JPH08151400A - リポ蛋白の分離方法及び分離用組成物 - Google Patents

リポ蛋白の分離方法及び分離用組成物

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JPH08151400A
JPH08151400A JP31759994A JP31759994A JPH08151400A JP H08151400 A JPH08151400 A JP H08151400A JP 31759994 A JP31759994 A JP 31759994A JP 31759994 A JP31759994 A JP 31759994A JP H08151400 A JPH08151400 A JP H08151400A
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lipoprotein
antibody
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lipoproteins
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JP31759994A
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English (en)
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Susumu Takano
▲晋▼ 高野
Kazuyuki Tsubaki
和行 椿
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Fujifilm Wako Pure Chemical Corp
Original Assignee
Wako Pure Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】遠心分離操作を必要とせず、しかも不溶物(目
的以外のリポ蛋白)の混入のない澄明な上清が得られる
特定のリポ蛋白の分離方法、及びこの方法に使用するた
めの組成物、並びにこの方法を利用した特定のリポ蛋白
に由来するコレステロールの測定方法を提供。 【構成】体液と、磁性コロイドと、目的とするリポ蛋白
は沈澱させずにそれ以外のリポ蛋白を沈澱させるリポ蛋
白沈澱試薬又は目的とするリポ蛋白は沈澱させずにそれ
以外のリポ蛋白を沈澱させる抗アポ蛋白抗体とを混合し
た後、この混合液に磁気をかけて不溶物を沈澱させるこ
とを特徴とする、特定のリポ蛋白の分離方法、及びこの
方法に使用するための組成物、並びにこの方法を利用し
た特定のリポ蛋白に由来するコレステロールの測定方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】本発明は、例えば血清、血漿等の体
液中に含まれる特定のリポ蛋白を分離するための方法及
びそれに用いられる組成物に関する。更に、本発明は、
体液中に含まれる特定のリポ蛋白中のコレステロールを
測定する方法に関する。
【0002】
【発明の背景】例えば血清、血漿等の体液中の脂質は、
蛋白と結合したリポ蛋白として存在する。リポ蛋白は比
重によりカイロミクロン(Chylomicrons;CM)、超低
比重リポ蛋白(Very Low Density Lipoprotein;VLD
L)、低比重リポ蛋白(Low Density Lipoprotein;L
DL)、高比重リポ蛋白(High Density Lipoprotein
;HDL)に分類される。
【0003】近年の研究により、動脈硬化とそれにとも
なう冠動脈疾患に、リポ蛋白由来のコレステロールが深
く関わっていることが明らかとなっている。リポ蛋白中
の脂質含量は、それぞれのリポ蛋白で異なり、全リポ蛋
白に含まれる総コレスレロール量と、特定のリポ蛋白中
のコレステロール量との関係が動脈硬化とそれに伴う疾
患の危険度を表す指標として注目され、特にHDL又は
LDL中のコレステロールの測定が高頻度に行われてい
る。
【0004】HDL又はLDL中のコレステロールの測
定方法としては、例えば超遠心法、電気泳動法等の方法
もあるが、これらの方法は操作が繁雑である為、日常の
検査では、例えば血清や血漿等の体液に特定のリポ蛋白
用沈澱試薬又は特定のアポ蛋白に対する抗体を加えて反
応させた後に遠心分離を行って、特定のリポ蛋白を含む
沈澱とその他のリポ蛋白を含む上清とに分離し、該上清
中のコレステロールを測定するという方法により実施さ
れている。
【0005】しかしながら、この方法は、リポ蛋白の分
離を遠心分離操作により行わなければならないため、操
作が煩雑であり、しかも検体の取り違えが起こりやすい
等の問題点があるため、遠心分離操作を行わない測定方
法の開発が強く望まれている現状にある。
【0006】このような問題を解決する方法としては、
例えば沈澱試薬に比重の大きな粒子を沈澱助剤として加
えることで、生じる不溶物を高比重粒子である沈澱助剤
と共に沈降させる方法(特開昭63−18269号公
報、特開平6−162276号公報)が提案されてい
る。しかし、これらの方法は、遠心分離機で分離した場
合に比べて、上清に不溶物の一部が残って完全な分離が
行えないという問題点や、沈澱物が強い力で押しつけら
れていないために、振動を与えると沈澱した不溶物が舞
い上がって上清をうまく採取できない等の問題点などを
有しているため、遠心分離操作が必要な方法に比べて必
ずしも良い方法とは云い難い。
【0007】また、このような問題を解決する方法とし
て、例えば磁性粒子とリポ蛋白沈澱試薬を作用させた後
に磁気をかけて特定のリポ蛋白の分離を行う方法(米国
特許第677734号明細書)も提案されている。しか
し、この方法においても、例えば磁性粒子の直径が1〜
10μmである為、沈澱試薬中に磁性粒子を共存させる
と磁性粒子が自然沈澱するので、磁性粒子を含む沈澱試
薬の採取、分注に当たっては、常に撹拌を行わなければ
均一な試薬を分注できず自動分析装置への適用が難しい
という問題点がある。更に、この方法には、例えば血清
や血漿等の体液にリポ蛋白沈澱試薬と磁性粒子を加えた
後、生じる不溶物がある程度凝集する迄混合液を攪拌し
続けてから磁気を用いる分離操作を行わなければ、得ら
れる上清に不溶物の一部が残ってしまうため、必然的に
測定に時間がかかる等の問題点も有している。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記した如き状況に鑑みなさ
れたもので、遠心分離操作を必要とせず、しかも不溶物
(目的以外のリポ蛋白)の混入のない澄明な上清が得ら
れる特定のリポ蛋白の分離方法、及びこの方法に使用す
るための組成物、並びにこの方法を利用した特定のリポ
蛋白に由来するコレステロールの測定方法を提供するこ
とをその目的とする。
【0009】
【発明の構成】本発明は、体液と、磁性コロイドと、目
的とするリポ蛋白は沈澱させずにそれ以外のリポ蛋白を
沈澱させるリポ蛋白沈澱試薬又は目的とするリポ蛋白は
沈澱させずにそれ以外のリポ蛋白を沈澱させる抗アポ蛋
白抗体とを混合した後、この混合液に磁気をかけて不溶
物を沈澱させることを特徴とする、特定のリポ蛋白の分
離方法、の発明である。
【0010】また、本発明は、磁性コロイドとリポ蛋白
沈澱試薬、又は磁性コロイドと抗アポ蛋白抗体を含んで
なる、リポ蛋白分離用組成物の発明である。
【0011】更にまた、本発明は、体液と、磁性コロイ
ドと、測定対象外のリポ蛋白は沈澱させるが測定対象の
リポ蛋白は沈澱させないリポ蛋白沈澱試薬又は測定対象
外のリポ蛋白は沈澱させるが測定対象のリポ蛋白は沈澱
させない抗アポ蛋白抗体とを混合した後、この混合液に
磁気をかけて不溶物を沈澱させ、得られた上清中のコレ
ステロールを測定することを特徴とする、体液中の測定
対象リポ蛋白中に含まれるコレステロールの測定方法、
の発明である。
【0012】即ち、本発明者らは、上記した如き従来技
術の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、例えば血清、
血漿等の体液と、磁性コロイドと、目的のリポ蛋白は沈
澱させずにそれ以外のリポ蛋白を沈澱させるリポ蛋白沈
澱試薬又は目的とするリポ蛋白は沈澱させずにそれ以外
のリポ蛋白を沈澱させる抗アポ蛋白抗体とを混合した
後、該混合液に磁気をかけて不溶物を沈澱させることに
より、遠心分離操作を必要とせず、しかも不溶物(目的
以外のリポ蛋白)の混入のない澄明な上清が得られるこ
と、更には、得られた上清についてコレステロールの測
定を行うことにより、目的とするリポ蛋白中のコレステ
ロールを精度良く測定し得ることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0013】本発明に於いて用いられる磁性コロイドと
しては、次の条件、即ち磁気に対して応答する性質を
有するコロイドであること、及び一度溶液内に分散さ
せると、少なくとも2時間以上均一な分散状態が維持さ
れる性質を有するコロイドであること、を満足するもの
であれば特に限定されることなく挙げられるが、より具
体的には、例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性体
のコロイドであって、その平均粒径が通常20〜90nm、好
ましくは30〜70nmである磁性コロイドが好ましく挙げら
れる。尚、調製のし易さや調製後の安定性等を考慮する
と、酸化鉄磁性コロイドが最も望ましい。また、本発明
に於いて、平均粒径が20nm未満の磁性コロイドを用いる
と、磁気に対する応答が鈍くなって不溶物の除去が不充
分となる場合があり、また、平均粒径が90nmを越える磁
性コロイドを用いると、溶液中での分散時の安定性が悪
くなる傾向があるので、共に好ましくない。
【0014】本発明に於いて用いられる磁性コロイド
は、例えば Journal of Immunological Methods, 52(19
82), 353〜367頁等の文献に記載された自体公知の方法
に準じて調製されたものを用いれば足りるが、その調製
方法の一例を挙げれば例えば以下の如くなる。
【0015】即ち、第1鉄イオンと第2鉄イオンの適当
量を含む溶液に、激しく攪拌しながら、pHが7.0〜11.0
となるようにアルカリ溶液(例えばアンモニア水、Na
OH溶液等)を滴下、反応させた後、生じた磁性コロイ
ドを遠心分離操作により分離し、適当量の水等に分散さ
せれば目的とする磁性コロイド溶液を得ることができ
る。尚、製造時に磁性鉄の凝集塊が生じた場合には、60
0g×10分間程度の遠心分離操作により、これら凝集塊を
沈澱除去すれば良い。
【0016】本発明に於いて用いられるリポ蛋白沈澱試
薬としては、通常この分野でリポ蛋白沈澱試薬として用
いられているもの(例えば、Scand.J.Clin,Lab.Inves
t.,36,265-268,1976; 現在臨床機能検査ーHDLの測定,
日本臨床37(夏季増刊号),384-387,1979;金井正光
編著,臨床検査法提要,昭和58年6月30日第29版,471
〜474頁,金原出版(株)発行等参照)であれば特に限
定されることなく挙げられるが、例えばLDLやVLD
L等を沈澱させるための試薬(HDL測定用沈澱試薬)
としては、例えばポリエチレングリコール、デキストラ
ン硫酸−Mg++、デキストラン硫酸−Mn++、ヘパリン
−Mn++、ヘパリン−Mg++、ヘパリン−Ca++等を含
有する試薬等が好ましく挙げられる。また、これらリポ
蛋白沈澱試薬の構成成分としては通常この分野で用いら
れるものであれば特に限定されることなく使用可能であ
り、沈澱試薬中の各構成成分の使用濃度等も通常この分
野でリポ蛋白用沈澱試薬として用いられる濃度範囲の中
から適宜選択すれば足りる。
【0017】本発明に於いて用いられる抗アポ蛋白抗体
としては、リポ蛋白を構成するアポ蛋白に対する抗体で
あれば特に限定されることなく挙げられ、例えば抗ヒト
アポA−I抗体、抗ヒトアポA−II抗体、抗ヒトアポB
−100抗体、抗ヒトアポC−I抗体、抗ヒトアポC−
II抗体、抗ヒトアポC−III抗体、抗ヒトアポE抗体等
が好ましく挙げられる。また、これら抗体を使用するに
際しては、沈澱させたいリポ蛋白を構成するアポ蛋白に
対する抗体を1種又は2種以上組み合わせて用いれば良
い。
【0018】例えばLDL以外のリポ蛋白(例えばHD
L、VLDL、CM等)を沈澱させるために使用される
抗体としては、例えば抗ヒトアポA−I抗体、抗ヒトア
ポA−II抗体、抗ヒトアポC−I抗体、抗ヒトアポC−
II抗体、抗ヒトアポC−III抗体、抗ヒトアポE抗体等
から選ばれる1種又は2種以上の抗体、より具体的には
抗ヒトアポA−I抗体と抗ヒトアポC−III抗体との組
合せ、抗ヒトアポA−I抗体と抗ヒトアポC−II抗体と
の組合せ等が好ましく挙げられる。
【0019】尚、これら抗体は沈澱させたいリポ蛋白と
結合して不溶物を形成し得るものであればモノクローナ
ル抗体でもポリクローナル抗体でも何れにても良く、そ
の由来も特に限定されない。
【0020】本発明の分離方法を実施するには、例えば
以下の如くして行えば良い。即ち、例えば血清、血漿等
の体液と、磁性コロイドと、目的とするリポ蛋白は沈澱
させずにそれ以外のリポ蛋白を沈澱させるリポ蛋白沈澱
試薬又は目的とするリポ蛋白は沈澱させずにそれ以外の
リポ蛋白を沈澱させる抗アポ蛋白抗体とを20〜37℃で混
合し、5〜10分間放置後、該混合液に、1,000〜10,000
ガウス程度の磁気を5〜10分間程度かけて不溶物を沈澱
させればよい。
【0021】上記の操作に於いて、磁性コロイドと特定
のリポ蛋白沈澱試薬(又は特定の抗アポ蛋白抗体)とは
別々の試液中に保存しておいてもよいが、本発明に係る
磁性コロイドは分散性が高いため、磁性コロイドと特定
のリポ蛋白沈澱試薬(又は特定の抗アポ蛋白抗体)とを
同一溶液中に共存させておいてもよい。同一溶液中に磁
性コロイドと特定のリポ蛋白沈澱試薬(又は特定の抗リ
ポ蛋白抗体)を共存させた本発明の分離用組成物は、一
度攪拌混合しておけば少なくとも2時間は再度攪拌操作
をしなくともそのまま採取、分注することができる。従
って、従来の磁性粒子を用いる方法に於ける、分注操作
毎に混合して試薬の組成を均一にする操作は本発明では
不要であるので、本発明は、従来の方法に比べて極めて
操作性に優れた方法ということができる。
【0022】本発明で用いられる磁性コロイドの使用濃
度としては、磁気をかけた場合に沈澱させたいリポ蛋白
を沈澱させ得る濃度以上であればよく特に限定されない
が、沈澱させたいリポ蛋白を沈澱させる際の混合液中の
磁性体濃度として通常0.01〜5W/V%、好ましくは0.1〜
1W/V%の範囲から適宜選択される。また、磁性コロイ
ドと特定のリポ蛋白沈澱試薬(又は特定の抗アポ蛋白抗
体)を含む溶液中の磁性体濃度としては、通常0.02〜10
W/V%、好ましくは0.2〜2W/V%の範囲から適宜選択さ
れる。
【0023】本発明の方法によれば、リポ蛋白沈澱試薬
或は抗アポ蛋白抗体の作用によリ生成した不溶物と磁性
コロイドとは、例えば磁気を加えた側の壁面に強く密着
し、磁気から開放された後に多少の振動を与えても、不
溶物と分画上清とが再度混じり合うことはない。従っ
て、本発明の分離方法を利用することにより、従来の遠
心分離操作を行う方法と同じ状態で上清採取操作を行う
ことが可能となる。
【0024】本発明の特定のリポ蛋白中のコレステロー
ルの測定方法を実施するには、上記の如き操作により分
離して得られた清澄な上清を適当な方法により採取し
て、通常の臨床検査の分野で行われている自体公知のコ
レステロール測定方法により、該上清中のコレステロー
ル濃度を測定すれば足りる。
【0025】この際に用いられるコレステロール測定用
の試薬も通常臨床検査の分野で用いられるそのための市
販品や、自体公知の試薬を適宜組み合わせて用いれば足
りる(例えば、Clinical Chemistry,Vol19,No.12,1350-
1356,1973;金井正光編著、臨床検査法提要、昭和58年
6月30日第29版、456〜458頁、金原出版(株)発行
等)。尚、上記コレステロールの測定は、自動分析装置
を用いて行っても良いことは云うまでもない。
【0026】本発明の分離用組成物は、例えば血清、血
漿等の体液から特定のリポ蛋白を分離するために用いら
れるものであり、磁性コロイドと、目的とするリポ蛋白
は沈澱させずにそれ以外のリポ蛋白を沈澱させるリポ蛋
白沈澱試薬、又は磁性コロイドと、目的とするリポ蛋白
は沈澱させずにそれ以外のリポ蛋白を沈澱させる抗アポ
蛋白抗体とを含んでなるものである。本発明の分離用組
成物の夫々の構成要素の好ましい態様、具体例等は上で
述べた通りである。
【0027】以下に、参考例、実施例、比較例等により
本発明を更に詳述するが、本発明はこれらにより限定さ
れるものではない。
【0028】
【実施例】
参考例1.磁性コロイド溶液の調製 2gのFeCl3・6H2Oと1.5gのFeCl2・4
20とを15mlの水に溶解したものに、pHが7.
0〜8.0となるように、激しく攪拌しながら30%ア
ンモニア水を30分かけて滴下した後、更に30分間攪
拌、反応させた。反応終了後、反応液を10,000r
pmで30分間遠心分離にかけ、沈殿を得た。得られた
沈殿に水100mlを加えて攪拌後、前記と同様の遠心
分離操作を行い沈澱を得た。得られた沈澱に水10ml
を加えて攪拌、分散させ、磁性コロイド溶液とした。
尚、レーザーパーティクルアナライザー LPA-3000/3100
(大塚電子(株)製)により測定した結果、得られた磁
性コロイドの平均粒径は、45nmであった。
【0029】参考例2.磁性コロイド溶液の調製 2gのFeCl3・6H2Oと1.5gのFeCl2・4
20とを水50mlに溶解したものに、pHが7.0
〜8.0となるように、激しく攪拌しながら1NNaO
Hを30分かけて滴下した後、更に30分間攪拌、反応
させた。。反応終了後、反応液を10,000rpmで
30分間遠心分離にかけ、沈殿を得た。得られた沈殿に
水100mlを加えて攪拌後、前記と同様の遠心分離操
作を行い沈澱を得た。得られた沈澱に水10mlを加え
て攪拌、分散させ、磁性コロイド溶液とした。尚、レー
ザーパーティクルアナライザー LPA-3000/3100(大塚電
子(株)製)により測定した結果、得られた磁性コロイ
ドの平均粒径は、50nmであった。
【0030】実験例1.磁性コロイドの分散性及び磁気
応答性の検討 参考例1の方法により調製した各種平均粒径の磁性コロ
イドの0.5W/V%水溶液5mlを内径12mmの試験管に取り、
これを良く混合した後垂直に立て、所定時間静置後の磁
性コロイドの沈降の有無を目視にて観察した。結果を表
1に示す。また、上の各種平均粒径の磁性コロイドの0.
5W/V%水溶液5mlを内径12mmの試験管に取ったものを2,
000ガウスの磁気の上に垂直に立て、澄明な液層と沈澱
磁性コロイド層とに分離するまでに要する時間(分離時
間)も併せて測定した。結果を表1に併せて示す。尚、
比較のため、公知技術(米国特許第677734号明細
書)で使用される磁性粒子の分散性及び磁気応答性を検
討した結果についても表1に併せて示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1の結果から、平均粒径が100nmを越え
る磁性コロイドは溶液中での分散性が悪くなることが判
る。また、平均粒径が10nm程度の磁性コロイドは分離時
間が長くなること、言い換えれば磁気応答性が悪くなる
ことも判る。また、表1の結果から、従来技術で用いら
れている磁性粒子は、本発明の磁性コロイドに比べて分
散性が極めて悪いことも判る。
【0033】実施例1.磁性コロイドを含むHDL測定
用沈澱試薬の調製 16gのポリエチレングリコール6000(和光純薬工
業(株)製)と0.5gの牛血清アルブミン(シグマ社
製)を0.05Mほう酸緩衝液(pH7.2)に溶解
し、全量を94mlとした。これに、参考例1で調製し
た磁性コロイド溶液6mlを加え、超音波を10分間作
用させて磁性コロイドを分散させ、磁性コロイドを含む
HDL測定用沈澱試薬を得た。
【0034】実施例2.磁性コロイドを含むHDL測定
用沈澱試薬の調製 0.1gのデキストラン硫酸ナトリウム500,000
(和光純薬工業(株)製)と0.2gのMgCl2・6
20と1gの牛血清アルブミン(シグマ社製)とを
0.05Mほう酸緩衝液(pH7.0)に溶解し全量を
95mlとした。これに参考例2で調製した磁性コロイ
ド溶液5mlを加え、超音波を10分間作用させて磁性
コロイドを分散し、磁性コロイドを含むHDL測定用沈
澱試薬を得た。
【0035】実施例3.磁性コロイドを含むLDL用沈
澱試薬の調製 1gのポリエチレングリコール6000(和光純薬工業
(株)製)と0.8gのNaClとを0.1Mトリス緩
衝液(pH7.2)に溶解して全量を50mlとした。
これに、参考例1で調製した磁性コロイド溶液2mlを
加え、超音波を15分間作用させて磁性コロイドを分散
させた後、抗ヒトアポA−I抗体溶液(ヤギ。アフィニ
テイークロマト精製品。2mgAb/ml。和光純薬工
業(株)製)20mlと、抗ヒトアポC−III抗体溶液
(ヤギ。アフィニテイークロマト精製品。1.2mgAb/
ml。和光純薬工業(株)製)20mlを加えて混合
し、磁性コロイドを含むLDL用沈澱試薬を調製した。
【0036】実施例4.血清検体のHDLコレステロー
ルの測定 血清200μlと実施例1で調製した磁性コロイドを含
むHDL測定用沈澱試薬(事前に攪拌して均一化済)2
00μlとを混合した後5分間静置した。これに、磁気
(2,000ガウス)を5分間作用させて、沈殿と上清とに
分離した。得られた上清は澄明であった。この上清中の
コレステロール量を、コレステロールE−HAテストワコ
ー(酵素法、和光純薬工業(株)製)を用いて測定し、
得られた測定値を2倍して血清中のコレステロール濃度
を求めた。尚、測定操作は、現品説明書の標準操作法に
従って行った。結果を表2に示す。
【0037】参考例3.実施例4で用いた血清検体につ
いて、従来法のヘパリンーMn++遠心分離法に基づくH
DL-コレステロール-テストワコー(和光純薬工業(株)
製)によりHDLコレステロールの測定を行った。尚、
測定操作は、同キットの現品説明書の標準操作法に従っ
て行った。結果を表2に併せて示す。
【表2】 表2の結果から、本発明の方法により得られたコレステ
ロール値は、従来の遠心分離法により得られたHDLコ
レステロール値とよく相関していること、即ち本発明の
方法によりHDLコレステロールを精度良く定量できる
ことが判る。
【0038】実施例5.血清検体のLDLコレステロー
ルの測定。 血清20μlと、実施例3で調製した磁性コロイドを含
むLDL測定用沈澱試薬(事前に攪拌して均一化済)2
00μlとを混合し、10分間静置した。これに磁気
(2,000ガウス)を5分間作用させて、沈殿と上清とに
分離した。得られた上清は、澄明であった。得られた上
清中のコレステロール量を、コレステロールE−HAテ
ストワコー(酵素法、和光純薬工業(株)製)を用いて測
定し、得られた測定値を11倍して血清中のコレステロー
ル濃度を求めた。尚、測定操作は、現品説明書の標準操
作法に従って行った。結果を表3に示す。
【0039】参考例4.実施例5で用いた血清検体につ
いて、LDLコレステロール量を従来法の超遠心分離法
により求めた。尚、測定操作は文献(山村雄一監修、医
化学実験法講座第4巻、15頁、1972年8月20日、(株)
中山書店発行。)に基づいて以下の如く行った。即ち、
血清5mlに、エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩
1mgを添加、溶解した後、更に塩化ナトリウムを添加し
て比重を1.006に調整した。これを超遠心分離器(CP8
0α、(株)日立製作所製)で遠心処理(105,000×g、2
2時間)し、上層を除去した。下層に塩化ナトリウムを
添加して比重を1.063に調整した後、超遠心分離器(C
P80α、(株)日立製作所製)で再度遠心処理(105,00
0×g、22時間)し、LDLを含む上層を得た。得られた
上層に生理食塩水を加えて全量を5mlとした後、これに
含まれるコレステロール量を、コレステロールE−HA
テストワコー(酵素法、和光純薬工業(株)製)を用いて
測定し、LDLコレステロール値とした。結果を表3に
併せて示す。
【表3】 表3の結果から、本発明の方法により得られたコレステ
ロール値は、従来の超遠心分離法により得られたLDL
コレステロール値とよく相関していること、即ち本発明
の方法によりLDLコレステロールを精度良く定量でき
ることが判る。
【0040】
【発明の効果】以上述べたことから明らかな如く、本発
明は、遠心分離操作を必要とせず、しかも不溶物(目的
以外のリポ蛋白)の混入のない澄明な上清が得られる特
定のリポ蛋白の分離方法、及びこの方法に使用するため
の試薬、並びにこの方法を利用した特定のリポ蛋白に由
来するコレステロールの測定方法を提供するものであ
り、本発明を利用することにより、従来の方法よりも簡
便な操作で迅速に目的のリポ蛋白を含む上清を得ること
ができ、しかも特定のリポ蛋白中のコレステロール量を
精度良く測定することが可能となる、という効果を奏す
るものであり、斯業に貢献するところ大なる発明であ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】近年の研究により、動脈硬化とそれにとも
なう冠動脈疾患に、リポ蛋白由来のコレステロールが深
く関わっていることが明らかとなっている。リポ蛋白中
の脂質含量は、それぞれのリポ蛋白で異なり、全リポ蛋
白に含まれる総コレステロール量と、特定のリポ蛋白中
のコレステロール量との関係が動脈硬化とそれに伴う疾
患の危険度を表す指標として注目され、特にHDL又は
LDL中のコレステロールの測定が高頻度に行われてい
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】
【実施例】 参考例1.磁性コロイド溶液の調製 2gのFeCl・6HOと1.5gのFeCl
4Hとを15mlの水に溶解したものに、pHが
7.0〜8.0となるように、激しく攪拌しながら30
%アンモニア水を30分かけて滴下した後、更に30分
間攪拌、反応させた。反応終了後、反応液を10,00
0rpmで30分間遠心分離にかけ、沈殿を得た。得ら
れた沈殿に水100mlを加えて攪拌後、前記と同様の
遠心分離操作を行い沈澱を得た。得られた沈澱に水10
mlを加えて攪拌、分散させ、磁性コロイド溶液とし
た。尚、レーザーパーティクルアナライザーLPA−3
000/3100(大塚電子(株)製)により測定した
結果、得られた磁性コロイドの平均粒径は、45nmで
あった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】参考例2.磁性コロイド溶液の調製 2gのFeCl・6HOと1.5gのFeCl
4Hとを水50mlに溶解したものに、pHが7.
0〜8.0となるように、激しく攪拌しながら1NNa
OHを30分かけて滴下した後、更に30分間攪拌、反
応させた反応終了後、反応液を10,000rpmで
30分間遠心分離にかけ、沈殿を得た。得られた沈殿に
水100mlを加えて攪拌後、前記と同様の遠心分離操
作を行い沈澱を得た。得られた沈澱に水10mlを加え
て攪拌、分散させ、磁性コロイド溶液とした。尚、レー
ザーパーティクルアナライザーLPA−3000/31
00(大塚電子(株)製)により測定した結果、得られ
た磁性コロイドの平均粒径は、50nmであった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】
【表1】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】実施例2.磁性コロイドを含むHDL測定
用沈澱試薬の調製 0.1gのデキストラン硫酸ナトリウム500,000
(和光純薬工業(株)製)と0.2gのMgCl
と1gの牛血清アルブミン(シグマ社製)とを
0.05Mほう酸緩衝液(PH7.0)に溶解し全量を
95mlとした。これに参考例2で調製した磁性コロイ
ド溶液5mlを加え、超音波を10分間作用させて磁性
コロイドを分散し、磁性コロイドを含むHDL測定用沈
澱試薬を得た。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】体液と、磁性コロイドと、目的とするリポ
    蛋白は沈澱させずにそれ以外のリポ蛋白を沈澱させるリ
    ポ蛋白沈澱試薬又は目的とするリポ蛋白は沈澱させずに
    それ以外のリポ蛋白を沈澱させる抗アポ蛋白抗体とを混
    合した後、この混合液に磁気をかけて不溶物を沈澱させ
    ることを特徴とする、特定のリポ蛋白の分離方法。
  2. 【請求項2】磁性コロイドを分散させたリポ蛋白沈澱試
    薬、又は磁性コロイドを分散させた抗アポ蛋白抗体を含
    んでなる試薬を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】磁性コロイドの平均直径が20〜90nm
    である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】磁性コロイドが磁性酸化鉄である請求項1
    〜3の何れかに記載の方法。
  5. 【請求項5】リポ蛋白沈澱試薬が、ポリエチレングリコ
    ール、デキストラン硫酸−Mg++、デキストラン硫酸−
    Mn++、ヘパリン−Mg++、ヘパリン−Mn++及びヘパ
    リン−Ca++から選ばれた試薬を含むものである請求項
    1〜4の何れかに記載の方法。
  6. 【請求項6】抗アポ蛋白抗体が、抗ヒトアポA−I抗
    体、抗ヒトアポA−II抗体、抗ヒトアポB−100抗
    体、抗ヒトアポC−I抗体、抗ヒトアポC−II抗体、抗
    ヒトアポC−III抗体及び抗ヒトアポE抗体から選ばれ
    た少なくとも1つである請求項1〜4の何れかに記載の
    方法。
  7. 【請求項7】抗アポ蛋白抗体が、抗ヒトアポA−I抗体
    と抗ヒトアポC−III抗体との混合物、又は抗ヒトアポ
    A−I抗体と抗ヒトアポC−II抗体との混合物である請
    求項1〜4の何れかに記載の方法
  8. 【請求項8】磁性コロイドとリポ蛋白沈澱試薬、又は磁
    性コロイドと抗アポ蛋白抗体を含んでなる、リポ蛋白分
    離用組成物。
  9. 【請求項9】体液と、磁性コロイドと、測定対象外のリ
    ポ蛋白は沈澱させるが測定対象のリポ蛋白は沈澱させな
    いリポ蛋白沈澱試薬又は測定対象外のリポ蛋白は沈澱さ
    せるが測定対象のリポ蛋白は沈澱させない抗アポ蛋白抗
    体とを混合した後、この混合液に磁気をかけて不溶物を
    沈澱させ、得られた上清中のコレステロールを測定する
    ことを特徴とする、体液中の測定対象リポ蛋白中に含ま
    れるコレステロールの測定方法。
JP31759994A 1994-11-28 1994-11-28 リポ蛋白の分離方法及び分離用組成物 Withdrawn JPH08151400A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020015246A (ko) * 2000-08-21 2002-02-27 김주호 자기입자를 이용한 hdl/ldl 콜레스테롤의 동시진단방법 및 그 장치

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KR20020015246A (ko) * 2000-08-21 2002-02-27 김주호 자기입자를 이용한 hdl/ldl 콜레스테롤의 동시진단방법 및 그 장치

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