JPH08133882A - 化合物半導体製造用るつぼ - Google Patents

化合物半導体製造用るつぼ

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JPH08133882A
JPH08133882A JP26682994A JP26682994A JPH08133882A JP H08133882 A JPH08133882 A JP H08133882A JP 26682994 A JP26682994 A JP 26682994A JP 26682994 A JP26682994 A JP 26682994A JP H08133882 A JPH08133882 A JP H08133882A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 PBNるつぼ内面に、該るつぼの内径の3.0
〜8.0 %の厚さの B2O3-SiO2ガラス膜をゾル−ゲル法等
によりコーティングしてなる化合物半導体製造用るつ
ぼ。 【効果】 結晶育成時に融液封止材(B2O3-SiO2ガラス)
により融液全体が均一に覆われ、そのため原料融液とP
BNるつぼとの直接接触による双晶や転位の発生及び多
結晶化を抑制し得、又、結晶育成後の冷却時に育成結晶
収縮によってるつぼ内面に働く圧縮応力を充分に緩和さ
せることができ、そのため結晶育成後冷却時の育成結晶
収縮によるPBNるつぼ内面剥離を抑制し得、引いては
るつぼ寿命を向上し得るようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化合物半導体製造用るつ
ぼに関し、特には、GaAs, InP, GaP等のIII-V族化合物
半導体もしくはZnSe, CdTe等の II-VI族化合物半導体単
結晶育成時に使用する化合物半導体製造用るつぼに関す
る。
【0002】
【従来の技術】GaAs, InP 等のIII-V族化合物半導体、
ZnSe等の II-VI族化合物半導体単結晶を製造する方法と
しては、LEC 法(液体封止チョクラルスキー法)、HB法
(水平ブリッジマン法)、VB法(垂直ブリッジマン法)
等、さまざまな技術が知られている。
【0003】上記 LEC法、VB法においては、るつぼから
の不純物混入が少なくて高純度の結晶を育成できるとい
う観点からPBNるつぼが広く使用されている。ここ
で、PBNるつぼとは、るつぼ形状のカーボンにCVD 法
によりBN(窒化ホウ素)をコーティングし、カーボン
から取り外したもの(BNよりなるるつぼ)のことであ
る。又、化合物半導体育成では、構成元素の一方が高い
蒸気圧をもつために解離し易く、又、雰囲気からの不純
物が融液内に取込まれる恐れがある点、および、PBN
るつぼと原料融液との直接接触を避け、双晶、多結晶発
生を抑制するという点から、原料合成時や単結晶育成時
にはB2O3が融液封止材として使用されている。
【0004】しかしながら、従来一般に用いられている
PBNるつぼは、結晶育成時に融液封止材であるB2O3
融液全体を均一に覆うことが難しい。即ち、PBNるつ
ぼは、石英るつぼに比して原料融液との間の濡れ性が悪
いものの、単結晶とPBNるつぼとの固着を完全に避け
ることはできず、結晶表面に凹凸が生じ、その部分を起
点として双晶や転位が発生したり、多結晶化を引き起こ
すという問題点があり、歩留まり低下の一因となってい
た。
【0005】更に、結晶育成後の冷却時に、PBNるつ
ぼと育成結晶との熱膨張係数の相違により、るつぼ内部
に向かって圧縮応力が発生し、PBNるつぼ内面が剥離
して劣化する。即ち、結晶成長後の冷却時に育成結晶が
収縮してPBNるつぼ内面に圧縮応力が作用することに
より、PBNるつぼ内面が剥離し、劣化が速くるつぼ寿
命が短いという問題点がある。このとき、剥離が局部的
に生じたものを再利用すると、温度分布の不均一が生じ
て双晶発生確率が高くなる可能性があるので、剥離が局
部的に生じた場合でも実質的には寿命が短くなる。
【0006】上記問題点の対策に関し、融液封止材によ
る融液の被覆性の改善については、るつぼ内面に粘度を
増加させたB2O3多成分物質を被覆し、更にその上にB2O3
を被覆したるつぼを使用し、室温〜300 ℃乃至1500℃迄
はB2O3が融液を覆い、それ以上の温度では粘度を増加さ
せたB2O3が融液を覆い、るつぼと融液との直接接触を避
ける方法がある(特公昭61-16756号公報)。一方、PB
Nるつぼ内面剥離の抑制については、PBNるつぼ表面
にプラズマ CVD法により非晶質BNをコーティングし、B2
O3との固着を抑えることによりPBNるつぼの剥離を抑
制するという方法がある(特開昭61-168589 号公報)。
しかし、前者の方法ではるつぼ内面剥離を抑制できず、
後者の方法では融液封止材による融液の被覆性の改善が
できず、従って、前記全ての問題点を一挙に解決し得る
化合物半導体製造用るつぼの開発が望まれるところであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に着目してなされたものであって、その目的は、前
記従来技術の有する問題点を解消し、結晶育成時の融液
封止材による融液の被覆性を向上でき、引いては原料融
液とるつぼとの直接接触による双晶や転位の発生及び多
結晶化を抑制し得、又、結晶育成後冷却時の育成結晶収
縮によるるつぼ内面剥離を抑制し得る化合物半導体製造
用るつぼを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る化合物半導体製造用るつぼは、次のよ
うな構成としている。即ち、請求項1記載のるつぼは、
PBNるつぼ内面に、該るつぼの内径の3.0 〜8.0 %の
厚さの B2O3-SiO2ガラス膜をコーティングしてなる化合
物半導体製造用るつぼである。ここで、PBNるつぼと
は、るつぼ形状のカーボンにCVD 法によりBN(窒化ホ
ウ素)をコーティングし、カーボンから取り外したもの
(BNよりなるるつぼ)のことである。
【0009】請求項2記載のるつぼは、前記 B2O3-SiO2
ガラス膜がゾル−ゲル法によりコーティングされている
請求項1記載の化合物半導体製造用るつぼである。
【0010】
【作用】本発明に係る化合物半導体製造用るつぼは、前
記の如く、PBNるつぼ内面に、該るつぼの内径の3.0
〜8.0 %の厚さの B2O3-SiO2ガラス膜をコーティングし
てなる。このように B2O3-SiO2ガラス膜をコーティング
しておくと、結晶育成時に B2O3-SiO2ガラスが融液封止
材となり、この融液封止材は融液の被覆性に優れている
ので、融液全体を均一に覆うことができ、引いては原料
融液とPBNるつぼとの直接接触が絶たれ、そのため原
料融液とPBNるつぼとの直接接触による双晶や転位の
発生及び多結晶化を抑制し得る。
【0011】又、上記 B2O3-SiO2ガラス膜は、厚さがP
BNるつぼ内径の3.0 〜8.0 %であり、これは結晶育成
後の冷却時の育成結晶収縮量に対応する量(厚さ)であ
るので、結晶育成後の冷却時に育成結晶収縮によってる
つぼ内面に働く圧縮応力を充分に緩和させることがで
き、そのため冷却時の育成結晶収縮によるPBNるつぼ
内面剥離を抑制し得る。
【0012】ここで、 B2O3-SiO2ガラス膜の厚さをPB
Nるつぼ内径の3.0 〜8.0%としているのは、結晶育成後
冷却時の育成結晶収縮量に対応する量(PBNるつぼ内
径の3.0 〜8.0%の厚さ)とすることによって、冷却時の
育成結晶収縮によりPBNるつぼ内面に作用する圧縮応
力を充分に緩和させ、引いては冷却時の育成結晶収縮に
よるPBNるつぼ内面剥離を抑制するためである。即
ち、B2O3-SiO2 ガラス膜の厚さは、冷却時の育成結晶収
縮によりPBNるつぼ内面に作用する圧縮応力を充分に
緩和させるために冷却時の育成結晶収縮量に対応する量
(厚さ)にしておく必要があり、その量(厚さ)は結晶
育成対象の化合物の種類により異なり、最小の場合でP
BNるつぼ内径の3.0%、最大の場合でPBNるつぼ内径
の8.0%であり、従って、上記育成結晶収縮量に対応する
量(B2O3-SiO2 ガラス膜厚さ)の範囲はPBNるつぼ内
径の3.0 〜8.0%となるからである。換言すれば、B2O3-S
iO2ガラス膜厚さをPBNるつぼ内径の3.0%未満にする
と、結晶育成対象の化合物の種類によらず、るつぼ内面
に働く圧縮応力を充分に緩和できなくなり、引いてはP
BNるつぼ内面剥離が生じるようになり、一方、圧縮応
力の緩和の点においてはB2O3-SiO2 ガラス膜厚さが大き
いほどよいが、最大の場合でPBNるつぼ内径の8.0%で
よくて、8.0%超にする必要がなく、8.0%を超えて厚くす
ると、不必要に製造( B2O3-SiO2ガラス膜のコーティン
グ)工程及びコストの悪化を招くことになり、又、 B2O
3-SiO2ガラス膜の歪み増加による密着性低下等の特性劣
化を招くことになるからである。
【0013】上記 B2O3-SiO2ガラス膜のコーティング形
成に際し、そのコーティング原料は粘度の大きいSiO2
含有していることに起因して粘度が大きく、そのため B
2O3-SiO2ガラス膜厚を比較的厚くでき、PBNるつぼ内
径の3.0 〜8.0 %に相当する膜厚にすることは可能であ
る。
【0014】上記の如き B2O3-SiO2ガラス膜はゾル−ゲ
ル法によりコーティングすることにより形成することが
できる。具体的には、例えばSi(OC2H5)4とB(OCH3)3とを
混合したアルコキシド溶液をPBNるつぼ内面にディッ
プコーティングし、加熱縮合により B2O3-SiO2ガラス膜
を形成することができる。ゾル−ゲル法によれば、厚い
B2O3-SiO2 ガラス膜を比較的形成し易く、そのためPB
Nるつぼ内径が比較的大きい場合でも、確実にPBNる
つぼ内径の3.0 〜8.0 %に相当する厚さのB2O3-SiO2
ラス膜を形成でき、かかる点からゾル−ゲル法によるこ
とが望ましい。
【0015】本発明に係るるつぼの構成及び作用を、従
来のるつぼとの比較を含めて、GaAs単結晶の育成の場合
を例に挙げてより具体的に以下説明する。
【0016】固体GaAsの300 〜500 ℃における熱膨張係
数は6.87×10-6(1/K) であるのに対し、PBNるつぼの
室温〜400 ℃における熱膨張係数はa軸方向(ルツボ表
面内方向)で3×10-6(1/K) 、c軸方向(ルツボ径方
向)で2×10-5(1/K) であり、特にc軸方向で著しく大
きい。このPBNるつぼとGaAsとの熱膨張係数の差が原
因となり、従来のPBNるつぼでは、結晶育成後の冷却
時にPBNるつぼ内面に圧縮応力が作用し、るつぼ内面
剥離が生じる。
【0017】これに対して、PBNるつぼ内面に、該る
つぼの内径の3.0 〜8.0 %の厚さのB2O3-SiO2 ガラス膜
をコーティングしたものでは、GaAs結晶育成後の冷却時
にGaAs結晶収縮によりPBNるつぼ内面に働く圧縮応力
を充分に緩和させることができる。即ち、GaAs結晶育成
後の冷却過程において、B2O3の融点付近でGaAs結晶は、
結晶1kgあたり約2×103mm3収縮し、従って、このGaAs
結晶収縮量に対応する量(PBNるつぼ内径の3.0 〜8.
0 %の厚さ)の B2O3-SiO2ガラス膜、例えば2インチ径
のPBNるつぼの場合には約1〜2mmの厚さの B2O3-Si
O2ガラス膜をコーティングしておくと、冷却時のGaAs結
晶収縮によりPBNるつぼ内面に作用する圧縮応力を充
分に緩和させることができ、引いては冷却時のGaAs結晶
収縮によるPBNるつぼ内面剥離を抑制することができ
る。
【0018】ところで、前記のような膜厚の B2O3-SiO2
ガラス膜をPBNるつぼ内面にコーティング形成するに
際し、その膜厚は例えば次のようにして調整することが
できる。即ち、 B2O3-SiO2ガラス膜をゾル−ゲル法によ
りコーティング形成する場合の B2O3-SiO2混合ゲルの粘
度のSiO2添加量依存性を図1に示し、この粘度とコーテ
ィング形成された B2O3-SiO2ガラス膜の厚さとの関係を
図2に示す。2インチ径のPBNるつぼの内面に1〜2
mmの厚さの B2O3-SiO2ガラス膜をコーティング形成する
場合、図2より、 B2O3-SiO2混合ゲルの粘度を 8.0〜
8.3〔単位;Logη (poise)〕にする必要があることがわ
かる。そして、この粘度とするには、図1より、 B2O3-
SiO2混合ゲルのSiO2添加量を16mol%前後とする必要があ
ることがわかる。従って、混合ゲルのSiO2添加量を16mo
l%前後としたものをPBNるつぼの内面に塗布し、ゾル
−ゲル化して B2O3-SiO2ガラス膜を形成させる。する
と、B2O3-SiO2 混合ゲルでの粘度が 8.0〜 8.3〔単位;
Log η (poise)〕となり、そして B2O3-SiO2ガラス膜厚
は1〜2mmとなる。
【0019】更に大きいPBNるつぼを使用する場合に
は、そのるつぼ径に対応した量(厚さ)の封止材( B2O
3-SiO2ガラス膜)を使用する必要がある。ゾル−ゲル法
によるコーティング形成の際、 B2O3-SiO2ガラス膜厚を
さらに厚くするには、アルコキシド溶液へのディッピン
グ操作回数を増やす、ディッピング後の引き上げ速度を
大きくする、加水分解・重合の進み具合を変える等の方
法を採用すればよく、それにより膜厚を自由に変えるこ
とができ、しかも均一な膜を得ることが可能となる。
【0020】
【実施例】2インチ径のPBNるつぼの内面にゾル−ゲ
ル法により2mmの厚さの B2O3-SiO2ガラス膜をコーティ
ング形成して、本発明の実施例に係る化合物半導体製造
用るつぼを得た。該るつぼを用い、図3に示す如く、縦
型ブリッジマン結晶育成装置により、GaAs単結晶の育成
を行った。尚、図3において、1は上記本発明の実施例
に係る化合物半導体製造用るつぼ(B2O3-SiO2ガラス膜コ
ーティングるつぼ)、2は種結晶、3は育成中のGaAs単
結晶、4は原料融液、5はヒータを示すものである。
【0021】上記GaAs単結晶の育成後、冷却し、しかる
後、るつぼ1よりGaAs単結晶を取り出した。この結晶の
取り出しの際、結晶の固化収縮により発生した圧縮応力
によるPBNるつぼ内面剥離がなく、従来のPBNるつ
ぼ(コーティングなし)に比べ、るつぼ寿命が2倍以上
に向上した。更に、 B2O3-SiO2ガラスが融液全体を均一
に覆うことができ、そのため、得られた結晶表面はなめ
らかであり、原料融液とPBNるつぼとの直接接触によ
る双晶発生、転位の増大及び多結晶化を抑制することが
できた。
【0022】
【発明の効果】本発明に係る化合物半導体製造用るつぼ
は、PBNるつぼ内面に該るつぼ内径の3.0 〜8.0 %の
厚さの B2O3-SiO2ガラス膜がコーティングされているの
で、前述の如き作用を成し、結晶育成時に融液の被覆性
に優れた B2O3-SiO2ガラスが融液封止材となることによ
り、融液封止材による融液の被覆性を向上でき、融液封
止材( B2O3-SiO2ガラス)により融液全体が均一に覆わ
れ、原料融液とPBNるつぼとの直接接触が絶たれ、そ
のため原料融液とPBNるつぼとの直接接触による双晶
や転位の発生及び多結晶化を抑制し得るようになり、
又、結晶育成後の冷却時に育成結晶収縮によってPBN
るつぼ内面に働く圧縮応力を充分に緩和させることがで
き、そのため結晶育成後冷却時の育成結晶収縮によるP
BNるつぼ内面剥離を抑制し得るようになるという効果
を奏する。従って、本発明に係る化合物半導体製造用る
つぼによれば、品質に優れた化合物半導体を安定して製
造でき、しかも化合物半導体製造用るつぼの寿命が向上
し、引いては生産コストの低減が図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 B2O3-SiO2 混合ゲルについてのSiO2添加量と
粘度との関係を示す図である。
【図2】 B2O3-SiO2 混合ゲルについての粘度とゾル−
ゲル法により形成されるコーティング膜(B2O3-SiO2
ラス膜)の厚みとの関係を示す図である。
【図3】 実施例に係る縦型ブリッジマン結晶育成装置
と単結晶育成状況を説明する図である。
【符号の説明】
1--化合物半導体製造用るつぼ、2--種結晶、3--固化
した結晶、4--原料融液、5--ヒータ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PBNるつぼ内面に、該るつぼの内径の
    3.0 〜8.0 %の厚さの B2O3-SiO2ガラス膜をコーティン
    グしてなる化合物半導体製造用るつぼ。
  2. 【請求項2】 前記 B2O3-SiO2ガラス膜がゾル−ゲル法
    によりコーティングされている請求項1記載の化合物半
    導体製造用るつぼ。
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