JPH08134563A - 焼結部材及びその製造方法 - Google Patents

焼結部材及びその製造方法

Info

Publication number
JPH08134563A
JPH08134563A JP6300163A JP30016394A JPH08134563A JP H08134563 A JPH08134563 A JP H08134563A JP 6300163 A JP6300163 A JP 6300163A JP 30016394 A JP30016394 A JP 30016394A JP H08134563 A JPH08134563 A JP H08134563A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
earth metal
metal oxide
particles
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6300163A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Ishiwatari
裕 石渡
Yoshiyasu Ito
義康 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP6300163A priority Critical patent/JPH08134563A/ja
Publication of JPH08134563A publication Critical patent/JPH08134563A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融希土類金属の耐蝕性に優れ、高温強度や
焼結性にも優れた焼結部材及びその製造方法を得ること
である。 【構成】 本発明の焼結部材は、マトリクス状の高融点
金属結晶粒を形成するための高融点金属粒子と、高融点
金属結晶粒の結晶粒界に形成される希土類金属酸化物粒
子と、希土類金属酸化物粉末と反応して高融点金属粒子
の周囲にガラス相を形成するためのガラス相形成元素と
を含有し、高融点金属又は高融点金属酸化物と希土類金
属酸化物とが反応してガラス相中に形成され希土類金属
酸化物が結晶粒界に緻密に浸透することを促進するため
の低融点複合酸化物を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高融点金属マトリクス
中に希土類金属酸化物粒子を分散させた粒子分散合金の
焼結部及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、希土類金属は永久磁石、光磁気
ディスク等の電気電子部品や水素貯蔵合金等の機能材料
に不可欠な金属元素であり、近年、希土類金属の適用範
囲の拡大に伴い需要が急増している。これらの希土類金
属としては、例えば、ランタンLa、イットリウムY、
ネオジウムNd、テルビウムTb等がある。この希土類
金属は、概して酸化物が科学的に安定な状態であり、逆
に酸化物が還元された金属状態では化学的に活性であ
る。特に、溶融状態では化学的に非常に活性であるとい
う共通した特徴を有している。
【0003】したがって、希土類金属の精練や精製工
程、あるいは他の金属元素のとの合金化工程において
は、高融点金属で出来たるつぼ材料が、溶融した希土類
金属中へ溶け出すことがあり、そうすると希土類金属中
の不純物濃度が増加する。特に、溶融状態の希土類金属
をるつぼ内で長時間保持する必要があるので、希土類金
属中の不純物濃度が避けられない。
【0004】このような希土類金属のるつぼ材料として
は、高融点金属であるタングルテンW、モリブデンM
o、タンタルTa、ニオブNb等が用いられている。こ
れは高融点金属は単に融点が高いだけでなく、セラミッ
クに比べて靭性が高く、しかも、溶融した希土類金属中
への飽和溶解度も比較的小さいため耐蝕性に優れている
からである。
【0005】したがって、現状では、タングステンWま
たはタンタルTa製のるつぼを用いて工業的規模での希
土類金属の溶解を行っているが、上述のように、希土類
金属中へのるつぼ材料であるタングステンWまたはタン
タルTaの溶出を完全に抑えることは出来ない。また、
るつぼは寿命的にも数回の溶解にしか使用することが出
来ず、製造コストの観点からもるつぼの長寿命化の要請
がある。
【0006】これらの高融点金属材料のるつぼ製造方法
としては、物性の違いにより粉末焼結法と真空溶解法に
大別される。粉末焼結法はタングステンW、モリブデン
Mo等に用いられ、プレス等の高圧で成型した粉末を2
000度以上の温度で焼結する方法である。これは、粉
末焼結法の利点を活かしたニアネットシェイプでのるつ
ぼの製造が可能であるが、焼結体中に残留した気孔や不
純物が溶融金属による腐食を助長するという問題があ
る。
【0007】一方、真空溶解法はタンタルTa、ニオブ
Nb等に用いられ、アーク等により真空中で溶解凝固し
たインゴットを塑性加工し、得られた板材を電子ビーム
溶接によりるつぼ形状に成型する方法である。粉末焼結
法に比べ気孔や不純物量は少ないが、アーク溶解するた
めには3000度以上の高温が必要であり、塑性加工、
電子ビーム溶接といった設備が大型になる。
【0008】さらに、いずれの方法においてもタングス
テンW、モリブデンMo、タンタルTa、ニオブNbと
もに希土類金属を溶解するに必要な1500度以上の高
温では強度が著しく低下するという問題もある。
【0009】そこで、発明者らは、粉末焼結法により製
作した高融点金属るつぼの溶融希土類金属による腐食メ
カニズムを調べた結果、高融点金属るつぼの結晶粒界が
溶融希土類金属により選択的に腐食され、その結果、る
つぼ表面の高融点金属結晶粒が溶融希土類金属中に脱落
し腐食を促進することを既に解明している。
【0010】また、このように高融点金属結晶粒界が選
択的に腐食される原因が、るつぼ材料の製造過程で高融
点金属結晶粒界に残留した気孔や偏析、あるいは凝集し
た合金元素や不純物元素によるものであることも解明し
ている。
【0011】発明者らは、この様な高融点金属結晶粒界
の選択的な腐食を抑制する手段として、高融点金属マト
リクスの結晶粒界に耐蝕性に優れた希土類金属の金属酸
化物粒子を分散させることにより、結晶粒界の腐食を低
減することを、特開平2−73944号公報の発明とし
て特許出願している。
【0012】この発明によれば、るつぼの組織は模式的
に示すと図6に示すようになる。すなわち、マトリクス
金属結晶粒6の結晶粒界に、希土類金属の金属酸化物粒
子7を分散する。これによって、溶融希土類金属が結晶
粒界に浸透してきた場合でも、希土類金属の金属酸化物
粒子7が以後の浸食を抑制する。したがって、結晶粒が
溶融希土類金属中に脱落することがなく、るつぼの長寿
命化と溶融金属の高純度化が維持できるものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高融点
金属マトリクスを形成する高融点金属粒子や、希土類金
属の金属酸化物粒子はともに融点が高く、かつ、金属と
酸化物は反応しないため、上述の希土類金属酸化物粒子
を分散させた粒子分散合金の焼結部材を作成するには、
高い焼結温度が必要となる。
【0014】また、るつぼの溶融希土類金属の耐蝕性
は、焼結体中に残留した気孔により助長されるため、気
孔を完全に除去し真密度近くまで緻密化させることが望
まれる。そのためには、高温高圧の熱間等方圧加圧処理
(以下HIP処理という)を施す必要がある。
【0015】さらに、広い結晶粒界に酸化物粒子が点の
状態で存在しているため、十分な耐蝕性を得るために
は、かなり多量の酸化物粒子を添加する必要があるが、
多量の酸化物粒子の添加は焼結体の靭性を低下させると
いう問題もある。
【0016】本発明の目的は、溶融希土類金属の耐蝕性
に優れ、高温強度や焼結性にも優れた焼結部材及びその
製造方法を得ることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、マト
リクス状の高融点金属結晶粒を形成するための高融点金
属粒子と、高融点金属結晶粒の結晶粒界に形成される希
土類金属酸化物粒子と、希土類金属酸化物粉末と反応し
て高融点金属粒子の周囲にガラス相を形成するためのガ
ラス相形成元素とを含有し、高融点金属又は高融点金属
酸化物と希土類金属酸化物とが反応してガラス相中に形
成され、希土類金属酸化物が結晶粒界に緻密に浸透する
ことを促進するための低融点複合酸化物を有している。
【0018】請求項2の発明は、請求項1の発明の高融
点金属粒子が、タングステンW、モリブデンMo、タン
タルTa、ニオブNb、レニウムRe、クロムCr、ニ
ッケルNi、コバルトCo、鉄Fe又はこれらを主成分
とするものから選ばれたものであることを特徴としたも
のである。
【0019】請求項3の発明は、請求項1の発明の希土
類金属酸化物粒子が、イットリウムY、ランタンLa、
プラセオジムPr、ネオジムNd、プロメチウムPm、
サマリウムSm、ユーロピウムEu、ガドリニウムG
d、テルビウムTb、ジスプロシウムDy、ホルミウム
Ho、エルビウムEr、ツリウムTm、イッテルビウム
Yb、ルテチウムLu、トリウムTh、ウランUを主成
分とする金属酸化物から選ばれたものであることを特徴
としたものである。
【0020】請求項4の発明は、請求項1のガラス相形
成元素が、リンP、ケイ素Si、ナトリユムNa、マグ
ネシウムMg又はこれらの元素を主成分とする合金また
は化合物から選ばれたものであることを特徴としたもの
である。
【0021】請求項5の発明は、請求項1の希土類金属
酸化物粒子が高融点金属マトリクスの高融点金属粒の結
晶粒界に位置し、かつ、少なくともその一部が粒子分散
合金の内部から表面まで組織的につながっていることを
特徴とするものである。
【0022】請求項6の発明は、請求項1の希土類金属
酸化物粒子の含有量が、5〜50体積%としたものであ
る。
【0023】請求項7の発明は、請求項1のガラス相形
成元素の含有量が、1ppm以上、1重量%以下とした
ものである。
【0024】請求項8の発明は、高融点金属粉末と希土
類金属酸化物粒子とを高エネルギーのボールミルで混合
後、真空中または不活性雰囲気中もしくは還元性雰囲気
中で焼結するようにしたものである。
【0025】請求項9の発明は、高融点金属粉末と希土
類金属酸化物粒子とを高エネルギーのボールミルで混合
後、真空中または不活性雰囲気中もしくは還元性雰囲気
中で焼結し、ついで熱間等方圧加圧処理を行うようにし
たものである。
【0026】
【作用】高融点金属粒子と希土類金属酸化物粒子とガラ
ス相形成元素とを混合して圧縮成型体を形成し加熱す
る。これによって、高融点金属粒子の表面に偏析したガ
ラス相形成元素と希土類金属酸化物粒子とが反応しガラ
ス相を生成する。温度の上昇と共にガラス相中に高融点
金属元素の拡散が起こり低融点複合酸化物を形成する。
更に温度を上昇すると低融点複合酸化物が溶融し高融点
金属粒子と希土類金属酸化物粒子との間に浸透する。こ
れによって、高融点金属粒子と希土類金属酸化物粒子と
の粒子間の距離を小さくし緻密化する。更に温度を上げ
ると高融点金属粒子や希土類金属酸化物粒子の焼結が起
こり高融点金属マトリクス中に希土類金属酸化物粒子を
緻密に分散させた粒子分散合金の焼結部材が得られる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。本発明
では、希土類金属酸化物粉末と反応して高融点金属粒子
の周囲にガラス相を形成するためのガラス相形成元素を
含有させたことを特徴としている。また、高融点金属又
は高融点金属酸化物と希土類金属酸化物とが反応してガ
ラス相中に低融点複合酸化物を形成し、希土類金属酸化
物が結晶粒界に緻密に浸透するようにしたことを特徴と
している。
【0028】まず、本発明のこれらの特徴について説明
する。本発明においては、高融点金属と希土類金属酸化
物との焼結体を低い温度で可能とするために、低融点複
合酸化物を形成するようにしている。
【0029】金属酸化物と他の金属酸化物を高温で加熱
すると、いずれの金属酸化物よりも融点の低い複合酸化
物を形成する場合がある。例えば、タングステンWの酸
化物であるWO3とイットリウムYの酸化物であるY2
3との組み合わせでは、Y23の融点が約2400度に
もかかわらず、その複合酸化物Y2(WO43の融点は
約1440度とY23に比べて著しく低い。したがっ
て、タングステンWの焼結過程において、この様な低融
点の複合酸化物を形成し液相を生成するならば、高融点
金属であるタングステンWの焼結体を低い温度で緻密化
することが可能となる。
【0030】本発明は上述した知見に基づいて成された
ものである。発明者らは、この様な低融点の複合酸化物
を形成する方法を種々の組み合わせについて調べた結
果、容易に複合酸化物を形成させることが困難であるこ
とが判明した。すなわち、タングステンWのような高融
点金属の酸化物は、概して蒸気圧が高く焼結過程で昇華
するため、焼結前にWO3粉末とY23粉末とをW粉末
中に混合しても焼結過程でWO3が分解してしまう。ま
た、この様な複合酸化物の形成は金属WとY23という
金属と酸化物の組み合わせでも生じないことが分かっ
た。
【0031】一方、Y23のような希土類金属の酸化物
はリンPやケイ素Si、ナトリウムNaといった元素と
反応し、融点が1000度程度のガラス相を形成し、こ
のガラス相中にW原子が拡散することにより複合酸化物
を形成することを見い出した。そこで、本発明では、ガ
ラス相形成元素を含有させ、そのガラス相中に低融点複
合酸化物を形成するようにした。
【0032】図1は本発明の原理を説明する説明図であ
る。図1(a)に示すように、ガラス相形成元素2を含
有する高融点金属粉末1と希土類金属酸化物粉末3とを
均一かつ微細に混合する。そして、その混合したものを
圧縮成型し1000℃程度に加熱すると、高融点金属粉
末1の表面に偏析したガラス相形成元素2と希土類金属
酸化物粉末3とが反応し、図1(b)に示すように、液
相である少量のガラス相4を生成する。
【0033】その後、温度の上昇と共にこのガラス相4
中に高融点金属粉末1から高融点金属元素の拡散が起こ
り、図1(c)に示すように低融点の複合酸化物層5を
形成する。その後、加熱温度が複合酸化物層5の融点以
上になると複合酸化物層5が溶融し、毛管現象により高
融点金属粉末1や希土類金属酸化物粉末3との間に浸透
し個々の粉末の粒子間距離を小さくし急速に緻密化が開
始する。さらに、温度を上げると高融点金属粉末1や希
土類金属酸化物粉末3の焼結が起こり、ほぼ真密度まで
緻密化する。このようにして得られた希土類金属酸化物
粒子の分散した高融点金属の組織は、図1(d)に示す
ように、高融点金属結晶粒6の三重点に希土類金属酸化
物粒子7が分散し、液相を形成していた少量の複合酸化
物層5は両者の界面に残留する。
【0034】その際、複合酸化物層5の生成量は、ガラ
ス相形成元素2の量と希土類金属酸化物粉末3の量とに
依存するが、あまり複合酸化物層5の量が多くなると、
焼結体の強度や耐蝕性に悪影響を及ぼすため、緻密化に
必要な最低量が好ましい。発明者らの実験結果によれ
ば、ガラス相形成元素2は数ppm〜数100ppm程
度で十分であり、また、希土類金属酸化物量は緻密な焼
結体を得るだけならば5〜10%で十分であるが、耐蝕
性の観点からは20〜50%程度の添加量が望ましいこ
とを確認している。
【0035】本発明により、製造した希土類金属酸化物
粒子7の分散した高融点金属の組織を模式的に図2に示
す。従来の高融点金属粉末と希土類金属酸化物粉末とを
焼結した場合は、図6に示すように希土類金属酸化物粒
子7は球状に近い形状を示し、互いに独立して存在して
いるのに対し、本発明のように液相のガラス相4を介し
て焼結すると、希土類金属酸化物粒子7は三角形に近い
多面体形状を示す。
【0036】また、希土類金属酸化物粒子7の添加量が
20vol%以上の場合には、個々の希土類金属酸化物
粒子7が三次元的に連結してネットワーク構造を呈する
ことが確認されている。
【0037】これによって、溶融希土類金属により選択
的に浸蝕される高融点金属の結晶粒界を広範囲に被覆し
保護するができるので、溶融希土類金属の耐蝕性を大幅
に改善できる。さらに、このような希土類金属酸化物粒
子の存在により高融点金属マトリクスの結晶粒を微細に
できることから、常温強度を向上することができ、ま
た、高温においても変形を抑制できることから高温強度
も改善できる。
【0038】ここで、本発明においては、高融点金属粒
子としては、タングステンW、モリブデンMo、タンタ
ルTa、ニオブNb、レニウムRe、クロムCr、ニッ
ケルNi、コバルトCo、鉄Fe又はこれらを主成分と
するものから選ぶ。
【0039】また、希土類金属酸化物粒子としては、イ
ットリウムY、ランタンLa、プラセオジムPr、ネオ
ジムNd、プロメチウムPm、サマリウムSm、ユーロ
ピウムEu、ガドリニウムGd、テルビウムTb、ジス
プロシウムDy、ホルミウムHo、エルビウムEr、ツ
リウムTm、イッテルビウムYb、ルテチウムLu、ト
リウムTh、ウランUを主成分とする金属酸化物から選
ぶ。
【0040】そして、ガラス相形成元素としては、リン
P、ケイ素Si、ナトリユムNa、マグネシウムMg又
はこれらの元素を主成分とする合金又は化合物から選
ぶ。
【0041】次に、図3は、本発明による焼結部材によ
るるつぼの製造工程の一例を示したものである。この一
例では、高融点金属粉末1としてW粉末1aを用い、希
土類金属酸化物粉末3としてY23粉末3aを用い、ガ
ラス相形成元素2としてリンPを用いた場合のものを示
している。
【0042】まず、図3(a)に示すように、ガラス相
形成元素であるリンPを20ppm含有させた高融点金
属粉末1であるW粉末1aと希土類金属酸化物粉末3で
あるY23粉末3aとを、セラミック製ボール8と共に
所定の割合で混合機9の中に入れ回転させる。その結
果、混合機9内のセラミック製ボール8の自由落下運動
により、脆いY23粉末3aはセラミック製ボール8の
衝突による衝撃により粉砕される。それと共に、W粉末
1a中に均一に分散される。
【0043】その際、W粉末1a中のリンPとY23
末3aとを反応させるために、W粉末1aとY23粉末
3aは、機械的合金化が起こるような高エネルギーホー
ルミル等を用いて均一に分散し混合することが好まし
い。また、Y23粉末3aの添加量は5体積%、10体
積%、20体積%とした。
【0044】次に、図3(b)に示すように、混合粉末
12はるつぼの凹部を形成するための中子11と共にゴ
ム製容器10内に充填され、約2000気圧の圧力で加
圧成型される。
【0045】そして、図3(c)に示すように、加圧成
型された加圧成型体13は、真空中、不活性ガス雰囲気
中、または水素等の還元性雰囲気中で、電気炉14で焼
結され焼結体15、つまり、るつぼを得る。こうして加
熱し焼結することにより、高融点金属マトリクス中に金
属酸化物粒子が分散した活性金属溶解用るつぼを得るこ
とができる。
【0046】この場合、混合粉末12の焼結過程におい
て、W粉末1a中のガラス相形成元素2であるリンP
は、約1000℃でY23粉末3aの一部と反応してガ
ラス相4を形成する。液相であるこのガラス相4中にマ
トリクス金属であるW原子が溶解し拡散して、W−Y系
の複合酸化物Y2(WO43を形成する。さらに、焼結
温度が上昇し、この複合酸化物の融点である約1500
℃を越えると液相を形成する。この液相は毛管力により
W粉末1aおよびY23粉末3a間に浸透し、凝集させ
ることにより焼結体を急激に緻密化させる。
【0047】このように、W粉末1a及びY23粉末3
a間の距離を著しく小さくすることにより、また、粉末
間の元素拡散を促進することにより、焼結密度を向上さ
せることができる。
【0048】このようにして得られたY23粒子分散W
合金の組織は、前述したように図2に示すようになる。
すなわち、Y23粒子は高融点金属マトリクスであるW
マトリクスの結晶粒界の三重点に位置しており、また、
23粒子の形状も先端が尖った多面体形状になる。し
たがって、溶融希土類金属により浸蝕されやすいWマト
リクスの結晶粒界を球状粒子よりも効果的に強化するこ
とができる。
【0049】さらに、Y23添加量が約20体積%を越
えると、多面体系上のY23粒子が三次元的に連結し、
ネットワーク構造を取るようになるため、希土類金属の
溶解時に液相となったるつぼ内部のY23粒子中に含ま
れる複合酸化物が表面に析出し、るつぼ表面を被覆し保
護することが確認されている。
【0050】次に、本発明による20体積%Y23−W
(実施例1)、10体積%Y23−W(実施例2)及び
5体積%Y23−W(実施例3)の混合粉末を1500
℃〜2200℃で焼結した後の相対密度値の測定結果を
図4に示す。また、図4にはY23を添加しない純W粉
末(比較例1)と、ガラス相形成元素であるリンPを添
加せずW粉末とY23粉末との混合粉末(比較例2)と
の相対密度値の測定結果も合わせて示す。
【0051】従来例である比較例1及び比較例2の場合
は、焼結温度が1900℃付近から相対密度の上昇が認
められるが、2200℃で焼結後でもせいぜい93%程
度の相対密度値しか得られない。これに対して、本発明
による実施例1、実施例2、実施例3においては、18
00℃で焼結後でも97%程度の相対密度が得られてお
り、さらに、2000℃の焼結後では、ほぼ100%の
相対密度まで緻密化している。すなわち、本発明により
高融点金属であるWの焼結温度を著しく低下でき、か
つ、HIP処理等の高価な後処理を施さなくても常圧焼
結のみでほぼ真密度まで緻密化できることが明らかであ
る。
【0052】また、図5には、本発明に従い、常圧焼結
により製造した20体積%Y23−W合金るつぼ(20
%Y23−W)と、常圧焼結後に高温高圧のHIP処理
を施した同じく20体積%Y23−W合金るつぼ(20
%Y23−W(HIP))を用い、1650℃で金属Y
を溶解した後のY中のW溶出量を測定した結果を示す。
また、図5には比較例として、2200℃で常圧焼結後
にHIP処理を施した純Wるつぼ(純W(HIP))、
W粉末とY23粉末を単純に混合して焼結したるつぼ
(20%Y23−W)、及びそのるつぼにHIP処理を
施したるつぼ(20%Y23−W(HIP))を用いた
場合の測定結果も合わせて示す。
【0053】図5より、従来のW粉末とY23粉末とを
単純に混合し焼結したるつぼでも、純Wるつぼに比べて
優れた耐蝕性を示すが、十分な耐蝕性を得るためにはH
IP処理により真密度近くまで緻密化させることが必要
であるが、本発明によれば、HIP処理を施さなくても
常圧焼結だけで、ほぼ真密度近い緻密さが得られるため
十分な耐蝕性を示す。さらに、HIP処理を施すことに
より、前述のようにるつぼ内部のY23がるつぼ表面に
析出し被覆するため、さらに耐蝕性を向上させることが
可能である。なお、Y23以外の他の希土類金属酸化物
でも同様な焼結密度の向上と溶融金属耐蝕性の向上が得
られることを確認している。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、溶融
希土類金属の耐蝕性、特に化学的に活性な希土類金属に
優れ、長時間安定して使用できる信頼性の高い焼結部材
が得られる。また、低い焼結温度で、かつ、HIP処理
等の高価な後処理をせずに低コストで製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明する説明図
【図2】本発明の焼結部材の組織を模式的に示した説明
【図3】本発明の焼結部材の製造工程の説明図
【図4】本発明による焼結部材の相対密度値の測定結果
を示す特性図
【図5】本発明による焼結部材の高融点金属の溶出量の
測定結果を示す特性図
【図6】従来の焼結部材の組織を模式的に示した説明図
【符号の説明】
1 高融点金属粉末 2 ガラス相形成元素 3 希土類金属酸化物粉末 4 ガラス相 5 複合酸化物層 6 マトリクス金属結晶粒 7 金属酸化物粒子 8 セラミック製ボール 9 混合機 10 ゴム製容器 11 中子 12 混合粉末 13 加圧成型体 14 電気炉 15 焼結体

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高融点金属マトリクス中に希土類金属酸
    化物粒子を分散させた粒子分散合金の焼結部材におい
    て、マトリクス状の高融点金属結晶粒を形成するための
    高融点金属粒子と、前記高融点金属結晶粒の結晶粒界に
    形成される希土類金属酸化物粒子と、前記希土類金属酸
    化物粉末と反応して前記高融点金属粒子の周囲にガラス
    相を形成するためのガラス相形成元素とを含有し、前記
    高融点金属又は前記高融点金属酸化物と前記希土類金属
    酸化物とが反応して前記ガラス相中に形成され前記希土
    類金属酸化物が前記結晶粒界に緻密に浸透することを促
    進するための低融点複合酸化物を有したことを特徴とす
    る焼結部材。
  2. 【請求項2】 前記高融点金属粒子は、W、Mo、T
    a、Nb、Re、Cr、Ni、Co、Fe又はこれらを
    主成分とするものから選ばれたものであることを特徴と
    する請求項1に記載の焼結部材。
  3. 【請求項3】 前記希土類金属酸化物粒子は、Y、L
    a、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
    y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Uを主成分
    とする金属酸化物から選ばれたものであることを特徴と
    する請求項1に記載の焼結部材。
  4. 【請求項4】 前記ガラス相形成元素は、P、Si、N
    a、Mg又はこれらの元素を主成分とする合金または化
    合物から選ばれたものであることを特徴とする請求項1
    に記載の焼結部材。
  5. 【請求項5】 前記希土類金属酸化物粒子が前記高融点
    金属マトリクスの前記高融点金属粒の結晶粒界に位置
    し、かつ、少なくともその一部が前記粒子分散合金の内
    部から表面まで組織的につながっていることを特徴とす
    る請求項1に記載の焼結部材。
  6. 【請求項6】 前記希土類金属酸化物粒子の含有量が5
    〜50体積%であることを特徴とする請求項1に記載の
    焼結部材。
  7. 【請求項7】 前記ガラス相形成元素の含有量が1pp
    m以上、1重量%以下であることを特徴とする請求項1
    に記載の焼結部材。
  8. 【請求項8】 前記高融点金属粉末と前記希土類金属酸
    化物粒子とを高エネルギーのボールミルで混合後、真空
    中または不活性雰囲気中もしくは還元性雰囲気中で焼結
    することを特徴とする焼結部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記高融点金属粉末と前記希土類金属酸
    化物粒子とを高エネルギーのボールミルで混合後、真空
    中または不活性雰囲気中もしくは還元性雰囲気中で焼結
    し、ついで熱間等方圧加圧処理を行うことを特徴とする
    焼結部材の製造方法。
JP6300163A 1994-11-10 1994-11-10 焼結部材及びその製造方法 Pending JPH08134563A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6300163A JPH08134563A (ja) 1994-11-10 1994-11-10 焼結部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6300163A JPH08134563A (ja) 1994-11-10 1994-11-10 焼結部材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08134563A true JPH08134563A (ja) 1996-05-28

Family

ID=17881512

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6300163A Pending JPH08134563A (ja) 1994-11-10 1994-11-10 焼結部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08134563A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002028575A1 (fr) * 2000-10-03 2002-04-11 Ngk Insulators, Ltd. Tube metallique sans soudure et son procede de production
EP1522601A3 (en) * 2003-09-30 2006-06-28 Hitachi Powdered Metals Co., Ltd. Sintered component made of stainless steel with high corrosion resistance and production method therefor
US10535452B2 (en) 2016-09-09 2020-01-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Permanent magnet, rotary electric machine, and vehicle

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002028575A1 (fr) * 2000-10-03 2002-04-11 Ngk Insulators, Ltd. Tube metallique sans soudure et son procede de production
EP1522601A3 (en) * 2003-09-30 2006-06-28 Hitachi Powdered Metals Co., Ltd. Sintered component made of stainless steel with high corrosion resistance and production method therefor
US10535452B2 (en) 2016-09-09 2020-01-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Permanent magnet, rotary electric machine, and vehicle

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5477282B2 (ja) R−t−b系焼結磁石およびその製造方法
CN102274966B (zh) 用于无熔化地制备具有其它添加成分的金属制品的方法
CN110093548B (zh) 一种含稀土Gd的超细晶高强韧高熵合金及其制备方法
KR900006193B1 (ko) 네오디뮴-철-붕소계 영구 자석의 제조방법
US5889220A (en) Copper-tungsten alloys and their manufacturing methods
WO1989010982A1 (en) Arc-melting process for forming metallic-second phase composites and product thereof
US5590392A (en) Corrosion-resistant material for contact with high temperature molten metal and method for production thereof
US20160167129A1 (en) Incorporation of nano-size particles into aluminum or other light metals by decoration of micron size particles
JPH08134563A (ja) 焼結部材及びその製造方法
EP0577381A1 (en) Method of production of a metallic composite material incorporating metal carbide particles dispersed therein
US9764384B2 (en) Methods of producing dispersoid hardened metallic materials
JP3049874B2 (ja) 希土類金属を含む合金粉末の製造方法
JPH06128604A (ja) 金属材料の製造方法
JPH0762467A (ja) 分散強化型銅合金及び分散強化型銅合金の製造方法
JP2737487B2 (ja) 高密度粉末焼結用チタン合金の製造方法
JP3321906B2 (ja) Cu−Cr系複合材料の製造方法
JP4070426B2 (ja) 高密度焼結体の製造方法及びその焼結体
WO2017209061A1 (ja) 耐食性に優れたbn焼結体
Kim et al. Metal injection molding of W-Cu powders prepared by low energy ball milling
JP2994685B2 (ja) 希土類永久磁石用原料の製造方法
JPH05263177A (ja) A15型結晶構造を有するNb3Al金属間化合物基合金の製造方法
JP2994684B2 (ja) 希土類永久磁石用原料の製造方法
KR970008044B1 (ko) 텅스텐 중합금계 진동추의 제조방법
Pinto et al. High-Purity Beryllium Powder Components
JPH11100625A (ja) ホウ化物及び炭化物分散強化銅及びその製造方法