JPH08165566A - 高純度チタン材およびその製造方法 - Google Patents

高純度チタン材およびその製造方法

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JPH08165566A
JPH08165566A JP8195395A JP8195395A JPH08165566A JP H08165566 A JPH08165566 A JP H08165566A JP 8195395 A JP8195395 A JP 8195395A JP 8195395 A JP8195395 A JP 8195395A JP H08165566 A JPH08165566 A JP H08165566A
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隆 大西
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誠 蔵本
Yasutoku Yoshimura
泰徳 吉村
Kazuo Kobayashi
一雄 小林
Setsuo Okamoto
節男 岡本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 精製析出材のままでスパッタリング用ターゲ
ット材として使用できる高純度チタン材を製造する。 【構成】 反応容器1内に基体6および粗チタン7を保
持する。粗チタン7に4沃化チタンを反応させて低級沃
化チタンを合成する。低級沃化チタンを基体6の表面上
で熱分解して、その表面に精製チタンを析出させる。基
体6の結晶粒径を500μm以下とする。または、基体
6の表面に格子間隔が500μm以下の網を貼る。精製
チタンの結晶粒径が500μm以下となる。結晶粒径が
500μm以下の精製チタンは、スパッタリングにおい
て薄膜の膜厚分布を均一にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LSI、ULSI等の
半導体素子の製造において、配線材料としての薄膜を形
成するために用いられるスパッタリング用ターゲット材
として特に適した高純度チタン材およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年のLSIの急速な集積度の増大によ
り、LSI,ULSIに使用される電極材料は、電極配
線の細線化による信号遅延を解決するために、従来多用
されてきたポリシリコンに替わって、より低抵抗な高純
度・高融点金属材料に移行しつつある。LSI,ULS
Iに使用される高純度・高融点金属材料としては、モリ
ブデン、タングステン、チタンあるいはそれらのシリサ
イドがあり、なかでもチタンは優れた比強度、加工性お
よび耐食性を有することから、特に有望とされている。
【0003】チタンにより半導体用電極を形成する場
合、スパッタリングが用いられる。そのため、高純度チ
タンからなるスパッタリング用ターゲット材が必要にな
る。高純度のチタンターゲット材は通常次のようにして
製造される。
【0004】沃化物熱分解法または電解法等によって精
製した高純度チタン材を溶解、加工、熱処理して板状の
溶製ターゲット材となす。しかし、これらの方法は、精
製の後に溶解、加工、熱処理を行うので、工数が多く、
製造コストの上昇を招く。
【0005】これらの問題点を解決するために提案され
たのが、特開昭62−294175号公報に示された高
純度ターゲット材の直接製法である。この方法はハロゲ
ン化物熱分解法により板状の基体の表面に精製金属を析
出させる。板状の基体の表面に精製金属を析出させるの
で、その析出材をそのままスパッタリング用ターゲット
材として用いることができる。その結果、精製後の溶
解、加工、熱処理が不要になり、製造コストが低下す
る。つまり、特開昭62−294175号公報に示され
た方法は、溶製ターゲット材に対する析出ターゲット材
の製法を提案したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭62−
294175号公報に示された析出ターゲット材の製造
方法では、不純物汚染は問題にされているが、基体表面
に析出させる精製金属の結晶粒度は考慮されていない。
【0007】スパッタリング用の高純度チタンターゲッ
ト材では、スパッタリングにより形成される薄膜の膜厚
を均一にするために、高純度チタンの結晶粒を微細化す
る必要がある。このため、溶製ターゲット材の製造で
は、溶解、加工の後に熱処理が行われる。しかし、特開
昭62−294175号公報に示された方法では、結晶
粒を微細化する方法が明示されておらず、スパッタリン
グ膜厚を均一化できる程度に高純度チタンの結晶粒が微
細化されているとは考えられない。そのため、製造され
た析出ターゲット材を直接スパッタリングに使用するこ
とは困難である。
【0008】また、特開昭62−294175号公報に
示された方法では、高純度チタンの精製にハロゲン化物
熱分解法が用いられる。この方法では、反応容器内で下
記の反応が進行する。 粗Ti+2I2 →TiI4 (合成反応) TiI4 →高純度Ti+2I2 (熱分解反応)
【0009】ハロゲン化物熱分解法では、合成反応の温
度が200〜400℃と低いために、副生成物である高
融点の低級沃化チタン(TiI2 ,TiI3 )が固体状
態で発生しやすい。発生した低級沃化チタンは粗チタン
表面を覆い、反応の継続を防げる。一方、熱分解反応の
温度は1300〜1500℃と非常に高く、チタン析出
ガス源としての四沃化チタンに含まれる金属不純物の熱
分解を促し、析出チタンの高純度化を制限する原因にな
る。
【0010】従って、高純度で十分な厚みを持つ精製チ
タンを基体の表面に析出させることも困難である。
【0011】本発明の目的は、スパッタリング用ターゲ
ット材として問題なく直接使用できる高純度チタン材お
よびその製造方法を提供することにある。本発明の他の
目的は、精製チタンに高い純度と十分な厚みを与えるこ
とができる高純度チタン材の製造方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】高純度で十分な厚みを持
つチタンを基体の表面に析出させる高純度チタンの精製
方法として、本出願人は低級沃化物熱分解法による方法
を先に開発した(特開平3−215633号公報)。こ
の方法は、反応容器内に粗チタンおよび基体を保持し、
粗チタンに四沃化チタンを反応させて低級沃化チタンを
合成すると共に、合成された低級沃化チタンを基体の表
面上で熱分解することにより、その基体の表面に精製チ
タンを析出させるものである。
【0013】ここで、低級沃化チタンとはTiI2 ,T
iI3 のことである。これらの低級沃化チタンは、四沃
化チタンと比べて合成反応温度が高く、熱分解反応温度
が低い。
【0014】本出願人が開発した低級沃化物熱分解法
は、低級沃化チタンのこの反応温度を活用したもので、
反応容器内で一旦粗チタンに四沃化チタンを反応させて
低級沃化チタンを合成し、この低級沃化チタンを介して
高純度チタンを生成する。この場合の反応式は一応下記
の通りとなる。 粗Ti+TiI4 →2TiI2 (合成反応) 2TiI2 →高純度Ti+TiI4 (熱分解反応)
【0015】粗チタンと四沃化チタンとの反応による低
級沃化チタンの合成は、四沃化チタンの合成よりも高温
の700〜900℃程度で行われ、低級沃化チタンが直
接ガス状で得られる。また、低級沃化チタンの合成温度
では、未反応および熱分解に伴って生成した四沃化チタ
ンもガス状態に維持される。従って、反応容器内の沃化
ガス(低級沃化チタンおよび四沃化チタン)が粗チタン
表面を覆うおそれがなく、その合成反応が安定して継続
される。
【0016】合成された低級沃化チタンは、四沃化チタ
ンよりも熱分解が容易で、熱分解温度を1100〜13
00℃程度に下げることができる。従って、チタン析出
ガス源としての低級沃化チタンに含まれる金属不純物の
熱分解が阻止され、金属不純物が析出チタンに混入する
おそれがなくなる。
【0017】また、反応中に反応容器内へ四沃化チタン
を供給する一方で、反応容器内から沃化チタン(四沃化
チタンおよび低級沃化チタン)を排出すれば、粗チタン
から沃化チタンガス中へ放出した金属不純物が逐一反応
容器外へ排出され、反応容器内の沃化チタンガス中に金
属不純物が濃縮するおそれがなくなる。
【0018】かくして、低級沃化物熱分解法は、より高
純度の精製チタンを基体の表面に長時間にわたって析出
させ続けることができる。
【0019】本発明者らは、低級沃化物熱分解法で製造
した高純度チタン材をスパッタリング用ターゲット材と
して使用するために、種々検討を重ねた結果、以下の知
見を得、本発明を完成させるに至った。
【0020】すわなち、基体表面に析出させる精製チタ
ンの結晶粒径が500μm以下であると、その高純度チ
タン材をスパッタリング用ターゲット材に直接使用した
場合に、スパッタリング膜厚が均一化されること、基体
の結晶粒径が500μm以下であると、その表面に析出
される精製チタンの結晶粒径が500μm以下になるこ
と、通常の沃化物熱分解法においても同様の傾向が見ら
れることを知見した。
【0021】また、スパッタリングにより形成される薄
膜の膜厚を均一化するためには、析出チタンの結晶粒を
微細化することと合わせてその結晶粒径を均一にするこ
とが重要になる。そこで本発明者らは、基体の表面に析
出する精製チタンに均一かつ微細な結晶粒を付与する方
法を開発するべく更に検討を続けた結果、基体または基
体表面に格子間隔が一定の網を使用するのが有効なこ
と、析出材に更に冷間圧延および再結晶化熱処理を施す
のが有効なことを知見した。
【0022】本発明の高純度チタン材は、沃化物熱分解
法により基体の表面に精製チタンが析出された高純度チ
タン材であって、精製チタンの結晶粒径を500μm以
下としたものである。
【0023】本発明の高純度チタン材の製造方法は、第
1に、沃化物熱分解法により基体の表面に精製チタンを
析出させる際に、結晶粒径が500μm以下の基体を使
用するものである。
【0024】第2の方法は、沃化物熱分解法により基体
の表面に精製チタンを析出させる際に、前記基体または
基体表面に格子間隔が500μm以下である格子状の網
を使用するものである。
【0025】第3の方法は、沃化物熱分解法により基体
の表面に精製チタンを析出させた高純度チタン材に対
し、400℃以下の冷間で圧延を行ない、更に400〜
600℃で再結晶化熱処理を行なうものである。
【0026】沃化物熱分解法としては、反応容器内に原
料としての粗チタンおよび基体を保持し、粗チタンに四
沃化チタンを反応させて低級沃化チタンを合成すると共
に、合成された低級沃化チタンを基体の表面上で熱分解
する低級沃化物熱分解法が望ましい。
【0027】
【作用】本発明の高純度チタン材は、析出材でありなが
ら、精製チタンの結晶粒径が500μm以下であるの
で、スパッタリング用ターゲット材として直接使用で
き、そのスパッタリングにおいて均一な厚みの薄膜を形
成することができる。
【0028】本発明の第1の方法は、基体が500μm
以下の結晶粒径を持つので、その表面に析出される精製
チタンの結晶粒径を500μm以下にすることができ
る。
【0029】なぜなら、析出チタンは、反応初期の基体
の結晶組織に依存して成長していくからである。その反
応機構は明確ではないが、1つの結晶が他の結晶の表面
にある定まった方位関係をとって成長するエピタクシー
成長によるものと考えられる。すなわち、格子面間隔の
似た基体を使用すると、基体の結晶面と構造的によく付
合した結晶面層が析出していくのである。
【0030】精製チタンの結晶粒径は、スパッタリング
時の膜厚分布均一化のため500μm以下とし、望まし
くは100μm以下、更に望ましくは50μm以下であ
る。従って、基体の結晶粒径も500μm以下とし、望
ましくは100μm以下、更に望ましくは50μm以下
である。
【0031】結晶粒径が500μm以下の基体は、加工
後に再結晶微細化のための熱処理を行うことにより製造
することができる。熱処理が不十分な場合には、結晶粒
径が500μm以下であっても、再結晶していない加工
組織(未再結晶粒)が残ることがある。未再結晶粒が残
ると、その組織は不均一になり、析出する精製チタンも
均一な組織でなくなり、スパッタリング時の膜厚分布に
も悪影響を及ぼす。そのため、基体は未再結晶粒が残ら
ないように十分に熱処理を施す必要がある。
【0032】基体の材質としては、チタンの他、タンタ
ル、モリブデン、タングステン、シリコン等を用いるこ
とができる。
【0033】基体の形状は、スパッタリング用ターゲッ
ト材として直接使用する関係から平板または平板を組み
合わせた角筒が望ましいが、円管でもよく、特に限定す
るものではない。
【0034】本発明の第2の方法は、基体または基体表
面に格子間隔が500μm以下である格子状の網を使用
することにより、析出材でありながら精製チタンの結晶
粒を500μm以下に微細化し、且つ、その結晶粒径を
均一に揃えることができる。
【0035】そして、その高純度チタンは、スパッタリ
ング用ターゲット材として直接使用でき、そのスパッタ
リングにおいて均一な厚みの薄膜を形成することができ
る。
【0036】網の格子間隔は、精製チタンの結晶粒径を
均一化するために一定であることが望ましい。その間隔
としては、結晶粒径を微細化にするために500μm以
下が必要であり、望ましくは100μm以下、特に望ま
しくは50μm以下である。
【0037】網の素材としては、チタンの他、モリブデ
ン、タンタル等を用いることができる。
【0038】基体に網を使用する場合は、網そのものが
基体となる。
【0039】基体の形状は、スパッタリング用ターゲッ
ト材として直接使用する関係から、平板または平板を組
み合わせた角筒が望ましいが、円筒でもよく、特に限定
するものではない。
【0040】基体の表面に網を使用する場合は、基体の
表面に網を貼り付けたものを基体として用いる。この場
合の基体の材質は、網と同種である必要はなく、異種で
あってもよく、チタンの他、タンタル、モリブデン、タ
ングステン、シリコン等を適宜用いることができる。
【0041】基体の結晶粒径と網の格子間隔との関係に
ついては、基体表面に網を貼り付けた場合には、網の格
子上に精製チタンが析出していくため、基体の結晶粒径
の影響は受けず、網の格子間隔で精製チタンの結晶粒径
は決定される。従って、基体の結晶粒径についてはこれ
を特に微細化、均一化する必要はない。
【0042】また、本発明の第3の方法は、析出材に対
して400℃以下の冷間圧延とこれに続く400〜60
0℃の再結晶化熱処理とを行なうことにより、精製チタ
ンの結晶粒を500μm以下に微細化し、合わせてその
均一化を図ることができる。特に、冷間圧延での総圧下
比を0.5以上とし、且つ1パスにおける圧下比の配分率
を10%以上とした場合は、平均結晶粒径が10〜10
0μmの微細かつ均一な結晶組織を精製チタンに与える
ことができる。
【0043】冷間圧延における圧延温度を400℃以下
としたのは次の理由による。この温度で冷間圧延加工を
行なうと、変形抵抗が大きいため、結晶粒が緻密な繊維
状組織となり、内部歪の蓄積エネルギーが大きくなる。
その結果、これに続く熱処理では、その歪を核として再
結晶が容易に起こるため、結晶粒の微細化および均一化
が図られる。
【0044】圧延圧下比については、総圧下比を0.5以
上とし、1パスにおける圧下比の配分率を10%以上と
するのが望ましい。なぜなら、総圧下比が0.5未満の場
合は材料厚みの中央部まで加工が及ぼす圧延組織が不均
一となり、圧下比の1パス配分率が10%未満の場合は
総圧下比が0.5以上でも続く熱処理では未再結晶粒が残
るからである。特に望ましい配分率は25%以上であ
る。
【0045】熱処理温度を400〜600℃としたの
は、400℃未満では未再結晶粒が残留し、600℃を
超えると結晶粒が粗大化するからである。
【0046】圧延前における精製チタンの結晶粒径につ
いては、500μmを超えることが前提であるが、前述
したような方法によりこの結晶粒径を500μm以下に
制御した場合には、圧延とこれに続く熱処理によりその
結晶粒径をより一層微細化することが可能となる。
【0047】沃化物熱分解法による高純度チタン材の直
接製造では、析出過程でそのチタンに亀裂が生じ、これ
もスパッタリング時の膜厚分布に悪影響を及ぼすが、析
出後の圧延によりこの亀裂を解消し、この点からもスパ
ッタリング膜厚の均一化を図ることができる。
【0048】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0049】〔実施例1〕チタン鋳造材を熱間鍛造加工
後、400℃以下で圧延加工し、更に500〜650℃
の温度範囲で熱処理することにより、結晶粒径が500
μm以下のチタン板からなる基体を製作する。
【0050】製作された基体を用いて低級沃化物熱分解
法により精製を行う。図1に精製装置を示す。
【0051】反応容器1はステンレス、インコネル、ハ
ステロイ等からなる円筒状の気密容器で、加熱炉2内に
配置されている。反応容器1の内面にはAu,Pt,T
a,Mo,W,石英のいずれかが2mm以下の厚みに被
覆されている。反応容器1の寸法はここでは内径250
mm、高さ600mmとした。
【0052】反応容器1には捕集器3を介して真空ポン
プ4が接続されると共に、電気炉内に収容された四沃化
チタン容器5がバルブを介して接続されている。
【0053】チタン板からなる基体6は、上端を閉止し
た四角筒状であって、反応容器1内の中心部に立てて配
置され、内側に配置したヒーター8により間接的に加熱
される。基体6の周囲には、これを取り込むようにチタ
ン板からなる4枚の粗チタン7が四角筒状にセットされ
る。粗チタン7は、反応容器1内を加熱炉2にて加熱す
ることにより所定温度に加熱される。
【0054】精製を行うには、反応容器1内を真空ポン
プにより10-1〜10-3Torrに真空排気する。反応容器
1内を加熱炉2により700〜900℃に加熱する。基
体6を1100〜1300℃に加熱する。反応容器1内
に四沃化チタン(TiI4 )を供給する。このときも真
空排気を続けて、反応容器1内を10-1〜10-3Torrに
維持する。
【0055】反応容器1内に下部から導入された四沃化
チタンは、基体6の周囲にセットされた粗チタン7と反
応して低級沃化チタン(TiI2 ,TiI3 )を合成す
る。合成された低級沃化チタンは、ガス拡散により反応
容器1内の中心部に到達して、基体6の表面(ここでは
外表面)上で熱分解して、その表面に高純度の精製チタ
ンを析出させる。
【0056】熱分解により生じた沃素あるいは四沃化チ
タンは、再び粗チタン13と反応して低級沃化チタンを
合成する。この反応を繰り返しながら四沃化チタンおよ
び低級沃化チタンは、反応容器1内を上昇し、基体6の
表面に高純度の精製チタンを析出させ続けると共に、最
終的には、余剰の四沃化チタンと共に捕集器3にて凝集
捕集される。捕集された低級沃化チタンは、沃素と反応
させることにより、四沃化チタンに再生されリサイクル
される。
【0057】表1に示す条件で厚さ11mm×幅100
mm×長さ200mmの高純度チタン材を製造した。基
体の純度は5N(99.999%)、厚みは1mmであ
り、精製チタンの純度は6N(99.9999%)、厚み
は10mmであった。また、基体の結晶粒度は比較例も
含め20μm,50μm,100μm,500μm,1
000μm,2000μmの6種類とした。精製チタン
の結晶粒度は基体に対応して20μm,50μm,10
0μm,500μm,1000μm,2000μmの6
種類となった。
【0058】製造された6種類の高純度チタン材をスパ
ッタリング用ターゲット材として用いた。それぞれで得
られた薄膜の膜厚分布を表2に示す。平均膜厚は約50
00オングストロームであり、膜厚分布は(tmax −t
min )/(tmax +tmin )×100(%)で表わし
た。精製チタンの結晶粒度が500μm以下の場合に膜
厚分布が10%以下になり、その高純度チタン材を直接
スパッタリングに使用できることを確認できた。特に、
精製チタンの結晶粒度が50μm以下の場合には、膜厚
分布が7%まで均一化される。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】〔実施例2〕チタン鋳造材を熱間鍛造加工
後、400℃以下で圧延加工し、更に500〜650℃
の温度範囲で熱処理することにより、結晶粒径が500
μm以下のチタン板からなる基体を作製する。
【0062】作製された基体の一方の表面に基体の結晶
粒度と同じ格子間隔のMo製の網を貼り、この基体を用
いて低級沃化物熱分解法により精製を行う。図2に精製
装置を示す。
【0063】反応容器1はステンレス、インコネル、ハ
ステロイ等からなる円筒状の気密容器で、加熱炉2内に
配置されている。反応容器1の内面にはAu,Pt,T
a,Mo,W,石英のいずれかが2mm以下の厚みに被
覆されている。反応容器1の寸法はここでは内径250
mm、高さ600mmとした。
【0064】反応容器1には捕集器3を介して真空ポン
プ4が接続されると共に、電気炉内に収容された四沃化
チタン容器5がバルブを介して接続されている。
【0065】チタン板からなる基体6は、網9を貼った
面を外側に向けて上端を閉止した四角筒状に組み合わさ
れ、反応容器1内の中心部に立てて配置され、内側に配
置したヒーター8により間接的に加熱される。基体6の
周囲には、これを取り囲むようにチタン板からなる4枚
の粗チタン7が四角筒状にセットされる。粗チタン7
は、反応容器1内を加熱炉2にて加熱することにより所
定温度に加熱される。
【0066】精製を行うには、反応容器1内を真空ポン
プにより10-1〜10-3Torrに真空排気する。反応容器
1内を加熱炉2により700〜900℃に加熱する。基
体6を1100〜1300℃に加熱する。反応容器1内
に四沃化チタン(TiI4 )を供給する。このときも真
空排気を続けて、反応容器1内を10-1〜10-3Torrに
維持する。
【0067】反応容器1内に下部から導入された四沃化
チタンは、基体6の周囲にセットされた粗チタン7と反
応して低級沃化チタン(TiI2 ,TiI3 )を合成す
る。合成された低級沃化チタンは、ガス拡散により反応
容器1内の中心部に到達して、基体6の表面(ここでは
外表面)上で熱分解して、その表面に高純度の精製チタ
ンを析出させる。
【0068】熱分解により生じた沃素あるいは四沃化チ
タンは、再び粗チタン7と反応して低級沃化チタンを合
成する。この反応を繰り返しながら四沃化チタンおよび
低級沃化チタンは、反応容器1内を上昇し、基体6の表
面に高純度の精製チタンを析出させ続けると共に、最終
的には、余剰の四沃化チタンと共に捕集器3にて凝集捕
集される。捕集された低級沃化チタンは、沃素と反応さ
せることにより、四沃化チタンに再生されリサイクルさ
れる。
【0069】表3に示す条件で厚さ11mm×幅100
mm×長さ200mmの平板状の高純度チタン材を製造
した。基体の純度は5N(99.999%)、厚みは1m
mであり、精製チタンの純度は6N(99.9999
%)、厚みは10mmであった。また、基体の結晶粒径
及びMo製の網の格子間隔は500μm、200μm、
50μmの3種類とした。精製チタンの平均結晶粒径は
基体及びMoの網に対応して500μm,200μm,
50μmとなった。
【0070】結晶粒径が異なる3種類の基体を、網を貼
らずに使用した場合と、網を貼って使用した場合のそれ
ぞれにつき、製造された高純度チタン材における精製チ
タンの平均結晶粒径(最大結晶粒径、最小結晶粒径)を
測定した結果、および各高純度チタン材をスパッタリン
グ用ターゲット材として用いたときに得られた薄膜の膜
厚分布を表4に示す。結晶粒径は切断法を用いて測定し
た。また、薄膜の平均膜厚は約500オングストローム
であり、膜厚分布は(最大膜厚−最小膜厚)/平均膜厚
×100(%)で表した。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】Ti基板の表面にMo製の網を貼ることに
より、Ti基板の結晶粒径に影響されることなく、精製
チタンの結晶粒径を小さくできる。また、Ti基板のみ
の場合と、Ti基板の表面にMo製の網を貼った場合と
では、結晶粒度の平均値が同じでもその内容は異なり、
Mo製の網を貼った場合の方が結晶粒径のバラツキの範
囲が小さく、均一であり、スパッタリングによって得ら
れた薄膜の膜厚分布も均一化される。
【0074】〔実施例3〕実施例1,2で製造した結晶
粒径が200μmの板状の高純度チタン材〔純度6N
(99.9999%)〕に対し、更に圧延および熱処理を
行なった。圧延での温度は室温300℃,400℃,5
00℃,600℃の5種類とし、総圧下比は0.5、1パ
スにおける圧下比の配分率は5.0%、9.1%、10.0
%、12.5%、25.0%、100%の6種類とした。配
分率100%とは1パス圧延、25.0%とは4パス圧延
のことである。
【0075】熱処理後の高純度チタン材における精製チ
タン部の結晶粒径(平均および最大)を切断法により測
定し、未再結晶粒が確認されなかった材料についてはス
パッタリングを行い、膜厚分布を測定した。平均膜厚は
約500オングストロームであり、膜厚分布は(最大膜
厚−最小膜厚)/平均膜厚×100(%)で表わした。
測定結果を処理条件と共に表5〜9に示す。
【0076】400℃以下で総圧下比が0.5以上、1パ
スにおける圧下比の配分率が10%以上の冷間圧延を行
い、その後、400〜600℃で熱処理を行なうことに
より、平均結晶粒径が10〜100μmの均一で微細な
結晶粒組織を有するターゲットが得られ、このターゲッ
トを用いてスパッタリングを行なうことにより、膜厚分
布が10%未満に抑制される。
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0083】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明の高純度チ
タン材は、析出チタン材でありながら、スパッタリング
に使用したときに均一な膜厚分布を得ることができるの
で、スパッタリング用ターゲット材として問題なく直接
使用できる。
【0084】本発明の高純度チタン材を用いたスパッタ
リング用ターゲット材は、析出チタン材であるので、製
造コストが安く不純物が少ない上に、均一な膜厚分布の
薄膜を形成できる。従って、薄膜は低コストで高品質と
なる。
【0085】本発明の高純度チタン材の製造方法は、ス
パッタリング用ターゲット材として使用したときに均一
な膜厚を得ることができる高品質な高純度チタン材を、
精製により簡単に製造することができる。
【0086】沃化物熱分解法として低級沃化物熱分解法
を用いた場合は、精製チタンに特に高い純度と十分な厚
みを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高純度チタン材の製造に適した精製装
置の概略構成図である。
【図2】本発明の高純度チタン材の製造に適した他の精
製装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 反応容器 5 四沃化チタン容器 6 基体 7 粗チタン 9 網
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 一雄 兵庫県尼崎市東浜町1番地 住友シチック ス株式会社内 (72)発明者 岡本 節男 兵庫県尼崎市東浜町1番地 住友シチック ス株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沃化物熱分解法により基体の表面に精製
    チタンを析出させた高純度チタン材であって、精製チタ
    ンの結晶粒径が500μm以下であることを特徴とする
    高純度チタン材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の高純度チタン材を用い
    たスパッタリング用ターゲット材。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のスパッタリング用ター
    ゲット材により形成された薄膜。
  4. 【請求項4】 沃化物熱分解法により基体の表面に精製
    チタンを析出させる際に、結晶粒径が500μm以下の
    基体を使用することを特徴とする高純度チタン材の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 沃化物熱分解法により基体の表面に精製
    チタンを析出させる際に、前記基体または基体表面に格
    子間隔が500μm以下である格子状の網を使用するこ
    とを特徴とする高純度チタン材の製造方法。
  6. 【請求項6】 沃化物熱分解法により基体の表面に精製
    チタンを析出させた高純度チタン材に対し、400℃以
    下の冷間で圧延を行ない、更に400〜600℃で再結
    晶化熱処理を行なうことを特徴とする高純度チタン材の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 冷間圧延時の総圧下比が0.5以上であ
    り、且つ1パスにおける圧下比の配分率が10%以上で
    あることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 沃化物熱分解法が、反応容器内に原料と
    しての粗チタンおよび基体を保持し、粗チタンに四沃化
    チタンを反応させて低級沃化チタンを合成すると共に、
    合成された低級沃化チタンを基体の表面上で熱分解する
    低級沃化物熱分解法であることを特徴とする請求項4,
    5,6または7に記載の方法。
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