JPH0813854A - 墓 碑 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 正面の霊標が戒名等で充たされたら、その霊
標を墓誌として台座部の周囲の各側面や背面に嵌め込み
固定するだけで、地震等で倒壊することなく霊標を保持
でき、埋葬された多くの人の戒名等を永代にわたって保
存することができ、戒名等の彫刻作業も容易である上
に、狭い墓地を有効に利用することができるとともに本
来あるべき場所に霊標を安置できる墓碑の提供を目的と
する。 【構成】 本発明の墓碑は、石碑１と、石碑１を載置す
る１乃至複数の台部２，３からなる台座部Ａと、台座部
Ａを載置する基台４と、台座部Ａの台部又は台座部Ａが
複数からなる場合は下段台部３の周囲に形成された嵌合
部３１に嵌合固定される１乃至複数の霊標１２ａ，１２
ｂ，１２ｃと、を備えた構成を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は墓碑に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、お墓には墓碑とともに墓誌が立て
られている。墓誌は、故人の戒名や功績等を子孫に伝え
るものとして利用されている。以下に従来のお墓につい
て説明する。図９は従来の墓地の斜視図である。１は円
柱，平板，角柱あるいは坊塔，宝塔，蓮華型等からなる
家名や絵，和歌等の碑文を刻設した石碑、２は石碑１や
石碑１を載置した花台や花台座布団，蓮華座等が載置さ
れる２乃至複数の上段台部、３は上段台部２を載置する
１乃至複数の下段台部であり、上段台部２と下段台部３
等で台座部Ａが構成されている。４は台座部Ａが載置さ
れた基台、５は墓誌載置台５１に安置された墓誌であ
り、この表面に複数の故人の戒名や俗名等が記載されて
いる。６は花立、７は香炉、８は香炉７を載置する香炉
台、９は石碑１の上部に彫刻された家紋形成部、１０は
お参りの際に荷物等を置く物置台である。しかし、近年
都市部では墓地用地が不足し、また、土地の地価高騰に
より墓地の面積が狭くなっているのでお墓に墓誌５等が
建て難くなっている。また、建てられても石碑に接して
建てられているため、戒名等の碑文が読み難いという問
題点があった。そこで、これらの問題点を解決するもの
として、実開平２−７７２５７号公報では柱形状の墓誌
の底面の中心に中心軸を差し込み回転自在として石碑の
側に建てた墓碑が開示されている。また、特開平１−１
７４７８１号公報には石碑の表面に人物の遺影等をプリ
ントした陶板を装着した墓碑が開示されている。しかし
ながら上記従来の構成では、実開平２−７７２５７号公
報のものは、墓誌が軸支されただけなので不安定であ
り、物が当たったり人が寄りかかった際、墓誌が倒れる
等安全上の問題点を有していた。また、墓誌の下部に長
い年月の間に風等で運ばれた砂塵等の微粒子が詰まり、
それらが雨等で固まり、回転させることが困難になり易
く、更に霊標面積が限定されているため、新しい故人の
戒名等を彫ることができ難いという問題点を有してい
た。また、特開平１−１７４７８１号公報のものは石碑
表面に挿着するプリントした陶板は新しい故人の戒名等
を彫ることができず、また物が当たって割れる虞があり
かつ盗難にあいやすいという問題点があった。そこで、
本発明者は上記従来の問題点を解決すべく鋭意検討をし
た結果、参拝の際、石碑の家名等の碑文の文字を隠さな
いでしかも碑文の下に故人の俗名や戒名等を正面に直接
目視しながら拝むことができ、霊標が戒名等で充たされ
たらその霊標を墓誌として墓地内に建てるか置き石上に
安置することにより、墓地に埋葬された多くの人を末永
くおまつりすることができる墓碑を実願平３−４５５１
９１号として実用新案登録出願を行った。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、戒名等で充たされた霊標を墓地内に建てる
か置き石上に安置するが、都市部では墓地の面積が狭い
ためお墓にとって一番大切な霊標の設置ができないとい
う問題点があることがわかった。また、墓地が狭く墓碑
が小さい場合は霊標も小さく、かつ面積も狭くなるの
で、戒名等ですぐに埋め尽くされ、新しい戒名等は霊標
の裏面に彫らざるを得ず、彫刻作業が困難でかつ苔等で
変色部等が生じたりして見栄えが悪く使用しづらいとい
う問題点があることがわかった。更に、戒名や俗名等で
埋まってしまった霊標を、新規な霊標と入れ代えると、
苔生した石碑や花立等の付属物の中に新規な光沢のある
霊標が交じり違和感を与え墓碑としての風格を害すとい
う問題点があることがわかった。霊標を台座部や基台の
載置面に直接又は載置面の嵌着用凹部に載置するだけで
は、霊標が台風や地震、又は雪（特に豪雪地帯）で傾い
たり倒れたりするという問題点があることがわかった。

【０００４】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、正面の霊標が戒名等で充たされたら、その霊標を墓
誌として台座部の周囲の各側面や背面に嵌め込み固定す
るだけで、地震等で倒壊することなく霊標を保持でき、
埋葬された多くの人の戒名等を永代にわたって保存する
ことができ、戒名等の彫刻作業も容易である上に、狭い
墓地を有効に利用することができるとともに本来あるべ
き場所に霊標を安置できる墓碑を提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の墓碑は、以下の構成を有している。請求項１
に記載の墓碑は、石碑と、前記石碑を載置する１乃至複
数の台部からなる台座部と、前記台座部を載置する基台
と、前記台座部の台部又は前記台座部が複数からなる場
合は下段台部の周囲に形成された嵌合部に嵌合固定され
る１乃至複数の霊標と、を備えた構成を有している。請
求項２に記載の墓碑は、請求項１において、前記台座部
の下段の台部又は前記基台の前記霊標の載置面に穿設さ
れた前記霊標の底部を嵌合する嵌合用凹部を備えた構成
を有している。請求項３に記載の墓碑は、請求項１又は
２の内いずれか１において、前記霊標の底面に形成され
た１以上の霊標凹部及び／又は凸部を備え、前記台座部
の前記下段の台部又は前記基台の前記霊標載置面に形成
された前記霊標凹部又は凸部と嵌合する霊標固定用凸部
又は凹部を備えた構成を有している。請求項４に記載の
墓碑は、請求項１乃至３の内１いずれか１において、前
記霊標の両側部に形成された摺嵌用の霊標側面凹部又は
凸部を備え、前記台座部の前記嵌合部に前記霊標の前記
霊標側面凹部又は凸部と摺嵌する摺嵌凸部又は凹部が形
成されている構成を有している。

【０００６】ここで、霊標が嵌合される嵌合部は、台座
部が１乃至複数の台部から構成されているときは、石碑
に刻設された家名等の碑文が隠れないように下段側の台
部に形成されるのが好ましい。また、台座部が花台座布
団付のものや、蓮華座付、猫足蓮華座付、花台付の場合
は、これらにかからないように嵌合部を形成するか、ま
たはこれら花台や座布団、蓮華座等を小さく形成するか
若しくはこれら花台や座布団、蓮華座に凹部を形成する
とよい。霊標は、石材、陶板材、木板等で形成される。
霊標の底面の嵌合用凹部や該凸部は冬期に凍結した雨水
で霊標が基台等の載置面から滑落するのを防止したり、
また通常の地震で倒れるのを防止できる程度の深さや高
さに形成される。該凹部や該凸部は霊標の大小や厚みの
厚薄に応じていずれか一方又は両方を１乃至複数個形成
される。

【０００７】

【作用】この構成によって、墓参の際に、石碑の下の基
台の上面に故人の戒名や俗名等の碑文を刻設した霊標が
正面にあるので霊標を見ながら一人乃至は複数の故人を
偲びつつお参りした後、霊標の表面が戒名等で埋め尽く
されたらこれを墓碑の台座部の各側面や背面に予め設け
られた嵌合部に嵌合するだけで固定できるので墓誌や墓
誌載置台等を必要とせず、また霊標の紛失や損壊を防止
することができ、数世代にわたって墓碑と一体に保存で
きる。更に、多数の戒名等を表示できる霊標を複数配設
できるので、一基の墓碑に多数の人を埋葬することがで
き、従来のように墓地内に複数の墓碑を建てる必要がな
く墓地の敷地の有効利用を図ることができる。また、墓
碑を建立する際に台座部の各側面や背面の嵌合部に、各
々霊標を同時に設置しておくと見栄えもよく、また、年
月を経ても石碑やその他の付属物とともに苔生すので一
体感があり見栄えのよい風格のある墓碑とすることがで
きる。霊標や台座部若しくは基台等に霊標の嵌合手段を
形成した場合は、霊標がしっかりと台座部等に保持され
るので、霊標が地震で倒壊したり、雨水の凍結等で基台
等から滑落して損壊するのを防止できる。

【０００８】

【実施例】

（実施例１）以下本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。図１は本発明の一実施例における
墓碑の斜視図であり、図２はその側面図であり、図３は
側面の霊標を外した状態を示す斜視図である。１は石
碑、２は上段台部、３は上段台部を載置する下段台部、
Ａは上段台部２と下段台部３その他からなる台座部、４
は基台、６は花立、７，７ａは香炉および水鉢、８は香
炉台、９は彫刻された家紋形成部、１１は石造のローソ
ク立てであり、これらは従来例と同様なものなので同一
の番号を付し説明を省略する。図１において、１２ａ，
１２ｂ，１２ｃは台座部Ａの正面側や背面，両側面側の
下段台部３に嵌合配設されその表面に故人の戒名や俗名
等が刻設された霊標である。図２，図３において、１３
はカロート、１４は納骨口、３１は下段台部３に形成さ
れた霊標嵌合手段の一つである嵌合部である。霊標嵌合
手段としては霊標が傾斜したり、倒れたり、冬季凍った
雨水等で霊標１２が基台４の表面上を滑ったりするのを
防止できるものであればよい。台座部Ａは墓碑の形態に
より上段台部２又は下段台部３を一体に形成したもので
もよく、あるいは更に増やして３段以上に重ねて形成し
たものを用いてもよい。その場合は、嵌合部３１は下段
乃至は中段等の台部に霊標の大小や厚み厚薄に合わせて
形成される。霊標１２の形状としては長方体等矩形のも
のや種々の形状のものが使用できる。戒名等の表示部
は、少し傾斜して形成すると見栄えを向上させることが
できる。また霊標１２はカロート１３の納骨口１４の蓋
部として利用できるものであり、この場合カロート１３
の納骨口１４を覆設する部分は平面状であると前記納骨
口１４を密閉し、カロート１３内への雨水の侵入を防止
できるので好ましい。家紋形成部９は霊標１２の表面が
戒名等で埋まったとき墓誌として使用する際の飾りとす
ることもできる。但し、霊標１２が小型のときや石碑１
の横に載置するときは設けなくてもよい。

【０００９】（実施例２，３）図４は本発明の第２実施
例における墓碑の一部破断側面図であり、図５（ａ）は
霊標の要部正面図であり、図５（ｂ）は霊標の要部側面
図であり、図６は本発明の第３実施例における墓碑の一
部破断側面図である。第２実施例の墓碑は、図４に示す
ように基台４の霊標１２の載置面に１乃至複数の霊標固
定用凸部４１が形成され、図５に示す霊標１２の底面に
穿設された霊標凹部１２１に嵌合し固定する構成を有し
ている。本実施例によれば、霊標１２が底面で基台４の
霊標固定用凸部４１に嵌合して固定されているので倒れ
たり、滑ったり、傾斜するのを防止することができる。
第３実施例の墓碑は、図６に示すように基台４の霊標１
２の載置面に霊標１２を嵌合する霊標嵌合用凹部４２が
穿設されるとともに、霊標嵌合用凹部４２の内側に霊標
固定用凸部４１が形成された構成を有している。本実施
例によれば霊標１２が台座部Ａに強固に保持されている
ので地震等による霊標１２の倒転や倒壊を防止できる。
尚、霊標固定用凸部４１は地震の少ない地方では形成し
なくてもよい。尚、霊標嵌合用凹部４２は冬季に寒冷地
において霊標１２が間隙に入った雨水が凍って霊標１２
が滑り落ちるのを防止するために数mm程度穿ったもの
や、地震の多発地帯で、霊標１２が倒れるのを防止する
ために数cm程度穿ったもの等地域等により適宜選択すれ
ばよい。また、温暖地等の場合や霊標１２等が小さい場
合等は霊標固定用凸部４１は形成しなくてもよい。尚、
該凸部４１や該凹部１２１は図面では１つ形成したが、
霊標１２の大きさや地域により複数個形成してもよい。 （実施例４，５）図７は本発明の第４実施例における墓
碑の台座部の嵌合部の要部斜視図であり、図８は本発明
の第５実施例における墓碑の台座部の嵌合部の要部斜視
図である。第４実施例の墓碑は霊標１２の両側部に霊標
側面凹部１２２が形成され、台座部Ａの下段台部３に形
成された嵌合部３１の摺嵌凸部３１ａに摺嵌自在に嵌合
固定される構成を有している。本実施例によれば、嵌合
手段を有しているので、冬季雨水の凍結等による滑落や
地震による倒壊を防止できる。尚、嵌合手段としては霊
標側面凹部１２２を凸部及び摺嵌凸部３１ａを凹部に代
えて形成してもよい。第５実施例の墓碑は霊標１２３が
石板で構成され、台座部Ａの下段台部３の嵌合部３１に
形成された霊標嵌合用凹部３２に嵌着される構成を有し
ている。本実施例によれば、霊標１２３を石板で構成し
たので、台座部Ａに霊標嵌合用凹部３２を形成するだけ
で作製できるとともに簡単に霊標１２３を固定できる。

【００１０】

【発明の効果】以上のように本発明は、これらの構成に
よって、以下の優れた効果を発揮することのできる低原
価で量産性に優れた墓碑を実現できるものである。 墓碑の台座部を構成する下段台部等の正面や背面、各
側面に予め霊標の嵌合部や基台等の上面に設けられた霊
標嵌着用凹部が設けられているので、正面の霊標が戒名
等で充たされた場合、墓碑を削ったり不自然に張り付け
たりしないで、台座部の他の側面等に嵌合固定し、新規
の霊標と交換するだけで故人を祭ることができる。 複数の戒名等を刻設した霊標を複数個配置でき、墓誌
や墓誌載置台を必要としないので、墓地を有効利用する
ことができるとともに、狭い墓地でも多数の人を祭るこ
とができる。 霊標が戒名等で埋まったときは、台座部の各側部や背
面の新規の霊標と交換して嵌合固定するだけで何代にも
亘って使用することができ利便性を向上させることがで
きる。 墓碑の台座部を構成する下段台部等の側面や裏面に予
め設けられた霊標嵌合手段や基台の上面に設けられた霊
標嵌着用凹部に嵌め込むだけで、霊標が凍結した雨水で
滑ったり、地震等で倒れたりすることを防止することが
でき極めて安全である。 霊標を台座部の正面や背面、側面（台座部が四角柱状
の場合は左右側面，五角柱以上の多角柱の場合は各側
面）に墓碑の建立当初から設置した場合は、年月を経て
も一体感を損なうことなく風格を備えた見栄えのよい墓
碑にすることができる。 霊標に複数の故人の戒名等を記せるので、従来のよう
に故人毎に墓碑を必要とせず、また、従来石碑の後方等
や敷地内に建てていた卒塔婆や卒塔婆立ても不要とな
り、墓地用の敷地を整然と広く利用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における墓碑の斜視図

【図２】本発明の一実施例における墓碑の側面図

【図３】図１の側面の霊標を外した状態を示す斜視図

【図４】本発明の第２実施例における墓碑の一部破断側
面図

【図５】（ａ）本発明の第２実施例における霊標の要部
正面図 （ｂ）本発明の第２実施例における霊標の要部側面図

【図６】本発明の第３実施例における墓碑の一部破断側
面図

【図７】本発明の第４実施例における墓碑の台座部の嵌
合部の要部斜視図

【図８】本発明の第５実施例における墓碑の台座部の嵌
合部の要部斜視図

【図９】従来の墓地の斜視図

【符号の説明】

１ 石碑 ２ 上段台部 ３ 下段台部 ４ 基台 ５ 墓誌 ５１ 墓誌載置台 ６ 花立 ７ 香炉 ７ａ 水鉢 ８ 香炉台 ９ 家紋形成部 １０ 物置台 １１ ローソク立て １２，１２ａ，１２ｂ，１２ｃ 霊標 １３ カロート １４ 納骨口 ３１ 嵌合部 ３１ａ 摺嵌凸部 ３２ 霊標嵌合用凹部 ４１ 霊標固定用凸部 ４２ 霊標嵌合用凹部 １２１ 霊標凹部 １２２ 霊標側面凹部 １２３ 霊標 Ａ 台座部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 石碑と、前記石碑を載置する１乃至複数
   の台部からなる台座部と、前記台座部を載置する基台
   と、前記台座部の台部又は前記台座部が複数からなる場
   合は下段台部の周囲に形成された嵌合部に嵌合固定され
   る１乃至複数の霊標と、を備えたことを特徴とする墓
   碑。
2. 【請求項２】 前記台座部の下段の台部又は前記基台の
   前記霊標の載置面に穿設された前記霊標の底部を嵌合す
   る嵌合用凹部を備えていることを特徴とする請求項１に
   記載の墓碑。
3. 【請求項３】 前記霊標の底面に形成された１以上の霊
   標凹部及び／又は凸部を備え、前記台座部の前記下段の
   台部又は前記基台の前記霊標載置面に形成された前記霊
   標凹部又は凸部と嵌合する霊標固定用凸部又は凹部を備
   えたことを特徴とする請求項１又は２の内いずれか１に
   記載の墓碑。
4. 【請求項４】 前記霊標の両側部に形成された摺嵌用の
   霊標側面凹部又は凸部を備え、前記台座部の前記嵌合部
   に前記霊標の前記霊標側面凹部又は凸部と摺嵌する摺嵌
   凸部又は凹部が形成されていることを特徴とする請求項
   １乃至３の内１いずれか１に記載の墓碑。