JPH08130988A

JPH08130988A - セルトレー

Info

Publication number: JPH08130988A
Application number: JP30435094A
Authority: JP
Inventors: Shiro Yamazaki; 詞朗山崎
Original assignee: Kureha Corp
Current assignee: Kureha Corp
Priority date: 1994-11-14
Filing date: 1994-11-14
Publication date: 1996-05-28

Abstract

(57)【要約】【目的】抜き取り性と根鉢形成に優れているセル成型
苗を育てるためのセルトレーを提供する。【構成】本考案のセルトレーＡは、セル２に側孔４を
開け、さらに、上孔５を開けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、蔬菜類あるいは、園芸
作物の栽培に使用する苗を育てるためのセルトレーに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】蔬菜類あるいは、園芸作物の栽培におい
て、苗移植作業の機械化が実施され、作業性向上に寄与
している。この機械移植に適した良質の苗として、セル
成型苗の有用性が認められ、専用のセルトレー（以下、
「汎用セルトレー」と記載する）が提案されて、一度
に、５０〜８００個の均質な苗を育成することが可能に
なっている。汎用セルトレーは、育苗用のセルを多数並
設し、各セルの底面に排水孔（以下、「底孔」と記載す
る）を設けた構造となっている。（図７参照）そのため、床にじか置きするとセル底面が床に密着する
ため、空気に触れることが難しく、光も当たらない。そ
のため、根が底孔から外部に出てしまい根鉢が形成され
難く、セルからの抜き取りが困難であり、根切れが生ず
る。（図８参照）この問題を解決するため、セル底面に突起部を形成した
改良型セルトレー（以下、「突起付きセルトレー」と記
載する）が提案されている。（実開平5-82249号公報）

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】汎用セルトレーによる
育苗では、抜き取り時の根や茎の引きちぎれ等による苗
の傷みを極力押さえるために、根を孔から出さず、根鉢
を十分に形成させるように、特に注意が払われている。
さらに、旧来の箱育苗と比較して少ない培養土と、根と
からなる根鉢を、短期間で形成させる必要があるため種
々の工夫を必要としている。例えば、汎用セルトレーで
は、底孔からの根の伸び出しを抑制し、根鉢を十分に形
成させるために、根の背光性と、乾燥を嫌う性質を利用
して、汎用セルトレーのセル底部にタルキを置いたり、
汎用セルトレー自体をベンチ（網棚）上に置いたりし
て、光及び、空気が底孔に十分に行き渡るようにしてい
る。

【０００４】突起付きセルトレーでは、提案通りの効果
を得るためには、床面を平らにし、突起付きセルトレー
を置く必要があり、箱育苗にしばしば見られる様な露地
へのべた置き栽培では、十分な効果がない。したがっ
て、農家にとって、従来の箱育苗に比べ、汎用セルトレ
ーを使用しても、突起付きセルトレーを使用しても、育
苗には、タルキやベンチの購入と設置及び、平らな床面
が必要である。このため、箱育苗農家からは、農業資材
の購入や、設備投資を必要とせず、従来の箱育苗と同様
に、露地にべた置きして育苗できるセルトレーが望まれ
ている。さらに、汎用セルトレーでは、１個のセル当た
りの培養土が少量で、１個１個が独立していることか
ら、注意深く頻繁に灌水する必要がある。このため、セ
ル成型苗を多量に生産する農家からは、簡便に給水でき
るセルトレーが望まれている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のセルトレー（以
下、「本発明セルトレー」と記載する）は、上記の２つ
の課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、完成
したものである。すなわち、汎用セルトレーで、多数併
設されたセルの底孔を、側面下方（以下、「側孔」と記
載する）に移し、各々のセルをつないでいる上面に換気
・採光のための孔（以下、「上孔」と記載する）を開け
たものである。

【０００６】以下、本発明を詳しく説明する。本発明セ
ルトレーの作製には、合成樹脂シートを成形すること
も、合成樹脂ペレットもしくは、合成樹脂粉末から成形
することもできるが、好ましくは、合成樹脂シートを成
形して作製する。側孔及び、上孔は成形時に開孔するこ
とも、成形後に開孔することも、あるいは、これらを組
み合わせて開孔することもできる。成形時の開孔には、
側孔及び、上孔の全部または、一部にあたる部分を、予
め金型に作製しておくこともできる。成形後の開孔に
は、焼き小手で溶かすか、ドリルで切削するか、のみで
打ち抜くか、あるいは、これらを組み合わせて用いるこ
とができる。

【０００７】本発明セルトレーは、１辺が、２０ｃｍ〜
１００ｃｍ、好ましくは、（３０±１０）ｃｍ×（６０
±１０）ｃｍの四角形で、設けてあるセルの個数は、５
０〜８００個、好ましくは、５０〜３００個であり、セ
ル１個の容量は、１．５ｍｌ〜１５０ｍｌ、好ましく
は、８ｍｌ〜１００ｍｌである。側孔は、セル内が過湿
となるのを避けるため、セルの深さの２分の１より深い
位置で、側面のできるだけ底部に近い方に開けるのが望
ましい。また、孔の大きさは、小さい場合は過湿にな
り、大きすぎると用土のこぼれや根の生育に悪影響をも
たらすので好ましくない。概ね、直径２〜１０ｍｍ程度
が望ましい。側孔の個数は、セル１個に付き１個以上で
あれば、特に個数に制限はないが、好ましくは、１〜８
個である。上孔は、セルの強度を損なわない程度にでき
るだけ大きく開けるのが好ましい。通常は、セル１個あ
たり、直径２〜１２ｍｍ程度の孔が、１〜４個である。
ただし、開孔の仕方によっては、配分される上孔のない
セルがあっても差し支えない。すなわち、セル複数個に
１個の上孔が開孔されていてもよい。

【０００８】

【作用】本発明セルトレーは、側孔及び、上孔を有する
ことから、各セルに十分に空気が行き渡り、さらに、上
孔から光が行き渡るので、根が側孔から外に伸び出すこ
とがなく、短期間に根鉢が形成される。

【０００９】特に、本発明セルトレーと市販のセル用土
とを組み合わせて使用すると、キャベツ、ハクサイ、ブ
ロッコリー、チンゲン菜、カリフラワー、レタス、京
菜、セルリー、キュウリ、カボチャ、トマト、ナス、ピ
ーマン、スイカ、メロン、ネギ、タマネギ、ニラ、花卉
類（カスミ草、ストック、スターチス等）の育苗に適し
ている。以下の実施例において、セルの上面開口部及
び、底部は、円形及び、四角形を以て例示しているが、
本発明の要旨に反しない限り、三角形、四角形を含む多
角形、円形、楕円形等その形状は問わない。また、上
孔、側孔についても、円形を以て例示しているが、本発
明の要旨に反しない限り、三角形、四角形を含む多角
形、円形、楕円形等その形状は問わない。

【００１０】

【実施例】

実施例１図１は開口部が円形の本発明セルトレーを底面側から見
た実形の一部を示す斜視図である。図２はセルの開口部
が円形の本発明セルトレーの一部を切り欠いて、平面図
で示したものある。図３はセルの開口部が四角形の本発
明セルトレーの一部を切り欠いて、平面図で示したもの
ある。図４はセルの開口部が円形の本発明セルトレー使
用時の根の様子を示す、断面図である。開口部が円形の
本発明セルトレーＡは合成樹脂シートを成形して形成し
てあり、育苗用のセル２が多数形成してある。上孔１０
はセルトレーＡの強度を損なわない程度に大きい方が効
果的である。側孔８は用土の漏れを生ぜずかつ排水効率
のよい２〜１０ミリ程度が望ましい。

【００１１】実施例２図５は、本発明セルトレーによる育苗中の下部給水時の
様子を示す、断面図である。図６は、本発明セルトレー
による育苗中の下部排水時の様子を示す、断面図であ
る。本発明セルトレーは、べた置きしても、側孔より給
水・排水できるので、灌水のように給水にむらがなく、
また、手間もかからない。他方、汎用セルトレーの下部
からの給水・排水では、底孔であるため、下方に隙間が
できるように工夫しなければ、充分な排水が望めず過湿
になり易い。

【００１２】実施例３本発明セルトレー、汎用セルトレー及び、突起付きセル
トレーに、市販のセル用土［（株）呉羽化学工業製：セ
ルエース^TM］を充填し、ハクサイ（品種：耐病６０日）
及び、ブロッコリー（品種：緑麗）を播種覆土した後、
畑地土壌上に各セルトレーをべた置きし、定時灌水管
理、２１日後に、発芽生育した全セル７２個の苗の草丈
及び、孔から根の出たセル数、抜き取り時の根切れセル
数及び、根鉢形成を調査し、結果を下表に示した。本実
施例の３種類のセルトレーは、いずれも、３０ｃｍ×６
０ｃｍの四角形で、セル数：１２×６、セルの形状：開
口部円形、直径４０ｍｍ、深さ４８ｍｍ、１個の容量：
３５．０ｍｌである。本発明セルトレーの側孔は、直径
６ｍｍの円形で、その中心がセルの底部内面から６ｍｍ
の距離になるように、セル１個に付き２個開けてある。
上孔は、直径１０ｍｍの円形で、となりあうセルとセル
との中間部に、セル１個に付き１個になるように開けて
ある。汎用セルトレーの底孔は、直径６ｍｍの円形で、
底部の中央に開けてある。突起付きセルトレーの底孔
は、直径６ｍｍの円形で、底部の中央に開けてあり、硬
い平らな面に置いた時に、底孔と硬い平らな面との間
に、３ｍｍの隙間ができるように、セル１個に付き４個
の突起を付けてある。

【００１３】

【表１】

【００１４】

【表２】

【００１５】

【発明の効果】本発明セルトレーは、上孔を有すること
から、空気と光が側孔に行き渡るため、側孔から根が外
に伸び出すことがなく、根鉢形成と抜き取り性に優れた
セル成型苗を育てられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】セルの開口部が円形の本発明セルトレーを底面
側から見た実形の一部を示す斜視図である。

【図２】セルの開口部が円形の本発明セルトレーの一部
を切り欠いて、平面図で示したものある。

【図３】セルの開口部が四角形の本発明セルトレーの一
部を切り欠いて、平面図で示したものある。

【図４】本発明セルトレー使用時の根の様子を示す、断
面図である。

【図５】本発明セルトレーによる育苗中の下部給水時の
様子を示す、断面図である。

【図６】本発明セルトレーによる育苗中の下部排水時の
様子を示す、断面図である。

【図７】セルの開口部が円形の汎用セルトレーを底面側
から見た実形の一部を示す斜視図である。

【図８】汎用セルトレー使用時の根の様子を示す、断面
図である。

【符号の説明】

Ａセルの開口部が円形の本発明セルトレー２開口部が円形のセル４開口部が四角形のセル６底部８側孔１０上孔１２底孔１４土壌１６根１８培養土Ｂセルの開口部が円形の汎用セルトレー

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】育苗の為のセルを多数並設したセルトレ
ーにおいて、各々のセルをつないでいる上面に換気・採
光のための孔と、セルの側面下方に排水のための孔とを
開けたセルトレー。