JPH08144981A - 回転式圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷凍サイクル等に使用する回転式圧縮機に関
し、特にインバーターによる低速運転時のおいても摺動
部に十分な給油を行い、摺動部の摩耗を防止する。 【構成】 シリンダ４に固定された主軸受７と、シリン
ダ４に固定され、内周に内周溝２０を有する第２軸受１
９と、クランク３ｃを有し主軸受７と第２軸受１９内を
回転摺動するシャフト３と、シャフト３に固定されたコ
イルバネ１２ａにより構成される給油機構１２と、第２
軸受１９の内周溝２０内に収納された偏芯板２１と、偏
芯板２１とシャフト３を連結するスプリング２２ａ，２
２ｂと、一端が内周溝２０のシリンダ４側の端面に連通
し、他端が低圧室１１ｂ、吸入通路１４のいずれかに連
通した連通路とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は冷凍サイクル等に使用す
る回転式圧縮機に関し、特にインバーター等による低速
運転時の信頼性の向上に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の回転式圧縮機としては、特開昭６
３−１３４８８８号公報に示されているものがある。以
下、図面を参照しながら上記従来の回転式圧縮機の一例
を説明する。

【０００３】従来の構成を図６、図７に示す。図６、図
７において、１は密閉ケーシング、２は電動機部であ
り、シャフト３を介してシリンダ４，ローラー５，ベー
ン６，主軸受７，副軸受８により構成される機械部本体
９と連結している。シャフト３は主軸３ａ，副軸３ｂ，
クランク３ｃよりなる。１０はベーン背面に設けられた
スプリングである。

【０００４】１１はシリンダ４内で、ローラー５，ベー
ン６，主軸受７，副軸受８により構成される圧縮室であ
る。１２は、副軸受８に固定されたガイド管１２ｂと、
シャフト３の副軸３ｂに固定され、且つガイド管１２ｂ
内に収納されたコイルバネ１２ａとから構成される給油
機構であり、コイルバネ１２ａの先端は、密閉ケーシン
グ１の下部に溜められたる潤滑油１８に浸っている。

【０００５】１３はシリンダ４に固定された吸入管であ
り、シリンダ４の吸入通路１４を介して圧縮室１１と連
通している。１５は吐出孔であり吐出弁１６を介して密
閉ケーシング１内と連通している。１７は吐出管であり
密閉ケーシング１内に開放している。また、電動機部２
は回転子２ａと固定子２ｂにより構成され回転子２ａに
はバランスウェイト２ｃ，２ｄが固定されている。

【０００６】冷却システム（図示せず）からの冷媒ガス
は、吸入管１３，吸入通路１４より導かれシリンダ４内
の圧縮室１１に至る。圧縮室１１に至った冷媒ガスは、
シャフト３のクランク３ｃに嵌合されたローラー５とベ
ーン６により仕切られた圧縮室１１で、電動機部２の回
転に伴うシャフト３及びローラー５の回転運動により漸
次圧縮される。従って圧縮途中において、高圧室１１ａ
と低圧室１１ｂとが存在することになる。

【０００７】圧縮された冷媒ガスは、副軸受８に備えて
いる吐出孔１５，吐出弁１６を介して密閉ケーシング１
内に一旦吐出された後、吐出管１７を介し冷却システム
に吐出される。

【０００８】また、密閉ケーシング１内の下部に溜まっ
た潤滑油１８は、給油機構１２の副軸３ｂに固定された
コイルバネ１２ａの回転に伴い、ガイド管１２ｂ内のコ
イルバネ１２ａを介して副軸３ｂに至り、シャフト３の
油溝（図示せず）を通りシャフト３とローラー５，主軸
受７，副軸受８等の摺動部に供給される。

【０００９】シャフト３とローラー５間の摺動部は高圧
であるため、シャフト３とローラー５間の摺動部に供給
された潤滑油１８は、ローラー５と主軸受７，副軸受８
間の隙間を介して、より低圧であるシリンダ４内の圧縮
室１１に差圧により供給される。

【００１０】さらに、ベーン６はシリンダ４の溝内を往
復運動する際に、密閉ケーシング１内に溜められた潤滑
油１８中に浸り、ベーン６とシリンダ４間の隙間を介し
て、高圧である密閉ケーシング１内からより低圧である
シリンダ４内の圧縮室１１に差圧により供給される。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のような構成では、圧縮機がインバーター等により可変
速に運転され、特に低速で運転された際、コイルバネ１
２ａの回転も低下するため、給油機構１２の給油能力が
低下し、摺動部への給油量が低下する。

【００１２】従って、低速運転時に、摺動部の給油不足
による潤滑不良が発生し、摺動部が摩耗するとの信頼性
の問題があった。また、潤滑油による摺動部の冷却が不
足して、摺動部の温度が上昇し、吸入される冷媒が過熱
されたり、摺動部のシール性が低下することにより、圧
縮機の体積効率が低下するといった問題があった。

【００１３】本発明は、従来の課題を解決するもので、
インバーター等による低速運転時においても、摺動部に
十分な潤滑油を供給し、圧縮機を構成する各摺動部の摩
耗を防止する。また、潤滑油による摺動部の冷却不足に
よる温度上昇を防止し、吸入される冷媒の過熱や摺動部
のシール性の低下等を防止することにより、圧縮機の体
積効率の低下を防止する。

【００１４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の回転式圧縮機は、シリンダに固定された主軸受
と、シリンダに固定され、内周に内周溝を有する第２軸
受と、クランクを有し主軸受と第２軸受内を回転摺動す
るシャフトと、シャフトに固定されたコイルバネにより
構成される給油機構と、第２軸受の内周溝内に収納され
た偏芯板と、偏芯板とシャフトを連結するスプリング
と、一端が内周溝のシリンダ側の端面に連通し、他端が
低圧室、吸入通路のいずれかに連通した連通路とから構
成されている。

【００１５】また、第２軸受に設けられた内周溝内に配
設された緩衝材とから構成されている。

【００１６】

【作用】本発明の回転式圧縮機は、インバーター等によ
る低速運転時においても、摺動部に十分な潤滑油を供給
することができるので、圧縮機を構成する各摺動部の摩
耗を防止することができる。

【００１７】また、潤滑油による摺動部の冷却不足によ
る温度上昇を防止し、吸入される冷媒の過熱や摺動部の
シール性の低下等を防止することにより、圧縮機の体積
効率の低下を防止することができる。

【００１８】また、インバーター等による高速運転時に
おいて、潤滑油を摺動部に過多に供給することを防止で
きるため、オイル圧縮等による入力増加も防止できる。

【００１９】また、偏芯板に作用する遠心力が大きくな
っても、偏芯板と偏芯板を収納している内周溝とが直接
衝突することを防止でき、偏芯板と円周溝の摩耗及び衝
突による騒音、振動の発生を防止できる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明による回転式圧縮機の第１の実
施例について、図面を参照しながら説明する。尚、従来
と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を
省略する。

【００２１】図１は本発明の第１の実施例による回転式
圧縮機の要部断面図である。図２は同実施例の回転式圧
縮機の縦断面図である。図３は高速運転時の図２のＢ−
Ｂ線断面図、図４は低速運転時の図２のＢ−Ｂ線断面図
である。

【００２２】図１、図２、図３、図４において、１９
は、シリンダ４に固定され、内周に内周溝２０を有する
第２軸受、２１は、第２軸受１９の内周溝２０内に収納
された偏芯板である。２２ａ、２２ｂは偏芯板２１とシ
ャフト３の副軸３ｂを連結するスプリングである。２３
は、一端２３ａが内周溝２０のシリンダ４側の端面２０
ａに連通し、他端２３ｂが低圧室１１ｂに連通した連通
路である。

【００２３】そして、副軸３ｂが回転していない時及
び、低速で回転している時に、偏芯板２１の重心Ｇは副
軸３ｂの軸中心より僅かにずれるようにスプリング２２
ａ，２２ｂにより副軸３ｂに固定されている。例えば、
偏芯板２１の外径の中心は副軸３ｂの軸中心と一致し、
偏芯板２１の内径の中心は副軸３ｂの軸中心とずれてい
る。

【００２４】またこの時、副軸３ｂが回転した際には、
偏芯板２１の内周と連通路２３は間欠的に連通してい
る。

【００２５】以上のように構成された回転式圧縮機にお
いて、以下その動作を説明する。まず、圧縮機の低速運
転時において、密閉ケーシング１内の下部に溜まった潤
滑油１８は、給油機構１２の副軸３ｂに固定されたコイ
ルバネ１２ａの回転に伴い、ガイド管１２ｂ内のコイル
バネ１２ａを介して副軸３ｂに至り、第２軸受１９と副
軸３ｂ間の給油通路１９ａを通り、第２軸受１９の内周
溝２０に供給される。

【００２６】また、偏芯板２１に作用する遠心力は小さ
いため、偏芯板２１の内周と連通路２３は間欠的に連通
しており、そのため低圧室１１ｂと内周溝２０が間欠的
に連通する事となり、内周溝２０内の圧力は密閉ケーシ
ング１内の高圧よりも低い圧力となる。

【００２７】そのため、内周溝２０内と密閉ケーシング
１内の圧力差により、給油機構１２、給油通路１９ａを
介して、密閉ケーシング１の下部に溜められた潤滑油１
８は、コイルバネ１２ａの回転にほとんど関係なく、差
圧により副軸３ｂに供給される。

【００２８】従って、圧縮機の低速運転時において、コ
イルバネ１２ａの回転数が低下し、回転数により左右さ
れるコイルバネ１２ａの回転による給油能力が低下して
も、副軸３ｂには差圧による潤滑油の供給が可能とな
り、シャフト３の油溝（図示せず）を通りシャフト３と
ローラー５，主軸受７，第２軸受１９等の摺動部に供給
することができる。そのため、インバーター等による低
速運転時においても、摺動部に十分な潤滑油を供給する
ことができるので、圧縮機を構成する各摺動部の摩耗を
防止することができる。

【００２９】また、潤滑油による摺動部の冷却不足によ
る温度上昇を防止し、吸入される冷媒の過熱や摺動部の
シール性の低下等を防止することにより、圧縮機の体積
効率の低下を防止することができる。

【００３０】また、圧縮機の高速運転時においては、偏
芯板２１に作用する遠心力が大きくなり、スプリング２
２ａは圧縮され、逆にスプリング２２ｂは伸びるように
遠心力が作用し、偏芯板２１の重心Ｇは副軸３ｂの軸中
心よりさらにずれる。

【００３１】そのため、偏芯板２１により連通路２３は
塞がれることとなり、内周溝２０内の圧力はほぼ高圧に
維持される。従って、給油機構１２、給油通路１９ａを
介して副軸３ｂに行われていた潤滑油の供給はなくな
り、シャフト３とローラー５，主軸受７，第２軸受１９
等の摺動部には従来の給油が行われることとなる。

【００３２】従って、高速運転時において、必要以上の
潤滑油が低圧室１１ｂ等に供給されることを防止でき、
オイル圧縮等の入力の増大の発生を防止できる。

【００３３】以上のように本実施例の回転式圧縮機は、
シリンダ４に固定された主軸受７と、シリンダ４に固定
され、内周に内周溝２０を有する第２軸受１９と、クラ
ンク３ｃを有し主軸受７と第２軸受１９内を回転摺動す
るシャフト３と、シャフト３に固定されたコイルバネ１
２ａにより構成される給油機構１２と、第２軸受１９の
内周溝２０内に収納された偏芯板２１と、偏芯板２１と
シャフト３を連結するスプリング２２ａ，２２ｂと、一
端が内周溝２０のシリンダ４側の端面に連通し、他端が
低圧室１１ｂ、吸入通路１４のいずれかに連通した連通
路を備えたものであるから、インバーター等による低速
運転時においても、摺動部に十分な潤滑油を供給するこ
とができるので、圧縮機を構成する各摺動部の摩耗を防
止することができる。

【００３４】また、潤滑油による摺動部の冷却不足によ
る温度上昇を防止し、吸入される冷媒の過熱や摺動部の
シール性の低下等を防止することにより、圧縮機の体積
効率の低下を防止することができる。

【００３５】また、インバーター等による高速運転時に
おいて、潤滑油を摺動部に過多に供給することを防止で
きるため、オイル圧縮等による入力増加も防止できる。

【００３６】尚、本実施例において、連通路２３の一端
２３ｂが低圧室１１ｂに連通しているが、吸入通路１４
等の圧縮機の起動により圧力が低下する箇所に連通して
いれば同様の効果が得られることは言うまでもない。

【００３７】次に、本発明の回転式圧縮機の第２の実施
例について、図面を参照しながら説明する。尚、第１の
実施例と同一構成については、同一符号を付して詳細な
説明は省略する。

【００３８】図５は本発明の第２の実施例による回転式
圧縮機の要部断面図である。図５において、２４は第２
軸受１９に設けられた内周溝２０内に配設された緩衝材
である。

【００３９】以上のように構成された回転式圧縮機にお
いて、以下その動作を説明する。まず、圧縮機の低速運
転時において、偏芯板２１に作用する遠心力は小さく、
副軸３ｂの軸中心に対する偏芯板２１の偏芯量は小さた
め、偏芯板２１の外周部と円周溝２０とが衝突、摺動す
ることはない。

【００４０】圧縮機が高速回転するにしたがって、偏芯
板２１に作用する遠心力は大きくなり、副軸３ｂの軸中
心に対する偏芯板２１の偏芯量が大きくなる。そのた
め、ある一定以上の遠心力が偏芯板２１に作用すると、
偏芯板２１の外周部と円周溝２０との隙間が小さくな
る。

【００４１】しかしながら、内周溝２０と偏芯板２１の
外周部間に緩衝材が配設されているため、内周溝２０と
偏芯板２１の外周部が直接衝突、摺動することを防止で
き、偏芯板２１と円周溝２０の摩耗及び衝突による騒
音、振動の発生を防止することができる。

【００４２】従って、圧縮機の高速運転時において、偏
芯板２１に作用する遠心力が大きくなり、偏芯板２１の
副軸３ｂに対する偏芯量が大きくなっても、内周溝２０
と偏芯板２１の外周部が直接衝突、摺動することを防止
でき、偏芯板２１と円周溝２０の摩耗及び衝突による騒
音、振動の発生を防止することができる。

【００４３】以上のように本実施例の回転式圧縮機は、
第２軸受１９に設けられた内周溝２０内に配設された緩
衝材２３を備えたものであるから、圧縮機の高速運転時
において、偏芯板２１に作用する遠心力が大きくなり、
偏芯板２１の副軸３ｂに対する偏芯量が大きくなって
も、内周溝２０と偏芯板２１の外周部が直接衝突、摺動
することを防止でき、偏芯板２１と円周溝２０の摩耗及
び衝突による騒音、振動の発生を防止することができ
る。

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、シリンダ
に固定された主軸受と、シリンダに固定され、内周に内
周溝を有する第２軸受と、クランクを有し主軸受と第２
軸受内を回転摺動するシャフト３、シャフトに固定され
たコイルバネにより構成される給油機構と、第２軸受の
内周溝内に収納された偏芯板と、偏芯板とシャフトを連
結するスプリングと、一端が内周溝のシリンダ側の端面
に連通し、他端が低圧室、吸入通路のいずれかに連通し
た連通路を備えたものであるから、インバーター等によ
る低速運転時においても、摺動部に十分な潤滑油を供給
することができるので、圧縮機を構成する各摺動部の摩
耗を防止することができる。

【００４５】また、潤滑油による摺動部の冷却不足によ
る温度上昇を防止し、吸入される冷媒の過熱や摺動部の
シール性の低下等を防止することにより、圧縮機の体積
効率の低下を防止することができる。

【００４６】また、インバーター等による高速運転時に
おいて、潤滑油を摺動部に過多に供給することを防止で
きるため、オイル圧縮等による入力増加も防止できる。

【００４７】また、第２軸受に設けられた内周溝内に配
設された緩衝材を備えたものであるから、圧縮機の高速
運転時において、偏芯板に作用する遠心力が大きくな
り、偏芯板の副軸に対する偏芯量が大きくなっても、内
周溝と偏芯板の外周部が直接衝突、摺動することを防止
でき、偏芯板と円周溝の摩耗及び衝突による騒音、振動
の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による第１の実施例を示す回転式圧縮機
の要部面図

【図２】同実施例の回転式圧縮機の縦断面図

【図３】高速運転時の図２のＢ−Ｂ線断面図

【図４】低速運転時の図２のＢ−Ｂ線断面図

【図５】本発明による第２の実施例を示す回転式圧縮機
の要部面図

【図６】従来の回転式圧縮機の縦断面図

【図７】図６のＡ−Ａ線断面図

【符号の説明】

１ 密閉ケーシング ３ シャフト ３ｃ クランク ４ シリンダ ５ ローラー ６ ベーン ７ 主軸受 １１ａ 高圧室 １１ｂ 低圧室 １２ 給油機構 １２ａ コイルバネ １４ 吸入通路 １８ 潤滑油 １９ 第２軸受 ２０ 内周溝 ２１ 偏芯板 ２２ａ、２２ｂ スプリング ２３ 連通路 ２４ 緩衝材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉ケーシングと、前記密閉ケーシング
   内に溜められた潤滑油と、前記密閉ケーシング内に収納
   され吸入通路を有するシリンダと、前記シリンダ内を偏
   心回転するローラーと、前記シリンダの溝内を往復運動
   し前記ローラーと当接することにより前記シリンダ内を
   低圧室と高圧室に分割するベーンと、前記シリンダに固
   定された主軸受と、前記シリンダに固定され、内周に内
   周溝を有する第２軸受と、クランクを有し前記主軸受と
   前記第２軸受内を回転摺動するシャフトと、前記シャフ
   トに固定されたコイルバネにより構成される給油機構
   と、前記第２軸受の内周溝内に収納された偏芯板と、前
   記偏芯板と前記シャフトを連結するスプリングと、一端
   が前記内周溝の前記シリンダ側の端面に連通し、他端が
   前記低圧室、前記吸入通路のいずれかに連通した連通路
   とからなる回転式圧縮機。
2. 【請求項２】 第２軸受に設けられた内周溝内に配設さ
   れた緩衝材とからなる請求項１記載の回転式圧縮機。