JPH08164119A - 磁気共鳴イメージング用信号処理装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング用信号処理装置

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JPH08164119A
JPH08164119A JP6313496A JP31349694A JPH08164119A JP H08164119 A JPH08164119 A JP H08164119A JP 6313496 A JP6313496 A JP 6313496A JP 31349694 A JP31349694 A JP 31349694A JP H08164119 A JPH08164119 A JP H08164119A
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隆行 清水
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直流近傍のノイズに起因して現れる虚像を、
原理的に避けることができ、しかもオーバーサンプリン
グの効果により量子化雑音を削減できる信号処理を実現
する 【構成】 アナログ受信器において、NMR信号の中心
周波数から所定の周波数だけシフトした周波数を有する
参照信号によって検波し、従来の撮影帯域401に対し
て、画像帯域402をサンプリング周波数の4分の1シ
フトさせる。この信号を、2倍のサンプリング・レート
で計測し、A/D変換して得られた実部、虚部の各デー
タに対し、複素平面座標(回転座標)上で所定角度(例
えば−π/2)回転させる演算を行う。この演算は、デ
ジタル信号領域で帯域シフト(周波数変換)することを
意味し、これにより帯域404の中心周波数をゼロ周波
数とする。このデータにIIRフィルタリングを行い、
2分の1にデータを間引いて、所望の信号データの帯域
を作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核磁気共鳴(NMR)
現象を用いた磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI
装置という)において、検査対象領域から発せられるア
ナログ核磁気共鳴信号を受信し、デジタル信号に変換し
てデジタル信号処理するための信号処理装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】MRI装置において、静磁場中に置かれ
た検査対象に高周波磁場を印加することにより検査対象
から発生するNMR信号は、プローブコイルに発生する
弱い高周波電圧として検出される。このNMR信号を用
いて画像再構成するために、MRI装置の受信器は、図
7に示すようにプリアンプ702、中間周波増幅器70
3、検波器704及びA/D変換器705を備え、A/
D変換器705によりデジタル化された信号はMRI装
置の計算機でフーリエ変換等の演算処理によって画像信
号として表示装置に出力される。
【0003】プローブコイル701によって検出された
微弱なNMR信号はプリアンプ702で増幅された後、
中間周波数増幅器703において中間周波数に変換・増
幅され更に必要に応じて不必要な周波数成分を除去した
後、検波される。検波器704は、検出された信号にN
MR信号の搬送波と同じ周波数の参照波を掛け算し、高
周波成分をフィルタリングすることによりNMR信号を
取り出すもので、2系統の検波回路を用いて、それぞれ
位相が互いに90度異なる参照波を用いる直交位相検波
(QD)が採用される。QD検波することによりフィル
ターの構成が簡単となる、A/Dのサンプリング周波数
が1/2となるなどの利点がある。
【0004】検波器704の出力はA/D変換器705
でA/D変換され、ここで初めてデジタル信号となる。
このA/D変換器705の精度は取扱うアナログ信号の
SNに依存し、現状では12ビットから16ビット程度
が用いられている。A/D変換器のサンプリング周波数
fsは、ナイキストの定理より画像帯域周波数の約2倍
に設定される。図8(a)に画像帯域801とサンプリ
ング周波数fsとの関係を示した。このように従来は、
アンチ・エリアジング・フィルタ(ナイキスト周波数f
nより高周波をカットするアナログフィルタ)の特性8
02を緩くできるため、実際の画像帯域801の2倍の
信号帯域をサンプリングしてデータとして取り込んでい
るので、結果として2倍のオーバーサンプリングしてい
ることになる。
【0005】ところで近年、3次元撮影などのNMR信
号取得機能が向上し、また静磁場強度1.5テスラ以上
の高磁場MRI装置によりNMR信号量そのものが増加
しており、今後システムのダイナミックレンジがさらに
広がることが予想される。その場合、NMR信号の量子
化精度を現状の16ビットから、さらに向上させる必要
性がある。また、AD変換器のサンプリング・レートは
今後さらに高速化することが予想されるが、現在MRI
装置に搭載しているAD変換器でもそのサンプリング・
レートは常に最高速度で動作しているわけではなく、今
後さらに高速なサンプリング・レートのAD変換器が登
場しても、その性能が充分生かされるように装置側が対
応していない。そこで、オーバーサンプリング変換技術
の採用により、AD変換器を常に最高速度に近いサンプ
リング・レートで使用することができ、その効果で量子
化雑音が削減され、ダイナミック・レンジの拡大が期待
できる。
【0006】オーバーサンプリングを利用したデジタル
受信器に関する従来例として、特公平4−40015号
公報(特開平3−118046号)「NMR装置用無線
周波受信器」がある。この従来技術では、帯域幅の2倍
の速度で信号データをサンプリングをして得られたデー
タに、正弦信号係数および余弦信号係数を順番にかけあ
わせることにより直交検波を行っている。結果として、
2倍のオーバーサンプリングを行い、サンプリングデー
タを正弦系列及び余弦系列に分離することにより1/2
にデシメートしていることになる。従って、オーバーサ
ンプリング・レート及びデシメート比は一定である。
【0007】また、もう一つの従来例として、特開平3
−118045号公報「磁気共鳴像形成システム」があ
る。この従来技術では、信号キャリア周波数の4倍でサ
ンプリング行い、正弦信号係数および余弦信号係数を順
番にかけあわせ復調し、得られたデータをAD変換器の
サンプリング・レートの整数倍のデシメート・レートで
デシメートして所望の信号データを得る。
【0008】上記従来技術は、共にデジタルQD検波を
行うためにオーバーサンプリングを採用しており、オー
バーサンプリング・レートは固定されている。またデシ
メートは、特公平4−40015号公報に記載された技
術では信号成分を2つに分離するためになされており、
特開平3−118045号公報に記載された技術ではN
MR信号取得条件に対応したデータを作り出すためのも
のであり、デシメート・レートはサンプリング・レート
の整数倍のみを取り得る。
【0009】また上記従来技術は、デジタルQD検波に
主眼がおかれたものであり、アナログQD検波された信
号に対するデジタル信号処理に関するものでなく、オー
バーサンプリングによる効果(量子化雑音の削減、ダイ
ナミック・レンジの拡大等)を積極的に利用するもので
はない。ところで、MRIは画像診断装置であり、ノイ
ズの影響により生じるアーチファクト(虚像)を根絶す
ることが大きな課題である。MRI用受信器において発
生するこの種のノイズには、中間検波周波数でのノイズ
の回り込みや、DC近傍のオフセットやハムの影響が挙
げられる。これらのノイズは結果として、画像の中心に
線状のアーチファクトとして現れる場合が多い。従来、
これらのノイズを対策するために、配線ケーブルのシー
ルド・GND強化や、回路ブロック毎の遮蔽強化等でノ
イズ対策を行ってきた。一方上記のような撮影画像の中
心に線状のアーチファクトとして現れる、DC近傍のオ
フセットやハム等のノイズの影響を根本から避けるため
には、ゼロ周波数が画像帯域外にくるように帯域をシフ
トすれば解決できる。即ち、図8を例にすると(a)に
示すゼロ周波数が中心にとなる画像帯域801を、図8
(b)に示すようにサンプリング周波数の4分の1シフ
トし、ゼロ周波数を避けている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに画像帯域をシフトすることはシングル・サイド・バ
ンド検波を行うことになり、この場合、急峻な特性のア
ナログ・フィルタが要求される。即ち、2倍のオーバー
サンプリングをしてアナログ・フィルタの特性802を
緩くできるという所望の目的が達成されず、このフィル
タ特性が満足でないと、ナイキスト周波数から上の周波
数からの折り返しノイズにより、S/N低下、アーチフ
ァクトが発生する。
【0011】また、図8(b)に示すように、同図
(a)の場合の2倍のサンプリング・レートで計測する
ことが考えられるが、このようにA/D変換においてオ
ーバーサンプリングして計測されたデータに対しても急
峻な特性のデジタル・フィルタが要求される。これは、
ディジタル・フィルタリングを行いオーバーサンプリン
グされたデータを間引いて、従来と等価、もしくは必要
なデータ数にする過程において、信号帯域以外からのデ
ータが折り返されないようにする必要があるからであ
る。
【0012】一般にデータ間引き(デシメートという)
の際には、FIRフィルタが広く用られているが、FI
Rフィルタを用いて急峻な特性のフィルタを実現するに
は、かなり多くのタップ数が必要となり信号処理時間が
大きくなる。従ってFIRフィルタを用いたデジタル信
号処理系を従来のMRIシステムに組み込む場合、この
処理時間の遅れが問題になり、信号計測系のソフトウェ
ア及びハードウェアに大幅変更を伴う必要がある。
【0013】これに対しIIRフィルタを用いた場合
は、FIRフィルタと比べて、比較的少ない処理時間で
急峻な特性が得られため、従来システムでも処理時間の
遅れを吸収できる構成が可能となる。しかしIIRフィ
ルタでは、シングル・サイド・バンド・フィルタ、つま
りゼロ周波数を境に片側だけ有効な特性のフィルタが実
現できないため、上述したように、DC近傍のオフセッ
トやハム等のノイズの影響を避けるために画像帯域シフ
トを行って計測した信号に対しては、不都合が生じる。
即ち、データ間引きを行う際、ナイキスト周波数に近い
部分に画像帯域がある場合、ノイズの折り返しが生じる
場合がある。例えば、図8(c)及び(d)は、同図
(b)の信号に対して、A/D変換を行なったデジタル
信号に対する信号処理を示すものであるが、805で示
す特性のIIRフィルタリング処理を行ったデータに対
して、2分の1の間引きを行った場合、画像領域806
の右端の部分に間引きによる折り返しノイズが発生して
しまう。
【0014】本発明は上記従来の問題点に鑑みなされた
もので、その1つの目的は、画像の折り返しノイズ、D
C近傍のオフセットやハム等のノイズの影響がない画像
を得ることである。本発明の他の目的は、オーバーサン
プリング変換技術を導入することにより、量子化雑音を
削減し、システムの実質的なダイナミックレンジの拡大
を図ることにある。また本発明の他の目的は、オーバー
サンプリング計測したデータを間引く際に、折り返しノ
イズが発生せず、量子化雑音を削減できるデジタル・フ
ィルタ処理を提供するものである。
【0015】本発明の更に他の目的は、従来のアナログ
QD検波方式の受信器及びデータ処理方式を変更するこ
となく、従来のシステムにデジタル信号処理機能を付加
することができるデジタル信号処理ユニットを提供する
ことである。本発明の更に他の目的は、デジタル信号処
理時間から発生するメイン計算機へのデータ転送の遅延
を任意に調整することが可能な方法を提供するものであ
る。
【0016】本発明の更に他の目的は、データ転送の遅
延が許容できないほどの高速撮影モードにおいて、付加
したデジタル信号処理ユニットが負担にならないようデ
ジタル信号処理ユニットの動作を回避できるシステム構
成を与えることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のMRI用信号処理装置は、QD検波後のアナログ信
号をデジタル処理するためのデジタル信号処理手段を設
けると共に、A/D変換するに際し、オーバー・サンプ
リング変換を導入し、量子化雑音の削減、ダイナミック
・レンジの拡大等を図るものである。即ち本発明のMR
I用信号処理装置は、NMR信号の中心周波数から所定
の周波数だけシフトした周波数を有し、互いに90度位
相の異なる2つの参照信号によって、NMR信号を同期
検波する直交検出手段と、この直交検出手段で得られる
実部信号と虚部信号をそれぞれデジタル信号に変換する
A/D変換手段と、このA/D変換手段によって得られ
たデジタル信号をフィルタリング、デシメート等の信号
処理するデジタル信号処理手段とを備え、A/D変換手
段は、実部信号及び虚部信号をそれぞれA/D変換する
に際し、信号帯域幅によらず、その整数倍あるいは、A
D変換速度の最大限でオーバーサンプリングを行う機能
を有する。またデジタル信号処理手段は、デジタル複素
信号に対し、そのフーリエスペクトル成分を、周波数を
回転角で表し、強度を回転軸長で表した回転座標上で、
参照周波数のシフト量に対応して決められる所定角度だ
け回転させる計算を行う周波数変換手段、周波数変換後
の信号に対してデジタルフィルタリングを行う手段及び
データ点数を任意のデータ量に間引くデシメート処理手
段を備える。尚、デジタル複素信号に対し、そのフーリ
エスペクトル成分を、周波数を回転角、強度を回転軸長
で表した回転座標上で、参照周波数のシフト量に対応し
て決められる所定角度だけ回転させる計算を行うこと
は、対応するアナログ信号を周波数変換することに対応
し、ここでは周波数変換と定義する。またこのデジタル
信号処理手段におけるデジタルフィルタリングは好適に
はIIRフィルタを用いる。
【0018】更に本発明のMRI用信号処理装置の好適
な態様によれば、A/D変換の際にオーバーサンプリン
グ処理を行うために、AD変換器及びデジタル信号処理
手段に、所望のオーバーサンプリング・レートに対応し
た精度の高いクロックパルスを従来のクロックパルスと
同期させ生成して印加する手段を備える。更に本発明の
MRI用信号処理装置の好適な態様によれば、デジタル
信号処理手段におけるデジタル信号処理時間によって生
じる計算機への画像データ転送時間の遅れを任意に調整
するタイミング調整手段を有する。
【0019】本発明のMRI用信号処理装置は、MRI
の撮像法としてデータ転送の遅延が許容できないほどの
超高速撮影法を採用する場合には、複数のデジタル信号
処理手段を並列に備えることができる。更に本発明のM
RI用信号処理装置において、デジタル信号処理手段
は、A/D変換手段と磁気共鳴イメージング装置の計算
機との間に、独立したユニットとして付加される構成と
することができる。
【0020】
【作用】QD検波後のアナログ信号を所望のオーバーサ
ンプリング・レートでオーバーサンプリングすることに
より、SNを向上させることができ、高ビットの量子化
が可能となり、また量子化雑音の低減、ダイナミックレ
ンジの向上を図ることができる。また、画像中央のアー
チファクトを防止するために、ゼロ周波数が中心となる
画像帯域を、ゼロ周波数を避けて、画像帯域をシフトし
た場合に、AD変換のサンプリング周波数をオーバーサ
ンプリングする(例えば2倍とする)ことにより、信号
帯域はそのままで、ナイキスト周波数は2倍になるの
で、アンチエリアジング・フィルタとしてのアナログ・
フィルタの特性は、それほど急峻な特性は要求されなく
なる。
【0021】また、上述のように画像帯域のシフトを行
った信号について、デジタル信号領域で周波数変換し、
帯域シフトした分を演算処理により、元のゼロを中心と
する領域に戻すことにより、シングル・サイド・バンド
・フィルタを用いることなく、オーバーサンプリング計
測したデータに対するデジタル・フィルタリング、デシ
メート処理を行うことができる。特にフィルタとして比
較的少ない処理時間で急峻な特性が得られるIIRフィ
ルタを用いることができる。ノイズの折り返しを防止で
きる。尚、デジタル信号領域で、信号帯域をゼロを中心
とする領域に戻しても、DC近傍のオフセットやハム等
のノイズの影響はもはや受けない。
【0022】所望のオーバーサンプリング・レートに対
応したクロックパルスを生成する手段は、システムの基
準クロック周波数の整数倍(N倍)のクロックを生成
し、これを新たな基準クロックとすることにより、従来
クロックのN分の1の精度クロックパルスを生成する。
これにより信号帯域幅によらず、所望のオーバーサンプ
リング・レートで、例えばAD変換速度の最大限でオー
バーサンプリングを行うことを可能にする。
【0023】またタイミング調整手段は、デジタル信号
処理の内容から見積もれる遅延時間を予め設定しておく
ことにより、この信号処理によりメイン計算機への出力
データ転送と、計測データの入力との同期をとるように
する。更にデジタル信号処理手段を独立のユニットと
し、従来のシステムのA/D変換器と計算機との間に接
続することにより、従来システムに変更を加えることな
く、デジタル信号処理機能を付加することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図1は、本発明が適用されるMRI装置の
一実施例の概略構成を示す図である。図示するMRI装
置は主として被検体101の置かれる空間に静磁場及び
傾斜磁場を発生する磁場発生系と、被検体101に高周
波磁場をパルス状に照射するための送信系と、被検体1
01から発生するNMR信号を検出する受信系と、検出
されたNMR信号をA/D変換するとともに信号処理す
る信号処理系と、各装置に種々の命令を一定のタイミン
グで出力する機能を有する制御装置118とを備えてい
る。尚、検査対象である人体101は図示しないベッド
上に載置され、ベッドは検査空間内に移動可能に構成さ
れている。本発明の信号処理装置は、このようなMRI
装置の受信系と信号処理系とに係わるものである。
【0025】磁場発生系は、静磁場を発生する静磁場磁
石102とその電源103及び直交する3軸方向(X、
Y及びZ方向)の傾斜磁場を発生させるコイル104と
それらを駆動する電源部105とから成る。これらのコ
イル104より発生する傾斜磁場により被検体101の
おかれている空間の磁場分布を所望の傾斜を有する分布
とするものである。尚、図では静磁場磁石は常電導或い
は超伝導磁石を示しているが、永久磁石であってもよ
い。
【0026】送信系は、高周波パルス発生器106、振
幅変調器(図示せず)、電力増幅器107及び高周波コ
イル(以下、RFコイルという)108とから成り、高
周波パルス発生器106の出力は、図示しない位相選択
部で位相制御された後、振幅変調部においてシンク関数
などにより振幅変調され、更に電力増幅器107で増幅
され、RFコイル108を励振する。
【0027】受信系は、本実施例では送信用RFコイル
を兼ねた受信用RFコイル108、プリアンプ109及
び受信器110から成り、RFコイル108で受信され
た信号成分は、プリアンプ109を通り、受信器110
で検波後、信号処理系に送られる。尚、送信系からの信
号が受信系に入らないようにするために電力増幅器10
7とプリアンプ109との間に送受信切換器113が挿
入されている。送受信切換器113は、RFコイルが送
信用と受信用とで別個に設けられる場合には不要であ
る。
【0028】受信器110は、NMR信号の中心周波数
から所定の周波数だけシフトした周波数を有し、互いに
90度位相の異なる2つの参照信号を発生する検波信号
発生器111と直交位相検波のための2系統の検波器1
12とから成る。信号処理系ではアナログ検出信号はA
/D変換器114でA/D変換され、デジタル信号処理
手段であるデジタル信号処理装置115で信号処理され
る。A/D変換器114は後述するように直交検波器1
12からの実部信号と虚部信号をそれぞれその整数倍或
いはA/D変換速度の最大限でオーバーサンプリングす
る。デジタル信号処理装置115はA/D変換された計
測データ(デジタル信号)にフィルタリング、デシメー
ト(間引き)等の信号処理を行う。信号処理された処理
データは計算機116でフーリエ変換等の画像再構成の
ための演算を施された後、得られた画像は表示装置11
7に表示される。
【0029】デジタル信号処理装置115は、MRI装
置内に組込まれたものとすることができるが、図2に示
すようにデジタル信号処理専用ユニット203として従
来装置の受信器202とシステム制御器204との間に
設けて従来装置のデジタル信号処理を拡張する構成とす
ることができる。この場合、各々のユニットは、メイン
計算機201により出力される制御パラメータに基づき
処理が行われる。この制御パラメータは、NMR信号取
得条件により決定される。尚、システム制御器204及
びメイン計算機201は、図1の制御装置118及び計
算機116に対応する。
【0030】システム制御器204は、NMR信号取得
タイミングに合わせた、AD変換ストローブ信号S1
デジタル信号処理専用ユニット203に出力する。デジ
タル信号処理専用ユニット203は、このAD変換スト
ローブ信号S1に基づき、所望のオーバーサンプリング
・レートに対応したAD変換ストローブ信号(拡張AD
変換ストローブ信号)S2を生成する。所望のオーバー
サンプリング・レートの値は、メイン計算機201から
直接出力されるようにしても、また従来の制御パラメー
タ、例えば、信号帯域、傾斜磁場強度、撮影視野等の情
報をデジタル信号処理専用ユニット203内のDSP
(デジタル・シグナル・プロセッサ)に取り込んで計算
するようにしてもよい。
【0031】このような構成において、アナログ受信器
110で受信されたQD検波されたNMR信号はAD変
換器においてオーバーサンプリング計測され、計測デー
タとしてデジタル信号処理専用ユニット115に取り込
まれる。ここで、フィルタリング、デシメート等の信号
処理された処理データは、システム制御器120(図1
の計算機116)に送出される。
【0032】デジタル信号処理専用ユニットとしてのデ
ジタル信号処理装置の1実施例を図3のブロック図に示
す。このデジタル信号処理装置300は、アナログ受信
器のA/D変換器309とシステム制御器314及びメ
イン計算機315との間に設けられ、主としてデジタル
・フィルタリング、デシメート、補間計算等のデジタル
信号処理を行う2個のDSP301、304と、DSP
301、304が実行するプログラム、そのプログラム
が使用するデジタル・フィルタのフィルタ係数等のパラ
メータを記憶するローカルメモリ302、305と、従
来システムのAD変換ストローブから、それより高速な
オーバー・サンプリング・レートに対応したストローブ
を生成するためのストローブ回路322と、デジタル信
号処理時間から発生する遅延時間によるメイン計算機3
15への画像データ転送時間の遅れを任意に調整するタ
イミング調整手段として信号取り込みタイミング調整回
路317とを備えている。
【0033】AD変換器309でサンプリングされた計
測信号データは、デジタル信号処理専用ユニット300
の信号バッファ310に取り込まれる。この信号データ
の転送経路は、信号処理モードにより切替回路(1)31
1で切り替えられる。切替回路(1)311は、拡張した
デジタル信号処理をデジタル信号処理専用ユニット30
0で行うモード(Aモードという)と拡張したデジタル
信号処理を行わないモード(Bモードという)に切り替
えるもので、Aモードでは、信号データを切替回路(2)
312側へ転送し、DSP301、304にデータを入
力する。一方、Bモードでは、DSPを経由せずに直接
にデータセレクタ313に信号データを転送し、デジタ
ル信号処理専用ユニットを付加しない場合と同一な処理
機能のみ実現される。尚、切替回路(1)311でのデー
タ転送方向の切り替えは、メイン計算機315より送ら
れる制御パラメータで制御される。
【0034】また切替回路(2)312は、複数個のDS
Pへの信号データの振り分けをする。本実施例では2つ
のDSP301、304に信号データを振り分ける。本
実施例では、アナログQD検波によって得られた2つの
直角信号を独立に信号処理するために2つのDSPを3
01、304を2個搭載しているが、DSPの個数は1
個または任意の複数の場合も考えられ、2個に限定され
るものではない。例えばデジタル信号処理の処理時間が
長い場合には、実部信号及び虚部信号のそれぞれについ
て複数のDSPを設けることにより並列演算処理により
処理時間の短縮を図ることができる。また、複数の受信
コイルを備えた装置ではこれら複数のコイルから得られ
た計測信号を受信コイルごとに独立してデジタル信号処
理する場合にも適用できる。
【0035】DSP301、304は、デジタル信号処
理を行うために実行するプログラム、及びそのプログラ
ムが使用するデジタル・フィルタのフィルタ係数等のパ
ラメータをローカルメモリ302、305から読み出す
とともに、データセレクタ307を介して、ワークメモ
リ308にアクセスできる。DSP301、304は、
このワークメモリ308を介してお互のデータのやりと
りが可能な構成になっている。データセレクタ307は
同時に複数のDSPがメモリ・アクセスしないような切
り替え機能を有する。またDSP301、304は互い
にシリアル・ポートで接続されており、DSP間でデー
タの授受ができ、さらにお互いに同期をとりながらプロ
グラムを実行することができる。
【0036】更に一方のDSP301にはデジタル信号
処理パラメータ・レジスタ321を経由して、メイン計
算機315からDSPで実行するプログラム中で必要な
パラメータが送られる。このパラメータとして、例えば
所望のオーバーサンプリング・レート値等が挙げられ
る。また、オーバーサンプリング・レートをDSP内で
計算するような場合は、従来の制御パラメータ、例え
ば、信号帯域、傾斜磁場強度、撮影視野等の情報をDS
Pに取り込んで計算する。
【0037】DSPは、既に述べたようにデジタル・フ
ィルタリング、デシメート、補間計算等のデジタル信号
処理を行うものであるが、デジタル複素信号に対し周波
数変換のための計算をも行う。これはアナログ受信器1
10(図1)においてゼロ周波数を避けて信号計測した
アナログデータを、デジタル領域において再シフトし、
画像帯域の中心周波数がゼロ周波数となるようにするも
のであり、これにより間引き後の画像領域に折返しノイ
ズが入らないようにできる。この周波数変換計算につい
ては後に詳述する。
【0038】デジタルフィルタリングのためのフィルタ
としては、FIRフィルタ、IIRフィルタを用いるこ
とができるが、好適には比較的少ない処理時間で急峻な
特性が得らるIIRフィルタを用いる。本発明において
は、周波数シフトしたアナログ信号がデジタル領域にお
いて周波数変換され、画像帯域の中心周波数がゼロ周波
数となるようにするので、シングル・サイド・バンド・
フィルタ以外のフィルタを用いることができる。デシメ
ートは、オーバー・サンプリングで取り込んだデータを
デジタル・フィルタリング処理して、そのデータを所望
のサンプル・レートに変換する操作であり、また補間計
算は、DSP実行プログラムの中でのデシメートの際に
実行される。
【0039】尚、DSPとしては、テキサス・インスツ
ルメンツ社製のTMS320C30、あるいはC31等
の浮動小数点DSPを用いることができる。DSPでデ
ジタル信号処理したデータは、FIFOレジスタ30
3、306のデータ入力に与えられる。FIFOレジス
タ303、306は、従来システムの出力タイミングと
オーバーサンプリング・レートに対応したタイミングと
の調整のための設けられる。即ち、信号バッファ310
でのデータ入出力は、オーバーサンプリング・レートに
対応したタイミングで行われるため、従来システムと非
同期になるが、FIFOレジスタ303、306はバッ
ファ・レジスタとして機能し、そのデータ出力を、オー
バーサンプリングを行わない従来システムのデータ出力
タイミングで行う。
【0040】データセレクタ313は、FIFOレジス
タ303、306及び切替回路(1)311からの3種類
のデータを選択し、システム制御器314に計測データ
或いは処理データ転送する。尚、データセレクタ313
の動作は、メイン計算機315より送られる制御パラメ
ータ及びシステム制御器314からの制御信号により制
御される。
【0041】ストローブ回路322は、従来システムの
AD変換ストローブS1から、それより高速な、所望の
オーバーサンプリング・レートに対応したストローブS
2を生成する。この回路では、先ず、予めメイン計算機
315で計算した、オーバーサンプリング・レートに対
応したデータ取り込みストローブ数、及びストローブ間
隔を、CPUバスインターフェイス回路316を介し
て、ストローブ・データ・レジスタ320に設定する。
この値を信号データ計測開始時にバイナリ・カウンタ3
19に設定する。このカウンタ319のクロックとして
システム制御器314で作られる従来システムの基準ク
ロックの整数倍のクロックを用いる。カウンタのクロッ
クとして従来システムの基準クロックを用いた場合は、
このクロックの整数倍の値、つまり整数倍のオーバー・
サンプリングのみしか実現できないが、基準クロックの
整数倍(N倍)のクロックを用いることにより、これを
新たな基準クロックとして従来クロックのN分の1のビ
ット精度まで拡張したクロックパルスを作ることができ
る。整数倍のクロックは、同期した周波数逓倍回路31
8により作られる。この周波数逓倍回路318として例
えば、プログラマブル・クロック・スキュー・バッファ
CY7B991(サイプレス・セミコンダクター製)が
適用できる。例えば1MHz(1μs)の基準クロック
から周波数逓倍回路318により4倍のクロックを生成
した場合、新たな基準クロックは4MHz(0.25μ
s)となり、4倍のビット精度で任意のデータ・サンプ
リングが設定できることになる。
【0042】信号取り込みタイミング調整回路317
は、AD変換器309からの計測データとデータセレク
タ313からの出力データの間の遅延時間を、システム
制御器314に設定するための回路ブロックである。デ
ジタル信号処理を追加することによって、計測データの
入力に対し、メイン計算機315へのデータ転送の遅れ
が処理データの出力に生じる。その間の緩衝手段とし
て、信号処理内容から見積もれる遅延時間に対応するデ
ータを、予めメイン計算機315から信号取り込みタイ
ミング調整回路317に設定し、そこで作られる遅延時
間をシステム制御器314に設定し、データ転送あるい
はデータ取り込みの同期をとるようにする。
【0043】次に以上説明したような構成における本発
明の信号処理装置の動作について説明する。まず、図1
に示すRFコイル108で検出されたNMR信号はプリ
アンプ109で増幅された後、受信器110において互
いに90度位相の異なる2つの参照信号をアナログQD
検波される。この際、DC近傍のオフセットやハム等の
ノイズの影響を避けるために信号帯域の中心周波数をゼ
ロ周波数からシフトして信号計測する。この例では、図
4(b)に示すように、同図(a)に示す従来の撮影帯
域401に対し、この信号帯域のまま、画像帯域402
をサンプリング周波数の4分の1シフトしている。
【0044】次にこのようにゼロ周波数からシフトした
計測信号をオーバーサンプリングしてA/D変換を行な
いデジタル化する。ここでサンプリング・レートは、信
号帯域によらず、その整数倍或いはA/D変換速度の最
大限に設定される。サンプリング・レートは、図3のス
トローブ回路322の生成する基準クロックの整数倍の
クロックによって生成するクロックパルスにより所望の
レートとすることができる。図4に示す例では、従来に
対して2倍のオーバーサンプリングとし、帯域シフトを
サンプリング周波数の1/4(fS/4)とすることに
より、アナログ信号領域でのDC近辺のノイズの影響を
原理的になくすことができる。
【0045】このようにオーバーサンプリングされたデ
ジタル信号は、デジタル信号領域において図4(c)に
示すようにゼロ周波数を中心とした帯域に画像帯域をシ
フトするための周波数変換処理を行う。一般にAD変換
して得られた離散データは、AD変換のサンプリング周
波数の整数倍毎に繰り返され、これは複素平面において
360度回転させるここと等価である。従って、デジタ
ル信号領域における帯域シフトに対応する演算は、下記
に示すような、複素平面における回転演算で実現でき
る。
【0046】振幅X、周波数fXのアナログ信号Sを、
参照周波数f0で直交検波して得られる複素信号をXa、
jXbとする。 S= X・exp(jωt)= Xa + jXb 但し、ω=2π(fX−f0) これを、サンプリング周波数fSでA/D変換して得ら
れる複素デジタル信号は、 S(N)= X・exp
(jφN) = A(N)+jB(N) (N=0、1、2、3・・
・) 但し、φ=2π{(fX−f0)/fS} で表される。A(N)は実部信号、B(N)は虚部信号
を表す。このフーリエスペクトル成分は、複素平面座標
(回転座標)上の点で表され、座標の原点からの距離r
が、振幅Xを表し、φは基準軸からの角度を表す。
【0047】r=√(A2+B2)=X 従って、参照周波数での検波による、周波数領域での帯
域シフトは、サンプリングされたデジタル複素信号のフ
ーリエスペクトル成分を、周波数を回転角、強度を回転
軸長で表した回転座標上で回転させる処理と等価とな
る。S(N)の複素平面座標上での回転演算は、回転子
exp(±jθN)を乗ずることによる。θは回転角度
を表し、その符号は(+)が右回りで、帯域を高周波側
にシフトすることに対応し、(−)が左回りで、帯域を
低周波側にシフトすることに対応する。
【0048】従って、±θの回転により、画像信号S
(N)はS’(N)に変換される。
【0049】
【数1】
【0050】従って、複素平面での回転処理は、実部A
(N)を、
【0051】
【数2】
【0052】虚部B(N)を、
【0053】
【数3】
【0054】に変換する演算である。図4(c)は、図
4(b)の信号をA/D変換後のデジタル信号に対し、
θ=−(π/2)の回転に相当する、周波数変換処理を
行った場合の帯域404を示すものである。この周波数
変換により帯域402は、図示するようにサンプリング
周波数の4分の1だけ低周波側にシフトする。これは、
デジタル的にゼロ周波数を中心とした帯域に画像帯域を
シフトしたことになる。
【0055】回転処理演算において、最も簡単な例とし
て、θ=−(π/2)の場合について計算した結果を表
1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】このように、直交検出した信号、S(N)
= A(N)+jB(N)の 実部A(N) :A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6・・・・ 虚部B(N) :B0,B1,B2,B3,B4,B5,B6・・・・ に対して−(π/2)の回転、すなわち、帯域を低周波
側にサンプリング周波数の4分の1シフトする場合に
は、下記のようなデータ列を作成すればよい。
【0058】 実部A'(N):A0,B1,−A2,−B3,A4,B5,−A6・・・・ 虚部B'(N):B0,−A1,−B2,A3,B4,−A5,−B6・・・ この場合、A’、B’とも4回毎に同じ処理の繰り返し
になっている。実部Aと虚部Bを別々なメモリ等に取り
込む場合には、A’は上記のように1回目はそのまま取
り込み、2回目は他方のデータの取り込み、3回目はそ
のまま符号を変えて取り込み、4回目は他方のデータを
符号を変えて取り込む、という動作を繰り返せば実現で
きる。同様にB’も1回目はそのまま取り込み、2回目
は他方のデータの符号を変えて取り込み、3回目そのま
ま符号を変えては取り込み、4回目は他方のデータを取
り込む、という動作を繰り返せば実現できる。
【0059】このデータの切り替え及び符号反転は、取
り込んだデータに対して、ソフト的に行うこともできる
が、ハード的にデータをメモリ等に取り込む以前に処理
することもできる。図5及び図6は、本発明の一実施例
である周波数変換を、DSPで行う場合のアルゴリズム
を示すものである。図5は、実部データに対する処理の
アルゴリズム、図6は、虚部データに対する処理のアル
ゴリズムである。この例では、上記、表1の内容につい
て、すなわち、直交検出されたデータに対して、θ=−
(π/2)の回転に相当する周波数変換を行う場合であ
る。まずA/D変換器からデータA(N)を取込み(50
1)、メモリにストアする(502)。次いでレジスタR0
をカウンタとして、その値により条件分岐して、処理の
内容を変える(503、507、511)。本実施例では4回毎
に同じ処理の繰り返しであるので、レジスタR0の値は
(0〜3)とし、3の場合はR0をクリアし、それ以外
の場合は処理後にR0の値をインクリメントするように
構成されている。例えば、レジスタR0が3の場合には
メモリからB(N)をロードし、レジスタR1の値をB
(N)とし(504)、次いでA’(N)=−B(N)と
する処理をし(505)、レジスタR0をクリアする(50
6)。またR0=0の場合には、メモリからA(N)を
ロードし、レジスタR1の値をA(N)とし(516)、
次いでA’(N)=A(N)とする。またレジスタR0
の値をR0=1とする(510)。同様にレジスタR0が
1、2の場合には、それぞれA’(N)=B(N)とす
る処理(512、513)、A’(N)=−A(N)とする処
理(508、509)をして、レジスタR0の値をインクリメ
ントする(510)。図6に示す虚部信号の周波数変換処
理についても全く同様である。このサブルーチンによ
り、周波数変換を行った後に、1データづつ次のサブル
ーチン(520、620)に送り、データをさらにIIRフィ
ルタリング及び間引き演算の各処理を行う。
【0060】尚、図3に示すように実部信号と虚部信号
とのそれぞれの処理を並列処理する2つのDSP30
1、304を設け、これらDSP間でデータのやりとり
が可能な構成とした場合には、互いに同期をとりながら
プログラムを実行することができる。そして上記のよう
なデータの切り替えや符号反転は取込んだデータに対し
てソフト的に行うことが可能である。
【0061】以上の実施例では、θ=−(π/2)の回
転に相当する周波数変換の場合について述べたが、本発
明はこれに制限されるものではない。角度がπの回転に
相当する、周波数変換の整数分の1の場合、すなわち θ=π/K (Kは任意の整数) であれば、複素信号データ S(N)= A(N)+jB(N) (N=0、1、
2、3・・・) に対して、それぞれ2K個の、sinまたはcosデー
タを用いて {A(N)+jB(N)}・{cos(π/K)N+jsin(π/K)N} {A(N)+jB(N)}・{cos(π/K)N−jsin(π/K)N} の複素積の演算を行うことにより、回転処理を実行でき
ることは自明である。
【0062】以上述べた周波数変換処理により、画像帯
域シフトを行って計測した信号に対して、デジタル信号
領域で、帯域シフトした分を元のゼロを中心とする領域
にもどすことになる(図4(c)の404)。このよう
に周波数変換された実部信号及び虚部信号は、その帯域
について、IIRフィルタを用いてフィルタリングされ
る。IIRフィルタリングの特性405を図4(c)に
示した。IIRフィルタを用いることにより、比較的短
い処理時間で所望の特性のデジタル・フィルタが実現で
き、オーバーサンプリングの効果により量子化ノイズの
削減が期待できる。
【0063】次いで、フィルタリング処理を行ったデー
タに対して、間引きを行い、従来の帯域と同じにする。
これにより、その後の信号処理系を従来と同じ処理系に
できる。図4(d)は、2分の1の間引きを行った場合
の画像帯域406を示すものである。この場合、画像領
域に間引きによる折り返しノイズは発生せず、併せて、
量子化ノイズも低減できるため、オーバー・サンプリン
グの効果も期待できる。
【0064】図4に示す例では、従来の2倍のオーバー
サンプリングで、画像帯域のシフト量をサンプリング周
波数の1/4(fS/4)としたが、本発明による信号
処理は、この値に限定されるものではなく、これらの組
み合わせは任意である。オーバー・サンプリングのレー
トを変えた場合は、それに相当するデータの間引きを行
えばよいことになる。また、画像帯域のシフト量を変え
た場合は、それに相当する、周波数変換を行えばよい。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、Q
D検波後のアナログ信号をオーバーサンプリングして計
測し、これをデジタル信号処理することにより、SNを
向上させることができ、高ビットの量子化が可能とな
り、また量子化雑音の低減、ダイナミックレンジの向上
を図ることができる。また本発明によれば、アナログ信
号をゼロ周波数を避けて計測しているので、MRI用受
信器において発生し、撮影画像の中心に線状のアーチフ
ァクトとして現れるノイズのうち、DC近傍のオフセッ
トやハム等に起因するものの影響を原理的に避けること
ができる。しかも、オーバーサンプリングして計測され
たデータに対して、周波数変換を組み合わせたIIRフ
ィルタリングを行うことにより、帯域シフトを行って計
測した信号に対して、アンチエリアジング・フィルタと
してのアナログ・フィルタの特性は、それほど急峻な特
性は要求されなくなり、画像の折り返しノイズがなくな
り、量子化雑音を削減できるデジタル・フィルタ処理が
実現できる。
【0066】さらに、本発明によれば、従来のアナログ
QD検波方式の受信器の変更なしに、デジタル信号処理
ユニットを付加する事により、オーバーサンプリング及
びデジタル・フィルタリングの機能が追加できる。従っ
て、従来の受信器までを含めたハードウェア開発をする
必要がないので開発工程及び開発コストが大幅に削減さ
れる。また、既納品に対する機能向上に容易に対応でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用されるMRIシステムのブロッ
ク図。
【図2】 本発明の一実施例の概略構成図。
【図3】 本発明に係るデジタル信号処理手段の一実施
例を示すブロック図。
【図4】 本発明の信号処理装置による信号処理を説明
する図。
【図5】 本発明のデジタル信号処理のアルゴリズムを
示すフロー図。
【図6】 本発明のデジタル信号処理のアルゴリズムを
示すフロー図。
【図7】 従来のMRIの受信部の構成を示すブロック
図。
【図8】 従来の信号処理を説明する図。
【符号の説明】
108・・・・・・RFコイル 111・・・・・・受信器 112・・・・・・検波器(直交検出手段) 114・・・・・・A/D変換器 115・・・・・・デジタル信号処理手段 116、200・・・・・・計算機 201・・・・・・デジタル信号処理専用ユニット 317・・・・・・タイミング調整回路 322・・・・・・ストローブ回路(クロックパルスを生成す
る手段)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁場中に置かれた検査対象からの核磁気共
    鳴信号を検出し、検出された核磁気共鳴信号を画像デー
    タに変換し、信号処理した後、計算機により演算処理し
    画像として表示する磁気共鳴イメージング装置において
    前記核磁気共鳴信号を画像データに変換し、信号処理す
    るための信号処理装置であって、 前記核磁気共鳴信号の中心周波数から所定の周波数だけ
    シフトした周波数を有し、互いに90度位相の異なる2
    つの参照信号によって、該核磁気共鳴信号を同期検波す
    る直交検出手段と、該直交検出手段で得られる実部信号
    と虚部信号をそれぞれデジタル信号に変換するA/D変
    換手段と、該A/D変換手段によって得られたデジタル
    信号をフィルタリング、デシメート等の信号処理するデ
    ジタル信号処理手段とを備え、前記A/D変換手段は、
    前記実部信号及び前記虚部信号をそれぞれA/D変換す
    るに際し、信号帯域幅の整数倍或いはAD変換速度の最
    大限でオーバーサンプリングを行う機能を有し、前記デ
    ジタル信号処理手段は、デジタル複素信号に対し、その
    フーリエスペクトル成分を、周波数を回転角で表し、強
    度を回転軸長で表した回転座標上で、前記参照信号の周
    波数シフト量に対応して決められる所定角度だけ回転さ
    せる計算を行う周波数変換手段、該周波数変換手段によ
    って処理された信号に対してデジタルフィルタリングを
    行う手段及びデータ点数を任意のデータ量に間引くデシ
    メート処理手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメ
    ージング用信号処理装置。
  2. 【請求項2】前記AD変換手段及び前記デジタル信号処
    理手段に、所望のサンプリング・レートに対応したクロ
    ックパルスを生成、印加する手段を有することを特徴と
    する請求項1記載の磁気共鳴イメージング用信号処理装
    置。
  3. 【請求項3】前記デジタル信号処理手段におけるデジタ
    ル信号処理時間から発生する遅延時間による前記計算機
    への画像データ転送時間の遅れを任意に調整するタイミ
    ング調整手段を有することを特徴とする請求項1記載の
    磁気共鳴イメージング用信号処理装置。
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