JPH08143454A - 神経成長因子産生増強剤 - Google Patents

神経成長因子産生増強剤

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JPH08143454A
JPH08143454A JP28308494A JP28308494A JPH08143454A JP H08143454 A JPH08143454 A JP H08143454A JP 28308494 A JP28308494 A JP 28308494A JP 28308494 A JP28308494 A JP 28308494A JP H08143454 A JPH08143454 A JP H08143454A
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JP
Japan
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acid
growth factor
nerve growth
ngf
factor production
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JP28308494A
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Kazuyoshi Yazawa
一良 矢澤
Mayumi Kano
真弓 鹿野
Koji Yamaguchi
宏二 山口
Tomoko Tsuji
智子 辻
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KANAGAWA KAGAKU KENKYUSHO KK
Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
KANAGAWA KAGAKU KENKYUSHO KK
Sagami Chemical Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 副作用の少ない、優れた活性を有する神経成
長因子の産生増強剤の提供。 【構成】 炭素数20〜22のn−3系高度不飽和脂肪
酸であるイコサペンタエン酸及び/又はドコサヘキサエ
ン酸、それらのエステル及び薬学上許容し得る塩を有効
成分として含有する神経成長因子産生増強剤。 【効果】 イコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸が
強いNGF産生増強活性を示すことから、中枢機能障
害、特に、アルツハイマー痴呆症や脳虚血病態に対する
予防及び治療薬、また、末梢神経機能回復および神経再
生促進などの神経成長因子産生増強剤として利用されう
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素数20〜22のn
−3系高度不飽和脂肪酸を有効成分として含有する神経
成長因子〔(Nerve growth factor)、以下NGFと称
する。〕産生増強剤に関するものであり、更に詳しく
は、本発明の炭素数20〜22のn−3系高度不飽和脂
肪酸として、イコサペンタエン酸及び/又はドコサヘキ
サエン酸、それらのエステル及び薬学上許容し得る塩を
含むものである。
【0002】
【従来の技術】NGFは、神経組織の成長や機能維持に
必要な栄養、成長因子の一つであり、末梢神経系では、
知覚、交感神経の、また、中枢神経系では、大細胞性コ
リン作動性ニューロンの成熟、分化、生命維持に不可欠
なものと考えられている。そこで、NGFレベルを上昇
させることは、アルツハイマー病、血管性痴呆症などの
中枢機能障害、脊髄損害、末梢神経損傷、糖尿病性神経
障害および筋萎縮性側索硬化症などの末梢機能障害の治
療に有用と考えられている。
【0003】しかしながら、NGFは、分子量が1万3
千(モノマー)もしくは2万6千(ダイマー)の蛋白質
であり、血液脳関門を通過することが出来ないことか
ら、生体中でNGFの産生を促進する物質を投与して、
NGFの生合成を促進することにより、中枢機能障害お
よび末梢機能障害を改善することが好ましいと考えられ
ている。
【0004】この考えに基づいてNGFの産生を促進・
増強する物質の探索が試みられ、これまでに、エピネフ
リン、ノルエピネフリンおよびドーパミンなどのカテコ
ールアミン類が見い出されているが、これらの化合物は
ホルモン物質であることから、その投与は、生体内での
ホルモンの量的バランスを崩すという弊害を伴うことが
知られている。また、特開平6−157338号公報に
は炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和脂肪酸より誘
導されるジアシル型のグリセロリン脂質がNGFの産生
を促進すると開示されているが、炭素数20〜22のn
−3系高度不飽和脂肪酸であるイコサペンタエン酸やド
コサヘキサエン酸、それらのエステル及び薬学上許容し
得る塩がNGFの産生促進あるいは増強作用を有するこ
とは知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、副作用を伴
うことのない、優れたNGF産生増強剤を提供せんとす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、NGFの
産生を増強する薬剤について鋭意研究を進めたところ、
炭素数20〜22のn−3系高度不飽和脂肪酸、とくに
イコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸がNGFの産
生を増強する効果を示すことを見いだし、本発明を完成
した。
【0007】本発明において、n−3系高度不飽和脂肪
酸とは、遊離酸、そのエステル、及びその薬学上許容し
得る塩を意味するものである。即ち、本発明においてイ
コサペンタエン酸とは、イコサペンタエン酸、イコサペ
ンタエン酸メチルエステル、イコサペンタエン酸エチル
エステル、イコサペンタエン酸プロピルエステル、イコ
サペンタエン酸 n−ブチルエステル等の化合物および
イコサペンタエン酸の薬学上許容し得る塩などを意味す
るものである。また、本発明においてドコサヘキサエン
酸とは、ドコサヘキサエン酸、ドコサヘキサエン酸メチ
ルエステル、ドコサヘキサエン酸エチルエステル、ドコ
サヘキサエン酸プロピルエステル、ドコサヘキサエン酸
n−ブチルエステル等の化合物およびドコサヘキサエ
ン酸の薬学上許容し得る塩などを意味するものである。
【0008】本発明の炭素数20〜22のn−3系高度
不飽和脂肪酸を有効成分として含有する神経成長因子産
生増強剤は、経口または非経口のいずれの投与形態も可
能である。経口投与の場合は、カプセル剤、錠剤、粉剤
などの通常の方法で投与することもできる。また、非経
口投与の場合には、注射剤、輸液剤などの剤形で投与さ
れる。さらに徐放剤も効果的である。
【0009】本発明の有効成分を製剤化するには、界面
活性剤、賦形剤、着色料、保存料およびコーティング助
剤などが適宜使用される。また、他の薬剤との併用も行
うことができる。本発明の神経成長因子産生増強剤は、
それ自体NGFの産生を増大させると共に、既知のNG
Fの産生促進剤と組合わせると、NGF産生促進作用を
増大させる。
【0010】以下に、実施例を示すが、本発明はこれら
の実施例に何ら限定されるものではない。
【0011】
【実施例】
実施例1 マウス結合組織由来の繊維芽細胞樹立株L−M細胞を、
0.5%バクトペプトン(Difco Laboratories社製)を
含む199培地(Flow Laboratories社製)に細胞数が
0.8〜1.0×105個/穴になるように懸濁させ、
平底96穴マイクロプレート(Nunc社製)に入れ、CO
2インキュベーター(37℃、5%CO2−95%空気の
雰囲気下)で3日間培養した。各穴を0.5%脂肪酸不
含牛血清アルブミン(Armour Pharmaceutical社製)/
リン酸緩衝溶液200μlで3回洗浄した後、ドコサヘ
キサエン酸〔DHA、30μmol/L〕を含む0.5%牛
血清アルブミン/199培地200μlに培地交換して
24時間CO2インキュベーター中で培養後、各穴を
0.5%牛血清アルブミン/リン酸緩衝溶液200μl
で3回洗浄して脂肪酸(ドコサヘキサエン酸)を除去
し、次いで4−メチルカテコールを含む0.5%牛血清
アルブミン/199培地200μlを各穴に加え、更
に、24時間CO2インキュベーター中で培養した。培
養後、上澄液中に含まれるNGF量を下記の酵素免疫測
定法(KorschingとThoenen、Proc. Natl. Acad. Sci.,
U.S.A., 80. 3513-3516, 1983.)で測定した。結果を表
1に示す。
【0012】NGFの測定法ポリスチレン製の96穴マ
イクロプレート(住友ベークライト社製 MS-3496F)に
抗マウスβNGF抗体(マウス顎下腺より調製したβN
GFを抗原にして作製したもの)溶液(pH8.3)を
各穴に50μlずつ分注し、37℃で4時間放置した。
マイクロプレートに吸着されなかった抗体を除去後、洗
浄液で各穴を3回洗浄した。標準試料溶液(βNGF
東洋紡社製)あるいは試料溶液をそれぞれ40μlずつ
各穴に分注し、4℃で18時間放置した後、試料溶液を
除去し、各穴を3回洗浄した。β−ガラクトシダーゼ標
識抗体βNGFモノクロナール抗体(Boehringer Mammh
eim社製)溶液(40mU/ml、pH7.6)を各穴に50μlず
つ分注し、37℃で4時間放置した後、標識抗体を除去
し、3回洗浄した。4−メチルウンベリフェリル−β−
D−ガラクトシド(Sigma社製)溶液(20μg/ml、pH7.
6)を各穴に100μlずつ分注し、室温で1.5時間反応
させた後0.2Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH1
0.3)を各穴に100μlづつ分注して酵素反応を停止さ
せ、生成した4−メチルウンベリフェロンの蛍光強度を
プレートリーダーで測定し、標準曲線よりNGF量を算
出した。
【0013】
【表1】 4−メチルカテコール DHA処理した細胞の の添加量 NGF産生相対値 ──────────────────── 無添加 1.52 1.56mg/ml 1.34 3.13mg/ml 2.19 6.25mg/ml 6.07 ────────────────────
【0014】なお、被験化合物(ドコサヘキサエン酸)
のNGF産生増強活性は、無処理細胞(被験化合物無添
加)が産生したNGF量に対する相対値で表した。上記
の結果から明らかなように、DHAは単独で1.5倍の
NGFを産生すると共に、既知のNGF産生剤である4
−メチルカテコールと組合わせ場合、6倍以上のNGF
を産生した。
【0015】実施例2 被験化合物としてイコサペンタエン酸(EPA)を用い
た以外は実施例1と同様にして、NGF産生増強活性を
調べた。結果を表2に示す。
【0016】
【表2】 4−メチルカテコール EPA処理した細胞の の添加量 NGF産生相対値 ──────────────────── 無添加 3.20 1.56mg/ml 1.69 3.13mg/ml 3.28 6.25mg/ml 3.41 ────────────────────
【0017】上記の結果から明らかなように、EPA
は、既知のNGF産生促進剤である4−メチルカテコー
ルと組合わせ場合、3倍以上のNGFを産生した。
【0018】参考例1 被験化合物としてリノール酸を用いた以外は実施例1と
同様にして、NGF産生増強活性を調べた。結果を表3
に示す。
【0019】
【表3】 4−メチルカテコール リノール酸処理した細胞の の添加量 NGF産生相対値 ──────────────────── 無添加 1.25 1.56mg/ml 1.24 3.13mg/ml 1.50 6.25mg/ml 1.69 ────────────────────
【0020】参考例2 被験化合物としてリノレン酸を用いた以外は実施例1と
同様にして、NGF産生増強活性を調べた。結果を表4
に示す。
【0021】
【表4】 4−メチルカテコール リノレン酸処理した細胞の の添加量 NGF産生相対値 ──────────────────── 無添加 0.92 1.56mg/ml 0.92 3.13mg/ml 1.24 6.25mg/ml 1.29 ────────────────────
【0022】参考例3 被験化合物としてアラキドン酸を用いた以外は実施例1
と同様にして、NGF産生増強活性を調べた。結果を表
5に示す。
【0023】
【表5】 4−メチルカテコール アラキドン酸処理した細胞の の添加量 NGF産生相対値 ──────────────────── 無添加 1.27 1.56mg/ml 1.09 3.13mg/ml 0.81 6.25mg/ml 1.97 ────────────────────
【0024】
【発明の効果】炭素数が20〜22のn−3系高度不飽
和脂肪酸である、イコサペンタエン酸やドコサヘキサエ
ン酸が強いNGF産生増強活性を示すことから、本発明
の神経成長因子産生増強剤は、中枢機能障害、特に、ア
ルツハイマー痴呆症や脳虚血病態に対する予防及び治療
薬、また、末梢神経機能回復および神経再生増強剤とし
て利用される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数20〜22のn−3系高度不飽和
    脂肪酸を有効成分として含有する神経成長因子産生増強
    剤。
  2. 【請求項2】 炭素数20〜22のn−3系高度不飽和
    脂肪酸がイコサペンタエン酸及び/又はドコサヘキサエ
    ン酸、それらのエステル及び薬学上許容し得る塩である
    請求項1に記載の神経成長因子産生増強剤。
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