JPH0815680A - 高分子分散液晶複合膜およびその製造方法並びにそれを用いた高分子分散液晶光学素子 - Google Patents

高分子分散液晶複合膜およびその製造方法並びにそれを用いた高分子分散液晶光学素子

Info

Publication number
JPH0815680A
JPH0815680A JP6149799A JP14979994A JPH0815680A JP H0815680 A JPH0815680 A JP H0815680A JP 6149799 A JP6149799 A JP 6149799A JP 14979994 A JP14979994 A JP 14979994A JP H0815680 A JPH0815680 A JP H0815680A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
polymer
polymer matrix
composite film
dispersed liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6149799A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Tamaya
晃 玉谷
Tatsuo Masumi
達生 増見
Akira Tsumura
顯 津村
Shin Tabata
伸 田畑
Masaya Mizunuma
昌也 水沼
Hitoshi Koyama
均 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP6149799A priority Critical patent/JPH0815680A/ja
Publication of JPH0815680A publication Critical patent/JPH0815680A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 微粒子を選択することにより相分離構造を制
御することが可能で、電気光学特性の優れた高分子分散
液晶膜を得ることができる。 【構成】 高分子分散液晶複合膜は、液晶組成物と高
分子マトリクスと粒径が0.5から1.0μmの範囲内
にあるガラスファイバーとからなり、ガラスファイバー
に担持された液晶組成物が高分子マトリクスに分散して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶が高分子マトリク
スに分散保持された高分子分散液晶複合膜およびその製
造方法並びにそれを用いた透過散乱型の高分子分散液晶
光学素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶デバイスは、従来、刊行物(「液晶
・応用編」岡野光治、小林駿介 共著)に示されている
ように、ネマティック液晶を使用したTN型やSTN型
のものや強誘電性液晶を利用したものが実用されてい
る。これらは、偏光板が必要であり、さらに配向処理を
要するものでもある。近年、刊行物{J.W.Doane,Liquid
Crystals applications and uses,Vol.1 Ed.B.Bahadur
(World Scientific),P.361〜367(1990)}に示されてい
るように、上記処理や偏光板を必要とせず明るくコント
ラストの良い液晶光学素子として、液晶を多孔体に含浸
させたり、液晶をマイクロカプセル中に封入したり、液
晶を高分子マトリクス中に分散保持した高分子分散液晶
複合膜を用い、電界印加の有無により、透過と散乱とを
制御する高分子分散液晶光学素子や、刊行物(特開平4
―204820号公報)に示されているように、液晶層
に透明なポリマー微粒子を混入させたもの等が注目され
てきている。
【0003】図1(a)および(b)は従来の高分子分
散液晶光学素子の構成図であり、透明電極1間の高分子
マトリクス2中に小滴状の液晶組成物3を分散した構造
をしており、電圧無印加時には液晶分子4は小滴内部で
高分子マトリクス壁面に沿った配向をしている{図1
(a)}。この時、液晶小滴と高分子マトリクスの屈折
率に十分な差があれば入射光5は散乱して散乱光6とな
る。この高分子分散型液晶セルに電圧を印加すると液晶
の誘電率の異方性が正(Δε>0)の場合、液晶分子は
高分子マトリクス壁面の拘束から離れ、透明電極面に対
し垂直に配向する{図1(b)}。高分子マトリクスと
液晶分子の分子短軸方向の屈折率が近接しているとき、
入射光は散乱することなく透過し透過光7となる。この
ように高分子分散液晶複合膜では偏光板を用いることな
く散乱状態と透過状態の間でON/OFFを行なうこと
ができ、これにより非常に光の利用効率の高い表示を行
なうことができる。なお、図1において、8はガラス基
板、9はシール材である。しかしながら、高分子分散液
晶複合膜の電気光学特性は、高分子マトリクスに分散し
た液晶の大きさや形等の相分離構造に大きく影響を受け
るため、従来、高分子マトリクス前駆体を重合して高分
子マトリクスとする時の重合温度や光照度により上記相
分離構造を制御しようとしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
重合温度や光照度では液晶の大きさを変化させることは
できるがその形状は球形であり、形状を変化させること
は容易にはできなかった。液晶が球形である高分子分散
液晶複合膜は、ヒステリシスが大きくなるため、容易に
ヒステリシスが小さく良好な特性の高分子分散液晶複合
膜を得ることが必要であった。また、上記従来の微粒子
も、散乱光の増加や耐熱性向上のために用いられたもの
であり、上記相分離構造を制御するものではなかった。
【0005】本発明はかかる課題を解決するためになさ
れたもので、ヒステリシスが小さくコントラストが大き
い良好な特性を有する高分子分散液晶複合膜およびその
製造方法並びにそれを用いた高分子分散液晶光学素子を
得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の高分子分散液
晶複合膜は、高分子マトリクスと、非等方性形状の微粒
子に担持され、上記高分子マトリクスに分散保持された
液晶とを備えたものである。
【0007】請求項2の高分子分散液晶複合膜は、上記
液晶が上記微粒子を核として成長したものである。
【0008】請求項3の高分子分散液晶複合膜は、上記
請求項1または2において、微粒子がガラスファイバー
のものである。
【0009】請求項4の高分子分散液晶複合膜は、高分
子マトリクスに液晶が分散保持されたもので、特に重合
により上記高分子マトリクスとなる高分子マトリクス前
駆体が異なる反応性の重合性官能基を有するものであ
る。
【0010】請求項5の高分子分散液晶複合膜は、請求
項4において、異なる反応性の重合性官能基が熱重合性
官能基および光重合性官能基のものである。
【0011】請求項6の高分子分散液晶複合膜は、請求
項5において、光重合性官能基がアクリル基およびメタ
クリル基であり、熱重合性官能基がエポキシ基のもので
ある。
【0012】請求項7の高分子分散液晶複合膜は、請求
項4〜6において、高分子マトリクス前駆体が熱重合性
化合物および光重合性化合物を含有するものである。
【0013】請求項8の高分子分散液晶複合膜は、請求
項4〜6において、高分子マトリクス前駆体が同一分子
内に熱重合性官能基および光重合性官能基を有する化合
物を含有するものである。
【0014】請求項9の高分子分散液晶複合膜の製造方
法は、異なる反応性の重合性官能基を有する高分子マト
リクス前駆体と液晶を混合し、上記各官能基を段階的に
反応させて、上記前駆体を段階的に重合し液晶と高分子
マトリクスに相分離させる方法である。
【0015】請求項10の高分子分散液晶複合膜の製造
方法は、液晶と重合により高分子マトリクスとなる高分
子マトリクス前駆体との混合物を、重合して液晶と高分
子マトリクスを相分離する方法で、特に上記混合物の粘
度が40cps以上のものである。
【0016】請求項11の高分子分散液晶複合膜は、高
分子マトリクスに液晶が分散保持されたもので、特に重
合により上記高分子マトリクスとなる高分子マトリクス
前駆体が外部エネルギーによって異性化する官能基を含
有するものである。
【0017】請求項12の高分子分散液晶複合膜は、請
求項11において、高分子マトリクス前駆体が一分子中
に外部エネルギーによって異性化する官能基と重合性官
能基とを有するものである。
【0018】請求項13の高分子分散液晶複合膜の製造
方法は、外部エネルギーによって異性化する官能基およ
び重合性官能基を含有する高分子マトリクス前駆体と液
晶との混合物を重合して、液晶と高分子マトリクスに相
分離させた後、外部エネルギーにより上記官能基を異性
化する方法である。
【0019】請求項14の高分子分散液晶光学素子は、
上記高分子分散液晶複合膜と、この高分子分散液晶複合
膜を介し、少なくとも一方が透明電極付きで、少なくと
も一方に液晶駆動用のTFT(Thin Film Transistor)
を形成した基板とで構成されるものである。
【0020】請求項15の高分子分散液晶光学素子は、
上記高分子分散液晶複合膜と、この高分子分散液晶複合
膜を介し、少なくとも一方に光導電層を設けた透明電極
付き基板とで構成されるものである。
【0021】
【作用】請求項1の発明において、高分子マトリクスに
分散された液晶は、非等方性形状の微粒子に担持されて
おり、微粒子の形に相当する液晶滴形状となり、ヒステ
リシスが小さくコントラストが大きい電気光学特性が優
れた高分子分散液晶複合膜を得ることができる。
【0022】請求項2の発明において、液晶が上記微粒
子を核として成長したものであるので、特定の長手方向
に液晶分子が配向しやすく、その形状が微粒子の形に相
当しており、上記電気光学特性の優れた高分子分散液晶
複合膜を得ることができる。
【0023】請求項3の発明において、上記微粒子がガ
ラスファイバーであると、微粒子が透明であり、しかも
非等方性形状であるのでさらにコントラストが大きい高
分子分散液晶複合膜を得ることができる。
【0024】請求項4の発明において、高分子マトリク
ス前駆体が異なる反応性の重合性官能基を有している
と、液晶が非等方形状化するので、ヒステリシスが小さ
くコントラストが大きい電気光学特性が優れた高分子分
散液晶複合膜を得ることができる。
【0025】請求項5の発明において、上記高分子マト
リクス前駆体が異なる反応性の重合性官能基が、光重合
性官能基と熱重合性官能基であるので、各反応を段階的
に起こしやすく容易に液晶が非等方形状化するので、上
記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得ることができ
る。
【0026】請求項6の発明において、光重合性官能基
と熱重合性官能基が上記官能基であるので、各々の重合
反応の差が大きく容易に液晶が非等方形状化するので、
上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得ることがで
きる。
【0027】請求項7の発明において、上記高分子マト
リクス前駆体が光重合性化合物と熱重合性化合物を含有
しているので、各混合割合により各反応割合を容易に制
御することができ容易に液晶が非等方形状化するので、
上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得ることがで
きる。
【0028】請求項8の発明において、上記高分子マト
リクス前駆体が上記光重合性官能基と熱重合性官能基を
同一分子内に有しているので、構成が簡単で上記優れた
特性の高分子分散液晶複合膜を得ることができる。
【0029】請求項9の発明において、上記高分子マト
リクス前駆体を段階的に反応させるので液晶の非等方性
形状化を可能にし、上記優れた特性の高分子分散液晶複
合膜の製造方法を得ることができる。
【0030】請求項10の発明において、高分子マトリ
クス前駆体と液晶の混合物の粘度が40cps以上で
は、液晶の非等方性形状化を可能にし、上記優れた特性
の高分子分散液晶複合膜の製造方法を得ることができ
る。
【0031】請求項11の発明において、高分子マトリ
クス前駆体が外部エネルギーにより異性化する官能基を
有しているので、液晶が非等方性形状となり、上記優れ
た特性の高分子分散液晶複合膜を得ることができる。
【0032】請求項12の発明において、上記高分子マ
トリクス前駆体が一分子内に外部エネルギーにより異性
化する官能基と重合性官能基を有しているので、構成が
簡単で上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得るこ
とができる。
【0033】請求項13の発明において、高分子マトリ
クス前駆体が外部エネルギーにより異性化する官能基を
有しているので、液晶が非等方性形状となり、上記優れ
た特性の高分子分散液晶複合膜の製造方法を得ることが
できる。
【0034】請求項14または15の発明において、上
記高分子分散液晶複合膜を用いているので、コントラス
トが大きく焼き付き現象の防止された光学素子を得るこ
とができる。
【0035】
【実施例】本発明に係わる非等方性形状(例えば非球形
状)の微粒子としては、液晶小滴成長の核となるもので
あれば特に制限はないが、例えばグラスファイバー(ガ
ラス繊維)、シリカゲル(アエロジル、等)、SiNウ
ィスカ(商品名:SNW#1―S,タテホ化学工業
製)、アルミナ等が挙げられるが、特にグラスファイバ
ーが細長い形状でありしかも無色透明であるため好まし
い。また、上記微粒子の大きさとしては、光散乱を生じ
る必要からも粒径が3μm以下のものが望ましい。
【0036】即ち、高分子マトリクス前駆体が重合し、
液晶と高分子マトリクスが相分離する時に、液晶が、微
粒子を核として成長するため、最適な電気光学特性を得
るために必要な液晶小滴の形状を、微粒子の形状および
種類を変えることにより制御できる。微粒子が非等方性
形状であると特定の長手方向に液晶分子が配向しやすく
なり、液晶小滴形状が非等方性形状になりやすくなるた
め、コントラストが大きくヒステリシスの小さい最適な
電気光学特性が得られる。例えば、液晶小滴の形状とし
ては、ラグビーボール形状などが望ましいため、微粒子
の形状もラグビーボール形状が望ましい。また微粒子に
より白濁度が高くなり電気光学特性が良くなる。
【0037】本発明に係わる重合により液晶を分散保持
する高分子マトリクスとなる高分子マトリクス前駆体と
して、光重合性高分子化合物および熱重合性高分子化合
物の少なくとも一種が用いられる。
【0038】上記光重合性高分子化合物としては、光重
合活性基を一つ持つ単量体化合物(単官能モノマ)と二
つ以上の光重合活性基を有する単量体化合物(多官能モ
ノマ)またはオリゴマ(多官能オリゴマ)の混合物でも
よく、それらの構成、組合せは特に限定するものではな
いが、単官能モノマと多官能モノマの混合物または単官
能モノマと多官能オリゴマの混合物を用いることが膜強
度が大きくなるため好ましい。
【0039】単官能モノマ、多官能モノマ、多官能オリ
ゴマの分子構造は、アクリル基、メタクリル基、アリル
基をはじめとする光重合活性基を有する化合物であれば
よく、その他の部分の分子構造を限定するものではな
い。
【0040】単官能モノマの例としてはラウリルアクリ
レート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレ
ート、ステアリルメタクリレート、ベンジルアクリレー
ト、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレ
ート、シクロヘキシルメタクリレート、2―エチルヘキ
シルアクリレート、2―エチルヘキシルメタクリレー
ト、2―ヒドロキシエチルアクリレート、2―ヒドロキ
シエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、
イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレー
ト、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メ
トキシトリエチレングリコールメタクリレート、テトラ
フロロプロピルアクリレート、テトラフロロプロピルメ
タクリレート、トリフロロエチルアクリレート、トリフ
ロロエチルメタクリレート等があげられる。
【0041】多官能モノマの例としては1,4―ブタン
ジオールジアクリレート、1,4―ブタンジオールジメ
タクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、
ジエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチル
グリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ
メタクリレート、ジメチロールトリシクロペンタンジア
クリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、テトラエチレングリコールジメタクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチ
レングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート等があげられ
る。
【0042】多官能オリゴマの例としてはエポキシアク
リレート系オリゴマ(商品名:リポキシSP―150
6、1507、1509等,昭和高分子社製)、ウレタ
ンアクリレート系オリゴマ(商品名:アートレジン33
20HA、3320HB、3320HC,根上工業社
製、商品名:アロニックスM―1100、1200,東
亜合成社製、UX2201、3204、4101、51
01、6101、7101、8101等,日本化薬社
製)等があげられる。
【0043】また上記光重合性高分子化合物の重合に用
いる光重合開始剤は光重合を開始するものであれば特に
限定するものではなく、アセトフェノン系、ベンゾイン
系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系のいずれでも
よく、例えば2―ヒドロキシ―2―メチル―1―フェニ
ルプロパン―1―オン、1―(4―イソプロピルフェニ
ル)―2―ヒドロキシ―2―メチルプロパン―1―オ
ン、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベ
ンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチル
エーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイル安息
香酸メチル、2,4―ジエチルチオキサントン等があげ
られる。
【0044】また、上記熱重合性高分子化合物として
は、熱重合活性基を一つ持つ単量体化合物(単官能モノ
マ)と二つ以上の熱重合活性基を有する単量体化合物
(多官能モノマ)またはオリゴマ(多官能オリゴマ)の
混合物でもよく、それらの構成、組合せは特に限定する
ものではない。単官能モノマ、多官能モノマ、多官能オ
リゴマの分子構造は、エポキシ基をはじめとする熱重合
活性基を有する化合物であればよく、その他の部分の分
子構造を限定するものではない。
【0045】エポキシ樹脂として例えばビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボ
ラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ノボラック系エ
ポキシ樹脂などが挙げられる。また、これらのうち1種
または数種を併用して用いることができる。
【0046】本発明で用いる熱重合性高分子マトリクス
の重合促進剤としては、酸無水物が好ましく例えば無水
メチルヘキサハイドロフタル酸、無水メチルテトラハイ
ドロフタル酸、無水フタル酸等、またさらにアミン系化
合物、イミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等
のリン系化合物等が挙げられる。
【0047】本発明に係わる異なる反応性の重合性官能
基を有する高分子マトリクス前駆体の重合性官能基の組
み合わせとしては、例えばアクリル酸誘導体とメタクリ
ル酸誘導体など、分子構造の異なる官能基が挙げられ
る。高分子マトリクス前駆体が異なる反応性の重合性官
能基を有していると、一方の反応の重合で相分離が起こ
り液晶成長が制御されて液晶が小滴化され、他方の反応
の重合で小滴化された液晶が変形を受け非等方形状化す
ることができ、高分子分散液晶複合膜のヒステリシスが
小さく、コントラストが大きくなる。
【0048】異なる反応性重合性官能基を有する高分子
マトリクス前駆体として、熱重合性化合物と光重合性化
合物の混合物を用いると、各反応を段階的に起こしやす
く容易に液晶を非等方形状化することができるので、上
記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得ることがで
き、例えば光硬化性高分子マトリクス前駆体として、ア
クリル酸またはメタクリル酸誘導体を、熱硬化性高分子
マトリクス前駆体が化合物中にエポキシ基を有するモノ
マあるいはオリゴマであるものを用いることができ、こ
の場合、各々の重合反応の差が大きく容易に液晶を非等
方形状化することができるので、優れた特性の高分子分
散液晶複合膜を得ることができる。また、上記高分子マ
トリクス前駆体が光重合性化合物と熱重合性化合物を含
有しておれば、各混合割合により各反応割合を容易に制
御することができ容易に液晶を非等方形状化することが
できるので、上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を
得ることができる。さらに、異なる反応性重合性官能基
を有する高分子マトリクス前駆体として、同一分子内に
光反応性官能基および熱反応性官能基を共に有するもの
を用いることができ、例えば、下記一般式(1)に示さ
れるような化合物などが挙げられる。また、これらのう
ち1種または数種を併用して用いることもできる。
【0049】
【化1】
【0050】{式中、R1はHまたはCH3、R2は(C
2mまたは(OCH2m、R3は(CH2nまたは
(OCH2n、mは1〜20の整数、nは1〜20の整
数を示す。}
【0051】本発明に係わる外部エネルギーにより異性
化する官能基を含有する高分子マトリクス前駆体として
は、高分子マトリクス前駆体に外部エネルギーにより異
性化する化合物を含有するものがあり、上記化合物とし
ては、例えばアゾ系化合物、スチルベン化合物、スピロ
ピラン化合物およびフルギド類のフォトクロミック化合
物等がある。高分子マトリクス前駆体が外部エネルギー
により異性化する官能基を有していると、高分子マトリ
クス前駆体が重合し液晶が結晶成長した後、外部エネル
ギーにより異性化することにより高分子マトリクスの構
造を変化させ、上記成長した液晶が変形を受け非等方性
形状となり、上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を
得ることができる。高分子マトリクス前駆体に、同一分
子内に外部エネルギーにより異性化する官能基と光重合
性官能基を有する化合物としては、アゾ系化合物、スチ
ルベン化合物、スチロピラン類、フルギド類等のフォト
クロミック化合物と上記重合性高分子化合物のモノマを
結合した化合物が挙げられる。
【0052】また、高分子マトリクス前駆体と液晶の混
合物の粘度が40cps以上では上記高分子マトリクス
前駆体重合時に、等方的な液晶成長が抑えられ液晶が非
等方性形状となり、上記優れた特性の高分子分散液晶複
合膜を得ることができ、40cps未満では上記効果が
得られない。
【0053】図2は、標準的な高分子分散液晶複合膜の
電圧―透過率曲線図を示す。図中の記号および下記実施
例において特性評価に使用した記号を以下に示す。 A:電圧降下時の電圧―透過率曲線 B:電圧昇圧時の電圧―透過率曲線 T0:印加電圧0の時の光透過率(%)(白濁度) T100:印加電圧を増加させていき光透過率がほとんど
増加しなくなったときの光透過率(%)(透明度) V90:T0を0%、T100を100%とした時光透過率が
90%となる印加電圧(飽和電圧) V50:T0を0%、T100を100%とし、印加電圧を増
加させていった時、光透過率が50%となる印加電圧 V10:T0を0%、T100を100%とし、印加電圧を増
加させていった時、光透過率が10%となる印加電圧 V50’:T0を0%、T100を100%とし、印加電圧を
飽和電圧から減少させていった時、光透過率が50%と
なる印加電圧 C:印加電圧がV=(V50+V50’)/2の時の昇圧時
と降圧時の光透過率の差(%)(ヒステリシス)
【0054】実施例1.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、2―エチルヘキシルアクリレート1
3.7部、ウレタンアクリレートオリゴマ5.9部およ
び光重合開始剤2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセ
トフェノン1部から成る高分子マトリクス前駆体と、粒
径が0.5から1.0μmの範囲内にあるガラスファイ
バー1部とを混合し、その混合物を2枚のITO電極付
きガラス基板に挟み込んだ。次に、高分子マトリクス前
駆体が等方性液体状態となるように基板全体を25℃に
保ちながら、70mW/cm2の紫外線を60秒照射す
ることにより、ガラスファイバーを核として成長した上
記液晶組成物が高分子マトリクスに分散保持され、厚さ
が11.2μmの本発明の一実施例の高分子分散液晶複
合膜を用いた高分子分散液晶光学素子を得た。その結
果、T0が1.03%、T100が85.3%、ヒステリシ
ス5.1%など非常に良好な電気光学特性を有する高分
子分散液晶光学素子が得られた。
【0055】実施例2.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、2―エチルヘキシルアクリレート1
3.7部、ウレタンアクリレートオリゴマ5.9部およ
び光重合開始剤2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセ
トフェノン1部から成る高分子マトリクス前駆体と、粒
径が0.1から1.4μmの範囲内にあるシリカゲル1
部とを混合し、その混合物を2枚のITO電極ガラス基
板に挟み込み、高分子マトリクス前駆体が等方性液体状
態となるように基板全体を25℃に保ちながら、70m
W/cm2の紫外線を60秒照射し、実施例1と同様
に、厚さが11.2μmの本発明の他の実施例の高分子
分散液晶複合膜を用いた高分子分散液晶光学素子を得
た。その結果、T0が0.91%、ヒステリシス6.1
%など非常に良好な電気光学特性を有する高分子分散液
晶光学素子が得られた。
【0056】実施例3.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、2ーエチルヘキシルアクリレート1
3.7部、ウレタンアクリレートオリゴマ5.9部およ
び光重合開始剤2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセ
トフェノン1部から成る高分子マトリクス前駆体と、粒
径が0.2から0.5μmの範囲内にある非球形である
SiNウィスカ1部とを混合し、その混合物を2枚のI
TO電極ガラス基板に挟み込み、高分子マトリクス前駆
体が等方性液体状態となるように基板全体を25℃に保
ちながら、70mW/cm2の紫外線を60秒照射し、
実施例1と同様に厚さが11.2μmの本発明の他の実
施例の高分子分散液晶複合膜を用いた高分子分散液晶光
学素子を得た。その結果、T0が1.03%、ヒステリ
シス5.1%など非常に良好な電気光学特性を有する高
分子分散液晶光学素子が得られた。
【0057】実施例4.常光屈折率noが1.525の
液晶組成物E8(商品名,メルク社製)80部と、2―
エチルヘキシルアクリレート13.7部、ウレタンアク
リレートオリゴマ5.9部および光重合開始剤2,2―
ジメトキシ―2―フェニルアセトフェノン3部から成る
高分子マトリクス前駆体と、粒径が0.5から1.5μ
mの範囲内にある屈折率1.500のガラスファイバー
1部とを混合し、その混合物を2枚のITO電極付きガ
ラス基板に挟み込み、高分子マトリクス前駆体が等方性
液体状態となるように基板全体を25℃に保ちながら、
70mW/cm2の紫外線を60秒照射し、実施例と同
様に、厚さが11.2μmの本発明の他の実施例の高分
子分散液晶複合膜を用いた高分子分散液晶光学素子を得
た。その結果、T0が1.13%、T100が88.0%、
ヒステリシス4.3%など非常に良好な電気光学特性を
有する高分子分散液晶光学素子が得られた。即ち、微粒
子の平均屈折率と液晶の常光屈折率の差が±0.05以
下であるのが望ましく、電圧印加時の透過率が向上し、
高い階調能を有する表示画像を得ることができる。
【0058】比較例1.実施例1の高分子マトリクス前
駆体から、ガラスファイバを除く他は実施例1と同様に
して、膜厚11.2μmの高分子分散液晶複合膜が2枚
のITO電極付きガラス基板に挟み込まれている高分子
分散液晶光学素子を得、その電気光学特性を測定したと
ころ、T0が2.53%、T100が80.3%、ヒステリ
シス13.16%などコントラストが十分でなくヒステ
リシスの大きい劣った電気光学特性しか得られなかっ
た。
【0059】実施例5.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、2―エチルヘキシルアクリレート
6.3部、2―エチルヘキシルメタクリレート6.3
部、ウレタンアクリレートオリゴマ5.9部および光重
合開始剤2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセトフェ
ノン1部から成る高分子マトリクス前駆体とを、2枚の
ITO電極ガラス基板に挟み込んだ。次に、高分子マト
リクス前駆体が等方性液体状態となるように基板全体を
25℃に保ちながら、70mW/cm2の紫外線を60
秒照射すると、上記重合性官能基の反応速度が速い方の
反応が先に終結し、段階的に重合反応が起こり、厚さが
11.2μmの本発明の他の実施例の高分子分散液晶複
合膜を用いた高分子分散液晶光学素子を得た。その結
果、T0=0.98%、T100=81.0%、ヒステリシ
ス4.2%など非常に良好な電気光学特性を有する高分
子分散液晶光学素子が得られた。
【0060】実施例6.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、2―エチルヘキシルアクリレート
6.3部、アリルアクリレート6.3部、ウレタンアク
リレートオリゴマ5.9部および光重合開始剤2,2―
ジメトキシ―2―フェニルアセトフェノン1部から成る
高分子マトリクス前駆体とを、2枚のITO電極ガラス
基板に挟み込み、高分子マトリクス前駆体が等方性液体
状態となるように基板全体を25℃に保ちながら、70
mW/cm2の紫外線を20秒照射し、次に更に紫外線
を40秒照射し、実施例5と同様に厚さが11.2μm
の本発明の他の実施例の高分子分散液晶複合膜を用いた
高分子分散液晶光学素子を得た。その結果、T0=0.
99%、T100=82.3%、ヒステリシス4.6%な
ど非常に良好な電気光学特性を有する高分子分散液晶光
学素子が得られた。
【0061】実施例7.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、ラウリルアクリレート10.3部、
2―エチルヘキシルメタクリレート2.3部、ウレタン
アクリレートオリゴマ5.9部および光重合開始剤2,
2―ジメトキシ―2―フェニルアセトフェノン1部から
成る高分子マトリクス前駆体とを、2枚のITO電極ガラ
ス基板に挟み込み、重合性高分子前駆体が等方性液体状
態となるように基板全体を25℃に保ちながら、70m
W/cm2の紫外線を60秒照射し、実施例5と同様
に、厚さが11.2μmの本発明の他の実施例の高分子
分散液晶複合膜を用いた高分子分散液晶光学素子を得
た。その結果、T0=1.01%、T100=80.9%、
ヒステリシス5.6%など非常に良好な電気光学特性を
有する高分子分散液晶光学素子が得られた。
【0062】実施例8.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、2―エチルヘキシルアクリレート1
0.3部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂3.0部、
無水メチルテトラハイドロフタル酸0.5部、ウレタン
アクリレートオリゴマ5.9部および光重合開始剤2,
2―ジメトキシ―2―フェニルアセトフェノン1部から
成る高分子マトリクス前駆体とを、2枚のITO電極ガ
ラス基板に挟み込み、70mW/cm2の紫外線を60
秒照射た後、150度で30分加熱し、段階的に重合反
応が起こり、厚さが11.2μmの本発明の他の実施例
の高分子分散液晶複合膜を用いた高分子分散液晶光学素
子を得た。その結果、T0=1.02%、T100=83.
5%、ヒステリシス6.6%など非常に良好な電気光学
特性を有する高分子分散液晶光学素子が得られた。
【0063】実施例9.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、2―エチルヘキシルアクリレート1
0.3部、一般式(1)で表される化合物の中でn=3
の化合物3.0部、無水メチルテトラハイドロフタル酸
0.5部、ウレタンアクリレートオリゴマ5.9部およ
び光重合開始剤2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセ
トフェノン1部から成る高分子マトリクス前駆体とを、
2枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、70mW/c
2の紫外線を60秒照射た後、150度で30分加熱
し、実施例8と同様に、厚さが11.2μmの本発明の
他の実施例の高分子分散液晶複合膜を用いた高分子分散
液晶光学素子を得た。その結果、T0=0.95%、T
100=82.5%、ヒステリシス3.4%など非常に良
好な電気光学特性を有する高分子分散液晶光学素子が得
られた。
【0064】比較例2.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部と、ラウリルアクリレート12.6部、
ウレタンアクリレートオリゴマ5.9部および光重合開
始剤2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセトフェノン
1部から成る高分子マトリクス前駆体とを、2枚のIT
O電極ガラス基板に挟み込み、高分子マトリクス前駆体
が等方性液体状態となるように基板全体の温度を調節し
ながら、70mW/cm2の紫外線を60照射し、高分
子分散液晶複合膜の厚さが11.2μmの高分子分散液
晶光学素子を得た。その結果、T0=2.66%、T100
=80.1%、ヒステリシスが15.6%となり劣った
電気光学特性を有する高分子分散液晶光学素子しか得ら
れなかった。
【0065】実施例10.液晶組成物E8(商品名,メ
ルク社製)80部と、2―エチルヘキシルアクリレート
10部、ウレタンアクリレート系オリゴマ9.6部およ
び光重合開始剤2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセ
トフェノン1部から成る粘度が45cpsである高分子
マトリクス前駆体とを、2枚のITO電極ガラス基板に
挟み込み、高分子マトリクス前駆体が等方性液体状態と
なるように基板全体の温度を調節しながら、70mW/
cm2の紫外線を60秒照射し、厚さが11.2μmの
本発明の他の実施例の高分子分散液晶複合膜を用いた高
分子分散液晶光学素子を得た。 その結果、T0=1.
02%、T100=83.5%、ヒステリシス1.6%な
ど非常に良好な電気光学特性を有する高分子分散液晶光
学素子が得られた。
【0066】実施例11.液晶組成物E8(商品名,メ
ルク社製)80部、2―エチルヘキシルアクリレート5
部、ラウリルアクリレート5部、ウレタンアクリレート
系オリゴマ7.5部および光重合開始剤2,2―ジメト
キシ―2―フェニルアセトフェノン1部から成る粘度が
60cpsである高分子マトリクス前駆体とを、2枚の
ITO電極ガラス基板に挟み込み、高分子マトリクス前
駆体が等方性液体状態となるように基板全体の温度を調
節しながら、70mW/cm2の紫外線を60秒照射
し、厚さが11.2μmの本発明の他の実施例の高分子
分散液晶複合膜を用いた高分子分散液晶光学素子を得
た。その結果、T0=1.01%、T100=85.6%、
ヒステリシス2.0%など非常に良好な電気光学特性を
有する高分子分散液晶光学素子が得られた。
【0067】比較例3.液晶組成物E8(商品名,メル
ク社製)80部、2―エチルヘキシルアクリレート7
部、ラウリルアクリレート7部、ウレタンアクリレート
系オリゴマ4.5部および光重合開始剤2,2―ジメト
キシ―2―フェニルアセトフェノン1部から成る粘度が
34cpsである高分子マトリクス前駆体を、2枚のI
TO電極ガラス基板に挟み込み、高分子マトリクス前駆
体が等方性液体状態となるように基板全体の温度を調節
しながら、70mW/cm2の紫外線を60秒照射し、
厚さが11.2μmの本発明の他の実施例の高分子分散
液晶複合膜を用いた高分子分散液晶光学素子を得た。そ
の結果、T0=2.8%、T100=80.1%、ヒステリ
シス12.0%などの劣った電気光学特性を有する高分
子分散液晶光学素子しか得られなかった。
【0068】実施例12.液晶組成物E8(商品名,メ
ルク社製)80部と、2―エチルヘキシルアクリレート
12.6部、ウレタンアクリレートオリゴマ5.9部、
光異性化化合物1’―(βアクリロキシヘキシル)―
3’,3’―ジメチル―6―ニトロスピロ(2H―1―
ベンゾチオピラン―2,2’―インドリン)5部および
光重合開始剤2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセト
フェノン1部から成る高分子マトリクス前駆体とを、2
枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、高分子マトリク
ス前駆体が等方性液体状態となるように基板全体を25
℃に保ちながら、波長400nm、照度70mW/cm
2の紫外線を60秒照射して重合性官能基を重合した。
さらに、波長700nmの光を照射して異性化し、高分
子分散液晶厚さが11.2μmの本発明の他の実施例の
高分子分散液晶複合膜を用いた高分子分散液晶光学素子
を得た。その結果、T0=1.18%、T100=82.3
%、ヒステリシス7.0%など良好な電気光学特性を有
する高分子分散液晶複合膜がえられた。
【0069】以上の様に、実施例1から12は低電圧で
駆動可能な高分子分散液晶複合膜を用いた光学素子であ
り、動画表示時に中間調表示が容易でかつ焼き付き現象
の生じない表示素子を与えることができる。また調光硝
子として窓硝子などに使用でき、遮光と透過を切り変え
るシャッタ機能を付加した窓などに広く応用できる。
【0070】実施例13.高分子分散液晶光学素子とし
て、実施例1〜12の高分子分散液晶複合膜を介して、
一方が透明電極付きで、もう一方が液晶駆動用のTFT
を形成した基板を設けたセルギャップが10μmの35
万画素ポリシリコンTFT高分子分散液晶光学素子を作
製した。この様に作製したポリシリコンTFT高分子分
散液晶光学素子を3枚利用し、図3に示した光学系でプ
ロジェクションTVを試作した。図3は本発明の高分子
分散液晶光学素子を用いたプロジェクションTVの光学
系を示す構成図であり、13は高分子分散液晶光学素
子、14は投射レンズ、15はピンホール、16はダイ
クロミックミラー、17は光源である。光源17に25
0Wのメタルハライドランプを用い対角60インチのゲ
イン5のスクリーンに投射した。動画表示した時に、コ
ントラストが高く、残像現象や焼き付き現象が見られ
ず、鮮明な画像が得られた。
【0071】比較例4.比較例1の高分子分散液晶複合
膜を用い、セルギャップを10μmの35万画素ポリシ
リコンTFT高分子分散液晶光学素子を作製した。この
用に作製したポリシリコンTFT高分子分散液晶光学素
子を3枚利用し、図3に示した光学系でプロジェクショ
ンTVを試作した。光源17に250Wのメタルハライ
ドランプを用い対角60インチのゲイン5のスクリーン
に投射した。動画表示した時に、コントラストが低く、
残像現象が見られ鮮明な画像が得られなかった。
【0072】実施例14.図4は本発明の実施例の高分
子分散液晶光学素子である空間変調素子の断面構成図で
あり、18はガラス基板、19は透明電極、20は光導
電層、21は誘電体ミラー、22は高分子分散液晶複合
膜である。このライトバルブの作製方法を以下に示す。
まず、ガラス基板18の表面にITOからなる透明電極
19をスパッタ法により形成した。次に、この表面にア
モルファスシリコンからなる光導電層20をプラズマC
VD(Chemical Vapor Deposition)により形成した。
アモルファスシリコンは高抵抗を得るために小量のボロ
ンをドーピングした。この後、アモルファスシリコンの
表面に、蒸着により誘電体ミラー21を形成した。この
積層基板とITOを蒸着したガラス基板をスペーサーを
挟んで張り合わせ、そこに実施例1〜12の高分子分散
液晶複合膜を用い目的の空間変調素子を得た。この空間
変調素子を図5の光学系に設置し、電圧を印加した状態
で1kWメタルハライド光源の読み出し光を照射したと
ころ、最大73%以上の高い反射率を示した。図5は本
発明の実施例の空間変調素子を用いた光学装置の構成図
であり、23は書き込み光源、24は高分子分散液晶複
合膜空間変調素子、25は電源装置、26は偏光ビーム
スプリッタ、27は読みだし光、28は投射スクリーン
である。反射光をスクリーンに投影すると焼き付き現象
のない、コントラスト100以上、高輝度1700ルク
スの表示が得られた。
【0073】さらに、上記本発明の実施例の高分子分散
液晶光学素子は、中間調を表示するために必要な電圧を
印可した場合、電圧の昇圧時と降圧時で透過率の差が非
常に小さいために、動画表示時の中間調の表示が容易に
できるという利点を有する。
【0074】
【発明の効果】請求項1または2の発明によれば、例え
ば非等方性形状の微粒子を核として成長することによ
り、上記微粒子に担持された液晶が非等方性形状である
ので、ヒステリシスが小さくコントラストが大きい電気
光学特性が優れた高分子分散液晶複合膜を得ることがで
きる。
【0075】請求項3の発明によれば、上記微粒子がガ
ラスファイバーであると、さらにコントラストが大きい
高分子分散液晶複合膜を得ることができる。
【0076】請求項4の発明によれば、高分子マトリク
スに液晶が分散保持されたもので、特に重合により上記
高分子マトリクスとなる高分子マトリクス前駆体が異な
る反応性の重合性官能基を有するので、上記液晶が非等
方形状化し、ヒステリシスが小さくコントラストが大き
い優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得ることができ
る。
【0077】請求項5または6の発明によれば、上記異
なる反応性の重合性官能基がエポキシ基等の熱重合性官
能基およびアクリル基およびメタクリル基等の光重合性
官能基であるので、容易に液晶を非等方性形状とできる
ので、上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得るこ
とができる。
【0078】請求項7の発明によれば、上記高分子マト
リクス前駆体が熱重合性化合物および光重合性化合物を
含有するので、各混合割合により各反応割合を容易に制
御することができ容易に液晶を非等方性形状とできるの
で、上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得ること
ができる。
【0079】請求項8の発明によれば、上記高分子マト
リクス前駆体が同一分子内に熱重合性官能基および光重
合性官能基を有する化合物を含有するので、構成が簡単
で上記特性の優れた高分子分散液晶複合膜を得ることが
できる。
【0080】請求項9の発明によれば、異なる反応性の
重合性官能基を有する高分子マトリクス前駆体と液晶を
混合し、上記各官能基を段階的に反応させて、上記前駆
体を段階的に重合し液晶と高分子マトリクスに相分離さ
せるので、液晶の非等方性形状化を可能にし、上記優れ
た特性の高分子分散液晶複合膜の製造方法を得ることが
できる。
【0081】請求項10の発明によれば、液晶と重合に
より高分子マトリクスとなる高分子マトリクス前駆体と
の混合物を、重合して液晶と高分子マトリクスを相分離
する方法で、特に上記混合物の粘度が40cps以上で
あるので、液晶の非等方性形状化を可能にし、上記優れ
た特性の高分子分散液晶複合膜の製造方法を得ることが
できる。
【0082】請求項11の発明によれば、高分子マトリ
クスに液晶が分散保持されたもので、特に重合により上
記高分子マトリクスとなる高分子マトリクス前駆体が外
部エネルギーによって異性化する官能基を含有するの
で、液晶の非等方性形状化を可能にし、上記優れた特性
の高分子分散液晶複合膜を得ることができる。
【0083】請求項12の発明によれば、上記高分子マ
トリクス前駆体が一分子中に外部エネルギーによって異
性化する官能基と重合性官能基とを有するので、構成が
簡単で上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜を得るこ
とができる。
【0084】請求項13の発明によれば、液晶および外
部エネルギーによって異性化する官能基を含有する高分
子マトリクス前駆体の混合物を重合して、液晶と高分子
マトリクスに相分離させて後、外部エネルギーにより上
記官能基を異性化するので、液晶が非等方性形状とな
り、上記優れた特性の高分子分散液晶複合膜の製造方法
を得ることができる。
【0085】請求項14の発明によれば、上記高分子分
散液晶複合膜と、この高分子分散液晶複合複合膜を介在
し、少なくとも一方が透明電極付きで、少なくとも一方
に液晶駆動用のTFT(Thin Film Transistor)を形成
した基板とで構成されるので、コントラストが大きく焼
き付き現象の防止された光学素子を得ることができる。
【0086】請求項15の発明によれば、上記高分子分
散液晶複合膜と、この高分子分散液晶複合膜を介在し、
少なくとも一方に光導電性層を設けた透明電極付き基板
とで構成されるので、コントラストが大きく焼き付き現
象の防止された光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の高分子分散液晶光学素子の構成図であ
る。
【図2】標準的な高分子分散液晶複合膜の電圧ー透過率
曲線図である。
【図3】本発明の高分子分散液晶光学素子を用いたプロ
ジェクションTVの光学系を示す構成図である。
【図4】本発明の実施例の高分子分散液晶光学素子であ
る空間変調素子の断面構成図である。
【図5】本発明の実施例の空間変調素子を用いた光学装
置の構成図である。
【符号の説明】
2 高分子マトリクス 3 液晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田畑 伸 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 水沼 昌也 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 小山 均 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子マトリクスおよび非等方性形状の
    微粒子に担持され、上記高分子マトリクスに分散保持さ
    れた液晶を備えた高分子分散液晶複合膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のものにおいて、液晶は
    微粒子を核として成長したものであることを特徴とする
    高分子分散液晶複合膜。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のものにおい
    て、微粒子がガラスファイバーであることを特徴とする
    高分子分散液晶複合膜。
  4. 【請求項4】 高分子マトリクスおよびこの高分子マト
    リクスに分散保持された液晶を備えたものにおいて、重
    合により上記高分子マトリクスとなる高分子マトリクス
    前駆体が異なる反応性の重合性官能基を有することを特
    徴とする高分子分散液晶複合膜。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のものにおいて、異なる
    反応性の重合性官能基が熱重合性官能基および光重合性
    官能基であることを特徴とする高分子分散液晶複合膜。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のものにおいて、光重合
    性官能基がアクリル基およびメタクリル基であり、熱重
    合性官能基がエポキシ基であることを特徴とする高分子
    分散液晶複合膜。
  7. 【請求項7】 請求項4ないし6の何れかに記載のもの
    において、高分子マトリクス前駆体が熱重合性化合物お
    よび光重合性化合物を含有することを特徴とする高分子
    分散液晶複合膜。
  8. 【請求項8】 請求項4ないし6の何れかに記載のもの
    において、高分子マトリクス前駆体が同一分子内に熱重
    合性官能基および光重合性官能基を有する化合物を含有
    することを特徴とする高分子分散液晶複合膜。
  9. 【請求項9】 異なる反応性の重合性官能基を有する高
    分子マトリクス前駆体と液晶を混合し、上記各官能基を
    段階的に反応させて、上記前駆体を段階的に重合し液晶
    と高分子マトリクスに相分離させる高分子分散液晶複合
    膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 液晶および重合により高分子マトリク
    スとなる高分子マトリクス前駆体の混合物を重合して液
    晶と高分子マトリクスを相分離するものにおいて、上記
    混合物の粘度が40cps以上であることを特徴とする
    高分子分散液晶複合膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 高分子マトリクスおよびこの高分子マ
    トリクスに分散保持された液晶を備えたものにおいて、
    重合により上記高分子マトリクスとなる高分子マトリク
    ス前駆体が外部エネルギーによって異性化する官能基を
    含有することを特徴とする高分子分散液晶複合膜。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のものにおいて、高
    分子マトリクス前駆体が同一分子内に外部エネルギーに
    よって異性化する官能基と重合性官能基とを有する化合
    物を含有することを特徴とする高分子分散液晶複合膜。
  13. 【請求項13】 外部エネルギーによって異性化する官
    能基および重合性官能基を含有する高分子マトリクス前
    駆体と液晶との混合物を重合して、液晶と高分子マトリ
    クスに相分離させた後、外部エネルギーにより上記官能
    基を異性化する高分子分散液晶複合膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし8、11および12の
    何れかに記載の高分子分散液晶複合膜と、この高分子分
    散液晶複合膜を介して設け、少なくとも一方が透明電極
    付きで、少なくとも一方に液晶駆動用のTFT(Thin F
    ilm Transistor)を形成した基板とを備えた高分子分散
    液晶光学素子。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし8、11および12の
    何れかに記載の高分子分散液晶複合膜と、この高分子分
    散液晶複合膜を介して設け、少なくとも一方に光導電層
    を設けた透明電極付き基板とを備えた高分子分散液晶光
    学素子。
JP6149799A 1994-06-30 1994-06-30 高分子分散液晶複合膜およびその製造方法並びにそれを用いた高分子分散液晶光学素子 Pending JPH0815680A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6149799A JPH0815680A (ja) 1994-06-30 1994-06-30 高分子分散液晶複合膜およびその製造方法並びにそれを用いた高分子分散液晶光学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6149799A JPH0815680A (ja) 1994-06-30 1994-06-30 高分子分散液晶複合膜およびその製造方法並びにそれを用いた高分子分散液晶光学素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0815680A true JPH0815680A (ja) 1996-01-19

Family

ID=15482975

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6149799A Pending JPH0815680A (ja) 1994-06-30 1994-06-30 高分子分散液晶複合膜およびその製造方法並びにそれを用いた高分子分散液晶光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0815680A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11142821A (ja) * 1997-11-07 1999-05-28 Kunihiro Ichimura 光応答素子
WO2004092302A1 (ja) * 2003-04-14 2004-10-28 Dai Nippon Printing Co. Ltd. 液晶相溶性粒子、その製造方法、および液晶素子

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11142821A (ja) * 1997-11-07 1999-05-28 Kunihiro Ichimura 光応答素子
WO2004092302A1 (ja) * 2003-04-14 2004-10-28 Dai Nippon Printing Co. Ltd. 液晶相溶性粒子、その製造方法、および液晶素子
KR100816570B1 (ko) * 2003-04-14 2008-03-24 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 액정 상용성 입자, 그의 제조 방법 및 액정 소자
US7771799B2 (en) 2003-04-14 2010-08-10 Shunsuke Kobayashi Liquid crystal-soluble particle, method for manufacturing the same and liquid crystal device element

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5450220A (en) Polymer dispersed liquid crystal with polymer glass transition above 50° C. and low isotropic transition shift
KR960007252B1 (ko) 복합재료, 그를 포함하는 액정 디스플레이 장치 및 그의 제조방법
US5844643A (en) Liquid crystal display device with at least 7° C. liquid crystal to isotropic phase transition temperature difference and method of making
JP3078623B2 (ja) 液晶電気光学装置およびその作製方法
WO1993008497A1 (en) Display element and its manufacturing method
KR20060038448A (ko) 반사기 및 그 반사기를 포함하는 액정 디스플레이 장치의제조 방법
JP3477000B2 (ja) 反射型液晶表示素子
JP2004219948A (ja) 液晶光学素子およびその製造方法
JPH08152609A (ja) 液晶表示素子及びその製造方法
JP3118351B2 (ja) スーパーツイスティッドネマティック液晶表示素子及びその製造方法
JPH0815680A (ja) 高分子分散液晶複合膜およびその製造方法並びにそれを用いた高分子分散液晶光学素子
JP3068401B2 (ja) 液晶表示素子及びその製造方法
JP3077356B2 (ja) 液晶パネル及びそれを用いた液晶投写型テレビ
JP2778297B2 (ja) 反射型液晶表示素子およびその駆動方法
JP2880354B2 (ja) 液晶表示素子及びその製造方法
JPH03276127A (ja) 光応答性フィルムおよびその製造方法
JP3799654B2 (ja) 液晶光学素子、その製造方法、及び投射型液晶表示装置
JP2794941B2 (ja) 液晶表示素子
JP3864429B2 (ja) 液晶デバイス
JPH05119304A (ja) 液晶ー高分子複合膜およびその製造方法
JPH05273576A (ja) 光散乱形液晶2層パネル
JPH0651351A (ja) 電界複屈折制御型液晶素子及びその製法
JP3054005B2 (ja) 液晶表示素子及びその製造方法
JPH05196925A (ja) 投射型液晶表示装置
JP2001209035A (ja) 液晶光シャッター

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20060203

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080925

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20080930

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20081125

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20081224

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20090123

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20090217

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090302

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120319

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees