JPH08134573A - 低温ろう付用アルミニウム合金フィン材およびブレージングシート、並びにアルミニウム合金製熱交換器の製造方法およびアルミニウム合金製熱交換器 - Google Patents

低温ろう付用アルミニウム合金フィン材およびブレージングシート、並びにアルミニウム合金製熱交換器の製造方法およびアルミニウム合金製熱交換器

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JPH08134573A
JPH08134573A JP27687694A JP27687694A JPH08134573A JP H08134573 A JPH08134573 A JP H08134573A JP 27687694 A JP27687694 A JP 27687694A JP 27687694 A JP27687694 A JP 27687694A JP H08134573 A JPH08134573 A JP H08134573A
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aluminum alloy
fin material
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Takenobu Dokou
武宜 土公
Fujio Himuro
富士雄 檜室
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度、高熱伝導アルミニウムフィン材、当
該フィン材を用いた熱交換器およびその製造方法を提供
することを目的とする。 【構成】 0.1wt%を越え、1.2wt%以下のS
i、0.5wt%を越え、2.5wt%以下のFeを含
有し、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のNiま
たはCoのうち1種または2種を含有し、残部アルミニ
ウムおよび不可避的不純物とからなるアルミニウム合金
からなり、ろう付加熱後の再結晶粒径が10μmを越
え、80μm以下であることを特徴とする585℃以下
の温度で行われるろう付に用いられるアルミニウム合金
フィン材、並びに前記フィン材を用いた熱交換器を、5
85℃以下の温度に加熱するろう付法により製造するに
あたり、ろう付加熱後の再結晶粒径が10μmを越え、
80μm以下になるようにろう付加熱を行うことを特徴
とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度、高熱伝導アル
ミニウムフィン材、当該フィン材を用いた熱交換器およ
びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、
特にろう付法によって製造されるラジエーター,ヒータ
ー,コンデンサー等の熱交換器、それに用いられるフィ
ン材および当該熱交換器の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用熱交換器の多くはAlおよびA
l合金が使用されており、ろう付法により製造されてい
る。通常ろう付はAl−Si系のろう材が用いられ,そ
のためろう付は600℃程度の高温で行われる。ラジエ
ーター等の熱交換器は例えば図1に示すように複数本の
偏平チューブ(1)の間にコルゲート状に加工した薄肉
フィン(2)を一体に形成し、該偏平チューブ(1)の
両端はヘッダー(3)とタンク(4)とで構成される空
間にそれぞれ開口しており、一方のタンク側の空間から
偏平チューブ(1)内を通して高温冷媒を他方のタンク
(4)側の空間に送り、前記チューブ(1)およびフィ
ン(2)の部分で熱交換して低温になった冷媒を再び循
環させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、熱交
換器は軽量・小型化の方向にあり、薄肉化のために材料
の高強度化、ろう付加熱時のろう拡散の防止および熱交
換器の熱効率の向上のための材料の熱伝導性の向上が望
まれている。すなわち、フィンを薄肉化した場合、熱交
換器の組付け時にフィンが潰れたり、熱交換器として使
用時に破壊してしまうという問題がある。この点から
は、Mn等の合金元素の添加が行われているが、熱交換
器を製造する工程に600℃付近まで加熱されるろう付
工程があるため、ろう付加熱中に、合金に添加した元素
が再固溶し熱伝導性の向上が阻害されてしまう。
【0004】ろう付加熱時にフィンにろうが拡散すると
フィンが潰れてしまい熱交換器としての機能を発揮でき
なくなるが、その対策としては、ろうが溶融している状
態でフィンの再結晶が完了し、かつフィン材の再結晶粒
径を100μm以上の大きさに大きくすることが有効で
あることが知られている。また、フィン材の熱伝導性の
向上の対策としては、合金成分を純アルミニウムに近づ
けた合金のフィン材が熱伝導フィンとして提案されてい
る。しかしながら、純アルミニウム系合金フィンの場
合、強度が不足してしまう欠点を有しており、高強度で
熱伝導性を向上させたフィン材はいまだ開発されていな
い。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこれに鑑み種々
検討の結果、高強度、高熱伝導アルミニウムフィン材、
当該フィン材を用いた熱交換器およびその製造方法を開
発したものである。
【0006】即ち請求項1の発明は、0.1wt%を越
え、1.2wt%以下のSi、0.5wt%を越え、
2.5wt%以下のFeを含有し、0.1wt%を越
え、2.0wt%以下のNi、0.1wt%を越え、
2.0wt%以下のCoのうち1種または2種を含有
し、残部がアルミニウムおよび不可避的不純物であるア
ルミニウム合金からなり、ろう付加熱後の再結晶粒径が
10μmを越え、80μm以下であることを特徴とする
低温ろう付用アルミニウム合金フィン材である。
【0007】請求項2の発明は、0.1wt%を越え、
1.2wt%以下のSi、0.5wt%を越え、2.5
wt%以下のFe、0.01wt%を越え、0.2wt
%以下のZrを含有し、0.1wt%を越え、2.0w
t%以下のNi、0.1wt%を越え、2.0wt%以
下のCoのうち1種または2種を含有し、残部がアルミ
ニウムおよび不可避的不純物であるアルミニウム合金か
らなり、ろう付加熱後の再結晶粒径が10μmを越え、
80μm以下であることを特徴とする低温ろう付用アル
ミニウム合金フィン材である。
【0008】請求項3の発明は、0.1wt%を越え、
1.2wt%以下のSi、0.5wt%を越え、2.5
wt%以下のFeを含有し、0.1wt%を越え、2.
0wt%以下のNi、0.1wt%を越え、2.0wt
%以下のCoのうち1種または2種を含有し、さらに
2.0wt%以下のZn、0.3wt%以下のIn、
0.3wt%以下のSnのうち1種または2種以上を含
有し、残部がアルミニウムおよび不可避的不純物である
アルミニウム合金からなり、ろう付加熱後の再結晶粒径
が10μmを越え、80μm以下であることを特徴とす
る低温ろう付用アルミニウム合金フィン材である。
【0009】請求項4の発明は、0.1wt%を越え、
1.2wt%以下のSi、0.5wt%を越え、2.5
wt%以下のFe、0.01wt%を越え、0.2wt
%以下のZrを含有し、0.1wt%を越え、2.0w
t%以下のNi、0.1wt%を越え、2.0wt%以
下のCoのうち1種または2種を含有し、さらに2.0
wt%以下のZn、0.3wt%以下のIn、0.3w
t%以下のSnのうち1種または2種以上を含有し、残
部がアルミニウムおよび不可避的不純物であるアルミニ
ウム合金からなり、ろう付加熱後の再結晶粒径が10μ
mを越え、80μm以下であることを特徴とする低温ろ
う付用アルミニウム合金フィン材である。
【0010】請求項5〜8の発明は、それぞれ請求項1
〜4記載のアルミニウム合金からなる芯材と、該芯材の
両面にクラッドされた、585℃以下の温度でろう付が
可能なろう材とからなり、ろう付加熱後の芯材の再結晶
粒径が10μmを越え、80μm以下であることを特徴
とする低温ろう付用アルミニウム合金ブレージングシー
トフィン材である。
【0011】請求項9の発明は、請求項1〜4記載の低
温ろう付用アルミニウム合金フィン材を用いた熱交換器
を、585℃以下の温度に加熱するろう付法により製造
するにあたり、ろう付加熱後の再結晶粒径が10μmを
越え、80μm以下になるようにろう付加熱を行うこと
を特徴とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方法で
ある。
【0012】請求項10の発明は、請求項5〜8記載の
低温ろう付用アルミニウム合金ブレージングシートフィ
ン材を用いた熱交換器を、585℃以下の温度に加熱す
るろう付法により製造するにあたり、ろう付加熱後の再
結晶粒径が10μmを越え、80μm以下になるように
ろう付加熱を行うことを特徴とするアルミニウム合金製
熱交換器の製造方法である。
【0013】請求項11の発明は、ろう付法により製造
されるアルミニウム合金製熱交換器であって、請求項1
〜4記載の低温ろう付用アルミニウム合金フィン材を有
し、当該フィン材の再結晶粒径が10μmを越え、80
μm以下であることを特徴とするアルミニウム合金製熱
交換器である。
【0014】
【作用】以下、本発明フィン材について、添加元素の役
割とその添加量の限定理由を説明する。Siは強度向上
に寄与する。Siそのものが固溶硬化して強度を向上さ
せるのに加えて、特に、FeおよびNi或いはCoと共
存する場合、Fe、Ni、Co等の析出を促進する作用
を有するため、分散強化に寄与する金属間化合物を増や
し、強度を向上させる。Siが0.1wt%以下の場合
は固溶硬化による強度向上効果が十分でなく、1.2w
t%を越えるとろう付加熱後の熱伝導性が低下する。従
って、Siは0.1wt%を越え1.2wt%以下とす
るが、特に0.4〜0.8wt%で安定した特性を示
す。Feは合金中に一定量固溶して固溶硬化に寄与し、
残りは金属間化合物として存在する。前者は強度を向上
させるが、熱伝導性を大きく低下させる。後者は、分散
硬化により強度を向上させる。後者による強度向上効果
は、Fe添加量が少ないところでも見られるが、0.5
wt%以下では本発明に見られるほど顕著でない。ま
た、2.5wt%を越えると成形性が低下し、フィン材
の製造が難しくなる。
【0015】Niは、熱伝導性を低下させることなく強
度を向上させる効果を有することが判明した、本発明に
おける重要な添加元素である。即ち、Niは固溶硬化に
より強度を向上させるが、同時にNiの固溶量に相当す
る量だけFeの固溶量を減じさせる作用を有する。Fe
とNiでは固溶した際に、強度の向上に対する効果はほ
ぼ同じであるが、熱伝導性の低下はNiの方が格段に少
ない。そのため、上記Fe量を含有した合金にNiを添
加すると、熱伝導性が低下することなく強度が向上す
る。さらに、NiはAl−Fe系の金属間化合物を微細
に分布させる効果を有する。通常Al−Fe系の金属間
化合物は鋳造時に生じ、それが圧延中に分断されて微細
に分布するが、Al−Ni系の金属間化合物も鋳造時に
生じるため、Niを添加した合金では、Al−Fe系の
金属間化合物はAl−Ni系の金属間化合物に分断され
ながら晶出するので、圧延時に微細に分断されやすいの
である。このようにAl−Fe系の金属間化合物が微細
になると強度が向上する。上記の効果を得るために、N
iの下限は0.1wt%とする。また、2.0wt%を
越えて添加した場合、成形性が低下し、フィンのコルゲ
ート成形が困難になる。
【0016】Coは、Niと同様な働きを有する。しか
し、Coは、Niと比較して、熱伝導性の低下が若干多
く、また、Al−Fe系の化合物を分断する効果が弱
い。本発明では、Niの代わりにCoを用いたり、Ni
とCoの同時添加を行うことは可能であるが、Niのみ
の添加の方が効果が大きい。Co添加量の下限は0.1
wt%であるが、これは単独添加の場合で、0.1wt
%以上のNiと複合添加する場合は、0.1wt%以下
の添加量でも差し支えない。
【0017】本発明合金では、さらに0.01wt%を
越え0.2wt%以下のZrを添加する場合がある。Z
rはろう付時に生じる再結晶粒を粗大化し、フィンの垂
下性ならびにフィンへのろうの拡散を防止する働きを有
する。本発明ではろう付加熱後の再結晶粒径の下限を1
0μmと定めているが、Feの添加量が多いと再結晶粒
が微細化する傾向があるので、その場合はZrを添加し
て再結晶粒を粗大化し、結晶粒径が10μm以上になる
ようにコントロールするとよい。0.01wt%以下の
添加量では前記再結晶粒粗大化の作用が不充分である。
尚、本発明者らが調べたところ、Zrは強度を向上させ
る働きをほとんど有さず、熱伝導性を低下させる元素で
あるので、その添加量の上限を0.2wt%と定めた。
【0018】本発明合金ではさらに2.0wt%以下の
Zn、0.3wt%以下のIn、0.3wt%以下のS
nのうち1種または2種以上を添加することがある。こ
れらは、フィン材に犠牲陽極効果を付与するために添加
されるものであり、それぞれ、上記量を越えて添加した
場合、熱伝導性が低下する。
【0019】さて、本合金の不可避不純物および上記以
外の理由で添加される元素であるが、鋳塊組織の微細化
のために添加されるTiやB等があり、これらの元素は
それぞれ0.03wt%以下であれば添加されていても
差し支えない。また、Mn、Mg、Na、Cd、Pb、
Bi、Ca、Li、Cr、K、V等の元素が強度向上や
鋳塊割れ防止や成形性向上等の理由で添加される場合、
それぞれ0.03wt%以下を必須条件とする。これら
の元素は、いずれも、添加した場合熱伝導性を低下させ
るためである。さらにCuは0.2wt%まで添加可能
である。Cuの添加による熱伝導性の低下はMn等の元
素と比較して小さいが、多く添加するとフィンの犠牲効
果を減じる。
【0020】以上が本発明のフィン材の合金組成である
が、さらに本発明のフィンはろう付加熱後の再結晶粒径
(以下、単に再結晶粒径と称す)を10μmを越え80
μm以下と定める。従来のフィン材はろう付中にろうが
拡散するのを防止するために、再結晶粒径を最低でも1
00μmにしており、通常は300μm以上が推奨され
ている。しかし、フィン材を薄肉化した場合、熱交換器
の疲労的な寿命が低下する問題について検討したとこ
ろ、結晶粒が小さいほど粒界への変形の集中が分散され
有利であり、結晶粒径が80μm以下であれば、前記疲
労寿命の低下を防止できることが分かった。よって、本
発明ではフィン材の再結晶粒径を80μm以下に定め
る。しかし、10μm以下では、後述するように、ろう
付温度を585℃以下に限定しても、ろうが拡散してし
まうため再結晶粒径の下限は10μmとする。なお、本
発明での再結晶粒径はフィン材の表面部で測定した再結
晶粒径であり、切断法により求めた値である。
【0021】本発明のフィン材を用いる熱交換器はろう
付によって製造するが、ろう付温度を585℃以下に限
定する。これは、通常のろう付温度である600℃付近
の温度では、フィン材にろうが拡散するためである。こ
れに対して、ろう付温度が585℃以下の場合は、ろう
の拡散が減少し、本発明の再結晶粒径でも前記ろうの拡
散が生じないのである。このようなろう付温度を達成す
るには、例えば後述するろう材を用いればよい。このよ
うにろう付に使用されるフィン材の組成と、用途(低温
ろう付〔即ち、585℃以下の温度で行われるろう付〕
用)を限定することにより始めて、本発明のフィン材は
熱交換器に製造が可能となる。本発明では、ろう付温度
の下限については特に限定はなく、使用されるろう材の
使用下限温度以上の温度でろう付すればよい。また、ろ
う付時の加熱は、加熱時に生じる再結晶粒径が80μm
以下になるように行う。ろう付加熱時の昇温速度を従来
よりも早くすると、前記再結晶粒径の達成が容易である
が、具体的な条件はフィン材の組成、フィン材の加工度
等により異なるため、フィン材毎に予備加熱を行い定め
ることが望ましい。その他のろう付条件については、通
常の方法で行えばよい。
【0022】本発明のフィン材の板厚はベア材で30〜
80μm程度であり、該フィン材の両面にろう材をクラ
ッドしてブレージングシートフィン材として使用する場
合の厚さは、50〜100μm程度である本発明フィン
合金は上記のようにベア材として用いられることが可能
であり、また、ブレージングシートフィンの芯材として
用いることも可能である。後者の場合のろう材は585
℃以下の温度でろう付できるろう材とする必要がある。
このようなろう材としては、Al−7〜11wt%Si
−1〜4wt%Cu−1〜6wt%Zn合金をベースに
した合金等を例として上げることができる。本発明のフ
ィン材を用いた熱交換器としては、自動車用のラジエー
ター、コンデンサー、エバポレーター、オイルクーラー
等を上げることが出来るが、これらに限定するものでは
ない。
【0023】本発明のフィン材の製造は、半連続鋳造に
より鋳塊を製造し、熱間圧延、冷間圧延・焼鈍の工程で
製造可能であり、また、連続鋳造圧延、冷間圧延・焼鈍
の工程でも製造可能である。通常製造されている条件と
比較し、フィン材に蓄積されているひずみの量が大きく
なるようにすれば、80μm以下の再結晶粒径を容易に
達成できる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【実施例1】表1に示す組成のアルミニウム合金ベアフ
ィン材(板厚50μm)およびクラッドフィン材(板厚
90μm、ろう材は両面に10%づつクラッド) を常法
により作製した。同一組成のフィン材でも最終冷間圧延
率を変化させることにより、ろう付前のひずみ量を変化
させ、ろう付後の再結晶粒径を変化させた。各フィン材
のろう付加熱前の強度、ろう付加熱条件およびろう付加
熱後の再結晶粒径を表2に示す。ブレージングシートの
うち、ろう拡散が激しかったもの(後述する比較例6、
10)については、別途ろう付前にエッチングによりろ
う材を除去した試料についてろう付加熱を行い、再結晶
粒径を測定した。ろう付加熱後の各フィン材の特性とし
ては強度を測定した。またベアフィンに関しては更に導
電率を、クラッドフィンについては更にろうの拡散状況
を調べた。これらの結果を表3に示す。ここで、導電率
は熱伝導性の指標であり、フィンの導電率が5%IAC
S向上すると熱交換器の熱効率は1%程度向上する。ま
た、ろう拡散状況はろうが浸食していない芯材の残存厚
を調べた。
【0025】表1〜表3から明らかなように、発明例1
〜5はいずれもろう付加熱後の再結晶粒径が小さくて、
強度が高いが、580℃でろう付加熱を行っているの
で、ろう拡散が生じていない。一方、比較例6〜10
は、それぞれ発明例1〜5と同一合金組成のフィン材を
ろう付加熱条件やろう付加熱後の再結晶粒径が異なるよ
うにしたものである。比較例7は、本発明の範囲より再
結晶粒径が大きく、従来のろう付方法である600℃の
温度でろう拡散が生じないものの、強度が低い。比較例
8、9はろう付加熱温度は本発明の範囲内であるが、再
結晶粒径が大きく、強度が低い。また、比較例6、10
は、再結晶粒径は本発明の範囲内であるが、600℃の
温度でろう付するという従来の用途で使用したため、ろ
う拡散を生じている。また、比較例11は従来のNi、
Coを含まない高熱伝導型のフィン材であるが、強度が
低い。比較例12は本発明の組成範囲を外れたものであ
り、強度が低い。また、比較例13のブレージングシー
トフィン(クラッドフィン)は発明例4と芯材の合金組
成は同一であり、再結晶粒径も本発明の範囲内である
が、従来の4045合金ろう材をクラッドしたものであ
り、600℃でろう付加熱を行ったので、ろう拡散が生
じ、強度が低下している。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【実施例2】表4に示す組成のアルミニウム合金フィン
材(板幅27mm、板厚50μm)を常法により作製し
た。同一組成のフィン材でも最終冷間圧延率を変化させ
ることにより、ろう付前のひずみ量を変化させ、ろう付
後の再結晶粒径を変化させた。各フィン材のろう付加熱
前の強度、ろう付加熱条件およびろう付加熱後の再結晶
粒径を表5、表6に示す。各フィン材の導電率を測定し
た結果を表7に示す。さらに、芯材の片側にろう材とし
て、Al−0.2wt%Fe−10wt%Si−2wt
%Cu−4.5wt%Zn合金を13%クラッドした、
厚さ0.25mmの3層ブレージングシート( 芯材:A
l−1wt%Mn−0.3wt%Cu−0.5wt%S
i、犠牲材:Al−2wt%Zn−2wt%Mg、クラ
ッド率13%)を電縫加工により幅27mmのチューブ
材とし、フィンと組み合わせて3段構造のコアを作製し
た。フィンとチューブのろう付部におけるフィン材への
ろう拡散状況を調査すると共に、2kgf/cm2 の繰
り返し加圧試験を最大2万回まで行った。これらの結果
を表7に併記する。ろう拡散状況はろう付部のフィンの
潰れの発生を調べて行った。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】
【0034】表4〜表7から明らかなように、発明例1
4〜22はいずれもろう付加熱後の再結晶粒径が小さ
く、580℃でろう付加熱を行っているので、ろう拡散
が生じていなく、繰り返し加圧試験における疲労寿命に
優れている。一方、比較例23〜31は、発明例14〜
22と同一合金組成のフィン材を、ろう付加熱条件やろ
う付加熱後の再結晶粒が異なるようにしたものである。
比較例26、31は、本発明の範囲より再結晶粒径が大
きく(100μm以上)、従来のろう付温度である60
0℃の温度でろう拡散が生じないものの、繰り返し加圧
試験での破壊回数が低下している。比較例28〜30
は、ろう付温度は580℃であるが、本発明の範囲より
再結晶粒径が大きく、ろう拡散は生じないものの、やは
り繰り返し加圧試験での破壊回数が低下している。比較
例23〜25、27は、再結晶粒径は本発明の範囲内で
あるが、600℃の温度でろう付するという従来の用途
で使用したため、ろう拡散によりフィンのろう付部が潰
れている。このように、ろう付部が潰れたもので繰り返
し加圧試験を行うと、その部分に応力が集中するため少
ない回数で破壊している。また、比較例32は従来のN
i、Coを含まない高熱伝導型のフィン材であるが、繰
り返し加圧試験での破壊回数が低下している。比較例3
3は本発明の組成範囲を外れたものであり、やはり繰り
返し加圧試験での破壊回数が低下している。
【0035】
【実施例3】表8に示す組成のアルミニウム合金フィン
材(板幅27mm、板厚50μm)を常法により作製し
た。フィン材のろう付加熱前の強度、ろう付加熱条件、
得られた熱交換器のフィンの再結晶粒径を表8に併記す
る。さらに、Al−0.2wt%Fe−10wt%Si
−2wt%Cu−4.5wt%Zn合金を13%クラッ
ドした、厚さ0.25mmの3層ブレージングシート(
芯材:Al−1.0wt%Mn−0.3wt%Cu−
0.5wt%Si、犠牲材:Al−2wt%Zn−2w
t%Mg、クラッド率13%)を電縫加工により幅27
mmのチューブ材とし、前記チューブ材に、フィンと、
当該チューブ材と同一の構成の厚さ1mmのプレートと
を組み合わせて図1に示すラジエーター用のコアをろう
付により作製した。得られたコアを用い、フィンとチュ
ーブとのろう付部におけるフィン材へのろう拡散状況を
調査し、2kgf/cm の繰り返し加圧試験を最大2
万回まで行うと共に、熱効率測定を行った。熱効率測定
は、JIS D 1618(自動車用冷房機試験方法)
に準じて行い、それぞれ従来法の熱交換器の熱効率に対
する向上の割合を調べた。これらの結果を表9に示す。
【0036】表8、表9から明らかなように、発明例3
4、35はいずれもろう付加熱後の再結晶粒径が小さ
く、580℃でろう付加熱を行っているので、繰り返し
加圧試験における疲労寿命に優れており、熱効率も従来
法の熱交換器に比べて、3〜4%向上している。一方、
比較例36は発明例34と同一合金組成のフィン材をろ
う付加熱条件が本発明と異なるようにしたものである。
従来のろう付温度である600℃で使用した場合、ろう
拡散がフィンに生じ、ろう付部でフィンが潰れている。
そのため、繰り返し加圧試験でろう付部付近で破断が生
じ、寿命が低下しており、熱効率も低い。比較例37は
発明例35と同一合金組成のフィン材を製造工程を変化
させることで、ろう付加熱後の再結晶粒径を本発明より
大きくしたものである。やはり繰り返し加圧試験におけ
る破壊回数が低下している。比較例38は純アルミニウ
ム系の従来合金フィン材であり、熱効率は優れるもの
の、繰り返し加圧試験における破壊回数が小さい。比較
例39は従来のAl−Mn系合金フィン材であり、熱効
率が低く、繰り返し加圧試験における破壊回数も本発明
より若干低い。
【0037】
【表8】
【0038】
【表9】
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明のフィン材は高強度
で熱伝導性に優れ、本発明のフィン材を用い、本発明の
方法で製造した熱交換器は小型・軽量化が可能であり、
工業上顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジエーターを示す一部断面の斜視図である。
【符号の説明】
1 偏平チューブ 2 フィン 3 ヘッダー 4 タンク

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.1wt%を越え、1.2wt%以下
    のSi、0.5wt%を越え、2.5wt%以下のFe
    を含有し、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のN
    i、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のCoのう
    ち1種または2種を含有し、残部がアルミニウムおよび
    不可避的不純物であるアルミニウム合金からなり、ろう
    付加熱後の再結晶粒径が10μmを越え、80μm以下
    であることを特徴とする585℃以下の温度で行われる
    ろう付に用いられる(以下、低温ろう付用と称す)アル
    ミニウム合金フィン材。
  2. 【請求項2】 0.1wt%を越え、1.2wt%以下
    のSi、0.5wt%を越え、2.5wt%以下のF
    e、0.01wt%を越え、0.2wt%以下のZrを
    含有し、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のN
    i、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のCoのう
    ち1種または2種を含有し、残部がアルミニウムおよび
    不可避的不純物であるアルミニウム合金からなり、ろう
    付加熱後の再結晶粒径が10μmを越え、80μm以下
    であることを特徴とする低温ろう付用アルミニウム合金
    フィン材。
  3. 【請求項3】 0.1wt%を越え、1.2wt%以下
    のSi、0.5wt%を越え、2.5wt%以下のFe
    を含有し、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のN
    i、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のCoのう
    ち1種または2種以上を含有し、さらに2.0wt%以
    下のZn、0.3wt%以下のIn、0.3wt%以下
    のSnのうち1種または2種以上を含有し、残部がアル
    ミニウムおよび不可避的不純物であるアルミニウム合金
    からなり、ろう付加熱後の再結晶粒径が10μmを越
    え、80μm以下であることを特徴とする低温ろう付用
    アルミニウム合金フィン材。
  4. 【請求項4】 0.1wt%を越え、1.2wt%以下
    のSi、0.5wt%を越え、2.5wt%以下のF
    e、0.01wt%を越え、0.2wt%以下のZrを
    含有し、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のN
    i、0.1wt%を越え、2.0wt%以下のCoのう
    ち1種または2種を含有し、さらに2.0wt%以下の
    Zn、0.3wt%以下のIn、0.3wt%以下のS
    nのうち1種または2種以上を含有し、残部がアルミニ
    ウムおよび不可避的不純物であるアルミニウム合金から
    なり、ろう付加熱後の再結晶粒径が10μmを越え、8
    0μm以下であることを特徴とする低温ろう付用アルミ
    ニウム合金フィン材。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のアルミニウム合金からな
    る芯材と、該芯材の両面にクラッドされた、585℃以
    下の温度でろう付が可能なろう材とからなり、ろう付加
    熱後の芯材の再結晶粒径が10μmを越え、80μm以
    下であることを特徴とする低温ろう付用アルミニウム合
    金ブレージングシートフィン材。
  6. 【請求項6】 請求項2記載のアルミニウム合金からな
    る芯材と、該芯材の両面にクラッドされた、585℃以
    下の温度でろう付が可能なろう材とからなり、ろう付加
    熱後の芯材の再結晶粒径が10μmを越え、80μm以
    下であることを特徴とする低温ろう付用アルミニウム合
    金ブレージングシートフィン材。
  7. 【請求項7】 請求項3記載のアルミニウム合金からな
    る芯材と、該芯材の両面にクラッドされた、585℃以
    下の温度でろう付が可能なろう材とからなり、ろう付加
    熱後の芯材の再結晶粒径が10μmを越え、80μm以
    下であることを特徴とする低温ろう付用アルミニウム合
    金ブレージングシートフィン材。
  8. 【請求項8】 請求項4記載のアルミニウム合金からな
    る芯材と、該芯材の両面にクラッドされた、585℃以
    下の温度でろう付が可能なろう材とからなり、ろう付加
    熱後の芯材の再結晶粒径が10μmを越え、80μm以
    下であることを特徴とする低温ろう付用アルミニウム合
    金ブレージングシートフィン材。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4記載の低温ろう付用アルミ
    ニウム合金フィン材を用いた熱交換器を、585℃以下
    の温度に加熱するろう付法により製造するにあたり、ろ
    う付加熱後の再結晶粒径が10μmを越え、80μm以
    下になるようにろう付加熱を行うことを特徴とするアル
    ミニウム合金製熱交換器の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項5〜8記載の低温ろう付用アル
    ミニウム合金ブレージングシートフィン材を用いた熱交
    換器を、585℃以下の温度に加熱するろう付法により
    製造するにあたり、ろう付加熱後の再結晶粒径が10μ
    mを越え、80μm以下になるようにろう付加熱を行う
    ことを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 ろう付法により製造されるアルミニウ
    ム合金製熱交換器であって、請求項1〜4記載の低温ろ
    う付用アルミニウム合金フィン材を有し、当該フィン材
    の再結晶粒径が10μmを越え、80μm以下であるこ
    とを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。
JP27687694A 1994-11-11 1994-11-11 低温ろう付用アルミニウム合金フィン材およびブレージングシート、並びにアルミニウム合金製熱交換器の製造方法およびアルミニウム合金製熱交換器 Pending JPH08134573A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2390099A (en) * 2002-06-24 2003-12-31 Denso Corp Heat exchanger with brazed fins of an aluminium alloy
CN113106278A (zh) * 2021-04-13 2021-07-13 内蒙古联晟新能源材料有限公司 一种用于铝合金钎焊生产用焊液的制备方法

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