JPH08140698A - 細菌数の迅速測定方法 - Google Patents

細菌数の迅速測定方法

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JPH08140698A
JPH08140698A JP31236594A JP31236594A JPH08140698A JP H08140698 A JPH08140698 A JP H08140698A JP 31236594 A JP31236594 A JP 31236594A JP 31236594 A JP31236594 A JP 31236594A JP H08140698 A JPH08140698 A JP H08140698A
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JP
Japan
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bacteria
sample
dye
hydrophobic filter
solution
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JP31236594A
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English (en)
Inventor
Mikio Sato
幹夫 佐藤
Asami Ito
朝美 伊藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特別な設備や専門的な知識を必要とせず、し
かも1段階の濾過操作で迅速(1分以内に)かつ簡便
に、試料中の細菌数を測定する方法を提供することを目
的とする。 【構成】 試料中の細菌数を測定する方法において、
疎水性フィルターを装着した濾過容器に細菌試料を入
れ、次いでこの細菌試料に色素液、洗浄液を順次添加す
るか、或いは色素を含有する洗浄液を添加した後、濾過
することにより、又は洗浄液と色素液を入れるか、或
いは予め色素を含有する洗浄液の入った疎水性フィルタ
ーを装着した濾過容器に、細菌試料を入れ、濾過するこ
とにより、疎水性フィルターへの染色された細菌の捕集
と過剰色素の除去とを同時に行ない、疎水性フィルター
の着色度から試料中の細菌数を測定することを特徴とす
る細菌数の迅速測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度な技術や専門的な
知識を必要とすることなく、1段階の濾過操作で試料中
の細菌数を迅速、かつ、簡便に測定する方法に関する。
本発明は、尿中の細菌が問題となる診断分野をはじめ、
金属加工油分野、腐敗が問題となる染料分野,食品分
野、温泉水などの環境分野など、広汎な分野において有
効に利用することができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、尿検査分野などでは、炎症の発見や病状を推定する
ために、尿等の試料中の細菌数等の測定が行なわれてい
る。例えば、尿中の細菌が増殖した場合、細菌尿症と診
断され、尿路感染症が暗示される。従って、早期治療や
薬投与のため、細菌数の測定を行なっている。また、食
品分野などでは、食品が腐敗していないかどうかを判断
するために、食品中の細菌数等の測定が行なわれてい
る。
【0003】このような場合の細菌数の測定は、寒天平
板培養法により行なわれるのが主流である。しかしなが
ら、この培養法では、専門技術と恒温槽という機器が必
要であり、また結果が出るのに24〜48時間を要す
る。例えば、尿検査では、外来患者の尿試料は細菌検査
室か、または検査センターで培養検査が行なわれるた
め、結果が医者に分かるのは数日後である。精度の高い
診断を行なうために、迅速な細菌測定法が求められてい
る。一方、食品の場合、大腸菌検査と一般細菌検査とが
あり、大腸菌検査は18時間培養で結果が出るものの、
一般細菌検査では24時間以上の培養が必要であり、多
くの食品の場合、製品出荷後に結果が出るのが通常であ
る。また、水溶性切削油などの金属加工油分野では、細
菌が増殖して油剤が腐敗することがある。現在、簡易培
養キット(例:商品名=イージーカルト)で細菌の有無
がチェックされているが、結果が出るのに48時間を要
する。従って、腐敗防止対策が後手に回り、腐敗による
悪臭の発生を防止できない場合がある。さらに、現在実
用化されていないが、細菌の酵素活性を測定する方法
(特開昭57−74095号公報)、蛍光色素法(特開
昭62−138185号公報)、フィルター染色法(特
開平1−124767号公報)等が提案されているが、
酵素活性測定用試薬の不安定性、特殊機器(蛍光光度
計)の必要性、染色法の操作性の煩雑さ等の欠点があっ
た。
【0004】本出願人は、このような従来の欠点を解消
するものとして、試料中の微生物生菌数を測定するにあ
たり、微生物を染色した後に疎水性フィルターに捕集す
るか、或いは疎水性フィルターに捕集した後に微生物を
染色し、次いで過剰の色素を洗浄により除去し、微生物
の着色度から試料中の微生物菌数を測定する方法を既に
提案している(特開平4−218392号公報) 。この
方法によれば、熟練した技術や専門的な知識、特別な設
備などを必要とせず、しかも迅速、かつ、簡便に試料中
の微生物菌数を測定することが可能となった。しかし、
2段階の濾過操作が必要であるため、実際使用してみる
と、操作が煩雑であるという問題があった。
【0005】本発明者らは、このような従来の欠点を解
消し、試料中の細菌数をより迅速簡便に測定し得る方法
を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、疎水性フィルタ
ーを装着した濾過容器に細菌試料を入れ、次いでこの細
菌試料に色素液、洗浄液を順次添加するか、或いは色素
を含有する洗浄液を添加した後、濾過することにより、
又は色素液と洗浄液を入れるか、或いは予め色素を含
有する洗浄液の入った疎水性フィルター装着の濾過容器
に、最後に細菌試料を入れて濾過することにより、1段
階の濾過操作にて、染色された細菌の疎水性フィルター
への捕集と過剰色素の除去とを同時に行なうことがで
き、しかもこのようにして得られる疎水性フィルターの
着色度から試料中の細菌数を充分な精度で測定し得るこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。
【0006】すなわち本発明は、特別な設備や専門的な
知識を必要とせず、しかも1回の濾過操作で迅速(1分
以内に)、かつ簡便に、試料中の細菌数を測定する方法
を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は第1に、試料中
の細菌数を測定する方法において、疎水性フィルターを
装着した濾過容器に細菌試料を入れ、次いでこの細菌試
料に色素液、洗浄液を順次添加するか、或いは色素を含
有する洗浄液を添加した後、濾過することにより、疎水
性フィルターへの染色された細菌の捕集と過剰色素の除
去とを同時に行ない、疎水性フィルターの着色度から試
料中の細菌数を測定することを特徴とする細菌数の迅速
測定方法を提供するものである。
【0008】さらに、本発明は第2に、試料中の細菌数
を測定する方法において、洗浄液と色素液を入れるか、
或いは予め色素を含有する洗浄液の入った疎水性フィル
ターを装着した濾過容器に、細菌試料を入れ、濾過する
ことにより、疎水性フィルターへの染色された細菌の捕
集と過剰色素の除去とを同時に行ない、疎水性フィルタ
ーの着色度から試料中の細菌数を測定することを特徴と
する細菌数の迅速測定方法を提供するものである。
【0009】本発明を適用することができる試料は、特
に制限はなく、例えば尿を初めとして、切削油,圧延
油,熱処理油などの水溶性金属加工油、液体調味料(醤
油,ソースなど),液体飲食品(例えば発酵乳・乳酸菌
飲料など),酒類(例えばワイン,清酒など)などの液
状食品、粉末や固形食品(例えば野菜,魚肉など)の場
合には洗浄した試料、水溶性塗料等、さらには河川水,
池水,温泉水,水槽水,生活廃水などの水等にも幅広く
適用することができる。なお、試料は必要に応じて、適
宜、希釈したり、或いは例えば固形食品などの場合には
破砕した後に、希釈したりするなどして測定用試料とす
るとよい。本発明は、このような試料中に存在する細
菌、例えば大腸菌( Escherichia Coli ),黄色ブドウ
球菌( Staphylococcus aureus ),緑膿菌( Pseudomon
as aeruginosa ) などについて、その総数を迅速に測定
しようとするものである。
【0010】本発明では、疎水性フィルターを装着した
濾過容器に細菌試料を入れ、次いでこの細菌試料に色素
液、洗浄液を順次添加するか、或いは色素を含有する洗
浄液を添加した後、濾過することにより(本発明の第
1)、又は洗浄液と色素液を入れるか、或いは予め色素
を含有する洗浄液の入った疎水性フィルターを装着した
濾過容器に、細菌試料を入れ、濾過することにより(本
発明の第2)、疎水性フィルターへの染色された細菌の
捕集と過剰色素の除去を同時に(1回の濾過操作で)行
なう。
【0011】本発明では、まず疎水性フィルターを装着
した容器に細菌試料を入れ、次いで、この細菌試料に色
素液、洗浄液を順次添加するか、或いは色素を含有する
洗浄液を添加する(本発明の第1)。すなわち、細菌試
料を、例えば動物細胞除去用のフィルターを装着したス
ポイトなどを用いて採取して動物細胞を除き、採取した
細菌試料を、疎水性フィルターを装着した濾過容器、例
えば加圧濾過しうる注射器や吸引濾過しうる吸引濾過具
などに入れる。
【0012】細菌捕集用のフィルターとして、本発明の
方法では疎水性フィルターを用いる。疎水性フィルター
は極性が弱いか、或いは極性がなく、過剰の色素の除去
が容易であるため細菌捕集用のフィルターとして好適で
ある。一方、極性のあるフィルターは過剰の色素の除去
が容易ではないため、好ましくない。このような疎水性
フィルターとしては、例えばナイロン系、ポリテトラフ
ルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素
系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリカー
ボネート系、或いはガラス系などの疎水性フィルターが
挙げられる。これらのフィルターの中でも特にポリテト
ラフルオロエチレンやポリプロピレンを材料とする疎水
性フィルターが、過剰の色素の除去が容易であるため好
ましい。また、親水性の材料、例えばニトロセルロース
系フィルターを表面処理により疎水性にすれば、疎水性
フィルターとして使用することができる。ここで表面処
理としてはコーティングなどであり、コーティングに用
いる材料として、前記ナイロン系,フッ素系,ポリオレ
フィン系の材料などを用いることができる。
【0013】この細菌捕集用の疎水性フィルターの濾過
孔径は、細菌の捕集に通常使用される0.2〜3.0μ
m程度の範囲で良い。なお、試料中に細菌より大型の動
物細胞、例えば白血球などが共存する場合には、細菌は
通過するが、そのような大型の動物細胞を通過させず、
捕集することができるプレフィルター(例えば、濾過孔
径が6〜8μm程度のもの)を用いて前処理すればよ
い。このようなプレフィルターとしては、ポリプロピレ
ン系のフィルター(濾過孔径が7μm程度のもの)、後
記する実施例の『ゴナビスライド・新ゴナビスライド』
(持田製薬製)などの妊娠診断薬用尿採取フィルター
(材質:塩ビ系)、市販の油性ペンなどで使用されてい
るフェルト、不織布などを使用することができる。ま
た、上記2枚のフィルター(細菌捕集用の疎水性フィル
ターとプレフィルター)を重ねて使用することにより、
前処理操作を省略し、最後の判定の段階で、プレフィル
ターを取り外して測定してもよく、或いは濾過前に取り
外しておいてもよい。特に細菌以外の動物細胞が多量に
存在する場合には後者の方が好ましい。なお、プレフィ
ルターによる前処理は、吸引濾過、或いは加圧濾過のい
ずれによっても行なうことができる。
【0014】この細菌捕集用の疎水性フィルターの吸引
又は加圧濾過面積(着色域の面積)の大きさは、見やす
ければ特に制限はない。吸引又は加圧濾過される部分の
形は特に問わないが、見やすさの点で円形が望ましく、
その口径(直径)が2〜6mm程度の円形のものが好まし
い。この細菌捕集用の疎水性フィルター全体の大きさは
特に制限はない。また、この疎水性フィルター全体の形
状は見やすさの点で円形が好ましく、その口径(直径)
は7〜15mm程度のものが好ましい。
【0015】この細菌捕集用の疎水性フィルターの色と
しては、用いる色素を考慮して、判定容易な色を定めれ
ばよい。着色の程度を容易に判定するためには、白色の
疎水性フィルターが好ましい。また、透明,半透明の疎
水性フィルターも用いることができ、白色用紙の上に疎
水性フィルターを載せて判定すると、判定が容易とな
る。
【0016】上記の如き疎水性フィルターを装着した濾
過容器(例えば加圧濾過しうる注射器や吸引濾過しうる
吸引濾過具など)に細菌試料を入れ、次いでこの細菌試
料に色素液、洗浄液を順次添加するか、或いは色素を含
有する洗浄液を添加する。なお、色素液の添加と洗浄液
の添加は、いずれを先に行なっても良い。また、場合に
よっては、本発明の第2に示すように、色素液や洗浄
液、或いは色素を含有する洗浄液を先に添加し、次いで
細菌試料を入れてもよいし、さらには、色素液と洗浄液
と細菌試料とを、或いは色素を含有する洗浄液と細菌試
料とを、同時に入れてもよい。要するに、これらが、濾
過前に濾過容器内に存在していればよい。
【0017】ここで色素液としては、細菌の染色に使用
可能な色素を、水又は各種緩衝液を用いて色素液とした
ものが用いられる。細菌の染色に使用可能な色素として
は、例えばサフラニン,フクシン,メチレンブルー,メ
チルグリーン,クリスタルバイオレット,ゲンチアナバ
イオレット,ビクトリアブルーBなどが挙げられ、特に
判定のし易さの点より、サフラニン,フクシン,メチレ
ンブルー,メチルグリーンが好ましい。
【0018】上記のように、色素液とするには,水又は
緩衝液が使用可能である。緩衝液の使用可能pHは4〜
9であり、色素の安定性の点から好ましくはpH5〜7
である。必要に応じて、エタノールなどの防腐剤や界面
活性剤等を添加することもできる。使用可能な色素濃度
は、フクシンの場合、通常、0.0001〜0.5 %(w/
v)、好ましくは 0.0005 〜0.05%(w/v)、さらに
好ましくは 0.001〜0.02%(w/v)である。ここで色
素の濃度が、0.0001%未満であると着色が不充分とな
り、一方、色素液の濃度が0.5 %を超えると過剰の色素
の除去が困難となるため、いずれも好ましくない。
【0019】なお、必要に応じて、上記の色素液に防腐
剤としてエタノールを添加する場合には0.1〜10%
(v/v)添加すればよく、また、界面活性剤を添加す
る場合には、界面活性剤を0.001 〜1.0 %(w/v)の
割合で添加すればよい。なお、検体(試料)の量は、通
常、50〜150μlであり、このような1試料(50
〜150μl)当たりの色素液の使用量は少なくとも2
0μl必要であるが、100μl以上は必要ない。色素
液が多いと洗浄液も多くなり、無駄となる。
【0020】次に、洗浄液としては、水又は緩衝液を使
用することができる。緩衝液の使用可能pHは4〜9で
あり、色素の安定性の点から好ましくはpH5〜7であ
る。必要に応じて、エタノールなどの防腐剤や界面活性
剤等を添加することができる。その場合には、エタノー
ルは0.1〜10%(v/v)添加すればよく、また、
界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤を0.001 〜
1.0 %(w/v)の割合で添加すればよい。洗浄液の使
用量は、色素液の量と関係し、色素液に対して洗浄液を
5〜200容量倍、好ましくは10〜50容量倍使用す
る。洗浄液の使用量が色素液に対して5容量倍未満であ
ると、洗浄が不完全となり、一方、洗浄液の使用量が色
素液に対して200容量倍を超えたものであると、着色
度が弱く、測定することが不可能となる。なお、洗浄液
の使用量は、色の対照表や検量線を作成する際の使用量
と、細菌数未知試料を洗浄する使用量とを等量にするこ
とが、誤差を抑える意味で好ましい。
【0021】また、前記した如き洗浄液に、前もって色
素を添加して色素含有洗浄液として使用する場合には、
洗浄液に上記した如き色素液を上記の容量比で添加して
も良く、或いは洗浄液に相当分の色素のみを添加しても
よい。
【0022】以上のように、疎水性フィルターを装着し
た濾過容器に細菌試料を入れ、次いでこの細菌試料に色
素液、洗浄液を順次添加するか、或いは色素を含有する
洗浄液を添加した後、濾過する。又は本発明の第2のよ
うに、色素液と洗浄液を添加するか、或いは予め色素を
含有する洗浄液を添加した疎水性フィルター装着の濾過
容器に、最後に細菌試料を添加して濾過しても良い。濾
過方法としては、注射器などによる加圧濾過であっても
良いし、或いは吸引濾過具などによる吸引濾過であって
も良い。本発明の方法によれば、このように疎水性フ
ィルターを装着した濾過容器に細菌試料を入れ、次いで
この細菌試料に色素液、洗浄液を順次添加するか、或い
は色素を含有する洗浄液を添加した後、濾過することに
より、又は順序を変え、色素液と洗浄液を添加する
か、或いは予め色素を含有する洗浄液の入った疎水性フ
ィルター装着の濾過容器に、最後に細菌試料を添加して
濾過することにより、染色された細菌の疎水性フィルタ
ーへの捕集と過剰色素の除去とを同時に行なうことがで
き、操作工程が簡便となる。
【0023】なお、吸引濾過による場合、通常は、細菌
捕集用の疎水性フィルターを所定の吸引濾過具に装着
し、この吸引濾過具に細菌試料を入れ、次いでこの細菌
試料に色素液、洗浄液を順次添加するか、或いは色素を
含有する洗浄液を添加した後、吸引濾過することによ
り、疎水性フィルターへの染色された細菌の捕集と過剰
色素の除去とを同時に行なう。ここで吸引濾過具は、通
常は、細菌捕集用の疎水性フィルターを装着して主に濾
過を受け持つ濾過具と、主に吸引を受け持つ吸引具とか
らなるものであり、例えば細菌捕集用の疎水性フィルタ
ーを装着しうるロート型濾過器などと、吸引ポンプとを
組合せたものを用いることができる。また、注射器で吸
引しても良い。より具体的には例えば、上記したような
ロート型濾過器などの濾過具に、細菌捕集用の疎水性フ
ィルターを装着し、この濾過具の下部に、吸引ポンプな
どの吸引具を配置し、試料を吸引濾過すればよい。ま
た、吸引ポンプの代わりに真空ラインを使用してもよ
い。
【0024】本発明の方法においては、このようにして
疎水性フィルターへの染色された細菌の捕集と過剰色素
の除去とを同時に行ない、疎水性フィルターの着色度か
ら試料中の細菌数を測定する。このようにして過剰の色
素が除去された試料中の細菌の着色度から、試料中の細
菌数を測定する。この細菌数の測定は、(1)色の対照
表を用いて目視により比較するのが一番簡便であるが、
(2)光学密度(O.D.)測定による比色定量法によ
り行なうこともできる。目視判定の場合には、細菌捕集
用の疎水性フィルターの表側の面のみならず、裏側の面
の着色度より、測定することもできる。これらの場合に
は、それぞれの側用の色対照表や、吸光度と細菌数の検
量線を作成すればよい。
【0025】上記(1)の目視による細菌数の測定は、
具体的には、細菌捕集用の疎水性フィルター上に存在す
る細菌の着色度、即ち色の強度を、既知量の細菌数の試
料を用いて予め作成しておいた色の対照表と比較するこ
とにより行なえばよい。色の対照表は、細菌数が既知の
試料を用い、本発明の方法で染色,洗浄した細菌捕集用
の疎水性フィルターをカラー写真に撮ることにより、又
は、この染色された細菌捕集用の疎水性フィルターと同
程度に濾紙等を着色したり、或いは同程度の色を紙に印
刷することにより、作成することができる。
【0026】例えば、尿中の細菌数を測定する場合に
は、次のようにして色の対照表を作成する。すなわち、
尿中細菌は健常人の尿にも低濃度〔多い場合でも1ml
(ミリリットル)当り1万個程度〕存在するが、総数で
1ml当り10万個以上存在した場合には細菌尿症の疑
いありと判断され、1ml当り100万個以上の場合に
は細菌感染(細菌尿症)が確定的である。従って、通
常、1万個/ml,10万個/ml,100万個/ml
の3点の場合の標準色対照表を作成すればよいが、勿
論、これに限定されるものではない。
【0027】このように色の対照表を用いる場合には、
この色対照表に、前記した細菌捕集用の疎水性フィルタ
ー,該フィルターを装着しうる濾過具,色素液と洗浄液
(或いは前もって色素を添加しておいた色素含有洗浄
液)、必要に応じてさらに、細菌以外の動物細胞を除去
するためのプレフィルターや、試料採取ピペットを組み
合わせて、試料中の細菌数を迅速、かつ、簡便に測定し
うる測定キットとすることができる。なお、加圧濾過に
使用する注射器は特に制限はない。吸引濾過具は、細菌
捕集用の疎水性フィルターと組み合わせて吸引濾過でき
るものであればよく、特に制限はない。また、加圧濾過
具や吸引濾過具の材質は、ガラス製とプラスチック製の
いずれをも使用することができる。さらに、その容量
は、使用する洗浄液等の液量に応じて選択すればよい。
また、細菌捕集用の疎水性フィルターと、この吸引濾過
具とを一体化することもできる。
【0028】また、上記(2)の光学密度(O.D.)
測定による比色定量は、細菌捕集用の疎水性フィルター
上に存在する細菌を着色した色素を、有機溶剤を用いて
溶出させ、溶出液の着色度を吸光度により測定し、予め
作成した光学密度(O.D.)と細菌数との検量線と照
合して定量すればよい。吸光度測定時の波長は、用いる
色素により、適宜定めればよい。ここで有機溶剤として
は、各種アルコール類を使用することができるが、特に
エタノールが好ましい。
【0029】なお、検量線の作成は、例えば次のように
して行なえばよい。即ち、色素としてフクシンを用いた
場合には、各種の濃度に希釈した試料の着色度を、マイ
クロプレートリーダーを用いて、着色度を492nmの
光学密度(O.D.)により測定しておき、一方、各種
の濃度に希釈した試料と同一試料の試料溶液中の細菌数
を、寒天平板培養法のコロニー数の計数により算出して
おき、両者の結果から細菌数と光学密度の検量線を作成
すればよい。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1 (1)細菌数測定用色の対照表の作成 種菌として、大腸菌( Escherichia coli )( ATCC 1130
3 ) 及び黄色ブドウ球菌( Staphylococcus aureus )(
IFO 3183 )を用いて以下の試験を行なった。肉汁ブイヨ
ン培地に種菌を接種して、37℃で24時間の静置培養
を行ない、培養液を標準試料用菌懸濁液とした。一方、
健常人男子の放出尿を採取して、濾過孔径が0.5μm
のポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルター
(東洋濾紙製)で濾過して、細菌希釈用液を調製した。
この標準試料用菌懸濁液に所定量の前記細菌希釈用液を
添加して、各細菌数が 1万個/ml程度、10万個/ml程度、100
万個/ml程度の濃度となるように、3種の標準試料を
調製した。なお、細菌数はCLED寒天平板培地で、3
7℃、24時間培養した際のコロニー数により計数し
た。
【0031】標準試料を尿採取スポイト〔妊娠診断薬
『ゴナビスライド・新ゴナビスライド』(持田製薬製)
の動物細胞除去用濾過管付ピペット〕で吸い取り、濾過
管を取り除いた後、その3滴(130μl)を、濾過孔
径が0.5μmのポリテトラフルオロエチレン製メンブ
レンフィルター(口径3mm、東洋濾紙製)を先端付近
に装着した3ml容の注射器内に添加し、次いでフクシ
ン色素液〔日水製薬製のフクシン液(濃度0.02%)
に3倍量の水を添加した液〕1滴(40〜50μl)を
添加し、続いて洗浄液〔 0.05 %(W/V )ツイーン20添
加PBS緩衝液,pH7.0〕1mlを滴下して加圧濾
過を行なった。加圧濾過後、前記疎水性フィルターを取
外し、この細菌捕集用の疎水性フィルター上に存在する
細菌の着色度(直径3mmの円の着色度) を目視により観
察した結果、下記の第1表の通りであった。なお、洗浄
液に前もって色素液を添加した色素液含有洗浄液を使用
した場合にも、同様の結果を得た。また、菌無添加では
着色しなかった。色素液は使用に際し、上記と同様の
0.5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
製フィルター(東洋濾紙製)で濾過して、微粒子を除去
した。測定時間は30秒であった。
【0032】
【表1】
【0033】これらの着色したフィルターを、標準サン
プルとしてカラー写真にとり、色の対照表とした。な
お、大腸菌と黄色ブドウ球菌との間で着色の程度に大差
はなかった。
【0034】(2)尿中細菌数の測定 健常人の放出尿及び各種患者の放出尿を、尿採取スポイ
ト〔妊娠診断薬『ゴナビスライド・新ゴナビスライド』
(持田製薬製)の濾過管付ピペット〕で吸い取り、濾過
管を取り除いた後、その3滴(130μl)を、濾過孔
径が0.5μmのポリテトラフルオロエチレン製メンブ
レンフィルター(口径3mm、東洋濾紙製)を先端付近
に装着した3ml容の注射器内に添加し、次いでフクシ
ン色素液〔日水製薬製のフクシン液(濃度0.02%)
に3倍量の水を添加した液〕1滴(40〜50μl)を
添加し、続いて洗浄液〔 0.05 %(W/V )ツイーン20添
加PBS緩衝液,pH7.0〕1mlを滴下して加圧濾
過を行なった。加圧濾過後、前記疎水性フィルターを取
外し、この細菌捕集用の疎水性フィルター上に存在する
細菌の着色度(直径3mmの円の着色度) を目視により観
察し、上記(1)で作成した色の対照表と比較して目視
による判定を行なった。結果を第2表に示す。なお、洗
浄液に前もって色素液を添加した色素液含有洗浄液を使
用した場合にも、同様の結果を得た。また、菌無添加で
は着色しなかった。色素液は使用に際し、上記と同様の
0.5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
製フィルター(東洋濾紙製)で濾過して、微粒子を除去
した。なお、比較のために、CLED寒天平板培地(3
7℃で24時間培養)で測定した細菌数も併せて表示し
た。測定時間は30秒であった。
【0035】
【表2】
【0036】比較例1 特開平4−218392号に記載された方法に従って、
尿中の細菌数を測定したところ、測定時間は3分であっ
た。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法によれば、1段階の濾過操
作で疎水性フィルターへの染色された細菌の捕集と過剰
色素の除去を同時に行なうことができ、試料中の細菌数
を迅速、かつ、簡便に測定することができる。本発明の
方法によれば、通常、1分以内に判定可能である。しか
も本発明の方法によれば、専門的な技術や知識を必要と
せずに、試料中の細菌数を測定することができる。しか
も本発明の方法によれば、細菌の培養なしに、細菌の有
無が分かるので、病院の細菌検査の検体スクリーニング
に活用することができ、患者及び病院の経費軽減に貢献
することができる。また、本発明の方法においては、特
別な機器を必要としないので、小規模な病院や診療所、
或いは一般の人でも測定することができる。さらに、本
発明の方法は、疎水性フィルターの濾過孔径を選択する
ことにより、多くの細菌に適用できるので、応用範囲も
極めて広い。また、測定キットとした場合には、極めて
簡単、かつ、安価なものであって、特別な機器を必要と
しないので、どのような現場においても使用することが
できるという利点がある。特に、一般の素人も使用する
ことができるため、簡単に河川水,池水,海水,温泉水
などの身の回りの水質の検査が可能となり、環境保全に
貢献することができるばかりか、液状食品や固形食品な
どの食品における細菌数の検査等が可能となるという特
質がある。従って、本発明は、尿検査分野(診断領域)
や金属加工分野をはじめ、各種検査に広く利用すること
ができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の細菌数を測定する方法におい
    て、疎水性フィルターを装着した濾過容器に細菌試料を
    入れ、次いでこの細菌試料に色素液、洗浄液を順次添加
    するか、或いは色素を含有する洗浄液を添加した後、濾
    過することにより、疎水性フィルターへの染色された細
    菌の捕集と過剰色素の除去とを同時に行ない、疎水性フ
    ィルターの着色度から試料中の細菌数を測定することを
    特徴とする細菌数の迅速測定方法。
  2. 【請求項2】 試料中の細菌数を測定する方法におい
    て、洗浄液と色素液を入れるか、或いは予め色素を含有
    する洗浄液の入った疎水性フィルターを装着した濾過容
    器に、細菌試料を入れ、濾過することにより、疎水性フ
    ィルターへの染色された細菌の捕集と過剰色素の除去と
    を同時に行ない、疎水性フィルターの着色度から試料中
    の細菌数を測定することを特徴とする細菌数の迅速測定
    方法。
  3. 【請求項3】 細菌に着色した色素を有機溶剤で溶出
    し、溶出液の着色度を光学密度測定により比色定量する
    請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 試料が尿である請求項1又は2記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 色素液に対して、洗浄液を5〜200容
    量倍使用する請求項1又は2記載の方法。
  6. 【請求項6】 色素液の濃度が、0.0001〜0.5 %(w/
    v)である請求項1又は2記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007525227A (ja) * 2004-03-01 2007-09-06 マイコメーター・エーピーエス 汚染の測定
JP5791063B2 (ja) * 2013-06-21 2015-10-07 国立大学法人鳥取大学 大気中の物質の飛来状態判定装置、飛来物質採取用フィルタ及び飛来状態判定プログラム

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