる。
としては、特に制限はなく、本発明はあらゆる金属材料
製芯板に適用可能であるが、好ましくは、従来一般に用
いられている安価な鉄合金、或いは、軽量なアルミニウ
ム合金等が挙げられる。
【0014】本発明においては、このような金属芯板の
摩擦層形成面に、通常の場合、スリット加工を施した
後、後述の方法により摩擦層を形成する。金属芯板にス
リット加工を施すことにより、実使用時の摩擦摺動に際
し、油中での油の供給や排除を適切に行うことができる
ようになる。
摩擦層形成面に、通常の場合、スリット加工を施した
後、後述の方法により摩擦層を形成する。金属芯板にス
リット加工を施すことにより、実使用時の摩擦摺動に際
し、油中での油の供給や排除を適切に行うことができる
ようになる。
【0015】形成するスリットの大きさは、大きすぎて
も、小さすぎても好ましくなく、スリットの幅は0.5
〜2mm程度、深さは0.1〜0.5mm程度とするの
が好ましい。スリットの幅が0.5mm未満では、油分
の排除に時間がかかりすぎ、2mmを超えると摩擦面が
相対的に少なくなり好ましくない。また、スリットの深
さは、0.1mm未満では、油分の供給、排除に問題が
あり、0.5mmを超えると基材の強度や加工コスト等
に問題が出てくる。
も、小さすぎても好ましくなく、スリットの幅は0.5
〜2mm程度、深さは0.1〜0.5mm程度とするの
が好ましい。スリットの幅が0.5mm未満では、油分
の排除に時間がかかりすぎ、2mmを超えると摩擦面が
相対的に少なくなり好ましくない。また、スリットの深
さは、0.1mm未満では、油分の供給、排除に問題が
あり、0.5mmを超えると基材の強度や加工コスト等
に問題が出てくる。
【0016】また、形成するスリットの量は、多過ぎて
も少な過ぎても好ましくなく、一般には、スリット部分
の合計面積が、芯板の全摺動面積の20%以下、特に3
〜10%とするのが好ましい。
も少な過ぎても好ましくなく、一般には、スリット部分
の合計面積が、芯板の全摺動面積の20%以下、特に3
〜10%とするのが好ましい。
【0017】このような金属芯板は、その摩擦層形成面
に必要に応じてブラスト処理等を施して、表面粗さを高
めておくことにより、この面にコーティングする摩擦層
の接着強度を高めることができる。
に必要に応じてブラスト処理等を施して、表面粗さを高
めておくことにより、この面にコーティングする摩擦層
の接着強度を高めることができる。
【0018】本発明において、コーティング液中に分散
させるカーボンファイバーとしては、平均直径6〜10
μm,平均長さ20〜100mm程度のものが好適に使
用される。カーボンファイバーは、コーティング液中の
含有割合が1〜10重量%となるように配合するのが好
ましい。このカーボンファイバーの割合が1重量%未満
では形成される摩擦層の耐久性が十分でなく、10重量
%を超えるとコーティング液中への均一混合分散が困難
となり、実用的なコーティング液を調製し得なくなる。
させるカーボンファイバーとしては、平均直径6〜10
μm,平均長さ20〜100mm程度のものが好適に使
用される。カーボンファイバーは、コーティング液中の
含有割合が1〜10重量%となるように配合するのが好
ましい。このカーボンファイバーの割合が1重量%未満
では形成される摩擦層の耐久性が十分でなく、10重量
%を超えるとコーティング液中への均一混合分散が困難
となり、実用的なコーティング液を調製し得なくなる。
【0019】カーボンファイバーの配合により、摩擦層
の強度向上と摩擦係数の改善を図ることができる。
の強度向上と摩擦係数の改善を図ることができる。
【0020】また、摩擦調整材として添加するプレミッ
クスフィラーは、フェノール樹脂1重量部に対して、パ
ルプ繊維を0.2〜0.4重量部添加して混合、成形
し、これを200〜300℃、好ましくは250℃程度
でベーキングして硬化させたものを冷却、粉砕処理し、
平均粒径0.1mm以下、好ましくは50〜70μm程
度の無定形破砕粒子とすることにより製造される。
クスフィラーは、フェノール樹脂1重量部に対して、パ
ルプ繊維を0.2〜0.4重量部添加して混合、成形
し、これを200〜300℃、好ましくは250℃程度
でベーキングして硬化させたものを冷却、粉砕処理し、
平均粒径0.1mm以下、好ましくは50〜70μm程
度の無定形破砕粒子とすることにより製造される。
【0021】このプレミックスフィラーの製造に当り、
フェノール樹脂1重量部に対してパルプ繊維が0.2重
量部未満であると、後述の作用の項で述べるパルプ繊維
による摩擦層の多孔質化が十分に得られない。逆に、パ
ルプ繊維が0.4重量部を超えるとフェノール樹脂によ
るプレミックス成形が困難となる。
フェノール樹脂1重量部に対してパルプ繊維が0.2重
量部未満であると、後述の作用の項で述べるパルプ繊維
による摩擦層の多孔質化が十分に得られない。逆に、パ
ルプ繊維が0.4重量部を超えるとフェノール樹脂によ
るプレミックス成形が困難となる。
【0022】なお、使用するパルプ繊維としては、平均
直径1〜10μm,平均長さ50〜200μm程度のも
のが好適である。
直径1〜10μm,平均長さ50〜200μm程度のも
のが好適である。
【0023】このようなプレミックスフィラーは、コー
ティング液中の含有割合が1〜10重量%となるように
配合するのが好ましい。このプレミックスフィラーの含
有割合が1重量部未満では、摩擦層の多孔質化が十分に
図れず、10重量部を超えると摩擦層の強度が低下する
傾向がある。
ティング液中の含有割合が1〜10重量%となるように
配合するのが好ましい。このプレミックスフィラーの含
有割合が1重量部未満では、摩擦層の多孔質化が十分に
図れず、10重量部を超えると摩擦層の強度が低下する
傾向がある。
【0024】このようなプレミックスフィラーの配合に
より、摩擦層の多孔質化、弾性付与、更には強度向上に
よるμ−V特性の改善が図れる。
より、摩擦層の多孔質化、弾性付与、更には強度向上に
よるμ−V特性の改善が図れる。
【0025】本発明においては、摩擦調整材として、こ
のようなプレミックスフィラーの他、更に、二硫化モリ
ブデン粒子や、カーボン粒子、その他、シリカ、アルミ
ナ、タルク等の無機粉末を併用するのが好ましい。これ
らの摩擦調整粒子は、二硫化モリブデンであればその平
均粒径が5〜20μm、アルミナ粒子であればその平均
粒径が0.1〜10μm、カーボン粒子であればその平
均粒径が10〜50μmであることが好ましい。
のようなプレミックスフィラーの他、更に、二硫化モリ
ブデン粒子や、カーボン粒子、その他、シリカ、アルミ
ナ、タルク等の無機粉末を併用するのが好ましい。これ
らの摩擦調整粒子は、二硫化モリブデンであればその平
均粒径が5〜20μm、アルミナ粒子であればその平均
粒径が0.1〜10μm、カーボン粒子であればその平
均粒径が10〜50μmであることが好ましい。
【0026】このような摩擦調整粒子を併用することに
より、摩擦層の摩擦係数をより一層安定させることがで
きる。
より、摩擦層の摩擦係数をより一層安定させることがで
きる。
【0027】摩擦調整粒子は、コーティング液中の前記
カーボンファイバー及びプレミックスフィラーとの合計
の含有割合が5〜20重量%となるように添加するのが
好ましい。
カーボンファイバー及びプレミックスフィラーとの合計
の含有割合が5〜20重量%となるように添加するのが
好ましい。
【0028】即ち、これらの添加材の合計添加量が1重
量%未満では、各々の添加材による添加効果が十分に得
られず、20重量%を超えると均一分散混合が困難にな
るなどの不具合を生じる。
量%未満では、各々の添加材による添加効果が十分に得
られず、20重量%を超えると均一分散混合が困難にな
るなどの不具合を生じる。
【0029】本発明においてはこれらの添加材のバイン
ダー樹脂としてポリアミドイミド樹脂を用いるが、ポリ
アミドイミド樹脂は、カーボンファイバーやプレミック
スフィラー等の摩擦調整材を安定かつ強固に固定し、し
かも、芯板と強力に接着する上に、耐熱強度にも優れる
ため、摩擦層のバインダー樹脂として好適である。
ダー樹脂としてポリアミドイミド樹脂を用いるが、ポリ
アミドイミド樹脂は、カーボンファイバーやプレミック
スフィラー等の摩擦調整材を安定かつ強固に固定し、し
かも、芯板と強力に接着する上に、耐熱強度にも優れる
ため、摩擦層のバインダー樹脂として好適である。
【0030】本発明においては、上記の各成分を所定の
割合で十分に均一分散混合して得られるコーティング液
をスプレーコート法又はディッピング法等により、前記
芯板の表面にコーティングする。このコーティングに当
り、コーティング液は、コーティングに適した粘度とな
るように、必要に応じて適当な溶剤で適宜希釈する。
割合で十分に均一分散混合して得られるコーティング液
をスプレーコート法又はディッピング法等により、前記
芯板の表面にコーティングする。このコーティングに当
り、コーティング液は、コーティングに適した粘度とな
るように、必要に応じて適当な溶剤で適宜希釈する。
【0031】コーティング後は、バインダー樹脂と芯板
との接着性、バインダー樹脂と各種添加材との接着性を
高めると共に、摩擦層の強度を高めるために、200〜
300℃で10〜60分程度焼成する。
との接着性、バインダー樹脂と各種添加材との接着性を
高めると共に、摩擦層の強度を高めるために、200〜
300℃で10〜60分程度焼成する。
【0032】本発明においては、このようにして得られ
る摩擦層の厚さが50〜300μmとなるように、前記
コーティングを行うのが好ましい。摩擦層の厚さが50
μm未満では、十分な摩擦特性が得られず、300μm
を超えても摩擦特性に差異はなく、徒らに摩擦層の厚さ
が厚くなり好ましくない。
る摩擦層の厚さが50〜300μmとなるように、前記
コーティングを行うのが好ましい。摩擦層の厚さが50
μm未満では、十分な摩擦特性が得られず、300μm
を超えても摩擦特性に差異はなく、徒らに摩擦層の厚さ
が厚くなり好ましくない。
【0033】
【作用】本発明者は、コーティング系のフェーシング摩
擦材にμ−V特性、即ち、摩擦係数がすべり速度の増大
と共に上昇傾向を維持する特性を発現させるべく、コー
ティング液の添加材や製造方法について種々検討を重ね
た結果、フェーシング摩擦材の摩擦層の表面状態や層構
造が、μ−V特性に大きく影響を及ぼしていること、摩
擦層の表面状態としては凹凸が適度にあり、しかも、摩
擦層はこの表面から内部へ向って多孔質であることがμ
−V特性の改善に重要な要件となることを知見した。
擦材にμ−V特性、即ち、摩擦係数がすべり速度の増大
と共に上昇傾向を維持する特性を発現させるべく、コー
ティング液の添加材や製造方法について種々検討を重ね
た結果、フェーシング摩擦材の摩擦層の表面状態や層構
造が、μ−V特性に大きく影響を及ぼしていること、摩
擦層の表面状態としては凹凸が適度にあり、しかも、摩
擦層はこの表面から内部へ向って多孔質であることがμ
−V特性の改善に重要な要件となることを知見した。
【0034】即ち、フェーシング摩擦材として望まれる
摩擦特性を得るためには、摩擦層表面から速やかに潤滑
油分を排除できること、摩擦層自体に若干の弾性変形が
あること、表面の耐摩耗、引張強度が大きいことが必須
条件となる。このうち、潤滑油の排除には従来のスリッ
ト加工と、本発明に係る多孔性付与がある。
摩擦特性を得るためには、摩擦層表面から速やかに潤滑
油分を排除できること、摩擦層自体に若干の弾性変形が
あること、表面の耐摩耗、引張強度が大きいことが必須
条件となる。このうち、潤滑油の排除には従来のスリッ
ト加工と、本発明に係る多孔性付与がある。
【0035】本発明においては、摩擦層を多孔質とする
ことにより、高すべり速度時に摩擦面の潤滑油分を急速
に摩擦層の内部へと移動させ、これにより、摩擦面の摩
擦係数を低下させることなく、良好なμ−V特性を確保
する。
ことにより、高すべり速度時に摩擦面の潤滑油分を急速
に摩擦層の内部へと移動させ、これにより、摩擦面の摩
擦係数を低下させることなく、良好なμ−V特性を確保
する。
【0036】コーティング系の摩擦層の形成に当り、得
られる摩擦層の耐摩耗性及び摩擦係数の確保のために
は、従来より用いられているカーボンファイバーや無機
フィラーである二硫化モリブデン、炭素粉、アルミナ微
粒子で十分な特性を得ることができる。また、これらを
強固に固定する耐熱性及び耐摩耗性に富んだ樹脂として
ポリアミドイミド樹脂は極めて有効である。
られる摩擦層の耐摩耗性及び摩擦係数の確保のために
は、従来より用いられているカーボンファイバーや無機
フィラーである二硫化モリブデン、炭素粉、アルミナ微
粒子で十分な特性を得ることができる。また、これらを
強固に固定する耐熱性及び耐摩耗性に富んだ樹脂として
ポリアミドイミド樹脂は極めて有効である。
【0037】本発明では、このように耐摩耗性、摩擦係
数、耐熱性等に優れたコーティング系の摩擦層に、更
に、μ−V特性の改善のための多孔質化を図るべく、フ
ェノール樹脂中にパルプ繊維を混合して固化させたもの
を粉砕してなるプレミックスフィラーを用いる。
数、耐熱性等に優れたコーティング系の摩擦層に、更
に、μ−V特性の改善のための多孔質化を図るべく、フ
ェノール樹脂中にパルプ繊維を混合して固化させたもの
を粉砕してなるプレミックスフィラーを用いる。
【0038】このプレミックスフィラーは、フェノール
樹脂をマトリックスとする粒子核から、混合過程で細か
く粉砕された微細なパルプ繊維が不定形状にのびたよう
な形状を有するものである。このプレミックスフィラー
の粒子のフェノール樹脂核は、コーティング液のバイン
ダー樹脂であるポリアミドイミド樹脂との固着状態も良
く、強固に結合するが、この核からのびている微細なパ
ルプ繊維は、摩擦層の中で三次元的にからみ合った状態
となるため、このパルプ繊維のからみ合いで形成される
微細な隙間の中にはバインダー樹脂であるポリアミドイ
ミド樹脂が十分に浸入できず、この結果、摩擦層は多孔
質層となる。このように摩擦層が多孔質層となっても、
プレミックスフィラーのフェノール樹脂核が、バインダ
ー樹脂のポリアミドイミド樹脂に強固に結合している上
に、パルプ繊維が三次元的に配向しているため、摩擦層
全体としての強度が損なわれることはなく、従来のコー
ティング系摩擦層と比べても、機械的強度、耐摩耗性等
において良好な特性を得ることができる。しかも、パル
プ繊維の三次元的配向により、摩擦層に適度な弾性変形
能も付与される。
樹脂をマトリックスとする粒子核から、混合過程で細か
く粉砕された微細なパルプ繊維が不定形状にのびたよう
な形状を有するものである。このプレミックスフィラー
の粒子のフェノール樹脂核は、コーティング液のバイン
ダー樹脂であるポリアミドイミド樹脂との固着状態も良
く、強固に結合するが、この核からのびている微細なパ
ルプ繊維は、摩擦層の中で三次元的にからみ合った状態
となるため、このパルプ繊維のからみ合いで形成される
微細な隙間の中にはバインダー樹脂であるポリアミドイ
ミド樹脂が十分に浸入できず、この結果、摩擦層は多孔
質層となる。このように摩擦層が多孔質層となっても、
プレミックスフィラーのフェノール樹脂核が、バインダ
ー樹脂のポリアミドイミド樹脂に強固に結合している上
に、パルプ繊維が三次元的に配向しているため、摩擦層
全体としての強度が損なわれることはなく、従来のコー
ティング系摩擦層と比べても、機械的強度、耐摩耗性等
において良好な特性を得ることができる。しかも、パル
プ繊維の三次元的配向により、摩擦層に適度な弾性変形
能も付与される。
【0039】なお、コーティング液に微細な繊維のみを
添加しても、この繊維は摩擦層内で二次元的(平面的)
に配向するのみであり、多孔性は得られず、強度面での
問題も生じる。仮りに、パルプ繊維単味を用いた場合に
は、微細に粉砕することも困難である。
添加しても、この繊維は摩擦層内で二次元的(平面的)
に配向するのみであり、多孔性は得られず、強度面での
問題も生じる。仮りに、パルプ繊維単味を用いた場合に
は、微細に粉砕することも困難である。
【0040】なお、パルプ繊維は、各種繊維類のなかで
も、微細でフレキシビリティーがあり、しかも安価であ
ることから極めて有利な材料である。
も、微細でフレキシビリティーがあり、しかも安価であ
ることから極めて有利な材料である。
【0041】本発明においては、プレミックスフィラー
により多孔質層とされた摩擦層自体に、潤滑油の良好な
排除機能を持たせることができることから、芯板のスリ
ット加工を軽減することもできる。
により多孔質層とされた摩擦層自体に、潤滑油の良好な
排除機能を持たせることができることから、芯板のスリ
ット加工を軽減することもできる。
【0042】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
り具体的に説明する。
【0043】実施例1〜3 鉄板(厚さ1.8mm)を内径50mm,外径80mm
のリング形状に切断し、幅2mm,深さ0.4mmの油
溝(放射状のスリット)を5本形成した。この芯板の表
面に表1に示す配合のコーティング液をスプレー法によ
り塗布した後、250℃まで30分で昇温し、この温度
に30分間保持してベーキングすることにより厚さ20
0μmの摩擦層を形成した。
のリング形状に切断し、幅2mm,深さ0.4mmの油
溝(放射状のスリット)を5本形成した。この芯板の表
面に表1に示す配合のコーティング液をスプレー法によ
り塗布した後、250℃まで30分で昇温し、この温度
に30分間保持してベーキングすることにより厚さ20
0μmの摩擦層を形成した。
【0044】なお、カーボンファイバーとしては繊維径
6〜10μm,繊維長さ50〜100μmのものを用い
た。また、摩擦調整材として用いた二硫化モリブデン粒
子は平均粒径10μmであり、カーボン粒子(グラファ
イトフィラー)の平均粒径は40μmである。
6〜10μm,繊維長さ50〜100μmのものを用い
た。また、摩擦調整材として用いた二硫化モリブデン粒
子は平均粒径10μmであり、カーボン粒子(グラファ
イトフィラー)の平均粒径は40μmである。
【0045】プレミックスフィラーは、フェノール樹脂
1重量部に繊維径1〜10μm,繊維長さ5〜200μ
mのパルプ繊維を0.3重量部添加して成形し、200
℃でベーキングしたものを冷却粉砕することにより粒径
100μm以下としたものを用いた。
1重量部に繊維径1〜10μm,繊維長さ5〜200μ
mのパルプ繊維を0.3重量部添加して成形し、200
℃でベーキングしたものを冷却粉砕することにより粒径
100μm以下としたものを用いた。
【0046】得られたフェーシング摩擦材を用いて摩耗
量(S45C鋼の円盤材を相手材として500分又は1
000分,50RPMの速度で摺動テストしたときの摩
耗量)及びμ−V特性(SAE型試験機により測定した
すべり速度と摩擦係数との関係)を調べ、結果を表1に
示した。
量(S45C鋼の円盤材を相手材として500分又は1
000分,50RPMの速度で摺動テストしたときの摩
耗量)及びμ−V特性(SAE型試験機により測定した
すべり速度と摩擦係数との関係)を調べ、結果を表1に
示した。
【0047】比較例1 従来のペーパー系フェーシング摩擦材(ペーパー系摩擦
材厚さ500μm)について、上記と同様にして摩耗量
及びμ−V特性を調べ、結果を表1に示した。
材厚さ500μm)について、上記と同様にして摩耗量
及びμ−V特性を調べ、結果を表1に示した。
【0048】比較例2 実施例1において、パルプ繊維をフェノール樹脂と混
合、成形、粉砕してプレミックスフィラーとすることな
く、単に粉砕のみ行ってコーティング液に配合したこと
以外は同様にしてフェーシング摩擦材を製造し、このフ
ェーシング摩擦材について同様に摩耗量及びμ−V特性
を調べ、結果を表1に示した。
合、成形、粉砕してプレミックスフィラーとすることな
く、単に粉砕のみ行ってコーティング液に配合したこと
以外は同様にしてフェーシング摩擦材を製造し、このフ
ェーシング摩擦材について同様に摩耗量及びμ−V特性
を調べ、結果を表1に示した。
【0049】なお、パルプ繊維単味の粉砕では、十分に
微細な繊維は得られなかった。
微細な繊維は得られなかった。
【0050】
【表1】
【0051】表1より、本発明のフェーシング摩擦材
は、耐摩耗性に優れ、μ−V特性も良好であることが明
らかである。
は、耐摩耗性に優れ、μ−V特性も良好であることが明
らかである。
【0052】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のフェーシン
グ摩擦材及びその製造方法によれば、 基材芯板と摩擦層との接着性が良く、剥離の問題が
ない。 耐摩耗性に優れている。 μ−V特性に優れている。 耐熱、耐久性に優れている。 摩擦係数の経時変化がなく長期にわたり安定であ
る。 材料コストが安く、安価に提供される。 といった優れた特性を備えるフェーシング摩擦材が提供
される。
グ摩擦材及びその製造方法によれば、 基材芯板と摩擦層との接着性が良く、剥離の問題が
ない。 耐摩耗性に優れている。 μ−V特性に優れている。 耐熱、耐久性に優れている。 摩擦係数の経時変化がなく長期にわたり安定であ
る。 材料コストが安く、安価に提供される。 といった優れた特性を備えるフェーシング摩擦材が提供
される。
Claims (2)
- 【請求項1】 金属芯板の表面に、摩擦調整材、カーボ
ンファイバー及び有機質バインダーを含む摩擦層を形成
してなるフェーシング摩擦材であって、 該摩擦調整材はフェノール樹脂とパルプ繊維とを混合し
て固化させたものを粉砕して得られる無定形破砕粒子よ
りなるプレミックスフィラーであり、 該有機質バインダーはポリアミドイミド系樹脂であるこ
とを特徴とするフェーシング摩擦材。 - 【請求項2】 請求項1に記載のフェーシング摩擦材を
製造する方法であって、フェノール樹脂とパルプ繊維と
を混合し、得られた混合物を固化した後粉砕して無定形
破砕粒子を得、該破砕粒子をカーボンファイバーと共に
ポリアミドイミド系樹脂に混合してコーティング液を調
製し、このコーティング液を金属芯板に塗布することを
特徴とするフェーシング摩擦材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31175694A JPH08170671A (ja) | 1994-12-15 | 1994-12-15 | フェーシング摩擦材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31175694A JPH08170671A (ja) | 1994-12-15 | 1994-12-15 | フェーシング摩擦材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08170671A true JPH08170671A (ja) | 1996-07-02 |
Family
ID=18021108
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31175694A Withdrawn JPH08170671A (ja) | 1994-12-15 | 1994-12-15 | フェーシング摩擦材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08170671A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010041132A1 (en) * | 2008-10-10 | 2010-04-15 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Friction material |
CN108006118A (zh) * | 2017-11-25 | 2018-05-08 | 杨彦红 | 一种新型noa耐磨抗冲击抗剪切刹车片 |
-
1994
- 1994-12-15 JP JP31175694A patent/JPH08170671A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010041132A1 (en) * | 2008-10-10 | 2010-04-15 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Friction material |
CN108006118A (zh) * | 2017-11-25 | 2018-05-08 | 杨彦红 | 一种新型noa耐磨抗冲击抗剪切刹车片 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020305 |