JPH08146949A - 電子楽器の音源音響装置 - Google Patents

電子楽器の音源音響装置

Info

Publication number
JPH08146949A
JPH08146949A JP6307120A JP30712094A JPH08146949A JP H08146949 A JPH08146949 A JP H08146949A JP 6307120 A JP6307120 A JP 6307120A JP 30712094 A JP30712094 A JP 30712094A JP H08146949 A JPH08146949 A JP H08146949A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound source
sound
musical instrument
signal
electric signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6307120A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Hayashi
和男 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd filed Critical Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Priority to JP6307120A priority Critical patent/JPH08146949A/ja
Publication of JPH08146949A publication Critical patent/JPH08146949A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のスピーカのような空気へのピストン振
動的電気音響変換器とは異なり、有弦自然楽器の固有共
鳴輻射音を利用することにより、自然楽器らしい音響発
生が可能な電子楽器の音源音響装置を提供することを目
的とする。 【構成】 固定部と板状振動体との間に電磁駆動ユニッ
トを取り付けた電気音響変換器と、有弦楽器の主共鳴弦
の両端または主共鳴振動体側の弦端振動体駆動力に相当
する電気波形信号を記憶する電気信号記憶手段および音
圧信号に相当する電気信号を記録する波形信号記録手段
とを有する音源システムと、前記電気音響変換器におけ
る入力伝達特性と逆特性の伝達関数を有するイコライザ
と、を有し、前記記録信号を前記イコライザを介して前
記電気音響変換器に印加することにより有弦自然楽器音
の音響をリアルに再生する電子楽器の音源音響装置であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子楽器、特に有弦電
子楽器に適する音源音響装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子楽器は、発生される、または
記憶されている音源を基礎として得られる電気信号をス
ピーカによって音響再生している。
【0003】通常、広く使用されるマグネチックスピー
カは、ボイスコイルに供給される可聴周波電流の強弱お
よび周波数に対応してコーン(振動体)により直接空気
を振動させ、電気・音響変換を行うものである。そのた
め、音像が一点に定位して楽器としての豊かな広がり感
に欠けることが指摘されている。
【0004】一方、有弦自然楽器における楽器本来の音
響は、気中共鳴または振動体共鳴による広がりをもった
音響であり、スピーカのようなコーン振動体による音響
とは性質が異なっている。
【0005】このような問題点を可能なかぎり解決する
ために、サラウンドシステムやステレオ録音波形の利用
等によって再生が行われている。
【0006】しかしながら、電子楽器の音響出力を従来
のスピーカによって得る発音システムはオーディオシス
テムの模倣に過ぎない。
【0007】すなわち、通常のオーディオシステムは、
リスナー・ポイントにおける音圧信号を電気信号に変換
記録し、その信号を適当に処理してスピーカシステムに
入力し、その周囲の空気をピストン強制駆動させ、リス
ナー・ポイントにおいて記録前と同じような音圧信号を
再生するものである。
【0008】そのため、有弦自然楽器の発生する音響と
従来の電子楽器における発音との間では、以下のような
問題点があった。
【0009】(1)電子楽器の再生システムが有弦自然
楽器の発音原理とは異なるオーディオシステムを模倣し
た方式であり、全域において皮相的な再生が可能である
反面、楽器本来のもつ個性的で豊かな響きが得られな
い。
【0010】(2)スピーカは、低機械インピーダンス
により、空気負荷をピストン駆動するため、ボイスコイ
ルが大きな振動変位となり、低域になるほど大きくな
り、磁束密度変化の非線形領域に到ることから高調波歪
みが発生しやすく、大出力を得ることが困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のスピ
ーカのような空気へのピストン振動的電気音響変換器と
は異なり、有弦自然楽器の固有共鳴輻射音を利用するこ
とにより、自然楽器らしい音響発生が可能な電子楽器の
音源音響装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、固定部11と
板状振動体12との間に電磁駆動ユニット13を取り付
けた電気音響変換器10と、有弦楽器の主共鳴弦の両端
または主共鳴振動体側の弦端振動体駆動力に相当する電
気波形信号を記憶する電気信号記憶手段2および音圧信
号に相当する電気信号を記録する波形信号記録手段3と
を有する音源システム1と、前記電気音響変換器10に
おける入力伝達特性と逆特性の伝達関数を有するイコラ
イザ4とを有し、前記波形信号記録手段3の記録する記
録信号を前記イコライザ4を介して前記電気音響変換器
10に印加することにより有弦自然楽器音の音響をリア
ルに再生できる電子楽器の音源音響装置である。
【0013】前記音源システム1に含まれる前記電気信
号記憶手段2が、有弦楽器の主共鳴弦の両端または主共
鳴振動体側の弦端振動体駆動力を電気信号に変換した信
号を記憶することを特徴とする。
【0014】前記音源システム1に含まれる前記電気信
号記憶手段2が、有弦楽器の主共鳴弦の両端または主共
鳴振動体側の弦端振動体駆動力に相当する電気信号を合
成した信号を記憶することを特徴とする。
【0015】前記音源システム1に含まれる前記波形信
号記録手段3が、音圧信号を電気信号に変換した波形を
記録することを特徴とする。
【0016】前記音源システム1に含まれる前記波形信
号記録手段3が、音圧信号に相当する電気信号を合成し
た波形を記録することを特徴とする。
【0017】
【作用】本発明にかかる電子楽器の音源音響装置によれ
ば、自然有弦楽器の弦端駆動力に相当する電気信号を、
電気音響変換器10のボイスコイル駆動信号として印加
している。同様にマイクロホンによる音圧信号に相当す
る電気信号を電気音響変換器10における入力伝達特性
と逆特性の伝達関数を有するイコライザ4を介してイコ
ライジングした後、電気音響変換器10のボイスコイル
駆動信号として印加している。
【0018】このようなイコライジングを行うのは、ボ
イスコイル15から振動板12を介してマイクロホンに
受ける音響放射を含めた伝達特性によって、マイクロホ
ン音圧波形を検出記録して、その波形をボイスコイルに
入力して再生させる時、波形が変化してしまう事態を回
避するためである。
【0019】この場合の音源音響装置における板状振動
体12による共鳴振動は、有弦楽器本来の共鳴音響出力
に近似するものであるため、電子楽器、特にピアノ、チ
ェンバロ、ギター、バイオリン、琴等の形態を採る有弦
電子楽器の音響システムとして利用することができる。
【0020】この音源音響装置における発音は板状振動
体12の共鳴振動であるため、振動体面積を大きくして
も、小さな駆動力により音響出力を得ることができる。
【0021】また、ピアノの響鳴板や電子ピアノの下前
板等の駆動点機械インピーダンスは、約3000機械オ
ーム(m/(N ・sec))で、スピーカの場合の約100倍程
度振動面積が大きいため、スピーカの約1/100位の
小振幅で音響出力が得られる。したがって、スピーカの
ような低域側における振幅歪みは発生し難い。
【0022】上述したような電気音響変換器における発
音原理から、板状振動体単体によって可聴体域全域にわ
たる再生が可能となる。
【0023】上述した電気音響変換器における発音原理
は、有弦自然楽器本来の共鳴音響出力形態に近似できる
ので、電子楽器等の音響システムとして有利に使用する
ことが可能である。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係る好適な実施例を添付図を
参照しながら詳述する。図1は本発明にかかる電子楽器
音源音響装置の概略構成を示すブロック図である。本装
置は、音源システム1、イコライザ4、面音源として機
能する電気音響変換器10から構成される。
【0025】音源システム1は、有弦楽器の音響波形信
号またはこれに近似するように合成した信号波形を記憶
する電気信号記憶手段2と、音圧信号波形を記録する波
形信号記録手段3とを包含する。
【0026】なお、有弦自然楽器の主共鳴弦の両端また
は主共鳴振動体側の弦端振動体駆動力を電気信号に変換
するには、弦の中間を支承する駒の近傍に配設された力
検出用のセンサであるフォースゲージや加速度検出用の
加速度ピックアップによって行うことができる。これら
センサやピックアップには、圧電素子を利用することが
できる。
【0027】ここで、上記イコライザ4は、後述するよ
うに電気音響変換器10における入力伝達特性と逆の伝
達特性を有するものである。このようなイコライザを使
用することにより、電気音響変換器10における音響再
生時に発生する振動板音響放射伝達特性の変化を補償
し、有弦楽器本来の個性的な音響を得ることができる。
【0028】この場合、前述の電気音響変換器10は、
同一出願人にかかる平成6年10月12日付け特許出
願、平成6年特許願第271851号の(発明の名称:
電気音響変換器)の構造を好適に採用することができ
る。
【0029】また、前記電気信号記憶手段2及び/又は
前記波形信号記録手段3において記憶または記録する波
形信号等は、自然楽器の実際の振動体駆動力や音圧信号
等を電気的に変換したものとすることができる。またこ
れらに相当する電気信号等を合成したものとすることも
できる。
【0030】図2は、電気音響変換器10の構成例を示
すものである。電気音響変換器10は基本的には、固定
部11と振動板12との間に、電磁駆動ユニット13を
配設し機能させているものである。電磁駆動ユニット1
3は、永久磁石14とボイスコイル15とから構成され
るが、両者は相互置換が可能である。
【0031】ここでは、振動板12には、ボイスコイル
15が、取り付け具16を介して取り付けられる。
【0032】固定部11には、永久磁石14およびヨー
ク(継鉄)17およびポールピース18からなるマグネ
ット系が固定される。ポールピース18の固定位置はボ
イスコイル15の内部に位置する部分で、永久磁石14
の先端である。このポールピース18は、磁極を延長す
るとともに、磁気作用をボイスコイル15に対して有効
に及ぼしめる機能を有する。
【0033】ボイスコイル15には、電気信号用リード
線19を介して、電気信号が供給される。
【0034】その結果、電磁駆動ユニット13の一方を
形成するボイスコイル15に供給される可聴周波電気信
号により、電磁駆動ユニット13の他方を形成する永久
磁石14の先端のポールピース18およびヨーク17と
の間に、周波数の高低ならびに信号の強弱に応じた吸引
・反発力が作用する。
【0035】図2の構成では、永久磁石14、ヨーク1
7ならびにポールピース18からなるマグネット系は、
固定部11に固定されており、可動コイル形として構成
されている。したがって、電磁ユニット間に生ずる吸引
・反発力は、ボイスコイル15への反作用力として、ほ
とんど全て振動板12を振動させるための駆動力とな
る。
【0036】この場合の振動板12の特性を考慮するこ
とにより、面状音源として自然楽器に近似する音響出力
を得ることができる。なお、可動部を形成する振動板1
2、ボイスコイル15ならびに取り付け具16は、総体
的に音響発生源に相応しい構成となるよう配慮すること
が望ましい。
【0037】図1において、音源システム1を構成する
一方の要素である電気信号記憶手段2は、有弦楽器の主
共鳴弦の両端または主共鳴振動体における弦端振動体駆
動力を電気信号に変換したもの、又はこれに合わせて合
成した電気信号の波形を記憶するものである。
【0038】また、音源システム1の他方の要素である
波形信号記録手段3は、音圧信号を電気信号に変換した
波形、又はこれに合わせて合成した波形を記録するもの
である。
【0039】図1におけるイコライザ4が保有すべき伝
達関数は、電磁駆動ユニット13により面音源として機
能する新規の電気音響変換器10の入力伝達特性と逆特
性を有する必要があり、以下のようにして特定される。
その説明に先立ち、電気音響変換の一般的説明を記述す
る。単位は、MKSA有理系を使用する。
【0040】振動板と電磁駆動による電気音響変換は、
電流の磁気作用によって振動を発生させるものである。
したがって、電磁現象の基礎となるファラディの誘導
則:E=αVおよびローレンツ力:F=αIが基本原理
となる。
【0041】ここに、Eは誘導起電力(V)、αは電磁
力変換係数:α=Bl(Wb/m)で、ここにBは磁束
密度(Wb/m2 )、lは導体の長さ(m)、また、F
は力(N)、Iは導体を流れる電流(A)、Vは磁束中
における導体の運動速度(m/s)である。
【0042】磁界中を閉じた導体が運動するとき、導体
の運動と導体内の電流とは、相互に電磁的かつ制動的に
作用しつつ平衡している。すなわち、磁界中で導体に外
力を加えて運動させる発電機現象の場合、この導体運動
による起電力電流の発生は、ファラディ誘導則によって
表されるが、その起電力電流はまた導体に対して最初の
外力とは反対の、制動的に作用するローレンツ力をも発
生させる。
【0043】これとは逆に、静止導体に外部から電流を
流す電動機現象(スピーカその他の音響変換器も同じ)
の場合、ローレンツ力による導体運動が発生し、その導
体運動はファラディの誘導則に基づく電流を発生する。
【0044】この電流は流れる方向が最初の外部電流と
は逆向きであるため、制動的となる。すなわち、両者の
電磁現象は互いに負帰還平衡により発散しないように常
に併存し作用しあっている。
【0045】なお、磁界、電流、導体運動の向きは互い
に直交し、両現象のベクトル方向は著名なフレミングの
右手発電則および同左手電動則によって容易に知ること
ができる。
【0046】かかる電磁現象の原則を前提として、電磁
誘導則と振動体の機械インピーダンス負荷との関係を考
察する。
【0047】図3は、ボイスコイルの電気等価回路であ
る。図において、100はボイスコイルの電気インピー
ダンスZec=Rec+jωLec(Ω)であり、101は機
械振動系モーショナル電気インピーダンスZem=α2/Z
mt(Ω)である。なお、jは虚数単位(j2 =−1)、
ωは角周波数(=2πf) (rad/s)である。
【0048】図3の構成にキルヒホッフの法則を適用す
ると、次式が成立する。 E0 =Ec +Em =IZec+αV=IZec+α2 /ZmtI =I(Zec+α2 /Zmt)=I(Zec+α2 mt) (V) ここに、Em =αV、V=Fmt/Zmt 、Fmt=αI、
m =α2 I/Zmtmt=RV +j(ωMV −SV /ω)+Rma+jωMa
(N ・ sec/cm) 、 Ymt=1/Zmt である。
【0049】したがって、ボイスコイル入力点から振動
板をみた全電気インピーダンスZeoは、次式のようにな
る。 Zeo=Eo /I=Zec+α2 mt=Zec+Zem
【0050】この式から明らかなように、ボイスコイル
の入力点での総合電気インピーダンスは、ボイスコイル
自身の電気インピーダンスZecと、ボイスコイルと空気
音響インピーダンスを含んだ総合機械インピーダンスの
逆数である総合アドミッタンスが電磁変換係数の2乗(=
α2 ) 倍された値が加算されて、総合電気インピーダン
スとして実測されている。
【0051】ここで、上記のようにモーショナル電気イ
ンピーダンスZemは以下のように定義されている。 Zem=α2 /Zmt=α2 mt
【0052】図4は、振動系機械等価回路を示すもので
ある。102は電気回路の等価機械インピーダンスで、
me=α2 ec (N ・ sec/cm)である。
【0053】図中、103は機械振動系総合インピーダ
ンスZmtであり、振動板インピーダンス104と音響イ
ンピーダンス105とを含んでおり、次式のようにな
る。 Zmt=RV +Rma+j(ω(MV +Ma )−SV /ω) (N ・ sec/cm)
【0054】上記等価回路にキルヒホッフの法則を適用
すると、次式のようになる。 Fmo=Fmt+Fme=VZmt+αI=VZmt+α2 V/ZeC =V(Zmt+α2 /Zec)=V(Zmt+α2 ec) (N) ここに、Fme=αI、 I=Ec /Zec 、 Ec =α
V、Fme=α2 V/Zc 、 Yec=1/Zecである。
【0055】したがって、ボイスコイル入力点から振動
板をみた全機械入力インピーダンスZmoは、次式のよう
になる。 Zmo=Fmo/V=Zmt+α2 /Zec=Zmt+α2 ec ここで、ボイスコイルのモーショナル機械インピーダン
スは以下のように定義される。 Zme=α2 /Zec=α2 ec
【0056】次いで、振動板による音圧特性を概観す
る。まず、スピーカの場合について述べる。無限大バッ
フル板に取り付けられた半径aの振動板から距離rでの
音圧Pは、振動板の加速度Aに比例する。ρは空気密度
(kg/m2 )である。 P=ρa2 A/(2r)=ρa2 ωV/(2r)=Kω
V ただし、A=ωV、またK=ρa2 /(2r)である。
【0057】振動板の単位駆動力あたりの音圧特性Pf
(Pa /N)について考察する。 Pf =P/Fmt=KωV/Fmt=KωV/(VZmt)=Kω/Zmt =KωYmt (Pa /N)
【0058】Pf は振動板駆動点アドミッタンスYmt
よって以下のようになる。なお、Smtは駆動点スティフ
ネス (N/m)である。
【0059】(1)共振周波数以下のスティフネス制御
領域では、Ymt=ω/Smtとなる。 したがって、Pf =Kω2 /Smt (−12dB/oct :オク
ターフ゛ 当たり12dB) ここに振動変位D (m)は、D=V/ω=Fmtmt/ω=
mt/Smtとなり、低スティフネスのスピーカ振動板で
は大振幅となり、磁束密度Bが一定にならず、非線形歪
みが発生する。これに対し、ピアノ響鳴板では、スピー
カ振動板のスティフネスよりも約600倍大きいため、
振動板変位は逆に1/600となり、スピーカにおける
ような低域振幅歪みは生じにくい。
【0060】(2)共振周波数付近での抵抗制御領域で
は、Ymt=1/Rmtとなり、以下の式の付近が低域再生
限界となる。ここにRmtは駆動点抵抗である。 Pf =Kω/Rmt (−6dB/oct)
【0061】(3)共振周波数以上での慣性質量制御領
域では、Ymt=1/(ωMmt)となる。ここにMmtは駆
動点慣性質量抵抗である。 Pf =K/Mmt (0dB/oct)
【0062】このように、さらに高域になると振動板の
分割共振、エッジ共振、ネック共振(ボイスコイルと振
動板との結合点共振)の影響を受け、その挙動は上記
(1)ないし(3)と同様のパターンとなる。
【0063】ネック共振以上の周波数になると、ボイス
コイルだけの振動となって、振動板に駆動力が伝わらな
くなり、高域再生限界となる。
【0064】次に、ボイスコイルに単位入力電圧当たり
の音圧特性Pe (Pa /V)は以下のようになる。 Pe =P/E0 =KωV/E0 =KωFm /(E0 mt) =KωαE0 eo/(E0 mt)=KωαYeomt =αYeof (Pa /V)
【0065】上記関係は基本的には上記Pf と同様であ
るが、Pe は単位加振力当たりの音圧特性Pf にボイス
コイル入力点アドミッタンス特性が重畳されている。
【0066】本発明の弾性振動板による電気音響変換器
のPf とPe は、スピーカと同様な関係式である。ただ
し、Pf とPe の周波数特性は、スピーカの場合と多少
異なる。
【0067】つまり、本発明のような高インピーダンス
系の弾性振動板では、各共鳴振動モードに応じた共振、
反共振が表れ、音圧特性Pf は山谷を生じる。
【0068】一方、Yeo=1/Zeo=1/(Zec +α
2 mt)≒1/Zec (∵ |ZeC|>>|α2 mt|)より、弾性振動板の
e は次式のようになる。
【0069】 e ≒(α/Zec)Pf (Pa /V) 周波数fに対して、αは一定で、Zecは|ZeC|=Rec
2 +(2πfLec2 にて直線的な変化である。従っ
て、Pe はPf と同様な山谷を生じる特性となる。
【0070】以上により、本発明ではフォースゲージ
(圧電センサ)等によって検出された弦端駆動力電圧波
形または駆動力合成波形をボイスコイルに入力して振動
板を駆動してやれば、有弦楽器系の楽音を再生すること
ができる。さらに、ボイスコイル電気インピーダンスの
逆特性を演算して入力波形に重畳してもよい。
【0071】同様にマイクロフォンによる音圧特性また
は合成音圧波形を上述のPe の関係式で表される伝達特
性の逆特性を、ボイスコイルに入力する前に重畳してや
れば、リアルな音響特性を得ることができる。
【0072】まず電気音響変換器の入力伝達特性を求
め、さらに上述のような手法により逆特性の伝達関数を
付与したイコライザを構成することにより、本発明の目
的を達成することができる。
【0073】
【発明の効果】本発明にかかる電子楽器の音響音源装置
によれば、上述のように、自然楽器に極めて近似する自
然な楽音を発生する電子楽器を実現することができる。
【0074】ここに採用する電気音響変換器の振動板
は、従来の点音源に対して十分な広がりのある面音源を
構成することができる。さらに、従来のスピーカシステ
ムにおけるような周波数に依存する音響特性の不利な点
が除かれ、自然楽器に近い音響システムを構成すること
ができる。
【0075】電気音響変換器の特性に応じて適宜のイコ
ライザを設計することにより、電子楽器の発生する楽音
を自然楽器に限りなく近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電子楽器の音響音源装置の構成
を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる電子楽器の音響音源装置に適す
る電気音響変換器の構成例を示す断面図である。
【図3】電気音響変換器のボイスコイルの電気等価回路
である。
【図4】電気音響変換器の振動系の機械等価回路であ
る。
【符号の説明】
1 音源システム 2 電気信号記憶手段 3 波形信号記録手段 4 イコライザ 10 電気音響変換器 11 固定部 12 振動板 13 電磁駆動ユニット 14 永久磁石 15 ボイスコイル 16 取り付け具 17 ヨーク(継鉄) 18 ポールピース 19 電気信号リード線 100 ボイスコイルの電気インピーダンス 101 機械振動系モーショナル電気インピーダンス 102 電気回路の等価機械インピーダンス 103 機械振動系総合インピーダンス 104 振動板インピーダンス 105 音響インピーダンス
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】図4は、振動系機械等価回路を示すもので
ある。102は電気回路の等価機械インピーダンスで、
me=α/Zec (N・sec/cm)である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正内容】
【0064】次に、ボイスコイルに単位入力電圧当たり
の音圧特性P(P/V)は以下のようになる。 P=P/E=KωV/E=KωFmt/(Emt) =KωαEeo/(Emt)=KωαYeomt =αYeo (P/V)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定部と板状振動体との間に電磁駆動ユ
    ニットを取り付けた電気音響変換器と、 有弦楽器の主共鳴弦の両端または主共鳴振動体側の弦端
    振動体駆動力に相当する電気波形信号を記憶する電気信
    号記憶手段および音圧信号に相当する電気信号を記録す
    る波形信号記録手段とを有する音源システムと、 前記電気音響変換器における入力伝達特性と逆特性の伝
    達関数を有するイコライザと、を有し、 前記波形信号記録手段に記録された記録信号を前記イコ
    ライザを介して前記電気音響変換器に印加することによ
    り、有弦自然楽器音の音響をリアルに再生することを特
    徴とする電子楽器の音源音響装置。
  2. 【請求項2】 前記音源システムに含まれる前記電気信
    号記憶手段が、有弦楽器の主共鳴弦の両端または主共鳴
    振動体側の弦端振動体駆動力を電気信号に変換した信号
    を記憶することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器
    の音源音響装置。
  3. 【請求項3】 前記音源システムに含まれる前記電気信
    号記憶手段が、有弦楽器の主共鳴弦の両端または主共鳴
    振動体側の弦端振動体駆動力に相当する電気信号を合成
    した信号を記憶することを特徴とする請求項1に記載の
    電子楽器の音源音響装置。
  4. 【請求項4】 前記音源システムに含まれる前記波形信
    号記録手段が、音圧信号を電気信号に変換した波形を記
    録することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の音
    源音響装置。
  5. 【請求項5】 前記音源システムに含まれる前記波形信
    号記録手段が、音圧信号に相当する電気信号を合成した
    波形を記録することを特徴とする請求項1に記載の電子
    楽器の音源音響装置。
JP6307120A 1994-11-17 1994-11-17 電子楽器の音源音響装置 Pending JPH08146949A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6307120A JPH08146949A (ja) 1994-11-17 1994-11-17 電子楽器の音源音響装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6307120A JPH08146949A (ja) 1994-11-17 1994-11-17 電子楽器の音源音響装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08146949A true JPH08146949A (ja) 1996-06-07

Family

ID=17965277

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6307120A Pending JPH08146949A (ja) 1994-11-17 1994-11-17 電子楽器の音源音響装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08146949A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007309957A (ja) * 2006-05-15 2007-11-29 Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd 楽音装置及び楽音制御方法。
US7459615B2 (en) 2006-05-31 2008-12-02 Kawai Musical Instruments Mfg. Co., Ltd. Musical tone apparatus and method for manufacturing or altering musical tone apparatus
US7678988B2 (en) 2006-12-05 2010-03-16 Kawai Musical Instruments Mfg. Co., Ltd. Musical tone apparatus

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007309957A (ja) * 2006-05-15 2007-11-29 Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd 楽音装置及び楽音制御方法。
JP4528280B2 (ja) * 2006-05-15 2010-08-18 株式会社河合楽器製作所 楽音装置及び楽音制御方法。
US7459615B2 (en) 2006-05-31 2008-12-02 Kawai Musical Instruments Mfg. Co., Ltd. Musical tone apparatus and method for manufacturing or altering musical tone apparatus
US7678988B2 (en) 2006-12-05 2010-03-16 Kawai Musical Instruments Mfg. Co., Ltd. Musical tone apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4245540A (en) Sound sustaining device for musical instruments
WO2002021504A1 (fr) Batterie electronique analogique, parties pour baguette de batterie, batterie electronique analogique et pied de grosse caisse
JPH04500735A (ja) 音響発生装置及び楽器
GB2306273A (en) Loudspeaker enclosure has the shape of a stringed musical instrument
JPH07114519B2 (ja) 電気音響変換器の再生誤差補償装置
JPH03505511A (ja) 多次元ステレオ音響再生システム
JP3045032B2 (ja) ヘッドホン
JP3644259B2 (ja) スピーカ装置
CN106560890B (zh) 弦乐的隔振式拾音单元
CN108028984B (zh) 调节使用电声换能器的音频系统的方法
JP2737936B2 (ja) 電気/電子楽器
JPH08146949A (ja) 電子楽器の音源音響装置
JP4327734B2 (ja) 音響システム
JPH0580748A (ja) 鍵盤楽器
JPH08111896A (ja) 電気音響変換器
JPS6153695A (ja) 電子音響再生装置
JP3583262B2 (ja) 電磁音響変換装置
JP2000333288A (ja) 圧電型可聴装置および音響発生方法
WO2008013003A1 (fr) Violon automatique
JP2009171113A (ja) 可変振動特性音響装置
JPS6031342Y2 (ja) スピ−カ−付弦楽器
JPH0711757B2 (ja) 携帯用楽器
WO2016152929A1 (ja) 振動供給装置及び楽器
US2613568A (en) Musical sound generating device
Colledge A motional feedback system for flat panel loudspeakers