JPH0816080B2 - トランス‐2,2−ジメチル‐3‐(2,2‐ジクロルビニル)‐シクロプロパンカルボン酸ハライドの製造法 - Google Patents

トランス‐2,2−ジメチル‐3‐(2,2‐ジクロルビニル)‐シクロプロパンカルボン酸ハライドの製造法

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JPH0816080B2
JPH0816080B2 JP63109456A JP10945688A JPH0816080B2 JP H0816080 B2 JPH0816080 B2 JP H0816080B2 JP 63109456 A JP63109456 A JP 63109456A JP 10945688 A JP10945688 A JP 10945688A JP H0816080 B2 JPH0816080 B2 JP H0816080B2
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剛夫 鈴鴨
正美 深尾
弘寿 萩谷
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は一般式(I) (式中、Xはハロゲン原子を表わす。) で示されるトランス−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジク
ロルビニル)−シクロプロパンカルボン酸ハライドの製
造法に関する。
<従来の技術.発明が解決しようとする課題> 2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロルビニル)−シク
ロプロパンカルボン酸(以下、ジクロル酸と略称す
る。)は家庭用、防疫用のみならず農業害虫あるいは森
林害虫にも優れた効力を示す低毒性殺虫剤ペルメスリ
ン、サイペルメスリン等の酸成分を構成するものであ
る。ジクロル酸ハライドはこれ等の殺虫剤の中間体とし
て有用である。
ジクロル酸ハライドには三員環に基づくシス、トラン
スの幾何異性体が存在するが、シス体から誘導されるエ
ステルよりもトランス体から誘導されるエステルの方が
温血動物に対し低毒性であることが知られている。Natu
re 224,456(1973)。
しかしながら、ジクロル酸ハライドはトランス体とシ
ス体の混合物として製造される。従って、シス体をトラ
ンス体に変換させることは工業的に重要な意義を持つ。
これ迄、ジクロル酸ハライドのシス体をトランス体に
変換する方法として160℃下に加熱する方法が知られて
いる(特開昭50−131953号公報)。
しかしながら、この方法では高温を必要とするという
問題があり、例えば80℃ではほとんどトランス化は進行
しない。
<課題を解決するための手段> 本発明者らはジクロル酸ハライドのシス体をトランス
化することによるトランス体のより優れた製造方法を見
出すべく鋭意検討を重ねた結果、ヨウ素化合物の共存下
にピリジン類を作用させることにより意外にも好都合
に、極めて温和な条件下でトランス化が進行することを
見出すとともに、更に種々の検討を加え本発明を完成し
た。
すなわち本発明は一般式(I) (式中、Xはハロゲン原子を表わす。) で示されるシスまたはシス/トランス混合ジクロル酸ハ
ライドにヨウ素化合物の共存下、ピリジン類を作用させ
ることを特徴とする工業的に極めて優れたトランス−ジ
クロル酸ハライドの製造法を提供するものである。
次に本発明方法について詳細に説明する。
本発明の原料であるジクロル酸ハライド(I)として
は例えば、ジクロル酸クロライド、ジクロル酸ブロマイ
ド等が挙げられるが、工業的には取扱い易さ、価格等の
面からクロライドが通常使用される。
またジクロル酸ハライドはシス体単独あるいはトラン
ス体と任意の割合の混合物であっても良いが、本発明の
目的から考えてシス体単独もしくはシス体に富むジクロ
ル酸ハライドを用いる場合にその意義を発揮することは
言うまでもない。
本発明に使用されるピリジン類としては例えばピリジ
ン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリンなどの
ピコリン類、2−エチルピリジン、3−エチルピリジ
ン、4−エチルピリジンなどのエチルピリジン類、2,3
−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ル
チジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジンなどのルチジン
類、2−プロピルピリジン、3−プロピルピリジン、4
−プロピルピリジンなどのプロピルピリジン類、2−ベ
ンジルピリジン、3−ベンジルピリジン、4−ペンジル
ピリジンなどのベンジルピリジン類、2−フェニルピリ
ジン、3−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、
4,4'−ジピリジル、2,2'−ジピリジル、3,3'−ジピリジ
ル、などのアリールピリジン類、キノリン、イソキノリ
ン等が挙げられる。ピリジン、ピコリン類、ルチジン
類、イソキノリン類が好ましく用いられる。
その使用量は被処理ジクロル酸ハライド1モルに対し
通常1/100〜5モル倍、好ましくは1/4〜1モル倍であ
る。
また本発明で使用されるヨウ素化合物としては例えば
ヨウ素、ヨウ化ブロム、ヨウ化クロル等のヨウ化ハロゲ
ン化物、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カ
リウム、ヨウ化セシウム等のアルカリ金属ヨウ化物、ヨ
ードメタン、ヨードエタン、1−ヨードプロパン、2−
ヨードプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタ
ン、1−ヨード−2−メチルプロパン、2−ヨード−2
−メチルプロパン、ヨードペンタン、ヨードヘキサン、
ヨードヘプタン、ヨードオクタン、ヨードオクタデカ
ン、ベンジルヨーダイド等の炭素数1〜18のヨウ素置換
炭化水素、テトラメチルアンモニウムヨーダイド、テト
ラエチルアンモニウムヨーダイド、テトラプロピルアン
モニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムヨーダ
イド、トリメチルベンジルアンモニウムヨーダイド、ト
リエチルベンジルアンモニウムヨーダイド等の炭素数3
〜16の4級アミンのヨウ化物、テトラフェニルフォスホ
ニウムヨーダイド、テトラメチルフォスフォニウムヨー
ダイド、テトラエチルフォスフォニウムヨーダイド、テ
トラプロピルフォスフォニウムヨーダイド、テトラブチ
ルフォスフォニウムヨーダイド、メチルトリフェニルフ
ォスフォニウムヨーダイド等の炭素数3〜24の4級リン
のヨウ化物、ヨウ化水素などが挙げられる。
その使用量は被処理ジクロル酸ハライド1モルに対し
通常1/50〜1モル、好ましくは1/20〜1/4である。
反応は通常、溶媒の存在下に実施される。用いられる
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば良く、例
えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロ
ルエタン、クロルベンゼン、0−ジクロルベンゼン、ブ
ロムベンゼン等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等
のエステル類が挙げられるが好ましくはアセトニトリル
が用いられる。またピリジン類を溶媒として用いること
もできる。
本発明方法を実施するにあたっては、通常、ジクロル
酸ハライドを溶媒に溶解し、ピリジン類とヨウ素化合物
を加えることにより実施される。
また溶媒としてピリジン類を用いることもできる。
反応温度はピリジン類およびヨウ素化合物の使用量、
種類等によっても変化するが、通常10〜150℃で、好ま
しくは60〜120℃である。
また反応時間もピリジン類の使用量、種類によっても
変化するが通常1〜15時間である。
反応後、目的物は蒸留等の手段で単離することもでき
るし、単離することなしに反応マスへ、3−フェノキシ
ベンジルアルコール、5−ベンジル−3−フリルメチル
アルコール等を加えて直接反応させることにより低毒性
殺虫剤へ誘導することもできる。
また反応マスへエタノール等を加えて直接エステル化
し、生化学的光学分割用原料として供することもできる
し、常法に従いアルカリ性水溶液等を加えて加水分解す
ることにより遊離の酸に誘導することもできる。
反応の進行度は反応後の一部をサンプリングし、ガス
クロマトグラフィー、NMR等による分析により求めるこ
とができる。
<発明の効果> かくして目的物トランス−ジクロル酸ハライドが製造
されるが、本発明方法によれば公知法に比し極めて緩和
な条件でトランス体を製造し得る。
<実施例> 次に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、
本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(実施例1) シス体:96.8%、トランス体:3.2%よりなるジクロル
酸クロライド2gをアセトニトリル20gに溶解し窒素雰囲
気下でこれにピリジン348mg、ヨウ素223mgを加え80℃で
3時間撹拌した。
反応後、室温まで冷却し、エタノール485mg、ピリジ
ン834mgを加え、室温で1時間撹拌した後水洗し、溶媒
留去した。得られた溶液を蒸留し、沸点88〜90℃/1mmHg
の留分2.01gを得た。
このものは赤外線スベクトルよりジクロル酸エチルエ
ステルであることを確認した。
ガスクロマトグラフィーでシス・トランス異性体比を
求めたところ、シス体18.0%トランス体82.0%であっ
た。
(実施例2) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2gを
アセトニトリル10gに溶解し、窒素雰囲気下でこれに3
−ピコリン409mg、ヨウ素223mgを加え、80℃で8時間撹
拌した。
反応後、実施例1と同様に処理し、ジクロル酸エチル
エステル1.90gを得た。ガスクロマトグラフィーでシス
・トランス異性体比を求めたところシス体16.0%、トラ
ンス体84.0%であった。
(実施例3) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2gを
アセトニトリル10gに溶解し、窒素雰囲気下でこれにイ
ソキノリン568mg、ヨウ素223mgを加え、80℃で6時間撹
拌した。
反応後、実施例1と同様に処理し、ジクロル酸エチル
エステルを得た。シス・トランス異性体比はシス体21.2
%、トランス体78.8%であった。
(実施例4) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2gを
アセトニトリル10gに溶解し、窒素雰囲気下でこれにピ
リジン348mg、臭化ヨウ素182mgを加え、80℃で6時間撹
拌した。
反応後、実施例1と同様に処理し、ジクロル酸エステ
ル2.06gを得た。シス・トランス異性体比はシス体33.4
%、トランス体66.6%であった。
(実施例5) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2gを
アセトニトリル10gに溶解し、窒素雰囲気下でピリジン3
48mgヨウ化メチル176mgを加え室温で5時間撹拌した。
反応後、実施例1と同様に処理し、ジクロル酸エチル
エステル1.99gを得た。シス・トランス異性体比はシス
体40.5%、トランス体59.5%であった。
(実施例6) ジクロル酸クロライド(シス体:96.3%、トランス体:
3.7%)2gをジクロロエタン10gに溶解し、窒素雰囲気下
で3−ピコリン409mg、ヨウ素223mgを加え80℃で6時間
撹拌した。
反応後、実施例1と同様に処理し、シス・トランス異
性体比をガスクロマトグラフィーで求めたところ、シス
体22.4%、トランス体77.6%であった。
(実施例7) シス体45.0%、トランス体55.0%よりなるジクロル酸
クロライド1.0gを1,2−ジクロルエタン6.3gに溶解した
後、窒素雰囲気下、これにピリジン174mg、ヨウ素111mg
を加え80℃で3時間撹拌した。
反応後、室温まで冷却した後、15%水酸化ナトリウム
水溶液で加水分解後、70%硫酸で酸性にしトルエンで抽
出した。
トルエンを留去すると、白色の固体が893mg得られ
た。このものは赤外線吸収スベクトルよりジクロル酸で
あることを確認した。
一部をサンプリングし、常法によりエチルエステルと
した後、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、
シス体22.9%、トランス体77.1%であった。
(実施例8) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2gを
アセトニトリル10.0gに溶解し、窒素雰囲気下これにピ
リジン364mgとテトラブチルアンモニウムヨーダイド332
mgを加え、80℃で3時間加熱撹拌した。反応後実施例1
と同様に処理してガスクロマトグラフィーでシス・トラ
ンス比を求めたところシス体17.7%、トランス体82.3%
であった。
(実施例9) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2.0g
をアセトニトリル10gに溶解し、窒素雰囲気下、これに
ピリジン362mg、テトラフェニルフォスフォニウムヨー
ダイド411mgを加え80℃で6時間加熱撹拌した。反応後
実施例1と同様に処理し、ガスクロマトグラフィーでシ
ス・トランス比を求めたところ、シス体15.1%、トラン
ス体84.9%であった。
(実施例10) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2gを
1,2−ジクロルエタン10.0gに溶解し、窒素雰囲気下、こ
れにピリジン355mgと6.3wt%ヨウ化水素−ジクロルエタ
ン溶液1.79gを加え80℃で6時間加熱撹拌した。実施例
1と同様に処理し、ガスクロマトグラフィーでシス・ト
ランス比を求めたところ、シス体31.6%、トランス体6
8.4%であった。
(実施例11) 実施例6で用いたのと同じジクロル酸クロライド1.0g
をアセトニトリル11gに溶解し、窒素雰囲気下、これに
ピリジン348mgとヨウ化ナトリウム661mgを加え、80℃で
2時間加熱撹拌した。
反応後、実施例1と同様に処理し、ジクロル酸エチル
エステル981mgを得た。シス・トランス比はシス体12.4
%、トランス体87.6%であった。
(実施例12) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2.0g
をアセトニトリル10gに溶解し、窒素雰囲気下、これに
4,4'−ジピリジル687mgとヨウ素224mgを加え、80℃で6
時間加熱撹拌した。
反応後、実施例1と同様に処理し、ガスクロマトゲル
フィーでシス・トランス比を測定したところ、シス体4
4.6%、トランス体55.4%であった。
(参考例1) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2.0g
をアセトニトリル20gに溶解し、窒素雰囲気下でこれに
ピリジン1.39gを加え80℃で6時間加熱撹拌した。
反応後エチルエステルとし、ガスクロマトグラフィー
でシス・トランス比を求めたところシス体16.9%、トラ
ンス体83.1%であった。
(参考例2) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2.0g
をアセトニトリル20gに溶解し、窒素雰囲気下でこれに
ピリジン353mgを加え80℃で8時間加熱撹拌した。
反応後エチルエステルとし、ガスクロマトグラフィー
でシス・トランス比を求めたところシス体70%、トラン
ス体30%であった。
(比較例) 実施例1で用いたのと同じジクロル酸クロライド2.0g
をアセトニトリル20gに溶解し、窒素雰囲気下で80℃で
8時間加熱撹拌した。
反応後エチルエステルとし、ガスクロマトグラフィー
でシス・トランス比を求めたところシス体94.2%、トラ
ンス体5.8%であった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 51/62 // C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Xはハロゲン原子を表わす。) で示されるシスまたはシス/トランス混合2,2−ジメチ
    ル−3−(2,2−ジクロルビニル)−シクロプロパンカ
    ルボン酸ハライドにヨウ素化合物の共存下、ピリジン類
    を作用させることを特徴とするトランス−2,2−ジメチ
    ル−3−(2,2−ジクロルビニル)−シクロプロパンカ
    ルボン酸ハライドの製造法。
JP63109456A 1988-05-02 1988-05-02 トランス‐2,2−ジメチル‐3‐(2,2‐ジクロルビニル)‐シクロプロパンカルボン酸ハライドの製造法 Expired - Lifetime JPH0816080B2 (ja)

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HU892015A HU205596B (en) 1988-05-02 1989-04-27 Process for producing halogenide of trans-2,2-dimethyl-3-/2,2-dihalovinyl/-cyclopropane-carboxylic acid
DE8989304296T DE68902007T2 (de) 1988-05-02 1989-04-28 Verfahren zur herstellung von trans-2,2-dimethyl-3-(2,2-dihalovinyl)-cyclopropancarbonsaeurehalogeniden.
EP89304296A EP0340985B1 (en) 1988-05-02 1989-04-28 Process for preparing trans-2,2-dimethyl-3-(2,2-dihalovinyl)-cyclopropane carboxylic acid halide
US07/345,726 US4954651A (en) 1988-05-02 1989-05-01 Process for preparing trans-2,2-dimethyl-3-(2,2-dihalovinyl)-cyclopropane carboxylic acid halide

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