JPH08157549A - ポリフェノール類、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

ポリフェノール類、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

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JPH08157549A
JPH08157549A JP33097094A JP33097094A JPH08157549A JP H08157549 A JPH08157549 A JP H08157549A JP 33097094 A JP33097094 A JP 33097094A JP 33097094 A JP33097094 A JP 33097094A JP H08157549 A JPH08157549 A JP H08157549A
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JP
Japan
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epoxy resin
formula
resin composition
present
polyphenols
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JP33097094A
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English (en)
Inventor
Yasumasa Akatsuka
泰昌 赤塚
Kenichi Kuboki
健一 窪木
Yoshiro Shimamura
芳郎 嶋村
Hiromi Morita
博美 森田
Hiroaki Ono
博昭 大野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性、耐水性及び機械強度に優れた硬化物、
及びそれを与える、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成
物を提供すること。 【構成】ビフェノール類をテトラメチロール化し、更に
フェノール類と縮合させることにより得られるポリフェ
ノール類、該ポリフェノール類をエポキシ化することに
より得られるエポキシ樹脂、該ポリフェノール類あるい
は該エポキシ樹脂を含むことを特徴とするエポキシ樹脂
組成物及びその硬化物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、耐水性、機械的
強度に優れる硬化物を与えるポリフェノール類、エポキ
シ樹脂およびエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電気・電子部品、特にICの封
止剤の分野では、エポキシ樹脂、フェノールノボラック
樹脂、硬化促進剤を主成分とした樹脂組成物が広く用い
られている。近年のICにおける高密度、高集積化は封
止剤に対して高耐熱化、低吸水化を要求するようになっ
た。とりわけ、ICの高密度実装におけるハンダ浴浸漬
という過酷な条件は、硬化物に対する高耐熱化、低吸水
化、及び高靭性化の要求を益々強めている。
【0003】しかし従来の組成物において、エポキシ樹
脂として用いられているクレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂は、高耐熱性は有するものの、吸水性、靭性の点
で、劣るという欠点がある。
【0004】一方、硬化剤として一般に使用されている
フェノールノボラック樹脂は耐熱性の面で未だ不十分で
あり、益々過酷になっていく条件下では満足な結果をも
たらしていない。そこで耐熱性、低吸水性、高靭性の硬
化物を与える、樹脂の開発が待ち望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このように
過酷になっていく条件にも耐え得る高耐熱性、低吸水性
でしかも高靭性の硬化物を与える、樹脂及び樹脂組成物
及びその硬化物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこうした実
状に鑑み、耐熱性、耐水性及び機械的強度に優れる硬化
物を与えるエポキシ樹脂を求めて鋭意研究した結果、特
定の分子構造を有するポリフェノール類及びそれをエポ
キシ化することにより得られるエポキシ樹脂が、その硬
化物において優れた耐熱性、耐水性及び機械強度(例え
ば靭性)を付与するものであることを見い出して本発明
を完成させるに到った。
【0007】すなわち本発明は (1)式(1)
【0008】
【化7】
【0009】(式中、nは平均値を表し0.05〜10
の値を示す。Aは式(2)または式(3)
【0010】
【化8】
【0011】(式(2)及び式(3)中Rは水素原子、
ハロゲン原子、炭素数1〜9のアルキル基、シクロアル
キル基、アリル基、アリール基のいずれかを表し個々の
Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。)を表
し個々のAは互いに同一であっても異なっていてもよ
い。Xは式(4)または式(5)
【0012】
【化9】
【0013】(式(4)及び式(5)中Rは式(2)及
び式(3)におけるのと同じ意味を表す。)を表し、X
が複数存在する場合互いに同一であっても異なっていて
もよい。)で表されるポリフェノール類、 (2)式(6)
【0014】
【化10】
【0015】(式中、nは平均値を表し0.05〜10
の値を示す。Gはグリシジル基を表す。Bは式(7)ま
たは式(8)
【0016】
【化11】
【0017】(式(7)及び式(8)中Rは式(2)及
び式(3)におけるのと同じ意味を表し、Gはグリシジ
ル基を表す。)を表し個々のBは互いに同一であっても
異なっていてもよい。Yは式(9)または式(10)
【0018】
【化12】
【0019】(式(9)及び式(10)中Rは式(2)
及び式(3)におけるのと同じ意味を表し、Gはグリシ
ジル基を表す。)を表し、Yが複数存在する場合互いに
同一であっても異なっていてもよい。)で表されるエポ
キシ樹脂、 (3)(a)エポキシ樹脂(b)上記(1)記載のポリ
フェノール類を含有してなるエポキシ樹脂組成物、 (4)(a)上記(2)記載のエポキシ樹脂(b)硬化
剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物、 (5)(a)上記(2)記載のエポキシ樹脂(b)上記
(1)記載のポリフェノール類を含有してなるエポキシ
樹脂組成物 (6)硬化促進剤を含有する上記(3)、(4)または
(5)記載のエポキシ樹脂組成物、 (7)上記(3)、(4)、(5)または(6)記載の
エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物 を提供するものである。
【0020】式(1)で表される化合物は例えばビフェ
ノール類とホルマリンを反応させて得られるテトラメチ
ロール化物とフェノール類とを酸触媒の存在下で縮合反
応させることにより得ることができる。
【0021】また式(6)で表される化合物は、式
(1)で表される化合物とエピハロヒドリンとの反応を
アルカリ金属水酸化物の存在下で行うことにより得るこ
とができる。
【0022】ここでビフェノール類としては4,4’−
ビフェノール,2,2’−ビフェノールなどが挙げられ
る。ビフェノール類から式(1)の化合物を得るには、
まず、ビフェノール類を、そのフェノール性水酸基と当
量の水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物水溶液
に溶解する。アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度は3〜
40重量%が好ましく、特に5〜30重量%が好まし
い。次にホルマリンを添加するが、ホルマリンの形状は
水溶液でもパラホルムアルデヒドでも構わない。ホルマ
リンの添加量はビフェノール類1モルに対して、4.0
〜5.0モル、好ましくは4.0〜4.5モルである。
反応温度は30〜100℃、好ましくは40〜90℃で
ある。反応時間は通常1〜10時間、好ましくは2〜8
時間である。
【0023】次に、アルカリ金属水酸化物と当量の酸を
用いて反応液を中和する。酸としては硫酸、塩酸が好ま
しい。中和時の温度は10℃〜70℃が好ましく20〜
60℃が特に好ましい。中和した後しばらく放置すると
水層と、スラリー状のテトラメチロール化物の層に分か
れるが、上部の水層をデカンテーションにより除去す
る。
【0024】次いで反応混合物中にフェノール類を添加
する。ここでフェノール類とはフェノール性水酸基を少
なくとも1個有する化合物が該当し、例示するとフェノ
ール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフ
ェノール、イソブチルフェノール、t−ブチルフェノー
ル、オクチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノ
ール、メチルブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノ
ールなどを代表とするアルキルフェノール類の各種o
−,m−,p−異性体、またはビニルフェノール、アリ
ルフェノール、プロペニルフェノール、エチニルフェノ
ールの各種o−m−p−異性体、またはシクロペンチル
フェノール、シクロヘキシルフェノール、シクロヘキシ
ルクレゾールなどを代表とするシクロアルキルフェノー
ル、またはフェニルフェノール等の置換フェノール類、
あるいはα−ナフトール、β−ナフトールなどのナフト
ール類が挙げられ、これらのうちアルキルフェノール
類、ナフトール類が好ましい。これらのフェノール類は
1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて
用いてもよい。
【0025】上記縮合反応を行う場合フェノール類の使
用量はビフェノール類1モルに対して通常4〜30モ
ル、好ましくは5〜25モルである。
【0026】上記縮合反応においては酸触媒を用いるの
が好ましく、酸触媒としては種々のものが使用できるが
塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有
機あるいは無機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウ
ム、塩化亜鉛等のルイス酸が好ましく、特にp−トルエ
ンスルホン酸、硫酸、塩酸が好ましい。これら酸触媒の
使用量は特に限定されるものではないが、ビフェノール
類1モルに対して通常0.001〜0.1モルである。
【0027】上記縮合反応は無溶剤下で、あるいは有機
溶剤の存在下で行うことができる。有機溶剤を使用する
場合の用いうる具体例としてはトルエン、キシレン、メ
チルイソブチルケトンなどが挙げられる。有機溶剤の使
用量は仕込んだ原料の総重量に対して50〜300重量
%、好ましくは100〜250重量%である。反応温度
は20〜200℃、好ましくは25〜190℃である。
また反応時間は0.5〜30時間、好ましくは1〜25
時間である。
【0028】反応終了後、中和処理或は水洗処理を行っ
て生成物のpH値を3〜7、好ましくは5〜7に調節す
る。中和処理を行う場合は水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化
物、アンモニア、リン酸二水素ナトリウムさらにはジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アニリ
ン、フェニレンジアミンなどの有機アミンなど様々な塩
基性物質等を中和剤として用いることができる。これら
水洗あるいは中和処理は常法にしたがって行えばよい。
例えば反応混合物中に水または上記中和剤を溶解した水
を加え分液抽出操作をくり返す。
【0029】中和処理を行った後、減圧加熱下で未反応
のフェノール類及び溶剤を留去し生成物の濃縮を行い、
式(1)で表される本発明のポリフェノール類を得るこ
とが出来る。
【0030】本発明のポリフェノール類は、上記で述べ
たようにビフェノール類とホルマリンとを反応させて得
られるテトラメチロール化物とフェノール類とを反応さ
せて得られるが、上記反応中にトリあるいはジメチロー
ル化物等の副生成物が生成することが原因で例えば式
(11)、(12)
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】等の副生成物が本発明のポリフェノール類
中に含まれる場合がある。(式(11)及び式(12)
中では、4,4’−ビフェノールのトリあるいはジジメ
チロール化物とフェノールとの反応生成物を例示し
た。)本発明のポリフェノール類に含まれる上記副生成
物(ビフェノール類のテトラメチロール化物とフェノー
ル類とが反応した生成物でない不純物)は最終的に得ら
れる硬化物の耐熱、耐水性等の物性を低下させる恐れが
ある。従って、本発明のポリフェノール類中に含まれる
上記不純物の量は、10重量%以下が好ましい。
【0034】式(1)で表されるポリフェノール類から
式(6)で表される本発明のエポキシ樹脂を得る方法と
しては公知の方法が採用できる。例えば得られた式
(1)の化合物と過剰のエピクロルヒドリン、エピブロ
ムヒドリン等のエピハロヒドリンの溶解混合物に水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物
を添加し、または添加しながら20〜120℃の温度で
0.5〜10時間反応させることにより本発明のエポキ
シ樹脂を得ることが出来る。
【0035】本発明のエポキシ樹脂を得る反応におい
て、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよ
く、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続
的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連
続的に水及びエピハロヒドリンを流出させ、更に分液し
水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す
方法でもよい。
【0036】また、式(1)で表されるポリフェノール
類とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアン
モニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマ
イド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の
4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃
で0.5〜5時間反応させて得られる式(1)の化合物
のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の
固体または水溶液を加え、再び20〜120℃の温度で
0.5〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)さ
せる方法でもよい。
【0037】通常これらの反応において使用されるエピ
ハロヒドリンの量は式(1)の化合物の水酸基1当量に
対し通常1〜20モル、好ましくは2〜10モルであ
る。アルカリ金属水酸化物の使用量は式(1)の化合物
の水酸基1当量に対し通常0.8〜15モル、好ましく
は0.9〜11モルである。更に、反応を円滑に進行さ
せるためにメタノール、エタノールなどのアルコール類
の他、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非
プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好
ましい。
【0038】アルコール類を使用する場合、その使用量
はエピハロヒドリンの量に対し2〜20重量%、より好
ましくは4〜15重量%である。また非プロトン性極性
溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し5〜1
00重量%、より好ましくは10〜90重量%である。
【0039】これらのエポキシ化反応の反応物を水洗
後、または水洗無しに加熱減圧下、150〜250℃、
圧力10mmHg以下でエピハロヒドリンや溶媒などを
除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキ
シ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂をトルエ
ン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸
化物の水溶液を加えて更に反応を行い閉環を確実なもの
にすることもできる。この場合アルカリ金属水酸化物の
使用量はエポキシ化に使用した式(1)の化合物の水酸
基1当量に対して好ましくは0.01〜0.3モル、特
に好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は
50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間であ
る。
【0040】反応終了後、生成した塩を濾過、水洗など
により除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソ
ブチルケトンなどの溶剤を留去することにより本発明の
式(6)で表されるエポキシ樹脂が得られる。
【0041】以下、本発明のエポキシ樹脂組成物につい
て説明する。前記(3)また(5)記載のエポキシ樹脂
組成物において本発明のポリフェノール類はエポキシ樹
脂の硬化剤として作用し、この場合本発明のポリフェノ
ール類を単独でまたは他の硬化剤と併用することが出来
る。併用する場合、本発明のポリフェノール類の全硬化
剤中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に4
0重量%以上が好ましい。
【0042】本発明のポリフェノール類と併用される他
の硬化剤としては、例えばアミン系化合物,酸無水物系
化合物,アミド系化合物,フェノ−ル系化合物などが挙
げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノ
ジフェニルメタン,ジエチレントリアミン,トリエチレ
ンテトラミン,ジアミノジフェニルスルホン,イソホロ
ンジアミン,ジシアンジアミド,リノレン酸の2量体と
エチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂,無
水フタル酸,無水トリメリット酸,無水ピロメリット
酸,無水マレイン酸,テトラヒドロ無水フタル酸,メチ
ルテトラヒドロ無水フタル酸,無水メチルナジック酸,
ヘキサヒドロ無水フタル酸,メチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸,フェノ−ルノボラック,及びこれらの変性物,
イミダゾ−ル,BF3 −アミン錯体,グアニジン誘導体
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用しても
よい。
【0043】前記(4)または(5)記載のエポキシ樹
脂組成物において本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは
他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併
用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中
に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重
量%以上が好ましい。
【0044】本発明のエポキシ樹脂と併用される他のエ
ポキシ樹脂としてはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などが挙げられる
が,これらは単独で用いてもよく、2種以上併用しても
よい。
【0045】前記(3)のエポキシ樹脂組成物におい
て、硬化剤として本発明のポリフェノール類を用いる場
合、エポキシ樹脂としては前記の他のエポキシ樹脂や本
発明のエポキシ樹脂を用いることが出来る。
【0046】また前記(4)のエポキシ樹脂組成物にお
いて、エポキシ樹脂として本発明のエポキシ樹脂を用い
る場合、硬化剤としては前記の他の硬化剤や本発明のポ
リフェノール類を用いることが出来る。
【0047】本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化
剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し
て0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に
対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当
量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬
化物性が得られない恐れがある。
【0048】また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を
併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては
例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ
−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、
1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−
7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホ
スフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物などが挙
げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量はエポキ
シ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必
要に応じ用いられる。さらに、本発明のエポキシ樹脂組
成物には、必要に応じてシリカ、アルミナ、タルク等の
充填材やシランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々
の配合剤を添加することができる。
【0049】本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を
均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ
樹脂、硬化剤更に必要により硬化促進剤の配合された本
発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同
様の方法で容易に硬化物とすることができる。例えば本
発明のエポキシ樹脂と硬化剤,必要により硬化促進剤及
び充填材等の添加材とを必要に応じて押出機,ニ−ダ,
ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合して本発明
のエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を
溶融後注型あるいはトランスファ−成形機などを用いて
成形し、さらに80〜200℃で2〜10時間に加熱す
ることにより本発明の硬化物を得ることができる。
【0050】また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエ
ン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維,カ
−ボン繊維,ポリエステル繊維,ポリアミド繊維,アル
ミナ繊維,紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプ
リプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることもでき
る。
【0051】この際用いる希釈溶剤の使用量は本発明の
エポキシ樹脂組成物と該希釈溶剤の合計重量に対し通常
10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%であ
る。
【0052】こうして得られる本発明の硬化物は耐熱
性、耐水性及び機械強度に優れているため、耐熱性、耐
水性、高機械強度の要求される広範な分野で用いること
ができる。具体的には封止材料、積層板、絶縁材料など
のあらゆる電気・電子材料として有用である。また、成
型材料、接着剤、複合材料、塗料などの分野にも用いる
ことができる。
【0053】
【実施例】次に本発明を実施例、比較例により更に具体
的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限
り重量部である。
【0054】実施例1 温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器及び窒素ガス吹き
込み管を取り付けたフラスコに、10%水酸化ナトリウ
ム水溶液400部、4,4’−ビフェノール93部を仕
込み70℃で撹拌溶解した。パラホルムアルデヒド66
部を加え、70℃で4時間反応させた。次いで反応液の
温度を15℃まで冷却し、35%塩酸水溶液を104部
滴下した。得られたオイル状のメチロール化物から水分
をデカンテーションにより除去した。次いで、フェノー
ル564部、パラトルエンスルホン酸1部を仕込み、7
0℃で5時間撹拌した。
【0055】次いで、メチルイソブチルケトン200部
を加え、3回水洗した後、加熱減圧下で、過剰のフェノ
ール、及び溶剤を除去することにより下記式(13)
【0056】
【化15】
【0057】で表される化合物(A)216部を得た。
得られたポリフェノール類(本発明のポリフェノール
類)の軟化点は105.3℃、水酸基当量は101g/
eq、n=0.48(平均値)であった。
【0058】実施例2 フェノールの代わりにo−クレゾール648部を用いた
以外は実施例1と同様に反応を行い下記式(14)
【0059】
【化16】
【0060】で表される化合物(B)252部を得た。
得られたポリフェノール類(本発明のポリフェノール
類)の軟化点は110.5℃、水酸基当量は110g/
eq、n=0.30(平均値)であった。
【0061】実施例3〜4,比較例1 エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を表1に示す組成で
配合して、70℃で15分ロールで混練し、150℃、
成形圧力50kg/cm2 で180秒間トランスファー
成形して、その後160℃で2時間、更に180℃で8
時間硬化せしめて試験片を作成し、ガラス転移点、吸水
率及び曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。尚、ガ
ラス転移点、吸水率及び曲げ強度の測定条件は次の通り
である。また、表中、配合物の組成の欄の数値は重量部
を示す。
【0062】 ガラス転移点 熱機械測定装置(TMA):真空理工(株)製 TM−7000 昇温速度:2℃/min 吸水率 試験片(硬化物):直径50mm 厚さ3mm 円盤 100℃の水中で24時間煮沸した後の重量増加率(%) 曲げ強度 JIS K−6911に準拠した値
【0063】
【表1】 表1 実施例3 実施例4 比較例1 配合物の組成 エポキシ樹脂 EOCN1020 100 100 100 硬化剤 化合物(A) 50.5 化合物(B) 55.0 フェノールノボラック 53.0 硬化促進剤 TPP 1 1 1 硬化物の物性 ガラス転移点(℃) 171 175 153 吸水率(%) 1.08 1.02 1.30 曲げ強度(Kg/mm2 ) 10.5 10.7 9.0
【0064】表1において EOCN1020;日本化薬(株)製o−クレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂、軟化点65.1℃、エポキシ
当量200g/eq(以下表2、表3においても同じ) 化合物(A)、化合物(B);実施例1、2で得られた
本発明のポリフェノール類(A)、(B)をそれぞれさ
す。 フェノールノボラック;軟化点80.2℃、水酸基当量
106g/eq(以下表2、表3においても同じ) TPP;トリフェニルホスフィン(以下表2、表3にお
いても同じ)
【0065】実施例5 温度計、冷却管、撹拌器を備えたフラスコに窒素ガスパ
ージを施しながら実施例1で得られた化合物(A)15
1.5部、エピクロルヒドリン555部、ジメチルスル
ホキシド139部を仕込み溶解させた。更に50℃に加
熱しフレーク状水酸化ナトリウム(純分99%)60.
6部を90分かけて分割添加し、その後更に60℃で2
時間、70℃で1時間反応させた。反応終了後、130
℃で加熱減圧下ジメチルスルホキシド及びエピクロルヒ
ドリンを留去し、残留物に950部のメチルイソブチル
ケトンを加え溶解した。
【0066】更にこのメチルイソブチルケトンの溶液を
70℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリウム水溶液1
5部を添加し1時間反応させた後、水洗を3回繰り返し
pHを中性とした。更に水層は分離除去し、ロータリエ
バポレーターを使用して油層から加熱減圧下メチルイソ
ブチルケトンを留去し、下記式(15)
【0067】
【化17】
【0068】(式中Gはグリシジル基を表す。)で表さ
れる本発明のエポキシ樹脂(C)208部を得た。得ら
れたエポキシ樹脂の軟化点は84.0℃、エポキシ当量
は183g/eqであった。
【0069】実施例6 化合物(A)の代わりに実施例2で得られた化合物
(B)165部を用いた以外は実施例5と同様に反応を
行い下記式(16)
【0070】
【化18】
【0071】(式中Gはグリシジル基を表す。)で表さ
れる本発明のエポキシ樹脂(D)部を得た。得られたエ
ポキシ樹脂の軟化点は93.2℃,エポキシ当量は19
8g/eqであった。
【0072】実施例7〜8,比較例2 エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を表2に示す組成で
配合して、70℃で15分ロールで混練し、150℃、
成形圧力50kg/cm2 で180秒間トランスファー
成形して、その後160℃で2時間、更に180℃で8
時間硬化せしめて試験片を作成し、ガラス転移点、吸水
率及び機械強度を測定した。結果を表2に示す。尚、ガ
ラス転移点、吸水率及び曲げ強度の測定は前記のとうり
である。また表中、配合物の組成の欄の数値は重量部を
示す。
【0073】
【表2】 表2 実施例7 実施例8 比較例2 配合物の組成 エポキシ樹脂 エポキシ樹脂(C) 100 エポキシ樹脂(D) 100 EOCN1020 100 (エポキシ当量(g/eq)) 183 198 200 硬化剤 フェノールノボラック 57.9 53.5 53.0 硬化促進剤 TPP 1 1 1 硬化物の物性 ガラス転移点(℃) 174 180 153 吸水率(%) 1.10 1.05 1.30 曲げ強度(Kg/mm2 ) 11.2 11.0 9.0
【0074】表2において エポキシ樹脂(C)、エポキシ樹脂(D);実施例5、
6で得られた本発明のエポキシ樹脂(C)、(D)をそ
れぞれさす。
【0075】実施例9,比較例3 エポキシ樹脂(C)、硬化剤、硬化促進剤を表3に示す
組成で配合して、70℃で15分ロールで混練し、15
0℃、成形圧力50kg/cm2 で180秒間トランス
ファー成形して、その後160℃で2時間、更に180
℃で8時間硬化せしめて試験片を作成し、ガラス転移
点、吸水率及び機械強度を測定した。結果を表3に示
す。尚、ガラス転移点、吸水率及び曲げ強度の測定条件
は前記の通りである。また、表中、配合物の組成の欄の
数値は重量部を示す。
【0076】
【表3】 表3 実施例9 比較例3 配合物の組成 エポキシ樹脂 エポキシ樹脂(C) 100 EOCN1020 100 (エポキシ当量(g/eq)) 216 200 硬化剤 化合物(A) 67.1 フェノールノボラック 53.0 硬化促進剤 TPP 1 1 硬化物の物性 ガラス転移点(℃) 186 153 吸水率(%) 1.23 1.30 曲げ強度(Kg/mm2 ) 12.0 9.0
【0077】表3において エポキシ樹脂(C);実施例5で得られた本発明のエポ
キシ樹脂 化合物(A) ;実施例1で得られた本発明のポリ
フェノール類
【0078】表1〜3より本発明のポリフェノール類及
びエポキシ樹脂を用いた組成物の硬化物は、公知の樹脂
組成物の硬化物に較べ、高いガラス転移点、低い吸水率
でかつ高い機械強度を示すことが明らかである。
【0079】
【発明の効果】本発明のポリフェノール類及びエポキシ
樹脂は耐熱性、耐水性及び機械的強度に優れた特性を兼
ね備えた硬化物を与えることができ、成形材料,注型材
料,積層材料,塗料,接着剤,レジストなどの広範囲の
用途にきわめて有用である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1) 【化1】 (式中、nは平均値を表し0.05〜10の値を示す。
    Aは式(2)または式(3) 【化2】 (式(2)及び式(3)中Rは水素原子、ハロゲン原
    子、炭素数1〜9のアルキル基、シクロアルキル基、ア
    リル基、アリール基のいずれかを表し個々のRは互いに
    同一であっても異なっていてもよい。)を表し個々のA
    は互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは式
    (4)または式(5) 【化3】 (式(4)及び式(5)中Rは式(2)及び式(3)に
    おけるのと同じ意味を表す。)を表し、Xが複数存在す
    る場合互いに同一であっても異なっていてもよい。)で
    表されるポリフェノール類。
  2. 【請求項2】式(6) 【化4】 (式中、nは平均値を表し0.05〜10の値を示す。
    Gはグリシジル基を表す。Bは式(7)または式(8) 【化5】 (式(7)及び式(8)中Rは式(2)及び式(3)に
    おけるのと同じ意味を表し、Gはグリシジル基を表
    す。)を表し個々のBは互いに同一であっても異なって
    いてもよい。Yは式(9)または式(10) 【化6】 (式(9)及び式(10)中Rは式(2)及び式(3)
    におけるのと同じ意味を表し、Gはグリシジル基を表
    す。)を表し、Yが複数存在する場合互いに同一であっ
    ても異なっていてもよい。)で表されるエポキシ樹脂。
  3. 【請求項3】(a)エポキシ樹脂 (b)請求項1記載のポリフェノール類 を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(a)請求項2記載のエポキシ樹脂、 (b)硬化剤 を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(a)請求項2記載のエポキシ樹脂 (b)請求項1記載のポリフェノール類 を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
  6. 【請求項6】硬化促進剤を含有する請求項3、4または
    5記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】請求項3、4、5または6記載のエポキシ
    樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014058633A (ja) * 2012-09-19 2014-04-03 Dic Corp ビフェノール−ナフトール樹脂、硬化性樹脂組成物、その硬化物、及びプリント配線基板

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