JPH08155635A - 疲労特性に優れた構造用鋼回し溶接継手およびその溶接方法 - Google Patents

疲労特性に優れた構造用鋼回し溶接継手およびその溶接方法

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JPH08155635A
JPH08155635A JP32983194A JP32983194A JPH08155635A JP H08155635 A JPH08155635 A JP H08155635A JP 32983194 A JP32983194 A JP 32983194A JP 32983194 A JP32983194 A JP 32983194A JP H08155635 A JPH08155635 A JP H08155635A
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rib plate
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welded
length
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Koji Seto
厚司 瀬戸
Shinichi Omiya
慎一 大宮
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 回し溶接継手の疲労強度を向上させる。 【構成】 角回し溶接部3を(リブ板厚+2×隅肉溶接
脚長)よりも(2×隅肉溶接脚長)以上長くなるように
溶接する。隅肉溶接部4をリブ板2に沿って溶接し、角
回し溶接部3に接したときにリブ板2と直角方向にリブ
板2より離れる向きに溶接線を変える。溶接位置がリブ
板2を含む面より30mm以上離れてからリブ板2に平
行に溶接線を再び変えて溶接を続行し、3t〜(73t
2 −3t)kJ/cm(t:主板1の板厚〔cm〕)の
溶接入熱で主板1の幅の1/2以上の溶接長で溶接す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶・海洋構造物・橋
梁・鉄塔等の建造に多数用いられる構造用鋼回し溶接継
手に関し、疲労特性に優れた回し溶接継手およびその溶
接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】船舶・海洋構造物・橋梁・鉄塔等の建造
には、図4に示すように主板1にリブ板2が隅肉溶接に
より三辺以上溶接されている回し溶接継手が多数用いら
れる。
【0003】一般に構造用鋼板母材の疲労強度は母材強
度の増加につれて増加するが、溶接された継手の疲労強
度(以下、継手疲労強度という)は母材強度を上昇させ
ても向上しないことが通説となっていた。従って、構造
用高張力鋼の継手疲労強度は低強度鋼のそれとほぼ同じ
であり、疲労破壊が問題となる構造物では、高張力鋼を
用いても設計強度を上げることができず、止端処理と呼
ばれる改善処理により高張力鋼の継手疲労強度を確保す
ることが研究されてきた。
【0004】例えば、止端形状を滑らかにして亀裂の発
生する止端の応力集中を低減する方法としては、グライ
ンダー等の研削工具によって止端を研削して止端半径を
大きくする方法があり、特開平2−152771号公報
には、砥粒を混入した高圧水を吹き付ける方法が記載さ
れている。特開平5−69128号公報には、ロータリ
ーカッターを用いて特定位置を研削することによる継手
疲労強度の向上が記載されている。同様に応力集中の低
減を目的としたものとしては、TIG溶接等の溶融方法
によって止端を再溶融して止端形状を滑らかにする方法
があり、例えば特公昭54−30386号公報ではプラ
ズマを、特開昭59−110490号公報ではTIGア
ークを溶融熱源として用いている。
【0005】また、止端には一般に引張の溶接残留応力
が存在することから、溶接残留応力の低減を目的とし
て、ショットピーニング、ハンマーピーニング等によっ
て止端を打撃し、止端に圧縮残留応力を発生させる方法
が例えば特開平4−21717号公報に記載されてい
る。
【0006】回し溶接は、例えば日本造船学会論文集、
第171号、623頁に記載されているように、船舶の
縦通肋骨材で用いられている溶接形態であり、通常は図
4に示すように隅肉溶接部4、5から角回し溶接部3ま
で連続して溶接される。従って、角回し溶接部3の止端
での引張残留応力は、長い隅肉溶接部4、5のビードの
縦収縮により降伏応力レベルにまで到達し、これが疲労
強度を大きく低下させる一因になっている。さらに、回
し溶接継手では主板1の幅より十分小さい厚さのリブ板
2が溶接されるため、主板1からリブ板2に伝達される
応力は狭い角回し溶接止端に集中する。この応力集中も
疲労強度低下因子の一つになっている。従って簡便かつ
効果的な疲労強度向上策が望まれている。
【0007】上述の応力集中低減方法および引張残留応
力低減方法は、回し溶接継手にも採用することが可能で
ある。
【0008】一方、溶接学会全国大会講演概要、第43
集(1988)には、回し溶接継手のリブ板に沿った隅
肉溶接を、リブ板端部からある角度に延長させる方法が
示されている。これは、止端での溶接残留応力を低減さ
せる目的から、溶接位置がリブ板端部になった時点で、
リブ板を含む面より離れる方向に溶接ビードを延長させ
る方法である。また、回し溶接継手の角回し溶接止端の
両側を、ガス炎により線状加熱して止端に圧縮残留応力
を付与する方法も、鉄鋼協会高強度鋼板の疲労強度向上
研究部会(平成4〜6年度)で提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述の止端処理方法は
いずれも膨大な作業が必要である。例えば止端を機械的
に研削する方法では、切削工具を作業者が保持して研削
するため作業能率が格段に低く、作業時間当たりの処理
溶接長は短い。さらに、疲労強度向上度は一定ではな
く、研削する位置や程度に大きく依存する。また、TI
G溶接などの熱源による再溶融方法では、疲労強度向上
度は再溶融させる位置のみならず入熱など溶接条件にも
大きく依存し、さらにこれらを一定条件で溶融した場合
にも溶融金属の流動状態により止端形状が大きくばらつ
くため、安定した形状改良効果を得ることは難しい。
【0010】溶接残留応力を低減させる方法は、たとえ
ばショットピーニングは大型構造物には採用不能であ
り、ハンマーピーニングには上述の機械的研削による方
法と同様の問題がある。
【0011】また、溶接学会全国大会講演概要に示され
ている延長ビードの方法は、リブ板の隅肉溶接が角回し
溶接部にさしかかったところで、リブ板の隅肉溶接の方
向から30〜60°程度だけ向きを変えて直線的に延長
している。従って、角回し溶接部の止端と延長ビードと
の距離はリブ板厚の半分程度の距離であり、高々数mm
である場合が多い。このように延長ビードからの距離が
近いため、角回し溶接止端は延長ビードの引張残留応力
の領域に含まれることになり、疲労強度の向上効果は小
さい。さらに、ガス炎で線状加熱する方法はガス加熱装
置を別途必要とし、加熱条件により疲労強度が異なる可
能性があり、安定した改善効果が得られるかどうかは不
明である。
【0012】本発明の目的は、特別な止端処理を必要と
することなく、回し溶接継手の継手疲労強度を安定して
向上させることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の回し溶接継手
は、主板にリブ板が回し溶接で溶接される溶接継手にお
いて、角回し溶接部が(リブ板厚+2×隅肉溶接脚長)
よりも(2×隅肉溶接脚長)以上長くなるように溶接さ
れ、リブ板に沿った隅肉溶接部が、角回し溶接部に接し
たところでリブ板と直角方向にリブ板より離れる向きに
溶接線が変えられ、リブ板を含む面より30mm以上離
れた位置から再びリブ板に平行に主板の幅の1/2以上
の溶接長で溶接されていることを特徴とする疲労特性に
優れた構造用鋼回し溶接継手である。また、本発明の回
し溶接継手の溶接方法は、回し溶接で溶接継手を溶接す
るに際し、角回し溶接部を(リブ板厚+2×隅肉溶接脚
長)よりも(2×隅肉溶接脚長)以上長くなるように溶
接したのち、隅肉溶接部をリブ板に沿って溶接し、角回
し溶接部に接したときにリブ板と直角方向にリブ板より
離れる向きに溶接線を変え、溶接位置がリブ板を含む面
より30mm以上離れてからリブ板に平行に溶接線を再
び変えて溶接を続行し、3t〜(73t2 −3t)kJ
/cm(t:主板の板厚〔cm〕)の溶接入熱で主板の
幅の1/2以上の溶接長で溶接することを特徴とする疲
労特性に優れた構造用鋼回し溶接継手の溶接方法であ
る。
【0014】
【作用】以下に本発明を図面を参照しながら詳細に説明
する。
【0015】本発明の回し溶接継手を従来の回し溶接継
手と比較して図2に示す。図2の(a)および(b)
は、従来の回し溶接継手および本発明の回し溶接継手の
上面図である。
【0016】回し溶接継手の主板1の長手方向に引張荷
重が負荷された場合の応力の伝達経路を考えると、従来
の回し溶接継手では角回し溶接部3の長さは(リブ板厚
+2×隅肉溶接脚長)より短く、この短い角回し溶接部
3を通ってリブ板2に応力が伝達されるため、角回し溶
接部3の止端での応力集中は大きい。なお、ここでいう
隅肉溶接脚長とは、リブ板に沿った隅肉溶接の脚長のこ
とであり、この隅肉溶接がまだ施工されていない場合に
は、溶接管理上目標とする溶接脚長に相当する。
【0017】これに対し本発明の回し溶接継手では、角
回し溶接部3の全長を(リブ板厚+2×隅肉溶接脚長)
よりも(2×隅肉溶接脚長)以上長くする。このように
角回し溶接部3の全長を規定するのは、従来の角回し溶
接部3においてリブ板2に伝達される荷重が通過する図
2(c)に示す荷重通過範囲6の全長に溶接止端を配置
して、荷重の分散を図るためである。すなわち、リブ板
2の端のコーナーを原点としてリブ板2の表面の延長面
を主板1の面上で±45°(右回りを正とする)だけ傾
けた2つの面の内側である荷重通過範囲6に溶接止端を
配置する。角回し溶接部3の脚長(ビード幅)は隅肉溶
接脚長と同程度であるので、リブ板表面の延長を±45
°傾けた2つの面の内側における角回し溶接止端長さは
(リブ板厚+2×隅肉溶接脚長)になる。実際には溶接
終始端が楕円形状なので、上記の溶接止端長さを確保す
るためには、角回し溶接の両端に隅肉溶接脚長相当の長
さを加えた長さ、すなわち(リブ板厚+4×隅肉溶接脚
長)を溶接全長にする必要がある。
【0018】角回し溶接の止端長さを(リブ板厚+2×
隅肉溶接脚長)に確保するのは以下の理由による。主板
からリブ板に伝達される応力のうち角回し溶接止端を通
る応力は、リブ板表面を左右に45°だけ傾けた2つの
面に囲まれた領域の主板から伝達される。この領域にお
ける溶接止端長さを最大である(リブ板厚+2×隅肉溶
接脚長)とすることにより、45°傾けた2つの面に囲
まれる領域から伝達される応力が(リブ板厚+2×隅肉
溶接脚長)の長さの溶接止端全長に分散され、止端での
応力集中を低減することができる。この結果、本発明の
回し溶接継手の継手疲労強度は大きく向上する。止端長
さを(リブ板厚+2×隅肉溶接脚長)とすることは、角
回し溶接部の溶接終始端が上記の±45°傾けた面より
外側、すなわち図2(c)に示す荷重通過範囲6の外側
に位置することを意味する。
【0019】角回し溶接部の全長が(リブ板厚+4×隅
肉溶接脚長)よりも短い場合には、角回し溶接部の溶接
終始端が45°傾けた2つの面より内側に存在すること
になり、これは主板からリブ板に伝達される応力が(リ
ブ板厚+2×隅肉溶接脚長)より短い長さの溶接止端に
集中することになり、継手疲労強度の向上は見込めな
い。
【0020】次に、本発明の溶接方法を図1に基づき説
明する。
【0021】本発明の溶接方法は、図1(a)に示すよ
うに、まず角回し溶接部3を溶接する。この場合は回す
こと無く真っ直ぐに溶接し、溶接長L1 は(リブ板厚+
2×隅肉溶接脚長)よりも(2×隅肉溶接脚長)以上長
くなるようにする。溶接長L1 を(2×隅肉溶接脚長)
以上長くするのは、上述の応力集中低減のためである。
次に、リブ板2に沿った隅肉溶接部4を角回し溶接部3
に向かって溶接する。そして溶接位置が角回し溶接部3
に接したときに、図1(b)に示すように、リブ板2に
直角方向に、リブ板から離れる方向の溶接4aを行う。
先に行った角回し溶接部3に接するまで隅肉溶接を行う
のは、主板1とリブ板2をすき間無く溶接するためであ
る。そして溶接位置がリブ板2を含む面から30mm以
上離れたときに、図1(c)に示すように、リブ板2と
平行になるように再び直角方向に溶接方向を変え、リブ
板から離れかつリブ板に平行な溶接4bを行う。この場
合、リブ板に平行な溶接のリブ板を含む面からの距離L
2 が角回し溶接部の溶接長L1 の1/2より長い方が主
板1に直接溶接するため溶接が容易であるが、後述のよ
うに溶接残留応力の観点からは、必ずしも角回し溶接部
の溶接長L1 の1/2より長くする必要はなく、角回し
溶接部3の上に溶接位置が来ても差し支えない。リブ板
から離れかつリブ板に平行な溶接4bは、3t〜(73
2 −3t)kJ/cm(t主板の板厚〔cm〕)の入
熱で、かつ図1(b)に示すように、リブ板に平行な溶
接の全長L3 は主板1の幅の半分より長くする。リブ板
に平行な溶接の全長L3 が主板1の幅の1/2より小さ
いと、リブ板から離れかつリブ板に平行な溶接4b、5
bの中間領域に十分な圧縮残留応力を付与することがで
きなくなる。図1(e)に示すように、もう一方の溶接
(5→5a→5b)も同様に行う。
【0022】リブ板から離れかつリブ板に平行な溶接4
b、5bは、溶接金属自身およびその両側の熱影響部で
主板1に引張残留応力を発生させるが、その引張残留応
力と釣り合う圧縮残留応力を、リブ板から離れかつリブ
板に平行な溶接4b、5bの中間領域に発生させる。圧
縮残留応力の発生位置は、溶接入熱、主板の板厚・幅の
影響を受ける。しかし、実構造物で回し溶接継手の溶接
入熱、主板の板厚・幅を種々変えて検討した結果、リブ
板から離れかつリブ板に平行な溶接4b、5bが幅方向
中心線から30mm以上離れると、リブ板から離れかつ
リブ板に平行な溶接4b、5b中間領域の残留応力はほ
ぼ一定の値の圧縮応力となることが分かった。30mm
より大きく離れるほど圧縮残留応力になる領域は広がる
が、角回し溶接止端での圧縮残留応力の大きさは変わら
ない。さらに、溶接入熱については、3tkJ/cm以
上の入熱であれば、圧縮残留応力を大きくすることがで
きる。3tkJ/cm未満の場合には溶接残留応力の分
布形態が異なり、リブ板から離れかつリブ板に平行な溶
接4b、5bの溶接金属自身の引張残留応力の発生領域
が狭くなる。従ってリブ板から離れかつリブ板に平行な
溶接4b、5bの中間領域において、この引張残留応力
と釣り合う圧縮残留応力の値が小さくなり、疲労強度向
上効果が小さくなる。また、(73t2 −3t)kJ/
cm超の入熱の場合には、溶接構造用鋼でも熱影響部が
軟化し、塑性歪が集中して疲労亀裂発生起点となりやす
くなるため、継手疲労強度向上は期待できない。ただ
し、(73t2 −3t)kJ/cmはエレクトロスラグ
溶接などの大入熱溶接に相当するため、通常GMA溶接
・被覆アーク溶接等が採用される角回し溶接部に対して
当てはまることはほとんど無いと考えられる。
【0023】このように、本発明の溶接方法は疲労亀裂
発生部である角回し溶接止端での溶接残留応力を圧縮応
力にすることができ、かつリブ板溶接止端の応力集中も
低減でき、これらの相乗効果により継手疲労強度が大き
く向上する。
【0024】本発明の方法は、リブ板に平行でかつ30
mm以上離れた溶接により溶接残留応力および応力集中
を低減させるため、基本的には構造用鋼である主板およ
びリブ板の化学成分および機械的性質の影響を受けな
い。化学組成や機械的性質は溶接残留応力の絶対値その
ものには影響を及ぼすが、溶接残留応力の低減効果は同
様に得ることができる。比較的高強度鋼に属する構造用
鋼では、化学組成により止端の溶接残留応力が降伏応力
に達しないものもあるが、一般に軟鋼(400MPaク
ラス鋼)の降伏応力以上の残留応力は発生するため、少
なくともこのクラスの構造用鋼での効果と同程度の効果
は得られる。
【0025】またリブ板の板厚が厚くなると十字継手と
同じ形状になるが、リブ板厚が30×2=60mm以下
の場合には、上述の応力集中低減効果が有効なため、本
発明は有効である。
【0026】なお、ここで溶接とは、ガスシールドアー
ク溶接、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接などの
アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接およびプラ
ズマ溶接のことをいう。
【0027】
【実施例】板厚25、20および15mmの490MP
aクラスTMCP鋼板(造船規格K36A)を主板に用
いて、幅150mmの回し溶接継手を対象として、CO
2溶接および被覆アーク溶接により溶接継手を製作し
た。リブ板も同じ鋼板より採取した。CO2 溶接ワイヤ
ーはJIS YFW24相当、被覆アーク溶接棒はJI
S D5016相当のものを用い、いずれも1パスで溶
接した。図3に回し溶接継手の試験片形状・寸法を示
す。疲労試験は軸荷重制御(公称応力範囲100MP
a)、応力比0.1、周波数10Hzで室温・大気中で
実施した。
【0028】CO2 溶接の結果を表1〜3に、被覆アー
ク溶接の結果を表4〜6にそれぞれ示す。表中の疲労寿
命は、公称応力範囲が100MPaのときの繰返し数で
示してある。本発明例は、同じ板厚の従来例に比べて約
2.5〜4倍の疲労寿命を示しており、大きく向上し
た。また、溶接入熱が3tkJ/cm未満の比較例は、
従来例に比べて約2倍の疲労寿命増加にとどまった。角
回し溶接部の溶接長L1が短い比較例は角回し溶接の終
始端の止端で疲労亀裂が発生しており、顕著な疲労強度
向上は期待できない。また、止端に圧縮残留応力を与え
る溶接の位置が、主板幅方向中心線から30mm未満の
場合にも疲労強度はさほど向上しなかった。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【発明の効果】本発明により、鋼材・溶接材料・溶接方
法の種類によらず広範囲にわたり回し溶接継手の継手疲
労強度を向上させることができる。従って、疲労破壊が
問題となる構造物での使用に際し、設計・材料面で特別
な配慮を必要とせず高い継手疲労強度を安定して得るこ
とが可能であり、工業的効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接方法を模式的に示す図である。
【図2】本発明の溶接継手と従来の溶接継手における応
力の流れを模式的に示す図である。
【図3】実施例で製作した溶接継手の試験片形状・寸法
を示す図である。
【図4】従来の回し溶接方法を示す図である。
【符号の説明】
1 主板 2 リブ板 3 角回し溶接部 4、5 隅肉溶接部 4a、5a リブ板から離れる方向の溶接 4b、5b リブ板から離れかつリブ板に平行な溶接 6 荷重通過範囲 L1 角回し溶接部の溶接長 L2 リブ板に平行な溶接のリブ板を含む面からの
距離 L3 リブ板に平行な溶接の全長

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主板にリブ板が回し溶接で溶接される溶
    接継手において、角回し溶接部が(リブ板厚+2×隅肉
    溶接脚長)よりも(2×隅肉溶接脚長)以上長くなるよ
    うに溶接され、リブ板に沿った隅肉溶接部が、角回し溶
    接部に接したところでリブ板と直角方向にリブ板より離
    れる向きに溶接線が変えられ、リブ板を含む面より30
    mm以上離れた位置から再びリブ板に平行に主板の幅の
    1/2以上の溶接長で溶接されていることを特徴とする
    疲労特性に優れた構造用鋼回し溶接継手。
  2. 【請求項2】 回し溶接で溶接継手を溶接するに際し、
    角回し溶接部を(リブ板厚+2×隅肉溶接脚長)よりも
    (2×隅肉溶接脚長)以上長くなるように溶接したの
    ち、隅肉溶接部をリブ板に沿って溶接し、角回し溶接部
    に接したときにリブ板と直角方向にリブ板より離れる向
    きに溶接線を変え、溶接位置がリブ板を含む面より30
    mm以上離れてからリブ板に平行に溶接線を再び変えて
    溶接を続行し、3t〜(73t2 −3t)kJ/cm
    (t:主板の板厚〔cm〕)の溶接入熱で主板の幅の1
    /2以上の溶接長で溶接することを特徴とする疲労特性
    に優れた構造用鋼回し溶接継手の溶接方法。
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