JPH08156267A - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの製造方法

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JPH08156267A
JPH08156267A JP29992594A JP29992594A JPH08156267A JP H08156267 A JPH08156267 A JP H08156267A JP 29992594 A JP29992594 A JP 29992594A JP 29992594 A JP29992594 A JP 29992594A JP H08156267 A JPH08156267 A JP H08156267A
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ink
flow path
photosensitive resin
substrate
substrates
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JP29992594A
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English (en)
Inventor
Masaharu Kimura
正治 木村
Masaru Horinaka
大 堀中
Tetsuya Inui
哲也 乾
Koji Matoba
宏次 的場
Susumu Hirata
進 平田
Yorishige Ishii
頼成 石井
Yutaka Onda
裕 恩田
Shingo Abe
新吾 阿部
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着剤や感光性樹脂のはみ出しや流路部分へ
の流れ込みが生じず、感光性樹脂の膜厚や接着の際の加
圧力等を厳密に管理しなくても全体的に均一で接着不良
の無い接着状態および安定した流路形状が得られ、イン
ク吐出時のヘッド特性が安定し、さらに簡便な製造工程
によりインクジェット記録ヘッドが得られるようにす
る。 【構成】 基板1上にラミネートされた感光性樹脂から
なるドライフィルム2と、ドライフィルム2と同成分を
含む液状フォトレジスト3とを、フォトリソグラフィー
によりパターン形成してインク流路パターン層5を形成
した後、両基板1、6を積層して熱圧着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット方式の
記録装置に搭載され、記録インク滴を形成してこれを飛
翔させることにより記録媒体上に画像を形成するインク
ジェット記録ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上述のインクジェット記録ヘッドは、一
般に、外部から供給されるインクを移送するインク流路
と、インク流路の出側端に設けられたインク吐き出し口
であるオリフィスと、インク流路の途中に設けられた圧
力室と、この圧力室に圧力を与えてインク吐出に要する
圧力をインク流路のインクに作用させるエネルギー発生
素子とが少なくとも設けられた構成となっている。
【0003】このような構成のインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法として、従来、以下の3つの方法が知られ
ている。
【0004】第1の製造方法は、従来から用いられてい
る方法であり、ガラスや金属等からなる一方の基板に、
エッチング、樹脂の成形、または感光性樹脂を用いたフ
ォトリソグラフィー等を施して、インク流路などになる
溝を形成し、この一方の基板に対して他方の基板を接合
もしくは接着することにより、上述した記録ヘッドの要
部を形成する方法である。この方法における両基板の接
合もしくは接着は、接着剤を用いたり、低融点のろう材
を塗布したり、熱付与による材料間の拡散を利用して行
われる。
【0005】第2の製造方法は、液状またはフィルム状
の感光性樹脂層を露光現像することによってインク通流
壁(壁と壁との間がインク通流部になる)を形成し、こ
の感光性樹脂層を基板に対して治具等を用いて加圧密着
させる。その後、加熱して感光性樹脂層を本硬化させ、
感光性樹脂層の残留接着性を利用して基板に接着させる
方法である(特開昭58−220756号)。
【0006】第3の製造方法は、前同様に形成された流
路壁を有する感光性樹脂層と、これとは別の感光性樹脂
層が塗布またはラミネートされた上板基板とを治具等を
用いて加圧密着させた後、未露光・未重合状態の別の感
光性樹脂層を光硬化させることにより接合させる方法で
ある(特開平4−269551号)。
【0007】更に、パルブジェット方式のヘッドにおけ
る製造方法として、次の第4の製造方法が提案されてい
る。この方法は、第3の製造方法と同様に形成された流
路壁を有する感光性樹脂層と、これとは別の感光性樹脂
層が塗布またはラミネートされた上板基板とを治具等を
用いて加圧密着させた後、未露光・未重合状態の別の感
光性樹脂層を熱圧着することにより接合させる方法であ
る(特開平2−208253号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法による場合には、以下のような問題があった。すな
わち、第1の製造方法では、インク流路溝が形成された
基板と他の基板との接合に接着剤を用いるため、接着剤
のはみ出しや流路部分への流れ込みにより安定した流路
形状が得られず、さらに、オリフィスまで閉塞すること
があった。また、接合に低融点のろう材や材料間の拡散
を用いる場合には、数100℃以上の昇温が必要であ
り、昇温の際の熱膨張により基板等に歪みが発生し、あ
るいは加圧加熱によりインク流路溝のパターンのつぶれ
が発生することがあった。このように、第1の製造方法
では安定した流路形状が得られないため、これが原因と
なってインク吐出時のヘッド特性にばらつきが生じると
いう問題があった。
【0009】また、第2の製造方法では、露光現像によ
りインク流路に必要なパターン(流路壁)が形成された
感光性樹脂と基板とに熱を付与することにより、感光性
樹脂の残留接着性を利用して本硬化させて接着させるた
め、第1の製造方法で接着剤を使用した時に見られたよ
うな接着剤のはみ出しや流路部分への流れ込みが生じな
い。しかし、高密度配置が必要とされるインクジェット
記録ヘッドの場合、微細なパターン形成が必要となるの
で接着面積が小さくなる。このため、フィルム状の感光
性樹脂を用いると、ドライフィルム自体が有する数μm
のごみや表面の凹凸、ラミネート時に生じる表面の凹凸
が原因となって、この部分で未接着等の接着不良が発生
するという問題があった。また、このような接着不良が
チャンネル間隔壁部分に発生した場合、隣接チャンネル
移動時に未接着部分を介して本チャンネルへのクロスト
ークが発生し、その結果、インク吐出時のヘッド特性に
ばらつきが生じるという問題があった。
【0010】第3の製造方法では、感光性樹脂からなる
流路壁と、感光性樹脂層が塗布またはラミネートされた
上板基板とを治具等を用いて加圧密着させた後、未露光
・未重合状態の感光性樹脂層を光硬化して接合させるた
め、接着力は感光性樹脂の光重合による接着効果のみで
あるので、治具等による初期の加圧密着性が接着に大き
く影響し、接着不良の無い均一な接着状態を得るのが困
難である。
【0011】第4の製造方法では、感光性樹脂からなる
流路壁と、感光性樹脂層が塗布またはラミネートされた
上板基板とを治具等を用いて加圧密着させた後、未露光
・未重合状態の感光性樹脂層を熱圧着して接合させるた
め、第3の製造方法による光重合の場合と異なり、未重
合の感光性樹脂が加熱により一旦低粘度化して接合面の
微細な隙間に浸透して硬化する一方、第1の製造方法で
接着剤を使用した時と同様に、感光性樹脂のはみ出しや
流路部分への流れ込みが生じる。その結果、安定した流
路形状が得られず、これが原因となってインク吐出時の
ヘッド特性にばらつきが生じるという問題があった。
【0012】更に、このような問題を最小限に抑えるた
めには、上述した提案のなされている公報の実施例に記
載されているように、感光性樹脂の膜厚や加圧力等を厳
密に管理する必要があった。加えて、これらの方法で
は、接着層としての感光性樹脂層を流路とは別に形成す
る必要があり、製造工程が複雑になるという問題もあっ
た。
【0013】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、接着剤や感光性樹脂のは
み出しや流路部分への流れ込みが生じず、感光性樹脂の
膜厚や接着の際の加圧力等を厳密に管理しなくても全体
的に均一で接着不良の無い接着状態および安定した流路
形状が得られ、インク吐出時のヘッド特性が安定し、さ
らに簡便な製造工程によりインクジェット記録ヘッドを
製造できるインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1のインクジェッ
ト記録ヘッドの製造方法は、一対の基板の間にインク流
路を少なくとも有するインクジェット記録ヘッドの製造
方法であって、該一対の基板の一方の基板上に感光性樹
脂からなるドライフィルムをラミネートし、該ドライフ
ィルム上に該ドライフィルムと同成分を含む液状フォト
レジストを塗布する工程と、該ドライフィルムと液状フ
ォトレジストとをフォトリソグラフィーによりパターン
形成してインク流路溝を形成する工程と、該インク流路
溝が形成された一方の基板と、他方の基板とを積層して
熱圧着することにより両基板を接着する工程とを含み、
そのことにより上記目的が達成される。
【0015】請求項2のインクジェット記録ヘッドの製
造方法は、一対の基板の間にインク流路を少なくとも有
するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、該
一対の基板の一方の基板上に感光性樹脂を塗布またはラ
ミネートした後、該感光性樹脂を露光により半硬化状態
にする工程と、他方の基板上にインク流路溝を形成する
工程と、該半硬化状態の感光性樹脂を現像せずに、該他
方の基板と積層して熱圧着することにより両基板を接着
する工程とを含み、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0016】請求項3のインクジェット記録ヘッドの製
造方法は、一対の基板の間にインク流路を少なくとも有
するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、該
一対の基板の一方の基板上に感光性樹脂を塗布またはラ
ミネートした後、該感光性樹脂を露光により半硬化状態
にする工程と、該半硬化状態の感光性樹脂を現像せず
に、エキシマレーザーによりパターン形成してインク流
路溝を形成する工程と、該インク流路溝が形成された一
方の基板と、他方の基板とを積層して熱圧着することに
より両基板を接着する工程とを含み、そのことにより上
記目的が達成される。
【0017】
【作用】請求項1の発明においては、一方の基板上にラ
ミネートされた感光性樹脂からなるドライフィルム上
に、そのドライフィルムと同成分を含む液状フォトレジ
ストを塗布している。これによりドライフィルム自体が
有する数μmのごみや表面の凹凸、ラミネート時に生じ
る表面の凹凸がカバーされて接着面が平滑化され、他の
基板との接着時の初期加圧密着性が向上する。また、ド
ライフィルムと液状フォトレジストをフォトリソグラフ
ィーによりパターン形成して流路の一部を形成した後で
他の基板と熱圧着しているので、感光性樹脂のはみ出し
や流路部分への流れ込みが生じず、安定した流路形状が
得られる。さらに、熱圧着の際に一旦接着層の軟化が起
こるため、両基板間の密着性がより向上して接着不良が
発生しない。よって、微細形状のチャンネル間隔壁部分
を含む接着部分全体が完全に接着され、信頼性を向上さ
せることができる。
【0018】請求項2の発明においては、一方の基板上
に塗布またはラミネートされた感光性樹脂を露光するこ
とにより、ある程度光重合が進んだ半硬化状態にしてい
る。このため、インク流路の一部が形成された他方の基
板と積層して熱圧着する際に低粘度化せず、はみ出しや
流路部分への流れ込みが生じない。よって、膜厚の制御
や加圧条件の厳密な制御を行わないでも、安定した流路
形状が得られる。また、熱圧着の際に一旦接着層の軟化
が起こるため、両基板間の密着性がより向上して接着不
良が発生しない。
【0019】請求項3の発明においては、一方の基板上
に塗布またはラミネートされた感光性樹脂を半硬化状態
にした後、エキシマレーザーによりパターン形成して流
路の一部を形成している。よって、接着層と流路を1つ
の層で形成することが可能となる。また、感光性樹脂を
露光することにより、ある程度光重合が進んだ半硬化状
態にしているので、他方の基板と積層して熱圧着する際
に低粘度化せず、はみ出しや流路部分への流れ込みが生
じない。よって、膜厚の制御や加圧条件の厳密な制御を
行わないでも、安定した流路形状が得られる。さらに、
熱圧着の際に一旦接着層の軟化が起こるため、両基板間
の密着性がより向上して接着不良が発生しない。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0021】(実施例1)図1(f)は、実施例1のイ
ンクジェット記録ヘッドの断面図である。このインクジ
ェット記録ヘッドは、基板1、6と、その間に設けられ
た流路パターン層5とから構成され、インクが吐出する
ための微細加工が施されたインク吐き出し口であるオリ
フィス1aと、そのオリフィス1aに連通して、インク
吐出に要する圧力をインクに作用させる圧力室を有する
インク流路8と、インクを貯蔵したインク室(図示せ
ず)と、インクタンクからインクを導入するインク供給
口(図示せず)とを有する。
【0022】基板1には上記オリフィス1aが形成さ
れ、基板1の上には、ドライフィルム2および液状フォ
トレジスト3をフォトリソグラフィーによりパターン形
成した流路パターン層5が形成されている。基板6に
は、インク流路8の一定の位置に対応するように、記録
時にインクを吐出させるためのエネルギー発生素子とし
ての電気機械変換素子7が配設されている。両基板1、
6は、流路パターン層5のパターン形成後、熱圧着する
ことにより接着されている。上記電気機械変換素子7
は、ヒーターや座屈構造体などを有し、ヒーターによる
熱を受けて座屈構造体が山状に湾曲したり、熱の除去に
より平坦な状態に戻ることにより、記録時にインクを吐
出させる構成となっている。この構成は、以下の実施例
2および3で使用する電気機械変換素子15や24でも
同様である。なお、電気機械変換素子7および後述の電
気機械変換素子15、24には他の構成のエネルギー発
生素子を使用できる。
【0023】このインクジェット記録ヘッドは、以下の
ようにして作製することができる。先ず、図1(a)に
示すように、オリフィス1aが予め形成された、ガラ
ス、セラミック、金属、シリコンまたは樹脂等からなる
一方の基板1を、たとえば80℃に加熱する。
【0024】次に、基板1の上に、図1(b)に示すよ
うに感光性樹脂、例えばメチルメタクリレートを主成分
にメタアクリレート、アクリレート、スチレン、アクリ
ロニトリルなどとメタアクリル酸、アクリル酸との共重
合体であるバインダーポリマー、光や熱に架橋し、レジ
スト性能を保持する光重合性多官能モノマー、光を吸収
してラジカルを形成する前記モノマー架橋のトリガーを
発生する光重合開始剤、染料等、その他の成分からなる
ドライフィルム2を、ラミネーターを用いて速度0.5
〜3m/min、加圧力2〜5Kg/cm2、105℃
の条件でラミネートする。
【0025】次に、図1(c)に示すようにドライフィ
ルム2上に、ドライフィルム2と同成分を含む材料から
なる液状フォトレジスト3をスピナーを用いて1000
〜6000rpmの条件で塗布する。この液状フォトレ
ジスト3の塗布によりドライフィルム2自体が持ってい
る数μmのごみや表面の凹凸、ラミネート時に生じる表
面の凹凸がカバーされて、接着面が平滑化される。
【0026】次に、この状態の基板を80℃で15mi
nプレヒートした後、図1(d)に示すような所定のパ
ターンを有するフォトマスク4を重ねて光源(図示せ
ず)から露光を行う。
【0027】次に、トリクロロエタン等の溶媒を用いて
現像を行うことによって、未露光部(未重合部)を溶解
除去する。このことにより、図1(e)に示すようなド
ライフィルム2と液状フォトレジスト3との重合部(露
光部)からなる流路パターン層5が得られる。
【0028】次に、この状態の基板に、図1(f)に示
すように、電気機械変換素子7が形成された他方の基板
6を治具等によりアライメント後、密着させて、130
〜200℃、加圧力0.5〜2Kg/cm2で0.5〜
1h熱圧着することによりインク流路および圧力室8を
形成する。この時、必要に応じて光源から露光を行って
もよい。
【0029】このようにして得られるインクジェット記
録ヘッドは、接着面が平滑化されているので、他方の基
板6と接着した時の初期加圧密着性を向上させることが
でき、接着不良が発生しない。また、露光現像により形
成された流路パターン層5の残留接着性を利用して熱処
理により本硬化することにより両基板を接着しているの
で、はみ出しや流路8への流れ込みが発生せず、安定し
た流路形状が得られる。
【0030】(実施例2)図2(i)は、実施例2のイ
ンクジェット記録ヘッドの断面図である。このインクジ
ェット記録ヘッドは、基板9上に流路パターン層12が
形成された基板13と、基板14上に感光性樹脂層16
が形成された基板17とを備え、インクが吐出するため
の微細加工が施されたインク吐き出し口であるオリフィ
ス9aと、そのオリフィス9aに連通して、インク吐出
に要する圧力をインクに作用させる圧力室を有するイン
ク流路18と、インクを貯蔵したインク室(図示せず)
と、インクタンクからインクを導入するインク供給口
(図示せず)を有する。
【0031】基板9には上記オリフィス9aが形成さ
れ、基板9上には流路パターン層12が形成されてい
る。基板14には、インク流路8の一定の位置に対応す
るように、記録時にインクを吐出させるための電気機械
変換素子15が配設されている。両基板9、14は、基
板16上に塗布またはラミネートした感光性樹脂層16
が半硬化状態になるように露光した後、熱圧着すること
により接着されている。
【0032】このインクジェット記録ヘッドは、以下の
ようにして作製することができる。先ず、図2(a)に
示すように予めオリフィス9aが形成された、ガラス、
セラミック、金属、シリコン、または樹脂等からなる一
方の基板9を、たとえば80℃に加熱する。
【0033】次に、基板9の上に、図2(b)に示すよ
うに感光性樹脂からなるドライフィルム10を、ラミネ
ーターを用いて速度0.5〜3m/min、加圧力2〜
5Kg/cm2、105℃の条件でラミネートする。
【0034】次に、図2(c)に示すような所定のパタ
ーンを有するフォトマスク11を重ねて光源から露光を
行い、トリクロロエタン等の溶媒を用いて現像を行うこ
とによって、未露光部(未重合部)を溶解除去する。こ
のことにより、図2(d)に示すような光重合した感光
性樹脂からなる流路パターン層12が得られる。この実
施例では流路パターン層12を感光性樹脂を用いて形成
したが、ガラス、シリコン、金属などのエッチングや樹
脂のインジェクション成形などにより形成してもよい。
以上により、基板9と流路パターン層12とからなる基
板13が得られる。
【0035】次に、図2(e)に示すように予め電気機
械変換素子15が形成された他方の基板14上に、図2
(f)に示すように感光性樹脂層16を形成する。この
感光性樹脂層16としてドライフィルム、たとえば東京
応化工業製のオーディルPR−100等を用いた場合に
は、ラミネーターを用いて速度0.5〜3m/min、
加圧力2〜5Kg/cm2、105℃の条件でラミネー
トする。また、液状フォトレジスト、たとえば東京応化
工業製のBMRS−1000等を用いた場合には、スピ
ナーを用いて1000〜6000rpmの条件で塗布
し、80℃で15minプレヒートする。
【0036】次に、図2(g)に示すように、この感光
性樹脂層16の全面を光源から、例えば50mj/cm
2程度の低露光量で露光することにより半硬化状態とす
る。この半硬化状態とは、感光性樹脂組成物が完全には
重合硬化していない状態を称し、詳しくは、露光後に現
像すると溶解が進んで十分なパターニング精度が得られ
ず、かつ、加熱すると軟化するが、形状保持性があるの
で低粘度化して流動性が生じることはない状態を称す
る。これにより基板14と感光性樹脂層16とからなる
基板17が得られる。この基板17は、上記基板13よ
り先に作製してもよい。
【0037】次に、この状態の基板13、17を治具等
によりアライメント後、密着させて、130〜200
℃、加圧力0.5〜2Kg/cm2で0.5〜1h熱圧
着することによりインク流路および圧力室18を形成す
る。この時、必要に応じて光源から露光を行ってもよ
い。
【0038】このようにして得られるインクジェット記
録ヘッドは、両基板の熱圧着時に半硬化状態の感光性樹
脂層16が軟化して基板13との密着性を向上させるこ
とができるので接着不良が発生せず、また、感光性樹脂
層16が低粘度化しないので、はみ出しや流路18への
流れ込みが発生せず、安定した流路形状が得られる。
【0039】(実施例3)図3(f)は、実施例3のイ
ンクジェット記録ヘッドの断面図である。このインクジ
ェット記録ヘッドは、基板19と23との間に流路パタ
ーン層22が形成された構成であり、インクが吐出する
ための微細加工が施されたインク吐き出し口であるオリ
フィス19aと、そのオリフィス19aに連通して、イ
ンク吐出に要する圧力をインクに作用させる圧力室を有
するインク流路25と、インクを貯蔵したインク室(図
示せず)と、インクタンクからインクを導入するインク
供給口(図示せず)を有している。
【0040】基板19上には感光性樹脂層を露光して半
硬化状態にした後、エキシマレーザーによりパターン形
成した流路パターン層22が形成され、基板23には、
インク流路25の一定の位置に対応するように、記録時
にインクを吐出させるための電気機械変換素子24が配
設されている。両基板19、23は、流路パターン層2
2のパターン形成後、熱圧着することにより接着されて
いる。
【0041】このインクジェット記録ヘッドは、以下の
ようにして作成することができる。先ず、図3(a)に
示すように予めオリフィス19aが形成された、ガラ
ス、セラミック、金属、シリコン、または樹脂等からな
る一方の基板19を80℃に加熱する。
【0042】次に、基板19の上に、図3(b)に示す
ように、感光性樹脂層20を形成する。この感光性樹脂
層20としてドライフィルムを用いた場合には、ラミネ
ーターを用いて速度0.5〜3m/min、加圧力2〜
5Kg/cm2、105℃の条件でラミネートする。ま
た、液状フォトレジストを用いた場合には、スピナーを
用いて1000〜6000rpmの条件で塗布し、80
℃で15minプレヒートする。
【0043】次に、図3(c)に示すように、この感光
性樹脂層20の全面を光源から例えば50mj/cm2
程度の低露光量で露光することにより半硬化状態とす
る。
【0044】次に、図3(d)に示すような所定のパタ
ーンを有するマスク21を介してエキシマレーザーを照
射し、アブレーション現象により図3(e)に示すよう
な流路パターン層22を形成する。
【0045】次に、この状態の基板に、図3(f)に示
すような電気機械変換素子24が形成された他方の基板
23を治具等によりアライメント後、密着させて、たと
えば130〜200℃、加圧力0.5〜2Kg/cm2
で0.5〜1h熱圧着することによりインク流路および
圧力室25を形成する。この時、必要に応じて光源から
露光を行ってもよい。
【0046】このようにして得られるインクジェット記
録ヘッドは、両基板の熱圧着時に半硬化状態の感光性樹
脂層22が軟化して基板23との密着性を向上させるこ
とができるので接着不良が発生せず、また、感光性樹脂
層22が低粘度化しないので刃見出しや流路25への流
れ込みが発生せず、安定した流路形状が得られる。さら
に、エキシマレーザーのパルス発振により高精度な加工
を行うことができ、これを接着層および流路パターン層
として用いているので、製造工程を簡便化できる。
【0047】なお、上記各実施例では一対の基板の間に
圧力室を有するインク流路を備える構成としているが、
本発明はこれに限らず、圧力室の省略したインク流路の
みを形成する場合にも適用できる。要は、インクジェッ
ト記録ヘッドの要部であるインク流路、オリフィス、圧
力室、およびエネルギー発生素子のうちの少なくともイ
ンク流路のみを形成する場合にも適用できる。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1の発明によれば、一方の基板上にラミネートされた感
光性樹脂からなるドライフィルム上に、そのドライフィ
ルムと同成分を含む液状フォトレジストを塗布してい
る。これによりドライフィルム自体が有する数μmのご
みや表面の凹凸、ラミネート時に生じる表面の凹凸がカ
バーされて接着面が平滑化され、他の基板との接着時の
初期加圧密着性が向上する。よって、接着不良が発生せ
ず、信頼性の高い接着が可能となる。また、露光現像に
より形成された流路パターン層の残留接着性を利用して
熱処理により本硬化することにより両基板を接着してい
るので、はみ出しや流路への流れ込みが生じない。よっ
て、膜厚の制御や加圧条件の厳密な制御を行わないで
も、安定した流路形状が得られ、特性の安定したインク
ジェット記録ヘッドを製作することが可能となる。さら
に、熱圧着の際に一旦接着層の軟化が起こるため、両基
板間の密着性がより向上して接着不良が発生しない。よ
って、微細形状のチャンネル間隔壁部分を含む接着部分
全体が完全に接着され、クロストークが生じないので、
高品位の印字が可能となる。
【0049】請求項2の発明によれば、一方の基板上に
塗布またはラミネートされた感光性樹脂を露光すること
により、ある程度光重合が進んだ半硬化状態にしてい
る。このため、インク流路の一部が形成された他方の基
板と積層して熱圧着する際に低粘度化せず、はみ出しや
流路部分への流れ込みが生じない。よって、膜厚の制御
や加圧条件の厳密な制御を行わないでも、安定した流路
形状が得られ、特性の安定したインクジェット記録ヘッ
ドを製作することが可能となる。また、熱圧着の際に一
旦接着層の軟化が起こるため、両基板間の密着性がより
向上して接着不良が発生しない。よって、微細形状のチ
ャンネル間隔壁部分を含む接着部分全体が完全に接着さ
れ、クロストークが生じないので、高品位の印字が可能
となる。
【0050】請求項3の発明によれば、一方の基板上に
塗布またはラミネートされた感光性樹脂を半硬化状態に
した後、エキシマレーザーによりパターン形成して流路
の一部を形成している。よって、高精度な加工を行うこ
とができ、これを接着層および流路層として用いている
ので製造工程を簡便化できる。また、感光性樹脂を露光
することにより、ある程度光重合が進んだ半硬化状態に
しているので、他方の基板と積層して熱圧着する際に低
粘度化せず、はみ出しや流路部分への流れ込みが生じな
い。よって、膜厚の制御や加圧条件の厳密な制御を行わ
ないでも、安定した流路形状が得られ、特性の安定した
インクジェット記録ヘッドを製作することが可能とな
る。さらに、熱圧着の際に一旦接着層の軟化が起こるた
め、両基板間の密着性がより向上して接着不良が発生し
ない。よって、微細形状のチャンネル間隔壁部分を含む
接着部分全体が完全に接着され、クロストークが生じな
いので、高品位の印字が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のインクジェット記録ヘッドの製造工
程を示す断面図である。
【図2】実施例2のインクジェット記録ヘッドの製造工
程を示す断面図である。
【図3】実施例3のインクジェット記録ヘッドの製造工
程を示す断面図である。
【符号の説明】
1、6、9、14、19、23 基板 1a、9a、19a オリフィス 2 ドライフィルム 3 液状フォトレジスト 4、11 フォトマスク 5、12、22 流路パターン層 7、15、24 電気機械変換素子(エネルギー発生素
子) 8、18、25 インク流路および圧力室 10、16、20 感光性樹脂 13 流路パターン層を形成した基板 17 感光性樹脂層を形成した基板 21 マスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 的場 宏次 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 平田 進 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 石井 頼成 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 恩田 裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 阿部 新吾 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板の間にインク流路を少なくと
    も有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であっ
    て、 該一対の基板の一方の基板上に感光性樹脂からなるドラ
    イフィルムをラミネートし、該ドライフィルム上に該ド
    ライフィルムと同成分を含む液状フォトレジストを塗布
    する工程と、 該ドライフィルムと液状フォトレジストとをフォトリソ
    グラフィーによりパターン形成してインク流路溝を形成
    する工程と、 該インク流路溝が形成された一方の基板と、他方の基板
    とを積層して熱圧着することにより両基板を接着する工
    程とを含むインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 一対の基板の間にインク流路を少なくと
    も有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であっ
    て、 該一対の基板の一方の基板上に感光性樹脂を塗布または
    ラミネートした後、該感光性樹脂を露光により半硬化状
    態にする工程と、 他方の基板上にインク流路溝を形成する工程と、 該半硬化状態の感光性樹脂を現像せずに、該他方の基板
    と積層して熱圧着することにより両基板を接着する工程
    とを含むインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 一対の基板の間にインク流路を少なくと
    も有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であっ
    て、 該一対の基板の一方の基板上に感光性樹脂を塗布または
    ラミネートした後、該感光性樹脂を露光により半硬化状
    態にする工程と、 該半硬化状態の感光性樹脂を現像せずに、エキシマレー
    ザーによりパターン形成してインク流路溝を形成する工
    程と、 該インク流路溝が形成された一方の基板と、他方の基板
    とを積層して熱圧着することにより両基板を接着する工
    程とを含むインクジェット記録ヘッドの製造方法。
JP29992594A 1994-12-02 1994-12-02 インクジェット記録ヘッドの製造方法 Withdrawn JPH08156267A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0999056A1 (en) * 1998-11-04 2000-05-10 Microjet Technology Co., Ltd Method and device for manufacturing ink jet printhead
JP2005324557A (ja) * 2005-06-27 2005-11-24 Fuji Photo Film Co Ltd インクジェットプリンタヘッドの製造方法
CN104015485A (zh) * 2014-04-24 2014-09-03 大连理工大学 液体喷头制造方法、液体喷头和打印装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Effective date: 20020205