JPH08147680A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH08147680A
JPH08147680A JP28694394A JP28694394A JPH08147680A JP H08147680 A JPH08147680 A JP H08147680A JP 28694394 A JP28694394 A JP 28694394A JP 28694394 A JP28694394 A JP 28694394A JP H08147680 A JPH08147680 A JP H08147680A
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recording medium
magnetic
lubricant
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JP28694394A
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Koji Uchida
幸司 内田
Yuzo Yamamoto
裕三 山本
Yoshiyuki Nahata
嘉之 名畑
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面の摩擦係数が低く且つ耐久性に優れた磁
気記録媒体及びその製造方法を提供すること。 【構成】 支持体と、該支持体上に設けられた軟磁性層
と、該軟磁性層上に設けられた垂直磁気記録層と、該垂
直磁気記録層上に設けられた保護層と、該保護層上に設
けられた潤滑剤層とを具備し、上記潤滑剤層は、フッ化
炭素系化合物と酸素との気相重合により得られた重合体
により形成されており、且つ上記保護層に固着された固
定層と該固定層上に形成されたフリー層とからなること
を特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、垂直磁気記録方式を利
用した磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
磁気ディスク等の磁気記録媒体に対しては、その高記録
密度化の要求が益々高まっており、磁気ディスクの記録
密度は著しく向上している。そして、最近では、記録密
度を向上させる磁気記録媒体として、垂直磁気記録方式
を採用したものが注目されている。該垂直磁気記録方式
は、現在実用化されている面内記録方式と異なり、磁化
容易軸が膜面に対し垂直方向である記録磁性層に記録磁
化を形成する方式であり、記録密度が高くなるほど反磁
界による自己減磁作用が小さくなる特徴を有する。この
ため、次世代の高密度情報記録システムにおける記録媒
体として、垂直磁気記録方式を利用した磁気記録媒体の
研究開発が精力的に行われている。
【0003】一般的な垂直磁気記録方式を利用した磁気
記録媒体の構造を図1に示す。図1に示す磁気記録媒体
21は、Al合金等からなる基板21と、該基板21上
に無電解めっき等により設けられ、更にその後に鏡面研
磨仕上げされたNiFe合金からなる軟磁性薄膜23
と、該軟磁性薄膜23上に設けられたCoCr系合金等
からなる垂直磁性膜24と、該垂直磁性膜24上に設け
られたカーボン等からなる保護層25と、該保護層25
上に設けられた潤滑層26とからなる。
【0004】そして、垂直磁気記録方式においては、ス
ペーシング(磁気ヘッドと媒体表面との距離)ロスによ
る再生出力の減少を防ぐためにコンタクトレコーディン
グ方式が採用されている。従って、上記垂直磁気記録方
式には、下記(1)及び(2)の課題を満足することが
要求されている。 (1)磁気ヘッドと磁気記録媒体とのスペーシングを限
りなく0に近づけること。 (2)磁気ヘッドと磁気記録媒体との摩擦力(摩擦係
数)を限りなく小さくすること。
【0005】上記(1)の課題に対しては、磁気記録媒
体の表面平滑性を高めることが有効であるため、基板を
表面研磨処理した後、軟磁性薄膜を無電解めっきして設
け、その後再度鏡面研磨する方法が行われており、これ
により、表面粗度Ra<0.5nmの高い表面平滑性を
実現している。このような方法が採用されているのは、
基板の表面研磨だけでは、要求される程度(Ra<1n
m)の高い表面平滑性が得られないためである。
【0006】上記(2)の課題に対しては磁気記録媒体
の表面潤滑性を高めることが有効であるため、上記潤滑
層に関して種々提案がなされている。
【0007】上記提案としては、例えば、レーザー光を
用いた気相重合法により、磁気ディスク等の磁気記録媒
体の表面に直接フッ素系重合体を形成して、該表面に固
着されてなる潤滑層を形成する方法等が提案されてい
る。しかし、上述の方法では、潤滑層はその全てが磁気
記録媒体の表面に固着されているため上記潤滑層の密着
度は向上するものの、未だ要求されている耐久性を満足
するものではなかった。
【0008】一方、潤滑層を固定層とフリー層との2層
構造として耐久性を向上させる方法も提案されており、
このうちフリー層の膜厚を厚くした場合には、耐久性は
要求されているレベルにまで向上する。しかし、要求さ
れているレベルにまで耐久性が向上されるように上記フ
リー層の膜厚を厚くすると、ディスクの表面粗さが小さ
いため、該潤滑剤層の摩擦係数が高くなり、磁気記録媒
体の使用時に磁気ヘッドに対するヘッド吸着を起こすと
いう問題がある。
【0009】従って、本発明の目的は、表面の摩擦係数
が低く且つ耐久性に優れた磁気記録媒体及びその製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解消するために鋭意検討した結果、特定の化合物を用
いて形成した特定構造の潤滑剤層を具備する磁気記録媒
体が上記目的を達成しうることを知見した。
【0011】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、支持体と、該支持体上に設けられた軟磁性層
と、該軟磁性層上に設けられた垂直磁気記録層と、該垂
直磁気記録層上に設けられた保護層と、該保護層上に設
けられた潤滑剤層とを具備する磁気記録媒体において、
上記潤滑剤層は、フッ化炭素系化合物と酸素との気相重
合により得られた重合体により形成されており、且つ上
記保護層に固着された固定層と該固定層上に形成された
フリー層とからなることを特徴とする磁気記録媒体を提
供するものである。
【0012】また、本発明は、上記磁気記録媒体の好ま
しい製造方法として、潤滑剤層の形成に際して、真空条
件下で気相重合を行い、フッ化炭素系化合物と酸素とを
重合させて潤滑剤層を形成する第1の重合工程と、水蒸
気を導入した後、真空条件下で気相重合を行い、フッ化
炭素系化合物と酸素とを重合させて潤滑剤層を形成する
第2の重合工程とを、順次行うことを特徴とする磁気記
録媒体の製造方法を提供するものである。
【0013】以下、本発明の磁気記録媒体について詳細
に説明する。本発明の磁気記録媒体は、支持体と、該支
持体上に設けられた軟磁性層と、該軟磁性層上に設けら
れた垂直磁気記録層と、該垂直磁気記録層上に設けられ
た保護層と、該保護層上に設けられた潤滑剤層とを具備
する磁気ディスク等の磁気記録媒体である。
【0014】本発明において用いられる上記支持体は、
磁性支持体と非磁性支持体とのいずれをも用いることが
できるが、一般的には非磁性支持体が用いられる。上記
非磁性支持体としては、例えば、ガラス状カーボン等の
カーボン、強化ガラス、結晶化ガラス、アルミニウム及
びアルミニウム合金、チタン及びチタン合金、セラミッ
クス、樹脂、あるいはこれらの複合材料からなる基板が
用いられる。これらの中でも、ガラス状カーボン製の基
板は、耐熱性、軽量性等の点において特に優れたもので
あり、本発明において特に好ましく用いることができ
る。
【0015】また、上記支持体には、必要に応じて、各
種のテクスチャ処理を施してもよい。上記テクスチャ処
理としては、例えば、研磨テープや研磨砥粒を用いての
処理、酸によるエッチング処理、熱酸化や陽極酸化処
理、シリケート化合物をスピンコートにより表面析出さ
せる処理、プラズマアッシング等による粗面化処理等を
挙げることができる。
【0016】本発明において上記支持体上に設けられる
上記軟磁性層としては、例えば、無電解めっき又はスパ
ッタ等のPVD(物理的気相成長)手段により設けられ
た高透磁率磁性合金からなる層が挙げられる。上記高透
磁率磁性合金としては、NiFe,NiFeNb,Co
Zr,CoZrNb,FeSi,FeSiN,FeSi
Alおよび(Fe,Co,Ni)−(Si,B,C,
P,Al,Zr,Hf,Y,Ti,Nb,Ta,W,
V,Mo,Cr及びCu等からなる群より選ばれる1種
あるいは2種以上)等が挙げられ、使用に際しては、単
独又は混合物として用いることができる。上記軟磁性層
の膜厚は、3000〜10000nmであるのが好まし
い。
【0017】本発明において、上記軟磁性層上に設けら
れる上記垂直磁気記録層としては、例えば、スパッタ層
のPVD手段等により設けられた金属薄膜型の垂直磁気
記録層を挙げることができる。該金属薄膜型の垂直磁気
記録層を形成する材料としては、例えばCoCr,Co
Ni,CoCrX,CoNiX,CoWX(ここで、X
は、Ta,Pt,Au,Ti,V,Cr,Ni,W,L
a,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Li,S
i,B,Ca,As,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,R
h,Ag,Sb及びHf等からなる群より選ばれる一種
又は二種以上を示す)等で表されるCoを主成分とする
Co系の磁性合金が挙げられる。上記垂直磁気記録層の
膜厚は、20〜80nm、更には20〜50nmである
のが好ましい。
【0018】本発明において上記垂直磁気記録層上に設
けられる上記保護層は、例えば、PVDやスピンコーテ
ィング等により形成される層であり、耐磨耗性の観点か
ら力学的強度の高い材料で形成されているのが好まし
い。上記保護層を形成する材料としては、例えば、A
l、Si、Ti、Cr、Zr、Nb、Mo、Ta、W等
の金属の酸化物(酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等);
該金属の窒化物(窒化ホウ素等);該金属の炭化物(炭
化ケイ素、炭化タングステン等);ダイヤモンドライク
カーボン等のカーボン(炭素)又はボロンナイトライド
等ならなる群より選択される一種以上が用いられる。ま
た、上記材料の中でも、カーボン、炭化ケイ素、炭化タ
ングステン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化ホウ
素又はこれらの複合材料が好ましく、更に好ましくはカ
ーボンであり、中でも特にダイヤモンドライクカーボン
が好ましい。また、上記保護層の膜厚は、5〜25nm
であるのが好ましい。
【0019】而して、本発明の磁気記録媒体は、上記保
護層上に設けられる上記潤滑剤層がフッ化炭素系化合物
と酸素との重合体により形成されている。上記フッ化炭
素系化合物としては、下記一般式(I)、(II)又は
(III)で表される化合物等が挙げられる。
【0020】CF2 =CFRf ・・・・(I) (式中、Rf は、フッ素原子、パーフルオロアルキル
基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アルキル
基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリール
基又は部分フッ素化アリール基を示す)
【0021】 CF2 =C(Rf)(Rf')・・・・(II) (式中、Rf,Rf'は、水素原子、フッ素原子、パーフ
ルオロアルキル基、パーフルオロアルケニル基、部分フ
ッ素化アルキル基、部分フッ素化アルケニル基、パーフ
ルオロアリール基又は部分フッ素化アリール基を示す)
【0022】CF2 =CFORf ・・・・(III) (式中、Rf は、フッ素原子、パーフルオロアルキル
基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アルキル
基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリール
基、部分フッ素化アリール基又はパーフルオロアルコキ
シアルキル基を示す)
【0023】上記一般式(I)において、好ましいパー
フルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル(C
3−)、パーフルオロヘプチル(C511−)、パーフ
ルオロヘキシル(C613−)、好ましいパーフルオロ
アルケニル基としては、パーフルオロエチニル(CF2
=CF−)、好ましい部分フッ素化アルキル基として
は、1H−パーフルオロブチル(C48H−)、好まし
い部分フッ素化アルケニル基としては、−CF2−CF
=CH2 、好ましいパーフルオロアリール基としては、
パーフルオロベンジル(−CF2−C65)、好ましい
部分フッ素化アリール基としては、−CFH−C65
−CF2−C65がそれぞれ挙げられる。
【0024】上記一般式(II)において、好ましいパ
ーフルオロアルキル基としては、CF3−、C511−、
613−、CF3CF2−、好ましいパーフルオロアル
ケニル基としては、−CF=CF2、−CF2CF=CF
2、好ましい部分フッ素化アルキル基としては、−CF2
H、−CF2CF2H、好ましい部分フッ素化アルケニル
基としては、−CF2−CF=CH2、−CF=CH2
好ましいパーフルオロアリール基としては、−CF2
65、好ましい部分フッ素化アリール基としては、−
CFH−C65、−CF2−C65がそれぞれ挙げられ
る。
【0025】上記一般式(III)において、好ましい
パーフルオロアルキル基としては、CF3−、C5
11−、C613−、CF3CF2−、好ましいパーフルオ
ロアルケニル基としては、CF2=CF−、−CF2CF
=CF2、好ましい部分フッ素化アルキル基としては、
48H−、−CF2H、−CF2CF2H、好ましい部
分フッ素化アルケニル基としては、−CF2−CF=C
2、−CF=CH2、好ましいパーフルオロアリール基
としては、−CF2−C65、好ましい部分フッ素化ア
リール基としては、−CFH−C65、−CF2−C6
5、好ましいパーフルオロアルコキシアルキル基として
は、−CF2CF(CF3)OC37がそれぞれ挙げられ
る。
【0026】従って、好ましい上記一般式(I)で表さ
れる化合物としては、テトラフルオロエチレン(CF2
=CF2)、ヘキサフルオロプロペン(CF2=CFCF
3)、パーフルオロヘプテン−1(CF2=CFC
511)、6H−パーフルオロヘキセン−1(CF2=C
FC48H)、パーフルオロオクテン−1(CF2=C
FC613)、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン
(CF2=CFCF=CF2)、3−(ペンタフルオロフ
ェニル)ペンタフルオロプロペン−1(CF2=CFC
265)、CF2=CFCHF−C65、CF2=C
FCF2−C65、CF2=CFCF2CF=CH2等が挙
げられる。
【0027】また、好ましい上記一般式(II)で表さ
れる化合物としては、CF2=C−(CF32、CF2
CH2、CF2=CHF、CF2=CHCF3、CF2=C
HCF2CF3、CF2=CHCF=CF2、CF2=CH
CF2CF=CF2、CF2=CHCF2H、CF2=CH
CF2CF2H、CF2=CHCF2CF=CH2、CF2
CHCF=CH2、CF2=CHCFH−C65、CF2
=CHCF2−C65等が挙げられる。
【0028】また、好ましい上記一般式(III)で表
される化合物としては、CF3OCF=CF2、C511
OCF=CF2、C613OCF=CF2、CF3CF2
CF=CF2、CF2=CFOCF=CF2、CF2=CF
OCF2CF=CF2、C48HOCF=CF2、CF2
CFOCF2H、CF2=CFOCF2CF2H、CF2
CFOCF2−CF=CH2、CF2=CFOCF=C
2、CF2=CFOCF2−C65、CF2=CFOCF
H−C65、CF2=CFOCF2−C65、CF2=C
FOCF2CF(CF3)OC37等が挙げられる。
【0029】また、上記フッ化炭素系化合物としては、
例えば、モノフルオロエチレン、モノフルオロプロペ
ン、ジフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、モノ
フルオロブテン、ジフルオロブテン、トリフルオロオブ
テン、テトラフルオロブテン、ペンタフルオロブテン、
ヘキサフルオロブテン、モノフルオロペンテン、ジフル
オロペンテン、トリフルオロペンテン、テトラフルオロ
ペンテン、ペンタフルオロペンテン、ヘキサフルオロペ
ンテン、パーフルオロ−1−ペンテン、モノフルオロブ
タジエン、ジフルオロブタジエン、トリフルオロブタジ
エン、テトラフルオロブタジエン、ペンタフルオロブタ
ジエン等を用いることもできる。尚、上記フッ化炭素系
化合物は、上述の例示した化合物をそれぞれ単独又は混
合物として用いることができる。
【0030】また、上記フッ化炭素系化合物と酸素との
使用割合は、フッ化炭素系化合物/酸素(モル比)が好
ましくは1/0.5〜1/100、更に好ましくは1/
1〜1/10、最も好ましくは1/2〜1/8である。
上記使用割合が1/100より低いと、レーザー光等の
吸収効率が低下し、重合が十分とはいえず、1/0.5
より高いと、重合体中のエーテル結合量が低下し、耐久
特性が低下するので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0031】そして、上記フッ化炭素系化合物と酸素と
の重合体は、主として−(CF2O)−の構造単位を有
する重合体であり、その分子量は、好ましくは1500
〜30000である。上記重合体の構造は完全には判っ
ていないが、例えば、下記構造式で示される重合体等が
推定される。 X-(CF2O)l-(CF2CF2CF2O) m -(CF(CF3)CFO) n X ’ 〔ここで、l、m及びnは、正の整数を示し(但し、l
≫m、n)、また、x及びx’は、アルコール又はエー
テル結合、エステル結合、ウレタン結合等を含む末端部
を示す。〕 そして、上記重合体における上記−(CF2O)−の構
造単位の含有率は、全構造単位中70%以上であるのが
好ましく、例えば、上記構造式で表される重合体におい
ては(l/l+m+n)×100が70%以上であるの
が好ましい。
【0032】また、上記潤滑剤層は、上記保護層に固着
された固定層と該固定層上に形成されたフリー層とから
なる。ここで、上記固定層とは、上記保護層に化学的又
は物理的に強固に固着されており、例えば商品名「フロ
ン113」等のフッ素系溶媒を用いて洗浄しても洗い流
されない層であり、上記フリー層とは、上記フッ素系溶
媒を用いて洗浄した場合に洗い流されてしまう層であ
る。
【0033】上記固定層の厚さ(重さ)と上記フリー層
の厚さ(重さ)との比は、フリー層の厚さ(重さ)/固
定層の厚さ(重さ)が好ましくは1/10〜10/1、
更に好ましくは2/5〜5/1である。上記固定層の膜
厚は、5〜30Åであるのが好ましい。5Å未満である
と、耐摩耗性が悪く耐久性が劣り、30Åを超えると、
膜の構造が乱れ、再び耐摩耗性が劣化するので上記範囲
内とするのが好ましい。また上記フリー層の膜厚は、2
〜80Åであるのが好ましい。2Å未満であると、耐久
性が悪く、80Åを超えると、摩擦係数が増大するので
上記範囲内とするのが好ましい。このように、本発明の
磁気記録媒体は、上記フリー層の膜厚を従来のフリー層
の膜厚(8〜20Å)よりも厚くしても、磁気記録媒体
表面の摩擦係数が高くならないものであるため、本発明
における上記フリー層の膜厚は、従来の磁気記録媒体に
おけるフリー層の膜厚よりも厚くすることができる。
【0034】また、上記の固定層及びフリー層からなる
上記潤滑剤層の膜厚は、好ましくは2〜200Å、より
好ましくは10〜100Å、更に好ましくは20〜80
Å、最も好ましくは20〜50Åである。上記膜厚が1
00Åを超えるとスペーシングロスが大きくなり、10
Å未満であると潤滑効果が乏しくなるので、上記範囲内
であるのが好ましい。
【0035】また、本発明の磁気記録媒体には、上記支
持体と上記軟磁性層との間に下地層を形成してもよい。
上記下地層は、Cr、Ti、Al又はこれらの合金等を
用い、スパッタ等のPVD手段により設けることができ
る。上記下地層の膜厚は、10〜100nmとするのが
好ましい。
【0036】次に、本発明の磁気記録媒体の好ましい製
造方法について説明する。本発明の磁気記録媒体の製造
方法は、上記潤滑剤層の形成に際して、真空条件下で気
相重合を行い、上記フッ化炭素系化合物と酸素とを重合
させて上記潤滑剤層を形成する第1の重合工程と、水蒸
気を導入した後、真空条件下で気相重合を行い、上記フ
ッ化炭素系化合物と酸素とを重合させて上記潤滑剤層を
形成する第2の重合工程とを、順次行うことにより実施
することができる。ここで、上記第1の重合工程は、主
として上記固定層を形成する工程であり、上記第2の重
合工程は、主として上記フリー層を形成する工程であ
る。即ち、上記第1の重合工程においてもフリー層が形
成されることがあり、上記第2の重合工程においても固
定層が形成されることがある。尚、上記潤滑剤層の形成
以外の工程に関しては、通常公知の磁気記録媒体の製造
方法と同様の方法を特に制限なく、採用することができ
る。
【0037】先ず、上記の第1及び第2の重合工程にお
いて行われる上記気相重合について説明する。上記気相
重合とは、上記フッ化炭素系化合物と上記酸素とを気相
にガス状態で保持した系で重合を行い、重合反応を気相
のみで生ぜしめる重合方法を意味する。重合に際して採
用することができる手法としては、例えば、プラズマ重
合や光CVD(化学的気相成長)等のCVDを採用する
ことができるが、本発明においては、装置・設備が簡単
なもので済む点から光CVDが好ましく採用される。
【0038】上記光CVDにより重合を行う場合には、
レーザ光を被析出物体表面(即ち、上記保護層の表面)
には直接照射せず、原料ガス中にのみ照射して行うのが
好ましい。
【0039】この際、用いることができる光源として
は、紫外線及び赤外線が挙げられるが、下記する理由に
より、紫外線を用いるのが好ましく、具体的には、例え
ば193nmのエキシマレーザ光等を好ましく用いるこ
とができる。即ち、赤外線を光源とする赤外レーザによ
る反応は、基本的に振動励起による反応であるから、本
質的に熱反応と同じであり、サイドリアクションが生じ
て目的物以外の生成物が生成し、形成膜の構造制御が困
難である。一方、紫外線を光源とする紫外レーザは、電
子励起により重合反応を起こすものであり、反応の選択
性が良く、更には、熱反応の関与が極めて低いため、サ
イドリアクションが生じる恐れが低い。
【0040】また、上記気相重合を行う際における基板
(保護層まで設けられたもの)の温度は10〜90℃に
設定されていることが好ましく、更には15〜50℃で
あるのが好ましい。上記範囲外であると上記潤滑剤層が
形成されない場合があるので、上記範囲内とするのが好
ましい。
【0041】次に、上記の第1及び第2の重合工程につ
いて、図2を参照して更に具体的に説明する。ここで図
2は、本発明の磁気記録媒体の製造方法において用いる
ことができる光反応用のチャンバーを示す模式図であ
る。
【0042】図2に示す光反応用のチャンバー1は、そ
の上方の左右両側面に設けられたレーザー光を透過する
レーザー透過窓2と、下部に設けられた磁気記録媒体と
しての磁気ディスク基板3(保護層まで設けられたも
の)を一定間隔をおいて立設させることができる媒体設
置部材4と、上部に設けられたチャンバー内部の減圧及
び大気解放を行うためのバルブ5とを有する。
【0043】そして、上記の第1の重合工程に際して
は、先ず、上記バルブ5を解放して、一旦、チャンバー
1内を真空ポンプ(図示せず)で減圧して真空にした
後、上記フッ化炭素系化合物及び酸素を導入して上記真
空条件とする。次に、エキシマレーザ光等を磁気ディス
ク基板3上部とチャンバ天井との間の中央を透過し且つ
該磁気ディスク基板3には当たらないように、図2に示
す矢印方向に照射する。従って、上記真空条件とは、真
空状態の反応容器内(1×10-5〜1Torr)に上記
フッ化炭素系化合物と上記酸素とを導入した状態を意味
し、この状態における気圧は、5〜200Torrとす
るのが好ましい。また、上記媒体設置部材4は、各磁気
ディスク基板3をその円周方向(図2の矢印D方向)に
向けて回転させることができるようになされている。
【0044】また、上記の第1の重合工程は、数回繰り
返されてもよい。
【0045】次いで、上記の第2の重合工程に際して
は、上記の第1の重合工程の終了後、上記バルブ5を解
放して、該第1の重合工程における上記真空条件を大気
圧条件に戻してチャンバー1内に水蒸気を導入した後、
上記の第1の重合工程と同様に、減圧して真空にした
後、上記フッ化炭素系化合物及び酸素を導入して上記真
空条件とし、エキシマレーザー光等を照射する。ここ
で、第2の重合工程における「真空条件」も、上記の第
1の重合工程における「真空条件」と同じである。ま
た、本発明において、上記の水蒸気の導入は、上述の如
く、上記チャンバー1を大気圧条件とすることによりに
大気を導入して行うのが好ましく、この際、導入される
該大気の相対湿度は、30〜90%であるのが好まし
く、40〜80%であるのが更に好ましい。
【0046】また、上記の第2の重合工程も、数回繰り
返されてもよい。尚、上記の第2の重合工程の後に、再
度上記の第1の重合工程を行うこともできる。また、上
記潤滑剤層の厚さ、特に上記フリー層の厚さは、上記気
相重合の条件(原料ガス圧、光照射条件や時間)や繰り
返し回数を調節することによって制御することができ
る。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】実施例1 中心線平均粗さRaが0.5nmに精密研磨されたガラ
ス状アモルファスカーボン製基板(サイズ1.8インチ
径、厚さ25ミル)を支持体11として用い、該支持体
11を精密洗浄(アルカリ洗浄→リンス→リンス→温純
水乾燥)した後、該支持体11上にインライン式の通過
型スパッタ装置にて厚さ500nmの軟磁性層12〔N
iFe(82−18原子%)〕を設け、該軟磁性層12
上に厚さ80nmの垂直磁気記録層13〔CoCrTa
(78−17−5原子%)〕を設け、更に該垂直磁気記
録層13上に厚さ10nmの保護層14(カーボン)を
設け、磁気ディスク基板3を得た。
【0049】得られた磁気ディスク基板3を用いて、図
2に示すように、CVD装置である光反応用のチャンバ
ー1内に所定の間隔を設けて、図2に示すように立設
し、チャンバー1内を5×10-2Torrに排気した
後、分圧が10Torrのヘキサフルオロプロペン(C
3 CF=CF2 )と60Torrの酸素とを導入し、
ArFエキシマレーザー(波長193nm)からのレー
ザー光(パワー150mJ、繰り返し速度2Hz)を1
2分間かけて1500パルス照射し、第1の重合工程を
1回行った。尚、この間、磁気ディスク基板3は、その
円周方向に向けて回転させた。
【0050】その後、チャンバー1をリークして湿度6
0%の大気(湿度60%)を導入し、大気圧条件にし
た。この後、再び、チャンバー1内を5×10-2Tor
rに排気した後、分圧が10Torrのヘキサフルオロ
プロピレン(CF3 CF=CF 2 )と60Torrの酸
素とを導入し、上記レーザー光を12分間かけて150
0パルス照射する工程を行った。更に、上記の照射の終
了後、同様の工程を再度行った。即ち、本実施例におい
ては、第2の重合工程を2回行った。尚、レーザー光は
磁気ディスク基板3に直接照射されないよう、図2に示
す矢印方向に向けて照射した。また、上記光CVD処理
に際して、磁気ディスク基板の温度は室温(22℃)と
した。
【0051】そして、上記光CVD処理により、図3に
示す磁気記録媒体としての磁気ディスク、即ち、支持体
11と、該支持体11上に設けられた軟磁性層12と、
該軟磁性層12上に設けられた垂直磁気記録層13と、
該垂直磁気記録層13上に設けられた保護層14と、該
保護層14上に設けられた潤滑剤層15とを具備してな
り、該潤滑剤層15が、該保護層14の表面に化学結合
により重合体分子が固着されてなる固定層15aと、該
固定層15a上に形成されたフリー層15bとからなる
磁気ディスクを得た。
【0052】尚、上記潤滑剤層15が固定層15aとフ
リー層15bとからなることは、下記及びにより確
認した。 上記磁気ディスクをフロン113で10分間超音波洗
浄して、重量変化の有無を確認したところ、重量減少が
認められたこと。 上記の洗浄の後にESCA(VGサイエンス社製のE
SCALAB200C、AlKα線使用)分析して、磁
気ディスクの表面における上記重合体の分子の残存の有
無を確認したところ、残存が認められたこと。
【0053】また、潤滑剤層についてのESCA分析に
よればClsについて294.7eV付近にピークが認
められ、これは市販のパープルオロポリエーテル潤滑剤
を用いて作成したデータベースにおける(CF2O)n ユニッ
トのClsスペクトルと一致したので、潤滑剤分子は主
として-(CF2O) n - の構造単位を有するものであること
が判った。尚、292、289eV付近にも小さなピー
クが観測されることから-(CF2O) n - の構造単位以外の
構造単位も少し共存すると考えられる。
【0054】実施例2〜4 光CVD処理(第1の重合工程及び第2の重合工程)の
条件を〔表1〕に示す条件に変更した以外は、実施例1
と同様にして、磁気ディスクを得た。
【0055】実施例5 支持体11として、Raが0.4nmに精密研磨された
強化ガラス基板(サイズ1.8インチ径、厚さ25ミ
ル)を用い、該支持体11を精密洗浄(アルカリ洗浄→
リンス→リンス→温純水乾燥)後、該支持体11上にイ
ンライン式の通過型スパッタ装置にて厚さ500nmの
軟磁性層12〔NiFe(82−18原子%)〕を設
け、該軟磁性層12上に厚さ70nmの垂直磁気記録層
13〔CoCrTa(78−17−5原子%)〕を設
け、更に該垂直磁気記録層13上に厚さ10nmの保護
層14(カーボン)を設け、磁気ディスク基板3を得、
得られた磁気ディスク基板3に対して、〔表1〕に示す
条件で光CVD処理(第1の重合工程及び第2の重合工
程)を行った以外は、実施例1と同様にして磁気ディス
クを得た。
【0056】実施例6 支持体11として、Raが0.8nmに精密研磨された
Al合金基板(サイズ1.8インチ径、厚さ25ミル)
を用い、該支持体11を精密洗浄(アルカリ洗浄→リン
ス→リンス→温純水乾燥)後、該支持体11上にインラ
イン式の通過型スパッタ装置にて厚さ500nmの軟磁
性層12〔NiFe(82−18原子%)〕を設け、該
軟磁性層12上に厚さ70nmの垂直磁気記録層13
〔CoCrTa(78−17−5原子%)〕を設け、更
に該垂直磁気記録層13上に厚さ10nmの保護層14
(カーボン)を設け、磁気ディスク基板3を得、得られ
た磁気ディスク基板3に対して、〔表1〕に示す条件で
光CVD処理(第1の重合工程及び第2の重合工程)を
行った以外は、実施例1と同様にして磁気ディスクを得
た。
【0057】実施例7 支持体11として、Raが0.5nmに精密研磨された
ガラス状アモルファスカーボン製基板(サイズ1.8イ
ンチ径、厚さ25ミル)を用い、該支持体11を精密洗
浄(アルカリ洗浄→リンス→リンス→温純水乾燥)後、
該支持体11上にインライン式の通過型スパッタ装置に
て厚さ500nmの軟磁性層12〔NiFe(82−1
8原子%)〕を設け、該軟磁性層12上に厚さ70nm
の垂直磁気記録層13〔CoCrTa(78−17−5
原子%)〕を設け、更に該垂直磁気記録層13上に厚さ
10nmの保護層14(炭化ケイ素)を設け、磁気ディ
スク基板3を得、得られた磁気ディスク基板3に対し
て、〔表1〕に示す条件で光CVD処理(第1の重合工
程及び第2の重合工程)を行った以外は、実施例1と同
様にして磁気ディスクを得た。
【0058】実施例8 支持体11として、Raが0.5nmに精密研磨された
ガラス状アモルファスカーボン製基板(サイズ1.8イ
ンチ径、厚さ25ミル)を用い、該支持体11を精密洗
浄(アルカリ洗浄→リンス→リンス→温純水乾燥)後、
該支持体11上にインライン式の通過型スパッタ装置に
て厚さ500nmの軟磁性層12〔NiFe(82−1
8原子%)〕を設け、該軟磁性層12上に厚さ70nm
の垂直磁気記録層13〔CoCrTa(78−17−5
原子%)〕を設け、更に該垂直磁気記録層13上に厚さ
10nmの保護層14(酸化ジルコニウム)を設け、磁
気ディスク基板3を得、得られた磁気ディスク基板3に
対して、〔表1〕に示す条件で光CVD処理(第1の重
合工程及び第2の重合工程)を行った以外は、実施例1
と同様にして磁気ディスクを得た。
【0059】実施例9 支持体11として、Raが0.5nmに精密研磨された
ガラス状アモルファスカーボン製基板(サイズ1.8イ
ンチ径、厚さ25ミル)を用い、該支持体11を精密洗
浄(アルカリ洗浄→リンス→リンス→温純水乾燥)後、
該支持体11上にインライン式の通過型スパッタ装置に
て厚さ500nmの軟磁性層12〔NiFe(82−1
8原子%)〕を設け、該軟磁性層12上に厚さ70nm
の垂直磁気記録層13〔CoCrPt(79−9−12
原子%)〕を設け、更に該垂直磁気記録層13上に厚さ
10nmの保護層14(カーボン)を設け、磁気ディス
ク基板3を得、得られた磁気ディスク基板3に対して、
〔表1〕に示す条件で光CVD処理(第1の重合工程及
び第2の重合工程)を行った以外は、実施例1と同様に
して磁気ディスクを得た。
【0060】実施例10 支持体11として、Raが0.5nmに精密研磨された
ガラス状アモルファスカーボン製基板(サイズ1.8イ
ンチ径、厚さ25ミル)を用い、該支持体11を精密洗
浄(アルカリ洗浄→リンス→リンス→温純水乾燥)後、
該支持体11上にインライン式の通過型スパッタ装置に
て厚さ500nmの軟磁性層12〔NiFe(82−1
8原子%)〕を設け、該軟磁性層12上に厚さ70nm
の垂直磁気記録層13〔CoCrPtB(75−9−1
0−6原子%)〕を設け、更に該垂直磁気記録層13上
に厚さ10nmの保護層14(カーボン)を設け、磁気
ディスク基板3を得、得られた磁気ディスク基板3に対
して、〔表1〕に示す条件で光CVD処理(第1の重合
工程及び第2の重合工程)を行った以外は、実施例1と
同様にして磁気ディスクを得た。
【0061】実施例11 支持体11として、Raが0.5nmに精密研磨された
ガラス状アモルファスカーボン製基板(サイズ1.8イ
ンチ径、厚さ25ミル)を用い、該支持体11を精密洗
浄(アルカリ洗浄→リンス→リンス→温純水乾燥)後、
該支持体11上にインライン式の通過型スパッタ装置に
て厚さ500nmの軟磁性層12〔FeSi(94−6
原子%)〕を設け、該軟磁性層12上に厚さ70nmの
垂直磁気記録層13〔CoCrTa(78−17−5原
子%)〕を設け、更に該垂直磁気記録層13上に厚さ1
0nmの保護層14(カーボン)を設け、磁気ディスク
基板3を得、得られた磁気ディスク基板3に対して、
〔表1〕に示す条件で光CVD処理(第1の重合工程及
び第2の重合工程)を行った以外は、実施例1と同様に
して磁気ディスクを得た。
【0062】
【表1】
【0063】比較例1 実施例1で用いた磁気ディスク基板3に、パーフルオロ
ポリエーテル系潤滑剤(モンテカチーニ社製の「Fombli
n AM2001」)溶液をディップコート法により塗布し、潤
滑剤層を形成した磁気ディスクを得た。
【0064】比較例2 実施例5で用いた磁気ディスク基板3に、パーフルオロ
ポリエーテル系潤滑剤(モンテカチーニ社製の「Fombli
n AM2001」)溶液をディップコート法により塗布し、潤
滑剤層を形成した磁気ディスクを得た。
【0065】比較例3 実施例6で用いた磁気ディスク基板3に、パーフルオロ
ポリエーテル系潤滑剤(モンテカチーニ社製の「Fombli
n AM2001」)溶液をディップコート法により塗布し、潤
滑剤層を形成した磁気ディスクを得た。
【0066】比較例4 潤滑剤層の膜厚を〔表2〕に示す膜厚(10Å)とした
以外は、比較例1と同様にして、潤滑剤層を形成した磁
気ディスクを得た。
【0067】〔特性〕上記実施例1〜11で得られた磁
気ディスクについて、それぞれ、潤滑剤層の厚さ、及び
フリー層の厚さ/固定層の厚さとの比を調べたので、そ
の結果を〔表2〕に示す。また、実施例1〜11及び比
較例1〜3で得られた磁気ディスクについて、下記の耐
久性テストを行った。その結果も〔表2〕に示す。*耐
久性テスト;フェライトヘッドを用いたCSS(Con
tact−Start−Stop)テストを下記の条件
で行い、下記評価基準に従って評価した。 (条件)ヘッド荷重;3.5gf 回転数 ;4500rpm、60000回 (評価基準) A:CSSを60000回行った後のμs (静止摩擦係
数)が、μs <1.0の場合。 B:CSSを60000回行った後のμs (静止摩擦係
数)が、μs >1.0の場合。 C:CSSを60000回行った後のμs (静止摩擦係
数)が、μs >2.0の場合。
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、表面の摩擦係
数が低く且つ耐久性に優れたものである。また、本発明
の磁気記録媒体の製造方法によれば、本発明の磁気記録
媒体を簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の垂直磁気記録方式を利用した磁
気記録媒体の1例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の磁気記録媒体の製造方法に用
いられる反応容器の1例としての光反応用チャンバーを
示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の磁気記録媒体の1例を示す概
略断面図である。
【符号の説明】
1 チャンバー 2 レーザー透過窓 3 磁気ディスク基板 4 媒体設置部材 5 バルブ 10 磁気記録媒体 11 支持体 12 下地層 13 磁性層 14 保護層 15 潤滑剤層 15a固定層 15bフリー層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に設けられた軟磁
    性層と、該軟磁性層上に設けられた垂直磁気記録層と、
    該垂直磁気記録層上に設けられた保護層と、該保護層上
    に設けられた潤滑剤層とを具備する磁気記録媒体におい
    て、 上記潤滑剤層は、フッ化炭素系化合物と酸素との気相重
    合により得られた重合体により形成されており、且つ上
    記保護層に固着された固定層と該固定層上に形成された
    フリー層とからなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記重合体が、主として−(CF2 O)
    −の構造単位を有することを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法
    であって、 潤滑剤層の形成に際して、真空条件下で気相重合を行
    い、フッ化炭素系化合物と酸素とを重合させて潤滑剤層
    を形成する第1の重合工程と、水蒸気を導入した後、真
    空条件下で気相重合を行い、フッ化炭素系化合物と酸素
    とを重合させて潤滑剤層を形成する第2の重合工程と
    を、順次行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記の水蒸気の導入を、上記の第1の重
    合工程の終了後、該第1の重合工程における真空条件を
    大気圧条件に戻すことにより行うことを特徴とする請求
    項3記載の磁気記録媒体の製造方法。
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