JPH08156438A - エンドレス版およびその製造方法 - Google Patents

エンドレス版およびその製造方法

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JPH08156438A
JPH08156438A JP33110594A JP33110594A JPH08156438A JP H08156438 A JPH08156438 A JP H08156438A JP 33110594 A JP33110594 A JP 33110594A JP 33110594 A JP33110594 A JP 33110594A JP H08156438 A JPH08156438 A JP H08156438A
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JP
Japan
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pattern
cylinder
cell
endless
cells
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Pending
Application number
JP33110594A
Other languages
English (en)
Inventor
Eisuke Arai
榮助 荒井
Yoshio Sukegawa
佳夫 助川
Masaru Okamoto
優 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 境界線が認識される可能性のない印刷物を作
成することが可能なエンドレス版およびその製造方法を
提供する。 【構成】 シリンダSを用意し(S1)、エンドレス絵
柄Qに対応する階調画像データを用意し(S2)、絵柄
Qの各画素の階調に対応した大きさをもった多数のセル
からなる二次元セル配列を定義する(S3)。この二次
元セル配列をシリンダSの表面上にマッピングし、セル
ピッチが均一になるように修正した二値画像データを用
意する(S4)。シリンダSの表面にレジスト層を形成
し(S5)、二値画像データに基づいてレーザビームを
照射して露光を行い(S6)、現像(S7)、シリンダ
S表面のエッチング(S8)を行い、ダイレクトエッチ
ング法によりエンドレス版を作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンドレス版およびそ
の製造方法、特に、印刷用シリンダの表面に、境界のな
い連続模様をもったエンドレス絵柄を形成してなるエン
ドレス版およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建材などの表面に絵柄を印刷する場合、
流れ方向(版の回転方向)および幅方向ともに境界のな
い連続模様をもったエンドレス絵柄を空間的に繰り返し
配置することが一般に行われている。たとえば、1m四
方の大きさのエンドレス絵柄を円筒版面上に用意してお
けば、このエンドレス絵柄を輪転印刷により円周方向に
連続して空間的に繰り返し印刷することにより、より広
い面積をもった壁紙などを得ることができる。特に、流
れ方向に関しては、全くつなぎ目のない絵柄を、理論上
は無限長にわたって印刷することが可能である。
【0003】このようなエンドレス絵柄を作成するに
は、境界部分の画像処理が重要になる。すなわち、エン
ドレス絵柄を隣接して配置したときに、その境界部分が
目立たないように、できるだけ模様が連続して見えるよ
うに絵柄を調整する必要がある。このような絵柄の境界
部分の調整法は、特公昭38−21274号公報や特公
昭43−2065号公報等により公知である。この絵柄
の調整作業は、熟練を要し、また、手間もかかる作業で
あった。そこで近年は、手作業に代えて、コンピュータ
による画像処理を用いて、絵柄の上辺と下辺の間、ある
いは絵柄の右辺と左辺の間の画素値に急激な変化が生じ
ないように、修正が行われる。たとえば、特公昭62−
45975号公報、特公昭62−45977号公報、特
公昭62−45978号公報には、このような画像処理
の手法が開示されている。
【0004】こうしてエンドレス絵柄の画像データ(こ
の段階では、量子化されていない連続画像)が用意でき
ると、これをセル(網点)で量子化してドラム上のフィ
ルムに出力し、フィルム原版が作成される。たとえば、
特開昭63−8743号公報、特開昭63−8744号
公報には、このようなエンドレス版用フィルム原版の作
成方法が開示されている。いわゆるコンベンショナルグ
ラビア製版では、このフィルム原版上のセルで量子化さ
れた濃淡パターンをカーボンティッシュ上に露光させて
厚薄パターンとして形成し、この露光カーボンティッシ
ュ(レジストフィルム)を銅版の上に円周方向に対向す
る辺同士を突き合わせて転写した上で、銅版に対するエ
ッチングを行うことになる。カーボンティッシュが薄い
領域ほど深い溝をもったセルが形成され、グラビア印刷
を行った場合に、高い濃度が表現されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、所定
の画像処理を施して得られるエンドレス絵柄は、空間的
に繰り返し配置した場合であっても、絵柄の境界におい
て模様が連続しているように見え、建材などに印刷した
場合にも、模様としての違和感はない。グラビア製版の
場合、所定形状のセルを定義し、この模様を多数のセル
を配置することによって表現することになる。グラビア
印刷で用いられるセルの大きさは、通常、肉眼による識
別が困難な程度の微小のもの(数10μm〜数100μ
m程度の大きさ)であり、建材の印刷面をごく一般的な
態様で観察しても、個々のセルが認識されることはな
い。しかしながら、セルが特定の境界において不連続で
あると、肉眼によっても、何らかの境界線が認識される
おそれがある。前述したように、一般的なコンベンショ
ナルグラビア製版では、所定の画像処理によって得られ
たエンドレス絵柄は、フィルム原版上に出力され、この
フィルム原版を用いた露光により印刷シリンダ上にパタ
ーンが転写される。このとき、印刷シリンダ上における
エンドレス絵柄の円周方向に突き合わせた境界部分は、
模様レベルでは連続的なものを用いていても、実際にカ
ーボンティッシュを巻き付ける作業時における不可避的
なずれや寸法誤差のために、セルレベルでは不連続にな
るのが一般的である。このようなセルレベルでのずれや
誤差が大きくなると、模様レベルでも不連続が目立って
しまうことになる。上述したように、1つのセルは、数
10μm〜数100μm程度の大きさであり、フィルム
原版を用いたパターン形成では、このような微小な寸法
合わせを行うことは非常に困難である。このため、従来
のエンドレス版では、模様レベルでは連続であっても、
セルレベルでは円周方向の突き合わせ部分において不連
続な境界線が形成され、肉眼で注意深く観察すると境界
線が認識される事があった。
【0006】そこで本発明は、境界線が認識される可能
性のない印刷物を作成することが可能なエンドレス版お
よびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、印刷用シリン
ダの表面に、境界のない連続模様をもったエンドレス絵
柄を形成してなるエンドレス版において、肉眼による識
別が困難な程度の微小領域からなる所定形状のセルを定
義し、連続模様を多数のセルを配置することにより形成
し、配置するセルの面積の大きさあるいはセルの個数密
度によって連続模様の階調を表現し、かつ、印刷用シリ
ンダの表面においてセル単位での不連続部分が生じない
ように構成したものである。
【0008】また、本発明は、上述のエンドレス版を製
造するために、印刷用のシリンダを用意する段階と、そ
れぞれ所定の画素値をもった多数の画素を二次元平面上
に配列することにより階調をもった単位模様を形成し、
複数の単位模様を隣接して並べた場合にも連続模様が形
成されるように、境界領域に位置する画素の画素値を調
整することにより単位模様がエンドレス絵柄を構成する
ようにし、このエンドレス絵柄に対応する階調画像デー
タを用意する段階と、用意した階調画像データを構成す
る1画素もしくは所定の複数画素について、肉眼による
識別が困難な程度の微小領域からなる所定形状の1セル
を対応づけ、各セルには、それぞれ対応づけられた画素
の画素値に応じた面積あるいは個数密度を定義し、各セ
ルを、それぞれ対応づけられた画素位置に応じた二次元
平面上の位置に配置することにより、二次元セル配列を
定義する段階と、印刷用のシリンダ表面に、偏りのない
連続的な平均セルピッチが得られるように、定義した二
次元セル配列をマッピングする演算を行い、マッピング
されたセルを示す二値画像データを用意する段階と、印
刷用のシリンダの表面にレジスト層を形成する段階と、
このレジスト層を活性化する機能をもったビームをレジ
スト層に対して照射しながら、用意した二値画像データ
に基づいてビームを走査し、レジスト層に照射領域と非
照射領域とからなる露光パターンを形成する段階と、レ
ジスト層を現像して、照射領域および非照射領域のいず
れか一方を選択的に除去し、シリンダの表面の一部を露
出させる段階と、シリンダの露出部をエッチングするこ
とにより、マッピングされたセルに対応する物理的な凹
凸構造を形成し、レジスト層の残存部を除去する段階
と、を行うようにしたものである。
【0009】
【作 用】本発明に係るエンドレス版には、境界のない
連続模様をもったエンドレス絵柄が、微小なセルの集合
によって形成される。連続模様の階調は、この各セルの
面積または個数密度によって表現される。しかも、印刷
用シリンダの表面において、セル単位での不連続部分が
生じないように構成されているため、境界線が認識され
ることはない。
【0010】また、本発明では、上述のようなセル単位
での不連続部分が生じないエンドレス版を製造するため
に、従来の一般的なコンベンショナルグラビア製版を行
う代わりに、ダイレクトエッチング法を用いて、印刷用
シリンダの表面に直接セルを形成している。すなわち、
二次元平面上のセル配列が得られたら、これをシリンダ
の表面にマッピングする演算を行い、マッピングされた
セルを示す二値画像データを用意する。このとき、マッ
ピングされた状態において、偏りのない連続的なセルピ
ッチが得られるように、必要があれば、シリンダ表面に
マッピングされた各セルの位置を修正する演算を行う。
そして、実際のシリンダの表面にレジスト層を形成した
後、マッピング状態を示す二値画像データに基づいて、
レーザビームなどを走査し、レジスト層を部分的に露光
してセルパターンを形成する。ビームの走査は、セル単
位での不連続部分がないマッピング状態の画像データに
基づいて行われるため、レジスト層上に形成されたセル
パターンにも、不連続部分は生じなくなる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説
明する。図1は、エンドレス絵柄を利用した壁紙の一例
を示すものである。壁紙をはじめとするいわゆる長尺物
と呼ばれる建材用表面化粧材では、この例に示すよう
に、エンドレス絵柄Qからなる単位模様Uを空間的に繰
り返し配置することにより、連続模様Aを形成するのが
一般的である。図示する例では、単位模様Uの左辺と右
辺とが隣接するため、左辺の模様が右辺にそのまま連続
するようなエンドレス絵柄Qが用いられている。すなわ
ち、図2(a) に示すように、左右に隣接して2つの単位
模様Uを配置したときに、その境界Bにおいて、模様が
連続することになる。図2(b) に示すグラフは、横軸に
図2(a) の横方向に関する位置をとり、縦軸に各位置に
おける画素の画素値をとって示したものである。画素値
としては、たとえば光学的透過(または反射)濃度が利
用される。「模様が連続」とは、このように、「単位模
様を隣接して配置したときに、隣接する境界領域に位置
する画素の画素値がなだらかに変化する」ということを
意味する。ここでいう「なだらか」な程度は、画素値が
絵柄上の二次元座標(x,y)について数学的な連続関
数になる場合をいうことはもちろんであるが、数学的に
は不連続関数であっても、印刷物の通常の観察距離(数
10cm以上)において境界部分の模様に目視による違
和感が生じない程度のものも含む。
【0012】このように、単位模様Uとして用いられる
エンドレス絵柄Qを作成する方法は、前掲公報にも開示
されているように公知の方法なので、ここでは詳しい説
明を省略する。通常は、コンピュータによる画像処理に
より、このようなエンドレス絵柄Qに対応する階調画像
データが用意されることになる。すなわち、所定の画素
値をもった多数の画素を二次元平面上に配列することに
より階調をもった単位模様を形成し、複数の単位模様を
隣接して並べた場合にも連続模様が形成されるように、
隣接する境界領域に位置する画素の画素値がなだらかに
変化するように調整すれば、所望のエンドレス絵柄Qに
対応する階調画像データを用意することができる。こう
してエンドレス絵柄Qの画像データを用意した後、これ
を出力スキャナ装置のドラム上のフィルムに出力すれ
ば、図3(a) に示すようなフィルム原版が作成される。
いわゆるコンベンショナルグラビア製版では、このフィ
ルム原版上の濃淡パターンをカーボンティッシュ上に厚
薄パターンとして露光形成し、このカーボンティッシュ
(すなわち、レジスト膜)を印刷用シリンダSの表面に
転写した上で、シリンダSの表面に対するエッチングを
行う。このエッチングにより、図3(b) に示すように、
シリンダSの表面に凹凸構造をもったエンドレス版Eが
形成されることになる。このエンドレス版Eには、カー
ボンティッシュの厚みに応じた深さの凹部をもったセル
が形成され、このセルの集合によってエンドレス絵柄Q
が表現されることになる。
【0013】図3(a) に示すフィルム原版上のエンドレ
ス絵柄Qを、図3(b) に示す印刷用シリンダSの表面に
転写してエンドレス版Eを形成する場合、エンドレス絵
柄Qの両端の境界BをシリンダSの円周上の所定位置で
突き合わせることになる。もともとエンドレス絵柄Q
は、図3(a) の対向する左右の境界Bにおいて模様が連
続する絵柄であるため、図3(b) に示す印刷用シリンダ
Sの円周上の境界Bにおいても、模様は連続したものと
なる。したがって、この印刷用シリンダSを用いて印刷
を行えば、シリンダSの1回転分を単位模様Uとして、
図1に示すような連続模様Aを印刷することができる。
【0014】しかしながら、上述のような方法によって
作成されたエンドレス版Eを用いた印刷では、確かに、
模様としては空間的に連続したものを得ることができる
が、円周方向に関する突き合わせ部に相当する境界Bに
おいては、シリンダSとカーボンティッシュとの間の寸
法誤差や、伸縮、突き合わせ作業時のずれ、などが生じ
るため、セルレベルでは空間的に連続したものを得るこ
とができない。図4は、境界Bにおいて、このようなセ
ルレベルでの不連続が生じた例を示すものである。通
常、グラビア印刷で用いられるセルの大きさは、肉眼に
よる識別が困難な程度の微小のもの(数10μm〜数1
00μm程度の大きさ)であり、エンドレス版Eを上述
したようなコンベンショナルグラビア製版で作成した場
合、境界B上においてセルレベルでの整合性を要求する
ことは非常に困難である。したがって、従来のエンドレ
ス版Eは、模様レベルではシリンダSの全表面にわたっ
て連続的なものが得られるが、セルレベルでは境界Bに
おいて不連続が生じることになる。このようなセルレベ
ルでの不整合は、建材としての機能を損なうほどの顕著
なものではないにしても、肉眼によって何らかの不連続
線あるいは段差が認識されることが多く、建材の品質を
低下させる要因になる。
【0015】本発明は、次のような方法でエンドレス版
Eを作成し、境界線が認識される可能性のない印刷物の
作成を可能にしたものである。以下、この作成手順を、
図5の流れ図に基づいて説明する。
【0016】まず、ステップS1において、印刷用シリ
ンダSを用意する。ここでは、図6に示すように、幅2
000mm、円周1000mmの大きさをもち、表面に
銅の層が形成されたシリンダSを用意したものとする。
次に、ステップS2において、エンドレス絵柄Qに対応
する階調画像データを用意する。この手順は、上述した
従来の方法と同様である。ここでは、図7に示すよう
に、x軸方向に20000画素、y軸方向に10000
画素を配してなる階調画像データを、コンピュータによ
って生成したものとして以下の説明を行うことにする。
座標値(x,y)で示される任意の画素Q(x,y)に
は、それぞれ所定の画素値が定義されており、座標値y
=1で示される行の各画素(図7の下辺に位置する画
素)と、座標値y=10000で示される行の各画素
(図7の上辺に位置する画素)とは、それぞれ近似した
画素値をもっている。
【0017】続いて、ステップS3において、ステップ
S2で作成した階調画像データの各画素を、それぞれセ
ルに対応づけて二次元セル配列を定義する。図8は、こ
のようにして定義した二次元セル配列の一例を示す図で
ある。このようなセル配列を定義するには、まずセルピ
ッチを定める必要がある。セルピッチは、グラビア印刷
に要求される品質に応じて適宜設定すればよい。通常
は、数100μm程度のセルピッチを設定するのが一般
的である。この実施例では、セルピッチを250μmに
設定している。既に、ステップS1において、用意する
シリンダSの寸法が定まっているので、セルピッチを設
定すれば、全セル数が必然的に決まることになる。本実
施例の場合、図6に示すように、幅2000mm、円周
1000mmのシリンダSを用意したので、セルピッチ
250μmの場合、図8に示すように、x軸方向に80
00セル、y軸方向に4000セルを配してなる二次元
セル配列が定義されることになる。図9は、このように
して定義された二次元セル配列の部分拡大図である。
【0018】ここで、図7に示す階調画像データが、2
0000×10000画素からなり、図8に示す二次元
セル配列が8000×4000セルからなることを考慮
すると、画素/セル間の対応関係は1対1にはならない
ので、階調画像データ内の画素を所定間隔で間引いて1
対1に対応させるか、あるいは階調画像データ内の複数
n個の画素を1セルに対応させる処理を行う。このと
き、各セルの大きさを、対応する画素の画素値に基づい
て決定する。たとえば、画素/セル間を1対1に対応さ
せた場合には、図8に示すように、座標値(x,y)で
示される任意のセルC(x,y)の面積の大きさは、対
応する画素Q(x,y)の画素値に基づいて決定され
る。また、画素/セル間をn対1に対応させた場合に
は、対応するn個の画素の画素値の平均(単純平均ある
いは重みづけ平均)に基づいて、セルの大きさを決定す
ればよい。この実施例では、各画素の画素値を0〜25
5までの8ビットのデータで表現しており、この画素値
に対応して、幅0〜240μmの大きさのセルを定義し
ている。
【0019】続いて、ステップS4において、二次元セ
ル配列のマッピングを行う。すなわち、図8に示すよう
な二次元セル配列を、ステップS1で用意したシリンダ
Sの表面にマッピングする演算を行う。このとき、シリ
ンダ表面において、偏りのない連続的なセルピッチが得
られるように、必要に応じてセルピッチの修正を行う。
たとえば、円周1000mmのシリンダを用いる予定
で、ステップS3において二次元セル配列を定義したと
ころ、実際に用意したシリンダSの円周の実測値が10
00.3mmであったような場合には、定義した二次元
セル配列をそのままシリンダSの表面にマッピングした
のでは、セルレベルでの不連続部分が生じてしまう。こ
のような場合は、セルピッチを、(1000.3/10
00)倍だけ拡大する演算を行えば、セルレベルでも連
続した模様がシリンダS上にマッピングできる。図10
は、このようにしてマッピングを行った状態を示す概念
図である。シリンダSの表面にセルCが均一なピッチで
配列されている。
【0020】従来のコンベンショナルグラビア製版で
は、画像の階調情報をセルの深さとして表現していた
が、本発明に係るダイレクト製版では、画像の階調情報
をセルの大きさ(面積)として表現することになる。す
なわち、シリンダS上に形成するセルは、それぞれ異な
る大きさをもっているが、その深さは均一である。した
がって、図10に示すように、シリンダSの表面にマッ
ピングされたセル配列は、二値画像データとして表現で
きる。たとえば、図10の例では、セル部分が黒、下地
部分が白で表現されている。ステップS4の処理は、ス
テップS3で定義した二次元セル配列を、実際に用いる
シリンダSの表面と等価な仮想面上にマッピングし、必
要に応じてセルピッチの修正を行い、マッピングされた
状態のセルを示す二値画像データをコンピュータ内で生
成する処理である。
【0021】次に、ステップS5において、シリンダS
の表面にレジスト層を形成する。この実施例では、レー
ザビームによる露光を行うため、このレーザビームの照
射によって活性化する材料からなるレジスト層を用いて
いる。続いて、ステップS6において、レーザビームを
レジスト層に照射して露光を行う。図11は、この工程
を示す側断面図である。シリンダSの表面に形成された
レジスト層Rのうち、レーザビームLの照射を受けた領
域だけが活性化することになる。ステップS4で用意し
た二値画像データに基づいて、レーザビームをシリンダ
Sの表面上で走査するようにすれば、図10に示すよう
なセル配置に対応する露光パターンを、レジスト層に形
成することが可能になる。図12は、レーザビームの走
査により、レジスト層Rに照射部R1と非照射部R2と
からなる露光パターンを形成した状態を示す側断面図で
ある。
【0022】続いて、ステップS7において、レジスト
層に対する現像を行う。この実施例では、照射部R1が
硬化し、非照射部R2が現像液に溶出する性質をもった
ネガ型レジストを用いているため、図13に示すよう
に、現像によって照射部R1だけが残ることになる。し
たがって、ステップS6において、図10における下地
部分(白い部分)をレーザビームで走査するようにすれ
ば、非照射部となったセル部分のレジスト層は現像によ
って溶出することになる。なお、ポジ型レジストを用い
た場合には、逆にセル部分をレーザビームで走査するよ
うにすればよい。
【0023】いずれにしても、ステップS7における現
像により、シリンダS表面のセル形成部分に相当する領
域が露出する。そこで、ステップS8において、この露
出部分に対するエッチングを行えば、図14に示すよう
に、露出部分には凹部Fが形成される。この後、残存レ
ジスト層を除去すれば、シリンダSの表面にエンドレス
版Eが形成されることになる。凹部Fが個々のセルに対
応し、このセルの大きさによって絵柄の階調が表現され
ることになる。レーザビームによる走査は、図10に示
すように、二次元セル配列を実際のシリンダS上にマッ
ピングした状態を示す二値画像データに基づいて行われ
るため、各セルは均一なピッチで配置され、従来の方法
のように、セルレベルでの不連続部が生じることはな
い。
【0024】以上、本発明を図示する実施例に基づいて
説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
なく、この他にも種々の態様で実施可能である。要する
に、本発明の基本的な技術思想は、階調をもったエンド
レス絵柄を、大きさの異なる多数のセルによって表現し
た二次元セル配列を定義し、この二次元セル配列をシリ
ンダ表面にセルレベルで不連続が生じないようにマッピ
ングした状態を示す二値画像データを用意し、この二値
画像データに基づいて、シリンダ表面に形成されたレジ
スト層をビーム走査するダイレクト製版法を用いること
により、境界線が認識される可能性のない印刷物を作成
することが可能なエンドレス版を実現するものであり、
この基本思想から逸脱しない限り、種々の態様で実施可
能である。以下にいくつかの変形例を開示する。
【0025】上述の実施例では、図9に示すように、個
々のセルの面積の大小で濃淡表現を行っており、セルの
ピッチは全面にわたって同一であった。これに対して、
セルの個数密度の多少で濃淡表現を行い、いわゆるFM
変調スクリーンを形成することも可能である。たとえ
ば、図15に示す例では、XY平面上に配列した個々の
セルの面積はいずれも同一であるが、X軸方向に関する
セルのピッチは、P1<P2<P3<P4<P5と異な
り、X軸方向に関するセルの個数密度によって濃淡表現
を行っている。もちろん、XY両軸方向についてセルの
個数密度を変えることも可能である。
【0026】なお、個々のセルの形状は、四角形(正方
形,長方形,菱形)の他、6角形(亀甲形),8角形,
円,楕円などにしてもよい。また、上述の例では、レジ
ストに対する露光をレーザ光で行っているが、レーザ以
外の光ビームを用いてもよく、その他、電子ビームやイ
オンビームを用いてもかまわない。更に、上述の例で
は、一般的なレジスト露光・腐食法によって、銅に凹凸
構造を形成して版として用いているが、シリンダSの表
面に感光性樹脂層を塗布し、この樹脂層をセル状に露光
し、可溶部を溶解除去した後、残存樹脂層の凹凸表面構
造を版として用いることも可能である(ネガ型、ポジ
型、いずれにも適用可)。
【0027】また、図16に示すように、1つの単位模
様Uを、複数の単位模様U1〜U4の組み合わせによっ
て構成することも可能である。この場合、単位模様U1
〜U4は、いずれも同一のエンドレス絵柄をもった模様
であり、対向する左右の辺あるいは対向する上下の辺を
隣接配置することによって生じる境界bにおいて、模様
がなだらかに連続するようなエンドレス絵柄が形成され
ている。このように、1つの単位模様Uを、複数の単位
模様U1〜U4の組み合わせによって構成した場合、建
材表面に形成される連続模様Aには、性質の異なる2と
おりの境界が形成されることになる。すなわち、単位模
様U1〜U4間の境界bと、シリンダSに巻き付ける際
に円周方向の突き合わせ部を構成する境界B(図3(b)
参照)と、の2種類である。本発明によれば、境界bだ
けではなく、境界Bにおいても、セルレベルで連続した
エンドレス版を得ることできる。
【0028】上述したように、図5の流れ図におけるス
テップS4において、二次元セル配列のマッピングを行
うときに、実際のシリンダに寸法誤差があった場合に
は、全体的にセルピッチを修正する演算を行うことによ
り不連続を解消し、図17に示すように、境界Bの両側
においてセルピッチが連続するように調整することがで
きる。たとえば、円周1000mmのシリンダを用いる
予定であったときに、実際のシリンダの円周が100
0.3mmあった場合には、セルピッチを全体的に(1
000.3/1000)倍にすればよいことは既に述べ
たとおりである。このような全体的なピッチ修正を行う
代わりに、境界Bの近傍において局所的に修正を行うこ
とも可能である。たとえば、図18(a) に示すように、
境界Bの両側において、セルピッチ,セルの面積あるい
はセルの個数密度が不連続であった場合を考える。この
場合は、図18(b) に示すように、境界Bにおいてセル
ピッチ,セルの面積あるいはセルの個数密度が連続する
ように、境界Bの近傍の領域において、セルピッチ,セ
ルの面積あるいはセルの個数密度の修正を行えばよい。
このような修正方法の具体例を図19に示す。この例で
は、境界Bの両側において、セルの面積Sが不連続にな
っている(修正前を示す破線参照)。このような場合、
境界Bの左右にそれぞれn個分のセルをとり、これらの
セルについて面積を修正する処理を施せばよい。図19
に示す例では、境界B上のセルをセルXとし、その左
側にn個分のセルX,X,…Xn−1をとり、その
右側にn個分のセルXn+1,…X2n−1,X2n
とり、その間を線形補間している。すなわち、セルX
の面積値S(X)とセルX2nの面積値S(X2n
との差ΔSに基づいて、任意のセルX(ただし、i=
1〜2n−1)についての面積値S(X)が、 S(X)=S(Xi−1)−(ΔS/2n) となるように修正するのである(図の白丸は、修正後の
面積値を示す)。
【0029】なお、修正区間(セルX〜X2n間)の
補間法としては、上述のような線形補間法の他に、スプ
ライン補間法、正接関数補間法、ロジスティック関数補
間法などの曲線補間を行ってもかまわない。このような
各種補間法を適宜選択し、また、修正区間の幅を適宜設
定することにより、境界Bにおける絵柄の段差や不連続
を極力目立たなくさせることが可能になる。また、図5
のステップS2において用意した階調画像データが、も
ともと完全なエンドレス絵柄になっておらず、境界Bに
おいて、階調の段差や不連続が生じていた場合にも、ス
テップS4において上述の修正方法を適用すれば、連続
模様をもった版を作成することができる。
【0030】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、模様レベ
ルにとどまらず、セルレベルでもセルピッチおよびセル
面積(あるいは個数密度)が連続したエンドレス版が実
現できるので、このエンドレス版を用いて、境界線が認
識される可能性のない印刷物を作成することが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンドレス絵柄を利用した壁紙の一例を示す図
である。
【図2】左右に隣接して2つの単位模様Uを配置した状
態(図(a) )と、この配置における画素値分布(図(b)
)とを示す図である。
【図3】エンドレス絵柄Qの画像データを出力スキャナ
装置のドラム上のフィルムに出力して得たフィルム原版
(図(a) )と、このフィルム原版に基づいてシリンダの
表面上に作成されたエンドレス版E(図(b) )とを示す
図である。
【図4】図3(b) に示すエンドレス版の境界Bにおい
て、セルレベルでの不連続が生じた例を示す図である。
【図5】本発明に係るエンドレス版の作成方法の基本手
順を示す流れ図である。
【図6】図5の流れ図におけるステップS1の手順で用
意されるシリンダSの一例を示す図である。
【図7】図5の流れ図におけるステップS2の手順で用
意される階調画像データの一例を示す図である。
【図8】図5の流れ図におけるステップS3の手順で定
義される二次元セル配列の一例を示す図である。
【図9】図8に示す二次元セル配列の部分拡大図であ
る。
【図10】図5の流れ図におけるステップS4の手順に
おいて、二次元セル配列をシリンダSの表面にマッピン
グした状態を示す図である。
【図11】図5の流れ図におけるステップS6の手順に
おいて、レーザビームをレジスト層に照射して露光を行
う工程を示す側断面図である。
【図12】図11に示すレーザビーム走査により、レジ
スト層Rに照射部R1と非照射部R2とからなる露光パ
ターンが形成された状態を示す側断面図である。
【図13】図5の流れ図におけるステップS7の現像手
順により、レジスト層Rのうちの照射部R1のみが残存
した状態を示す側断面図である。
【図14】図5の流れ図におけるステップS8のエッチ
ング手順により、シリンダSの表面に凹部F(セル)が
形成された状態を示す側断面図である。
【図15】セルピッチを変えることによりセルの個数密
度によって階調表現を行った実施例を示す図である。
【図16】シリンダにマッピングする1つの単位模様U
を複数の単位模様U1〜U4によって構成した例を示す
図である。
【図17】境界において連続的なセルピッチが得られた
状態を示す図である。
【図18】境界においてセルピッチ、面積あるいは個数
密度が不連続な場合の修正方法を示す図である。
【図19】図18に示す修正方法として線形補間を用い
た具体例を示す図である。
【符号の説明】
A…連続模様 B,b…境界 C,C(x,y)…セル E…エンドレス版 F…凹部 P1〜P5…セルピッチ Q…エンドレス絵柄 Q(x,y)…画素 R…レジスト層 R1…レジスト層の照射部 R2…レジスト層の非照射部 S…シリンダ/セル面積 U…単位模様 U1〜U4…単位模様Uを構成する単位模様

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷用シリンダの表面に、境界のない連
    続模様をもったエンドレス絵柄を形成してなるエンドレ
    ス版において、肉眼による識別が困難な程度の微小領域
    からなる所定形状のセルを定義し、前記模様を多数のセ
    ルを配置することにより形成し、配置するセルの面積の
    大きさあるいはセルの個数密度によって前記模様の階調
    を表現し、かつ、前記シリンダの表面においてセル単位
    での不連続部分が生じないように構成したことを特徴と
    するエンドレス版。
  2. 【請求項2】 印刷用シリンダの表面に、境界のない連
    続模様をもったエンドレス絵柄を形成してなるエンドレ
    ス版を製造する方法であって、 印刷用のシリンダを用意する段階と、 それぞれ所定の画素値をもった多数の画素を二次元平面
    上に配列することにより階調をもった単位模様を形成
    し、複数の単位模様を隣接して並べた場合にも連続模様
    が形成されるように、境界領域に位置する画素の画素値
    を調整することにより前記単位模様がエンドレス絵柄を
    構成するようにし、このエンドレス絵柄に対応する階調
    画像データを用意する段階と、 前記階調画像データを構成する1画素もしくは所定の複
    数画素について、肉眼による識別が困難な程度の微小領
    域からなる所定形状の1セルを対応づけ、各セルには、
    それぞれ対応づけられた画素の画素値に応じた面積ある
    いは個数密度を定義し、各セルを、それぞれ対応づけら
    れた画素位置に応じた二次元平面上の位置に配置するこ
    とにより、二次元セル配列を定義する段階と、 前記シリンダ表面に、偏りのない連続的な平均セルピッ
    チが得られるように、前記二次元セル配列をマッピング
    する演算を行い、マッピングされたセルを示す二値画像
    データを用意する段階と、 前記シリンダの表面にレジスト層を形成する段階と、 前記レジスト層を活性化する機能をもったビームを前記
    レジスト層に対して照射しながら、前記二値画像データ
    に基づいてビームを走査し、前記レジスト層に照射領域
    と非照射領域とからなる露光パターンを形成する段階
    と、 前記レジスト層を現像して、前記照射領域および前記非
    照射領域のいずれか一方を選択的に除去し、前記シリン
    ダの表面の一部を露出させる段階と、 前記シリンダの露出部をエッチングすることにより、マ
    ッピングされたセルに対応する物理的な凹凸構造を形成
    し、前記レジスト層の残存部を除去する段階と、 を有することを特徴とするエンドレス版の製造方法。
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