JPH08158028A - チタン合金の強靱化方法 - Google Patents
チタン合金の強靱化方法Info
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- JPH08158028A JPH08158028A JP33119994A JP33119994A JPH08158028A JP H08158028 A JPH08158028 A JP H08158028A JP 33119994 A JP33119994 A JP 33119994A JP 33119994 A JP33119994 A JP 33119994A JP H08158028 A JPH08158028 A JP H08158028A
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Abstract
よび時効処理の後に強度、靱性および延性を高次元でバ
ランスさせる。 【構成】 α+β温度域において50%未満の断面減少
率で熱間加工を行う。熱間加工度以上β変態点以下の温
度に加熱保持する。再度α+β温度域においてトータル
の断面減少率が50%以上となるように熱間加工を行
う。α+β温度域において溶体化処理および時効処理を
行う。β結晶粒中に微細なsub grain が形成され、高強
度レベルで高靱性と高延性が確保される。
Description
造材料として用いられるNearβのα+β型チタン合金
(本明細書ではこれをNearβ型チタン合金と称す)の強
靱化方法に関する。
β型チタン合金は、代表的なα+β型チタン合金である
Ti−6Al−4V等よりも更に高強度・高靱性である
という極めて優れた特性を有している。この特性は、例
えば「鉄と鋼,72(1986),617−624」の
Fig.1等に具体的に示されている。
SpecimenB, Cに見られるように、Nearβ型チタン合金
は、0.2%耐力が1000MPaを超える強度レベルに
おいては延性(伸び・絞り)が10%以下と低い問題点
がある。これは、同文献の2.1項に記載されている通
り、インゴットを1000℃に加熱して粗鍛造した後、
AMS規格に従いβ変態点以上の850℃に再加熱して
仕上げ鍛造したことによる。
高靱性下での延性を改善する方法として、例えば特開平
1−96361号公報には、そのチタン合金に対しα+
β温度域で15%以上の熱間加工を行い、その後にβ変
態点以下で焼鈍を行う方法が開示されている。この方法
の主眼は、α+β温度域で熱間加工を行うことにより、
粒界に析出するα相を微細化して延性を改善することに
ある。熱間加工後の焼鈍をβ変態点以下で行うのは、熱
間加工で粒界に析出した微細なα相を消失させないため
と説明されている。
タン合金では、強化のために鍛造後に後処理として溶体
化処理および時効処理を行うのが通例である。本発明者
の調査によると、特開平1−96361号公報に示され
ているような熱間加工と加熱保持の組み合わせは、確か
に高強度レベルでの延性改善に有効であり、その加工度
が大きいほど延性改善効果も大きい。しかし、後処理、
特に溶体化処理はその延性を低下させる原因になる。そ
のため、熱間加工で大きな加工度を確保しておく必要が
ある。
ると、靱性が低下する。一方、熱間加工での加工度が小
さい場合は後処理後の延性が不足する。いずれにして
も、従来の熱間加工と加熱保持の組み合わせでは、熱間
加工が十分に機能せず、後処理後に高強度レベルで高い
靱性および延性を確保することができなかった。
よび延性を高次元でバランスさせることができるNearβ
型チタン合金の強靱化方法を提供することにある。
高強度・高靱性化した状態では代表的なα+β型チタン
合金より延性が低い問題がある。この問題を解決するた
めに、α+β温度域で熱間加工を行うことは有効である
が、従来おいては前述した通りその熱間加工が有効に機
能していない。
関する研究を続けており、その過程で今回、熱間加工
とこれに続く加熱保持によりβ結晶粒の内部に微細なsu
b grain (亜結晶粒)が形成され、そのサイズおよび量
が後処理後の靱性および延性に深く関与していること、
具体的には、粒径約十μm以上の粗大なβ結晶粒の内
部に粒径数μmの安定化された微細なβ相のsub grain
を十分に形成しておくことが、高靱性および高延性確保
のために必要であること、そのために熱間加工での加
工度を大きくすることが不可欠となるが、大きな加工度
はsub grain の過剰な微細化を招き、靱性を低下させる
ので、熱間加工を2回に分けて加工度の分散を図り、そ
の間に加熱保持を行う必要があることを見い出し、本発
明に到達した。
金を、α+β温度域において50%未満の断面減少率で
熱間加工した後、該熱間加工温度以上β変態点以下の温
度に加熱保持し、再度α+β温度域においてトータルの
断面減少率が50%以上となるように50%未満の断面
減少率で熱間加工し、しかる後にα+β温度域で溶体化
処理および時効処理を行うものである。
間の加熱保持とにより、粒径が約10数μm以上の粗大
なβ結晶粒の内部に、粒径が約μmに制御されたβ相の
微細なsub grain を形成する。同一強度レベルでは、su
b grain のサイズがNearβ型チタン合金の延性および靱
性に図1のように影響する。すなわち、同一強度レベル
では、sub grain のサイズが増大するに従って延性が低
下し、ある臨界値以上では延性の低下が急激となる。一
方、靱性はこれとは逆にsub grain のサイズが減少する
に従って低下し、やはりある臨界値以下でその低下が急
激となる。
分けて加工度の分散を図ることにより、図1に矢印で示
した延性および靱性が共に良好となるサイズ範囲のsub
grain を安定してつくり、これにより後処理後に強度、
延性および靱性を高次元でバランスさせようとするもの
である。以下に本発明の強靱化方法を工程順に説明す
る。
要な加工歪を導入するための工程である。この熱間加工
をα+β温度域で行うのは、β単相域で加工を行った場
合にはβ相の再結晶・成長が起こり、熱間加工に続く加
熱保持でβ相の微細なsub grain が形成されないからで
ある。
でsub grain を消失させないために断面減少率で50%
以上を必要とする。しかし、これを一度に加えるとsub
grain が適正サイズより小さくなり過ぎ、靱性低下が生
じる。そこで熱間加工を2回に分け、始めの熱間加工で
50%未満の加工を行う。このままではトータル加工度
が不足し、溶体化処理後に延性劣化が生じるので、後の
熱間加工で加工度の不足分を補う。
は、トータルの加工率が50%以上となれば良いという
理由により特に規定しないが、この加工度が余りに小さ
いと、後の熱間加工において50%以上の加工率をとら
ねばならなくなり、sub grain が細粒となりすぎるの
で、強度、靱性、靱性のバランスの点からは10%以上
が望ましいと言える。
を形成する工程である。このときの加熱温度を加工温度
以上としたのは、加工温度未満ではsub grain が形成さ
れないか形成されてもそのサイズが適正範囲より小さく
なり、靱性低下を生じるからである。一方、加熱温度が
β変態点を超えるとβ相の再結晶・成長が生じ、始めの
熱間加工で生成した微細なsub grain が消失し延性が低
下するので、加熱温度の上限をβ変態点以下とした。
でない限りその時間がsub grain の形成に影響を及ぼさ
ないので特に限定しないが、工業生産性を考慮すると0.
5〜24時間が望ましい。
る加工度を補うためのものである。始めの熱間加工では
靱性を確保するために加工度を控え、sub grain の形成
が制限されているので、後の熱間加工により加工歪を追
加してsub grain の形成を確固たるものとする。
%以上となるように選択される。トータル減面率が50
%未満になると、続いて行う溶体化処理によりsub grai
n が消失し、後処理後に目標とする延性が確保されなく
なる。ただし、1回の加工での加工度が50%以上にな
ると、細かすぎるsub grain が形成され靱性低下が生じ
るので、後の熱間加工でも加工度は50%未満に抑える
必要がある。トータル減面率の上限については、1回の
熱間加工による加工率が50%未満であれば特に制限は
ない。
成されているsub grain が消失し延性低下が生じるの
で、始めの熱間加工と同様にα+β温度域とする。
行う。いずれの処理工程においてもβ粗の再結晶・成長
による微細なsub grain の消失を防ぐためにα+β温度
域で行うことが必要である。
合金とは、β相中に少量のα相が共存するα+β型チタ
ン合金を言い、代表的なものとしてはTi−10V−2
Fe−3Al,Ti−5Al−2Sn−2Zr−4Mo
−4Crを挙げることができる。
することにより、本発明の効果を明らかにする。
合金(Ti−10V−2Fe−3Al)をVAR溶解に
より溶製した後、そのβ変態点である795℃以上の温
度で断面減少率が50%となる粗鍛造を行い、その後、
試験として仕上げ鍛造を想定した熱間加工および加熱保
持を行った。試験条件を表2に示す。試験後はいずれも
β変態点以下の温度である780℃×0.5h,WQの溶
体化処理を行い、更に520℃×8h,ACの時効処理
を行った。時効処理後に機械的性質(強度、延性および
靱性)を調査した結果を表3に示す。
は代表的なα+β型チタン合金であるTi−6Al−4
Vよりも約20%高い120MPa以上、延性(伸びお
よび絞り)についてはTi−6Al−4V並みのそれぞ
れ10%以上および25%以上、靱性についてはK1C値
で40MPaM以上とした。
工度が50%以上の熱間加工を行い、且つその熱間加工
を2回に分け、2回の熱間加工の間に加熱保持を行った
ので、強度、延性および靱性のいずれも目標値を上回
り、代表的なα+β型チタン合金であるTi−6Al−
4Vよりも更に高い強度および靱性を確保し、なおかつ
そのα+β型チタン合金に準じる延性を確保することが
できた。
条件が不適正な比較例である。No.4では加工温度がβ
変態点を超え、β単相域となったため、β相が粗大化し
延性が目標値に達しなかった。No. 5では加熱保持温度
がβ変態点を超えたため同様に延性低下が生じた。No.
6では加熱保持温度が加工温度より低いため、sub grai
n の成長が不足し、靱性が目標値に達しなかった。No.
7ではトータルの加工度が50%に達しなかったため、
溶体化処理でのsub grain の消滅により延性低下が生じ
た。No. 8ではトータルの加工度が50%を超えるが、
始めの熱間加工での加工度も50%を超えるため、sub
grain が小さくなりすぎ、靱性が目標値に達しなかっ
た。
のみ1回実施した従来例である。加工度が50%に達し
ないNo. 9では、溶体化処理での微細なsub grain の消
滅により、延性が目標値に達しなかった。加工度が50
%を超えるNo. 10では、sub grain のサイズが小さく
なり過ぎたため、靱性が目標値に達しなかった。
であるTi−10V−2Fe−3Alについてのもので
あるが、他のNearβ型チタン合金、例えばTi−5Al
−2Sn−2Zr−4Mo−4CrやTi−11.5Mo
−5Zr−4.5Sn等にも適用可能である。
チタン合金の強靱化方法は、熱間加工を2回に分け、そ
の間に加熱保持を行うことにより、後処理後に強度、靱
性および延性を高次元でバランスさせることができるの
で、加工性の良好な高性能な高比強度構造用材料を提供
することができる。
影響を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 Nearβ型チタン合金を、α+β温度域に
おいて50%未満の断面減少率で熱間加工した後、該熱
間加工温度以上β変態点以下の温度に加熱保持し、再度
α+β温度域においてトータルの断面減少率が50%以
上となるように50%未満の断面減少率で熱間加工し、
しかる後にα+β温度域で溶体化処理および時効処理を
行うことを特徴とするチタン合金の強靱化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6331199A JP3036384B2 (ja) | 1994-12-07 | 1994-12-07 | チタン合金の強靱化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6331199A JP3036384B2 (ja) | 1994-12-07 | 1994-12-07 | チタン合金の強靱化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08158028A true JPH08158028A (ja) | 1996-06-18 |
JP3036384B2 JP3036384B2 (ja) | 2000-04-24 |
Family
ID=18241006
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6331199A Expired - Lifetime JP3036384B2 (ja) | 1994-12-07 | 1994-12-07 | チタン合金の強靱化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3036384B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017002390A (ja) * | 2015-06-16 | 2017-01-05 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
JP2017002373A (ja) * | 2015-06-12 | 2017-01-05 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
JP2017218660A (ja) * | 2016-06-10 | 2017-12-14 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
JP2017218661A (ja) * | 2016-06-10 | 2017-12-14 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
-
1994
- 1994-12-07 JP JP6331199A patent/JP3036384B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017002373A (ja) * | 2015-06-12 | 2017-01-05 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
JP2017002390A (ja) * | 2015-06-16 | 2017-01-05 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
JP2017218660A (ja) * | 2016-06-10 | 2017-12-14 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
JP2017218661A (ja) * | 2016-06-10 | 2017-12-14 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
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