JPH08162378A - 化合物半導体結晶基板 - Google Patents

化合物半導体結晶基板

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JPH08162378A
JPH08162378A JP30072494A JP30072494A JPH08162378A JP H08162378 A JPH08162378 A JP H08162378A JP 30072494 A JP30072494 A JP 30072494A JP 30072494 A JP30072494 A JP 30072494A JP H08162378 A JPH08162378 A JP H08162378A
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semiconductor crystal
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哲也 井上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 転位密度がより低下された化合物半導体結晶
基板を提供する。 【構成】 不純物が添加された化合物半導体からなる基
板であって、化合物半導体結晶は、そのキャリア濃度を
c.c.、活性化率をηとしたとき、以下の関係を満た
すことを特徴とする。 η≦c.c./(7.8×1015)…(1) η≦(10/19)×(197−2.54×10-17 ×
c.c.)…(2) η≧c.c./(3.6×1016)…(3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化合物半導体結晶基板
に関するものであり、特に、LED、レーザダイオード
等の光デバイスもしくはICを作製する際に基板として
利用される化合物半導体結晶基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基板として利用されるGaAs等の化合
物半導体単結晶は、従来、水平ブリッジマン法(HB
法)、液体封止引上げ法(LEC法)、垂直ブリッジマ
ン法(VB法)および垂直温度勾配法(VGF法)等様
々な工業的方法により製造されることが知られている。
これらの方法のうち、VB法は、他の方法に比べて欠陥
密度の低い良質の結晶を低コストで製造できる方法とし
て有望視されている。このVB法に関する従来技術とし
ては、たとえば、特開平4−367589号に開示され
ているように、B2 3 封止剤を用いたGaAs結晶の
製造方法がある。
【0003】VB法による化合物半導体単結晶の製造方
法では、るつぼの底部に種結晶を配置し、さらにその上
方に原料固体を配置した後、原料固体の全部を融解する
とともに種結晶の上部を融解し、融解された原料融液を
冷却することによって種結晶から出発して上方へ向かっ
て固化させることにより、単結晶を成長させていく。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようなVB法により得られた化合物半導体結晶基板
は、転位密度の点でさらに改善されるべき余地が残され
ている。化合物半導体結晶基板を光デバイスやICの作
製において利用する際には、1枚の基板からとれる素子
の歩留りやデバイスの寿命を左右するため、さらに転位
密度が低下していることが要求されるからである。
【0005】この発明の目的は、転位密度がより低下さ
れた化合物半導体結晶基板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明による化合物半
導体結晶基板は、不純物が添加された化合物半導体結晶
からなる基板であって、化合物半導体結晶は、そのキャ
リア濃度をc.c.、活性化率をηとしたとき、以下の
関係を満たすことを特徴としている。
【0007】 η≦c.c./(7.8×1015)…(1) η≦(10/19)×(197−2.54×10-17 ×c.c.)…(2) η≧c.c./(3.6×1016)…(3) 好ましくは、化合物半導体結晶は、さらに以下の関係を
満たすことを特徴とするとよい。
【0008】 η≦(10/19)×(197−3.5×10-17 ×c.c.)…(4) また、好ましくは、化合物半導体結晶は、III−V族
化合物半導体結晶であるとよい。
【0009】さらに、好ましくは、III−V族化合物
半導体結晶は、砒化ガリウム半導体結晶であるとよい。
【0010】また、好ましくは、添加された不純物は、
Si、S、Se、Ge、TeおよびSnからなる群より
選ばれる少なくとも1種のn型不純物であるとよい。
【0011】さらに、好ましくは、化合物半導体結晶
は、1×1016atoms/cm3 以上6×1018at
oms/cm3 以下の濃度のボロンを含むとよい。
【0012】また、好ましくは、化合物半導体結晶は、
5×1014atoms/cm3 以下の濃度のカーボンを
含むとよい。
【0013】
【作用】本願発明者らは、キャリア濃度c.c.(cm
-3)および活性化率η(%)がそれぞれ異なる、不純物
としてSiが添加されたGaAs化合物半導体結晶を種
々作製し、得られた結晶の転位密度を測定した。その結
果、上述の式(1)、式(2)および式(3)を満たす
場合に、低転位密度化された結晶が得られることを見い
出した。
【0014】ここで、式(1)および式(3)は、Si
(シリコン)濃度によって決定されるものであり、式
(1)を満たさない場合は、Si濃度が不足し、一方、
式(3)を満たさない場合は、Si濃度が過剰で析出し
てしまうため、好ましくない。
【0015】また、式(2)および式(4)は、B(ボ
ロン)濃度によって決定されるものであり、式(2)を
満たす範囲においては、Bの一部がp型キャリアとして
活性化し、その結果、結晶の転位密度が減少するものと
考えられる。さらに、式(4)を満たす場合には、p型
キャリア濃度がさらに増加するため、結晶の転位密度は
より減少すると考えられる。
【0016】なお、本明細書において、活性化率η
(%)は、 η={(n−c.c.)−(p−c.c.)+(o−
c.c.)}/(Si濃度) で表わされた値をいう。
【0017】ここで、 n−c.c.:Si等によるn型キャリア濃度 p−c.c.:B等によるp型キャリア濃度 o−c.c.:Si、B以外の不純物によるキャリア濃
度 この式より明らかなように、活性化率η(%)は、Si
濃度とB濃度の差引きによって決定される値である。
【0018】
【実施例】
(実験1)VB法を用いて、以下に示すように、直径8
0〜90mmφの19種のSi添加GaAs単結晶を育
成した。
【0019】まず、pBN(パイロリティック・ボロン
・ナイトライド)製るつぼに種結晶を設置し、その上に
表1に示す量のGaAs多結晶原料融液をチャージし
た。次に、Si濃度とB濃度を制御するため、必要量の
SiとB2 3 封止剤を入れた後、るつぼを炉内の下軸
上にセットした。これを、結晶を凝固させるのに必要な
温度勾配を有した温度分布内において、るつぼの相対移
動速度を4mm/Hとして、冷却により結晶成長させ
た。
【0020】
【表1】
【0021】このようにして得られたGaAs結晶につ
いて、製品重量(g)、キャリア濃度(cm-3)、Si
濃度(atoms/cm3 )、活性化率η(%)、転位
密度EPD(cm-2)、B濃度(atoms/cm3
およびC濃度(atoms/cm3 )を測定した。これ
らの結果を表1に併わせて示す。
【0022】また、図1は、キャリア濃度と活性化率と
の関係を示す図である。図1において、横軸はキャリア
濃度c.c.(×1017cm-3)を示し、縦軸は活性化
率η(%)を示す。
【0023】図1において、グラフ(1′)〜(4′)
は、それぞれ以下の式を表わす。 η=c.c./(7.8×1015)…(1′) η=(10/19)×(197−2.54×10-17 ×c.c.)…(2′) η=c.c./(3.6×1016)…(3′) η=(10/19)×(197−3.5×10-17 ×c.c.)…(4′) この図1に、上述のようにして得られたNo.1〜N
o.19のサンプルの結果をプロットした。
【0024】表1および図1より明らかなように、本発
明によれば、より低転位密度化された化合物半導体結晶
基板が得られることがわかる。
【0025】なお、キャリア濃度は、ファンデルパウ法
(Van der Pauw Method )により、以下の条件で測定し
た。
【0026】試料の大きさ:3〜5mm角チップ 試料の厚さ:100〜2000μm 電極:AuGe−Ni合金 磁場:3000〜6000Gauss 電流:1mA〜100mA Si濃度は、本実施例においては、黒鉛炉原子吸光分析
装置(GFAAS:Graphite Furnace Atomic Absorpti
on Spectrometer )を用いて測定した。Si濃度は、こ
の他に、二次イオン質量分析装置(SIMS:Secondar
y Ion Mass Spectrometer )またはプラズマ発光分析装
置(ICP:Inductively Coupled Plazma Atomic Emis
sion Spectrometer )を用いて測定することも可能であ
る。
【0027】B濃度は、本実施例においては、グロー放
電質量分析装置(GDMS:Glow Discharge Mass Spec
trometer)を用いて測定した。B濃度は、この他に、プ
ラズマ発光分析装置(ICP)を用いて測定することも
可能である。
【0028】C濃度は、フーリエ変換赤外分光分析装置
(FTIR:Fourier Transform Infrared Spectromete
r )を用いて測定した。
【0029】(実験2)実験1で作製したNo.1の結
晶から、スライスおよびポリッシュすることにより、3
50μmの3インチウェハを作製した。ウェハのキャリ
ア濃度は8×1017cm-3、EPDは300cm-2であ
った。このウェハ上に、液相エピタキシャル成長法によ
り、第1エピタキシャル層を形成し、さらにその上に第
2エピタキシャル層を形成して、エピタキシャルウェハ
を作製した。
【0030】なお、第1エピタキシャル層は、不純物と
してSiが添加されたp−GaAsからなり、厚さ40
〜80μmの層であった。また、第2エピタキシャル層
は、不純物としてSiが添加されたn−GaAsからな
り、厚さ30〜120μm、キャリア濃度1×1018
-3以上の層であった。
【0031】このようにして得られたエピタキシャルウ
ェハは、その表面が良好であった。また、光出力も、所
望したものが得られた。さらに、エピタキシャル成長中
に、ウェハの割れも起こらなかった。また、このエピタ
キシャルウェハを用いて光素子を作製した場合のその光
素子の寿命は、従来と比較して平均1.3倍の値を示し
た。
【0032】(実験3)実験1で作製したNo.2の結
晶から、スライスおよびポリッシュすることにより、5
00μmの3インチウェハを作製した。ウェハのキャリ
ア濃度は2×1018cm-3、EPDは210cm-2であ
った。このウェハ上に、気相エピタキシャル成長法によ
り、第1エピタキシャル層を形成し、さらにその上に第
2エピタキシャル層を形成して、エピタキシャルウェハ
を作製した。
【0033】なお、第1エピタキシャル層は、不純物と
してSiが添加されたn−GaAsからなり、厚さ3〜
7μm、キャリア濃度1×1018cm-3以上の層であっ
た。また、第2エピタキシャル層は、不純物としてSi
が添加されたn−GaAsからなり、厚さ0.3〜0.
5μm、キャリア濃度1〜2×1017cm-3以上の層で
あった。
【0034】このようにして得られたエピタキシャルウ
ェハは、その表面が良好な品質で、所望とする電気特性
を得ることができた。また、エピタキシャル成長中に、
ウェハの割れも起こらなかった。さらに、このエピタキ
シャルウェハから取れるデバイス歩留りは、従来の60
%から72%に向上した。
【0035】なお、上述の実施例においては、砒化ガリ
ウム半導体結晶について説明したが、他のIII−V族
化合物半導体結晶についても、同様の効果が得られるこ
とが予測できる。
【0036】また、添加される不純物についても、Si
に限らず、この他S、Se、Ge、Te、Sn等を添加
した場合にも、同様の効果が得られることが予測でき
る。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、より低転位密度化された化合物半導体結晶基板が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャリア濃度と活性化率との関係を示す図であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物が添加された化合物半導体結晶か
    らなる基板であって、 前記化合物半導体結晶は、 そのキャリア濃度をc.c.、活性化率をηとしたと
    き、以下の関係を満たすことを特徴とする、化合物半導
    体結晶基板。 η≦c.c./(7.8×1015)…(1) η≦(10/19)×(197−2.54×10-17 ×c.c.)…(2) η≧c.c./(3.6×1016)…(3)
  2. 【請求項2】 前記化合物半導体結晶は、さらに以下の
    関係を満たすことを特徴とする、請求項1記載の化合物
    半導体結晶基板。 η≦(10/19)×(197−3.5×10-17 ×c.c.)…(4)
  3. 【請求項3】 前記化合物半導体結晶は、III−V族
    化合物半導体結晶である、請求項1または請求項2記載
    の化合物半導体結晶基板。
  4. 【請求項4】 前記III−V族化合物半導体結晶は、
    砒化ガリウム半導体結晶である、請求項3記載の化合物
    半導体結晶基板。
  5. 【請求項5】 前記添加された不純物は、Si、S、S
    e、Ge、TeおよびSnからなる群より選ばれる少な
    くとも1種のn型不純物である、請求項1〜請求項4の
    いずれかに記載の化合物半導体結晶基板。
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