JPH08151336A - 診断用造影剤 - Google Patents

診断用造影剤

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JPH08151336A
JPH08151336A JP7273486A JP27348695A JPH08151336A JP H08151336 A JPH08151336 A JP H08151336A JP 7273486 A JP7273486 A JP 7273486A JP 27348695 A JP27348695 A JP 27348695A JP H08151336 A JPH08151336 A JP H08151336A
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group
contrast agent
metal complex
diagnostic contrast
compound
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JP7273486A
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Meiji Otaka
明治 大高
Hideki Sugino
英樹 杉野
Yuji Hashiguchi
裕二 橋口
Shigemi Seri
重実 世利
Kumiko Iwai
久美子 岩井
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Nihon Medi Physics Co Ltd
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Nihon Medi Physics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属イオンが安定に2個以上導入された、生
理学的に許容でき、かつ単核型金属錯体化合物に比べて
より高い造影能を有する、オリゴマー金属錯体化合物を
含有する診断用造影剤の提供。 【解決手段】 二官能性配位子との反応にあずかる官能
基を2〜10個有する有機化合物に少なくとも1種かつ
2個以上の二官能性配位子が結合した化合物であって、
二官能性配位子と結合後少なくとも1以上の水酸基を有
する化合物に、少なくとも1種かつ2個以上の金属イオ
ンが配位した、分子量1000〜10000であるオリ
ゴマー金属錯体を含有してなる診断用造影剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核磁気共鳴診断用
造影剤およびX線診断用造影剤、特にオリゴマー金属錯
体化合物および該化合物を含む診断用造影剤に関する。
【0002】
【従来の技術】核磁気共鳴診断法が医学画像診断に初め
て用いられたのは、1980年代前半である。以来、核
磁気共鳴診断法は急速に進歩を遂げ、その高い空間分解
能や測定方法の多様性などから、現在では重要な画像診
断法の一つとなっている。核磁気共鳴診断法は、組織中
の水プロトンの緩和時間の差異をコントラストとして画
像化したものである。このコントラストをより増強さ
せ、診断能をより向上させる目的から、核磁気共鳴診断
用造影剤の開発が進められた。核磁気共鳴診断用造影剤
として、水プロトンの緩和時間に影響を及ぼすランタノ
イドイオンなどの緩和試薬が用いられた。しかし、遊離
したランタノイドイオンはそれ自体では毒性が高いため
直接生体内に導入することはできないので、生理的に適
応可能な配位子を用いて錯体化する事によって、毒性の
低減化が図られた。
【0003】例えば、核磁気共鳴診断用造影剤として現
在広く用いられているジエチレントリアミンペンタ酢酸
ガドリニウム塩(以下DTPA−Gdと略す)〔特開昭
58−29718号公報〕はランタノイドイオンの中で
最も水プロトンへのT1緩和効果が大きいとされている
ガドリニウムイオンをジエチレントリアミンペンタ酢酸
(以下DTPAと略す)で錯体化したものである。この
錯体化により、Gdイオンの生体適応性が向上し、毒性
は低減されたがその画像表示尺度を示す緩和度は、Gd
イオン自体よりも低く約1/2になってしまった。従っ
て、この低下した緩和度を投与量の増加によって補うこ
とが必要となった。
【0004】DTPA−Gdに認められる上記のような
問題を解決するための緩和度の効率向上の試みとして、
単核錯体の繰り返しによる多核化が特開昭63−414
68号公報あるいは特開平2−196776号公報など
に記載されているが、せいぜい2核化もしくは3核化ま
でが限界であって、緩和度の向上に問題が残っていた。
【0005】その後、金属錯体の担体として高分子を用
いて、単位高分子当たりに複数の金属錯体を導入した多
核型金属錯体化合物を診断用造影剤として使用する試み
が検討された。その結果、プロトタイプの造影剤とし
て、ヒト血清アルブミン〔Ogan M.D.ら:In
vest.Radiol.,22,665〜671(1
987)〕、デキストラン〔Brasch R.C.
ら:Radiology,175,483〜488(1
990)、特開昭61−155337号公報、特表昭6
3−501798号公報〕、デンプン〔特開昭61−5
01571号公報〕、ポリリジン〔特開昭64−540
28号公報〕など数万以上の高分子を担体として使用し
た核磁気共鳴診断用造影剤が登場し、緩和度を向上させ
ることに成功した。
【0006】高分子をキャリヤーとする医薬品をデザイ
ンする場合には、非免疫原性、無毒性でなければなら
ず、体内残留性もあってはならないことが一般的な要件
となる。しかし、例えば分子量が1万を超える多糖類な
どの場合には、抗原性などの問題が生じることが知られ
ており〔C.Steffen and H.Ludbe
rg:Clinical Immunology an
d Allergology,Elsevier Bi
omedical Press,Amsterdam,
1981,pp.235〜246〕、上記のようなプロ
トタイプの造影剤の場合、非免疫原性の要件を満たすこ
とができない。さらに、上記の高分子を担体に用いた多
核型金属錯体化合物はいずれも分子量が数万以上の高分
子化合物であるが故に、血中滞留性が10数時間〜数日
と不必要に長くなり、その体内残留性も問題になる。こ
のことは抗原性に対する毒性発現を助長させる悪条件に
なるばかりか、場合によっては、長期滞留性に伴う配位
子からの金属イオンの遊離およびそれにともなう遊離配
位子の生成に起因した化学毒性を誘発する恐れも見逃せ
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高分子多核
型金属錯体化合物の診断用造影剤に認められる上記の問
題に鑑み、生理学的に許容でき、かつ単核型金属錯体化
合物に比べてより高い造影能を有する、オリゴマー金属
錯体化合物を含有する診断用造影剤を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は種々研究を
重ねた結果、少なくとも1個以上の水酸基を有し、かつ
二官能性配位子と結合し得る有機化合物をバックボーン
として金属錯体を2〜10個結合せしめたオリゴマー金
属錯体化合物が、これらの諸問題を解決し得るとの知見
を得、本発明を完成した。即ち本発明は、二官能性配位
子との反応にあずかる官能基を2〜10個有する有機化
合物に、少なくとも1種かつ2個以上の二官能性配位子
が結合した化合物であって、二官能性配位子と結合後少
なくとも1個以上の水酸基を有する化合物に、少なくと
も1種かつ2個以上の金属イオンが配位した、分子量1
000〜10000であるオリゴマー金属錯体化合物を
含有してなる診断用造影剤である。
【0009】
【発明の実施の形態】本明細書において、用語「オリゴ
マー金属錯体化合物」とは1分子中に少なくとも2個以
上10個以下の金属錯体が結合した化合物を示すのに使
用する。
【0010】二官能性配位子との反応にあずかる官能基
を2〜10個有する有機化合物とは、その骨格にアミド
結合、エーテル結合、エステル結合、ビニル結合、アセ
チル結合、アゾ結合、炭素結合、イミン結合またはイミ
ド結合等を含んでいてもよい直鎖状または分岐鎖状の分
子量が9000以下の有機化合物である。
【0011】該有機化合物が有する二官能性配位子との
反応にあずかる官能基とは、アミノ基、カルボキシル
基、エポキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、チオー
ル基、アリール基、イミダゾイル基、ヒドラジン基、水
酸基およびハロゲン原子等から選ばれるいずれか少なく
とも1種であり、2種以上が混在してもよい。
【0012】二官能性配位子としては、上記官能基と結
合し得る架橋鎖部分を有する鎖式あるいは環式のポリア
ミノポリカルボン酸を使用する。好ましくは、配位部分
構造として、DTPAおよびその誘導体、1,4,7,
10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−
テトラ酢酸およびその誘導体、1,4,8,11−テト
ラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−テトラ
酢酸およびその誘導体である。また、上記官能基と結合
し得る二官能性配位子の架橋鎖部分の官能基としては、
酸無水物、アミノ基、活性ハロゲン、アルコキシエステ
ル、スクシンイミジエステル、イソチオシアネートなど
が好ましい。具体的には、無水DTPA、1,4,7,
10−テトラアザシクロドデカン−1−アミノエチルカ
ルバモイルメチル−4,7,10−トリス〔(R,S)
−メチル酢酸〕、1−(p−イソチオシアネートベンジ
ル)−DTPA、2−(p−イソチオシアネートベンジ
ル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−
1,4,7,10−テトラ酢酸などが例示される。
【0013】本発明の診断用造影剤に含まれる水酸基
は、二官能性配位子との反応にあずかる官能基を2〜1
0個有する有機化合物中に含まれるものと、該有機化合
物と二官能性配位子との結合によって生じるもののいず
れであってもよい。水酸基が有機化合物中に含まれるも
のとしてはセリン(Ser)、トレオニン(Thr)、
チロシン(Tyr)などの水溶性アミノ酸残基(以下ア
ミノ酸残基は3文字表記で記す)を含むオリゴペプチ
ド、脂肪酸誘導体、糖誘導体、アルコール誘導体などが
挙げられる。また、二官能性配位子との結合によって水
酸基が生じるものとしては、エポキシ重合体とアミノ基
を有する二官能性配位子との反応によるものなどが挙げ
られる。
【0014】前記オリゴペプチドは、クロマトグラフィ
ーにより純度良く分画したものが入手可能である。例え
ば、アプライドバイオシステム社ペプチド合成機により
合成し、固相ビーズに結合した状態から脱保護基とビー
ズ切り放しを同時に行い、その後逆相系カラムを用いた
高速液体クロマトグラフ法(HPLC)にて精製し、目
的ペプチドを得る。その他Fmoc法などのペプチド固
相合成法でも常套的に合成可能である。このように純度
よく分画されたオリゴペプチドを用いると、導入する二
官能性配位子および金属イオン数を明確にコントロール
し得るので、製剤学上均質なオリゴマー金属錯体化合物
の調製が可能である。
【0015】本発明にかかる有機化合物と二官能性配位
子との結合は、公知の方法によって行えばよい。例え
ば、二官能性配位子の架橋鎖末端が酸無水物の場合には
アミノ基を有する有機化合物とアルカリ水溶液中、室温
で撹拌することにより所望の化合物を得ることができ
る。また、二官能性配位子の架橋鎖末端がアミノ基の場
合にはエポキシ基を有する有機化合物と水溶液中、室温
で撹拌することにより容易に目的物を合成することがで
きる。この場合には有機化合物と二官能性配位子の結合
反応に伴い水酸基が生成する。
【0016】本発明の金属イオンは、原子番号21〜2
9,31,32,37〜39,42〜44,49または
56〜83の群から画像診断の用途に従って選択され
る。本発明のオリゴマー金属錯体化合物が核磁気共鳴診
断に使用される場合には、金属イオンは常磁性でなけれ
ばならず、原子番号26および57〜70のランタノイ
ド系元素のイオンからなる群から選択される。好ましく
は、Gd,Dy,Tb,Ho,ErまたはFeである。
また、X線診断に使用される場合には、金属イオンは原
子番号57〜70のランタノイド系元素のイオンや原子
番号56,76,82および83の元素のイオンからな
る群から選択され、中でもBi,PbまたはOsが好適
である。使用する金属イオンは、金属自体またはその化
合物たとえば塩化物、酸化物等であってもよい。錯化は
常法により行われる。
【0017】得られた化合物は、少なくとも1個以上、
好ましくは2個以上の水酸基を含有し、2〜10個の二
官能性配位子が化学結合し、この配位子部分に金属イオ
ンが配位したオリゴマー金属錯体化合物によって構成さ
れる。水プロトンの緩和度は、DTPA−Gdに比べて
顕著に向上する。例えば、合成ペプチドPyr−Lys
−Arg−Pro−Ser−Gln−Arg−Ser−
Lys−Tyr−Leu(以下OP1と略す)にDTP
Aを2個結合させ、Gdを配位させたOP1−DTPA
−Gdについてイン・ビトロにおけるプロトン緩和度を
測定した。水中でのT1緩和度は7.3(mM・
S)-1、T2緩和度は8.7(mM・S)-1といずれも
DTPA−Gdの約2倍と顕著に増加したことが確認さ
れた。同様に、化1で示されるエポキシ重合体(以下E
X−521と略す)
【0018】
【化1】
【0019】に1,4,7,10−テトラアザシクロド
デカン−1−アミノエチルカルバモイルメチル−4,
7,10−トリス〔(R,S)−メチル酢酸〕(以下D
O3MAと略す)を2個結合させ、Gdを配位させたE
X−521−DO3MA−Gdのイン・ビトロにおけ
る、T1緩和度は13.8(mM・S)-1、T2緩和度
は17.9(mM・S)-1といずれもDTPA−Gdの
約4倍と顕著な増加が見られた。
【0020】かかるオリゴマー金属錯体化合物は、常法
により薬学上許容されるアスコルビン酸、p−アミノ安
息香酸等の安定化剤、水溶性緩衝液であるpH調整剤、
D−マンニトール等の賦形剤等の任意の添加成分と混合
し、任意の形態の診断用造影剤とすることができるが,
好ましくは生理学的に許容できる水性溶剤に溶解させ、
溶液形態の診断用造影剤とする。
【0021】本発明のオリゴマー金属錯体化合物を診断
用造影剤として使用する場合、その使用量は画像診断の
用途に応じて選択する。たとえば、核磁気共鳴診断用造
影剤として使用するためには、金属イオン量として一般
に0.0001〜10mmol/kg、好ましくは0.
005〜0.5mmol/kgの量で投与する。またX
線診断用造影剤として使用するためには、金属イオン量
として0.01〜20mmol/kg、好ましくは0.
1〜10mmol/kgの量で投与する。通常は静脈内
に投与するが、場合により経口的あるいは動脈内に投与
してもよい。
【0022】また、本発明のオリゴマー金属錯体化合物
は、水酸基を含有しているため良好な水溶性を有し、そ
れ自体で高濃度溶液の調製が可能である。従って、溶液
調製時に必ずしも溶解剤の使用を必要としない。オリゴ
マー金属錯体化合物であることから、単核化合物と比較
して調製溶液の全体のモル数を減少させることができ、
浸透圧の低下につながる。これらのことは、生体内投与
の際に、循環系の容量あるいは体液平衡に対する負荷を
軽減させ、安全性の上で有利となる。
【0023】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定される
ものではない。化合物の略称および分析法は次のとおり
である。 DTPA :ジエチレントリアミンペンタ酢酸 OP1 :Pyr−Lys−Arg−Pro−Se
r−Gln−Arg−Ser−Lys−Tyr−Leu OP2 :Lys−Thr−Lys−Thr−Ly
s−Thr−Lys−Thr−Lys OP3 :Lys−Ser−Lys−Ser−Ly
s−Ser−Lys−Ser−Lys DO3MA :1,4,7,10−テトラアザシクロド
デカン−1−アミノエチルカルバモイルメチル−4,
7,10−トリス〔(R,S)−メチル酢酸〕 EX−521:化2で示される化合物
【0024】
【化2】
【0025】ESIマススペクトルの測定はパーキンエ
ルマー製API−III 質量分析計を用いて行った。赤外
吸収スペクトルの測定は臭化カリウム錠法により、島津
製作所製フーリエ変換赤外分光光度計FT−IR810
0Mを用いて行った。緩和時間の測定は日本電子データ
ム製JFSE−60型パスルNMR装置を用いて行っ
た。Gd濃度の測定はセイコー製ICP発光分光分析装
置SPS−1500VRを用いて行った。
【0026】(実施例1) OP1−DTPA−Gdの合成 OP1(41.4mg;0.03mmol)を蒸留水
(4.625ml)に溶解させた後、4N水酸化ナトリ
ウム溶液(0.375ml)を加えた。ここに無水DT
PA(0.215g;0.6mmol)を加え、室温下
で3時間撹拌反応させた。この反応溶液に塩化ガドリニ
ウム・6水和物(0.224g;0.6mmol)を加
えた後、4N水酸化ナトリウム溶液を適量加え、pHを
約7に調整した。本反応溶液を室温下で15分間撹拌反
応した後、電気透析にて精製を行い、OP1−DTPA
−Gd(55.4mg)を得た。分析結果は下記のとお
りである。 ESI−マススペクトル(正イオン): m/z 812
(3価イオン),m/z1217(2価イオン) 赤外吸収スペクトル:1700cm-1(CO),300
0cm-1(CH),3200cm-1(NH)
【0027】(実施例2) OP2−DTPA−Gdの合成 OP2(95mg;0.089mmol)を蒸留水
(3.89ml)に溶解させた後、4N水酸化ナトリウ
ム溶液(1.11ml)を加えた。ここに無水DTPA
(0.636g;1.78mmol)を加え、室温下で
3時間撹拌反応させた。この反応溶液に塩化ガドリニウ
ム・6水和物(0.662g;1.78mmol)を加
えた後、4N水酸化ナトリウム溶液を適量加え、pHを
約7に調整した。本反応溶液を室温下で15分間撹拌反
応した後、電気透析にて精製を行い、OP2−DTPA
−Gd(48.2mg)を得た。分析結果は下記のとお
りである。 ESI−マススペクトル(正イオン): m/z 105
0(3価イオン),m/z 1580(2価イオン) 赤外吸収スペクトル:1700cm-1(CO),300
0cm-1(CH),3200cm-1(NH)
【0028】(実施例3) OP3−DTPA−Gdの合成 OP3(45mg;0.045mmol)を蒸留水
(4.44ml)に溶解させた後、4N水酸化ナトリウ
ム溶液(0.56ml)を加えた。ここに無水DTPA
(0.319g;0.9mmol)を加え、室温下で3
時間撹拌反応させた。この反応溶液に塩化ガドリニウム
・6水和物(0.332g;0.9mmol)を加えた
後、4N水酸化ナトリウム溶液を適量加え、pHを約7
に調整した。本反応溶液を室温下で15分間撹拌反応し
た後、電気透析にて精製を行い、OP3−DTPA−G
d(48.3mg)を得た。分析結果は下記のとおりで
ある。 赤外吸収スペクトル:1700cm-1(CO),300
0cm-1(CH),3200cm-1(NH)
【0029】(実施例4) EX−521−DO3MA−Gdの合成 EX−521(0.1g;13.5mmol)を蒸留水
(1.0ml)に溶解させた後、DO3MA−Gd
(0.5g;77.9mmol)を加え室温で撹拌し
た。26時間後さらにEX−521(0.05g;1
3.5mmol)を加えさらに70時間撹拌した。その
後反応溶液を分画分子量1,000の透析膜を用い48
時間透析し、未反応のDO3MA−Gdを取り除いた。
透析膜内の溶液を濃縮、減圧乾燥し、目的物の結晶
(0.34g)を得た(収率50.7%)。分析結果は
下記のとおりである。 赤外吸収スペクトル:1600cm-1(COO−),2
830cm-1(CH2 ),3250cm-1(OH) Gd濃度(ICP発光分析):12.5wt%
【0030】(実施例5) 緩和度(イン・ビトロ実験) OP1−DTPA−Gd、OP2−DTPA−Gd、E
X−521−DO3MA−Gdおよび比較対象としてD
TPA−GdをGd濃度として4mMとなるように蒸留
水に溶解させた。この化合物に露呈された水プロトンと
の関係をNMR(日本電子データム製、0.5T)によ
り、37℃における緩和時間(T1およびT2mse
c)として測定した。各緩和時間およびそれを基に算出
した緩和度(R1(mM・S)-1、R2(mM・
S)-1)を表1および表2に示す。
【0031】3.8mMのOP1−DTPA−Gdは水
のT1値の約90倍、T2値の約73倍、4.0mMの
OP2−DTPA−Gdは水のT1値の約112倍、T
2値の約110倍、4.0mMのEX−521−DO3
MA−Gdは水T1値の約182倍、T2値の約159
倍とその短縮効果は顕著であった。また、OP1−DT
PA−Gd、OP2−DTPA−GdおよびEX−52
1−DO3MA−Gdは、イン・ビトロにおいて同様の
手法で測定したDTPA−Gdよりも約2〜4倍と良好
な緩和度を有し、その有効性が明らかとなった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】(実施例6)OP1−DTPA−Gdのラ
ット静脈内投与直後の脳における造影効果 チオペンタール麻酔を施したエチルニトロソウレア誘発
脳腫瘍ラット(230.5g,42週齢)をMRI装置
の磁場内に伏臥位固定し、OP1−DTPA−Gd溶液
(Gd濃度:0.2M)を尾静脈より投与(Gdとして
0.1mmol/kg)した。投与直後に、脳を含む頭
部域のMRI測定(横断像)を行った。装置はOmeg
a CSI(Bruker社製)で、磁場強度は2.0
T、またイメージングコイルとしてバードケージ型ヘッ
ド用ハイパスコイルを使用し、撮影条件は、スピンエコ
ー法でスライス厚2mm、解像度256×128のT1
強調(TR=600msec,TE=12msec)で
行った。図1はOP1−DTPA−Gd溶液を投与した
直後のラットの脳を含む頭部断層を示す生物の形態写真
である。化合物投与により、脳腫瘍部位の信号強度が明
らかに増強された。
【0035】
【発明の効果】本発明による、少なくとも1個以上の水
酸基を有する分子量1000〜10000のオリゴマー
金属錯体化合物により単核型金属錯体化合物に比べてよ
り良好なプロトン緩和効果を得ることができる。すなわ
ち、表1および表2に示したように、DTPA−Gdに
比べ本発明によるオリゴマー金属錯体化合物は、約2〜
4倍の高い緩和度を示すことが明らかになり、また図1
に示したラットの脳における造影効果からも見られるよ
うに、核磁気共鳴診断等の画像診断に有効な該オリゴマ
ー金属錯体を含有する診断用造影剤の提供が可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】OP1−DTPA−Gd溶液を投与した直後の
ラットの脳を含む頭部断層を示す生物の形態写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 世利 重実 千葉県袖ヶ浦市北袖3番地1 日本メジフ ィジックス株式会社中央研究所内 (72)発明者 岩井 久美子 千葉県袖ヶ浦市北袖3番地1 日本メジフ ィジックス株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二官能性配位子との反応にあずかる官能基
    を2〜10個有する有機化合物に、少なくとも1種かつ
    2個以上の二官能性配位子が結合した化合物であって、
    二官能性配位子と結合後少なくとも1個以上の水酸基を
    有する化合物に、少なくとも1種かつ2個以上の金属イ
    オンが配位した、分子量1000〜10000であるオ
    リゴマー金属錯体化合物を含有してなる診断用造影剤。
  2. 【請求項2】請求項1記載の二官能性配位子との反応に
    あずかる官能基が、アミノ基、カルボキシル基、エポキ
    シ基、アルデヒド基、カルボニル基、チオール基、アリ
    ール基、イミダゾイル基、ヒドラジン基およびハロゲン
    原子から選ばれる官能基のいずれか少なくとも1種であ
    る請求項1記載の診断用造影剤。
  3. 【請求項3】二官能性配位子がジエチレントリアミンペ
    ンタ酢酸、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ
    ン−1,4,7,10−テトラ酢酸、あるいは1,4,
    8,11−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,
    8,11−テトラ酢酸またはそれらの誘導体である請求
    項1または2記載の診断用造影剤。
  4. 【請求項4】金属イオンが原子番号26および57〜7
    1のランタノイド系元素のイオンからなる群から選択さ
    れた請求項1〜3のいずれかに記載の診断用造影剤。
  5. 【請求項5】金属イオンがGd,Dy,Tb,Ho,E
    rあるいはFeのイオンである請求項4記載の診断用造
    影剤。
  6. 【請求項6】金属イオンがBi,PbあるいはOsのイ
    オンである請求項1〜3のいずれかに記載の診断用造影
    剤。
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