JPH09236128A - 軸受用保持器 - Google Patents
軸受用保持器Info
- Publication number
- JPH09236128A JPH09236128A JP10619996A JP10619996A JPH09236128A JP H09236128 A JPH09236128 A JP H09236128A JP 10619996 A JP10619996 A JP 10619996A JP 10619996 A JP10619996 A JP 10619996A JP H09236128 A JPH09236128 A JP H09236128A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- bearing
- lubricating oil
- cage
- torque
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/30—Parts of ball or roller bearings
- F16C33/66—Special parts or details in view of lubrication
- F16C33/6637—Special parts or details in view of lubrication with liquid lubricant
- F16C33/664—Retaining the liquid in or near the bearing
- F16C33/6648—Retaining the liquid in or near the bearing in a porous or resinous body, e.g. a cage impregnated with the liquid
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/30—Parts of ball or roller bearings
- F16C33/38—Ball cages
- F16C33/41—Ball cages comb-shaped
- F16C33/412—Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages
- F16C33/414—Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock comb cages
- F16C33/416—Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock comb cages made from plastic, e.g. injection moulded comb cages
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 軸受のトルクを低下及びトルク変動を低下さ
せることにある。 【解決手段】 ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系
樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂からなり、その表
面が膜厚が0.001〜25μm潤滑油で均一に被覆し
たのである。
せることにある。 【解決手段】 ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系
樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂からなり、その表
面が膜厚が0.001〜25μm潤滑油で均一に被覆し
たのである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、軸受用保持器に
関し、特にポリゴンスキャナモータ、ハードディスクド
ライブのスピンドルモータ等の低トルク及び低トルク変
動が要求される軸受に使用される保持器に関する。
関し、特にポリゴンスキャナモータ、ハードディスクド
ライブのスピンドルモータ等の低トルク及び低トルク変
動が要求される軸受に使用される保持器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軸受用保持器として、鉄製やポリ
アミド樹脂製の軸受用保持器が用いられている。これら
の軸受用保持器は、潤滑性能が高くないため潤滑剤が使
用されており、その潤滑剤として潤滑グリースが用いら
れてきた。
アミド樹脂製の軸受用保持器が用いられている。これら
の軸受用保持器は、潤滑性能が高くないため潤滑剤が使
用されており、その潤滑剤として潤滑グリースが用いら
れてきた。
【0003】近年、ハードディスクドライブ(以下、H
DDと称する。)のスピンドルモータや、レーザービー
ムプリンタ(以下、LBPと称する。)のスキャナモー
タ等に用いられる軸受は、上記モータ等の高性能化、小
型化、省力化等に伴い、低トルク及び低トルク変動、す
なわち、低ジッターが要求されるようになっている。こ
れに対し、充填されている潤滑グリースの銘柄、グリー
ス封入量を調整したり、保持器にグリース飛散防止壁を
設けたフードタイプ保持器等を用いて、上記要求に対応
している。
DDと称する。)のスピンドルモータや、レーザービー
ムプリンタ(以下、LBPと称する。)のスキャナモー
タ等に用いられる軸受は、上記モータ等の高性能化、小
型化、省力化等に伴い、低トルク及び低トルク変動、す
なわち、低ジッターが要求されるようになっている。こ
れに対し、充填されている潤滑グリースの銘柄、グリー
ス封入量を調整したり、保持器にグリース飛散防止壁を
設けたフードタイプ保持器等を用いて、上記要求に対応
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、潤滑剤
として潤滑グリースが用いられているため、軸受回転時
に潤滑グリースの攪拌抵抗が発生する。このため、低減
できるトルクに限界が生じ、場合によっては、上記要求
に対応できない場合が発生する。
として潤滑グリースが用いられているため、軸受回転時
に潤滑グリースの攪拌抵抗が発生する。このため、低減
できるトルクに限界が生じ、場合によっては、上記要求
に対応できない場合が発生する。
【0005】これに対し、潤滑グリースのかわりに攪拌
抵抗の小さい潤滑油を用いることが考えられるが、潤滑
油を封入しても潤滑油のみでは寿命が短く、また、潤滑
油を保持することも困難であるという問題点を有してい
た。このため、今後、益々、軸受の低トルク化、低トル
ク変動の要求が厳しくなってきた場合、これまでの軸受
では対応できない場合が生じるおそれがある。
抵抗の小さい潤滑油を用いることが考えられるが、潤滑
油を封入しても潤滑油のみでは寿命が短く、また、潤滑
油を保持することも困難であるという問題点を有してい
た。このため、今後、益々、軸受の低トルク化、低トル
ク変動の要求が厳しくなってきた場合、これまでの軸受
では対応できない場合が生じるおそれがある。
【0006】そこで、この発明の課題は、軸受の潤滑寿
命を損なうことなく、トルク及びトルク変動を低下させ
ることにある。
命を損なうことなく、トルク及びトルク変動を低下させ
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明の軸受用保持器は、ポリイミド系樹脂ポリ
アミドイミド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂か
らなり、その表面が膜厚が0.001〜25μm潤滑油
で均一に被覆したのである。
め、この発明の軸受用保持器は、ポリイミド系樹脂ポリ
アミドイミド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂か
らなり、その表面が膜厚が0.001〜25μm潤滑油
で均一に被覆したのである。
【0008】また、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミ
ド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂からなり、そ
の表面は0.001〜25μmの深さの凹部を有し、上
記凹部に潤滑油を保持させたのである。
ド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂からなり、そ
の表面は0.001〜25μmの深さの凹部を有し、上
記凹部に潤滑油を保持させたのである。
【0009】さらに、上記ポリイミド系樹脂、ポリアミ
ドイミド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂を、下
記化2の構造を含む熱可塑性ポリイミド樹脂とすること
ができる。
ドイミド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂を、下
記化2の構造を含む熱可塑性ポリイミド樹脂とすること
ができる。
【0010】
【化2】 (nは整数を表す。) さらにまた、上記ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド
系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂に潤滑剤が5〜
50重量%添加させることができる。
系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂に潤滑剤が5〜
50重量%添加させることができる。
【0011】また、上記潤滑油はエステル系油とするこ
とができ、上記潤滑油の粘度を、40℃において10〜
40cStの粘度とすることができる。
とができ、上記潤滑油の粘度を、40℃において10〜
40cStの粘度とすることができる。
【0012】さらに、潤滑油が被覆された軸受用保持器
の製造方法として、溶媒に溶解混合した潤滑油を上記ポ
リイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、又はポリエ
ーテルイミド系樹脂からなる軸受用保持器を浸漬し、そ
の後、溶媒を蒸発させるのである。
の製造方法として、溶媒に溶解混合した潤滑油を上記ポ
リイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、又はポリエ
ーテルイミド系樹脂からなる軸受用保持器を浸漬し、そ
の後、溶媒を蒸発させるのである。
【0013】軸受用保持器はポリイミド系樹脂、ポリア
ミドイミド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂で形
成されているので、自己潤滑性能をより高めることがで
き、また、耐熱性や強度も向上させることができる。
ミドイミド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂で形
成されているので、自己潤滑性能をより高めることがで
き、また、耐熱性や強度も向上させることができる。
【0014】さらに、潤滑油を用いたので、潤滑グリー
スを使用した場合に比べて攪拌抵抗を低下させることが
でき、また、ポリイミド系樹脂ポリアミドイミド系樹
脂、又はポリエーテルイミド系樹脂を用いるので、射出
成型品の表面が凹凸となり、潤滑油の保持が有利とな
る。
スを使用した場合に比べて攪拌抵抗を低下させることが
でき、また、ポリイミド系樹脂ポリアミドイミド系樹
脂、又はポリエーテルイミド系樹脂を用いるので、射出
成型品の表面が凹凸となり、潤滑油の保持が有利とな
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を説
明する。
明する。
【0016】この発明に用いられるポリイミド系樹脂
は、イミド結合を有する樹脂であり、アミド結合を有さ
ないポリイミド樹脂やアミド結合を有するポリアミドイ
ミド樹脂等があげられる。
は、イミド結合を有する樹脂であり、アミド結合を有さ
ないポリイミド樹脂やアミド結合を有するポリアミドイ
ミド樹脂等があげられる。
【0017】ポリイミド樹脂としては、下記化3に示さ
れる樹脂があげられる。
れる樹脂があげられる。
【0018】
【化3】 ここで、nは整数を表し、また、Rは、アルキル基や下
記化4〜化6で表される基を示す。
記化4〜化6で表される基を示す。
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】 上記化6中のXは、直結、又は、炭素数1〜10の炭化
水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボ
ニル基、チオ基及びスルホン基からなる群より選ばれた
基を表す。さらに、R1 〜R4 は、水素、炭素数1〜5
の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、
塩素又は臭素を表し、互いに異なっていてもよい。
水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボ
ニル基、チオ基及びスルホン基からなる群より選ばれた
基を表す。さらに、R1 〜R4 は、水素、炭素数1〜5
の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、
塩素又は臭素を表し、互いに異なっていてもよい。
【0022】また、化3のYは、炭素数2以上の脂肪族
基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
基、芳香族基が直接又は架橋員により相互に連結された
非縮合多環式芳香族基や、下記化7で表される基からな
る群から選ばれた4価の基を表す。
基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
基、芳香族基が直接又は架橋員により相互に連結された
非縮合多環式芳香族基や、下記化7で表される基からな
る群から選ばれた4価の基を表す。
【0023】
【化7】 これらのポリイミド樹脂の具体例としては、下記化8で
表されるレンジング(LENZING)社製:P84−
HT、下記化9で表される東レ社製:TI−3000、
下記化10で表される宇部興産社製:UIP−S、下記
化11で表される三井東圧化学社製:オーラム等があげ
られる。なお、化8〜化11中のnは、整数を表す。
表されるレンジング(LENZING)社製:P84−
HT、下記化9で表される東レ社製:TI−3000、
下記化10で表される宇部興産社製:UIP−S、下記
化11で表される三井東圧化学社製:オーラム等があげ
られる。なお、化8〜化11中のnは、整数を表す。
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】 また、ポリアミドイミド樹脂としては、下記化12に示
される樹脂があげられる。
される樹脂があげられる。
【0028】
【化12】 ここで、nは整数を表し、R7 は水素原子、メチル基、
又はフェニル基を表す。また、R5 は、少なくとも1つ
のベンゼン環を含む3価の芳香族基を表す。その具体的
な例としては、下記化13〜化16で表される基があげ
られる。
又はフェニル基を表す。また、R5 は、少なくとも1つ
のベンゼン環を含む3価の芳香族基を表す。その具体的
な例としては、下記化13〜化16で表される基があげ
られる。
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
【0032】
【化16】 上記化16中のX1 は、カルボニル基、チオ基、エーテ
ル基、スルホン基、カルボキシル基、メチレン基や下記
化17で表される基等の炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化
水素基、下記化18で表されるアルコキシ基等を表す。
ル基、スルホン基、カルボキシル基、メチレン基や下記
化17で表される基等の炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化
水素基、下記化18で表されるアルコキシ基等を表す。
【0033】
【化17】
【0034】
【化18】 上記化18中のX2 は、メチレン基や下記化17で表さ
れる基等の炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基を表
す。
れる基等の炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基を表
す。
【0035】また、R6 は、2価の有機基を表す。その
具体的な例としては、下記化19で表される飽和脂肪族
炭化水素基や、アリール基があげられる。上記アリール
基の例としては、下記化20〜化23があげられる。
具体的な例としては、下記化19で表される飽和脂肪族
炭化水素基や、アリール基があげられる。上記アリール
基の例としては、下記化20〜化23があげられる。
【0036】
【化19】 上記化19中のmは、4〜12の整数を表す。
【0037】
【化20】
【0038】
【化21】
【0039】
【化22】
【0040】
【化23】 上記化23中のX3 は、エーテル基、チオ基、スルホン
基、下記化24〜化28で表される基を示す。
基、下記化24〜化28で表される基を示す。
【0041】
【化24】 上記化24中のzは、1〜3の整数を表す。
【0042】
【化25】
【0043】
【化26】
【0044】
【化27】
【0045】
【化28】 上記化25〜化28中のX4 は、炭素数1〜6の脂肪族
炭化水素基又は芳香族基を示す。
炭化水素基又は芳香族基を示す。
【0046】これらのポリイミド樹脂の具体例として
は、下記化29〜化31や、下記化32で表される米国
アモコ社製:トーロン4000TFをあげることができ
る。尚、化29〜32中のnは整数を表す。
は、下記化29〜化31や、下記化32で表される米国
アモコ社製:トーロン4000TFをあげることができ
る。尚、化29〜32中のnは整数を表す。
【0047】
【化29】
【0048】
【化30】
【0049】
【化31】
【0050】
【化32】 また、ポリエーテルイミド樹脂としては、下記化33で
表される米国ジー・イー社製:ウルテムをあげることが
できる。
表される米国ジー・イー社製:ウルテムをあげることが
できる。
【0051】
【化33】 上記化33中のnは整数を表す。
【0052】上記ポリイミド系樹脂やポリアイドイミド
の製造方法については、特に限定されるものではない
が、例えば、次の方法を採用することができる。
の製造方法については、特に限定されるものではない
が、例えば、次の方法を採用することができる。
【0053】下記化学式 H2 N−R−NH2 (Rは、化3におけるRと同じ。) で表されるジアミンやジイソシアネート等の上記ジアミ
ンの誘導体と、ピロメリット酸二無水物等のテトラカル
ボン酸無水物や、トリカルボン酸無水物又はその誘導体
とを反応させることによってポリアミド酸を生成させ、
そのポリアミド酸を所定条件下で脱水環化して得ること
ができる。
ンの誘導体と、ピロメリット酸二無水物等のテトラカル
ボン酸無水物や、トリカルボン酸無水物又はその誘導体
とを反応させることによってポリアミド酸を生成させ、
そのポリアミド酸を所定条件下で脱水環化して得ること
ができる。
【0054】上記ポリイミド樹脂の溶液粘度は、保持器
の用途によって求められる物性の程度が若干異なるが、
例えば化11のものでは0.35〜0.80dl/g程
度が好ましく、0.45〜0.55dl/g程度がより
好ましい。
の用途によって求められる物性の程度が若干異なるが、
例えば化11のものでは0.35〜0.80dl/g程
度が好ましく、0.45〜0.55dl/g程度がより
好ましい。
【0055】また、摺動特性をよりあげる場合には、必
要に応じて、上記ポリイミド系樹脂にフェノール樹脂硬
化物を添加することができる。上記フェノール樹脂硬化
物は、フェノール類にホルマリン発生化合物を製造され
るノボラック型またはレゾール型フェノール樹脂に必要
に応じて公知の充填剤を含有させ、そのまま若しくはヘ
キサミン等の架橋剤を加えて加熱し、硬化物とした後粉
砕したものである。
要に応じて、上記ポリイミド系樹脂にフェノール樹脂硬
化物を添加することができる。上記フェノール樹脂硬化
物は、フェノール類にホルマリン発生化合物を製造され
るノボラック型またはレゾール型フェノール樹脂に必要
に応じて公知の充填剤を含有させ、そのまま若しくはヘ
キサミン等の架橋剤を加えて加熱し、硬化物とした後粉
砕したものである。
【0056】その製造方法は、例えば、特開昭57−1
7701号公報、特開昭58−17114号公報等に数
多く開示されており、市販品としては、鐘紡社製:ベル
パール(登録商標)などを挙げることができる。ここ
で、これらフェノール樹脂は熱不融性の粒状若しくは粉
末状樹脂であり、具体的には、平均粒径が50μm以下
で、しかも80重量%以上が150μm以下の粒径のも
のである。なぜなら、粒径があまり大きすぎると、成形
した際に粉末の各粒子間相互の密着が不十分となって成
形品のばらつきが生じ、成形体の耐摩耗性や曲げ強度等
の機械的強度が低下することになって適当でないからで
ある。そしてこの発明に使用されるフェノール樹脂硬化
物は、充分に硬化していることが必要であり、例えば硬
化度を表す尺度としてメタノールに対する溶解度で表示
すると、その溶解度は20重量%以下、好ましくは15
重量%以下を示し、さらに好ましくは通常5重量%以下
である。なぜならば、メタノール溶解度が20重量%を
越える場合は、成形時に発泡が起こり、成形体に空隙及
び微小クラック等の弊害が生じるおそれがあるからであ
る。
7701号公報、特開昭58−17114号公報等に数
多く開示されており、市販品としては、鐘紡社製:ベル
パール(登録商標)などを挙げることができる。ここ
で、これらフェノール樹脂は熱不融性の粒状若しくは粉
末状樹脂であり、具体的には、平均粒径が50μm以下
で、しかも80重量%以上が150μm以下の粒径のも
のである。なぜなら、粒径があまり大きすぎると、成形
した際に粉末の各粒子間相互の密着が不十分となって成
形品のばらつきが生じ、成形体の耐摩耗性や曲げ強度等
の機械的強度が低下することになって適当でないからで
ある。そしてこの発明に使用されるフェノール樹脂硬化
物は、充分に硬化していることが必要であり、例えば硬
化度を表す尺度としてメタノールに対する溶解度で表示
すると、その溶解度は20重量%以下、好ましくは15
重量%以下を示し、さらに好ましくは通常5重量%以下
である。なぜならば、メタノール溶解度が20重量%を
越える場合は、成形時に発泡が起こり、成形体に空隙及
び微小クラック等の弊害が生じるおそれがあるからであ
る。
【0057】また、このようなフェノール樹脂硬化物の
配合量は、上記ポリイミド系樹脂100重量部に対し
て、3〜50重量部、好ましくは8〜40重量部であっ
て、3重量部未満では、フェノール樹脂硬化物の配合に
よる耐摩耗性効果が得られず、逆に50重量部を越える
多量では、組成物の溶融粘度が高くなり、溶融成形がで
きないばかりか、摩擦係数を低下することはできず、摺
動材料として好ましくない。
配合量は、上記ポリイミド系樹脂100重量部に対し
て、3〜50重量部、好ましくは8〜40重量部であっ
て、3重量部未満では、フェノール樹脂硬化物の配合に
よる耐摩耗性効果が得られず、逆に50重量部を越える
多量では、組成物の溶融粘度が高くなり、溶融成形がで
きないばかりか、摩擦係数を低下することはできず、摺
動材料として好ましくない。
【0058】なお、上記ポリイミド系樹脂には、この発
明の目的を損なわない範囲で、通常の樹脂組成物に広く
用いられている添加剤類を配合してもよい。その添加率
は、それぞれ比重が異なるため重量部では表現しにくい
が、体積部ではポリイミド系樹脂100重量部に対して
5〜50体積部が好ましく、15〜35体積部がより好
ましい。また、代表的なものを重量%で表すと、例え
ば、添加剤として潤滑剤類は、1〜50重量%、好まし
くは3〜40重量%である。1重量%未満では潤滑性能
が低く、50重量%を越えると、樹脂としての機械的強
度を低下させるからである。また、繊維状補強剤は、0
を越え50重量%以内、好ましくは0を越え40重量%
以内、そして添加剤合計では5〜60重量%、好ましく
は10〜50重量%の範囲内で配合することが好まし
い。使用可能な添加剤を以下に例示列挙する。
明の目的を損なわない範囲で、通常の樹脂組成物に広く
用いられている添加剤類を配合してもよい。その添加率
は、それぞれ比重が異なるため重量部では表現しにくい
が、体積部ではポリイミド系樹脂100重量部に対して
5〜50体積部が好ましく、15〜35体積部がより好
ましい。また、代表的なものを重量%で表すと、例え
ば、添加剤として潤滑剤類は、1〜50重量%、好まし
くは3〜40重量%である。1重量%未満では潤滑性能
が低く、50重量%を越えると、樹脂としての機械的強
度を低下させるからである。また、繊維状補強剤は、0
を越え50重量%以内、好ましくは0を越え40重量%
以内、そして添加剤合計では5〜60重量%、好ましく
は10〜50重量%の範囲内で配合することが好まし
い。使用可能な添加剤を以下に例示列挙する。
【0059】潤滑剤としては、四フッ化エチレン樹脂
(PTFE等)等のフッ素樹脂、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、窒
化珪素、一塩化鉛等の金属酸化物等があげられる。
(PTFE等)等のフッ素樹脂、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、窒
化珪素、一塩化鉛等の金属酸化物等があげられる。
【0060】上記潤滑剤として用いられる黒鉛は、任意
の黒鉛を用いることができるが、好ましい黒鉛の例とし
ては、非フェノール樹脂系の原料を黒鉛化して得られる
固定炭素量97%以上の黒鉛であり、地中から産出され
た天然の鱗片状黒鉛、または人造黒鉛であってもよい。
天然黒鉛のうち、平均粒径が5〜15μm、好ましくは
約8〜12μm、更に好ましくは、10±1μm程度の
鱗片状の黒鉛がより好ましい。人造黒鉛は、例えばピッ
チ由来のコークスをタールやピッチで固めて約1200
℃で焼成してから黒鉛化炉に入れ、約2300℃の高温
で成長させたものが好ましい。また、人造黒鉛の原料と
しては、ピッチ、コールタール、コークス、木質原料、
フラン樹脂、ポリアクリロニトリルなどを用いる。
の黒鉛を用いることができるが、好ましい黒鉛の例とし
ては、非フェノール樹脂系の原料を黒鉛化して得られる
固定炭素量97%以上の黒鉛であり、地中から産出され
た天然の鱗片状黒鉛、または人造黒鉛であってもよい。
天然黒鉛のうち、平均粒径が5〜15μm、好ましくは
約8〜12μm、更に好ましくは、10±1μm程度の
鱗片状の黒鉛がより好ましい。人造黒鉛は、例えばピッ
チ由来のコークスをタールやピッチで固めて約1200
℃で焼成してから黒鉛化炉に入れ、約2300℃の高温
で成長させたものが好ましい。また、人造黒鉛の原料と
しては、ピッチ、コールタール、コークス、木質原料、
フラン樹脂、ポリアクリロニトリルなどを用いる。
【0061】ここで黒鉛成分中の固定炭素とは、石炭試
験法の工業分析において、水分、灰分、揮発分を定量し
て除いた残りの成分であって、炭素を主成分として少量
の水素、酸素、窒素を含むものである。そして、固定炭
素量が97%未満の少量では、耐摩耗性、結晶化処理前
後の成形品の収縮率ともに満足できる結果が得られな
い。
験法の工業分析において、水分、灰分、揮発分を定量し
て除いた残りの成分であって、炭素を主成分として少量
の水素、酸素、窒素を含むものである。そして、固定炭
素量が97%未満の少量では、耐摩耗性、結晶化処理前
後の成形品の収縮率ともに満足できる結果が得られな
い。
【0062】また、補強剤としては、ガラス繊維、カー
ボン繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、カーボンウィス
カ、アスベツト、金属繊維、ロックウール等をあげるこ
とができる。難燃性向上剤としては、三酸化アンチモ
ン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等をあげること
ができる。電気特性向上剤としては、クレー、マイカ等
をあげることができる。耐トラッキング向上剤として
は、石綿、シリカ、グラファイト等をあげることができ
る。熱伝導度向上剤としては、鉄、亜鉛、アルミニウ
ム、銅等の金属粉末等をあげることができる。さらに、
その他の添加剤として、ガラスビーズ、ガラス球、炭酸
カルシウム、アルミナ、タルク、ケイソウ土、水和アル
ミナ、シラスバルーン、各種金属酸化物、無機質含量類
等で300℃以上で安定な天然若しくは合成の化合物類
をあることができる。
ボン繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、カーボンウィス
カ、アスベツト、金属繊維、ロックウール等をあげるこ
とができる。難燃性向上剤としては、三酸化アンチモ
ン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等をあげること
ができる。電気特性向上剤としては、クレー、マイカ等
をあげることができる。耐トラッキング向上剤として
は、石綿、シリカ、グラファイト等をあげることができ
る。熱伝導度向上剤としては、鉄、亜鉛、アルミニウ
ム、銅等の金属粉末等をあげることができる。さらに、
その他の添加剤として、ガラスビーズ、ガラス球、炭酸
カルシウム、アルミナ、タルク、ケイソウ土、水和アル
ミナ、シラスバルーン、各種金属酸化物、無機質含量類
等で300℃以上で安定な天然若しくは合成の化合物類
をあることができる。
【0063】上記潤滑剤又は補強剤のうち単独または少
なくとも1種類以上が各々配合されてもよい。
なくとも1種類以上が各々配合されてもよい。
【0064】この発明における諸原材料を混合する手段
は、特に限定されるものではなく、原料を個別に溶融混
合機に供給しても、また、予めヘンシェルミキサー、ボ
ールミキサー、リボンブレンダー等の汎用の混合機を用
いて2種以上のものを同時に混合してもよい。通常、混
合温度は、250〜420℃、好ましくは300〜40
0℃であり、成形方法も、圧縮成形、焼結成形などを適
用しえることは勿論であるが、均一溶融ブレンド体を形
成し、生産性の高い射出成形若しくは押出成形をおこな
うことができる。通常、溶融成形温度は、使用される上
記ポリイミド樹脂の融点以上が必要で、例えば化11の
ものでは一般に390〜450℃の範囲である。
は、特に限定されるものではなく、原料を個別に溶融混
合機に供給しても、また、予めヘンシェルミキサー、ボ
ールミキサー、リボンブレンダー等の汎用の混合機を用
いて2種以上のものを同時に混合してもよい。通常、混
合温度は、250〜420℃、好ましくは300〜40
0℃であり、成形方法も、圧縮成形、焼結成形などを適
用しえることは勿論であるが、均一溶融ブレンド体を形
成し、生産性の高い射出成形若しくは押出成形をおこな
うことができる。通常、溶融成形温度は、使用される上
記ポリイミド樹脂の融点以上が必要で、例えば化11の
ものでは一般に390〜450℃の範囲である。
【0065】これらの射出成形等は、通常の射出成形方
法等を用いることができ、例えば、化11のポリイミド
樹脂やポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂
等の射出成形可能な熱可塑性ポリイミド系樹脂であれ
ば、この発明の例えば冠型保持器等の複雑な形状を容易
に成形することができる。したがって、圧縮成形後に切
削加工する等の複雑な成形法は必要とならない。そし
て、軸受用保持器剤にポリイミド系を用いた理由は、耐
熱性、自己潤滑性、強度に於いて優れているのみではな
く、射出成型をした時に、今日使用したTPI(三井東
圧化学社製:オーラム)あるいは同様にポリイミドアミ
ド樹脂(PAI)(米国アモコ社製:トーロン)はPA
に比べ粘性が高い為に射出成型時に製品の表面に細かな
凸凹(数μm〜数十μm)が多数認められ、この微細か
つ多数の凸凹を利用し、潤滑剤を保持させる事で寿命を
グリース品並みとし、低トルク、低トルク変動及び低ジ
ッターが得られると考えたからである。これらの特性
は、ポリエーテルイミド樹脂においても同様と考えられ
る。
法等を用いることができ、例えば、化11のポリイミド
樹脂やポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂
等の射出成形可能な熱可塑性ポリイミド系樹脂であれ
ば、この発明の例えば冠型保持器等の複雑な形状を容易
に成形することができる。したがって、圧縮成形後に切
削加工する等の複雑な成形法は必要とならない。そし
て、軸受用保持器剤にポリイミド系を用いた理由は、耐
熱性、自己潤滑性、強度に於いて優れているのみではな
く、射出成型をした時に、今日使用したTPI(三井東
圧化学社製:オーラム)あるいは同様にポリイミドアミ
ド樹脂(PAI)(米国アモコ社製:トーロン)はPA
に比べ粘性が高い為に射出成型時に製品の表面に細かな
凸凹(数μm〜数十μm)が多数認められ、この微細か
つ多数の凸凹を利用し、潤滑剤を保持させる事で寿命を
グリース品並みとし、低トルク、低トルク変動及び低ジ
ッターが得られると考えたからである。これらの特性
は、ポリエーテルイミド樹脂においても同様と考えられ
る。
【0066】また、この発明の保持器は、その種類につ
いては特に限定されることはなく、一般タイプの保持器
や冠型保持器等の各種の保持器とすることができる。冠
型保持器の例としては、図1に示すような保持器があげ
られる。この保持器は、本体1に保持爪2とポケット3
が形成されており、保持爪2とポケット3の間に転動体
が挿入されて、内輪、外輪と共に軸受として使用され
る。
いては特に限定されることはなく、一般タイプの保持器
や冠型保持器等の各種の保持器とすることができる。冠
型保持器の例としては、図1に示すような保持器があげ
られる。この保持器は、本体1に保持爪2とポケット3
が形成されており、保持爪2とポケット3の間に転動体
が挿入されて、内輪、外輪と共に軸受として使用され
る。
【0067】上記成形物の熱処理の方法に関しては、例
えば化11のものでは加熱温度は250〜340℃の範
囲である必要があり、好ましくは270〜330℃の範
囲がよい。340℃以上の温度では、成形物に著しい変
形が生じ、実用状好ましくなく、一方、250℃未満の
温度では、成形物の機械的特性の向上が得られない。熱
処理に要する時間は加熱する温度により大きく変化し、
少なくとも2分以上、場合によっては数週間必要とな
る。
えば化11のものでは加熱温度は250〜340℃の範
囲である必要があり、好ましくは270〜330℃の範
囲がよい。340℃以上の温度では、成形物に著しい変
形が生じ、実用状好ましくなく、一方、250℃未満の
温度では、成形物の機械的特性の向上が得られない。熱
処理に要する時間は加熱する温度により大きく変化し、
少なくとも2分以上、場合によっては数週間必要とな
る。
【0068】上記熱処理することによる成形物の機械的
特性の向上と、その密度変化とは一定の法則があり、成
形物中のポリイミド成分の密度が少なくとも1.5%、
好ましくは2%の密度増加するのに足りる時間を熱処理
所要時間とすればよい。
特性の向上と、その密度変化とは一定の法則があり、成
形物中のポリイミド成分の密度が少なくとも1.5%、
好ましくは2%の密度増加するのに足りる時間を熱処理
所要時間とすればよい。
【0069】上記成形物の機械的特性の向上、すなわち
上記密度増加をもたらす熱処理条件としては、例えば、
270℃下にて12時間以上、280℃下にて1時間以
上、300℃下にて10分以上、330℃下にて2分以
上、340℃下にて10分以上必要とし、330℃下に
て所要時間が最小となる。また、260℃下にては33
6℃時間、250℃下にては672時間を必要とし実用
的ではなく、逆に340℃以上の温度下、例えば350
℃の場合は成形物に著しい変化を生じさせ、これも実用
的でない。
上記密度増加をもたらす熱処理条件としては、例えば、
270℃下にて12時間以上、280℃下にて1時間以
上、300℃下にて10分以上、330℃下にて2分以
上、340℃下にて10分以上必要とし、330℃下に
て所要時間が最小となる。また、260℃下にては33
6℃時間、250℃下にては672時間を必要とし実用
的ではなく、逆に340℃以上の温度下、例えば350
℃の場合は成形物に著しい変化を生じさせ、これも実用
的でない。
【0070】従って、熱処理条件としては270〜33
0℃、処理時間12時間〜2分間が好ましく、この条件
により物理性の向上が認められる。このことから、上記
樹脂の溶融成形の際、使用する冷却金型の温度を250
〜340℃、好ましくは270〜330℃に設定し、溶
融樹脂を金型に充填後、上記熱処理時間に相当する時間
放置することにより、成形時に機械的特性等を同時に向
上させることも可能である。なお、上記熱処理を省略し
て、例えば柔軟性を優先させてもよい。
0℃、処理時間12時間〜2分間が好ましく、この条件
により物理性の向上が認められる。このことから、上記
樹脂の溶融成形の際、使用する冷却金型の温度を250
〜340℃、好ましくは270〜330℃に設定し、溶
融樹脂を金型に充填後、上記熱処理時間に相当する時間
放置することにより、成形時に機械的特性等を同時に向
上させることも可能である。なお、上記熱処理を省略し
て、例えば柔軟性を優先させてもよい。
【0071】上記組成物は潤滑特性や摺動特性がよく、
低摩擦係数を有し、耐摩耗性も優れている。よって、こ
れからなる保持器は、柔軟性を有して軸受への組み込み
性が良好で、高温で使用した場合でも変形率が低いの
で、軸受が損傷せず、しかも耐熱性、耐薬品性、射出成
形性をも兼ね備えたものである。この発明の保持器の利
用分野は極めて広く、自動車関連業界、一般機器関連業
界、電気電子関連業界、その他多くの分野で用いられ
る。
低摩擦係数を有し、耐摩耗性も優れている。よって、こ
れからなる保持器は、柔軟性を有して軸受への組み込み
性が良好で、高温で使用した場合でも変形率が低いの
で、軸受が損傷せず、しかも耐熱性、耐薬品性、射出成
形性をも兼ね備えたものである。この発明の保持器の利
用分野は極めて広く、自動車関連業界、一般機器関連業
界、電気電子関連業界、その他多くの分野で用いられ
る。
【0072】次いで、上記イミド系組成物からなる軸受
用保持器の表面に、潤滑油で均一に被覆を形成すること
について説明する。
用保持器の表面に、潤滑油で均一に被覆を形成すること
について説明する。
【0073】上記イミド系組成物からなる軸受用保持器
の表面に用いられる潤滑油としては、石油系潤滑油、合
成潤滑油などの液体潤滑剤を用いれば、特に限定して使
用されるものではなく、たとえばシリコーン系油、脂肪
酸エステル系油等を用いることができる。
の表面に用いられる潤滑油としては、石油系潤滑油、合
成潤滑油などの液体潤滑剤を用いれば、特に限定して使
用されるものではなく、たとえばシリコーン系油、脂肪
酸エステル系油等を用いることができる。
【0074】潤滑油は、ポリマー型として、ポリグリコ
ール系、オレフィンのオリゴマー系、シリコーン系、パ
ーフルオロアルキルエーテル系、パーフルオロポリエー
テル系、クロロフルオロカーボン系、ポリフェニルエー
テル系などがあげられる。これらは、価格は比較的高い
が、分子量を変えることで低粘度のものから高粘度のも
のまで設定できる。
ール系、オレフィンのオリゴマー系、シリコーン系、パ
ーフルオロアルキルエーテル系、パーフルオロポリエー
テル系、クロロフルオロカーボン系、ポリフェニルエー
テル系などがあげられる。これらは、価格は比較的高い
が、分子量を変えることで低粘度のものから高粘度のも
のまで設定できる。
【0075】ポリマー型の潤滑油は、重量平均分子量が
少なくとも約300以上であるが、1000以上のもの
であれば適度な粘性があっても好ましい。このような理
由から、2000以上のものは特に好ましいものであ
る。また、このような潤滑油の粘度の下限についてみる
と、ポリマー型、非ポリマー型とも100℃での粘度
は、約2cSt以上のものが好ましく、より好ましくは
約10cSt以上のもの、または粘度指数が約20以上
であるものが好ましく、より好ましくは、約100以上
ものである。このような特性の種類は、その一種以上を
有するものであればよい。
少なくとも約300以上であるが、1000以上のもの
であれば適度な粘性があっても好ましい。このような理
由から、2000以上のものは特に好ましいものであ
る。また、このような潤滑油の粘度の下限についてみる
と、ポリマー型、非ポリマー型とも100℃での粘度
は、約2cSt以上のものが好ましく、より好ましくは
約10cSt以上のもの、または粘度指数が約20以上
であるものが好ましく、より好ましくは、約100以上
ものである。このような特性の種類は、その一種以上を
有するものであればよい。
【0076】このように、被加熱時に適当な粘度を有す
る潤滑油であれば、転がり軸受の転動体と保持器との接
触によって例えば100℃を越える摩擦熱が発生して
も、潤滑油の粘度が低下して潤滑油が保持器表面から急
激に流れることはなく、潤滑油は適度に保持器表面に保
持されると考えられる。
る潤滑油であれば、転がり軸受の転動体と保持器との接
触によって例えば100℃を越える摩擦熱が発生して
も、潤滑油の粘度が低下して潤滑油が保持器表面から急
激に流れることはなく、潤滑油は適度に保持器表面に保
持されると考えられる。
【0077】潤滑油の粘度の上限については特に限定さ
れるものではないが、揮発性溶剤で油を希釈する場合、
希釈液中の油の分散を均一にするために、ポリマー型の
潤滑油は、例えば重量平均分子量が約10000以下、
好ましくは約5000以下のものが好ましく、ポリマー
型、非ポリマー型とも40℃粘度では1000cSt以
下、好ましくは600cSt以下、100℃粘度では5
00cSt以下、好ましくは100cSt以下のもので
ある。粘度指数は、500以下、好ましくは300以下
である。
れるものではないが、揮発性溶剤で油を希釈する場合、
希釈液中の油の分散を均一にするために、ポリマー型の
潤滑油は、例えば重量平均分子量が約10000以下、
好ましくは約5000以下のものが好ましく、ポリマー
型、非ポリマー型とも40℃粘度では1000cSt以
下、好ましくは600cSt以下、100℃粘度では5
00cSt以下、好ましくは100cSt以下のもので
ある。粘度指数は、500以下、好ましくは300以下
である。
【0078】このような潤滑油であれば、揮発性溶剤で
油を希釈しても希釈液中の油が分散不良となることな
く、保持器には均一な油塗布面を得ることができると考
えられる。
油を希釈しても希釈液中の油が分散不良となることな
く、保持器には均一な油塗布面を得ることができると考
えられる。
【0079】一方、非ポリマー型として、合成ナフテン
系、アルキルベンゼン系、リン酸エステル系、ポリオー
ルエステル系、ジエステル系、珪酸エステル系等のエス
テル系などをあげることができる。
系、アルキルベンゼン系、リン酸エステル系、ポリオー
ルエステル系、ジエステル系、珪酸エステル系等のエス
テル系などをあげることができる。
【0080】この他に、リン酸エステル系油、脂肪酸エ
ステル系油(ポリオールエステル油)、水グリコール系
油等もあげられる。リン酸エステル系油は、難燃性と耐
摩耗性に優れ、脂肪酸エステル系油は準難燃性を示し、
価格面で優れ、水グリコール系油は粘度が適度であり、
粘度指数は170〜210と高く粘性に優れている。ま
た、40℃粘度が10〜40cSt、好ましくは20〜
35cStのエステル系油、オレフィン系合成炭化水素
油等がよい。
ステル系油(ポリオールエステル油)、水グリコール系
油等もあげられる。リン酸エステル系油は、難燃性と耐
摩耗性に優れ、脂肪酸エステル系油は準難燃性を示し、
価格面で優れ、水グリコール系油は粘度が適度であり、
粘度指数は170〜210と高く粘性に優れている。ま
た、40℃粘度が10〜40cSt、好ましくは20〜
35cStのエステル系油、オレフィン系合成炭化水素
油等がよい。
【0081】上記潤滑油を上記保持器に塗布することに
より、上記保持器の平滑処理のされていない部分に上記
潤滑油が入り、保持器全体として平滑処理された状態と
することができる。これにより、磨き等による平滑処理
を行うことなく、保持器全体を平滑にすることができ
る。また、上記保持器の表面上に膜を形成させて均一に
塗布することにより、回転に要するトルク、そのトルク
変動、発塵量、軸受音響のいずれもが小さくなる。しか
も、使用開始初期段階においては、外輪、内輪、転動
体、保持器の表面に形成された潤滑油の膜により、各部
材同士の接触面の潤滑が良好に行われ、使用開始後、あ
る程度時間を経過した後においては、保持器に含浸した
潤滑油が長期間にわたって染みだすので、使用開始直後
から使用開始後長時間経過するまで、長期間にわたって
良好な潤滑が行われ、優れた耐久性を得られる。
より、上記保持器の平滑処理のされていない部分に上記
潤滑油が入り、保持器全体として平滑処理された状態と
することができる。これにより、磨き等による平滑処理
を行うことなく、保持器全体を平滑にすることができ
る。また、上記保持器の表面上に膜を形成させて均一に
塗布することにより、回転に要するトルク、そのトルク
変動、発塵量、軸受音響のいずれもが小さくなる。しか
も、使用開始初期段階においては、外輪、内輪、転動
体、保持器の表面に形成された潤滑油の膜により、各部
材同士の接触面の潤滑が良好に行われ、使用開始後、あ
る程度時間を経過した後においては、保持器に含浸した
潤滑油が長期間にわたって染みだすので、使用開始直後
から使用開始後長時間経過するまで、長期間にわたって
良好な潤滑が行われ、優れた耐久性を得られる。
【0082】上記効果を得るため、上記潤滑油を精度良
く保持器に塗布するには、例えば、後述の溶媒に潤滑油
を希釈して、保持器を希釈溶媒液中に浸漬後、溶媒の揮
発温度よりも高い温度、例えば常温(例えば20℃)以
上で80℃以下、或いはこれ未満の温度で溶媒を揮発さ
せればよい。溶媒乾燥後の潤滑油の膜厚は、0.001
〜25μmであり、好ましくは0.01〜2μmであ
り、より好ましくは0.01〜1μmである。膜厚が
0.001μmより薄い場合は、部分的に潤滑油が存在
しない部分が生じて、使用開始直後の回転トルクが安定
しないだけでなく、耐久性が不足する。また、25μm
より厚いと、潤滑油の存在が抵抗になって、回転トルク
が大きく、しかも不安定になるだけでなく、発塵量も多
くなる。
く保持器に塗布するには、例えば、後述の溶媒に潤滑油
を希釈して、保持器を希釈溶媒液中に浸漬後、溶媒の揮
発温度よりも高い温度、例えば常温(例えば20℃)以
上で80℃以下、或いはこれ未満の温度で溶媒を揮発さ
せればよい。溶媒乾燥後の潤滑油の膜厚は、0.001
〜25μmであり、好ましくは0.01〜2μmであ
り、より好ましくは0.01〜1μmである。膜厚が
0.001μmより薄い場合は、部分的に潤滑油が存在
しない部分が生じて、使用開始直後の回転トルクが安定
しないだけでなく、耐久性が不足する。また、25μm
より厚いと、潤滑油の存在が抵抗になって、回転トルク
が大きく、しかも不安定になるだけでなく、発塵量も多
くなる。
【0083】また、上記効果を得るためのポリイミド系
樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、又はポリエーテルイミ
ド系樹脂の表面の凹部の深さは、0.001〜25μm
であり、好ましくは0.001〜20μmであり、より
好ましくは0.1〜15μmであり、さらに好ましくは
1〜10μmであると考えられる。凹部の深さが0.0
01μmより浅い場合は、凹部に潤滑油が保持されにく
く、前記と同様、安定したトルク、また長時間の安定し
たトルクの耐久急性に期待できない。さらに、凹部の深
さが25μmより深いと保持器の表面硬度や強度等に期
待できない。
樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、又はポリエーテルイミ
ド系樹脂の表面の凹部の深さは、0.001〜25μm
であり、好ましくは0.001〜20μmであり、より
好ましくは0.1〜15μmであり、さらに好ましくは
1〜10μmであると考えられる。凹部の深さが0.0
01μmより浅い場合は、凹部に潤滑油が保持されにく
く、前記と同様、安定したトルク、また長時間の安定し
たトルクの耐久急性に期待できない。さらに、凹部の深
さが25μmより深いと保持器の表面硬度や強度等に期
待できない。
【0084】上記潤滑剤を上記保持器上に塗布する方法
の1つとして、上記潤滑剤をプライマーとしての重合体
を介して保持器材料表面に被覆する方法があげられる。
まず、潤滑剤とプライマー重合体とを両者の良溶媒の中
で溶解混合させる。ここで用いられる溶媒としては、ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル類、ジエ
チルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、メチルク
ロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレ
ン、テトラクロロジフルオロエタン等のハロゲン化炭化
水素類の1種若しくは混合物をあげることができる。溶
解混合させた液を所望の箇所に塗布した後溶媒を蒸発さ
せて薄膜を形成させる。この薄膜は、潤滑性材料とプラ
イマーとの凝集エネルギー、密度(比重)、界面活性等
の差によって、軸受材料表面側がプライマーに富み、ま
た反対側が潤滑性材料に富む薄膜とすることができる。
また、潤滑性材料が固体であったり、高粘度の液体であ
って薄膜形成が困難であるときは、適当な溶剤に溶解さ
せて塗布、吹き付け、浸漬等をすればよく、また薄膜形
成後に加熱若しくは各種電磁波類の照射等を行って造膜
成分の高分子量化を図ることも可能である。なお、この
ようなとき、造膜成分中に反応開始剤、光増感剤その他
反応促進剤を適宜添加してもよいことは勿論である。
の1つとして、上記潤滑剤をプライマーとしての重合体
を介して保持器材料表面に被覆する方法があげられる。
まず、潤滑剤とプライマー重合体とを両者の良溶媒の中
で溶解混合させる。ここで用いられる溶媒としては、ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル類、ジエ
チルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、メチルク
ロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレ
ン、テトラクロロジフルオロエタン等のハロゲン化炭化
水素類の1種若しくは混合物をあげることができる。溶
解混合させた液を所望の箇所に塗布した後溶媒を蒸発さ
せて薄膜を形成させる。この薄膜は、潤滑性材料とプラ
イマーとの凝集エネルギー、密度(比重)、界面活性等
の差によって、軸受材料表面側がプライマーに富み、ま
た反対側が潤滑性材料に富む薄膜とすることができる。
また、潤滑性材料が固体であったり、高粘度の液体であ
って薄膜形成が困難であるときは、適当な溶剤に溶解さ
せて塗布、吹き付け、浸漬等をすればよく、また薄膜形
成後に加熱若しくは各種電磁波類の照射等を行って造膜
成分の高分子量化を図ることも可能である。なお、この
ようなとき、造膜成分中に反応開始剤、光増感剤その他
反応促進剤を適宜添加してもよいことは勿論である。
【0085】浸漬塗布方法は、ポリイミド系樹脂保持器
の表面に容易に均一な潤滑油を保持でき、また、潤滑
油、溶媒液とも吹き付け塗布方法のように無駄がなく、
効率的に塗布できる。
の表面に容易に均一な潤滑油を保持でき、また、潤滑
油、溶媒液とも吹き付け塗布方法のように無駄がなく、
効率的に塗布できる。
【0086】上記の様に保持器に上記潤滑剤を均一に塗
布することにより、潤滑剤を供給しない状態で運転トル
クが低く、しかも寿命がながくなり、高度の真空下又は
極低温下のようなグリースや油等を使用できない過酷な
雰囲気下においても安定した運転に耐えることができ
る。
布することにより、潤滑剤を供給しない状態で運転トル
クが低く、しかも寿命がながくなり、高度の真空下又は
極低温下のようなグリースや油等を使用できない過酷な
雰囲気下においても安定した運転に耐えることができ
る。
【0087】上記軸受用保持器を用いた転がり軸受等の
軸受は、LBPやデジタル複写機のポリゴンスキャナモ
ータや、HDDのスピンドルモータ等の低トルク及び低
トルク変動が要求されるものに使用することができる。
軸受は、LBPやデジタル複写機のポリゴンスキャナモ
ータや、HDDのスピンドルモータ等の低トルク及び低
トルク変動が要求されるものに使用することができる。
【0088】上記ポリゴンスキャナモータとしては、図
2に記載のものがあげられる。この構造は、円板上のア
ルミニウム合金からなるブラケット11の端面に、鉄系
金属のブッシュを嵌め込んだハウジング12a、12b
が設けられ、軸受10a、10bを介して回転軸13が
支承されている。
2に記載のものがあげられる。この構造は、円板上のア
ルミニウム合金からなるブラケット11の端面に、鉄系
金属のブッシュを嵌め込んだハウジング12a、12b
が設けられ、軸受10a、10bを介して回転軸13が
支承されている。
【0089】また、巻線を施した固定子14は、反運転
側の前記ハウジング12の外周に取り付けられ、反運転
側の軸端に取り付けたヨーク15によって支持される永
久磁石からなる外側回転子16によって前記固定子14
は隙間を介して囲まれている。さらに、運転側軸端には
回転軸13に直接にポリゴンミラー17用の独立部材と
しての取付台座18が取り付けられており、この取付台
座18に外周に正八角形の鏡面を持つポリゴンミラー1
7を座金19とボルト20とで固定されている。取付台
座18と運転側のハウジング12aとの間にラビリンス
等の軸封装置が形成されている。
側の前記ハウジング12の外周に取り付けられ、反運転
側の軸端に取り付けたヨーク15によって支持される永
久磁石からなる外側回転子16によって前記固定子14
は隙間を介して囲まれている。さらに、運転側軸端には
回転軸13に直接にポリゴンミラー17用の独立部材と
しての取付台座18が取り付けられており、この取付台
座18に外周に正八角形の鏡面を持つポリゴンミラー1
7を座金19とボルト20とで固定されている。取付台
座18と運転側のハウジング12aとの間にラビリンス
等の軸封装置が形成されている。
【0090】ここで用いられる軸受10a、10bにこ
の発明に係る軸受用保持器を用いた軸受を用いること
で、トルクを低下させ及びトルク変動を低下させること
が可能となる。
の発明に係る軸受用保持器を用いた軸受を用いること
で、トルクを低下させ及びトルク変動を低下させること
が可能となる。
【0091】また、HDDのスピンドルモータとして
は、例えば図3に示すものがあげられ、回転軸27とデ
ィスク用スピンドル26の間に軸受25a、25bが設
けられている。この軸受25a、25bにこの発明に係
る軸受用保持器を用いた軸受を用いることで、トルクを
低下させ及びトルク変動を低下させることが可能とな
る。
は、例えば図3に示すものがあげられ、回転軸27とデ
ィスク用スピンドル26の間に軸受25a、25bが設
けられている。この軸受25a、25bにこの発明に係
る軸受用保持器を用いた軸受を用いることで、トルクを
低下させ及びトルク変動を低下させることが可能とな
る。
【0092】
〔実施例1〕表1に示す軸受保持器材料を用いて、軸受
保持器を射出成形した。内輪、外輪、ボールにその保持
器を組み合わせて軸受とし、表1に示す潤滑剤溶液に軸
受全体を浸漬する。その後、溶液を自然乾燥させてトル
ク、トルク変動、ジッターを下記の方法にて測定を行っ
た。なお、用いた潤滑剤は、成分としてテトラエステル
油とジエステル油からなる。また、ポリイミド樹脂とア
ミド樹脂の特性(耐熱性、自己潤滑性、強度)の違いに
ついて記した。
保持器を射出成形した。内輪、外輪、ボールにその保持
器を組み合わせて軸受とし、表1に示す潤滑剤溶液に軸
受全体を浸漬する。その後、溶液を自然乾燥させてトル
ク、トルク変動、ジッターを下記の方法にて測定を行っ
た。なお、用いた潤滑剤は、成分としてテトラエステル
油とジエステル油からなる。また、ポリイミド樹脂とア
ミド樹脂の特性(耐熱性、自己潤滑性、強度)の違いに
ついて記した。
【0093】1.トルクの測定 回転数15000rpm、アキシャル荷重1kgfの条
件下でトルク(gf−cm)を測定した。
件下でトルク(gf−cm)を測定した。
【0094】2.ジッターの測定 FGジッター測定器により、回転速度変動の測定を行っ
た。測定条件は、回転数15000rpmの条件で10
分間エージングした後、30秒間のジッター測定を5回
行い、その最大値(回転速度変動率:%)を求めた。
た。測定条件は、回転数15000rpmの条件で10
分間エージングした後、30秒間のジッター測定を5回
行い、その最大値(回転速度変動率:%)を求めた。
【0095】〔比較例1〕表1に記載した軸受保持器材
料を用いて、実施例1と同様にして軸受保持器を成形
し、軸受状態にて表1に記載の潤滑剤を、実施例1の方
法に従い塗布し、溶液を自然乾燥させた。次いで、内部
に表1の潤滑剤を充填して軸受とした。なお、潤滑剤の
充填量を表1に示す。
料を用いて、実施例1と同様にして軸受保持器を成形
し、軸受状態にて表1に記載の潤滑剤を、実施例1の方
法に従い塗布し、溶液を自然乾燥させた。次いで、内部
に表1の潤滑剤を充填して軸受とした。なお、潤滑剤の
充填量を表1に示す。
【0096】上記軸受のトルク値、トルク変動、ジッタ
ーを実施例1に記載の方法により測定した。
ーを実施例1に記載の方法により測定した。
【0097】
【表1】 実施例1と比較例1から、この発明にかかる保持器を用
いた軸受は、従来の軸受と比べて、トルク、トルク変
動、ジッター値の全ての値について小さいことが認めら
れた。また、耐熱性、自己潤滑性、強度のいずれも、こ
の発明にかかる軸受のほうが優れていることが明らかと
なった。
いた軸受は、従来の軸受と比べて、トルク、トルク変
動、ジッター値の全ての値について小さいことが認めら
れた。また、耐熱性、自己潤滑性、強度のいずれも、こ
の発明にかかる軸受のほうが優れていることが明らかと
なった。
【0098】さらに、油の保持性もこの発明にかかる軸
受のほうが優れており、ポリアミド樹脂からなる軸受の
表面はフラットであるのに対し、ポリイミド樹脂からな
る軸受の表面は凹凸が多いことが明らかとなった。この
ことは、図4及び図5に示されるSEM写真からも明ら
かである。
受のほうが優れており、ポリアミド樹脂からなる軸受の
表面はフラットであるのに対し、ポリイミド樹脂からな
る軸受の表面は凹凸が多いことが明らかとなった。この
ことは、図4及び図5に示されるSEM写真からも明ら
かである。
【0099】図4には、従来用いられている充填剤含有
のポリアミド品の射出成形後の表面における500倍の
SEM写真を示し、図5には、この発明にかかるポリイ
ミド品の射出成形後の表面における500倍のSEM写
真を示す。
のポリアミド品の射出成形後の表面における500倍の
SEM写真を示し、図5には、この発明にかかるポリイ
ミド品の射出成形後の表面における500倍のSEM写
真を示す。
【0100】図4では、全体がフラットで、細長い充填
剤41が見られるのみだが、図5では、充填剤41の他
に、白く見える充填剤42の部分の周囲に黒く凹部43
が見られる。この凹部43は、図4には見られず、図5
では凹部が多いことがわかる。
剤41が見られるのみだが、図5では、充填剤41の他
に、白く見える充填剤42の部分の周囲に黒く凹部43
が見られる。この凹部43は、図4には見られず、図5
では凹部が多いことがわかる。
【0101】従って、ポリイミド系樹脂の表面には多数
の凹部43が見られ、ここに潤滑油が保持されるのであ
る。
の凹部43が見られ、ここに潤滑油が保持されるのであ
る。
【0102】〔実施例2〕表1に示すポリイミド樹脂軸
受保持器材料を用いて、軸受保持器を射出成形し、表2
に記載の潤滑剤を実施例1の方法に従い、潤滑剤を上記
軸受に塗布した。なお、潤滑剤の充填量を表2に示す。
受保持器材料を用いて、軸受保持器を射出成形し、表2
に記載の潤滑剤を実施例1の方法に従い、潤滑剤を上記
軸受に塗布した。なお、潤滑剤の充填量を表2に示す。
【0103】上記軸受とし、トルク値、ジッター及び耐
久試験の特性評価を行った。トルク値、ジッターの測定
方法は、実施例1に記載の方法と同様の方法で、耐久試
験及び音響試験は、下記の方法で測定した。
久試験の特性評価を行った。トルク値、ジッターの測定
方法は、実施例1に記載の方法と同様の方法で、耐久試
験及び音響試験は、下記の方法で測定した。
【0104】1.耐久試験 60℃雰囲気下、回転数10000rpm、アキシャル
荷重1kgfの条件下で耐久時間を測定した。なお、3
00時間に達したものは、その時点で試験を終了した。
荷重1kgfの条件下で耐久時間を測定した。なお、3
00時間に達したものは、その時点で試験を終了した。
【0105】2.音響試験 A特性の騒音計とFFTアナライザーを用いて、比較例
2の音圧レベルを基準として、相対的にこれより0.1
dB以上の低騒音の音響特性が得られれば、良好と判断
した。
2の音圧レベルを基準として、相対的にこれより0.1
dB以上の低騒音の音響特性が得られれば、良好と判断
した。
【0106】〔比較例2〕表1に記載のアミド樹脂を軸
受保持器材料とし、軸受保持器を射出成形し、表2に記
載の潤滑剤実施例1の方法に従い、潤滑剤を上記軸受に
塗布した。なお、潤滑剤の充填量を表2に示す。
受保持器材料とし、軸受保持器を射出成形し、表2に記
載の潤滑剤実施例1の方法に従い、潤滑剤を上記軸受に
塗布した。なお、潤滑剤の充填量を表2に示す。
【0107】上記軸受とし、トルク値、ジッター及び耐
久試験の特性評価を行った。トルク値、ジッターの測定
方法は、実施例1に記載の方法と同様の方法で、耐久試
験は、実施例2に記載の方法で測定した。
久試験の特性評価を行った。トルク値、ジッターの測定
方法は、実施例1に記載の方法と同様の方法で、耐久試
験は、実施例2に記載の方法で測定した。
【0108】〔比較例3〕比較例2と同様にして軸受保
持器を射出成形し、表2に記載の潤滑剤を実施例1の方
法に従い、性状がオイルの潤滑剤を上記軸受に塗布し
た。内部に性状が表2の潤滑剤グリースを充填して軸受
とした。なお、潤滑剤の充填量を表2に示す。
持器を射出成形し、表2に記載の潤滑剤を実施例1の方
法に従い、性状がオイルの潤滑剤を上記軸受に塗布し
た。内部に性状が表2の潤滑剤グリースを充填して軸受
とした。なお、潤滑剤の充填量を表2に示す。
【0109】
【表2】 実施例2と比較例2及び3から、この発明にかかる保持
器を用いた軸受は、従来の軸受と比べて、トルク、トル
ク変動、ジッター値について小さいことが認められ、耐
久試験は3000時間の停止時間まで良好であることが
認められた。
器を用いた軸受は、従来の軸受と比べて、トルク、トル
ク変動、ジッター値について小さいことが認められ、耐
久試験は3000時間の停止時間まで良好であることが
認められた。
【0110】
【発明の効果】この発明によれば、軸受用保持器がポリ
イミド系樹脂で形成されているので、柔軟性を有して転
がり軸受等の軸受への組み込み性が良好で、高温で使用
した場合でも変形率が低いので、軸受が損傷せず、しか
も耐熱性、耐薬品性、また、熱可塑性ポリイミド樹脂で
は、付随して射出成形性をも兼ね備えている。また、自
己潤滑性能をより高めることができ、潤滑油等がなくな
っても、潤滑性能を保つことができる。さらに、耐熱性
や強度も向上させることができる。また、潤滑油を用い
たので、潤滑グリースを使用した場合に比べて攪拌抵抗
を低下させることができ、また、その表面を均一に潤滑
油で被覆することにより、軸受における潤滑油の保持を
可能にした。これにより、軸受用保持器の潤滑性をたか
めて保持することができ、攪拌抵抗を低下させることが
できるので、軸受のトルクを低下させ及びトルク変動を
低下させることが可能となり、軸受自体の長寿命化を図
ることができる。
イミド系樹脂で形成されているので、柔軟性を有して転
がり軸受等の軸受への組み込み性が良好で、高温で使用
した場合でも変形率が低いので、軸受が損傷せず、しか
も耐熱性、耐薬品性、また、熱可塑性ポリイミド樹脂で
は、付随して射出成形性をも兼ね備えている。また、自
己潤滑性能をより高めることができ、潤滑油等がなくな
っても、潤滑性能を保つことができる。さらに、耐熱性
や強度も向上させることができる。また、潤滑油を用い
たので、潤滑グリースを使用した場合に比べて攪拌抵抗
を低下させることができ、また、その表面を均一に潤滑
油で被覆することにより、軸受における潤滑油の保持を
可能にした。これにより、軸受用保持器の潤滑性をたか
めて保持することができ、攪拌抵抗を低下させることが
できるので、軸受のトルクを低下させ及びトルク変動を
低下させることが可能となり、軸受自体の長寿命化を図
ることができる。
【図1】この発明に係る冠型保持器の一例を示す斜視図
【図2】この発明に係る保持器からなる軸受を使用した
ポリゴンスキャナモータの一例を示す一部断面図
ポリゴンスキャナモータの一例を示す一部断面図
【図3】この発明に係る保持器からなる軸受を使用した
HDDのスピンドルモータの一例を示す一部断面図
HDDのスピンドルモータの一例を示す一部断面図
【図4】従来の樹脂の射出成形品の表面に形成されたパ
ターンを表わす電子顕微鏡写真
ターンを表わす電子顕微鏡写真
【図5】この発明にかかる樹脂の射出成形品の表面に形
成されたパターンを表わす電子顕微鏡写真
成されたパターンを表わす電子顕微鏡写真
1 保持器本体 2 保持爪 3 ポケット 10a、10b 軸受 11 ブラケット 12a、12b ハウジング 13 回転軸 14 固定子 15 ヨーク 16 回転子 17 ポリゴンミラー 18 取付台座 19 座金 20 ボルト 25a、25b 軸受 26 ディスク用スピンドル 27 回転軸 28 磁気ヘッド 29 磁気ディスク 41 充填剤 42 充填剤 43 凹部
Claims (7)
- 【請求項1】 ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系
樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂からなり、その表
面が膜厚が0.001〜25μm潤滑油で均一に被覆さ
れた軸受用保持器。 - 【請求項2】 ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系
樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂からなり、その表
面は0.001〜25μmの深さの凹部を有し、上記凹
部に潤滑油が保持された軸受用保持器。 - 【請求項3】 上記ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミ
ド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂は、下記化1
の構造を含む熱可塑性ポリイミド樹脂である請求項1又
は2に記載の軸受用保持器。 【化1】 - 【請求項4】 上記ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミ
ド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂に潤滑剤が1
〜50重量%添加されている請求項1〜3のいずれかに
記載の軸受用保持器。 - 【請求項5】 上記潤滑油はエステル系油である請求項
1又は2に記載の軸受用保持器。 - 【請求項6】 上記潤滑油の粘度は、40℃において1
0〜40cStの粘度を有する請求項1、2又は5に記
載の軸受用保持器。 - 【請求項7】 溶媒に溶解混合した潤滑油を上記ポリイ
ミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、又はポリエーテ
ルイミド系樹脂からなる軸受用保持器を浸漬し、その
後、溶媒を蒸発させる潤滑油が被覆された軸受用保持器
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10619996A JPH09236128A (ja) | 1995-12-28 | 1996-04-02 | 軸受用保持器 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7-343546 | 1995-12-28 | ||
JP34354695 | 1995-12-28 | ||
JP10619996A JPH09236128A (ja) | 1995-12-28 | 1996-04-02 | 軸受用保持器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09236128A true JPH09236128A (ja) | 1997-09-09 |
Family
ID=26446357
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10619996A Pending JPH09236128A (ja) | 1995-12-28 | 1996-04-02 | 軸受用保持器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09236128A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6376952B1 (en) | 1999-07-14 | 2002-04-23 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Bearing system for a rotating shaft |
US6700255B1 (en) | 1999-11-12 | 2004-03-02 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Bearing system with flexible bearing bracket |
JP2018054111A (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | ミネベアミツミ株式会社 | 歯科用ハンドピースに用いる玉軸受および該玉軸受の保持器 |
JP2019190532A (ja) * | 2018-04-23 | 2019-10-31 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受及びその製造方法 |
-
1996
- 1996-04-02 JP JP10619996A patent/JPH09236128A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6376952B1 (en) | 1999-07-14 | 2002-04-23 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Bearing system for a rotating shaft |
US6700255B1 (en) | 1999-11-12 | 2004-03-02 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Bearing system with flexible bearing bracket |
JP2018054111A (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | ミネベアミツミ株式会社 | 歯科用ハンドピースに用いる玉軸受および該玉軸受の保持器 |
JP2019190532A (ja) * | 2018-04-23 | 2019-10-31 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受及びその製造方法 |
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