JP3170192B2 - 画像診断用造影剤 - Google Patents

画像診断用造影剤

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JP3170192B2
JP3170192B2 JP29346395A JP29346395A JP3170192B2 JP 3170192 B2 JP3170192 B2 JP 3170192B2 JP 29346395 A JP29346395 A JP 29346395A JP 29346395 A JP29346395 A JP 29346395A JP 3170192 B2 JP3170192 B2 JP 3170192B2
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裕二 橋口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像診断用造影剤、
特に糖鎖の還元末端を還元処理したオリゴ糖を骨格とす
る金属錯体化合物を含む核磁気共鳴画像診断、X線画像
診断あるいは放射線画像診断に有用な画像診断用造影剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】核磁気共鳴診断用造影剤として広く用い
られているジエチレントリアミンペンタ酢酸−Gd(以
下DTPA−Gdと略す)〔特開昭58−29718号
公報〕は単核錯体群の代表例であり、脳・脊髄領域にお
ける診断剤としてその有効性がほぼ確立されている。し
かし、画像表示尺度を示す緩和度は、錯化されたが故に
Gdそのもの自体よりも低値となってしまう。従って、
低下した緩和度は、投与量の増加をもって補う等の処置
が必要になってくる。また本剤は、投与後、速やかに尿
中へ排泄されるため〔吉川宏起ら:画像診断,6,95
9〜969頁(1986年)〕、単回投与で身体の幾つ
かの部位を血流に反映(病巣の血管走行、血流分布、分
布容積、浸潤性など)して造影させることは、その分布
特性も併せて極めて不利な条件となる。
【0003】これらの問題を解決するために、アミノオ
リゴ糖に二官能性配位子を化学結合させ、この二官能性
配位子を介して金属イオンを配位結合させた画像診断用
造影剤〔特開平5−97712号公報〕、あるいはD−
グルコースが複数連結し、そのうち少なくとも1つの構
成単糖が酸化開裂されたジアルデヒド化糖に少なくとも
1つの二官能性配位子を化学的に結合させ、この二官能
性配位子を介し金属イオンを配位結合させた画像診断用
造影剤〔特開平5−25059号公報〕が開発されてい
る。しかしこれらの化合物の重要な構成成分である糖原
料は、糖鎖の還元末端が未処理の場合、長時間の放置あ
るいは長時間反応させると、水溶液中で分子内あるいは
分子間結合が起こったり、酸化剤により過酸化を受ける
ことが判明した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如き
状況に鑑み、オリゴ糖を骨格とする画像診断用造影剤の
製造にあたり、不必要な副反応を誘発することなく容易
に製造され、しかも安定で、水に対して良好な可溶性を
持ち、生理学的に許容できる核磁気共鳴診断、X線診断
あるいは放射線診断などに有用な画像診断用造影剤を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明者らは鋭意検討を行った結果、出発原料の
オリゴ糖の糖鎖の還元末端を還元処理することにより、
上述の副反応を回避でき、さらに該化合物を原料として
製造した金属錯体化合物は、安定で、水に対して良好な
可溶性を有し、生理学的に許容できる核磁気共鳴診断、
X線診断あるいは放射線診断などに有用な画像診断用造
影剤であることを見い出した。即ち、本発明は、糖鎖の
還元末端が還元処理された分子量500〜2000のア
ミノオリゴ糖のアミノ基、または構成単糖のうち少なく
とも1つが酸化開裂され且つ糖鎖の還元末端が還元処理
された分子量500〜2000のオリゴジアルデヒド化
糖のアルデヒド基に、少なくとも1つ以上の二官能性配
位子を化学的に結合させ、この二官能性配位子に原子番
号21〜29、31、32、37〜39、42〜44、
49または56〜83の群から選ばれた少なくとも1種
の金属元素イオンが配位してなる化合物を含むことを特
徴とする画像診断用造影剤である。
【0006】
【発明の実施の形態】オリゴ糖の糖鎖の還元末端の還元
処理は、水素化ホウ素ナトリウムを用いる方法や水素に
よる接触還元など公知の方法によって行う。例えば、キ
トサントリマーを水に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム
を加えて室温、減圧下で撹拌した後、塩酸を加えて酸性
にして得られる。還元末端が消失したことは、ブリック
ス法〔Blix,G.:Acta Chem.Scan
d.,2,467,1948〕によって確認し得る。な
お、予め還元処理されたマルトテトライトールなどの市
販品を用いても良い。オリゴ糖としてはアミノオリゴ
糖、またはマルトトリオース、マルトテトラオース、マ
ルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタ
オース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオー
ス、イソマルトペンタオース、イソマルトヘキサオー
ス、イソマルトヘプタオース、セロトリオース、セロテ
トラオース、セロペンタオース、セロヘキサオース、ラ
ミナリトリオース、ラミナリテトラオース、ラミナリペ
ンタオース、ラミナリヘキサオース、ラミナリヘプタオ
ース、エルロース、パノース、またはラフィノース等の
ジアルデヒド化糖が挙げられる。
【0007】好ましいアミノオリゴ糖としてはキトサン
オリゴ糖およびガラクトサミノオリゴ糖の3、4、5、
6、7、8、9または10糖があげられるが、特に好ま
しくはキトサンオリゴ糖およびガラクトサミノオリゴ糖
の3、4、5または6糖が挙げられる。
【0008】二官能性配位子は、還元処理される糖がア
ミノオリゴ糖の場合には2位のアミノ基と、還元処理さ
れる糖がオリゴジアルデヒド化糖の場合にはアルデヒド
基と結合し得る架橋鎖部分を有する鎖式あるいは環式の
ポリアミノポリカルボン酸が使用される。好ましくは、
配位部分構造として、ジエチレントリアミンペンタ酢酸
(以下DTPAと略す)、1,4,7,10−テトラア
ザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(以
下DOTAと略す)、あるいは1,4,8,11−テト
ラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−テトラ
酢酸(以下TETAと略す)、またはそれらの誘導体で
ある二官能性配位子である。2位のアミノ基と結合し得
る二官能性配位子の架橋鎖部分の反応基としては、活性
ハロゲン、アルコキシエステル、スクシンイミジエステ
ル、イソチオシアネート、酸無水物などが好ましい。具
体的には、1−(p−イソチオシアネートベンジル)−
DTPA[Martin,W.B.ら:Inorg.C
hem.,25,2772〜2781頁(1986
年)]、無水DTPA、2−(p−イソチオシアネート
ベンジル)−DOTA[USP4678667号明細
書]などが例示される。またアルデヒド基と結合させる
二官能性配位子は、活性アミノ基を有するものが好適で
ある。具体的には、1−(p−アミノベンジル)−DT
PA[Martin,W.B.ら:Inorg.Che
m.,25,2772〜2781頁(1986年)]、
2−(p−アミノベンジル)−DOTA[USP467
8667号明細書]、2−アミノブチル−DOTA[P
arker,D.ら:Pure&Appl.Chem.
61,1637〜1641頁(1989年)]、1,
4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−アミノ
エチルカルバモイルメチル−4,7,10−トリス
〔(R,S)−メチル酢酸〕などが例示される。
【0009】還元処理されたオリゴ糖と二官能性配位子
との結合は公知の方法によって行う。例えば、還元処理
されたオリゴ糖を酸化開裂して得られたジアルデヒド化
糖と反応基として活性アミノ基を有する二官能性配位子
の両化合物を室温下、アルカリ溶液中で反応させること
により目的物が得られる。この場合、還元処理されたオ
リゴ糖をジアルデヒド化糖に調製する際用いた酸化剤に
よる副反応を考慮することなくin situにて反応
を遂行することができるため、反応が容易になるばかり
か、合成途中での煩雑な精製操作も不要になり、合成操
作がより簡便となる。必要に応じ、この結合体を還元し
て、−CH=N−を−CH2 −NH−に変換してもよ
い。また二官能性配位子は、予め金属を錯化させておい
てもよい。
【0010】本発明の金属元素イオンは、原子番号21
〜29、31、32、37〜39、42〜44、49お
よび56〜83の金属から画像診断の用途によって選択
される。本発明の診断用造影剤が核磁気共鳴診断に使用
される場合には、金属元素イオンは常磁性でなければな
らず、原子番号26および57〜70のランタノイド系
元素のイオンからなる群から選択され、好ましくはG
d、Dy、Tb、Ho、ErまたはFeである。X線診
断に使用される場合には、金属元素イオンは原子番号5
7〜70のランタノイド系元素のイオンや原子番号5
6、76、82および83の元素のイオンからなる群か
ら選択され、Bi、PbまたはOsが好適である。ま
た、放射線画像診断剤として使用される場合には、金属
元素イオンは放射性でなければならず、Co、Cu、G
a、Ge、Sr、Y、Tc、In、Sm、Yb、Reま
たはIrの放射性金属元素イオンが適当である。使用す
る金属元素イオンは、金属自体またはその無機化合物
(例えば、塩化物、酸化物など)であってよい。錯化は
常法により行われる。
【0011】得られた金属錯体化合物は、還元処理され
たオリゴ糖に少なくとも1個以上の二官能性配位子が化
学結合し、金属元素イオンが配位結合している。
【0012】本発明の画像診断用造影剤の使用量は画像
診断の用途に応じて選択する。例えば、核磁気共鳴用造
影剤として使用するためには、金属元素イオン量として
一般に0.001〜10mmol/kg、好ましくは
0.05〜0.5mmol/kgの量で投与する。ま
た、X線診断用造影剤として使用するためには、金属元
素イオン量として0.01〜20mmol/kg、好ま
しくは0.1〜10mmol/kgの量で投与する。更
に、放射線診断剤として使用するためには、370〜1
8500MBqの放射能量を投与する。通常は静脈内に
投与するが、場合により経口的あるいは動脈内に投与し
てもよい。
【0013】本発明の画像診断用造影剤は、血中滞留性
が血中半減期として臨床上有効と考えられる0.5〜5
時間の範囲にある。このことは、例えば高磁場核磁気共
鳴装置に比べ撮像に時間を要する低磁場核磁気共鳴装置
において、造影剤によるプロトン緩和効果の収集効率を
上げる目的に有効である。また、金属単位量当たりの緩
和効果が高いことも有利に作用する。例えば、プロトン
緩和効果の収集効率が低い低磁場核磁気共鳴装置による
診断では金属の単位量当たりの緩和効果が高いので検出
効率が向上し、撮像時間の短縮も可能となる。更に、D
TPA−Gdよりも分子当たりの緩和時間の短縮時間が
大きいので、同一磁場強度の装置においてDTPA−G
dと同一の造影効果を得たい場合には、本発明の画像診
断用造影剤のほうがDTPA−Gdよりも低用量で済
み、安全性の面でも有利となる。逆に、同一投与量であ
れば本発明の画像診断用造影剤のほうがより多くの生体
情報を提供することになり、臨床的な有用性が向上す
る。従って、本発明により、核磁気共鳴装置の磁場強度
あるいは撮像条件に適切な血中滞留性と有効な造影効果
を有する造影剤が提供されることとなった。
【0014】また、本発明の画像診断用造影剤は適切な
血中滞留性を示すことから、血管分布像(バスキュラリ
ティー)の評価を可能にする。従って、本発明の画像診
断用造影剤は、近年進歩が著しいMRアンギオグラフィ
ー用に特別なパルスシークエンスを使用せずとも血管が
画像化できるため、経静脈用の画像診断用造影剤として
も有用である。
【0015】本発明の画像診断用造影剤は、良好な水溶
性を有するから、それ自体で高濃度溶液の調製が可能で
ある。従って、溶液調製時に必ずしも溶解剤の使用を必
要としない。また、多核錯体化合物であることから、単
核錯体化合物に比較して調製溶液の全体のモル数を減少
させることができ、浸透圧の低下につながる。これらの
ことは、生体内投与の際に、循環系の容量あるいは体液
平衡に対する負荷を軽減させ、安全性の上で有利とな
る。
【0016】本発明の画像診断用造影剤は、注射用蒸留
水あるいは生理的に投与可能な水性溶剤に溶解させ調製
する。必要に応じてpH調整剤あるいは可溶化剤を添加
してもよい。pH調整剤としては水酸化ナトリウム、塩
酸などが、可溶化剤としてはN−メチルグルカミンなど
が例示される。
【0017】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定され
るものではない。なお、略称は以下の意義を有する。 DTPA :ジエチレントリアミンペンタ酢酸 DO3MA :1,4,7,10−テトラアザシクロド
デカン−1−アミノエチルカルバモイルメチル−4,
7,10−トリス〔(R,S)−メチル酢酸〕 R−CHI3:キトサントリマーの還元末端を還元処理
したもの R−CHI5:キトサンペンタマーの還元末端を還元処
理したもの R−GLU4:マルトテトライトール
【0018】(実施例1) R−CHI3−DTPA−Gdの合成 キトサントリマー(10g;16.3mmol)を蒸留
水(300ml)に溶解し、1M水酸化ナトリウムを用
いてpHを8に調整する。ここに水素化ホウ素ナトリウ
ム(1.9g;51.3mmol)を加え、減圧下で
3.5時間撹拌した。2M塩酸を用いてpHを約2に調
整し、電気透析にて脱塩を行い生成物(9g)を得た。
ニンヒドリン法によるアミノ基、硫酸発色法による糖骨
格およびブリックス法による還元末端処理の確認を行
い、生成物がR−CHI3であることを確認した。R−
CHI3(1.0g;1.63mmol)を蒸留水(1
0ml)に溶解し、初めに10M水酸化ナトリウム(5
ml)、次に無水DTPA(7.16g;20.0mm
ol)を素早く加え3時間撹拌した。次に、塩化ガドリ
ニウム・6水和物(7.45g;20.0mmol)を
加え適量の1M水酸化ナトリウムを加えpHを7に調整
後30分間撹拌した。過剰のDTPAを除去するため電
気透析を120時間行った後、濃縮乾固し白色結晶(4
50mg)を得た。Gd含有量は15.8wt%であっ
た。
【0019】(実施例2) R−CHI5−DTPA−Gdの合成 実施例1記載のR−CHI3の合成法と同様にして、R
−CHI5−DTPA−Gdを合成した。R−CHI5
(100g;99.4mmol)を蒸留水(1500m
l)に溶解し、10M水酸化ナトリウム(600m
l)、次いで無水DTPA(700g;1981mmo
l)を素早く加え3時間攪拌した。次に、塩化ガドリニ
ウム・6水和物(884g;2377mmol)を加
え、pHを7に調整後、30分間攪拌した。過剰のDT
PA−Gdを除去するために電気透析を400時間行っ
た後、濃縮乾固し白色結晶(200g)を得た。Gd含
量は19.5wt%であった。
【0020】(実施例3) R−GLU4−DO3MA−Biの合成 DO3MA(3.0g;5.7mmol)を蒸留水(1
50ml)に溶解し、塩化ビスマス(1.8g;5.7
mmol)を加えた後、1M水酸化ナトリウムを用いて
pHを7にした。その後60℃で24時間加熱撹拌後、
ろ過し、濃縮乾固した。DO3MAにビスマスがキレー
トした化合物DO3MA−Bi(5.1g)が得られ
た。還元末端が還元処理された市販品であるR−GLU
4(0.5g;0.75mmol)を蒸留水(15m
l)に溶解し0.2Mメタ過ヨウ素酸ナトリウム(25
ml)を少量ずつ加えた後1時間撹拌した。次にDO3
MA−Bi(1.8g;2.4mmol)、トリエチル
アミン(0.25g;2.4mmol)を加え室温で2
4時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.1g;
2.4mmol)を加えて4時間撹拌後、ろ過し沈殿を
取り除いた。次に過剰の水素化ホウ素ナトリウムを除去
するため1M塩酸を少量ずつ加えpHを5まで下げた
後、ろ過し沈殿を取り除き、1M水酸化ナトリウムでp
Hを7にした。精製のため透析(分画分子量500の透
析膜)を40時間行い、濃縮乾固し白色結晶(170m
g)を得た。Bi含有量は14.1wt%であった。
【0021】(実施例4) R−CHI3−DTPA−Gdの緩和度の測定(イン・
ビトロ実験) R−CHI3−DTPA−Gdおよび比較対象としてD
TPA−Gdの緩和度を測定した。測定濃度は、Gd濃
度として4、2、1および0.5mM水溶液になるよう
に溶解させた。この化合物に露呈された水プロトンとの
関係をNMR(0.5Tおよび1.5T)により、37
℃における緩和時間(T1およびT2;msec)とし
て測定し、本数値をもとに緩和度(それぞれR1および
R2;(mM・S)-1)を算出した。結果を表1に示
す。R−CHI3−DTPA−Gdは、イン・ビトロに
おいて良好な緩和効果を有し、その結果は同様の手法で
測定した単核錯体であるDTPA−Gdよりも明らかに
高く、有効性が明らかになった。
【0022】
【表1】
【0023】(実施例5) R−CHI5−DTPA−Gdの緩和度の測定(イン・
ビトロ実験) R−CHI5−DTPA−Gdおよび比較対象としてD
TPA−Gdの緩和度を測定した。測定濃度は、Gd濃
度として4、2、1および0.5mM水溶液になるよう
に溶解させた。この化合物に露呈された水プロトンとの
関係をNMR(0.5T)により、37℃における緩和
時間(T1およびT2;msec)として測定し、本数
値をもとに緩和度(それぞれR1およびR2;(mM・
S)-1)を算出した。結果を表2に示す。R−CHI5
−DTPA−Gdは、イン・ビトロにおいて良好な緩和
効果を有し、その結果は同様の手法で測定した単核錯体
であるDTPA−Gdよりも明らかに高く、有効性が明
らかになった。
【0024】
【表2】
【0025】(実施例6) R−CHI3安定性の検討 R−CHI3の官能基であるアミノ基は、二官能性配位
子の架橋鎖部分が例えば酸ハロゲンである場合、その反
応においては塩基性触媒を加える必要がある。塩基性触
媒として炭酸カリウムを用い本触媒存在下でのR−CH
I3および還元末端を処理していないキタサントリマー
(CHI3)の安定性の検討を行った。R−CHI3お
よびCHI3(1g)を各々0.5M炭酸カリウム水溶
液に溶解させた。室温下にて撹拌し、薄層クロマトグラ
フ法(固定相;シリカゲル60、移動相;クロロホル
ム:メタノール:アンモニア水=2:2:1、検出法;
ニンヒドリン法)によりそれらの安定性の検討を行っ
た。撹拌直後はR−CHI3はRf=0.08、CHI
3はRf=0.17に展開された。撹拌12時間後、R
−CHI3は攪拌直後と同様にRf=0.08に展開さ
れたが、CHI3はRf=0.17のスポットが消失
し、新たに原点部分に発色が認められた。この結果か
ら、R−CHI3は塩基性触媒下において、長時間を要
する反応により安定であることが確認された。
【0026】(実施例7) 担癌ラットを用いたR−CHI5−DTPA−Gdの造
影効果 ラボナール麻酔を施した雌WKAラット(200g,ラ
ット肝細胞癌kDH−8を移植)にR−CHI5−DT
PA−Gd溶液(Gdとして0.5M)を尾静脈に固定
したカニューレにより投与(Gdとして0.2mmol
/kg)し、核磁気共鳴装置(Bruker社製Ome
ga−CSI)内に伏臥位固定し、磁場強度2T、ラッ
トボディ用イメージングコイルで担癌部位の撮像を行っ
た。撮像条件は、スピンエコー法でスライス厚2mm、
解像度256×128のT1強調(TR=600mse
c,TE=12msec)にて実施した。その結果を図
1に示す。この結果から、R−CHI5−DTPA−G
dは、雌WKAラットの担癌部位を良好に造影すること
が確認された。
【0027】
【発明の効果】本発明によって、製造に当たり不必要な
副反応を誘発することなく容易に製造され、しかも安定
で、水に対して良好な可溶性を持ち、しかも生理学的に
許容できる核磁気共鳴診断、X線診断あるいは放射線診
断などに有用である画像診断用造影剤を提供することが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 R−CHI5−DTPA−Gd溶液を投与し
たラットの担癌部位の断層を示す写真(生物の形態)で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 世利 重実 千葉県袖ヶ浦市北袖3番地1 日本メジ フィジックス株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 平5−97712(JP,A) 特開 平5−25059(JP,A) 特開 平6−256374(JP,A) 特開 平6−41202(JP,A) 特開 平7−224050(JP,A) 特開 平7−2679(JP,A) 特表 平3−502338(JP,A) 特表 昭63−501798(JP,A) 米国特許5330743(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 49/00 - 51/12

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糖鎖の還元末端が還元処理された分子量5
    00〜2000のアミノオリゴ糖のアミノ基、または構
    成単糖のうち少なくとも1つが酸化開裂され且つ糖鎖の
    還元末端が還元処理された分子量500〜2000のオ
    リゴジアルデヒド化糖のアルデヒド基に、少なくとも1
    つ以上の二官能性配位子を化学的に結合させ、この二官
    能性配位子に原子番号21〜29、31、32、37〜
    39、42〜44、49または56〜83の群から選ば
    れた少なくとも1種の金属元素イオンが配位してなる化
    合物を含むことを特徴とする画像診断用造影剤。
  2. 【請求項2】還元処理されるアミノオリゴ糖がキトサン
    オリゴ糖あるいはガラクトサミノオリゴ糖である請求項
    1記載の画像診断用造影剤。
  3. 【請求項3】キトサンオリゴ糖あるいはガラクトサミノ
    オリゴ糖が3糖、4糖、5糖または6糖である請求項2
    記載の画像診断用造影剤。
  4. 【請求項4】オリゴジアルデヒド化糖が、D−グルコー
    スを構成単糖とするマルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ
    糖、ラミナリオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖の酸化開裂体
    である請求項1記載の画像診断用造影剤。
  5. 【請求項5】二官能性配位子が鎖状または環状のポリア
    ミノポリカルボン酸である請求項1記載の画像診断用造
    影剤。
  6. 【請求項6】ポリアミノポリカルボン酸がジエチレント
    リアミンペンタ酢酸、1,4,7,10−テトラアザシ
    クロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸、あるい
    は1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−
    1,4,8,11−テトラ酢酸またはそれらの誘導体で
    ある請求項5記載の画像診断用造影剤。
  7. 【請求項7】金属元素イオンがGd、Dy、Tb、H
    o、ErあるいはFeである請求項1、2、3、4、5
    または6のいずれかに記載の画像診断用造影剤。
  8. 【請求項8】金属元素イオンがBi、PbあるいはOs
    である請求項1、2、3、4、5または6のいずれかに
    記載の画像診断用造影剤。
  9. 【請求項9】金属元素イオンがCo、Cu、Ga、G
    e、Sr、Y、Tc、In、Sm、Yb、ReまたはI
    rの放射性同位体である請求項1、2、3、4、5また
    は6のいずれかに記載の画像診断用造影剤。
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