JPH08165514A - 耐摩耗性カーボンロール - Google Patents
耐摩耗性カーボンロールInfo
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- JPH08165514A JPH08165514A JP30803294A JP30803294A JPH08165514A JP H08165514 A JPH08165514 A JP H08165514A JP 30803294 A JP30803294 A JP 30803294A JP 30803294 A JP30803294 A JP 30803294A JP H08165514 A JPH08165514 A JP H08165514A
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- roll
- carbon
- metal
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- Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
- Furnace Details (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 カーボンの柔軟性及び高温での形状安定性を
損なうことなく、カーボンロールの耐摩耗性を付与す
る。 【構成】 胴部がカーボンからなるロールの表層に、該
カーボンの熱膨張との比が5以下の金属を鋳込んだ金属
層を設け、好ましくは金属層の厚みを5mm以下とするカ
ーボンロール。 【効果】 サーマルクラウンが防止できるため、金属帯
板の変形や蛇行が防止でき、ライン速度を落とさずに生
産ができる。また、ロール冷却も均一にかつ効率的にで
きるとともに、通電ロールに用いれば、スパークの発生
もなく安定した加熱ができる。
損なうことなく、カーボンロールの耐摩耗性を付与す
る。 【構成】 胴部がカーボンからなるロールの表層に、該
カーボンの熱膨張との比が5以下の金属を鋳込んだ金属
層を設け、好ましくは金属層の厚みを5mm以下とするカ
ーボンロール。 【効果】 サーマルクラウンが防止できるため、金属帯
板の変形や蛇行が防止でき、ライン速度を落とさずに生
産ができる。また、ロール冷却も均一にかつ効率的にで
きるとともに、通電ロールに用いれば、スパークの発生
もなく安定した加熱ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱処理炉で用いられる
搬送用ロールや、鋼板を冷却するために用いる冷却ロー
ル、あるいは通電加熱用の通電ロールなどに用いられる
耐摩耗性に優れたカーボンロールに関する。
搬送用ロールや、鋼板を冷却するために用いる冷却ロー
ル、あるいは通電加熱用の通電ロールなどに用いられる
耐摩耗性に優れたカーボンロールに関する。
【0002】
【従来の技術】金属の焼鈍、例えば冷延鋼板の連続焼鈍
で使用される炉内のハースロールでは炉の雰囲気温度が
高く、接触する鋼板が雰囲気温度より低い場合、ロール
の中央部温度が低いため、ロールのエッジの方が高温に
なり、温度分布がつく。この温度分布に応じ、ロールの
プロフィールは、熱膨張により中央がへこみエッジが高
い凹型のクラウンを生じる。逆に、炉の雰囲気温度より
高温の鋼板と接触する場合や、加熱された鋼板を冷却す
るために使用される冷却ロール、あるいは、通電加熱に
使われる通電ロールなどは、ロール温度が鋼板よりも低
く、高温の鋼板と接触した部分は高温に熱せられるが、
鋼板と接触しない部分は温度が低くなり、凸型のクラウ
ンが生じる。このような状態では、鋼板にも温度分布、
張力分布がつきやすく、形状が悪化し、耳波や絞りなど
が生じやすくなる。また、鋼板の幅が変わった場合に
は、ロールのプロフィールが変化し、鋼板形状が不安定
になりやすく、ロールのプロフィールが安定するまで低
速で操業しなければならないなどの問題が有った。
で使用される炉内のハースロールでは炉の雰囲気温度が
高く、接触する鋼板が雰囲気温度より低い場合、ロール
の中央部温度が低いため、ロールのエッジの方が高温に
なり、温度分布がつく。この温度分布に応じ、ロールの
プロフィールは、熱膨張により中央がへこみエッジが高
い凹型のクラウンを生じる。逆に、炉の雰囲気温度より
高温の鋼板と接触する場合や、加熱された鋼板を冷却す
るために使用される冷却ロール、あるいは、通電加熱に
使われる通電ロールなどは、ロール温度が鋼板よりも低
く、高温の鋼板と接触した部分は高温に熱せられるが、
鋼板と接触しない部分は温度が低くなり、凸型のクラウ
ンが生じる。このような状態では、鋼板にも温度分布、
張力分布がつきやすく、形状が悪化し、耳波や絞りなど
が生じやすくなる。また、鋼板の幅が変わった場合に
は、ロールのプロフィールが変化し、鋼板形状が不安定
になりやすく、ロールのプロフィールが安定するまで低
速で操業しなければならないなどの問題が有った。
【0003】また、通電ロールではロールにクラウンが
生じると鋼板への接触圧力が部分的に低下する結果、鋼
板と通電ロールの間でスパークが発生し、鋼板、通電ロ
ール双方に溶融痕が生じ、製品品質の低下、ロール寿命
の低下をもたらすという問題があった。
生じると鋼板への接触圧力が部分的に低下する結果、鋼
板と通電ロールの間でスパークが発生し、鋼板、通電ロ
ール双方に溶融痕が生じ、製品品質の低下、ロール寿命
の低下をもたらすという問題があった。
【0004】このように、ロールのプロフィールが変化
すると種々の不都合が生じる原因となる。そこで、ロー
ル表面温度を均一にするため、特開昭57−13679
3号公報には、ロール表面に磁束密度が高くなる部分の
抵抗値が大きくなるように導電性磁性体膜を形成し、誘
導加熱をした場合に、一様な温度分布を得ることが記載
されている。また、特開昭61−79733号公報に
は、ロール表面を通電性セラミックで構成し、通電加熱
可能に構成した搬送ロールが記載されている。このロー
ルは、導電性セラミックに通電し、抵抗加熱によりロー
ルの幅方向の温度分布を均一化することができると記載
されている。
すると種々の不都合が生じる原因となる。そこで、ロー
ル表面温度を均一にするため、特開昭57−13679
3号公報には、ロール表面に磁束密度が高くなる部分の
抵抗値が大きくなるように導電性磁性体膜を形成し、誘
導加熱をした場合に、一様な温度分布を得ることが記載
されている。また、特開昭61−79733号公報に
は、ロール表面を通電性セラミックで構成し、通電加熱
可能に構成した搬送ロールが記載されている。このロー
ルは、導電性セラミックに通電し、抵抗加熱によりロー
ルの幅方向の温度分布を均一化することができると記載
されている。
【0005】しかしながら、これら従来の方法ではロー
ル表面温度だけを均一にしようとしても、ロール表面温
度と異なる物質がロールと接触すればやはりロール表面
温度分布は不均一になるとともに、軸受けからロールま
で各部へ熱が移動することから、ロール内部まで温度を
均一化することは困難であり、ロールのプロフィールを
均一化することが難しい。
ル表面温度だけを均一にしようとしても、ロール表面温
度と異なる物質がロールと接触すればやはりロール表面
温度分布は不均一になるとともに、軸受けからロールま
で各部へ熱が移動することから、ロール内部まで温度を
均一化することは困難であり、ロールのプロフィールを
均一化することが難しい。
【0006】それに対し、熱伝導率が高く熱膨張係数の
小さなカーボン材を用いれば、雰囲気温度によらずプロ
フィールをほぼ一定に保つことが可能となる。しかし、
形状安定性に優れるカーボン材ではあるが、柔らかいた
め摩耗が激しいという問題がある。
小さなカーボン材を用いれば、雰囲気温度によらずプロ
フィールをほぼ一定に保つことが可能となる。しかし、
形状安定性に優れるカーボン材ではあるが、柔らかいた
め摩耗が激しいという問題がある。
【0007】摩耗に対しては、溶射などによりセラミッ
クスや金属、サーメット層を表層に形成する方法がある
が、溶射層は組織が緻密でないため純金属あるいは焼結
セラミックスなどに比べ機械強度が弱いことや耐摩耗性
に劣ること、寿命を延ばしたいがあまり溶射厚みを厚く
することができないなどの問題がある。
クスや金属、サーメット層を表層に形成する方法がある
が、溶射層は組織が緻密でないため純金属あるいは焼結
セラミックスなどに比べ機械強度が弱いことや耐摩耗性
に劣ること、寿命を延ばしたいがあまり溶射厚みを厚く
することができないなどの問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、カーボンロ
ールの持つ高熱伝導性、柔軟性、低熱膨張性といった性
質を損なわず、表面の耐摩耗性を顕著に改善できる耐摩
耗性カーボンロールを提供する。
ールの持つ高熱伝導性、柔軟性、低熱膨張性といった性
質を損なわず、表面の耐摩耗性を顕著に改善できる耐摩
耗性カーボンロールを提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、胴部が
カーボンからなるロールの表層に、該カーボンとの熱膨
張係数比が5以下の金属を鋳込んだ金属層を設け、好ま
しくは金属層の厚みを5mm以下とすることを特徴とする
カーボンロールである。
カーボンからなるロールの表層に、該カーボンとの熱膨
張係数比が5以下の金属を鋳込んだ金属層を設け、好ま
しくは金属層の厚みを5mm以下とすることを特徴とする
カーボンロールである。
【0010】
【作用】図面を用いて、本発明の作用を説明する。図1
は、本発明によるカーボンロールの断面図である。カー
ボン2は、ロール軸4上に設けられた断熱層3の上に密
着して設ける。断熱層3は、カーボン表層からの熱を直
接ロール軸4へ伝えないために設ける。すなわち、高温
の熱処理炉内にカーボンロールが置かれた場合等には、
カーボン2の表面からの熱がロール軸4へ移動するが、
カーボン2がロール軸4へ直接接触していると、ロール
軸4へ熱が大きく移動してしまい、熱によりロール軸4
が膨張しカーボンを押し上げロール形状を崩してしま
う。また、場合によってはカーボンを破壊にいたらす場
合もある。そのため、断熱層3は、ロール軸4への熱の
移動を少なくするとともに、移動した熱による軸の熱膨
張とその熱応力を吸収するための役割も持つ。
は、本発明によるカーボンロールの断面図である。カー
ボン2は、ロール軸4上に設けられた断熱層3の上に密
着して設ける。断熱層3は、カーボン表層からの熱を直
接ロール軸4へ伝えないために設ける。すなわち、高温
の熱処理炉内にカーボンロールが置かれた場合等には、
カーボン2の表面からの熱がロール軸4へ移動するが、
カーボン2がロール軸4へ直接接触していると、ロール
軸4へ熱が大きく移動してしまい、熱によりロール軸4
が膨張しカーボンを押し上げロール形状を崩してしま
う。また、場合によってはカーボンを破壊にいたらす場
合もある。そのため、断熱層3は、ロール軸4への熱の
移動を少なくするとともに、移動した熱による軸の熱膨
張とその熱応力を吸収するための役割も持つ。
【0011】このような構造にすることにより、鉄の約
3〜4倍というカーボンの高熱伝導性により、ロールシ
ェル内に温度分布は均一化してゆく。また、熱膨張率が
1〜6×10-6[1/℃]と小さいこともあり、冷間時
のロールプロフィールは熱間でもあまり変化しないとい
う特性があり、高温炉内においてもロール形状を常にほ
ぼ均一に保つことができるという優れた特性を有する。
3〜4倍というカーボンの高熱伝導性により、ロールシ
ェル内に温度分布は均一化してゆく。また、熱膨張率が
1〜6×10-6[1/℃]と小さいこともあり、冷間時
のロールプロフィールは熱間でもあまり変化しないとい
う特性があり、高温炉内においてもロール形状を常にほ
ぼ均一に保つことができるという優れた特性を有する。
【0012】また、カーボンロールを通電ロール、ある
いは挟持式通電の場合の押さえロールとして使用する場
合には、ヤング率が500〜1000kg/mm2 程度と小
さいため、熱間でも弾力性のある材質として、容易に被
加熱材を通電ロールとの間に押さえ込むことができるよ
うになる。
いは挟持式通電の場合の押さえロールとして使用する場
合には、ヤング率が500〜1000kg/mm2 程度と小
さいため、熱間でも弾力性のある材質として、容易に被
加熱材を通電ロールとの間に押さえ込むことができるよ
うになる。
【0013】このようにカーボンロールは、従来の金属
ロールにない優れた特性を有するが、柔らかいため容易
に摩耗しやすいという問題がある。耐摩耗性を付与する
ためには、カーボン表層に硬質の皮膜を形成すればよ
い。ところがカーボンは、一般に他の物質との反応性に
乏しく強固な皮膜を形成する事は難しい。
ロールにない優れた特性を有するが、柔らかいため容易
に摩耗しやすいという問題がある。耐摩耗性を付与する
ためには、カーボン表層に硬質の皮膜を形成すればよ
い。ところがカーボンは、一般に他の物質との反応性に
乏しく強固な皮膜を形成する事は難しい。
【0014】本発明は、カーボンの上に皮膜を形成する
方法として、図2に示すようにカーボンロール自体の表
層に、直接金属を鋳込む方法をとるが、図1に1がカー
ボン上に形成された金属層である。鋳造する金属は、カ
ーボン2と全体を包囲する形で構成した鋳型6との間の
空間7に流し込みそのまま冷却を行う。溶融した金属と
接触することによりカーボンは高温になり徐々に冷却さ
れるが、一般に溶融金属の方が熱膨張係数が大きいた
め、焼きばめしたような状態でカーボン上に凝固するた
め、カーボンとの密着力は極めて強い。特に、高温で凝
固開始するため、通常の金属の焼きばめよりも高温から
の焼きばめに相当し、使用温度も高いところまで耐えら
れる。カーボンと鋳造金属の密着力をさらに増すために
は、カーボン表層に凹凸あるいは切り込みを入れるなど
の方法がある。また、溶射の様な不完全でポーラスな組
織ではなく、組織が完全な金属組織であるため、機械強
度、寿命等の点でも優れる。
方法として、図2に示すようにカーボンロール自体の表
層に、直接金属を鋳込む方法をとるが、図1に1がカー
ボン上に形成された金属層である。鋳造する金属は、カ
ーボン2と全体を包囲する形で構成した鋳型6との間の
空間7に流し込みそのまま冷却を行う。溶融した金属と
接触することによりカーボンは高温になり徐々に冷却さ
れるが、一般に溶融金属の方が熱膨張係数が大きいた
め、焼きばめしたような状態でカーボン上に凝固するた
め、カーボンとの密着力は極めて強い。特に、高温で凝
固開始するため、通常の金属の焼きばめよりも高温から
の焼きばめに相当し、使用温度も高いところまで耐えら
れる。カーボンと鋳造金属の密着力をさらに増すために
は、カーボン表層に凹凸あるいは切り込みを入れるなど
の方法がある。また、溶射の様な不完全でポーラスな組
織ではなく、組織が完全な金属組織であるため、機械強
度、寿命等の点でも優れる。
【0015】また、鋳造する金属は、できるだけ使用す
るカーボンの熱膨張率と近い方が好ましいが、多少大き
くても密着性はある程度大きくても構わず、実験の結果
から、使用するカーボンの5倍以下の熱膨張率であれば
安定して使用できることがわかった。
るカーボンの熱膨張率と近い方が好ましいが、多少大き
くても密着性はある程度大きくても構わず、実験の結果
から、使用するカーボンの5倍以下の熱膨張率であれば
安定して使用できることがわかった。
【0016】鋳造する厚みとしては、原理的にはいくら
でも厚くできるが、鋳造する金属被膜の厚みを厚くして
ゆくと次第にカーボンの持つ弾力性が失われてゆくた
め、本発明ではカーボンの特徴の一つである高温での柔
軟性を確保できる厚みとして、実験により5mm以下とす
るのが好ましいことがわかり、厚みは5mm以下とした。
でも厚くできるが、鋳造する金属被膜の厚みを厚くして
ゆくと次第にカーボンの持つ弾力性が失われてゆくた
め、本発明ではカーボンの特徴の一つである高温での柔
軟性を確保できる厚みとして、実験により5mm以下とす
るのが好ましいことがわかり、厚みは5mm以下とした。
【0017】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明の効果を説明す
る。 (実施例1)供試材カーボンは、3000℃で焼成し
た、熱伝導率が140[W/m2 K]、線膨張係数が1
×10-6[1/℃]の外形300mm、長さ300mmの円
筒を用いた。ロールは、直径100mmのS45C製ロー
ル軸に熱伝導率0.86[W/m2 K]のキャスタブル
で厚み30mmの断熱施工し、その上にこのカーボンを5
00℃で焼きばめして製作した。
る。 (実施例1)供試材カーボンは、3000℃で焼成し
た、熱伝導率が140[W/m2 K]、線膨張係数が1
×10-6[1/℃]の外形300mm、長さ300mmの円
筒を用いた。ロールは、直径100mmのS45C製ロー
ル軸に熱伝導率0.86[W/m2 K]のキャスタブル
で厚み30mmの断熱施工し、その上にこのカーボンを5
00℃で焼きばめして製作した。
【0018】このロールに対し、図2のように樹脂によ
り鋳型を製作した。鋳造した金属は、Ni33%、1.
4%Si、1.2%Cからなる鋳鉄を用い、厚み10mm
になるように鋳造した。冷却後、型からとりだしたロー
ルは、旋盤加工により厚みが3mmになるまで研削した。
り鋳型を製作した。鋳造した金属は、Ni33%、1.
4%Si、1.2%Cからなる鋳鉄を用い、厚み10mm
になるように鋳造した。冷却後、型からとりだしたロー
ルは、旋盤加工により厚みが3mmになるまで研削した。
【0019】このように加工したロールを熱間の転動摩
耗試験機にかけ、摩耗試験を実施した。使用した転動摩
耗試験機は、幅が100mmの鋳鉄ロール(径300mm)
を、誘導加熱により700℃に加熱しながら、線圧3kg
/mmの圧力で試験ロールに押し当て所定距離接触した後
の摩耗量を比較するもので、今回の実験では、3000
km接触後の摩耗量を比較した。
耗試験機にかけ、摩耗試験を実施した。使用した転動摩
耗試験機は、幅が100mmの鋳鉄ロール(径300mm)
を、誘導加熱により700℃に加熱しながら、線圧3kg
/mmの圧力で試験ロールに押し当て所定距離接触した後
の摩耗量を比較するもので、今回の実験では、3000
km接触後の摩耗量を比較した。
【0020】試験に使用したロールは、本発明によるロ
ールA、比較例として形状がロールAと同じで何も摩耗
対策を施さない純カーボンのロールB、形状がロールA
と同じでカーボンの上にロールAで鋳造した金属とほぼ
同じ組成からなる金属をワイヤー溶射し被膜3mm形成し
たロールC、形状がロールAと同じでWC−12%Co
被膜をプラズマ溶射により300μm形成したロールD
の4種類について実験を行った。
ールA、比較例として形状がロールAと同じで何も摩耗
対策を施さない純カーボンのロールB、形状がロールA
と同じでカーボンの上にロールAで鋳造した金属とほぼ
同じ組成からなる金属をワイヤー溶射し被膜3mm形成し
たロールC、形状がロールAと同じでWC−12%Co
被膜をプラズマ溶射により300μm形成したロールD
の4種類について実験を行った。
【0021】摩耗試験後の結果を表1に示す。本発明に
よるロールAは、ほとんど摩耗も剥離も生じなかったの
に対し、比較例Bは450μmもの摩耗が生じた。ま
た、同じ材質でもワイヤー溶射したロールCも組織の緻
密性が本発明によるロールAに比べ劣るため、摩耗もや
や大きな値となった。また、比較例Dは、試験途中で剥
離してしまった。このように本発明によるロールAは、
摩耗も剥離も無く安定した性能を示した。
よるロールAは、ほとんど摩耗も剥離も生じなかったの
に対し、比較例Bは450μmもの摩耗が生じた。ま
た、同じ材質でもワイヤー溶射したロールCも組織の緻
密性が本発明によるロールAに比べ劣るため、摩耗もや
や大きな値となった。また、比較例Dは、試験途中で剥
離してしまった。このように本発明によるロールAは、
摩耗も剥離も無く安定した性能を示した。
【0022】(実施例2)カーボン表層に鋳造する金属
の熱膨張率の影響をみるため、以下の実験を行った。カ
ーボン材として実施例1で使用したものと同じ材質の、
直径30mm、長さ50mmカーボン円筒と、CIP処理を
施した熱膨張率6×10-6[1/℃]のカーボンを用
い、鋳造金属の種類を変えテストピースを製作した。こ
れらのテストピースを、窒素雰囲気中で800℃に加熱
した後、室温の油に投下し、被膜のクラックが生じるま
での回数を測定した。カーボン上へ形成する金属層の厚
みは、全て3mmとした。
の熱膨張率の影響をみるため、以下の実験を行った。カ
ーボン材として実施例1で使用したものと同じ材質の、
直径30mm、長さ50mmカーボン円筒と、CIP処理を
施した熱膨張率6×10-6[1/℃]のカーボンを用
い、鋳造金属の種類を変えテストピースを製作した。こ
れらのテストピースを、窒素雰囲気中で800℃に加熱
した後、室温の油に投下し、被膜のクラックが生じるま
での回数を測定した。カーボン上へ形成する金属層の厚
みは、全て3mmとした。
【0023】試験に用いたカーボンの種類と鋳造した金
属の組み合わせ、ならびに被膜のクラックが生じるまで
の回数を表2に示す。本発明によるカーボンA〜Eは、
50回の油中投下によってもクラックは生じなかったの
に対し、カーボンと被服金属の熱膨張係数比が大きな組
み合わせF〜Iはクラックが生じた。特に、カーボンと
被服金属の熱膨張係数比が大きなF,Gはクラックが進
展し剥離にまで至った。表2より明らかなように、カー
ボンと被服金属の熱膨脹係数比は5以下が安定して昇降
温に耐えられる特性を有する。
属の組み合わせ、ならびに被膜のクラックが生じるまで
の回数を表2に示す。本発明によるカーボンA〜Eは、
50回の油中投下によってもクラックは生じなかったの
に対し、カーボンと被服金属の熱膨張係数比が大きな組
み合わせF〜Iはクラックが生じた。特に、カーボンと
被服金属の熱膨張係数比が大きなF,Gはクラックが進
展し剥離にまで至った。表2より明らかなように、カー
ボンと被服金属の熱膨脹係数比は5以下が安定して昇降
温に耐えられる特性を有する。
【0024】(実施例3)実施例1で製作したロールと
同様のロールを製作し、金属を削りながらロールの柔軟
性をみるため、エッジドロップが幅40mmで25μmの
鋼板を定盤上に置き、カーボンが圧壊しない圧下力であ
る線圧3kg/mmの圧下力を加え、エッジドロップ部が定
盤に接触しはじめる厚みを求めた。接触判定は、鋼板に
着色材を塗り、着色材が定盤に転写されるかどうかで行
った。表3に示すように、エッジ部が定盤にかすかに接
触をはじめる金属層厚みは5mmであり、この厚み以下で
あれば確実にエッジドロップ部が定盤に接触することが
わかった。
同様のロールを製作し、金属を削りながらロールの柔軟
性をみるため、エッジドロップが幅40mmで25μmの
鋼板を定盤上に置き、カーボンが圧壊しない圧下力であ
る線圧3kg/mmの圧下力を加え、エッジドロップ部が定
盤に接触しはじめる厚みを求めた。接触判定は、鋼板に
着色材を塗り、着色材が定盤に転写されるかどうかで行
った。表3に示すように、エッジ部が定盤にかすかに接
触をはじめる金属層厚みは5mmであり、この厚み以下で
あれば確実にエッジドロップ部が定盤に接触することが
わかった。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】本発明による、カーボン上へ熱膨張係数
比の小さな金属を形成したロールを用いれば、耐摩耗性
に優れたロールを形成する事ができる。その結果、カー
ボンの欠点である摩耗に弱いという性質を克服する事が
でき、例えば熱負荷のかかる金属の連続熱処理炉用の搬
送ロール等に使用すれば、カーボンのもつ低熱膨張で熱
伝導性が非常に高いという性質により、高温の被加熱材
と接触しても温度分布がつきにくく、かつ熱膨張率も小
さいので、サーマルクラウンの発生が抑止でき、金属帯
板との接触不良が回避でき、接触不良にともなうストリ
ップの変形や、温度の不均一さを防止することができ
る。また、例えば鋼板の連続焼鈍炉などで使用すれば、
板幅が変更になってもロールのプロフィールが安定して
いるため、板形状の悪化が防止でき、また蛇行などの発
生も防止できる。そのため、ライン速度をおとさない生
産が可能となり、高速搬送も可能になる。さらに、鋼板
を冷却するために用いる冷却ロール等へ使えば、カーボ
ンの熱伝導が良いため効率的に、かつ鋼板の形状不良を
起こさず冷却が可能となる。
比の小さな金属を形成したロールを用いれば、耐摩耗性
に優れたロールを形成する事ができる。その結果、カー
ボンの欠点である摩耗に弱いという性質を克服する事が
でき、例えば熱負荷のかかる金属の連続熱処理炉用の搬
送ロール等に使用すれば、カーボンのもつ低熱膨張で熱
伝導性が非常に高いという性質により、高温の被加熱材
と接触しても温度分布がつきにくく、かつ熱膨張率も小
さいので、サーマルクラウンの発生が抑止でき、金属帯
板との接触不良が回避でき、接触不良にともなうストリ
ップの変形や、温度の不均一さを防止することができ
る。また、例えば鋼板の連続焼鈍炉などで使用すれば、
板幅が変更になってもロールのプロフィールが安定して
いるため、板形状の悪化が防止でき、また蛇行などの発
生も防止できる。そのため、ライン速度をおとさない生
産が可能となり、高速搬送も可能になる。さらに、鋼板
を冷却するために用いる冷却ロール等へ使えば、カーボ
ンの熱伝導が良いため効率的に、かつ鋼板の形状不良を
起こさず冷却が可能となる。
【0029】通電ロールに応用した場合にも、加熱して
高温になった金属と接触してもプロフィールが安定して
いること、カーボンの柔軟性を損なわないことから接触
不良に伴うスパークの発生を防止できる。
高温になった金属と接触してもプロフィールが安定して
いること、カーボンの柔軟性を損なわないことから接触
不良に伴うスパークの発生を防止できる。
【0030】カーボンの欠点である摩耗に対して、本ロ
ールの場合には硬質の被膜を表層に有するので、長時間
安定して使用が可能であり、また、仮に摩耗が進んでも
表層のみを再処理すれば何度でも母材を使えるので、経
済的である。
ールの場合には硬質の被膜を表層に有するので、長時間
安定して使用が可能であり、また、仮に摩耗が進んでも
表層のみを再処理すれば何度でも母材を使えるので、経
済的である。
【図1】本発明に係るカーボンロールの具体例を示す断
面図。
面図。
【図2】図1のカーボンロールを製造する過程を示す断
面図。
面図。
1 金属層 2 カーボン 3 断熱層 4 ロール軸 6 鋳型 7 空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F27D 11/02 Z 7720−4K 15/02 C 7720−4K
Claims (2)
- 【請求項1】 胴部がカーボンからなるロールの表層
に、該カーボンとの熱膨張の比が5以下の金属を鋳込
み、金属層を設けたことを特徴とするカーボンロール。 - 【請求項2】 表層に設けた金属層の厚みが5mm以下で
あることを特徴とする請求項1記載のカーボンロール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30803294A JPH08165514A (ja) | 1994-12-13 | 1994-12-13 | 耐摩耗性カーボンロール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30803294A JPH08165514A (ja) | 1994-12-13 | 1994-12-13 | 耐摩耗性カーボンロール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08165514A true JPH08165514A (ja) | 1996-06-25 |
Family
ID=17976071
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30803294A Withdrawn JPH08165514A (ja) | 1994-12-13 | 1994-12-13 | 耐摩耗性カーボンロール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08165514A (ja) |
-
1994
- 1994-12-13 JP JP30803294A patent/JPH08165514A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020305 |