JPH08130032A - ナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト及びその製造方法 - Google Patents

ナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト及びその製造方法

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JPH08130032A
JPH08130032A JP6267800A JP26780094A JPH08130032A JP H08130032 A JPH08130032 A JP H08130032A JP 6267800 A JP6267800 A JP 6267800A JP 26780094 A JP26780094 A JP 26780094A JP H08130032 A JPH08130032 A JP H08130032A
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宏次 杉本
Kazuto Furuta
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ニードルパンチングの回数を増やすことがで
きて、充電時における反応を促進することができ、充電
回復率を向上させることができるようにする。また、高
抵抗体をカーボンフェルトの内部まで形成することがで
きて、充電を円滑に進めることができるようにする。 【構成】 ポリアクリロニトリル繊維の耐炎化処理によ
り形成されたフェルト7にニードルパンチングを施し、
カーボン化処理を行って所定形状に成形する。このフェ
ルト7にアルミナよりなる高抵抗体16を散布する。こ
のフェルト7にさらにニードルパンチングを行う。そし
て、フェルト7のニードルパンチング面を電池の陽極室
6の固体電解質管5側に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 この発明は、二次電池として電
力貯蔵などに利用されるナトリウム−硫黄電池用のカー
ボンフェルト及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 近年、電力需要の増加に伴って、夜間
電力の利用を図るために、活物質の利用率が高く、充放
電反応の効率が良いナトリウム−硫黄電池が研究されて
いる。このナトリウム−硫黄電池においては、陽極室内
に陽極活物質としての硫黄が含浸されたフェルトが収容
されている。このフェルトはカーボン繊維の織布より形
成され、湾曲成形されて陽極室内に複数個収容されてい
る。
【0003】そして、放電時にはこのフェルトの繊維上
でナトリウムと硫黄が反応して多硫化ナトリウムを生成
し、充電時には多硫化ナトリウムの酸化還元反応により
ナトリウムと硫黄を生成する。
【0004】前記フェルトは、一般に次のように成形さ
れる。すなわち、未焼成繊維よりなるフェルトにニード
ルパンチングを施した後、カーボン化処理が行われる。
そして、このフェルトは所定の直方体状に切断される。
この成形体はその一側面に溝が加工され、さらにアルフ
ァアルミナが散布されて高抵抗層が形成される。その
後、成形体は湾曲形成され、電池の陽極室内に収容され
る。
【0005】このようなカーボンフェルトは、ニードル
パンチングされることにより、その繊維密度が固体電解
質管側で小さく、陽極容器側で大きくなる。従って、充
電時における陽極容器側での多硫化ナトリウムの酸化還
元反応の反応箇所が増え、この反応を円滑に進めること
ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 このような従来のカ
ーボンフェルトの製造方法では、カーボン化処理を安定
的に行うため未焼成フェルトに一定の強度が必要であ
る。一方、フェルトに対するニードルパンチングを過度
に行うとその強度が低下する。
【0007】そこで、フェルトに所要の強度を保持した
状態でカーボン化処理を行うためには、フェルトに対す
るニードルパンチングの回数が制限される。この場合、
充電時における陽極容器側での反応を促進することがで
きず、充電回復率の充分な向上を図ることができないと
いう問題があった。
【0008】この発明はこのような従来技術に存在する
問題に着目してなされたものである。その目的とすると
ころは、ニードルパンチングの回数を増やすことができ
て、充電時における反応を促進することができ、充電回
復率を向上させることができるナトリウム−硫黄電池用
カーボンフェルト及びその製造方法を提供することにあ
る。また、他の目的とするところは、高抵抗体をカーボ
ンフェルトの内部まで形成することができて、充電を円
滑に進めることができるナトリウム−硫黄電池用カーボ
ンフェルトの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成する
ために、請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池用カー
ボンフェルトの発明では、カーボン化処理をしたフェル
トに、さらにニードルパンチングを施したものである。
【0010】請求項2に記載の発明においては、請求項
1の発明において、未焼成の繊維織布は、ポリアクリロ
ニトリル繊維により形成されたものである。請求項3に
記載の発明では、高温のカーボン化処理をしたフェルト
に、さらにニードルパンチングを前記ニードルパンチン
グの回数以下の回数で施したものである。
【0011】請求項4に記載の発明では、請求項1〜3
のいずれかに記載の発明において、カーボン化処理した
フェルト表面に高抵抗体を配置し、ニードルパンチング
を施し、高抵抗体を内部にまで配置したものである。
【0012】請求項5に記載の発明では、請求項1〜4
のいずれかに記載の発明において、カーボン化処理した
フェルト表面に溝が形成されているものである。請求項
6に記載の発明では、請求項4又は請求項5に記載の発
明において、高抵抗体が粉末又は繊維である。
【0013】請求項7に記載のナトリウム−硫黄電池用
カーボンフェルトの製造方法の発明では、カーボン化処
理を行った後に、さらにニードルパンチングを施すもの
である。
【0014】請求項8に記載のナトリウム−硫黄電池用
カーボンフェルトの製造方法の発明では、高温のカーボ
ン化処理を行った後に、さらにニードルパンチングを前
記ニードルパンチングの回数以下の回数で施すものであ
る。
【0015】
【作用】 請求項1又は請求項7のナトリウム−硫黄電
池用カーボンフェルト又はその製造方法の発明では、未
焼成の繊維織布にニードルパンチングが行われ、カーボ
ン化処理後に、さらにニードルパンチングが行われる。
このような再度にわたるニードルパンチングにより、フ
ェルトの強度を保持した状態で、繊維の配向を変え、ナ
トリウムイオンの移動を容易にすることができる。しか
も、繊維の密度をニードルパンチング面側で小さく、そ
の反対側でより大きくすることができる。従って、電池
の陽極室内にこのフェルトを、そのニードルパンチング
面が固体電解質管側になるように収容すると、陽極容器
側の繊維の密度を高めることができ、多硫化ナトリウム
の酸化還元反応が陽極内で円滑に行われる。
【0016】従って、分極抵抗、ひいては電池の内部抵
抗が小さくなると同時に、充電回復率が高められる。ま
た、請求項2の発明においては、未焼成の繊維織布は、
ポリアクリロニトリル繊維により形成されていることか
ら、得られるカーボンフェルトを強靱なものにすること
ができる。
【0017】請求項3又は請求項8の発明では、焼成し
た繊維織布が最初のニードルパンチングの回数以下の回
数で再度ニードルパンチングが施され、請求項1の発明
と同様の作用が奏せられる。
【0018】請求項4に記載の発明においては、カーボ
ン化処理されたフェルト表面に高抵抗体が配置され、次
いでニードルパンチングが行われる。このため、カーボ
ンフェルト表面の電子伝導性のない高抵抗体が、再度の
ニードルパンチングによりカーボンフェルト内部にまで
押し込まれる。この高抵抗体は、多硫化ナトリウムに対
して濡れ性の良い絶縁材料であるため、カーボンフェル
ト内部に押し込まれた高抵抗体は多硫化ナトリウム中に
おけるナトリウムイオンの伝導補助体として作用する。
従って、陽極容器側の領域で多硫化ナトリウムの反応領
域が拡がり、ナトリウムイオンの移動量が増加して、円
滑な充電が可能となる。
【0019】請求項5の発明では、カーボン化処理され
たフェルト表面に溝が形成されているため、フェルトに
余分な応力が加えられることなく、断面円弧状の陽極容
器内に配置される。加えて、繊維の密度分布は溝の分だ
け固体電解質管側が小さく、陽極容器側の方が大きくな
り、陽極容器側での多硫化ナトリウムの反応が促進され
る。
【0020】請求項6に記載に記載の発明では、高抵抗
体が粉末又は繊維で形成され、この高抵抗体がフェルト
の内部まで組込まれる。
【0021】
【実施例】 (第1実施例) 以下に、この発明のナトリウム−硫黄電池用カーボンフ
ェルト及びその製造方法を具体化した第1実施例につい
て図1〜8に基づいて説明する。
【0022】図1,2に示すように、アルミニウム合金
よりなる陽極容器1は円筒状に形成されてその底部に底
蓋2が接合されるとともに、上部外周面に陽極端子3が
取付けられている。アルファアルミナ製の絶縁リング4
は陽極容器1の上端部に接合固定されている。有底円筒
状をなすナトリウムイオン透過性の固体電解質管5はベ
ータアルミナにより形成され、その上端外周面が絶縁リ
ング4の内周面に接合されている。陽極室6は陽極容器
1と固体電解質管5との間において環状に形成されてい
る。陽極用のフェルト7は、カーボン繊維により形成さ
れ、陽極室6内に収容されて陽極活物質である硫黄Sが
含浸されている。
【0023】カートリッジ8は固体電解質管5の内側に
形成される陰極室14内に配置され、密閉状に形成され
て内部に陰極活物質である溶融した金属ナトリウムNa
が収容されている。ナトリウムの供給孔8aはカートリ
ッジ8の底部に透設され、カートリッジ8内のナトリウ
ムを固体電解質管5側へ導出する。安全管9は固体電解
質管5とカートリッジ8との間隙に配置され、固体電解
質管5の破損によるカートリッジ8の損傷を防止してい
る。陰極蓋10は絶縁リング4の上端面に固着され、そ
の上面には陰極端子11が取付けられている。なお、コ
イルスプリング12はカートリッジ8の上端面と陰極蓋
10の内面間に介装され、カートリッジ8の浮き上がり
を防止している。
【0024】そして、電池は300〜350℃という高
温で動作し、充電及び放電反応が行われる。すなわち、
放電時には陽極室6内のフェルト7の繊維上でナトリウ
ムと硫黄が反応して多硫化ナトリウムが生成する。充電
時には多硫化ナトリウムの酸化還元反応によりナトリウ
ムと硫黄が生成し、ナトリウムはナトリウムイオンとな
って固体電解質管5を透過し陰極室14内へ戻る。
【0025】次に、前記陽極室6内のフェルト7の製造
工程及び陽極室6内への収容方法について説明する。ま
ず、ポリアクリロニトリル繊維は耐炎化工程において酸
化され、黒色の耐炎化繊維に形成される。そして、この
耐炎化繊維より未焼成フェルトを作成する。次に、図5
に示すように、このフェルトに対してニードルパンチン
グを600〜700回/cm2 行う。ニードルパンチング
されたフェルトは、約2000℃での焼成によりカーボ
ン化処理される。このフェルト7は、図3に示すよう
に、所定の大きさの直方体状に切断される。そして、こ
のフェルト7上に長さ方向に延びるV字状の溝15が刻
設される。次に、このフェルト7のV溝15が形成され
た面上にアルミナよりなる高抵抗体16の粉末が散布さ
れる。
【0026】その後、V溝15が形成された面側より再
度ニードルパンチングが行われ、表面に散布された高抵
抗体16がフェルト7内部にまで押し込まれる。このと
き、ニードルパンチングによりフェルト7の長手方向に
延びる繊維が切れて折れ、内部ほど狭い図示しない円錐
状の穴が形成されて、内部ほど繊維の密度が高くなる。
また、再度のニードルパンチングの回数は400回/cm
2 以下であり、フェルト7の繊維の切れが過度になるの
が防止され、その強度が所定値に保持される。その後、
図4に示すように、フェルト7は高抵抗体16が散布さ
れた側を内側にして幅方向に湾曲状に成形される。そし
て、3つのフェルト7により円筒状をなす陽極室6内収
納用のフェルト7が構成され、図2に示すように、この
フェルト7が圧縮状態で陽極室6内に収容される。
【0027】そして、電池の放電時にカートリッジ8内
のナトリウムがカートリッジ8底部の供給孔8aを経て
安全管9内に移動し、さらに固体電解質管5と安全管9
との間隙へと移動する。そして、ナトリウムイオンが固
体電解質管5内を透過して陽極室6へ移動し、フェルト
7内の繊維上において硫黄と反応して多硫化ナトリウム
を生成する。
【0028】一方、充電時には、放電時とは逆に陽極室
6内の多硫化ナトリウムが酸化還元反応を起こしてナト
リウムイオンを生成する。生成したこのナトリウムイオ
ンはフェルト7の厚さ方向Xに延びる繊維に沿って移動
し、固体電解質管5の外表面に至る。ナトリウムイオン
はさらに固体電解質管5内を透過し、安全管9内から供
給孔8aを経てカートリッジ8内へ戻る。
【0029】さて、この実施例においては、フェルト7
にニードルパンチングが施された後、カーボン化処理が
行われ、再度ニードルパンチングが行われる。このた
め、2度目のニードルパンチングにより、繊維の密度を
陽極室6内の固体電解質管側5で小さく、陽極容器1側
で一層大きくすることができて、陽極容器1側での多硫
化ナトリウムの反応箇所を増やすことができる。従っ
て、充電時における陽極容器1側での多硫化ナトリウム
の酸化還元反応を促進させることができる。
【0030】しかも、再度にわたるニードルパンチング
により、厚さ方向Xに配向する繊維の割合を高めること
ができ、陽極容器1側から固体電解質管5側へのナトリ
ウムイオンの移動を容易にすることができる。その結
果、充電時における多硫化ナトリウムの酸化還元反応が
円滑に進む。
【0031】従って、分極抵抗、ひいては電池の内部抵
抗が小さくなると同時に、充電回復率が高められ、電池
の出力も向上する。しかも、フェルト7に黒鉛化処理が
施された後に、高抵抗体16がフェルト7表面に散布さ
れ、次いでニードルパンチングが行われる。このため、
フェルト7表面の高抵抗体16が再度のニードルパンチ
ングによりフェルト7内部まで押し込まれる。つまり、
図7に示すように、高抵抗体16の密度は従来ではフェ
ルト7内の固体電解質管5側でのみ高いのに対し、本発
明ではフェルト7内の固体電解質管5側より陽極容器1
側に向かう内部の領域まで高くなる。
【0032】従って、このように製作されたフェルト7
が電池の陽極室6内に収容されたとき、高抵抗体16が
多硫化ナトリウムに対して濡れ性が良く、しかもイオン
伝導補助体として作用するため、固体電解質管5側より
その内部までの領域では、多硫化ナトリウムの存在する
領域が増え、ナトリウムイオンの移動が容易になる。し
かも、再度のニードルパンチングによりフェルト7の厚
さ方向Xに配向する繊維の割合が多いため、陽極容器1
側より固体電解質管5側へのナトリウムイオンの移動が
容易である。
【0033】さらに、陽極容器1側では繊維の密度が高
いため、多硫化ナトリウムの酸化還元反応が容易であ
る。そして、ナトリウムイオンが固体電解質管5側に速
やかに移動できる。従って、陽極部全体として充電反応
が円滑に行われる。
【0034】なお、フェルト7の強度はニードルパンチ
ングの回数が増加すると徐々に低下し、その回数が過剰
になると焼成時のハンドリング強度を下回るため、従来
はニードルパンチングの回数をそのハンドリング強度で
止め、フェルト7の強度を確保していた。この発明で
は、従来と同様に強度を保持した状態で焼成を行い、そ
の後にニードルパンチングを行うため、焼成を行う際の
問題はなく、しかもニードルパンチングの回数を増やす
ことができる。
【0035】そして、図6(b)に示すように、ニード
ルパンチングによる厚さ方向への繊維の配向割合を、高
めることができる。その結果、図6(a)に示すよう
に、電池の充電回復率を向上させることができる。
【0036】図7では、高抵抗体を配置した後のニード
ルパンチングによるカーボンフェルト7内の高抵抗体の
密度の変化を示した。この図に示したように、ニードル
パンチングの回数を増加させることにより、カーボンフ
ェルト7の陽極容器側において高抵抗体、すなわちイオ
ン伝導体の密度を、従来より高めることができる。この
場合、ニードルパンチングで高抵抗体がカーボンフェル
ト7内部に押し込まれることにより、固体電解質管側で
密度が低下した高抵抗体を補うために、さらに高抵抗体
を再配置し直すこともできる。なお、図7において、密
度比は、(陽極室内での高抵抗体の密度)/(高抵抗体
単体の密度)を表す。
【0037】また、図8に示すように、この第1実施例
のカーボンフェルト7を用いたナトリウム−硫黄電池と
従来のカーボンフェルトを用いたナトリウム−硫黄電池
について、充放電サイクルに対する充電回復率を測定し
た。その結果、この第1実施例の充電回復率は、ポリア
クリロニトリル繊維を用いた従来例(従来例−1)のそ
れに比べて高く維持された。 (第2実施例)次に、この発明を具体化した第2実施例
について説明する。なお、この実施例では第1実施例と
異なる部分について説明する。
【0038】原料繊維として、500〜1500℃、望
ましくは1000℃前後で焼成することによりカーボン
化処理を施したピッチ系繊維を用い、ニードルパンチン
グを施してフェルトが作製される。次に、このフェルト
に対してニードルパンチングが100〜200回/cm2
行われる。ニードルパンチングされたフェルトは、15
00〜3000℃、望ましくは約2000℃の高温で焼
成される。そして、再度ニードルパンチングが行われ
る。この再度のニードルパンチングは80回/cm 2 以下
の回数行われる。
【0039】この第2実施例でも、強度を保持した状態
で焼成を行うことができ、ニードルパンチングの回数を
増やすことができる。このため、図6(b)に示すよう
に、ニードルパンチングによる厚さ方向への繊維の配向
を、高めることができる。従って、図6(a)に示すよ
うに、電池の充電回復率を向上させることができる。
【0040】また、図7に示すように、高抵抗体を配置
した後、再度のニードルパンチングにより、カーボンフ
ェルト7の内部、すなわち陽極容器側ほど高抵抗体の密
度が高くなるようにすることができる(第2実施例
(1))。また、再度のニードルパンチングの回数を第
2実施例(1)よりも少なく調整することにより、固体
電解質管側と陽極容器側における高抵抗体の密度が高く
なるようにし、中間部の密度が低くなるようにすること
ができる(第2実施例(2))。このように、再度のニ
ードルパンチングの回数を調整することにより、フェル
トの厚さ方向における高抵抗体の密度分布を変えること
ができる。
【0041】また、図8に示すように、この第2実施例
(2)の充電回復率はピッチ系の繊維を用いた従来例
(従来例−2)のそれに比べて高く維持することができ
た。なお、この発明は例えば次のように構成を変更して
具体化してもよい。 (a)高抵抗体16として、繊維状又は布状のものを使
用したり、またアルミナ以外のセラミックスやガラス繊
維を使用したりすること。 (b)黒鉛化処理後のフェルト7に高抵抗体16を散布
することなく、再度ニードルパンチングを行うこと。こ
の構成によって、2度のニードルパンチングに基づく充
電回復率の向上を図ることができる。 (c)V溝15をU溝にしたり、スリットにしたりする
こと。 (d)フェルト7の分割数を3以外に変えたり、環状に
一体形成したりすること。
【0042】また、請求項以外の技術的思想につき、そ
の効果とともに以下に記載する。 (1)カーボン化処理を行った後に、多硫化ナトリウム
の酸化還元反応に対する高抵抗体をカーボンフェルト表
面に配置し、ニードルパンチングを施す請求項7又は請
求項8に記載のナトリウム−硫黄電池用カーボンフェル
トの製造方法。この方法によって、高抵抗体をカーボン
フェルト内部にまで存在させることができる。 (2)カーボン化処理されたフェルトにニードルパンチ
ングを施す回数を調整することにより、厚さ方向におけ
る高抵抗体の密度勾配を調整可能にした上記(1)に記
載のナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルトの製造方
法。このように構成すれば、多硫化ナトリウムの領域を
拡げることができ、ナトリウムイオンの移動量を増加さ
せることができる。
【0043】
【発明の効果】 以上詳述したように、請求項1又は請
求項7のナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト又は
その製造方法の発明によれば、フェルトの強度を保持し
た状態で、繊維の配向を変えることができ、ナトリウム
イオンの移動を容易にすることができる。しかも、繊維
の密度をニードルパンチング面側で小さく、その反対側
でより大きくすることができ、カーボンフェルトが電池
の陽極室内に収容されたとき、陽極容器側の繊維の密度
を高めることができ、その部分での多硫化ナトリウムの
酸化還元反応を促進させることができる。
【0044】従って、充電時における陽極内の反応を円
滑にさせることができ、充電回復率を向上させることが
できる。しかも、分極抵抗、ひいては電池の内部抵抗を
小さくすることができる。加えて、長期にわたる電池の
劣化を抑制して電池性能を安定化することができる。
【0045】その上、再度のニードルパンチング工程を
加えるのみでよいため、所定の特性を有するカーボンフ
ェルトを容易に製造することができる。請求項2の発明
によれば、得られるカーボンフェルトを強靱なものにす
ることができる。
【0046】請求項3又は請求項8の発明によれば、焼
成した繊維織布に再度のニードルパンチングが施される
ことにより、請求項1の発明と同様の効果を奏すること
ができる。
【0047】請求項4に記載の発明によれば、高抵抗体
がカーボンフェルト内部にまで押し込まれ、陽極容器側
の領域で多硫化ナトリウムの反応領域が拡がり、ナトリ
ウムイオンの移動量が増加して、充電反応を円滑に行う
ことができる。
【0048】請求項5の発明によれば、カーボンフェル
トに余分な応力が加えられることなく、陽極容器内に配
置され、繊維の密度分布を溝の分だけ固体電解質管側で
小さく、陽極容器側で大きくすることができ、陽極容器
側での多硫化ナトリウムの反応を促進させることができ
る。
【0049】請求項6に記載に記載の発明によれば、高
抵抗体をカーボンフェルトの内部まで効率良く組込むこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の電池の陽極室にカーボンフェルトを
収容した断面図。
【図2】 図1のA−A線における断面図。
【図3】 ニードルパンチを施した後のフェルトを示す
斜視図。
【図4】 湾曲させて円筒状に形成した陽極用のフェル
トを示す斜視図。
【図5】 実施例のカーボンフェルトの製造工程を示す
工程図。
【図6】 (a)は充電回復率とニードルパンチングの
回数との関係を示すグラフ、(b)はフェルトの厚さ方
向への繊維の配向割合とニードルパンチングの回数との
関係を示すグラフ。
【図7】 高抵抗体の密度比と陽極室内の位置との関係
を示すグラフ。
【図8】 充電回復率と充放電サイクルとの関係を示す
グラフ。
【符号の説明】
1…陽極容器、5…固体電解質管、6…陽極室、7…陽
極用のフェルト、15…V溝、16…高抵抗体、Na…
ナトリウム、S…硫黄。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状の陽極容器内にナトリウムイオンを
    選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配設し、
    陽極容器と固体電解質管との間に形成される陽極室に陽
    極活物質としての硫黄を収容するとともに、固体電解質
    管内の陰極室に陰極活物質としてのナトリウムを収容し
    たナトリウム−硫黄電池の前記陽極室に硫黄を含浸させ
    るためのカーボンフェルトであって、未焼成の繊維織布
    にニードルパンチングを施し、カーボン化処理を行って
    所定形状に成形し、ニードルパンチング面を固体電解質
    管側に配置するナトリウム−硫黄電池用カーボンフェル
    トにおいて、 前記カーボン化処理をしたフェルトに、さらにニードル
    パンチングを施したナトリウム−硫黄電池用カーボンフ
    ェルト。
  2. 【請求項2】 前記未焼成の繊維織布は、ポリアクリロ
    ニトリル繊維により形成されたものである請求項1に記
    載のナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト。
  3. 【請求項3】 筒状の陽極容器内にナトリウムイオンを
    選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配設し、
    陽極容器と固体電解質管との間に形成される陽極室に陽
    極活物質としての硫黄を収容するとともに、固体電解質
    管内の陰極室に陰極活物質としてのナトリウムを収容し
    たナトリウム−硫黄電池の前記陽極室に硫黄を含浸させ
    るためのカーボンフェルトであって、焼成した繊維織布
    にニードルパンチングを施し、高温のカーボン化処理を
    行って所定形状に成形し、ニードルパンチング面を固体
    電解質管側に配置するナトリウム−硫黄電池用カーボン
    フェルトにおいて、 前記カーボン化処理をしたフェルトに、さらにニードル
    パンチングを前記ニードルパンチングの回数以下の回数
    で施したナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト。
  4. 【請求項4】 カーボン化処理したフェルト表面に高抵
    抗体を配置し、ニードルパンチングを施し、高抵抗体を
    内部にまで配置した請求項1〜3のいずれかに記載のナ
    トリウム−硫黄電池用カーボンフェルト。
  5. 【請求項5】 カーボン化処理したフェルト表面に溝が
    形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のナトリ
    ウム−硫黄電池用カーボンフェルト。
  6. 【請求項6】 高抵抗体が粉末又は繊維である請求項4
    又は請求項5に記載のナトリウム−硫黄電池用カーボン
    フェルト。
  7. 【請求項7】 筒状の陽極容器内にナトリウムイオンを
    選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配設し、
    陽極容器と固体電解質管との間に形成される陽極室に陽
    極活物質としての硫黄を収容するとともに、固体電解質
    管内の陰極室に陰極活物質としてのナトリウムを収容し
    たナトリウム−硫黄電池の前記陽極室に硫黄を含浸させ
    るためのカーボンフェルトの製造方法であって、未焼成
    の繊維織布にニードルパンチングを施した後、カーボン
    化処理を行って所定形状に成形し、ニードルパンチング
    面を固体電解質管側に配置するナトリウム−硫黄電池用
    カーボンフェルトの製造方法において、 前記カーボン化処理を行った後に、さらにニードルパン
    チングを施すナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルト
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 筒状の陽極容器内にナトリウムイオンを
    選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配設し、
    陽極容器と固体電解質管との間に形成される陽極室に陽
    極活物質としての硫黄を収容するとともに、固体電解質
    管内の陰極室に陰極活物質としてのナトリウムを収容し
    たナトリウム−硫黄電池の前記陽極室に硫黄を含浸させ
    るためのカーボンフェルトの製造方法であって、焼成し
    た繊維織布にニードルパンチングを施した後、高温のカ
    ーボン化処理を行って所定形状に成形し、ニードルパン
    チング面を固体電解質管側に配置するナトリウム−硫黄
    電池用カーボンフェルトの製造方法において、 前記カーボン化処理を行った後に、さらにニードルパン
    チングを前記ニードルパンチングの回数以下の回数で施
    すナトリウム−硫黄電池用カーボンフェルトの製造方
    法。
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