JPH08157269A - 無機繊維強化セラミック複合材料 - Google Patents

無機繊維強化セラミック複合材料

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JPH08157269A
JPH08157269A JP6299680A JP29968094A JPH08157269A JP H08157269 A JPH08157269 A JP H08157269A JP 6299680 A JP6299680 A JP 6299680A JP 29968094 A JP29968094 A JP 29968094A JP H08157269 A JPH08157269 A JP H08157269A
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Masaki Shibuya
昌樹 渋谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた機械的特性及び耐酸化性を有する無機繊
維強化セラミック複合材料を提供する。 【構成】複合材料は、ケイ素、炭素、及び酸素からな
り、酸素に富む第一表層部、炭素に富む第二表層部、及
び内層部から構成される無機繊維とセラミックマトリッ
クスとからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度、靱性及び耐熱性
が高い無機繊維強化セラミック複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】特公昭58−33196号公報には、炭
化ケイ素繊維を強化繊維とし、炭化物又は窒化物セラミ
ックスをマトリクッスとする繊維強化セラミック複合材
料が開示されている。この複合材料は比較的に優れた機
械的特性を示すが、高温での使用中に強化繊維とマトリ
ックスとが反応して強化繊維が劣化し、複合材料の特性
が低下するという問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ケイ
素、炭素、及び酸素から構成される無機繊維の優れた特
性を複合材料において有効に発揮させることのできる複
合材料を提供することにある。別の観点からすると、本
発明の目的は、酸素含有雰囲気中での高温での使用時
に、機械的特性の低下が少ない複合材料を提供すること
にある。
【0004】本発明の上記目的は、ケイ素、炭素、及び
酸素から構成され、さらに内層部、繊維表面に形成され
る第一表層部、内層部と第一表層部との間に形成される
第二表層部とを有し、内層部の組成がケイ素40〜60
重量%、炭素20〜40重量%、及び酸素0.1〜30
重量%であり、第二表層部において構成元素の中で炭素
の割合が内層部に比較して5重量%以上多く、かつ炭素
の全割合が90重量%以下であり、第一表層部において
構成元素の中で酸素の割合が内層部に比較して5重量%
以上多く、かつ酸素の全割合が60重量%以下である無
機繊維を強化材とし、セラミックスをマトリックスとす
る複合材料によって達成される。
【0005】本発明における無機繊維はケイ素、炭素、
及び酸素から構成されており、繊維径は一般に5〜20
μmである。そして、この無機繊維は、(1)ケイ素、
炭素、及び酸素からなる非晶質物質、(2)結晶質物質
の集合体であって、β−SiC、及びCとから構成さ
れ、各結晶質物質の粒径が50nm以下である結晶質物
質とSiO2 との集合体、又は(3)上記(1)の非晶
質物質と上記(2)の集合体との混合物
【0006】本発明における無機繊維は上述したよう
に、内層部、第二表層部、及び第一表層部から形成され
ている。第二表層部は第一表層部から通常50nm以下
の領域を構成しており、第一表層部は繊維表面から通常
50nm以下の領域を構成している。第二表層部におい
ては、構成元素である炭素が内層部に比較して5重量%
以上多く、炭素の全割合は90重要%以下である。ま
た、第一表層部においては、構成元素である酸素が内層
部に比較して5重量%以上多く、酸素の全割合は60重
量%以下である。
【0007】図1は後述する実施例1で使用された無機
繊維の繊維表面からの深さと構成元素の割合(重量%)
との関係を示している。図1からわかるように、繊維表
面から約15〜40nmの領域を構成する第二表層部に
おいては、炭素の割合は最高52重量%であり、内層部
における炭素の割合38重量%より14重量%多くなっ
ていることがわかる。
【0008】繊維表面から約15nm以下の領域を構成
する第一表層部においては、内層部における酸素の割合
が8重量%であるのに対して、酸素の割合が最高56重
量%であって、48重量%多くなっているとが理解され
る。
【0009】図1に示されるように、第二表層部におけ
る炭素は内層部と第二表層部との境界から第二表層部と
第一表層部との境界に向けて濃度が漸増しており、ま
た、第一表層部における酸素は第二表層部と第一表層部
との境界から繊維表面に向けて濃度が連続的に増大して
いることがわかる。
【0010】本発明における無機繊維において、上記の
ように炭素及び酸素の濃度が漸増することが必須ではな
いが、内層部と第二表層部との親和性、さらに第二表層
部と第一表層部との親和性を高めるためには、図1にお
けるように、炭素及び酸素の濃度が、それぞれ、第二表
層部及び第一表層部において連続的に増大していること
が好ましい。
【0011】本発明における無機繊維は、市販の炭化ケ
イ素繊維を、一酸化炭素雰囲気中で1200〜1500
℃の範囲の温度で加熱処理することによって調製するこ
とができる。
【0012】炭化ケイ素繊維は、例えば、ポリカルボシ
ランを溶融紡糸し、紡糸繊維を酸素含有雰囲気中で加熱
する方法、あるいは紡糸繊維に放射線を照射する方法に
よって不融化し、不融化繊維を加熱焼成することによっ
て得ることができる。
【0013】無機繊維の形態については特別の制限はな
く、連続繊維又は連続繊維を切断したチョップ状短繊維
であってもよく、連続繊維から編織された平織、朱子
織、多軸織、三次元織、不織布であってもよく、さらに
連続繊維を一方向に引き揃えたシ−ト状物であってもよ
い。
【0014】本発明においてマトリックスを形成するセ
ラミックスとしては、結晶質又は非晶質の酸化物セラミ
ックス、結晶質又は非晶質の非酸化物セラミックス、ガ
ラス、結晶化ガラス、これらの混合物、これらのセラミ
ックスを粒子分散強化したセラミック複合材料を例示す
ることができる。
【0015】酸化物セラミックスの具体例としては、ア
ルミニウム、マグネシウム、ケイ素、イットリウム、イ
ンジウム、ウラン、カルシウム、スカンジウム、タンタ
ル、ニオブ、ネオジム、ランタン、ルテニウム、ロジウ
ム、ベリリウム、チタン、錫、ストロンチウム、バリウ
ム、亜鉛、ジルコニウム、鉄のような元素の酸化物、こ
れら金属の複合酸化物が挙げられる。
【0016】非酸化物セラミックスの具体例としては、
炭化物、窒化物、ホウ化物を挙げることができる。炭化
物の具体例としては、ケイ素、チタン、ジルコニウム、
アルミニウム、ウラン、タングステン、タンタル、ハフ
ニウム、ホウ素、鉄、マンガンのような元素の炭化物、
これら元素の複合炭化物が挙げられる。この複合炭化物
の例としては、前述したポリチタノカルボシラン又はポ
リジルコノカルボシランを加熱焼成して得られる無機物
が挙げられる。
【0017】窒化物の具体例としては、ケイ素、ホウ
素、アルミニウム、マグネシウム、モリブデンのような
元素の窒化物、これら元素の複合酸化物、サイアロンが
挙げられる。
【0018】ホウ化物の具体例としては、チタン、イッ
トリウム、ランタンのような元素のホウ化物、CeCo
3 2 、CeCo4 4 、ErRh4 4 のようなホウ
化白金族ランタノイドが挙げられる。
【0019】ガラスの具体例としては、ケイ酸塩ガラ
ス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスのような非晶質ガ
ラスが挙げられる。結晶化ガラスの具体例としては、主
結晶相がβ−スプジュ−メンであるLiO2 −Al2
3 −MgO−SiO2 系ガラス及びLiO2 −Al2
3 −MgO−SiO2 −Nb2 5 系ガラス、主結晶相
がコ−ジェライトであるMgO−Al2 3 −SiO2
系ガラス、主結晶相がバリウムオスミライトであるBa
O−MgO−Al2 3 −SiO2 系ガラス、主結晶相
がムライト又はヘキサセルシアンであるBaO−Al2
3 −SiO2 系ガラス、主結晶相がアノ−サイトであ
るCaO−Al2 3 −SiO2 系ガラスが挙げられ
る。これらの結晶化ガラスの結晶相にはクリストバライ
トが含まれることがある。本発明におけるセラミックス
として、上記の各種セラミックスの固溶体を挙げること
ができる。
【0020】セラミックスを粒子分散強化したセラミッ
クス複合材料の具体例としては、窒化ケイ素、炭化ケイ
素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カ
リウム、ホウ酸マグネシウム、酸化亜鉛、ホウ化チタン
及びムライトから選択される無機物質の球状粒子、多面
体粒子、板状粒子、棒状粒子を0.1〜60体積%均一
分散したセラミックスが挙げられる。球状粒子及び多面
体粒子の粒径は一般に0.1μm〜1mm、板状粒子及
び棒状粒子のアスペクト比は一般に1.5〜1000で
ある。
【0021】本発明の無機繊維強化セラミック複合材料
は、無機繊維とセラミック原料粉末と配合して加熱処理
する方法、あるいは無機繊維にセラミックスの前駆体重
合体、例えばポリカルボシラン、ポリチタノカルボシラ
ン、ポリジルコノカルボシランを含浸した後に加熱処理
する方法のような、それ自体公知の方法に従って調製す
ることができる。
【0022】前者の方法においては、無機繊維がチョッ
プ状であるときは、チョップ状無機繊維とセラミック原
料粉末とを混合した混合物とし、無機繊維が長繊維、織
物、不織布又はシ−ト状物であるときは、これらの繊維
層とセラミック原料粉末層とを交互に積層した積層物と
し、所望の形状に成形した後に、あるいは成形と同時に
加熱処理してセラミック原料粉末を焼結することによっ
て、複合材料を得ることができる。
【0023】後者の方法においては、セラミックスの前
駆重合体を通常はトルエン、キシレンのような芳香族炭
化水素溶媒に溶解した溶液を無機繊維に含浸し、含浸物
から溶媒を除去した後に加熱処理することによって、複
合材料が調製される。この方法においては、内部に空孔
のない複合材料を得るために、前駆重合体の含浸、溶媒
の除去、及び加熱処理のサイクルを複数回繰り返すこと
が好ましい。この方法においては、前駆重合体の無機化
と焼結とが進行する。
【0024】加熱処理温度は通常800〜1500℃で
ある。加熱処理は窒素、アルゴン、一酸化炭素のような
不活性ガス雰囲気中で行われる。加熱処理温度は、得ら
れる複合材料が実際に使用される温度より高いことが好
ましい。
【0025】本発明の複合材料が優れた機械的特性及び
高温において優れた耐酸化性を有する理由は定かではな
いが、第一表層部が酸化物に富むために充分な高温での
耐酸化性を有すると共に、第二表層部が炭素に富んでい
るために、この層が外力が加えられたときの滑り層とし
て作用するためであると推定される。しかし、本発明は
この推測になんら拘束されるものではない。
【0026】
【実施例】以下に実施例を示す。以下において、「部」
及び「%」は、特別の断りのないかぎり、それぞれ「重
量部」及び「重量%」を示す。
【0027】参考例1 ナトリウム400gを含有する無水キシレンに、窒素ガ
ス気流下にキシレンを加熱還流させながら、ジメチルジ
クロロシラン1lを滴下し、引き続き10時間加熱還流
し沈澱物を生成させた。この沈澱をろ過し、メタノ−
ル、ついで水で洗浄して、白色のポリジメチルシラン4
20gを得た。
【0028】これとは別に、ジフェニルジクロロシラン
750g及びホウ酸124gを窒素ガス雰囲気下にn−
ブチルエ−テル中、100〜120℃で加熱し、生成し
た白色樹脂状物をさらに真空中400℃で1時間加熱す
ることによって、ポリボロジフェニルシロキサン530
gを得た。
【0029】上記のポリジメチルシラン250gに上記
のポリボロジフェニルシロキサン8.27gを添加して
混合し、還流管を備えた石英管中で窒素ガス流通下に3
50℃に加熱し、同温度で6時間重合し、シロキサン結
合を一部含むポリカルボシランを得た。生成物を放冷の
後、キシレンを加えて溶液として取り出し、ロ過した
後、キシレンを蒸発させ、固体状有機ケイ素重合体14
0gを得た。
【0030】参考例2 参考例1で得られた有機ケイ素重合体を溶融紡糸し、空
気中170℃で不融化処理をし、引き続き、不融化繊維
をアルゴン気流下で100℃/時間の昇温速度で125
0℃まで昇温し、同温度で1時間保持した後、一酸化炭
素気流下で400℃/時間の昇温速度で1350℃まで
昇温し、同温度に4時間保持して焼成することによ
り、、繊維径10μm 、引張強度300kg/mm2 、引張
弾性率18t/mm2 の、ケイ素、炭素及び酸素からなる
無機繊維を得た。
【0031】この無機繊維の構成元素の割合は、Si:
54%、C:38%、O:8%であった。この無機繊維
のオ−ジェ分析結果を示す図1からわかるように、第二
表層部において炭素の濃度が内層部の濃度より最高14
%高く、第一表層部において酸素の濃度が内層部の濃度
より最高48%高くなっており、第二表層部及び第一表
層部において、炭素及び酸素の濃度は、繊維表面に向け
た連続的に増大していた。
【0032】参考例3 参考例2で得られた有機ケイ素重合体40g及びチタン
テトラブトキシド7.3gにキシレン0.3lを加え、
窒素ガス気流下で120℃で0.5時間攪拌しながら還
流反応を行った。キシレンを除去した後、得られた中間
生成物をさらに300℃で窒素ガス気流下で1時間加熱
して、ポリチタノカルボシランを得た。
【0033】実施例1 参考例3で得られたポリチタノカルボシラン100部及
びキシレン100部の混合溶液に、参考例2で得られた
無機繊維を一方向に引き揃えた束を浸漬し、アルゴン雰
囲気中5気圧で無機繊維束内にに上記の混合溶液を含浸
させた後、アルゴン気流下に150℃に加熱してキシレ
ンを蒸発除去した。
【0034】ついで、含浸物を電気炉に挿入して、アル
ゴン気流下、10℃の昇温速度で1200℃まで昇温
し、同温度に1時間保持して焼成した。上記の含浸及び
焼成を、同一繊維束について2回繰り返して、複合体を
得た。
【0035】得られた複合体の引張強度は45kg/mm2
あり、空気中1250℃で100時間熱処理した後の引
張強度は37kg/mm2であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考例2で得られた無機繊維のオ−ジェ
分析図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維を強化材とし、セラミックスをマ
    トリックスとする無機繊維強化セラミック複合材料にお
    いて、無機繊維はケイ素、炭素、及び酸素から構成さ
    れ、さらに無機繊維は内層部、繊維表面に形成される第
    一表層部、内層部と第一表層部との間に形成される第二
    表層部とから構成され、内層部の組成がケイ素40〜6
    0重量%、炭素20〜40重量%、及び酸素0.1〜3
    0重量%であり、第二表層部において構成元素の中で炭
    素の割合が内層部に比較して5重量%以上多く、かつ炭
    素の全割合が90重量%以下であり、第一表層部におい
    て構成元素の中で酸素の割合が内層部に比較して5重量
    %以上多く、かつ酸素の全割合が60重量%以下である
    ことを特徴とする無機繊維強化セラミック複合材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018002493A (ja) * 2016-06-27 2018-01-11 イビデン株式会社 SiC/SiC複合材およびその製造方法

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